JP2012024804A - 液体フラックス - Google Patents

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Abstract

【課題】鋼材切断時に(1)切断面の酸化を抑制し切断面にウスタイト(FeO)主体の良質な酸化物を形成し、切断ドロスが切断面に再溶着しないようにする、(2)液体フラックスの溶解成分が気化装置内に析出しないようにする、(3)気化フラックスが輸送管内に析出しないようにする。
【解決手段】フッ化物と有機ハロゲン化合物を混合してアルコールやアセトンなどの溶媒中に溶解して液体フラックスを生成し気化装置に燃焼ガスを吹き込んで気化フラックスを生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は普通鋼や特殊鋼などの厚板のガス切断や連続鋳造で製造するスラブの切断及びその表面をスカーフィングするときに生じるドロス(バリやノロなど)の付着防止用としてあるいは、各種溶接、銀ロウ、黄銅ロウ、リン銅ロウなどのロウ付け用として用いる気化フラックスの基となる液体フラックスの製造方法や製造装置及び液体フラックスに関するものである。本方法で製造した液体フラックスをプロパン(C3H6)やアセチレン(C2H2)などの燃焼ガス中に気化・混入して切断トーチやロウ付けトーチに導いて切断・溶接・ロウ付けに使用する。溶接やロウ付けについては液体フラックスとしてあらかじめ溶接部やロウ付け部に塗布して使用することも可能である。
ガス切断法は、プロパン(C3H6)やアセチレン(C2H2)などの可燃性ガスを酸素と燃焼酸化反応させて、普通鋼や特殊鋼などの厚板のガス切断や連続鋳造で製造するスラブの切断などに活用されている。ガス切断法は切断速度が速く能率的であり設備も簡単でランニングコストも安価であるなどの利点がある。しかしながら、ガス切断法の最大の欠点は切断溶鉄と酸化反応ドロスが被切断材の下面に付着・成長することである。このような付着物となるドロスは一般にバリやノロと呼ばれ、切断後のドロス除去作業は重労働となっている。従来のガス切断作業におけるドロス除去作業は、人海戦術に頼る場合が多く、切断後に残熱のある鋼材の上に人間が乗って、ハンドグラインダーで切断部の手入れをしているのが実態であり、熱い、汚い、キツイの3K作業となっている。鋼材切断メーカーでは、材料取り・展開・切断などの工程は切断機のNC化等でコンピュータ化されており、非熟練者でも短期間の教育・訓練で対応可能となっている。しかしながら、ドロスの付着防止に関しては鋼種・板厚・温度などの条件に合わせて燃焼ガスや酸素の圧力・流量・切断スピード・切断予熱温度を変化させてドロスが付着しないような切断条件を見極めてこれを自動化するまでには至っていない。さらに、ドロス除去作業の自動化も遅れており、鋼種や切断形状の違いのためロボット化も困難な状況にある。そのため、従来から厚板の切断作業においては、ドロスが付着しないような切断方法が各種提案されている。また、連続鋳造で製造したスラブは表面疵があるため、疵の部分を燃焼ガスと酸素でスカーフィングして除去しているが、除去した後にドロスが再付着する場合がありスラブを薄板に圧延した際の表面疵の原因となっていた。
本発明者は、これまでガス切断のドロス付着防止や溶接、ロウ付けの接合性を向上させるために液体フラックスや液体フラックスを気化装置で気化せしめた気化フラックスを発明した。特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」(特許文献1)において、ロウ付けなどに使用するフラックスを適宜混合して前処理した混合フラックスを、アルコールやアセトンなどの溶媒に8〜25重量%混合して、超臨界装置内において温度300〜400℃、圧力34.3〜44.1MPaで溶解し液体フラックスとし、該液体フラックスに気体を吹き込んで気化させるガス切断用気化フラックスを発明した。特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」(特許文献2)において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに、該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法を発明した。特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」(特許文献3)において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入し電圧を付加するとともにパルス電圧を付加する液体フラックス製造方法を発明した。特開2009−255105号広報「気化装置」(特許文献4)において、液体フラックスを気化せしめて気化フラックスを生成するための気化装置を発明した。
