JP2012022832A - 導電膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性金属部に含まれるバインダーを効率よく除去することができ、金属配線部自体の導電性、導電性金属部の支持体への密着性等を向上することができる導電膜の製造方法を提供する。
【解決手段】支持体上に導電性物質とバインダーとを含有する導電性金属部を形成して導電膜前駆体を作製する前駆体作製工程(ステップS1)と、導電性金属部に電流を流す通電処理工程(ステップS2)と、通電処理後の導電膜前駆体を、バインダー溶解液に浸漬するバインダー溶解工程(ステップS3)とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、導電性を向上させた導電膜の製造方法に関し、例えば透光性を有する導電膜を作製する際に好適な導電膜の製造方法に関する。
近時、各種表示装置の透光性電磁波シールド膜、各種電子デバイスの透明電極、透明面状発熱体等として有用な導電膜として、金属等の導電層の細線を透明基板上にメッシュパターン状に形成したものが知られており、その製造方法として、例えば透明基材表面に設けたハロゲン化銀感光層をパターン状に露光・現像してパターン状に金属銀を形成し、これにめっきを施しパターン状の導電層を形成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
また、従来は、導電性金属部(例えば、金属微粒子部)を有する被めっき材料にめっき処理を施して導電層を形成する導電性材料の製造方法において、めっき処理の前段階に、めっき物質を含まない電解液中で導電性金属部をカソードとして通電することで、導電性金属部を活性化させ、その後のめっき性能を向上させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−221564号公報 特開2008−266779号公報
しかしながら、特許文献2の通電処理は、あくまでもその後に行われるめっき処理において、導電性金属部へのめっき性能を向上させることを目的としており、導電性金属部自体の導電性、導電性金属部の支持体への密着性等については考慮されていない。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、導電性金属部に含まれるバインダーを効率よく除去することができ、金属配線部自体の導電性、導電性金属部の支持体への密着性等を向上することができる導電膜の製造方法を提供することを目的とする。
[1] 本発明に係る導電膜の製造方法は、支持体上に導電性物質とバインダーとを含有する導電性金属部を形成して導電膜前駆体を作製する工程と、前記導電性金属部に電流を流して該導電性金属部に熱を付与する通電処理工程と、通電処理後の前記導電膜前駆体をバインダー溶解液に浸漬するバインダー溶解工程とを有することを特徴とする。
[2] 本発明において、通電時における電流密度が0.1〜1000A/dmであることを特徴とする。
[3] 本発明において、通電時における電流密度が11〜100A/dmであることを特徴とする。
[4] 本発明において、前記バインダー溶解液がKOH又はNaOHを1.0〜20.0重量%含有していることを特徴とする。
[5] 本発明において、前記バインダー溶解液がタンパク質分解酵素を0.001〜10.000重量%含有していることを特徴とする。
[6] 本発明において、前記バインダー溶解液の温度が25℃〜40℃であることを特徴とする。
[7] 本発明において、前記通電処理工程は、前記導電膜前駆体の導電性金属部に接触して給電する給電ローラと、前記給電ローラより前記導電膜前駆体の搬送方向下流側に配置され、前記導電性金属部を前記バインダー溶解液内で通電処理する通電処理槽とを備えた通電処理装置を使用し、前記導電膜前駆体と前記給電ローラとの接触点から前記バインダー溶解液の液面までの距離Laは、5cm<La≦30cmを満足することを特徴とする。
[8] 本発明において、作製される導電膜の前記導電性金属部は、めっき層を有さないことを特徴とする。
[9] 作製される導電膜の前記導電性金属部の線幅は、設計時の線幅よりも最大で1μm細いことを特徴とする。
以上説明したように、本発明に係る導電膜の製造方法によれば、導電性金属部に含まれるバインダーを効率よく除去することができ、金属配線部自体の導電性、導電性金属部の支持体への密着性等を向上することができる。
本実施の形態に係る導電膜の製造方法を示すフローチャートである。 本実施の形態に係る導電膜の製造方法にて作製される導電膜を一部省略して示す断面図である。 図3A〜図3Dは銀塩感光層を用いた前駆体作製工程での処理を示す工程図である。 印刷を用いた前駆体作製工程での処理を示す工程図である。 通電処理工程で使用される通電処理装置の一例を示す構成図である。
以下、本発明の導電膜の製造方法について説明する。本発明の製造方法にて製造された導電膜は、車両のデフロスタ(霜取り装置)、窓ガラス等の一部として使用可能で、電流を流すことで発熱し発熱シートとしても機能し、また、タッチパネル用電極、無機EL素子、有機EL素子あるいは太陽電池の電極、又はプリント基板としても使用することができる。なお、本明細書において数値範囲を示す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
先ず、本実施の形態の導電膜の製造方法は、図1に示すように、支持体上に導電性物質とバインダーとを含有する導電性金属部を形成して導電膜前駆体を作製する前駆体作製工程(ステップS1)と、導電性金属部に電流を流す通電処理工程(ステップS2)と、通電処理後の導電膜前駆体を、バインダー溶解液に浸漬するバインダー溶解工程(ステップS3)とを有する。
この製造方法で作製される導電膜10は、例えば図2に示すように、支持体12上に形成された導電性金属部14による導電部16と、導電性金属部14が形成されていない部分、すなわち、光が透過する開口部18とを有する。
ここで、前駆体作製工程について、図3A〜図3D及び図4を参照しながら説明する。
先ず、図3Aに示すように、ハロゲン化銀20(例えば臭化銀粒子、塩臭化銀粒子や沃臭化銀粒子)を水溶性バインダーの一種であるゼラチン22に混ぜてなる銀塩感光層24を支持体12上に塗布して感光材料を得る。なお、図3A〜図3Cでは、ハロゲン化銀20を「粒々」として表記してあるが、あくまでも本発明の理解を助けるために誇張して示したものであって、大きさや濃度等を示したものではない。
その後、図3Bに示すように、銀塩感光層24に対して導電性金属部14の形成に必要な露光を行う。すなわち、所定の露光パターンに対応したマスクパターンを介して光を銀塩感光層24に照射する。あるいは、銀塩感光層24に対するデジタル書込み露光によって、銀塩感光層24に、所定の露光パターンを露光する。ハロゲン化銀20は、光エネルギーを受けると感光して「潜像」と称される肉眼では観察できない微小な銀核を生成する。
その後、潜像を肉眼で観察できる可視化された画像に増幅するために、図3Cに示すように、現像処理を行う。具体的には、潜像が形成された銀塩感光層24を現像液(アルカリ性溶液と酸性溶液のどちらもあるが通常はアルカリ性溶液が多い)にて現像処理する。この現像処理とは、ハロゲン化銀粒子ないし現像液から供給された銀イオンが現像液中の現像主薬と呼ばれる還元剤により潜像銀核を触媒核として金属銀に還元されて、その結果として潜像銀核が増幅されて可視化された銀画像(現像銀26)を形成する。
現像処理を終えたあとに銀塩感光層24中には光に感光できるハロゲン化銀20が残存するのでこれを除去するために図3Dに示すように定着処理液(酸性溶液とアルカリ性溶液のどちらもあるが通常は酸性溶液が多い)により定着を行う。
この定着処理を行うことによって、露光された部位には導電性金属部14が形成され、露光されていない部位(後に開口部18となる部分)にはゼラチン22のみが残存することとなる。この段階で導電膜前駆体30が作製される。
ハロゲン化銀20として臭化銀を用い、チオ硫酸塩で定着処理した場合の定着処理の反応式は以下の通りである。
AgBr(固体)+2個のSイオン → Ag(S
(易水溶性錯体)
すなわち、2個のチオ硫酸イオンSとゼラチン22中の銀イオン(AgBrからの銀イオン)が、チオ硫酸銀錯体を生成する。チオ硫酸銀錯体は水溶性が高いのでゼラチン22中から溶出されることになる。その結果、現像銀26が導電性金属部14として定着されて残ることになる。
従って、現像工程は、潜像に対し還元剤を反応させて現像銀26を析出させる工程であり、定着工程は、現像銀26にならなかったハロゲン化銀20を水に溶出させる工程である。詳細は、T.H.James, The Theory of the Photographic Process, 4th ed., Macmillian Publishing Co.,Inc, NY,Chapter15, pp.438−442. 1977を参照されたい。
なお、現像処理は多くの場合アルカリ性溶液で行われることから、現像処理工程から定着処理工程に入る際に、現像処理にて付着したアルカリ溶液が定着処理溶液(多くの場合は酸性溶液である)に持ち込まれるため、定着処理液の活性が変わるといった問題がある。また、現像処理槽を出た後、膜に残留した現像液により意図しない現像反応がさらに進行する懸念もある。そこで、現像処理後で、定着処理工程に入る前に、酢酸(酢)溶液等の停止液で銀塩感光層24を中和もしくは酸性化することが好ましい。
