JP2012026491A - 免震装置および免震建物 - Google Patents
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Abstract
【課題】建物に生じる引き抜き力を低減すること。
【解決手段】積層ゴム21の上下に当該積層ゴム21の外周に延出される上下フランジ22,23が固定された免震構造部2を有し、上フランジ22が建物101に取り付けられ、下フランジ23が基礎102に取り付けられる免震装置1において、下フランジ23(または上フランジ22)に設けられており、鉛直方向に塑性変形可能に形成された変形部4を備える。この免震装置は、引き抜き力により変形部が塑性変形することで、建物101に接続する免震装置1の引き抜き力の上昇を抑える。
【選択図】図1
【解決手段】積層ゴム21の上下に当該積層ゴム21の外周に延出される上下フランジ22,23が固定された免震構造部2を有し、上フランジ22が建物101に取り付けられ、下フランジ23が基礎102に取り付けられる免震装置1において、下フランジ23(または上フランジ22)に設けられており、鉛直方向に塑性変形可能に形成された変形部4を備える。この免震装置は、引き抜き力により変形部が塑性変形することで、建物101に接続する免震装置1の引き抜き力の上昇を抑える。
【選択図】図1
Description
本発明は、免震装置および当該免震装置を適用した免震建物に関する。
近年、アスペクト比(高さ/短辺)が5.0を超え、6.0に近い超高層建物に対する免震化が進んでいる。一般に、超高層建物における免震化の設計手法は、免震層をより長周期化し、上部構造のせん断力応答をより抑えることで、免震装置に作用する引き抜き力を低減し、免震装置の破壊を回避する設計思想となるケースが多い。しかしながら、このような設計手法では、地震応答による安全性と風応答による安全性とがトレード・オフの関係となり、結果的に風応答による免震層の変形が大きくなることを許容せざるを得ない。しかも、上記の設計手法では、免震層の降伏せん断力を低く設定することにもなり、長周期地震動に対する共振現象が生じ易くなる。
従来、例えば、特許文献1に記載の免震装置(免震構造)は、基礎面に固定された基礎側ベースプレートと建物(構造物)に固定された構造物側ベースプレートとの間に、上下に上フランジおよび下フランジを有した積層ゴムを介在したもので、上フランジまたは下フランジのいずれか一方を、基礎側ベースプレートまたは構造物側ベースプレートの一方に締付ボルトにより固定し、上フランジまたは下フランジのいずれか他方を、基礎側ベースプレートまたは構造物側ベースプレートの他方に設けられた凹部に嵌入すると共に、フランジにスライド自在に貫通し先端部がベースプレートに螺着され、かつ頭部がフランジから離隔した状態で装着された取付ボルトにより係止している。すなわち、特許文献1に記載の免震装置は、取付ボルトの頭部の離隔分で積層ゴムに引き抜き力が加わることを防止しようとしている。
しかしながら、特許文献1に記載の免震装置においては、取付ボルトによって積層ゴムに引き抜き力が加わる事態を防止できるが、この免震装置に隣接する免震装置に対して過大な引き抜き力が生じるおそれがある。
本発明は、上述した課題を解決するものであり、免震装置に生じる引き抜き力を制御することのできる免震装置および免震建物を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の免震装置は、積層ゴムの上下に当該積層ゴムの外周に延出される上下フランジが固定された免震構造部を有し、前記上フランジが建物に取り付けられ、前記下フランジが基礎に取り付けられる免震装置において、上下フランジのいずれかに設けられており、鉛直方向に塑性変形可能に形成された変形部を備えることを特徴とする。