上記発明を用いて製造した液体フラックスや気化フラックスを切断、溶接、ロウ付けに適用することにより、鋼材切断時のドロス低減や母材への再溶着防止、金属類の溶接あるいはロウ付けの接合性能向上を実現できた。特に鋼材切断においては切断面の酸化防止、切断ドロスの融点を降下させることによる切断ドロスの流動性向上、切断ドロスの表面張力低減により切断下面へのドロス付着低減が可能となった。
溶接やロウ付けについては前記発明による液体フラックスや気化フラックスで接合面の強度や形状が改善できたが、大量に酸素を使用する鋼材切断では切断ドロスが大量に発生するため切断ドロスの付着防止は十分でなかった。切断ドロスは酸素によって酸化され酸化の進み具合によってウスタイト(FeO)、ヘマタイト(Fe2O3)、マグネタイト(Fe3O4)となる。ウスタイトは剥離性の良好なドロスであり鋼材切断ではウスタイトが主体となるように制御するのが望ましく、液体フラックスは切断ドロスがウスタイト主体となるように機能している。しかし、鋼材切断においてはアセチレンやプロパンなどの燃焼ガスに大量の酸素を添加するため切断面が酸素過多状態になっており、気化フラックスで切断ドロスをウスタイトにして酸化防止、流動性向上、表面張力低減しても部分的にヘマタイトやマグネタイトに変化するのでドロス付着の低減には限界があった。
また、気化フラックスをハンドリングする際には、(1)液体フラックスを完全に溶解して透明状態にしていても、液体フラックスが気化して気化フラックスになるにつれて、蒸発の遅い溶解成分が気化装置内に濃縮して析出する場合がある、(2)気化フラックスがガス流体として輸送されている間に輸送管内に析出して結晶を作る場合があった。
特開2009−090368号広報 特開2009−297782号広報 特開2010−100441号広報 特開2009−255105号広報
高温酸化の基礎と応用、内田老鶴圃、谷口滋次、黒川一哉著 鉄鋼材料の化学、内田老鶴圃、谷野満、鈴木茂著
本発明が解決しようとする課題は、鋼材切断時に(1)切断面の酸化を抑制し切断面にウスタイト(FeO)主体の良質な酸化物を形成し、切断ドロスが切断面に再溶着しないようにする、(2)液体フラックスの溶解成分が気化装置内に析出しないようにする、(3)気化フラックスが輸送管内に析出しないようにすることである。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、カリウム(K)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、窒素(N)のいずれかを含むフッ化物の中から1種もしくは2種以上を選択し、選択した前記フッ化物に含まれるフッ素(F)含有量が30〜70重量%となるように調合した調合フッ化物をアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解した液体フラックスである。
第2の解決手段は特許請求項2に示すように、前記調合フッ化物と有機ハロゲン化合物をアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解した液体フラックスである。
第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記調合フッ化物は、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、三フッ化ホウ素(BF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、四フッ化珪素(SiF4)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、フッ化アルミナトリウム(液晶石)(Na3ALF6)、フッ化アルミカリウム(カリ永晶石)(K3ALF6)、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)、ケイフッ化ナトリウム(Na2SiF4)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、酸性弗化アンモニウム(NH4HF4)の中から選択して、有機ハロゲン化合物のメチルアミン塩酸塩(CH3NH2HCl)もしくはジエチルアミン塩酸塩((C2H3)NH・HCl)とともにアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解した液体フラックスである。
本発明による効果は、(1)還元元素主体の無機質化合物だけを選択して溶解することで切断ドロス中のマグネタイトやヘマタイトなどの高次の酸化物の生成を抑え、切断ドロスをウスタイト主体の良質な酸化物を形成し、低融点化することで切断スピードの向上と切断ドロスの付着防止を図ることを実現した、(2)3500〜4000℃の高温の切断ガス中でもフラックスとして作用できる化合物を組み合わせることにより切断ドロスの酸化作用を低減した、(3)メチルアミン塩酸塩やジエチルアミン塩酸塩は液体フラックスの溶媒であるメタノールやエタノールなどのアルコール類に対し簡単に溶解するが融点も沸点もこれら溶媒よりも高く蒸発しにくいので、液体フラックスの溶解成分が気化装置内で濃縮するのを防止し析出しないようにしたことである。