図3A〜図3Dの例では、支持体12上に感光性ハロゲン化銀塩を含有する銀塩感光層24が形成された感光材料を露光し、現像処理を施すことによって、導電膜前駆体30を作製した例を示したが、その他、図4に示すように、印刷によって支持体12上に導電性金属部14が形成された導電膜前駆体30を作製してもよい。すなわち、支持体12は、支持体本体12aと、該支持体本体12aの上部に形成されたインク受容層12bとを有し、このインク受容層12b上に、導電性物質とバインダーとを含有する導電ペースト32(導電性金属部14)を印刷にて形成することで導電膜前駆体30が作製される。印刷方式は、スクリーン印刷、グラビア印刷等を好ましく採用することができる。
そして、上述した前駆体作製工程(ステップS1)において、バインダーは、支持体12上に導電性金属部14を形成するのに必要であるが、導電性物質同士の結合を阻害し、導電性を低下させる一因となっていた。また、図3A〜図3Dに示すように、バインダーとしてゼラチン22を用いた場合には、経時により黄変・変色してしまい、透明性の低下を引き起こすという問題があった。
そこで、この第1製造方法では、ステップS2において、導電性金属部14に電流を流す通電処理を行い、ステップS3において、通電処理後の導電膜前駆体を、バインダー溶解液に浸漬する処理を行うようにしている。
通電処理で使用される通電処理装置40は、例えば図5に示すように、導電膜前駆体30の導電性金属部14に接触しながら給電を行う給電ローラ42を有する。導電膜前駆体30を挟んで給電ローラ42と対向する位置には、導電膜前駆体30の導電性金属部14を給電ローラ42に押圧する弾性ローラ44が給電ローラ42に対してほぼ水平方向に配設されている。
弾性ローラ44は、回転可能に支持されたシャフト46と、表面の弾性体層48とを備えている。弾性体層48としてウレタンゴム等が用いられる。シャフト46の両端部には、シャフト46の回転を阻害しないように押圧装置50が配設されている。押圧装置50には、筐体52の内部にバネ材54が配設されており、バネ材54がシャフト46に当接する当接部材56をシャフト46側に押圧している。また、バネ材54の背面側には、筐体52に設けられた調整ねじ58が当接しており、この調整ねじ58の螺合位置を調整することで、導電膜前駆体30を給電ローラ42に押圧する押圧力が調整されるようになっている。
また、通電処理装置40は、給電ローラ42よりも導電膜前駆体30の搬送方向下流側に、バインダー溶解液60で満たされた通電処理槽62を備えている。
本実施の形態で用いられるバインダー溶解液60に含まれるバインダー溶解剤としては、酸、アルカリ及び蛋白分解酸素等が用いられる。好ましい酸としては、硫酸、硝酸、塩酸等の強酸が挙げられる。好ましいアルカリとしては、NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物、Ca(OH)等のアルカリ土類金属の水酸化物、NHOH等が挙げられる。
好ましいアルカリとしてNaOHを用いる場合の濃度としては、1.0〜20.0重量%の範囲が望ましく、より好ましくは2.0〜10.0重量%、さらに好ましくは4.0〜8.0重量%である。また、好ましいアルカリとしてKOHを用いる場合の濃度としては、1.0〜20.0重量%の範囲が望ましく、より好ましくは2.8〜14.0重量%、さらに好ましくは5.6〜11.2重量%である。
また、バインダーの溶解速度を高めるためは、アルカリを含有する溶液の温度を高めておくことが望ましい。ただ、導電膜前駆体30のうち、導電性金属部14以外の部分のバインダー(例えばゼラチン)を除去すると、導電性金属部14の支持体12に対する密着性が著しく低下するため、導電性金属部14以外の部分のバインダーが除去されない程度の温度に設定することが好ましく、この場合、25℃〜40℃にすることが好ましい。
バインダー溶解剤として、より好ましくはタンパク分解酵素であり、好ましいバインダーであるゼラチンを分解する機能がある。ただし、ゼラチンは分解されやすいタンパク質であって、普通のタンパク分解酵素であれば、ゼラチンを分解することができる。動物性酵素、植物性酵素及び微生物性酵素の何れも利用できる。動物性酵素の例には、ペプシン、トリプシン及びキモトリプシンが含まれる。植物性酵素の例には、フィシン及びパパインが含まれる。市販のタンパク分解酵素には、微生物性酵素が多く利用されている。市販のタンパク分解酵素としては、タカミネHTTM(Miles Laboratory社製)、ビオプラーゼPN−4TM(ナガセ生化学工業(株)製)やプロナーゼTM(Calbiochem−Novabiochem社製)が用いられる。
ゼラチンの分解に用いるタンパク分解酵素については、特公昭45−36205号公報、特開昭52−97738号公報、リサーチ・ディスクロージャー誌、No.15025、英国特許第1179769号、同1354186号、米国特許第3515551号、同3565618号、同3620737号及び同382178号の各明細書に記載がある。二種類以上のタンパク分解酵素を併用してもよい。水性溶出液中のタンパク分解酵素の濃度は、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.002〜5重量%であることがさらに好ましい。水性溶出液のpHは、使用するタンパク分解酵素の至適pHに調整することが好ましい。しかし、本発明の目的達成においては酸であっても、アルカリであっても良いことはもとよりである。
通電処理装置40では、給電ローラ42に接触させた導電膜前駆体30の導電性金属部14を通電処理槽62のバインダー溶解液60中で液中ローラ64により搬送する。通電処理槽62内のバインダー溶解液60中には、アノード電極66が配設されており、給電ローラ42をカソード電極として、直流電源68により給電する。これによって、導電膜前駆体30の導電性金属部14に対する通電処理が行われる。すなわち、この通電処理により、導電膜前駆体30をバインダー溶解液60に浸漬させる直前に、導電性金属部14に熱を付与することができる。導電性金属部14に熱が付与されることによって、導電膜前駆体30をバインダー溶解液60に浸漬した際に、導電性金属部14中のバインダーを効率よく溶解させて、除去することができる。
給電ローラ42は金属電極を設けていることが好ましい。また、給電ローラ42の直径は1cm以上20cm以下であることが好ましく、2cm以上10cm以下であることが特に好ましい。また、導電膜前駆体30と給電ローラ42との接触点からバインダー溶解液60の液面までの距離Laは、1〜30cmが好ましく、より好ましくは5〜10cmである。距離Laが短かすぎると、給電ローラ42がバインダー溶解液60の液面に接触して、給電ローラ42とアノード電極66とが短絡するおそれがあり、距離Laが長すぎると、導電性金属部14が冷めてしまい、通電処理の効果が得られなくなる。
給電ローラ42は、材質をSUS316、SUS316J1、SUS317、もしくはSUS317Lとしたもの、又はこれらの材質表面に銅材を被覆したものを用いている。また、給電ローラ42は、表面が放電加工されている。給電ローラ42の表面粗さRyは5μm以上、30μm未満が好ましく、10〜25μm未満がより好ましい。また、表面粗さRaは0.5〜5μmが好ましく、1〜2.5μmがより好ましい。ここで、Ry、Raは、JIS B 0601−1994に規定される表面粗さである。上記の表面粗さRy、Raの測定は、ミツトヨ製SJ−400で行った。
弾性ローラ44の弾性体層48は、硬度が10〜70度、肉厚が約5mmの導電性ゴムからなる。弾性体層48の硬度は、高分子計器株式会社製 ASKER C型で測定した。
弾性ローラ44のバネ材54の背面側に取り付けられた調整ねじ58の螺合位置を調整することで、導電膜前駆体30を給電ローラ42に押圧する圧力を所定の値に設定することができる。給電ローラ42と弾性ローラ44とのニップ部の圧力は、0.2〜0.6MPaが好ましく、0.3〜0.5MPaがより好ましい。この圧力は、ツーシートタイプの極超低圧用の富士プレスケール(富士フイルム株式会社製)を用いて測定した。
弾性ローラ44を給電ローラ42側に押圧することで、導電膜前駆体30と給電ローラ42とをほぼ均一に接触させることができる。給電ローラ42と弾性ローラ44とのニップ部の圧力が0.2MPaより小さいと、導電膜前駆体30と給電ローラ42とをほぼ均一に接触させることが困難となる。また、ニップ部の圧力が0.6MPaより大きいと、給電ローラ42と弾性ローラ44との間の導電膜前駆体30の搬送抵抗が大きくなり、導電膜前駆体30を安定して搬送させることが困難となる。
さらに、通電処理装置40は、導電膜前駆体30に付着した処理後のバインダー溶解液60等を洗浄するため、洗浄装置を有していてもよい。
通電時における電流密度は、小さすぎるとバインダーの除去効果が得られず、大きすぎると支持体12がフイルムであった場合に熱が蓄積されて溶融するおそれがあるため、0.1〜1000A/dmであることが好ましい。ただ、上述した特許文献2と異なり、通電処理によって導電性金属部14に熱を付与することで、導電性金属部14中のバインダーのみを効率よく溶解させる必要から、特許文献2にて設定された電流密度よりも高く設定することが好ましい。従って、通電時の電流密度としては、11A/dm以上、100A/dm以下が好ましい。
また、この製造方法においては、支持体12として、後述の感光材料用支持体と同様のものが使用できるが、プラスチックフイルム(熱可塑性樹脂フイルム)、プラスチック板、ガラス板等を用いることができる。この中でも、透明性を有するもの、例えば、透明フレキシブル支持体が好ましい。なお、支持体12の膜厚は、フレキシブル性の観点から200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