この免震装置によれば、免震装置に作用する引き抜き力により変形部が鉛直方向に塑性変形することで、引き抜き力の上昇を頭打ちに抑えることができる。しかも、変形部は、基礎または建物に取り付けられるフランジに設けられていることから、フランジが取り付けられた部分で引き抜き力に抗することにもなるため、当該免震装置に隣接する免震装置に対する引き抜き力を低減することが可能になる。すなわち、免震装置に作用する引き抜き力を低減して他の装置に再配分することで免震装置の破壊を免れることができる。従って、建物をより長周期化して上部構造のせん断力応答をより低く抑える必要がない。このため、地震応答と風応答に対する安全性を両立させることが可能であり、かつ免震層の降伏せん断力を低く設計する事態を防ぐことから、長周期地震動に対する共振現象を生じ難くすることができる。しかも、変形部が塑性変形することから、引き抜きによる積層ゴムの引張力を頭打ちにするので、引き抜き力による免震装置の損傷を回避することができる。
また、本発明の免震装置は、前記変形部が設けられたフランジが取り付けられる前記基礎または前記建物に対して固定されたベースプレートと、前記ベースプレートに対して前記免震構造部を水平方向に移動不能で鉛直方向にスライド移動可能に嵌合するシアキーとを備えることを特徴とする。
この免震装置によれば、変形部が設けられたフランジが取り付けられる基礎または建物に対して免震構造部を水平方向に移動不能とすることで、基礎の水平移動を積層ゴムが受ける機能を有する。一方、変形部が設けられたフランジが取り付けられる基礎または建物に対して免震構造部を鉛直方向にスライド移動可能とすることで、建物の引き抜きに応じた変形部の塑性変形を生じさせる機能を有する。これらの機能をシアキーおよびベースプレートが受け持つことで、フランジの鉛直剛性・耐力を設定できる変形部を設けることができる。
本発明の免震装置では、前記変形部は、前記フランジが前記基礎側または前記建物側に固定されるアンカー側固定部と、前記フランジが前記積層ゴム側に固定される積層ゴム固定部との間に設けられており、複数の穴により塑性変形可能に形成されることを特徴とする。
この免震装置によれば、変形部が設けられたフランジが取り付けられる基礎または建物の部位と、積層ゴムに固定される部位との間に変形部を設けることで、引き抜きに対応して変形部を確実に塑性変形させることができる。しかも、変形部が複数の穴により塑性変形可能に形成され、当該穴の配置や形状や大きさ、またはフランジの厚さなどにより、変形部の塑性変形の剛性や耐力を必要に応じて設定することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の免震建物は、上記のいずれか一つに記載の免震装置を建物と基礎との間に配置したことを特徴とする。
引き抜き力は、特に、アスペクト比(高さ/短辺)が大きい超高層建物に生じやすく、この超高層建物に対して適用された免震装置によれば、超高層建物において、地震応答と風応答の安全性を両立しつつ、超高層免震建物に生じる引き抜き力を制御する効果を顕著に得ることができる。この結果、免震建物として超高層化をさらに実現可能なものにすることができる。その他、中低層建物であっても、耐震壁の直下に免震装置がある場合に、当該免震装置に引き抜き力が発生する。また、中低層建物であっても、大きな水平方向の外力によって建物が擁壁に激突した場合に、この激突箇所を支点として免震装置に引き抜き力が発生する。このように、中低層建物においても、引き抜き力が発生するおそれがあり、中低層建物に適用された免震装置によれば、中低層建物に生じる引き抜き力を制御することができる。この結果、免震建物として中低層建物にも適用することができる。
本発明によれば、免震装置に作用する引き抜き力を制御することができる。
以下に、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施の形態に係る免震装置の側断面図であり、図2は、図1に示す免震装置の一部裁断平面図であり、図3は、図1に示す免震装置のフランジの一部拡大平面図である。
図1および図2に示すように、免震装置1は、建物101と基礎102との間に、免震構造部2が介在されている。免震構造部2は、円柱状の積層ゴム21の上下に、当該積層ゴム21の外周に延出される上下フランジ22,23が固定されている。積層ゴム21は、ゴム層を幾層にも積層したもの、またはゴム層と鋼板とを上下方向に交互に幾層にも積層したものである。積層ゴム21は、鉛直方向に堅く、水平方向に柔らかい性能を有する。上下フランジ22,23は、円板状または四角形の鋼板であり、積層ゴム21に対し、固定ボルト24により固定されている。また、免震構造部2は、上下フランジ22,23側に配置されたシアキー25が設けられている。