本発明による切断イメージ図 従来法による切断イメージ図
本発明の実施形態を図1、図2に基づいて説明する。
第1の解決手段は特許請求項1に示すように、カリウム(K)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(AL)、ケイ素(Si)、窒素(N)のいずれかを含むフッ化物の中から1種もしくは2種以上を選択し、選択した前記フッ化物に含まれるフッ素(F)含有量が30〜70重量%となるように調合した調合フッ化物をアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解した液体フラックスである。
フッ化物(ふっかぶつ、弗化物、fluoride)とはフッ素と他の元素あるいは原子団とから構成される化合物である。フッ素は最大の電気陰性度を持つ元素でありHF3 などごく一部の例外を除き、化合物の中では酸化数が (−1 )とされる特徴を有している。
調合フッ化物中のフッ素の含有量を30〜70重量%にしているのはフッ素の還元性とカリウム(K)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(AL)、ケイ素(Si)、窒素(N)の還元性のバランスがとれるからである。フッ素の含有量が30%以下であるとフッ素の還元性が不足し鋼材切断中にK、B、Naなどとの再結晶化が不足する。フッ素が70%以上になるとフッ素過多となりフッ素が単独で発生するので周辺環境に好ましくない。
液体フラックスは本発明者が発明した方法により生成できる。
特開2009−090368号広報「ガス切断用気化フラックス」(特許文献1)において、ロウ付けなどに使用するフラックスを適宜混合して前処理した混合フラックスを、アルコールやアセトンなどの溶媒に8〜25重量%混合して、超臨界装置内において温度300〜400℃、圧力34.3〜44.1MPaで溶解し液体フラックスとし、該液体フラックスに気体を吹き込んで気化させるガス切断用気化フラックスの発明により液体フラックスと気化フラックスを生成できる。
特開2009−297782号広報「液体フラックスの製造方法及びその装置」(特許文献2)において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、N、O、Si、AL、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールやアセトンなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに、該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法により液体フラックスを生成できる。
特開2010−100441号広報「液体フラックスの製造方法と製造装置及び液体フラックス」(特許文献3)において、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン、B、C、AL、N、O、Si、P、S、Znなどの原子の内、少なくとも2種類以上の原子が結合してできている電解質をアルコールなどの溶媒を入れた容器中で、磁場をかけるとともに該溶媒を回転しながら溶解する液体フラックスの製造方法において、溶媒中に電極を挿入し電圧を付加するとともにパルス電圧を付加する液体フラックス製造方法により液体フラックスを生成できる。
特開2009−255105号広報「気化装置」(特許文献4)において、液体フラックスを気化せしめて気化フラックスを生成するための気化装置により気化フラックスを生成できる。
図2のように、プロパンやアセチレンなどの燃焼ガスと酸素との還元炎反応の場合、840K以上の高温で形成されるFeの酸化物はウスタイト(FeO)、マグネタイト(Fe3O4)、ヘマタイト(Fe2O3)があり、Feが酸化するとそれらの酸化物が層状に形成される。酸化被膜の成長が皮膜を拡散するFeの移動によって律束される場合には、成長速度は方物線則に従い、Feの酸化層の厚さは放物線則の速度定数から計算され、高温では厚さの比はFeO:Fe3O4:Fe2O3=95:5:1と見積もられている。(非特許文献1)。化学式は、(1)2Fe+O2→2FeO、(2)6FeO+O2→2Fe3O4,(3)4Fe3O4+O2→6Fe2O3である。このようにFe表面の酸化膜はウスタイト、マグネタイト、ヘマタイトの順に変化しながら成長し酸化膜表面にはヘマタイトが生成している。鋼材切断のように強力な過剰酸素圧で切断することは鋼材表面にマグネタイトやヘマタイトを生成させることでありこれが切断ドロスの流動性を悪くし、鋼材下面への切断ドロス付着や切断速度低下の原因になっている。