導電性物質としては、銅、銀、アルミニウム、インジウムスズ酸化物(ITO)等を用いることができ、特に、銀が好ましい。また、粒子径は500μm以下であればよく、300μm以下がより好ましい。また、ナノサイズの導電性金属微粒子を用いた場合には、湿熱処理工程での導電性向上の効果が特に優れる。導電性物質の具体例としては銀ペースト(ナノサイズの導電性金属微粒子を用いた場合には銀ナノペースト)等が挙げられる。銀ペーストは、所定の粒子径の銀粒子を樹脂バインダー等の適当な溶媒に分散させて得られる導電性の糊状物質(ペースト)であり、試料の取り付けや導電処理等に用いられている。市販品としては、例えば、ペルトロンK−3424LB(商品名、ペルノックス株式会社製)等が挙げられる。また、銀ナノペーストを用いる場合、導電性物質粒子の形状は、粒状、針状等が挙げられる。また、その大きさは、球換算径で表した平均粒径が、好ましくは25μm以下であり、より好ましく1000nm以下である。なお、下限値は10nm以上である。
バインダーとしては、後述のものを用いることができる。バインダーは水溶性ポリマーが好ましい。バインダー使用量は、導電性物質/バインダー体積比率が1/4以上であることが好ましく、1/1以上であることがより好ましい。
導電性金属部14の体積抵抗は、導電性金属部14における導電性物質の密度をA、導電性金属部14におけるバインダーの密度をB、導電性金属部14の体積抵抗をCとしたとき、下記式(1)を満足することが好ましい。
Figure 2012022832
ここで、導電性物質の密度及びバインダーの密度は、塗布での銀及びゼラチン、カラギナン量の添加量から求めることができる。また、導電性金属部14の体積抵抗は、表面抵抗及び膜厚から、(表面抵抗)×(膜厚)によって求めることができる。表面抵抗は抵抗測定器によって、膜厚は断面SEM(走査型電子顕微鏡)によって測定することができる。この特性を有する導電膜10は、第1製造方法によって得られ、例えば、現像後は粒子状であった導電性金属が、湿熱処理によって導電性金属が融着して得られる。
導電性物質とバインダーとからなる導電性金属部14を形成する方法としては、上述した感光材料を用いる方法のほかに、貼り合わせ等がある。ここで、貼り合わせとは、網目状の金属及び/又は合金の細線構造部と、透明導電膜を形成した透明フイルムとを別々に形成して重ね合わせることで、導電膜10を形成することをいう。すなわち、金属及び/又は合金の細線構造部と透明導電膜を貼り合わせてもよい。
〔その他の好ましい態様:感光材料の露光・現像〕
以下に、図3A〜図3Dにて示したように、支持体12上に感光性銀塩と水溶性バインダーとを含有する銀塩感光層24を有する感光材料を露光し、現像することによって、支持体12上に導電性金属部14を形成する場合の各材料の好ましい態様を説明する。
〈感光材料〉
[支持体12]
本実施の形態に係る製造方法に用いられる感光材料の支持体12としては、プラスチックフイルム、プラスチック板及びガラス板等を用いることができる。
上記プラスチックフイルム及びプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等を用いることができる。
プラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フイルムとして用いることも可能である。また、アルミ等の金属箔ベースを用いることもできる。
支持体12としては、PET(258℃)、PEN(269℃)、PE(135℃)、PP(163℃)、ポリスチレン(230℃)、ポリ塩化ビニル(180℃)、ポリ塩化ビニリデン(212℃)やTAC(290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフイルム又はプラスチック板が好ましく、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。
導電膜10を透明導電性フイルムに使用する場合は、透明性が要求されるため、支持体12の透明性は高いことが好ましい。この場合におけるプラスチックフイルム又はプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは82〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本実施の形態では、プラスチックフイルム及びプラスチック板として着色したものを用いることもできる。
本実施の形態におけるプラスチックフイルム及びプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フイルムとして用いることも可能である。
本実施の形態における支持体12としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイ用導電性フイルムの用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、且つ、端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
[銀塩感光層24(乳剤層)]
第1製造方法〜第4製造方法に用いられる感光材料は、支持体12上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む銀塩感光層24(乳剤層)を有する。銀塩感光層24は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料等の添加剤を含有することができる。
また、好ましくは、銀塩感光層24は実質的に最上層に配置されている。ここで、「銀塩感光層24が実質的に最上層である」とは、銀塩感光層24が実際に最上層に配置されている場合のみならず、銀塩感光層24の上に設けられた層の総膜厚が0.5μm以下であることを意味する。銀塩感光層24の上に設けられた層の総膜厚は、好ましくは0.2μm以下である。
以下、銀塩感光層24に含まれる各成分について説明する。
<染料>
感光材料には、少なくとも銀塩感光層24に染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で銀塩感光層24に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本実施の形態に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
このほか、現像又は定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料及びアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料及び同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物および特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料及びアゾ染料が挙げられる。中でも、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料及びベンジリデン染料が有用である。水溶性染料の具体例としては、英国特許第584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許第2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
銀塩感光層24中における染料の含有量は、イラジエーション防止等の効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
<銀塩>
本実施の形態で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀等の無機銀塩及び酢酸銀等の有機銀塩が挙げられる。本実施の形態においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀20を用いることが好ましい。この場合、ハロゲン化銀20に関する銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本実施の形態においても用いることができる。
ハロゲン化銀20に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀20が好ましく用いられ、さらに臭化銀や塩化銀を主体としたハロゲン化銀20が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。ここで、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀20」とは、ハロゲン化銀20の組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
なお、ハロゲン化銀乳剤における沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1.5mol%を超えない範囲であることが好ましい。沃化銀含有率を1.5mol%を超えない範囲とすることにより、カブリを防止し、圧力性を改善することができる。より好ましい沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1mol%以下である。
