JP5329802B2 - 導電膜およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性を向上させた導電膜、特に透光性導電膜を製造する方法に関し、更に詳しくいえば、本発明は、支持体上に導電性物質とバインダーとを含有する導電性金属部を形成した後に湿熱処理して導電膜を製造する方法に関する。
近年、各種の電気設備や電子応用設備の利用の増加に伴い、電磁波障害(Electro−Magnetic Interference:EMI)が急増している。EMIは、電子、電気機器の誤動作や障害の原因になるほか、これらの装置のオペレーターにも健康障害を与えることが指摘されている。このため、電子電気機器では、電磁波放出の強さを規格または規制内に抑えることが要求されている。
上記EMIの対策には電磁波を遮蔽する必要があるが、それには金属の電磁波を貫通させない性質を利用すればよい。例えば、筐体を金属体または高導電体にする方法や、回路基板と回路基板との間に金属板を挿入する方法や、ケーブルを金属箔で覆う方法などが採用されている。しかし、CRTやプラズマディスプレイパネル(PDP)などではオペレーターが画面に表示される文字等を認識する必要があるため、ディスプレイにおける透明性が要求される。
そのため、PDP等のディスプレイ前面より発生する電磁波を遮断するためには、高い電磁波シールド性と良好な光透過性とを併せ持つ材料を用いる必要があるが、このような材料として、透明なガラスやプラスチック基板面に金属薄膜からなるメッシュを形成した電磁波遮蔽板が用いられるようになってきている。
ところで、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生するため、より強い電磁波遮蔽能が求められる。電磁波遮蔽能は、簡便には表面抵抗値で表すことができる。例えば、CRT用の透光性電磁波遮蔽材料では、表面抵抗値は凡そ300Ω/sq以下であることが要求されるのに対し、PDP用の透光性電磁波遮蔽材料では、2.5Ω/sq以下であることが要求される。特にPDPを用いた民生用プラズマテレビにおいては、1.5Ω/sq以下、より望ましくは0.1Ω/sq以下という極めて高い導電性が要求されている。
また、透光性に関する要求レベルは、CRT用としては凡そ全可視光透過率が70%以上、PDP用としては全可視光透過率が80%以上であることが要求されており、さらに高い透明性が望まれている。
上記の問題を解決するために、以下に示されるように、開口部を有する金属メッシュを利用して電磁波遮蔽性(導電性)と透光性とを両立させる種々の材料・方法がこれまでに提案されている。
(1)銀ペーストを印刷したメッシュ
例えば特許文献1に、銀粉末からなるペーストを網目状に印刷して、銀メッシュを得る方法が開示されている。しかし、この方法で得られた銀メッシュは、印刷法に拠ることから線幅が太く透過率が低下する等の問題があり、また、表面抵抗値が高く電磁波シールド能が小さい。このため、電磁波遮蔽能を高めるには、得られた銀メッシュにメッキ処理を施す必要があった。
(2)不規則網目状の銀メッシュ
例えば特許文献2に、不規則な微小な網目状の銀メッシュおよびその製造方法が開示されている。しかし、この製造方法では表面抵抗値が10Ω/sqと大きな(電磁波遮蔽能の低い)メッシュしか得られない問題がある。また、ヘイズが大きく十数%以上あって、ディスプレイ画像がボケる問題があった。
(3)フォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工銅メッシュ
例えば特許文献3に、フォトリソグラフィー法を利用して銅箔をエッチング加工し、透明基体上に銅メッシュを形成する方法が提案されている。この方法では、メッシュの微細加工が可能であるため、高開口率(高透過率)のメッシュを作製することができ、強力な電磁波放出も遮蔽できるという利点を有する。しかし、その製造工程は非常に多くの工程を含み、これらを経て製造しなければならない間題点があった。また、銅箔を用いることから、でき上がりのメッシュが黒色ではなく銅箔の色となることから、ディスプレイ機器における映像のコントラスト低下の原因となる問題があった。さらには、エッチング工法によるところから、格子模様の交点部が直線部分の線幅より太い問題があり、モアレの問題と関連して改善が要望されていた。
(4)銀塩を利用した導電性銀形成法
例えば特許文献4に、1960年代に、物理現像核に銀を沈着させる銀塩拡散転写法によって導電性を有する金属銀薄膜パターンを形成する方法が開示されている。
この方法によれば、銀塩を含む乳剤層を有する感光材料を露光し現像することで銀メッシュを形成することができ、10Ω/sq〜100kΩ/sqの銀薄膜が得られるが、この導電性レベルではPDP用途としては不十分であるため、上記銀塩拡散転写法をそのまま用いても、電子ディスプレイ機器における画像表示面から放出される電磁波を遮蔽するために好適な、光透過性と導電性とに優れた透光性電磁波シールド材料は得ることができなかった。
上述のように、従来の電磁波遮蔽材料やその製造方法にはそれぞれ問題点があり、また、電磁波遮蔽材料の価格は非常に高価であったため、製造コストの低減化が強く要望されていた。
さらに、PDP等のディスプレイでは高い画像の明度が要求されるため、100%に近い光透過性が求められているが、光透過性を向上させるために、開口部(メッシュをなす細線のない部分)の全体に占める割合を上げると、導電性が低下して電磁波シールド効果が損なわれてしまう。そのため、導電性を上げるために、得られた銀メッシュにメッキを施して低抵抗にすることが必要となってしまう。
製造コストを下げるためには、メッキ処理を施すことなく導電性を向上させる方法が求められている。
特開2000−13088号公報 特開平10−340629号公報 特開平10−41682号公報 特公昭42−23746号公報
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、高い導電性を有する導電膜を低コストで製造する方法を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討した結果、以下の導電性膜およびその製造方法により効果的に達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)支持体上に導電性物質と水溶性バインダーとを含有する導電性金属部を形成する工程と、
前記の導電性金属部が形成された支持体を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置する湿熱処理工程とを有し、
前記湿熱処理工程の処理時間が10〜60分であることを特徴とする導電膜の製造方法
(2)前記導電性物質が導電性金属微粒子であることを特徴とする(1)項に記載の導電膜の製造方法
前記の導電性金属部を形成する工程が、支持体上に感光性銀塩と水溶性バインダーとを含有する感光層を有する感光材料を露光し現像することによって、前記支持体上に導電性金属銀部を形成する工程であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の導電膜の製造方法。
)前記の調湿条件の温度が60℃以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
)前記の調湿条件の温度が80℃以上であることを特徴とする(4)項に記載の導電膜の製造方法。
)前記の調湿条件の相対湿度が60%以上であることを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
)前記の調湿条件の相対湿度が80%以上であることを特徴とする(6)項に記載の導電膜の製造方法。