図1のように、気化フラックスに全く酸素を含まないフッ化物を使うことで、還元元素のK、Na、B、Si、Alが火炎の中から連続的に放出されるので、切断ガスや空気中の過剰酸素と反応してB2O3、NaO2、KO2の混ざったホウ酸ガラスの膜をFeO表面に張り付かせるためFe3O4やFe2O3がほとんど生成しない切断が可能となる。また生成した切断ドロスにはSiO2、ALO3が入り込んでおり、2100〜3500℃の耐熱膜でドロス表面を保護することになり、切断ドロスは流動性が向上し鋼材下面への溶着を低減するので切断後の切断ドロス除去作業が容易となる。
σ鉄やα鉄は体心立方格子であり分子間隙間は0.04nmで小さいため侵入型個体は作りにくいが、γ鉄は面心立方格子で分子間隙間は0.11nmで大きいため気化フラックス中の元素が侵入しやすい。フッ素は電気陰性度4、分子半径0.72Åであり、あらゆる元素と結合しやすくγ鉄の中にも水素以上に入り込みやすい。Kの電気陰性度は0.8、分子半径2.27Å、Naの電気陰性度0.9、分子半径1.54Å、Bの電気陰性度2.0、分子半径0.83Åであり、分子半径が比較的大きいためγ鉄の分子間に入ることはできないがFと化合してKF、NaF、BF2を形成しやすい。KF、NaF、BF2、Na3ALF6,K3ALF6は切断炎中で還元元素としてK、Na、B、ALに分解しても切断ドロスの温度降下中に、K+F→KF、Na+F→NaF、B+3F→BF3、Na3ALF6→3NaF+ALF3(融点1040℃、沸点1880℃)と再結晶することで分解熱を放出するため切断ノロをサラサラの状態にして溶着防止をはかる。従来の液体フラックスにはホウ酸(H3BO3)(融点180℃、沸点800℃)が多く使用されているが、鋼材切断の場合は切断炎温度が3500〜4000℃になるのでホウ酸では耐熱的に耐えられない。気化フラックス中のKやNaは切断火口を出たとたんに燃えるものもあるが切断炎の外周は空気により強制的に対流冷却されるのでKF(融点860℃、沸点1505℃)、NaF(融点995℃、沸点1705℃)などに分子化しこの時に分解熱を放出するため切断ドロスを低融点化し流動性を向上させる。
従来のように気化フラックス(液体フラックスを気化させたもの)にフッ化物だけでなく酸化物を加えた場合でも、鋼材切断においては切断ドロスの酸化率が抑えられるので切断ドロスはウスタイト主体となることから、気化フラックスを使用しない切断に比べると切断速度は20%向上、酸素消費量は25%削減、切断幅は20%細幅にできた。しかしながら、従来の気化フラックスは大量の酸化物を含んでおり、この酸化物には重量比で45〜55%の酸素が含まれている。この酸化物に含まれる酸素のために気化フラックスは激しい高温酸化作用がありウスタイトの一部をヘマタイトやマグネタイトにしてしまっていた。気化フラックスに含まれるカリウム(K)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(AL)、フッ素(F)などの還元元素の働きを打ち消してしまう作用をしていた。Na、K、Ca、ALは溶融部の酸化防止に効果があり、F、Bは溶融部の流動性を向上させ表面張力を低下する作用がある。
従って、切断用の気化フラックス(液体フラックスが気化したもの)の成分としては、従来の液体フラックスに含まれていた酸化物をカリウム(K)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(AL)、フッ素(F)などの還元性を有する元素で構成されるフッ化物と置き換える必要がある。ハロゲン元素であるフッ素は陰性が大きくあらゆるものと反応しやすく、高温切断時は塩浴状態となり還元作用を生じるのでウスタイトがヘマタイトやマグネタイトに酸化されるのを抑制する。本発明では切断ドロスの酸化率を抑えるために液体フラックスに酸化物を全く含まず、しかも還元元素主体の無機質化合物の中からフッ化物だけを選択して溶解することでマグネタイトやヘマタイトなどの高次の酸化物の生成を抑え、低融点化することで切断スピードの向上と切断ドロスの溶着防止、切断幅の縮小化を図ることを実現した。
従来の液体フラックスの主成分は大別してフッ化物と酸化物である。フッ化物としてはフッ化水素カリウム(KHF2)、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化アルミナトリウム(Na3ALF6)、フッ化アルミカリウム(K3ALF6)、フッ化ホウ素(BF2)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化水素(HBF2)などである。酸化物としてはホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B2O3)、ホウ砂(Na2B4O7)、ホウ酸カリウム(K2B4O7)、酸化カリウム(K2O)、酸化ナトリウム(Na2O)、五酸化リン(P2O5)などである。液体フラックスに燃焼ガスを吹き込んで気化フラックスにする場合は、液体フラックス中の蒸発しやすい成分から先に燃焼ガスとともに出ていくので蒸発しにくい酸化物は残存し濃縮して未反応物が再結晶するので白く濁っていた。特に五酸化リンは白濁の最大の原因であった。本発明では酸化物を含まないフッ化物だけの液体フラックスを生成することにより切断ドロスの付着防止と液体フラックス中の溶解成分の析出を防止した。
