JP2012026760A - 粒子計測式水質分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】火力発電所等のプラントの系統水からサンプル水を連続的に採取する手段と、採取したサンプル水をセル内に通過させ、光源からセル内に光を照射し、センサにより複数の粒径区分ごとに粒子数を測定する粒子測定手段と、サンプル水の流量を測定する流量測定器と、表示手段と、制御装置と、を備え、前記制御装置が、粒径区分ごとの粒子数および流量に基づき粒径区分ごとに鉄重量を算出し、それに特定の係数を乗じることにより低濃度の全鉄量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする粒子計測式水質分析装置。
【選択図】図1
Description
一方、濁度計による分析は精度が低く、化学反応方式の分析法を併用しなくてはならなかった。
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、定常運転時の低濃度の全鉄量を高精度に測定することができなかった。1年に1〜2回しか起動停止をしない火力発電所等の設備では、1年の殆どの期間定常運転であり、定常運転では系統水中の鉄量が低濃度の状態で稼働されることとなる。このような設備における定常運転時の傾向監視のために低濃度の全鉄量を測定する技術が求められていた。
[1]火力発電所等のプラントの系統水からサンプル水を連続的に採取する手段と、採取したサンプル水をセル内に通過させ、光源からセル内に光を照射し、センサにより複数の粒径区分ごとに粒子数を測定する粒子測定手段と、サンプル水の流量を測定する流量測定器と、表示手段と、制御装置と、を備え、前記制御装置が、粒径区分ごとの粒子数および流量に基づき粒径区分ごとに鉄重量を算出し、それに特定の係数を乗じることにより低濃度の全鉄量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする粒子計測式水質分析装置。
[2]前記制御装置が、粒径区分ごとの粒子数および流量に基づきクロム濃度を算出し、それに特定の係数を乗じることにより剥離スケール量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする[1]の粒子計測式水質分析装置。
[3]前記制御装置が、特定の粒径区分における粒子数および流量に基づきクロム濃度を算出し、それに特定の係数を乗じることにより剥離スケール量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする[1]の粒子計測式水質分析装置。
[4]前記特定の粒径区分が、5μm以下の粒子を含む粒径区分であることを特徴とする[3]の粒子計測式水質分析装置。
[5]前記制御装置が、粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき濁度を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする[1]ないし[4]のいずれかの粒子計測式水質分析装置。
[6]前記制御装置が、粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき高濃度の全鉄量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする[1]ないし[5]のいずれか粒子計測式水質分析装置。
[7]前記制御装置が、
(A)粒径区分ごとの粒子数および流量に基づきクロム濃度を算出し、それに特定の係数を乗じることにより剥離スケール量を算出し、
(B)粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき濁度を算出し、
(C)粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき高濃度の全鉄量を算出し、
(D)剥離スケール量、濁度、低濃度の全鉄量および高濃度の全鉄量を、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする[1]の粒子計測式水質分析装置。
[8]前記粒子測定手段が、100μm以下の粒子を測定することを特徴とする[1]ないし[7]のいずれか粒子計測式水質分析装置。
また、剥離スケール量や濁度を同時に連続的に測定することが可能となる。
本発明の水質分析装置は、粒子センサ12と、流量測定器13と、制御装置14とを備える。
粒子センサ12は、半導体レーザ照射式の粒子センサである。一般に粒径が大きい場合には遮断式、粒径が小さい場合には散乱式が使われるが、いずれを用いてもよい。粒子センサ12は、粒子径と個数に応じた光量を受光し、これをパルス信号にして出力する。制御装置14は、粒子センサ12からのパルス信号に基づいて、サンプルセル22を通過する粒径区分別の粒子の個数を算出する。
本発明で、計測対象となるのはサンプル水中の全ての粒子であり、酸化鉄などの鉄化合物粒子や鉄粒子などに限られない。一般にコロイドのサイズは1〜500nmと言われているが、コロイドやイオンを完全に無視した2〜100μmの粒子計測でも、プラント起動時の全鉄監視に必要とされる10〜1000ppbの範囲において、プラント起動時の各工程終了の判定指標とするのに必要な精度の全鉄濃度を測定することができる。