)前記水溶性バインダーが水溶性ポリマーであることを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
)前記支持体上のいかなる層にも硬膜剤を含有しないことを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
10)前記湿熱処理工程の前に、前記導電性金属部を平滑化処理する平滑化処理工程を有することを特徴とする()〜()のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
11)前記平滑化処理を線圧力1960N/cm(200kgf/cm)以上で行うことを特徴とする(10)項に記載の導電膜の製造方法
12)(1)〜(11)のいずれか1項に記載の方法によって製造された導電膜
本明細書において、「湿度」とは相対湿度をいう。
本発明によれば、高い導電性を有する導電膜を、メッキ処理を施すことなく低コストで製造することができる。また、導電性金属部が所定のパターン形状の場合には、高い導電性と同時に高い透明性も有する。特に、高い電磁波シールド性と高い透明性とを有し、且つ、メッシュ部が黒色の透光性導電膜を、銀塩感光材料を用いて低コストで製造することができる。
本発明の方法によって製造された導電膜は低抵抗性で、電磁波シールド材として用いることができる。特に透光性導電膜は、透光性電磁波遮蔽フィルムや透明発熱フィルムなどとして有用である。本発明の導電膜は、液晶テレビ、プラズマテレビ、有機EL、無機EL、太陽電池、タッチパネル等に応用することができ、また、導電性パターニング材料としてプリント配線基板などに広く応用することができる。
本発明の導電膜の製造方法は、支持体上に導電性物質と水溶性バインダーとを含有する導電性金属部を形成する工程と、前記の導電性金属部が形成された支持体を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置する湿熱処理工程とを有することを特徴とする。
従来の導電膜の製造において、前記バインダーは、支持体上に導電性金属部を形成するのに必要であるが、導電性物質同士の結合を阻害し、導電性を低下させる一因となっていた。また、かかるバインダーとしてゼラチンを用いた場合には、経時により黄変・変色してしまい、透明性の低下を引き起こすという問題があった。
本発明は、導電性金属部が形成された支持体を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置することにより、導電膜の導電性を向上させることができる、という知見に基づきなされるに至ったものである。導電膜の導電性が向上する理由については定かではないが、温度と湿度の影響により少なくとも一部の水溶性バインダーが湿潤し金属(導電性物質)同士がより結合しやすくなるものと考えられる。
なお、バインダーを除去する先行技術としては、粉末成形の分野で超音波振動を用いる方法(例えば特開平5−163504号公報)や酸性ガスを用いる方法(例えば特開平5−78177号公報)等があるが、いずれも時間がかかるものである。また、銀塩を300〜400℃で焼成してバインダーを焼却する方法(例えば特開昭51−16925号公報)もあるが、高温を必要とし、またプラスチックフィルム支持体もともに溶融してしまう。また、いずれも導電膜の導電性の向上を目的としてバインダーを除去するものではない。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
本発明の方法では、まず支持体上に導電性物質と水溶性バインダーとからなる導電性金属部を形成する。本発明で作製される導電膜は、光透過性であることが好ましいが、これに限定されない。
支持体としては、後述の感光材料用支持体と同様のものが使用できるが、プラスチックフィルム(熱可塑性樹脂フィルム)、プラスチック板、ガラス板等を用いることができる。この中でも、透明性を有するもの、例えば、透明フレキシブル支持体が好ましい。なお、支持体の膜厚は、フレキシブル性の観点から200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましい。
導電性物質としては銅、銀、アルミニウム、インジウムスズ酸化物(ITO)等を用いることができ、特に銀が好ましい。また、粒子径は500μm以下であればよく、300μm以下がより好ましい。また、ナノサイズの導電性金属微粒子を用いた場合には、湿熱処理工程での導電性向上の効果が特に優れる。導電性物質の具体例としては銀ペースト(ナノサイズの導電性金属微粒子を用いた場合には銀ナノペースト)などが挙げられる。銀ペーストは、所定の粒子径の銀粒子を樹脂バインダーなどの適当な溶媒に分散させて得られる導電性の糊状物質(ペースト)であり、試料の取り付けや導電処理などに用いられている。市販品としては、例えば、ペルトロンK−3424LB(商品名、ペルノックス株式会社製)などが挙げられる。また、銀ナノペーストを用いる場合、導電性物質粒子の形状は、粒状、針状等が挙げられる。また、その大きさは、球換算径で表した平均粒径が、好ましくは25μm以下であり、より好ましく1000nm以下である。なお、下限値は10nm以上である。
水溶性バインダーとしては後述のものを用いることができる。バインダーは水溶性ポリマーが好ましい。バインダー使用量は、導電性物質/バインダー体積比率が1/4以上であることが好ましく、1/1以上であることがより好ましい。
導電性金属部の体積抵抗は、導電性金属部における導電性物質の密度をA、導電性金属部におけるバインダーの密度をB、導電性金属部の体積抵抗をCとしたとき、下記式(1)を満足することが好ましい。ここで、導電性物質の密度およびバインダーの密度は、塗布での銀およびゼラチン、カラギナン量の添加量から求めることができる。また、導電性金属部の体積抵抗は、表面抵抗および膜厚から、(表面抵抗)×(膜厚)によって求めることができる。表面抵抗は抵抗測定器によって、膜厚は断面SEM(走査型電子顕微鏡)によって測定することができる。この特性を有する導電膜は、湿熱処理工程を有する本発明の製造方法によって得られ、例えば、現像後は粒子状であった導電性金属が、湿熱処理によって導電性金属が融着して得られる。
Figure 0005329802
導電性物質と水溶性バインダーとからなる導電性金属部を形成する方法としては、後述の感光材料を用いる方法のほかに、張り合わせ等がある。ここで、張り合わせとは、網目状の金属及び/又は合金の細線構造部と、透明導電膜を形成した透明フィルムとを別々に形成して重ねあわせ、本発明の透明導電膜を形成することをいう。すなわち、金属及び/又は合金の細線構造部と透明導電膜を張り合わせてもよい。また、導電性金属部は、印刷法により形成してもよい。印刷法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷がある。具体的には、特開平11−170420号公報、特開2003−109435号公報、特開2007−281290号公報、国際公開第WO2007/119707A1号パンフレット等に記載の方法を使用することができる。
以下に、導電性物質と水溶性バインダーとからなる導電性金属部を形成する方法の好ましい方法として、感光材料を用いる方法について説明する。この方法では、支持体上に感光性銀塩と水溶性バインダーとを含有する感光層を有する感光材料を露光し現像することによって、前記支持体上に導電性金属銀部および光透過性部を形成する。
〈導電膜作成感光材料〉
[支持体]
本発明の製造方法に用いられる感光材料の支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。またアルミなどの金属箔ベースを用いることもできる。