第2の解決手段は、前記調合フッ化物と有機ハロゲン化合物をアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解した液体フラックスである。
有機ハロゲン化合物はアルコール類やアセトンに対し簡単に溶解するが融点も沸点もこれら溶媒よりも高く蒸発しにくい。液体フラックスに燃焼ガスを吹き込んで気化フラックスを生成する場合、アルコールやアセトンが気化しても有機ハロゲン化合物は残留するので液体フラックスの溶解成分が濃縮しにくくなる。従って、液体フラックス中に溶解成分が析出して白く濁ることはない。また、酸化物を使用していないので気化フラックスを輸送する配管内に気化フラックス中の成分が析出することもない。
第3の解決手段は、前記調合フッ化物は、第3の解決手段は特許請求項3に示すように、前記調合フッ化物は、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、三フッ化ホウ素(BF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、四フッ化珪素(SiF4)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、フッ化アルミナトリウム(Na3ALF6)、フッ化アルミカリウム(K3ALF6)、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)、ケイフッ化ナトリウム(Na2SiF4)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、酸性弗化アンモニウム(NH4HF4)の中から選択して、有機ハロゲン化合物のメチルアミン塩酸塩(CH3NH2HCl)もしくはジエチルアミン塩酸塩((C2H3)NH・HCl)とともにアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解した液体フラックスである。
還元元素としてはカリウム(K)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、カルシウム(Ca)、アルミニウム(AL)などがあるが、これら元素と結びついたフッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、三フッ化ホウ素(BF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、フッ化アルミニウム(ALF3)は切断ドロスが高融点のため気化フラックスとして機能する温度範囲を超えてしまい還元作用は困難となる。そのため、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)、フッ化アルミナトリウム(Na3ALF6)、フッ化アルミカリウム(K3ALF6)などの無機質化合物であるフッ化物を組み合わせることにより還元性の高い液体フラックスを生成できる。
ケイフッ化カリウム(K2SiF6)は分解して(KF+SiF)となる。KHFは分解して(KF+HF)となる。フッ化アルミナトリウム(Na3ALF6)は分解して(3NaF+ALF3)となる。フッ化アルミカリウム(K3ALF6)は分解して(3KF+ALF3)となる。フッ化物は分解することで切断ドロスの融点を下げ、切断中にまた再結晶して元に戻る。分解化合熱を出し、分解結合熱を吸収することで切断ドロスの凝固を防ぎ流動性をよくする。このように切断中の主力となる還元炎を作るB、K、Na、AL、Caに強力な電気陰性度の高いフッ素を付加することで切断炎中にフッ化カリウム(KF)(融点860℃、沸点1505℃)、フッ化ナトリウム(NaF)(融点995℃、沸点1705℃)、三フッ化ホウ素(BF3)(融点−126℃、沸点−100.3℃)、三フッ化アルミニウム(ALF3)(融点1040℃、沸点1880℃)、フッ化カルシウム(融点1402℃、沸点2500℃)が生成することにより切断面の清浄作用とともに、切断ドロスの融点低下と流動性向上作用によりドロスの付着を防止する。