ハロゲン化銀20は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成される導電性金属部14による導電部16の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀20の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状等)、八面体状、14面体状等、様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また、粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。本実施の形態における銀塩感光層24の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。本実施の形態に用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
本実施の形態に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラスト及び低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物等を含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオン等や、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾール等)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。また、高感度化のためにはK〔Fe(CN)〕やK〔Ru(CN)〕、K〔Cr(CN)〕のような六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、KRhBr等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
その他、本実施の形態では、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。また、Pd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、導電膜10の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本実施の形態では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本実施の形態において、ハロゲン化銀20に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀20の、銀のモル数に対して10−4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。使用するPd化合物の例としては、PdClや、NaPdCl等が挙げられる。
本実施の形態では一般のハロゲン化銀写真感光材料と同様に化学増感を施しても、施さなくてもよい。化学増感の方法としては、例えば特開2000−275770号公報の段落番号0078以降に引用されている、写真感光材料の感度増感作用のあるカルコゲナイト化合物あるいは貴金属化合物からなる化学増感剤をハロゲン化銀乳剤に添加することによって行われる。本実施の形態の感光材料に用いる銀塩乳剤としては、このような化学増感を行わない乳剤、すなわち未化学増感乳剤を好ましく用いることができる。本実施の形態において好ましい未化学増感乳剤の調製方法としては、カルコゲナイトあるいは貴金属化合物からなる化学増感剤の添加量を、これらが添加されたことによる感度上昇が0.1以内になる量以下の量にとどめることが好ましい。カルコゲナイトあるいは貴金属化合物の添加量の具体的な量に制限はないが、本実施の形態における未化学増感乳剤の好ましい調製方法として、これら化学増感化合物の総添加量をハロゲン化銀1モルあたり5×10−7モル以下にすることが好ましい。
<バインダー>
銀塩感光層24には、銀塩粒子を均一に分散させ、且つ、銀塩感光層24と支持体12との密着を補助する目的でバインダーが用いられる。本実施の形態において、バインダーとしては、バインダー除去処理によって除去されるバインダーが用いられる。バインダーとしては、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
すなわち、バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
また、ゼラチンとしては、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他アミノ基、カルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
銀塩感光層24中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩感光層24中のバインダーの含有量は、銀/バインダー体積比が1/2以上であることが好ましく、1/1以上であることがより好ましい。なお、銀/バインダー体積比は、原料のハロゲン化銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(重量比)に変換し、さらに、銀量/バインダー量(重量比)を銀量/バインダー量(体積比)に変換することで求めることができる。
<溶媒>
銀塩感光層24の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本実施の形態の銀塩感光層24に用いられる溶媒の含有量は、銀塩感光層24に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
<帯電防止剤>
感光材料は帯電防止剤を含有することが好ましく、銀塩感光層24と反対側の支持体12の面上にコーティングするのが望ましい。
帯電防止層としては、表面抵抗率が25℃25%RHの雰囲気下で1012オーム以下の導電性物質含有層を好ましく用いることができる。本実施の形態に好ましい帯電防止剤として、下記の導電性物質を好ましく用いることができる。すなわち、特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質である。具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、及び同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物。米国特許第5575957号明細書、特開平10−142738号公報段落番号0045〜0043、特開平11−223901号公報段落番号0013〜0019に記載の針状の金属酸化物等が用いることができる。
本実施の形態で用いられる導電性金属酸化物粒子は、ZnO、TiO、SnO、Al、In、MgO、BaO及びMoOならびにこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む金属酸化物の粒子を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO、ZnO、Al、TiO、In、及びMgOが好ましく、さらに、SnO、ZnO、In及びTiOが好ましく、SnOが特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiOに対してNbあるいはTa、Inに対してSn、及びSnOに対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物又は複合酸化物に十分な導電性を付与することができにくくなり、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため適さない。従って、本実施の形態では導電性金属酸化物粒子の材料として、金属酸化物又は複合金属酸化物に対し、異種元素を少量含むものが好ましい。また、結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
異種原子を少量含む導電性金属酸化物微粒子としては、アンチモンがドープされたSnO粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO粒子が好ましい。
本実施の形態に用いる導電性金属酸化物の形状については特に制限はなく、粒状、針状等が挙げられる。また、その大きさは、球換算径で表した平均粒径が、好ましくは0.5nm〜25μmである。
また、導電性を得るためには、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩等)、蒸着金属層、米国特許第2861056号明細書及び同第3206312号明細書に記載のようなイオン性ポリマー又は米国特許第3428451号明細書に記載のような不溶性無機塩を使用することもできる。
このような導電性金属酸化物粒子を含有する帯電防止層はバック面の下塗り層、銀塩感光層24の下塗り層等として設けることが好ましい。その添加量は両面合計で0.01〜1.0g/mであることが好ましい。また、感光材料の内部抵抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1.0×10〜1.0〜1012オームであることが好ましい。
本実施の形態において、導電性物質のほかに、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を併用することによって、さらに良好な帯電防止性を得ることができる。
<その他の添加剤>
感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限はなく、例えば下記公報等に記載されたものを好ましく用いることができる。ただし、本実施の形態では、硬膜剤を使用しないことが好ましい。硬膜剤を使用した場合、後述の湿熱処理を行うと、抵抗が上がり、導電率が下がってしまうためである。
1)造核促進剤