そこで、本発明では、定常運転時の全鉄量測定においても高精度な計測を行うことを可能とすべく、粒径区分毎の粒子数を算出し、粒径区分毎の粒子数に体積換算に係る係数を乗じて全鉄量を算出する手法を用いることとした。すなわち、本発明では、粒径別粒子濃度毎に鉄重量を計算し、下記式1に係る特定の係数を乗じた後に総和することで全鉄濃度を算出している。
ri:CH別平均粒径
Ni:粒径別粒子数
WFe:鉄比重
Q:平均流量
α:トータル濃度換算係数
βi:粒径別換算係数
蒸気温度が500℃を超える配管や伝熱管では配管内面スケールが成長し、スケールが剥離飛散するとドレン弁やタービン翼が損傷を受けるという問題(スケール傷害)が知られている。配管内の剥離スケール量を適時に把握することは困難であるとされていたが、ある発電プラントの定検試運転時に剥離スケール測定実験を行った結果、クロム(Cr)濃度とスケール量との相関が見られたことから、Cr濃度を測定してリアルタイムで剥離スケールを測定することの知見を得た。配管合金元素の1つであるCrは蒸気系配管のみに含まれるところ、復水系統濾過採取粒子にCrが含まれるのは蒸気系配管内面を剥離したスケール(剥離スケール)である考えられることによる。すなわち、蒸気配管内面を剥離したスケールはタービン→復水器→復水系統に流れるため、復水系統の粒子数をモニタリングすることにより、間接的ではあるが、蒸気系配管内面のスケール剥離が検知できると考えられる。
本発明では、粒径別粒子濃度毎にクロム重量を計算し、下記式2に係る特定の係数を乗じた後にそれらを総和することでクロム濃度を算出している。なお、クロム重量の算出は、相関の高い特定のCHのみに基づいて行ってもよい。
ri:CH別平均粒径
Ni:粒径別粒子数
Wcr:クロム比重
Q:平均流量
γi:粒径別換算係数
δ:トータル濃度換算係数
濁度は、水の濁り度合いを表す指標の一つである。すなわち、その水が濁っていればいるほど、濁度は高くなり、その水が澄んでいればいるほど、濁度は低くなる。
濁度を測定するには種々の方法があり、主要なものとしては、透過光濁度(試料を通過した透過光の強度を測定し、標準液を用いて作成した検量線から求める)、散乱光濁度(試料水中の粒子によって散乱した光の強度を測定し、標準液を用いて作成した検量線から求める)、積分球濁度(試料水中の粒子による散乱光の強度と透過光の強度との比を求め、標準液を用いて作成した検量線から求める)が挙げられる。本発明にはいずれの手法を用いることができるが、流量測定器による測定情報を流用できる方法を採用するのが好ましい。
本発明では、粒径別粒子濃度毎に断面積を算出し、下記式3に係る特定の係数を乗じた後にそれらを総和することで濁度を算出している。
ri:CH別平均粒径
Ni:粒径別粒子数
Q:平均流量
ζ:トータル濃度換算係数
ηi:粒径別換算係数
実施例1の粒子計測式水質分析装置は、図1および図2に示すとおり構成される。
本発明の水質分析装置は、粒子センサ12と、流量測定器13と、制御装置14とを備えて構成される。
粒子センサ12は、図2に示すように、投光部21および受光部23とその間に位置するサンプルセル22とから構成される。投光部21は半導体レーザによる平行光源であり、レーザ光が照射されるサンプルセル22を鉄粒子が通過することによって受光部23が粒子径と個数に応じた光量を受光し、これをパルス信号にして出力する。粒子計測原理は、サンプル水にレーザ光を照射し、粒子の有無に伴って背後に生じる光の遮断・透過の明暗パターンを電気的なパルス信号に変換し、そのパルス数を粒子数として計測するものである。パルスの高さは粒径に対応しており、粒径が大きいほど光を通しにくいので、マイナス(暗)方向に高いパルスとなる。
制御装置14は、粒子センサ12からのパルス信号に基づき、当該パルス信号のパルス数を粒子数として、パルスの高さを粒径としてサンプルセル22を通過する粒径別の粒子の個数を算出する。
レンジが0〜50mL/分(下端0・上端50)のフローメータの場合、例えば、画像処理によって検出されたフロート位置が下端0・上端50の中間であると、その時の流量は25mL/分と算出される。但し、フローメータの目盛はリニアではないため、その分の補正計算も行う必要がある。
本実施例の制御装置14は、粒子センサ12を直接制御する手段を有しているので、粒子測定装置を別個に設けることは不要である。また、制御装置14は、微小粒子数が正確にカウントされない場合に検量線の勾配を補正する機能も有している。常時設置による汚れないしは経年劣化による測定精度の劣化が生じた際に、検量線の勾配を変化させることで、長期間にわたり分析精度を一定以上に保つことが可能である。
本実施例の装置は、粒径に応じて設定されたCH1〜CH6についての粒度分布を測定する。より詳細には、CH1は粒径2〜3μmの粒子数を、CH2は粒径3〜4μmの粒子数を、CH3は粒径4〜5μmの粒子数を、CH4は粒径5〜10μmの粒子数を、CH5は粒径10〜20μmの粒子数、CH6は粒径20〜100μmの粒子数を測定する。これら粒径別粒子濃度の測定情報に基づき、以下に述べる鉄濃度測定、クロム濃度測定、濁度測定を行う。
阿南4号起動時(2008年11月23日)における粒径別粒子数を表1に示す。
本実施例の装置は、プラント設備の定常運転時の低濃度全鉄量測定を行うために、粒径区分毎の粒子数を算出し、粒径区分毎の粒子数に体積換算に係る係数を乗じて全鉄量を算出している。すなわち、本実施例における全鉄濃度換算は、粒径別粒子濃度を換算して算出している。この方法により相関が向上し、低濃度時の全鉄濃度傾向監視が可能となった。