支持体としては、PET(258℃)、PEN(269℃)、PE(135℃)、PP(163℃)、ポリスチレン(230℃)、ポリ塩化ビニル(180℃)、ポリ塩化ビニリデン(212℃)やTAC(290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフィルム、またはプラスチック板が好ましく、特に透光性電磁波遮蔽膜用には光透過性や加工性などの観点から、PETが好ましい。
透明導電性フィルムは透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが好ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。
本発明における支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイ用導電性フィルムの用途として用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
[乳剤層(銀塩含有感光層)]
本発明の製造方法に用いられる感光材料は、支持体上に、光センサーとして銀塩乳剤を含む乳剤層(銀塩含有感光層)を有する。銀塩含有感光層は、銀塩とバインダーの他、溶媒や染料などの添加剤を含有することができる。
また好ましくは、乳剤層は実質的に最上層に配置されている。ここで、「乳剤層が実質的に最上層である」とは、乳剤層が実際に最上層に配置されている場合のみならず、乳剤層の上に設けられた層の総膜厚が0.5μm以下であることを意味する。乳剤層の上に設けられた層の総膜厚は、好ましくは0.2μm以下である。
以下、乳剤層に含まれる各成分について説明する。
<染料>
感光材料には、少なくとも乳剤層に染料が含まれていてもよい。該染料は、フィルター染料として若しくはイラジエーション防止その他種々の目的で乳剤層に含まれる。上記染料としては、固体分散染料を含有してよい。本発明に好ましく用いられる染料としては、特開平9−179243号公報記載の一般式(FA)、一般式(FA1)、一般式(FA2)、一般式(FA3)で表される染料が挙げられ、具体的には同公報記載の化合物F1〜F34が好ましい。また、特開平7−152112号公報記載の(II−2)〜(II−24)、特開平7−152112号公報記載の(III−5)〜(III−18)、特開平7−152112号公報記載の(IV−2)〜(IV−7)等も好ましく用いられる。
このほか、本発明に使用することができる染料としては、現像または定着の処理時に脱色させる固体微粒子分散状の染料としては、特開平3−138640号公報記載のシアニン染料、ピリリウム染料およびアミニウム染料が挙げられる。また、処理時に脱色しない染料として、特開平9−96891号公報記載のカルボキシル基を有するシアニン染料、特開平8−245902号公報記載の酸性基を含まないシアニン染料および同8−333519号公報記載のレーキ型シアニン染料、特開平1−266536号公報記載のシアニン染料、特開平3−136038号公報記載のホロポーラ型シアニン染料、特開昭62−299959号公報記載のピリリウム染料、特開平7−253639号公報記載のポリマー型シアニン染料、特開平2−282244号公報記載のオキソノール染料の固体微粒子分散物、特開昭63−131135号公報記載の光散乱粒子、特開平9−5913号公報記載のYb3+化合物および特開平7−113072号公報記載のITO粉末等が挙げられる。また、特開平9−179243号公報記載の一般式(F1)、一般式(F2)で表される染料で、具体的には同公報記載の化合物F35〜F112も用いることができる。
また、上記染料としては、水溶性染料を含有することができる。このような水溶性染料としては、オキソノール染料、ベンジリデン染料、メロシアニン染料、シアニン染料およびアゾ染料が挙げられる。中でも本発明においては、オキソノール染料、ヘミオキソノール染料およびベンジリデン染料が有用である。本発明に用い得る水溶性染料の具体例としては、英国特許584,609号明細書、同1,177,429号明細書、特開昭48−85130号公報、同49−99620号公報、同49−114420号公報、同52−20822号公報、同59−154439号公報、同59−208548号公報、米国特許2,274,782号明細書、同2,533,472号明細書、同2,956,879号明細書、同3,148,187号明細書、同3,177,078号明細書、同3,247,127号明細書、同3,540,887号明細書、同3,575,704号明細書、同3,653,905号明細書、同3,718,427号明細書に記載されたものが挙げられる。
上記乳剤層中における染料の含有量は、イラジエーション防止などの効果と、添加量増加による感度低下の観点から、全固形分に対して0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がさらに好ましい。
<銀塩>
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩および酢酸銀などの有機銀塩が挙げられる。本発明においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明で好ましく用いられるハロゲン化銀について説明する。
本発明においては、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましく、ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においても用いることができる。
上記ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらに臭化銀や塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
尚、ここで、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
なお、ハロゲン化銀乳剤における沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1.5mol%を超えない範囲であることが好ましい。沃化銀含有率を1.5mol%を超えない範囲とすることにより、カブリを防止し、圧力性を改善することができる。より好ましい沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1mol%以下である。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができ、立方体、14面体が好ましい。
ハロゲン化銀粒子は内部と表層が均一な相からなっていても異なっていてもよい。また粒子内部或いは表面にハロゲン組成の異なる局在層を有していてもよい。
本発明における乳剤層の形成に用いられるハロゲン化銀乳剤は単分散乳剤が好ましく、{(粒子サイズの標準偏差)/(平均粒子サイズ)}×100で表される変動係数が20%以下、より好ましくは15%以下、最も好ましくは10%以下であることが好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、粒子サイズの異なる複数種類のハロゲン化銀乳剤を混合してもよい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、VIII族、VIIB族に属する金属を含有してもよい。特に、高コントラストおよび低カブリを達成するために、ロジウム化合物、イリジウム化合物、ルテニウム化合物、鉄化合物、オスミウム化合物などを含有することが好ましい。これら化合物は、各種の配位子を有する化合物であってよく、配位子として例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどや、こうした擬ハロゲン、アンモニアのほか、アミン類(メチルアミン、エチレンジアミン等)、ヘテロ環化合物(イミダゾール、チアゾール、5−メチルチアゾール、メルカプトイミダゾールなど)、尿素、チオ尿素等の、有機分子を挙げることができる。