造核促進剤としては、特開平6−82943号公報に記載の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の化合物や、特開平2−103536号公報第9頁右上欄13行目から同第16頁左上欄10行目の一般式(II−m)〜(II−p)及び化合物例II−1〜II−22、並びに、特開平1−179939号公報に記載の化合物が挙げられる。
2)分光増感色素
分光増感色素としては、特開平2−12236号公報第8頁左下欄13行目から同右下欄4行目、同2−103536号公報第16頁右下欄3行目から同第17頁左下欄20行目、さらに特開平1−112235号、同2−124560号、同3−7928号、及び同5−11389号各公報に記載の分光増感色素が挙げられる。
3)界面活性剤
界面活性剤としては、特開平2−12236号公報第9頁右上欄7行目から同右下欄7行目、及び特開平2−18542号公報第2頁左下欄13行目から同第4頁右下欄18行目に記載の界面活性剤が挙げられる。
4)カブリ防止剤
カブリ防止剤としては、特開平2−103536号公報第17頁右下欄19行目から同第18頁右上欄4行目及び同右下欄1行目から5行目、さらに特開平1−237538号公報に記載のチオスルフィン酸化合物が挙げられる。
5)ポリマーラテックス
ポリマーラテックスとしては、特開平2−103536号公報第18頁左下欄12行目から同20行目に記載のものが挙げられる。
6)酸基を有する化合物
酸基を有する化合物としては、特開平2−103536号公報第18頁右下欄6行目から同第19頁左上欄1行目に記載の化合物が挙げられる。
7)黒ポツ防止剤
黒ポツ防止剤とは、未露光部に点状の現像銀が発生することを抑制する化合物であり、例えば、米国特許第4956257号明細書及び特開平1−118832号公報に記載の化合物が挙げられる。
8)レドックス化合物
レドックス化合物としては、特開平2−301743号公報の一般式(I)で表される化合物(特に化合物例1〜50)、同3−174143号公報第3頁〜第20頁に記載の一般式(R−1)、(R−2)、(R−3)、化合物例1〜75、さらに特開平5−257239号、同4−278939号各公報に記載の化合物が挙げられる。
9)モノメチン化合物
モノメチン化合物としては、特開平2−287532号公報の一般式(II)の化合物(特に化合物例II−1〜II−26)が挙げられる。
10)ジヒドロキシベンゼン類
特開平3−39948号公報第11頁左上欄から第12頁左下欄の記載、及び欧州特許公開EP452772A号公報に記載の化合物が挙げられる。
次に、第1製造方法〜第3製造方法での好ましい態様について説明する。
<前駆体作製工程>
先ず、前駆体作製工程での好ましい態様について説明する。なお、本実施の形態によって得られる導電膜10は、パターン露光によって導電性金属部14が支持体12上に形成されたものだけでなく、面露光によって導電性金属部14が形成されたものであってもよい。また、導電膜10を例えばプリント基板として用いる場合には、導電性金属部14と電気的絶縁部とを形成してもよい。
本実施の形態における導電膜前駆体30の作製方法には、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して導電性金属部14を該感光材料上に形成させる態様。
(2)物理現像核を銀塩感光層24中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して導電性金属部14を該感光材料上に形成させる態様。
(3)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して導電性金属部14を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜等の透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像であり、高比表面のフィラメントである点で後続するメッキ又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面が小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、及び拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Process,4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。また、例えば、特開2004−184693号公報、同2004−334077号公報、同2005−010752号公報、特願2004−244080号明細書、同2004−085655号明細書等に記載の技術を参照することもできる。
[露光]
前駆体作製工程では、支持体12上に設けられた銀塩感光層24の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便で、且つ、コンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。発光体としては、例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種又は2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色及び青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また、露光処理においては、露光を種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本実施の形態における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザー又は半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶とを組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザー或いは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbOのSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)等が好ましく用いられる。
銀塩感光層24をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光等の露光方式を用いることができる。
[現像処理]
前駆体作製工程では、銀塩感光層24を露光した後、さらに現像処理が施される。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。市販品としては、例えば、富士フイルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトールや、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、Dsd−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる(いずれも商品名)。また、リス現像液を用いることもできる。リス現像液としては、KODAK社製のD85(商品名)等を用いることができる。
前駆体作製工程では、露光及び現像処理を行うことにより露光部にパターン状の導電性金属部14による導電部16が形成されると共に、未露光部に開口部18が形成される。なお、本実施の形態では、現像温度、定着温度及び水洗温度は35℃以下で行うことが好ましい。
現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像処理で用いられる現像液には、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有させることができる。画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等の含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合は、特にポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得やすいため好ましい。
現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、開口部18の透明性を高く保ったまま、導電性金属部14の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[酸化処理]
現像処理後の導電性金属部14は、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、開口部18に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、開口部18の光透過性をほぼ100%にすることができる。酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理等、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後に行うことができる。
本実施の形態では、さらに露光及び現像処理後の導電性金属部14を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により、導電性金属部14の黒色が経時変化することを抑制できる。
[還元処理]
現像処理後に還元水溶液に浸漬することで、好ましい導電性の高い導電膜10を得ることができる。還元水溶液としては、亜硫酸ナトリム水溶液、ハイドロキノン水溶液、パラフェニレンジアミン水溶液、シュウ酸水溶液等を用いることができ、水溶液のpHは10以上とすることがさらに好ましい。