上記免震構造部2は、上フランジ22が建物101に固定され、下フランジ23が基礎102に固定されている。この上下フランジ22,23は、積層ゴム21の外周に延出した部分が、アンカーボルト26により固定されている。
上フランジ22は、シアキー25を嵌合する凹部22aを有すると共に、建物101に対して固定された状態で、シアキー25を水平方向および鉛直方向に移動不能とする板厚を有した剛構造とされている。
また、下フランジ23は、上フランジ22よりも板厚が薄く形成され、シアキー25を当該下フランジ23に当接することなく挿通している。
また、免震装置1は、ベースプレート3が設けられている。ベースプレート3は、基礎102に固定され、下フランジ23に挿通したシアキー25が嵌合されるものである。このベースプレート3は、上方に開口してシアキー25を挿入する凹部3aを有している。ベースプレート3は、凹部3aの内周壁にシアキー25が当接することで免震構造部2を水平方向に移動不能とする。さらに、ベースプレート3は、凹部3aに対してシアキー25が上下方向(鉛直方向)に移動可能に挿入されていることで免震構造部2を鉛直方向に移動可能とする。このように、基礎102に固定されたベースプレート3に対し、シアキー25は、免震構造部2を水平方向に移動不能で鉛直方向に移動可能に嵌合している。
下フランジ23は、変形部4が設けられている。変形部4は、鉛直方向に塑性変形する態様で形成されている。この変形部4は、下フランジ23の周りに沿って複数設けられている。
変形部4は、図3に示すように、基礎102側に固定されるアンカー側固定部と、免震構造部2の積層ゴム21側に固定される積層ゴム側固定部との間に形成されている。アンカー側固定部は、下フランジ23の外周縁に設けられたアンカーボルト挿通孔41と、このアンカーボルト挿通孔41に挿通されて基礎102に固定されるアンカーボルト26とで構成されている。また、積層ゴム側固定部は、アンカーボルト挿通孔41よりも下フランジ23の中央寄りに設けられた固定ボルト挿通孔42と、この固定ボルト挿通孔42に挿通されて積層ゴム21に固定される固定ボルト24とで構成されている。なお、本実施の形態において、アンカー側固定部および積層ゴム側固定部は、1つの変形部4に対して2つ配置されている。
そして、変形部4は、下フランジ23において、アンカー側固定部(アンカーボルト挿通孔41およびアンカーボルト26)と積層ゴム側固定部(固定ボルト挿通孔42および固定ボルト24)との間に設けられており、複数の穴43により鉛直方向に塑性変形可能に形成されている。
穴43は、アンカー側固定部を間において設けられ、下フランジ23の外縁に一端が開口し、他端が下フランジ23の中央に向けて積層ゴム側固定部の近くまで延在するスリット状に形成された平行一対の第一穴43aを有している。
また、穴43は、アンカー側固定部と積層ゴム側固定部との間であって、前記第一穴43aの間、および前記第一穴43aの延長線Lの間に設けられ、第一穴43aに交差する方向に延在するスリット状に形成された第二穴43bを有している。第二穴43bは、第一穴43aの延在方向に沿って少なくとも2つ設けられている。本実施の形態では、第二穴43bは、アンカー側固定部と積層ゴム側固定部との間であって、第一穴43aの間に、第一穴43aと直交する方向に平行に延在し、第一穴43aの延在方向に沿って2つ設けられている。
この穴43により、第一穴43aと第二穴43bとの間の、図3に×印を設けた部分が板バネのごとく塑性変形する部位となる。そして、塑性変形する部位は、第一穴43aおよび第二穴43bに伴って、四辺形に区画されている。本実施の形態では、第二穴43bが、アンカー側固定部と積層ゴム側固定部との間であって、第一穴43aの間に、第一穴43aと直交する方向に平行に延在し、第一穴43aの延在方向に並んで2つ設けられていることから、塑性変形する部位は、第一穴43aの間で、第一穴43aと直交する方向に平行に延在し、第二穴43bの両端側で第一穴43aの延在方向に並んで2つずつ設けられている。そして、塑性変形する部位は、第一穴43aおよび第二穴43bに伴って、長方形(平行四辺形)に区画されている。