また、高感度化のためにはK4〔Fe(CN)6〕やK4〔Ru(CN)6〕、K3〔Cr(CN)6〕のごとき六シアノ化金属錯体のドープが有利に行われる。
上記ロジウム化合物としては、水溶性ロジウム化合物を用いることができる。水溶性ロジウム化合物としては、例えば、ハロゲン化ロジウム(III)化合物、ヘキサクロロロジウム(III)錯塩、ペンタクロロアコロジウム錯塩、テトラクロロジアコロジウム錯塩、ヘキサブロモロジウム(III)錯塩、ヘキサアミンロジウム(III)錯塩、トリザラトロジウム(III)錯塩、K3Rh2Br9等が挙げられる。
これらのロジウム化合物は、水或いは適当な溶媒に溶解して用いられるが、ロジウム化合物の溶液を安定化させるために一般によく行われる方法、すなわち、ハロゲン化水素水溶液(例えば塩酸、臭酸、フッ酸等)、或いはハロゲン化アルカリ(例えばKCl、NaCl、KBr、NaBr等)を添加する方法を用いることができる。水溶性ロジウムを用いる代わりにハロゲン化銀調製時に、あらかじめロジウムをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させることも可能である。
その他、本発明では、Pd(II)イオンおよび/またはPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。
このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオンおよび/またはPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の、銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4や、Na2PdCl4等が挙げられる。
本発明では一般のハロゲン化銀写真感光材料と同様に化学増感を施しても、施さなくてもよい。化学増感の方法としては、例えば特開2000−275770号の段落番号0078以降に引用されている、写真感光材料の感度増感作用のあるカルコゲナイト化合物あるいは貴金属化合物からなる化学増感剤をハロゲン化銀乳剤に添加することによって行われる。本発明の感光材料に用いる銀塩乳剤としては、このような化学増感を行わない乳剤、すなわち未化学増感乳剤を好ましく用いることができる。本発明において好ましい未化学増感乳剤の調製方法としては、カルコゲナイトあるいは貴金属化合物からなる化学増感剤の添加量を、これらが添加されたことによる感度上昇が0.1以内になる量以下の量にとどめることが好ましい。カルコゲナイトあるいは貴金属化合物の添加量の具体的な量に制限はないが、本発明における未化学増感乳剤の好ましい調製方法として、これら化学増感化合物の総添加量をハロゲン化銀1モルあたり5×10-7モル以下にすることが好ましい。
<水溶性バインダー>
乳剤層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーが用いられる。本発明において上記バインダーとしては、後述の湿熱処理により除去される水溶性バインダーが用いられる。かかる水溶性バインダーとしては、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロースおよびその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
またゼラチンとしては石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他アミノ基、カルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
乳剤層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。乳剤層中のバインダーの含有量は、Ag/バインダー体積比率が1/2以上であることが好ましく、1/1以上であることがより好ましい。
<溶媒>
上記乳剤層の形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等アルコール類、アセトンなどケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、およびこれらの混合溶媒を挙げることができる。
本発明の乳剤層に用いられる溶媒の含有量は、前記乳剤層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
<帯電防止剤>
本発明に係る感光材料は帯電防止剤を含有することが好ましく、乳剤層と反対側の支持体面上にコーティングするのが望ましい。
帯電防止層としては、表面抵抗率が25℃25%RHの雰囲気下で1012Ω以下の導電性物質含有層を好ましく用いることができる。本発明に好ましい帯電防止剤として、下記の導電性物質を好ましく用いることができる。
特開平2−18542号公報第2頁左下13行目から同公報第3頁右上7行目に記載の導電性物質。具体的には、同公報第2頁右下2行目から同頁右下10行目に記載の金属酸化物、および同公報に記載の化合物P−1〜P−7の導電性高分子化合物。米国特許第5575957号明細書、特開平10−142738号公報段落番号0045〜0043、特開平11−223901号公報段落番号0013〜0019に記載の針状の金属酸化物等が用いることができる。
本発明で用いられる導電性金属酸化物粒子は、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaOおよびMoO3ならびにこれらの複合酸化物、そしてこれらの金属酸化物にさらに異種原子を含む金属酸化物の粒子を挙げることができる。金属酸化物としては、SnO2、ZnO、Al23、TiO2、In23、およびMgOが好ましく、さらに、SnO2、ZnO、In23およびTiO2が好ましく、SnO2が特に好ましい。異種原子を少量含む例としては、ZnOに対してAlあるいはIn、TiO2に対してNbあるいはTa、In23に対してSn、およびSnO2に対してSb、Nbあるいはハロゲン元素などの異種元素を0.01〜30モル%(好ましくは0.1〜10モル%)ドープしたものを挙げることができる。異種元素の添加量が、0.01モル%未満の場合は酸化物または複合酸化物に充分な導電性を付与することができにくくなり、30モル%を超えると粒子の黒化度が増し、帯電防止層が黒ずむため適さない。従って、本発明では導電性金属酸化物粒子の材料としては、金属酸化物または複合金属酸化物に対し異種元素を少量含むものが好ましい。また結晶構造中に酸素欠陥を含むものも好ましい。
上記異種原子を少量含む導電性金属酸化物微粒子としては、アンチモンがドープされたSnO2粒子が好ましく、特にアンチモンが0.2〜2.0モル%ドープされたSnO2粒子が好ましい。
本発明に用いる導電性金属酸化物の形状については特に制限はなく、粒状、針状等が挙げられる。また、その大きさは、球換算径で表した平均粒径が、好ましくは0.5nm〜25μmである。
また、導電性を得るためには、例えば、可溶性塩(例えば塩化物、硝酸塩など)、蒸着金属層、米国特許第2861056号明細書および同第3206312号明細書に記載のようなイオン性ポリマーまたは米国特許第3428451号明細書に記載のような不溶性無機塩を使用することもできる。
このような導電性金属酸化物粒子を含有する帯電防止層はバック面の下塗り層、乳剤層の下塗り層などとして設けることが好ましい。その添加量は両面合計で0.01〜1.0g/m2であることが好ましい。
また、感光材料の内部抵抗率は25℃25%RHの雰囲気下で1.0×107〜1.0〜1012Ωであることが好ましい。