フッ化物とメチルアミン塩酸塩やジエチルアミン塩酸塩などの有機ハロゲン類を組み合わせることにより、液体フラックスを気化させて気化フラックスにする場合に液体フラックスに溶解成分が濃縮するのを抑制できるので析出を防止できる。メチルアミン塩酸塩(CH3NH2HCl)は融点170〜173℃、沸点225〜226℃である。ジエチルアミン塩酸塩((C2H3)NH・HCl)は融点223〜225℃、沸点320〜330℃である。メチルアミン塩酸塩やジエチルアミン塩酸塩は液体フラックスの溶媒であるメタノールやエタノールなどのアルコール類に対し簡単に溶解するが融点も沸点もこれら溶媒よりも高く蒸発しにくい。液体フラックスに燃焼ガスを吹き込んで気化フラックスを生成する場合、アルコールやアセトンが気化してもメチルアミン塩酸塩やジエチルアミン塩酸塩は残留するので液体フラックスの溶解成分が濃縮しにくくなり、かつ、ハロゲンの塩素(Cl)が塩化物を作る。従って、液体フラックス中に溶解成分が析出して白く濁ることはない。また、酸化物を使用していないので気化フラックスを輸送する配管内に気化フラックス中の成分が析出することもない。
KBF4とNaBF4のフッ化物300グラムを調合して調合フッ化物とし、重量比でK:15.53%、Na:10.47%、B:9.2%、F:64.79%となるようにした。このフッ化物を特開2010−100441号広報による方法でエタノール700グラムに溶解して30%濃度の液体フラックスを生成した。特開2009−255105号広報による気化装置にC3H6を吹き込んで液体フラックスを気化せしめて気化フラックスを生成して鋼材切断したところ切断ドロスが付着することなく切断できた。
KBF4とNaBF4のフッ化物300グラムを調合して調合フッ化物とし、重量比でK:15.53%、Na:10.47%、B:9.2%、F:64.79%となるようにした。このフッ化物とジエチルアミン塩酸塩((C2H3)NH・HCl)溶液350を混合した後、特開2010−100441号広報による方法でエタノール350グラムに溶解して30%濃度の液体フラックスを生成した。この液体フラックスを特開2009−255105号広報による気化装置にC3H6を吹き込んで液体フラックスを気化せしめて気化フラックスを生成して鋼材切断したところ切断ドロスはほとんど付着することなく切断できた。
(KBF4)と(NaBF4)と(3NaFALF3)と(Na2SiF6)と(3KFALF3)のフッ化物300gを調合し調合フッ化物とし、重量比でK:14.61%、Na:14.67%、B:6.94%、Si:0.879%、AL:2.771%、F:60.13%と成るようにした。SiとALは切断中高圧酸化結合し、SiO2、AL2O3となって耐熱性の高い酸化物を作り下面降下中の切断溶鉄とFeO、FeO3、Fe3O4の酸化物の附着を防止する。KとNaをほぼ同数とする事で、K2OやNa2Oとなる事で切断溶鉄350℃〜1275℃の温度範囲を幅広く還元炎として守る為、還元元素Bの機能を代替えする。Fは清浄作用と分子間結合力を切断する為分子解離熱を対流炎柱内で瞬時にすることで下面ドロス附着を防止する力が強くなった。

Claims (3)

  1. カリウム(K)、ホウ素(B)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si)、アルミニウム(AL)、窒素(N)のいずれかを含むフッ化物の中から1種もしくは2種以上の前記フッ化物を選択し、フッ素(F)含有量が30〜70重量%となるように調合した調合フッ化物をアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解したことを特徴とする液体フラックス。
  2. 前記調合フッ化物と有機ハロゲン化合物をアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解したことを特徴とする請求項1記載の液体フラックス。
  3. 前記調合フッ化物は、フッ化カリウム(KF)、フッ化ナトリウム(NaF)、三フッ化ホウ素(BF3)、フッ化カルシウム(CaF2)、四フッ化珪素(SiF4)、ホウフッ化カリウム(KBF4)、ホウフッ化ナトリウム(NaBF4)、ホウフッ化アンモニウム(NH4BF4)、テトラフルオロホウ酸(HBF4)、ケイフッ化カリウム(K2SiF6)、ヘキサフルオロケイ酸(H2SiF6)、ケイフッ化ナトリウム(Na2SiF4)、酸性フッ化カリウム(KHF2)、フッ化水素ナトリウム(NaHF2)、フッ化アルミナトリウム(液晶石)Na3ALF6、フッ化アルミカリウム(カリ永晶石)K3ALF6、酸性フッ化アンモニウム(NH4HF4)の中から選択して、有機ハロゲン化合物のメチルアミン塩酸塩(CH3NH2HCl)もしくはジエチルアミン塩酸塩((C2H3)NH・HCl)とともにアルコールもしくはアセトンなどの溶媒に溶解したものであることを特徴とする請求項1及び請求項2記載の液体フラックス。
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