なお、穴43の第二穴43bは、下フランジ23に対して貫通していることが塑性変形の変形量を設計するうえで好ましいが、貫通せずに溝穴として形成され、図3の×印に加えて第二穴43b自身が塑性変形する部位となってもよい。
なお、本実施の形態において、免震構造部2は、積層ゴム21に対して上フランジ22を固定する固定ボルト24が、その頭部を上フランジ22の板厚内に形成された凹部に挿入されている。また、免震構造部2は、下フランジ23に変形部4を形成するにあたり、塑性変形するために下フランジ23の板厚が比較的薄く形成されている。このため、積層ゴム21に対して下フランジ23を固定する固定ボルト24が、その頭部を下フランジ23の底面に突出させて設けられている。そして、基礎102側およびベースプレート3側には、この固定ボルト24の頭部を挿入する凹部が形成されている。
図4は、図1に示す免震装置の作用を示す側断面図であり、図5は、図1に示す免震装置の作用を示す側断面図であり、図6は、図1に示す免震装置の作用を示すフランジの一部拡大斜視図である。
上述のように構成された免震装置1は、図4に示すように、地震などにより基礎102に水平方向Aの外力が生じた場合、下フランジ23側は、基礎102に固定されたベースプレート3にシアキー25が嵌合していることで、基礎102と共に水平方向Aに移動する。一方、上フランジ22側は、ほぼ固定された状態となる。この結果、上フランジ22が固定された建物101に対し、水平方向の外力が伝達される事態を抑制できる。
また、免震装置1は、図5に示すように、建物101に対して鉛直方向Bに引き抜き力が生じた場合、上フランジ22側は、建物101に固定されているため、建物101と共に鉛直方向Bに移動する。一方、図5および図6に示すように、下フランジ23側は、ベースプレート3に対しシアキー25が鉛直方向に移動可能に設けられていることから、積層ゴム21を介して鉛直方向Bに引き上げられる。ここで、下フランジ23は、アンカーボルト26で基礎102に固定されているため、アンカーボルト26側(アンカー側固定部)と固定ボルト24側(積層ゴム側固定部)との間の変形部4が塑性変形する。
このように、免震装置1は、引き抜き力により変形部4が塑性変形することで、免震装置1に作用する引き抜き力の上昇を抑えることが可能である。しかも、変形部4は、下フランジ23においてアンカーボルト26側(アンカー側固定部)と固定ボルト24側(積層ゴム側固定部)とに連続していることから、引き抜き力に抗することにもなるため、当該免震装置1に隣接する免震装置に対する引き抜き力を低減することが可能になる。この結果、免震装置1に作用する引き抜き力を低減して他の装置に再配分することで免震装置1の破壊を免れることができる。従って、建物をより長周期化して上部構造のせん断力応答をより低く抑える必要がない。このため、地震応答と風応答に対する安全性を両立させることが可能であり、かつ免震層の降伏せん断力を低く設計する事態を防ぐことから、長周期地震動に対する共振現象を生じ難くすることが可能になる。
図7は、図1に示す免震装置の変形部の数に応じた積層ゴムの引張力の比較図である。図7に示すように、変形部4を下フランジ23に5箇所配置した場合と、下フランジ23に10箇所配置した場合とを比較すると、変形部4を設けた下フランジ23の鉛直方向移動量に対し、5箇所の場合のほうが、10箇所の場合よりも変形部4の塑性変形に伴って積層ゴム21に伝達される引張力が小さい。したがって、変形部4の個数に応じて積層ゴム21に伝達される引張力を制御することができ、この積層ゴム21への引張力に応じて変形部4の個数を設計することで、免震装置に作用する引き抜き力を制御する効果を顕著に得ることが可能になる。
また、変形部4自体において、図3に示すように、穴43を構成する第一穴43aと第二穴43bとの間の距離α、第二穴43b間の距離β、変形部4の塑性変形部分の厚さの少なくとも1つを変更することで、変形部4の剛性や耐力を調整できるので、変形部4の個数を変えたときと同様に、積層ゴム21に伝達される引張力を制御することが可能である。したがって、積層ゴム21への引張力に応じて変形部4の第一穴43aと第二穴43bとの間の距離α、第二穴43b間の距離β、変形部4の塑性変形部分の厚さを設計することで、免震装置に対する引き抜き力を制御する効果を顕著に得ることが可能になる。