本発明において、前記導電性物質のほかに、特開平2−18542号公報第4頁右上2行目から第4頁右下下から3行目、特開平3−39948号公報第12頁左下6行目から同公報第13頁右下5行目に記載の含フッ素界面活性剤を併用することによって、更に良好な帯電防止性を得ることができる。
<その他の添加剤>
本発明における感光材料に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、例えば下記公報等に記載されたものを好ましく用いることができる。ただし、本発明では、硬膜剤を使用しないことが好ましい。硬膜剤を使用した場合、後述の湿熱処理を行うと、抵抗が上がり、導電率が下がってしまうためである。
1)造核促進剤
上記造核促進剤としては、特開平6−82943号公報に記載の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)の化合物や、特開平2−103536号公報第9頁右上欄13行目から同第16頁左上欄10行目の一般式(II−m)〜(II−p)および化合物例II−1〜II−22、並びに、特開平1−179939号公報に記載の化合物が挙げられる。
2)分光増感色素
上記分光増感色素としては、特開平2−12236号公報第8頁左下欄13行目から同右下欄4行目、同2−103536号公報第16頁右下欄3行目から同第17頁左下欄20行目、さらに特開平1−112235号、同2−124560号、同3−7928号、および同5−11389号各公報に記載の分光増感色素が挙げられる。
3)界面活性剤
上記界面活性剤としては、特開平2−12236号公報第9頁右上欄7行目から同右下欄7行目、および特開平2−18542号公報第2頁左下欄13行目から同第4頁右下欄18行目に記載の界面活性剤が挙げられる。
4)カブリ防止剤
上記カブリ防止剤としては、特開平2−103536号公報第17頁右下欄19行目から同第18頁右上欄4行目および同右下欄1行目から5行目、さらに特開平1−237538号公報に記載のチオスルフィン酸化合物が挙げられる。
5)ポリマーラテックス
上記ポリマーラテックスとしては、特開平2−103536号公報第18頁左下欄12行目から同20行目に記載のものが挙げられる。
6)酸基を有する化合物
上記酸基を有する化合物としては、特開平2−103536号公報第18頁右下欄6行目から同第19頁左上欄1行目に記載の化合物が挙げられる。
7)黒ポツ防止剤
上記黒ポツ防止剤とは、未露光部に点状の現像銀が発生することを抑制する化合物であり、例えば、米国特許第4956257号明細書および特開平1−118832号公報に記載の化合物が挙げられる。
8)レドックス化合物
レドックス化合物としては、特開平2−301743号公報の一般式(I)で表される化合物(特に化合物例1ないし50)、同3−174143号公報第3頁ないし第20頁に記載の一般式(R−1)、(R−2)、(R−3)、化合物例1ないし75、さらに特開平5−257239号、同4−278939号各公報に記載の化合物が挙げられる。
9)モノメチン化合物
上記モノメチン化合物としては、特開平2−287532号公報の一般式(II)の化合物(特に化合物例II−1ないしII−26)が挙げられる。
10)ジヒドロキシベンゼン類
特開平3−39948号公報第11頁左上欄から第12頁左下欄の記載、および欧州特許公開EP452772A号公報に記載の化合物が挙げられる。
[その他の層構成]
乳剤層の上に保護層を設けても良い。本発明において「保護層」とは、ゼラチンや高分子ポリマーといったバインダーからなる層を意味し、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光性を有する乳剤層上に形成される。その厚みは0.2μm以下が好ましい。上記保護層の塗布方法及び形成方法は特に限定されず、公知の塗布方法を適宜選択することができる。
〈導電性金属部の形成方法〉
上記の感光材料を用いて導電性金属部を形成する方法について説明する。
なお、本発明によって得られる導電性膜は、パターン露光によって金属が支持体上に形成されたものだけでなく、面露光によって金属が形成されたものであってもよい。また、導電性膜を例えばプリント基板として用いる場合には、金属銀部と絶縁性部を形成してもよい。
本発明における導電性金属部の形成方法には、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(1)の態様は、一体型黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜などの透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像であり、高比表面のフィラメントである点で後続するメッキ又は物理現像過程で活性が高い。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜などの透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面が小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性導電膜などの透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理および反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、及び拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Process,4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。また、例えば、特開2004−184693号公報、同2004−334077号公報、同2005−010752号公報、特願2004−244080号明細書、同2004−085655号明細書等に記載の技術を参照することもできる。
[露光]
本発明の製造方法では、支持体上に設けられた銀塩含有感光層の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
上記光源としては、例えば、陰極線(CRT)を用いた走査露光を挙げることができる。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便で且つコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。発光体としては、例えば、赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種または2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤色、緑色および青色に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。また、紫外線ランプも好ましく、水銀ランプのg線、水銀ランプのi線等も利用される。
また本発明の製造方法では、露光を種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本発明における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶とを組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。システムをコンパクトで、安価なものにするために、露光は、半導体レーザー、半導体レーザー或いは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