〔その他の好ましい態様:印刷処理〕
以下に、図4にて示したように、支持体12上に導電ペースト32を印刷することによって、支持体12上に導電性金属部14を形成する場合の各材料の好ましい態様を説明する。
[支持体12]
支持体12は、上述したように、支持体本体12aと、該支持体本体12a上に例えばエマルジョン状態の疎水性樹脂を用いて形成されたインク受容層12bとを有する。このインク受容層12b上に導電ペースト32による導電性金属部14が形成されることになる。
エマルジョン状態の疎水性樹脂としては、耐薬品性があり、且つ、支持体本体12aに対して良好な密着性が得られればよく、種々のものが使用可能である。例えば、アクリル、ウレタン、シリコーン、エポキシ、酢酸ビニル、SBRラテックス等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。また、めっき液や薬品耐性を高めるため、これら疎水性樹脂中にさらに架橋剤等を加えてもよい。
インク受容層12bには、エマルジョン状態の疎水性樹脂に加えて無機微粒子が含有される。無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等のセラミックス系の粒子が挙げられる。
無機微粒子の平均一次粒径は、0.1μm以下が好ましく、0.005μm〜0.03μmがより好ましい。二次粒子径に関しても同様で0.1μm以下のものがよい。平均粒径が0.1μmを超えると、インク受容層12bの形成により得られる支持体12のヘイズが増加、白濁してしまう傾向がある。また、平均粒径が0.1μmを超えると、インク受容層12b上に導電性物質(金属粒子等)を含む導電ペースト32を印刷すると、インク受容層12b中に吸収された導電性物質が印刷箇所に留まることなくインク受容層12b内部に広がるため、めっき前におけるインク受容層12b上の見かけの印刷線幅が制御できていたとしても、めっき後に出来上がる線幅は印刷線幅よりも大きくなってしまうおそれもある。
インク受容層12b中のエマルジョン状態の疎水性樹脂と無機微粒子の比は重量比で1:3〜1:50とすることが好ましく、1:4〜1:15とすることがより好ましく、1:5〜1:10とすることがさらに好ましい。エマルジョン状態の疎水性樹脂1に対して無機微粒子が3よりも少ない場合は、インク受容層12b中に十分な空隙が形成されず、印刷時において、インク受容層12b表面におけるにじみが発生しやすくなる傾向がある。他方、50よりも大きい場合は、樹脂によるバインダー効果が十分に得られず、膜強度、密着性の低下を招く傾向がある。また、ヘイズも増加し、透明性も失ってしまうおそれもある。
支持体本体12aは、耐薬品性があり、且つ、透明性、絶縁性、機械的強度等があれば、種々の材料が使用可能であり、アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂等が例として挙げられる。また、インク受容層12bは支持体本体12a上に直接形成してもよいが、密着性が得にくいような場合は、支持体本体12aとインク受容層12bとの間に易接着層を設けてもよい。
[導電ペースト32]
所定パターンの導電性金属部14を形成するための導電ペースト32は、導電性物質(金属粒子)と、疎水性樹脂と、有機溶剤を含有する。
導電性金属部14に含まれる導電性物質としては、上述したように、例えば銀(Ag)、パラジウム(Pd)等の金属を用いることができる。
疎水性樹脂としては、耐薬品性があり、且つ、インク受容層12bに対して良好な密着性が得られれば特に限定されることなく、種々のものが使用可能である。例えば、エチルセルロース、プロピルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。
有機溶剤については、導電性物質の分散が可能であり、樹脂を溶解可能であれば特に限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系、シクロヘキサノン等の環化脂肪族系、メチルエチルケトン(MEK)等のケトン系、イソプロピルアルコール、α−テルピネオール等のアルコール系等の溶剤が使用可能であり、これら溶剤を印刷方式や条件等に応じて選択する必要がある。また、これら溶剤は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。なお、有機溶剤として、沸点が200℃前後の比較的高い沸点を有する有機溶剤を用いることも好ましい。例えば、テルピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート等が好適である。この場合、有機溶剤の沸点が低すぎると、導電ペースト32の作製時あるいはグラビア印刷時やスクリーン印刷時等に有機溶剤が揮散して、導電ペースト32の性状が変化、あるいはスクリーンマスク等のメッシュにペーストが目詰まりし、また、有機溶剤の沸点が高すぎると、印刷後の乾燥に時間が掛かりすぎる。
また、導電ペースト32は、導電性物質間及び導電性物質と基材との間をそれぞれ結合させるための接着性がよいものが望ましく、その中でも粘度が高いものが好ましい。また、分散剤、消泡脱泡剤、リベリング剤等を、適宜、添加することができる。導電ペースト32の粘度は10〜1000Pa・sec(10000〜1000000cP)、好ましくは50〜500Pa・sec(50000〜500000cP)とする。
導電ペースト32は、支持体本体12a裏面等の反射防止及び色ムラや金属色の抑制のため、黒色顔料を含有させることが望ましい。この場合の黒色顔料としては、導電ペースト32中に分散容易な粒子径0.1μm以下の着色力の大きな黒色顔料が好ましい。例えば、カーボンブラック、Fe、CuO−Cr、CuO−Fe−Mn、CoO−Fe−Cr等が使用可能である。このうち、特に、カーボンブラックが好ましい。
[印刷による導電性金属部14]
印刷による導電性金属部14は、所定のパターンにて形成され、非印刷部における光透過性を保持したものがよい。また、このパターンにおけるライン幅を、30μm以下、開口率を80%以上にすることで、より透光性が良好な導電膜10を得ることができる。
導電性金属部14のパターンは、メッシュ状、格子状、ストライプ状等に形成することができ、特に、メッシュ状又は格子状に形成することが好ましい。低い表面抵抗及び高い透明性を得ることができるからである。
印刷方法としては、特に制限はないが、安定的に印刷ラインの均一性が得られるという点からスクリーン印刷やグラビア印刷を用いることが好ましい。
〔その他の好ましい態様:後処理〕
<平滑化処理(カレンダー処理)>
導電性金属部14を平滑化処理する平滑化処理を行うことで、導電性金属部14における金属粒子同士の結合部分が増加し、導電性金属部14の導電性が顕著に増大する。平滑化処理後に湿熱処理が行われることで、導電性粒子を結合させてから融着させることができ、より効果的に導電性を向上させることができる。
平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールにて構成される。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に両面に銀塩感光層24を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に銀塩感光層24を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の下限値は、好ましくは1960N/cm(200kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、好ましくは6860N/cm(700kgf/cm)以下である。ここで、線圧力(荷重)とは、カレンダー処理されるフイルム試料1cm当たりにかかる力である。
カレンダーロールで代表されるカレンダー処理の適用温度は、10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュ状パターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲である。
銀塩(特にハロゲン化銀)感光材料を用いた導電膜10の製造方法において、好ましくは線圧力1960N/cm(200kgf/cm)以上という高い線圧で平滑化処理を行うことで、導電膜10の表面抵抗を十分に低減できる。このような高い線圧で平滑化処理を行う場合、導電性金属部14が細線状(特に、線幅が25μm以下)に形成されていると、その導電性金属部14の線幅が広がり所望のパターンを形成することが難しくなると考えられる。しかし、平滑化処理の対象が銀塩(特にハロゲン化銀)感光材料である場合には、線幅の広がりが小さく、所望のパターンの導電性金属部14を形成することができる。すなわち、所望のパターンで、均一な形状の導電性金属部14を形成することができることから、不良品の発生を抑制でき、導電膜10の生産性をさらに向上させることができる。
〈温水浸漬処理〉
温水浸漬処理は、支持体12上に導電性金属部14を形成した後、導電性金属部14を40℃以上の温水に浸漬させることにより行う。これにより、短時間で簡便に導電性及び透明性を向上させることができる。導電膜10の導電性が向上する理由についてはまだ定かではないが、少なくとも一部のバインダーが除去されて金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