ところで、図8および図9は、別の実施の形態に係る免震装置のフランジの一部拡大平面図である。図8に示す免震装置1は、変形部4の穴43が、下フランジ23の外縁に一端が開口し、他端が下フランジ23の中央に向けて積層ゴム側固定部の近くまで延在するスリット状に形成された平行一対の第一穴43aを有している。また、穴43は、アンカー側固定部と積層ゴム側固定部との間であって、前記第一穴43aの間、および前記第一穴43aの延長線Lの間に設けられ、矩形状に形成された第二穴43cを有している。第二穴43cは、1つ設けられている。
この穴43により、第一穴43aと第二穴43cとの間の、図8に×印を設けた部分が板バネのごとく塑性変形する部位となる。そして、塑性変形する部位は、第一穴43aおよび第二穴43cを伴って、四辺形に区画されている。この実施の形態では、第二穴43cが、アンカー側固定部と積層ゴム側固定部との間であって、第一穴43aの間に、第一穴43aと直交する方向と、第一穴43aの延在方向とに縁が延在して矩形状に設けられていることから、塑性変形する部位は、第一穴43aの間で、第一穴43aとの間の第二穴43cの両端側で2つ設けられている。そして、塑性変形する部位は、第一穴43aおよび第二穴43cに伴って、長方形(平行四辺形)に区画されている。
なお、穴43の第二穴43cは、下フランジ23に対して貫通していることが塑性変形の変形量を設計するうえで好ましいが、貫通せずに凹穴として形成され、図8の×印に加えて第二穴43c自身が塑性変形する部位となってもよい。
この図8に示す変形部4であっても、穴43を構成する第一穴43aと第二穴43cとの間の距離α、第二穴43cの開口径β、変形部4の塑性変形部分の厚さの少なくとも1つを変更することで、変形部4の剛性や耐力を調整できるので、変形部4の個数を変えたときと同様に、積層ゴム21に伝達される引張力を制御することが可能である。したがって、積層ゴム21への引張力に応じて変形部4の第一穴43aと第二穴43cとの間の距離α、第二穴43cの開口径β、変形部4の塑性変形部分の厚さを設計することで、免震装置に対する引き抜き力を制御する効果を顕著に得ることが可能になる。
図9に示す免震装置1は、変形部4の穴43が、下フランジ23の外縁に一端が開口し、他端が下フランジ23の中央に向けて積層ゴム側固定部の近くまで延在するスリット状に形成された平行一対の第一穴43aを有している。また、穴43は、アンカー側固定部と積層ゴム側固定部との間であって、前記第一穴43aの間、および前記第一穴43aの延長線Lの間に設けられ、菱形状に形成された第二穴43dを有している。第二穴43dは、1つ設けられている。
この穴43により、第一穴43aと第二穴43dとの間の、図9に×印を設けた部分が板バネのごとく塑性変形する部位となる。菱形の形状が変形部4の距離β方向の曲げモーメント分布に沿うように設定することで、塑性変形する部位を一様に分布させることができる。
なお、穴43の第二穴43dは、下フランジ23に対して貫通していることが塑性変形の変形量を設計するうえで好ましいが、貫通せずに凹穴として形成され、図9の×印に加えて第二穴43d自身が塑性変形する部位となってもよい。
この図9に示す変形部4であっても、穴43を構成する第一穴43aと第二穴43dとの間の距離α、第二穴43dの開口径β、変形部4の塑性変形部分の厚さの少なくとも1つを変更することで、変形部4の剛性や耐力を調整できるので、変形部4の個数を変えたときと同様に、積層ゴム21に伝達される引張力を制御することが可能である。したがって、積層ゴム21への引張力に応じて変形部4の第一穴43aと第二穴43dとの間の距離α、第二穴43dの開口径β、変形部4の塑性変形部分の厚さを設計することで、免震装置に対する引き抜き力を制御する効果を顕著に得ることが可能になる。