レーザー光源としては、具体的には、波長430〜460nmの青色半導体レーザー(2001年3月 第48回応用物理学関係連合講演会で日亜化学発表)、半導体レーザー(発振波長約1060nm)を導波路状の反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した約530nmの緑色レーザー、波長約685nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6738MG)、波長約650nmの赤色半導体レーザー(日立タイプNo.HL6501MG)などが好ましく用いられる。
銀塩含有層をパターン状に露光する方法は、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。この際、レンズを用いた屈折式露光でも反射鏡を用いた反射式露光でもよく、コンタクト露光、プロキシミティー露光、縮小投影露光、反射投影露光などの露光方式を用いることができる。
[現像処理]
本発明の製造方法では、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が施される。上記現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。市販品としては、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトールや、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、Dsd−19、D−72などの現像液、またはそのキットに含まれる現像液を用いることができる(いずれも商品名)。また、リス現像液を用いることもできる。リス現像液としては、KODAK社製のD85(商品名)などを用いることができる。
本発明の透光性導電膜の製造方法では、上記の露光および現像処理を行うことにより露光部にパターン状の金属銀部が形成されると共に、未露光部に後述する光透過性部が形成される。なお、本発明では、現像温度、定着温度および水洗温度は35℃以下で行うことが好ましい。
本発明の製造方法における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明の製造方法において定着処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
現像処理で用いられる現像液には、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有させることができる。上記画質向上剤としては、例えば、ベンゾトリアゾールなどの含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合は、特にポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
現像処理後の露光部に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得やすいため好ましい。
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
[酸化処理]
本発明の製造方法では、現像処理後の金属銀部は、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
上記酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光および現像処理後に行うことができる。
本発明では、さらに露光および現像処理後の金属銀部を、Pdを含有する溶液で処理することもできる。Pdは、2価のパラジウムイオンであっても金属パラジウムであってもよい。この処理により金属銀部の黒色が経時変化することを抑制できる。
[還元処理]
現像処理後に還元水溶液に浸漬することで、好ましい導電性の高いフィルムを得ることができる。
還元水溶液としては、亜硫酸ナトリム水溶液、ハイドロキノン水溶液、パラフェニレンジアミン水溶液、シュウ酸水溶液などを用いることができ、水溶液のpHは10以上とすることがさらに好ましい。
〈導電性金属部の平滑化処理〉
[平滑化処理(カレンダー処理)]
本発明の製造方法では、現像処理済みの金属銀部(全面金属銀部、金属メッシュ状パターン部又は金属配線パターン部)に平滑化処理を施すことが好ましい。これによって金属銀部の導電性が顕著に増大する。さらに、金属銀部と光透過性部の面積を好適に設計することで、高い電磁波シールド性と高い透光性とを同時に有し、且つ、メッシュ部が黒色の透光性電磁波シールド膜及び高い導電性と高い絶縁性とを同時に有する、ピンホールのないプリント基板が得られる。
導電性金属部を形成した後、導電性金属部における金属粒子同士の結合部分を増加させるために、平滑化処理することが好ましい。特に、後述する湿熱処理工程の前に、平滑化処理をすることが好ましい。平滑化を行ってから湿熱処理を行うことで、導電性粒子を結合させてから融着させることができ、より効果的に導電性を向上させることができる。
平滑化処理は例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは通常一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミドなどのプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の下限値は、好ましくは1960N/cm(200kg/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kg/cm)以上である。線圧力の上限値は、好ましくは6860N/cm(700kgf/cm)以下である。ここで、線圧力(荷重)とは、圧密処理されるフィルム試料1cmあたりにかかる力とする。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は、10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュ状パターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲である。
以上に述べたように本発明の製造方法によって、高い導電性を有する導電膜を簡便で低コストで製造することができる。本発明では、銀塩(特にハロゲン化銀)感光材料を用いた導電膜の製造方法において、好ましくは線圧力1960N/cm(200kgf/cm)以上という高い線圧で平滑化処理を行うことで、導電膜の表面抵抗を十分に低減できる。このような高い線圧で平滑化処理を行う場合、金属銀部が細線状(特に、線幅が25μm以下)に形成されていると、その金属銀部の線幅が広がり所望のパターンを形成することが難しくなると考えられる。しかし、平滑化処理の対象が銀塩(特にハロゲン化銀)感光材料である場合には、線幅の広がりが小さく、所望のパターンの金属銀部を形成することができる。すなわち、所望のパターンで、均一な形状の金属銀部を形成することができることから不良品の発生を抑制でき、導電膜の生産性をさらに向上させることができる。上記線圧力で平滑化処理を行う場合、前記平滑化処理をカレンダーロールで行うことが好ましく、一対の金属ロール、または、金属ロールと樹脂ロールとの組み合わせで行われる。このとき、ロール間の面圧力は600kgf/cm2以上に設定することが好ましく、800kgf/cm2以上に設定することがより好ましく、900kgf/cm2以上に設定することがさらに好ましい。またこのときの上限値は、2000kgf/cm2以下に設定することが好ましい。
〈湿熱処理〉