図5は、橘湾発電所の定常運転時(平成18年4月5日〜平成19年2月20日)のプラント系統水における、実施例1の分析装置による鉄濃度測定値と手分析値との相関を示すグラフである。図5(A)から、図4と比べ相関係数R2は0.7412に改善されていることが分かる。また、図5(B)から、全鉄量40ppb以下においては相関係数R2が0.9096と非常に高い値であることが分かる。
図6は、橘湾発電所の定常運転時における脱気タンクの鉄濃度の長期トレンドを示すグラフである。図6からも、実施例1に係る粒子計測と手分析値には、高い相関があることを確認することができる。
図7は、橘湾発電所の定期点検起動時(平成20年5月7日〜10日)のプラント系統水における、実施例1の分析装置によるクロム濃度測定値と手分析値との相関を示すグラフである。図7(A)から、CH1(2〜3μm)において、相関係数R2が0.8927とかなり高い値であることが分かる。また、図7(B)から、全CH(2〜100μm)において、相関係数R2が0.8892とかなり高い値であることが分かる。
各CHにおける相関係数について表2を参照しながら補足する。表2から、クロム濃度と特に相関が高いのはCH1および2であり、それに続き全CH、CH3の順で相関が低くなるという傾向が分かる。この結果から、クロム濃度を算出する際には、粒径2〜5μm(=CH1〜3)の粒子数を測定するのが好ましく、粒径2〜4μm(=CH1〜2)の粒子数を測定するのがより好ましいことが分かる。
本実施例の水質分析装置は、流量測定器からの測定情報に基づき系統水の濁度をリアルタイム監視することも可能である。
図9は、阿南発電所の平成20年11月23日〜29日のプラント系統水における、実施例1の分析装置による濁度測定値と精密濁度計による測定値との相関を示すグラフである。精密濁度計は、ミクニキカイ社の微粒子カウンタ付精密レーザー濁度計「ミルパゼロ」を使用した。図9から、相関係数R2が0.9616とかなり高い値であることが分かる。
化学工業、原子力等の産業分野で使用されるクロムを含む鋼材からなる配管の剥離スケールの監視に利用することができる。
2 ボイラ
3 ヒータ
4 タービン
5 復水器
6 給水ポンプ
7 復水ポンプ
8 サンプル水導入管
10 水質分析装置
12 センサ
13 流量測定器
14 制御装置
Claims (8)
- 火力発電所等のプラントの系統水からサンプル水を連続的に採取する手段と、採取したサンプル水をセル内に通過させ、光源からセル内に光を照射し、センサにより複数の粒径区分ごとに粒子数を測定する粒子測定手段と、サンプル水の流量を測定する流量測定器と、表示手段と、制御装置と、を備え、
前記制御装置が、粒径区分ごとの粒子数および流量に基づき粒径区分ごとに鉄重量を算出し、それに特定の係数を乗じることにより低濃度の全鉄量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする粒子計測式水質分析装置。 - 前記制御装置が、粒径区分ごとの粒子数および流量に基づきクロム濃度を算出し、それに特定の係数を乗じることにより剥離スケール量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする請求項1の粒子計測式水質分析装置。
- 前記制御装置が、特定の粒径区分における粒子数および流量に基づきクロム濃度を算出し、それに特定の係数を乗じることにより剥離スケール量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする請求項1の粒子計測式水質分析装置。
- 前記特定の粒径区分が、5μm以下の粒子を含む粒径区分であることを特徴とする請求項3の粒子計測式水質分析装置。
- 前記制御装置が、粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき濁度を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの粒子計測式水質分析装置。
- 前記制御装置が、粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき高濃度の全鉄量を算出し、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか粒子計測式水質分析装置。
- 前記制御装置が、
(A)粒径区分ごとの粒子数および流量に基づきクロム濃度を算出し、それに特定の係数を乗じることにより剥離スケール量を算出し、
(B)粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき濁度を算出し、
(C)粒子測定手段および流量測定器からの信号に基づき高濃度の全鉄量を算出し、
(D)剥離スケール量、濁度、低濃度の全鉄量および高濃度の全鉄量を、表示手段にリアルタイム表示させることを特徴とする請求項1の粒子計測式水質分析装置。 - 前記粒子測定手段が、100μm以下の粒子を測定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれか粒子計測式水質分析装置。
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