このように、上述した実施の形態の免震装置1は、積層ゴム21の上下に当該積層ゴム21の外周に延出される上下フランジ22,23が固定された免震構造部2を有し、上フランジ22が建物101に取り付けられ、下フランジ23が基礎102に取り付けられる免震装置1である。そして、下フランジ23に設けられており、鉛直方向に塑性変形可能に形成された変形部4を備える。
この免震装置1によれば、引き抜き力により変形部4が塑性変形することで、建物101に接続する免震装置1の引き抜き力の上昇を抑えることが可能である。しかも、変形部4は、基礎102に取り付けられる下フランジ23に設けられていることから、下フランジ23が基礎102に取り付けられるアンカーボルト26の部分で引き抜き力に抗することにもなるため、当該免震装置1に隣接する免震装置に対する引き抜き力を低減することが可能になる。この結果、免震装置1に作用する引き抜き力を低減して他の装置に再配分することで免震装置1の破壊を免れることができる。従って、建物をより長周期化して上部構造のせん断力応答をより低く抑える必要がない。このため、地震応答と風応答に対する安全性を両立させることが可能であり、かつ免震層の降伏せん断力を低く設計する事態を防ぐことから、長周期地震動に対する共振現象を生じ難くすることができる。しかも、変形部4が変形することから、引き抜きによる積層ゴム21の引張力を低減するので、引き抜き力による免震装置の損傷を回避することが可能になる。
また、本実施の形態の免震装置1は、変形部4が設けられた下フランジ23側が取り付けられる基礎102に対して固定されたベースプレート3と、このベースプレート3に対して免震構造部2を水平方向に移動不能で鉛直方向にスライド移動可能に嵌合するシアキー25とを備える。
この免震装置1によれば、基礎102に対して免震構造部2を水平方向に移動不能とすることで、基礎102の水平移動を免震構造部2が受けて建物101に伝達しない免震機能を有する。一方、基礎102に対して免震構造部2を鉛直方向にスライド移動可能とすることで、建物101の引き抜きに応じた変形部4の塑性変形を生じさせる機能を有する。これらの機能をシアキー25およびベースプレート3で受け持つことで、下フランジ23の鉛直剛性・耐力を設定できる変形部4を設けることが可能になる。
また、本実施の形態の免震装置1では、変形部4は、下フランジ23が基礎102側に固定されるアンカー側固定部と、下フランジ23が積層ゴム21側に固定される積層ゴム固定部との間に設けられており、複数の穴43により塑性変形可能に形成される。
この免震装置1によれば、基礎102に固定される部位と、積層ゴム21に固定される部位との間に変形部4を設けることで、引き抜きに対応して変形部4を確実に塑性変形させることが可能になる。しかも、複数の穴43により塑性変形されるので、当該穴43の配置や形状や大きさ、または下フランジ23の厚さなどにより、変形部4の塑性変形の剛性や耐力を必要に応じて設定することが可能になる。
上述した実施の形態の免震建物は、上述した免震装置1を建物101と基礎102との間に配置したものである。
引き抜き力は、特に、アスペクト比(高さ/短辺)が大きい(例えば、5.0を超え、6.0に近いアスペクト比)超高層建物(建物101)に生じやすく、この超高層建物に対して適用された免震装置1によれば、超高層免震建物において、地震応答および風応答に対する安全性を両立しつつ、超高層免震建物に生じる引き抜き力を制御する効果を顕著に得ることができる。この結果、免震建物としてさらに超高層化を実現することが可能になる。その他、中低層建物であっても、耐震壁の直下に免震装置がある場合に、当該免震装置に引き抜き力が発生する。また、中低層建物であっても、大きな水平方向の外力によって建物101が擁壁に激突した場合に、この激突箇所を支点として免震装置に引き抜き力が発生する。このように、中低層建物においても、引き抜き力が発生するおそれがあり、中低層建物に適用された免震装置1によれば、中低層建物に生じる引き抜き力を制御することが可能である。この結果、免震建物として中低層建物にも適用することが可能になる。