本発明の方法では、支持体上に導電性金属部を形成した後、前記の導電性金属部が形成された支持体を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置する湿熱処理を行う。これにより短時間で簡便に導電性および透明性を向上させることができる。上述のとおり、導電膜の導電性が向上する理由についてはまだ定かではないが、本発明では、少なくとも一部の水溶性バインダーが湿度の上昇とともに微小移動しやすくなり、金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
調湿条件の温度は、好ましくは40℃以上100℃以下であり、より好ましくは60℃〜100℃である。特に好ましくは約80℃〜100℃であり、高温であるほど導電性の向上が顕著である。また、調湿条件の相対湿度は、好ましくは5%〜100%であり、より好ましくは40%〜100%であり、更に好ましくは60%〜100%であり、特に好ましくは80%〜100%である。湿熱処理時間は、使用する水溶性バインダーの種類によって異なるが、支持体のサイズが60cm×1mの場合、約5分〜約60分程度が好ましく、約5分〜約30分が更に好ましく、約5分〜約10分が特に好ましい。
上述したように、本発明の方法は、導電性金属部が形成された支持体を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置する湿熱処理工程を有する。ここで、本発明の好ましい一実施態様では、平滑化処理の後に湿熱処理を行う。
本発明の製造方法においては、線幅、開口率、Ag含有量を特定したメッシュ状の金属銀部を、露光・現像処理によって直接支持体上に形成するため十分な表面抵抗値を有することから、更に金属銀部に物理現像および/またはメッキ処理を施してあらためて導電性を付与する必要がない。このため、簡易な工程で透光性電磁波シールド膜を製造することができる。
[めっき処理]
なお、本発明においては、導電性金属部に対してさらにめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、さらに表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
なお、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本発明と下記公報に開示の技術とを組み合わせて使用することができる。特開2004−221564号公報、特開2004−221565号公報、特開2006−012935号公報、特開2006−010795号公報、特開2006−228469号公報、特開2006−228473号公報、特開2006−228478号公報、特開2006−228480号公報、特開2006−228836号公報、特開2006−267627号公報、特開2006−269795号公報、特開2006−267635号公報、特開2006−286410号公報、特開2006−283133号公報、特開2006−283137号公報。
本発明の方法によって製造された導電膜は低抵抗性で、電磁波シールド材として用いることができる。特に透光性導電膜は、透光性電磁波遮蔽フィルムや透明発熱フィルムなどとして好適に用いることができる。本発明の導電膜は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、有機EL、無機EL、太陽電池、タッチパネル、プリント回路基板などに広く応用することができる。このため、本発明の透光性電磁波遮蔽膜を含んでなるプラズマディスプレイパネル用透光性電磁波シールド膜を用いて形成されたプラズマディスプレイパネルは、高電磁波シールド能、高コントラストおよび高明度であり、且つ低コストで作製することができる。
以下に、本発明の導電膜を用いた電磁波シールドフィルムの好ましい一実施態様について説明する。図1は、本発明の導電膜を用いた電磁波シールドフィルムの好ましい一実施態様の断面図である。
電磁波シールドフィルム10は、透明性の支持体12と、該支持体12上に設けられ、且つ、導電性金属からなる細線構造部(導電性金属部)14及び透光性の導電膜16とを有する。ここで、細線構造部14は上述した導電性金属部に相当するものであり、図1における支持体12及び細線構造部14が本発明の導電膜に相当する。すなわち、図1に示した電磁波シールドフィルム10は、本発明の導電膜に透光性の導電膜16を組み合わせたものである。本発明の導電膜と、透光性の導電膜16を形成した透明フィルムとを別々に形成して重ねあわせて、電磁波シールドフィルム10を作製することができる。図1に示すように、細線構造部14の厚み(高さ)を透光性の導電膜16の厚み(高さ)とほぼ同じとして、細線構造部14の上面を露出させるようにしてもよい。また、透光性の導電膜16と本発明の導電膜との密着性等を向上させるために、有機高分子材料からなる中間層を用いたり、表面処理をしたりすることを好ましく行うことができる。
[透光性の導電膜16]
透光性の導電膜16は、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートベース等の透明フィルム上に、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)/PSS・ポリアニリン・ポリピロール・ポリチオフェン・ポリイソチアナフテン等の透明導電性有機ポリマー、金属酸化物、金属微粒子、金属ナノロッド・ナノワイヤ等の導電性金属、カーボンナノチューブ等の導電性無機微粒子、又は有機水溶性塩のいずれかを、塗布、印刷等の方法で一様に付着、成膜することで得られる。これらの塗布液は塗布適性向上や膜物性調整のために他の非導電性ポリマーやラテックス等をブレンドして用いてもよい。また、銀の薄膜を高屈折率層で挟んだ多層構造を用いてもよい。これら透明導電性材料に関しては、東レリサーチセンター発行「電磁波シールド材料の現状と将来」、特開平9−147639号公報等に記載されている。塗布及び印刷の方法としては、スライドコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター等の塗布コーターやスクリーン印刷等が用いられる。
導電膜16の体積抵抗は0.05Ω・cm以上であることが好ましい。また、導電膜16の表面抵抗は1000Ω/sq以上であることが好ましい。導電膜16の表面抵抗は、JIS K6911に記載の測定方法に準じて測定することができる。
導電膜16は、耐水性や耐溶剤性等が向上されることから、架橋されていることが好ましい。その場合、導電膜16は、架橋剤により架橋されていてもよいし、感光性に影響のない手段によって架橋剤の添加なしに、単に、光照射により誘起される光化学反応を利用して架橋されていてもよい。架橋剤としては、ビニルスルホン類(例えば1,3−ビスビニルスルホニルプロパン)、アルデヒド類(例えばグリオキサール)、塩化ピリミジン類(例えば2,4,6−トリクロロピリミジン)、塩化トリアジン類(例えば塩化シアヌル)、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類及びトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(いずれも商品名、ナガセ化成工業(株)製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
カルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物を使用することが好ましい。ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、カルボジイミド系化合物の具体的な市販品としては、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)等が入手可能である。
導電膜16の形成方法としては、スパッタリング等の各種物理的方法、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法等の各種の塗布法等を利用することができる。