支持体12を浸漬させる温水の温度は好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは60℃〜100℃である。特に好ましくは約80℃〜100℃であり、高温であるほど導電性の向上が顕著である。温水のpHは2〜13が好ましく、2〜9がより好ましく、2〜5がさらに好ましい。40℃以上の温水ないしはそれ以上の温度の加熱水への浸漬時間は、使用するバインダーの種類によって異なるが、支持体12のサイズが60cm×1mの場合、10秒〜5分程度が好ましく、1分〜5分がさらに好ましい。本実施の形態のさらに好ましい一実施態様では平滑化処理の後に温水浸漬処理を行う。
〈蒸気接触処理〉
蒸気接触処理は、支持体12上に導電性金属部14を形成した後、導電性金属部14を蒸気に接触させることにより行う。これにより、短時間で簡便に導電性及び透明性を向上させることができる。導電膜10の導電性が向上する理由についてはまだ定かではないが、少なくとも一部のバインダーが除去されて金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
支持体12に接触させる蒸気の温度は、80℃以上が好ましい。蒸気の温度は1気圧で100℃以上140℃以下がさらに好ましい。蒸気への接触時間は、使用するバインダーの種類によって異なるが、支持体12のサイズが60cm×1mの場合、10秒〜5分程度が好ましく、1分〜5分がさらに好ましい。
〈水洗処理〉
導電性金属部14を蒸気に接触させた後に水洗することが好ましい。蒸気接触処理後に水洗することで、蒸気で溶解又は脆くなったバインダーを洗い流すことができ、これにより抵抗をさらに下げることができると考えられる。
本実施の形態のさらに好ましい一実施態様では、蒸気接触処理の後に水洗処理を行う。また、本実施の形態の別のさらに好ましい一実施態様では、平滑化処理の後に蒸気接触処理を行う。さらに、本実施の形態の別のさらに好ましい一実施態様では、平滑化処理、蒸気接触工程、水洗処理をこの順番で行う。
〈湿熱処理〉
湿熱処理は、支持体12上に導電性金属部14を形成した後、導電性金属部14が形成された支持体12を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置することにより行う。これにより、短時間で簡便に導電性及び透明性を向上させることができる。導電膜10の導電性が向上する理由についてはまだ定かではないが、少なくとも一部のバインダーが湿度の上昇とともに微小移動しやすくなり、金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
調湿条件の温度は、好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは60℃〜100℃である。特に好ましくは約80℃〜100℃であり、高温であるほど導電性の向上が顕著である。また、調湿条件の相対湿度は、好ましくは5%〜100%であり、より好ましくは40%〜100%であり、さらに好ましくは60%〜100%であり、特に好ましくは80%〜100%である。湿熱処理時間は、使用するバインダーの種類によって異なるが、支持体12のサイズが60cm×1mの場合、約5分〜約60分程度が好ましく、約5分〜約30分がさらに好ましく、約5分〜約10分が特に好ましい。本実施の形態のさらに好ましい一実施態様では、平滑化処理の後に湿熱処理を行う。
[めっき処理]
なお、本実施の形態においては、導電性金属部14に対してさらにめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、さらに表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
[機能層]
導電膜10は、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層又はアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、近赤外線を吸収する化合物や金属からなる近赤外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋等の汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層等を設けることができる。
なお、本発明は、下記表1及び表2に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。
Figure 2012022832
Figure 2012022832
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[第1実施例]
第1実施例は、比較例1〜3、実施例1〜8について、湿熱処理経過時の導電性金属部14の密着性を評価し、導電膜の表面抵抗を測定した。比較例1〜3、実施例1〜8の内訳、評価結果及び測定結果を後述する表3に示す。
<実施例1〜8、比較例1〜3>
[乳剤の調製]
・1液:
水 750ml
フタル化処理ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005%KCl 20%水溶液)及びヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001%NaCl 20%水溶液)は、それぞれの錯体粉末をそれぞれKCl20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
38℃、pH4.5に保たれた1液に、2液と3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4、pAg=7.5、電導度=4000μS/cm、密度=1.4×10kg/m、粘度=20mPa・sとなった。
[塗布試料の作製]
上記乳剤に下記化合物(Cpd−1)8.0×10−4モル/モルAg、1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10−4モル/モルAgを添加しよく混合した。次いで、膨潤率調製のため必要により、下記化合物(Cpd−2)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
Figure 2012022832
厚み100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)上に下塗り層を形成した後、乳剤を用いて上記のように調製した乳剤層塗布液を、下塗り層上にAg5g/m、ゼラチン0.4g/mになるように塗布し、その後、乾燥させたものを塗布試料とした。得られた塗布試料は、乳剤層の銀/バインダー体積比は1/1である。
[露光、現像処理]
次いで、乾燥させた塗布膜にライン/スペース=5μm/195μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスクライン/スペース=195μm/5μm(ピッチ200μm)の、スペースが格子状であるフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光し、引き続き現像、定着、水洗、乾燥という工程を含む処理を行った。
(現像液の組成)
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 15g/L
亜硫酸ナトリウム 30g/L
炭酸カリウム 40g/L
エチレンジアミン・四酢酸 2g/L
臭化カリウム 3g/L
ポリエチレングリコール2000 1g/L
水酸化カリウム 4g/L
pH 10.5に調整
(定着液の組成)
定着液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
チオ硫酸アンモニウム(75%) 300ml
亜硫酸アンモニウム・一水塩 25g/L
1,3-ジアミノプロパン・四酢酸 8g/L
酢酸 5g/L
アンモニア水(27%) 1g/L
ヨウ化カリウム 2g/L
pH 6.2に調整
(実施例1)
先ず、露光・現像処理を終えたサンプル(導電膜前駆体30)の導電性金属部14に対して、図5に示す通電処理装置40を用いて通電処理を行い、続けて、導電膜前駆体30をバインダー溶解液60に浸漬した後、10分の湿熱処理(調湿条件:温度40℃、相対湿度5%)を行って実施例1に係る導電膜を作製した。なお、図5において、導電膜前駆体30と給電ローラ42との接触点からバインダー溶解液60の液面までの距離Laを10cmとし、通電時の電流密度を11A/dmとした。また、バインダー溶解液60として、水にKOHを混合したKOH溶液(濃度:8.4重量%)を用い、通電処理槽62中のKOH溶液の温度を30℃に設定した。
(実施例2)
通電時の電流密度を20A/dmとした点以外は、上述の実施例1と同様にして、実施例2に係る導電膜を作製した。
(実施例3)
通電時の電流密度を50A/dmとした点以外は、上述の実施例1と同様にして、実施例3に係る導電膜を作製した。
(実施例4)
通電時の電流密度を100A/dmとした点以外は、上述の実施例1と同様にして、実施例4に係る導電膜を作製した。
(実施例5)
バインダー溶解液60として、水1LにプロナーゼTM(Calbiochem-Novabiochem社製)を5g混合したタンパク質分解酵素溶液を用い、通電処理槽中のタンパク質分解酵素溶液の温度を30℃に設定した点以外は、上述の実施例1と同様にして実施例5に係る導電膜を作製した。
(実施例6)
通電時の電流密度を20A/dmとした点以外は、上述の実施例5と同様にして、実施例6に係る導電膜を作製した。
(実施例7)
通電時の電流密度を50A/dmとした点以外は、上述の実施例5と同様にして、実施例7に係る導電膜を作製した。
(実施例8)