なお、上述した実施の形態の免震装置1は、基礎102側に固定される下フランジ23に変形部4やベースプレート3を設けているが、建物101側に固定される上フランジ22に変形部4やベースプレート3を設けてもよい。この場合、図1において上下反転した構成となる。このように、上フランジ22側に変形部4を設けても、下フランジ23側に変形部4を設けた場合と同様の効果を得ることが可能である。
以上のように、本発明に係る免震装置および免震建物は、免震装置に生じる引き抜き力を制御することに適している。
1 免震装置
2 免震構造部
21 積層ゴム
22 上フランジ
22a 凹部
23 下フランジ
24 固定ボルト
25 シアキー
26 アンカーボルト
3 ベースプレート
3a 凹部
4 変形部
41 アンカーボルト挿通孔
42 固定ボルト挿通孔
43 穴
43a 第一穴
43b,43c,43d 第二穴
101 建物
102 基礎
2 免震構造部
21 積層ゴム
22 上フランジ
22a 凹部
23 下フランジ
24 固定ボルト
25 シアキー
26 アンカーボルト
3 ベースプレート
3a 凹部
4 変形部
41 アンカーボルト挿通孔
42 固定ボルト挿通孔
43 穴
43a 第一穴
43b,43c,43d 第二穴
101 建物
102 基礎
Claims (4)
- 積層ゴムの上下に当該積層ゴムの外周に延出される上下フランジが固定された免震構造部を有し、前記上フランジが建物に取り付けられ、前記下フランジが基礎に取り付けられる免震装置において、上下フランジのいずれかに設けられており、鉛直方向に塑性変形可能に形成された変形部を備えることを特徴とする免震装置。
- 前記変形部が設けられたフランジが取り付けられる前記基礎または前記建物に対して固定されたベースプレートと、前記ベースプレートに対して前記免震構造部を水平方向に移動不能で鉛直方向にスライド移動可能に嵌合するシアキーとを備えることを特徴とする請求項1に記載の免震装置。
- 前記変形部は、前記フランジが前記基礎側または前記建物側に固定されるアンカー側固定部と、前記フランジが前記積層ゴム側に固定される積層ゴム固定部との間に設けられており、複数の穴により塑性変形可能に形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の免震装置。
- 請求項1〜3のいずれか一つに記載の免震装置を建物と基礎との間に配置したことを特徴とする免震建物。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2010164273A JP2012026491A (ja) | 2010-07-21 | 2010-07-21 | 免震装置および免震建物 |
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JP2010164273A JP2012026491A (ja) | 2010-07-21 | 2010-07-21 | 免震装置および免震建物 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104975664A (zh) * | 2014-04-09 | 2015-10-14 | 株式会社普利司通 | 隔震装置 |
JP2018091001A (ja) * | 2016-12-01 | 2018-06-14 | センクシア株式会社 | ベースプレートおよび鉄骨部を有する柱の柱脚構造 |
JP2020139407A (ja) * | 2019-06-10 | 2020-09-03 | センクシア株式会社 | 柱脚構造 |
-
2010
- 2010-07-21 JP JP2010164273A patent/JP2012026491A/ja active Pending
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CN104975664A (zh) * | 2014-04-09 | 2015-10-14 | 株式会社普利司通 | 隔震装置 |
CN104975664B (zh) * | 2014-04-09 | 2019-10-15 | 株式会社普利司通 | 隔震装置 |
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