通電時の電流密度を100A/dmとした点以外は、上述の実施例5と同様にして、実施例8に係る導電膜を作製した。
(比較例1)
露光・現像処理を終えたサンプル(導電膜前駆体30)に対して、通電処理及びバインダー溶解処理を行わずに、10分の湿熱処理(調湿条件:温度40℃、相対湿度5%)を行った。
(比較例2)
特許文献2の活性化処理に準拠して、導電膜前駆体30に通電処理を行った後、電解液(硫酸ナトリウム溶液、濃度:14.2重量%)に浸漬し、その後、10分の湿熱処理(調湿条件:温度40℃、相対湿度5%)を行った。なお、導電膜前駆体30と給電ローラ42との接触点から電解液の液面までの距離Laを1cmとし、通電時の電流密度を0.1A/dmとした。
(比較例3)
導電膜前駆体30に対して通電処理を行わずに、導電膜前駆体30をバインダー溶解液60に浸漬した後、10分の湿熱処理(調湿条件:温度40℃、相対湿度5%)を行った。バインダー溶解液60として、水にKOHを混合したKOH溶液(濃度:8.4重量%)を用い、通電処理槽62中のKOH溶液の温度を60℃に設定した。
〔評価〕
(導電性金属部14の密着性の評価)
比較例1〜3、実施例1〜8について、導電性金属部14と支持体12との剥離強度を測定した。剥離強度は、JISK5400(1990年版)に準拠して、碁盤目テープ剥離試験を行い、100個の碁盤目(マス)のうちテープ剥離後、支持体に残存した碁盤目(剥離しないマス)の数にて評価を行った。残存数が96個以上であれば評価「1」、91〜95個であれば評価「2」、86〜90個であれば評価「3」、81〜85個であれば評価「4」、80個以下であれば評価「5」とした。
(表面抵抗の測定)
比較例1〜3、実施例1〜8に係る導電膜について、それぞれの表面抵抗をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610)直列4探針プローブ(ASP)にて任意の10箇所測定した値の平均値を表面抵抗とした。
Figure 2012022832
表3から、通電処理及びバインダー溶解液60への浸漬処理を行わなかった比較例1は、密着性が「4」と低く、導電性も低くなっている。めっき性能向上のための活性化処理を行った比較例2は、密着性が「1」と高かったが、導電性が低かった。これは、導電性金属部14中のバインダーが、導電性物質同士の結合を阻害し、導電性を低下させる一因になっていることがわかる。通電処理を行わずに、直接、導電膜前駆体30のバインダー溶解液60への浸漬処理を行った比較例3は、密着性も導電性も低下している。これは、導電性金属部14中のバインダーが除去されずに、導電性金属部14間のバインダーが優先的に除去されたものと考えられる。
これに対して、実施例1〜8は、密着性及び導電性が比較例1〜3と比して向上していることがわかる。特に、通電時の電流密度を20〜50A/dmに設定した実施例2、3、6、7については、密着性が大幅に向上している。また、バインダー溶解液60としてタンパク質分解酵素溶液を用いることにより、導電性がより向上することがわかった。
[第2実施例]
第2実施例は、参考例1〜6、実施例11〜26について、湿熱処理経過時の導電性金属部14の密着性を評価し、導電膜の表面抵抗及び線幅の差を測定した。参考例1〜6、実施例11〜26の内訳、評価結果及び測定結果を後述する表4に示す。なお、線幅の差とは、導電性金属部14の設計時の線幅(8μm)からどれだけ線幅が狭くなったかを示すもので、設計時の線幅と導電膜とした場合の導電性金属部14の線幅との差を示す。
(実施例11)
通電時の電流密度を40A/dmとし、バインダー溶解液60として、水にNaOHを混合したNaOH溶液(濃度:1.0重量%)を用い、通電処理槽62中のNaOH溶液の温度を30℃に設定した点以外は、上述した実施例1と同様にして実施例11に係る導電膜を作製した。
(実施例12〜16)
実施例12、13、14、15及び16は、NaOH溶液の濃度を2.0重量%、4.0重量%、8.0重量%、10.0重量%及び20.0重量%とした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれ導電膜を作製した。
(参考例1及び2)
参考例1及び2は、NaOH溶液の濃度を0.9重量%及び21.0重量%とした点以外は、上述した実施例11と同様にして、それぞれ導電膜を作製した。
(実施例17)
通電時の電流密度を40A/dmとし、バインダー溶解液として、水にKOHを混合したKOH溶液(濃度:1.0重量%)を用い、通電処理槽中のKOH溶液の温度を30℃に設定した点以外は、上述した実施例1と同様にして実施例17に係る導電膜を作製した。
(実施例18〜22)
実施例18、19、20、21及び22は、KOH溶液の濃度を2.8重量%、5.6重量%、11.2重量%、14.0重量%及び20.0重量%とした点以外は、上述した実施例17と同様にして、それぞれ導電膜を作製した。
(参考例3及び4)
参考例3及び4は、KOH溶液の濃度を0.9重量%及び21.0重量%とした点以外は、上述した実施例17と同様にして、それぞれ導電膜を作製した。
(実施例23)
通電時の電流密度を40A/dmとし、バインダー溶解液60として、水にプロナーゼTM(Calbiochem-Novabiochem社製)を混合したタンパク質分解酵素溶液(濃度:0.0010重量%)を用い、通電処理槽中のタンパク質分解酵素溶液の温度を30℃に設定した点以外は、上述した実施例1と同様にして実施例23に係る導電膜を作製した。
(実施例24〜26)
実施例24、25及び26は、タンパク質分解酵素溶液の濃度を0.0100重量%、5.0000重量%及び10.0000重量%とした点以外は、上述した実施例23と同様にして、それぞれ導電膜を作製した。
(参考例5及び6)
参考例5及び6は、タンパク質分解酵素溶液の濃度を0.0009重量%及び11.0000重量%とした点以外は、上述した実施例23と同様にして、それぞれ導電膜を作製した。
Figure 2012022832
表4から、実施例11〜26共に、参考例1〜6と比して密着性が向上し、線幅も狭くなっていることがわかる。特に、バインダー溶解液60として、NaOH溶液を用いた場合は、実施例11〜16からもわかるように、濃度として、1.0〜20.0重量%の範囲が望ましく、2.0〜10.0重量%がより好ましく、4.0〜8.0重量%がさらに好ましい。また、バインダー溶解液60として、KOH溶液を用いた場合は、実施例17〜22からもわかるように、濃度として、1.0〜20.0重量%の範囲が望ましく、2.8〜14.0重量%がより好ましく、5.6〜11.2重量%がさらに好ましい。また、バインダー溶解液60として、タンパク質分解酵素溶液を用いた場合は、実施例23〜26からもわかるように、濃度として、0.001〜10重量%であることが好ましく、0.01〜5重量%であることがさらに好ましい。
なお、本発明に係る導電膜の製造方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
10…導電膜 12…支持体
12a…支持体本体 12b…インク受容層
14…導電性金属部 16…導電部
18…開口部 24…銀塩感光層
30…導電膜前駆体 32…導電ペースト

Claims (9)

  1. 支持体上に導電性物質とバインダーとを含有する導電性金属部を形成して導電膜前駆体を作製する工程と、
    前記導電性金属部に電流を流して該導電性金属部に熱を付与する通電処理工程と、
    通電処理後の前記導電膜前駆体をバインダー溶解液に浸漬するバインダー溶解工程とを有することを特徴とする導電膜の製造方法。
  2. 請求項1記載の導電膜の製造方法において、
    通電時における電流密度が0.1〜1000A/dmであることを特徴とする導電膜の製造方法。
  3. 請求項1記載の導電膜の製造方法において、
    通電時における電流密度が11〜100A/dmであることを特徴とする導電膜の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法において、
    前記バインダー溶解液がKOH又はNaOHを1.0〜20.0重量%含有していることを特徴とする導電膜の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法において、
    前記バインダー溶解液がタンパク質分解酵素を0.001〜10.000重量%含有していることを特徴とする導電膜の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法において、
    前記バインダー溶解液の温度が25℃〜40℃であることを特徴とする導電膜の製造方法。
  7. 請求項1記載の導電膜の製造方法において、
    前記通電処理工程は、
    前記導電膜前駆体の導電性金属部に接触して給電する給電ローラと、前記給電ローラより前記導電膜前駆体の搬送方向下流側に配置され、前記導電性金属部を前記バインダー溶解液内で通電処理する通電処理槽とを備えた通電処理装置を使用し、
    前記導電膜前駆体と前記給電ローラとの接触点から前記バインダー溶解液の液面までの距離Laは、
    5cm<La≦30cm
    を満足することを特徴とする導電膜の製造方法。
  8. 請求項1記載の導電膜の製造方法において、
    作製される導電膜の前記導電性金属部は、めっき層を有さないことを特徴とする導電膜の製造方法。
  9. 請求項1記載の導電膜の製造方法において、
    作製される導電膜の前記導電性金属部の線幅は、設計時の線幅よりも最大で1μm細いことを特徴とする導電膜の製造方法。
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