これらの方法により導電膜16を形成する場合は、(A)細線パターンの凹部を埋めて、細線構造部14の表面と導電膜16の表面とが例えば平滑な表面を形成するように導電膜16の設置量を調整する方法、(B)研磨によって細線構造部14の表面と導電膜16の表面とが平滑な表面を形成するように調整する方法、(C)細線構造部14の表面に、導電膜16の材料が付着することを防止する表面処理を施した後に導電膜16を形成する方法が好ましく用いられる。
(C)の方法では、導電膜16の材料の塗布液が一般的に高極性であるか、あるいは親水的であるために、細線構造部14の表面は低極性あるいは疎水的であることが望ましく、具体的には細線構造部14の表面にアルキルチオール類に代表される疎水性金属表面処理剤を用いて表面処理を施されることが好ましい。この処理剤は後処理にて除去することがさらに好ましい。
また、導電膜16は、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層又はアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、近赤外線を吸収する化合物や金属からなる近赤外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋等の汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層等を設けることができる。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1
(乳剤Aの調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液及び3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、下記の2液及び3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
・1液:
水 750ml
ゼラチン(フタル化処理ゼラチン) 20g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いるヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005%KCl 20%水溶液)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001%NaCl 20%水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl 20%水溶液に溶解し、40℃で120分間加熱して調製した。
・4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。最終的に乳剤として、pH=6.4、pAg=7.5、電導度=40μS/m、密度=1.2×103kg/m3、粘度=60mPa・sとなった。
(乳剤Bの調製)
乳剤Aの調製において、前記1液のゼラチン量を8gとしたこと以外は同様にして乳剤Bを調製した。
(塗布試料の作製)
《乳剤層塗布液−1の調製》
上記乳剤Aに増感色素(SD−1)5.7×10-4モル/モルAgを加えて分光増感を施した。さらにKBr3.4×10-4モル/モルAg、化合物(Cpd−3)8.0×10-4モル/モルAgを加え、良く混合した。
次いで1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩90mg/m2、ゼラチンに対して15質量%の粒径10μmのコロイダルシリカ、水性ラテックス(aqL−6)50mg/m2、ポリエチルアクリレートラテックス100mg/m2、メチルアクリレートと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム塩と2−アセトキシエチルメタクリレートとのラテックス共重合体(質量比88:5:7)100mg/m2、コアシェル型ラテックス(コア:スチレン/ブタジエン共重合体(質量比37/63)、シェル:スチレン/2−アセトキシエチルアクリレート(質量比84/16)、コア/シェル比=50/50)100mg/m2、及びゼラチンに対し4質量%の硬膜剤(Cpd−7)を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整して、乳剤層塗布液−1を調製した。
《乳剤層塗布液−2》
乳剤層塗布液−1に対し、前記硬膜剤(Cpd−7)を添加しないこと以外は同様にして、乳剤層塗布液−2を調製した。
このようにして調製した乳剤層塗布液−1又は2にそれぞれ、水溶性バインダーであるカラギナンをAgに対し0.19g/m2添加した。そして、これをポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上にAg10.5g/m2、バインダー0.525g/m2になるように塗布し、その後乾燥させた。PETにはあらかじめ親水化処理したものを用いた。
得られた塗布試料はいずれも、乳剤層のAg/バインダー体積比率が4/1であった。この試料は、本発明の導電膜形成用感光材料に好ましく用いられるAg/バインダー比率1/1以上に該当している。
Figure 0005329802
上記乳剤層塗布液−2を用いて、ゼラチンを加え、ポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に塗布し、乾燥させた。PETにはあらかじめ親水化処理したものを用いた。得られた塗布試料は、Ag量10.5g/m、乳剤層のAg/バインダー体積比率(銀/Gel比(vol比))が1/1であった。これは、本発明の導電膜形成用感光材料に好ましく用いられるAg/バインダー比率1/1以上に該当している。
さらに、乳剤層に対し、その上に保護層を設けた。保護層の構成は以下の通りである。
ゼラチン 0.135g/m2
水 8.21 g/m2
界面活性剤 0.015g/m2
防腐剤 0.003g/m2
保護層は、乳剤層の上層に通常よく知られている塗布方式により形成した。乾燥後の保護層の膜厚は0.15μmであった。
(露光・現像処理)
次いで、前記乳剤層塗布液−2を用いて塗布し乾燥させた試料にライン/スペース=10μm/290μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスク(ライン/スペース=290μm/10μm(ピッチ300μm)の、スペースが格子状であるフォトマスク)を介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光し、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士写真フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、サンプルを得た。
[現像液の組成]
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
上記のように現像、定着処理したサンプルをカレンダー処理した。カレンダーロールは金属ロールからなり、カレンダー荷重(線圧)3920N/cm(400kg/cm)をかけてローラー間にサンプルを通した。その後、各サンプルについて湿熱処理を1時間行った。温度40℃、相対湿度5%の調湿条件下で行ったものをサンプル101、温度60℃、相対湿度5%の調湿条件下で行ったものをサンプル102、温度80℃、相対湿度5%の調湿条件下で行ったものをサンプル103、温度100℃、相対湿度5%の調湿条件下で行ったものをサンプル104とした。
(評価)
作製したサンプル101〜104それぞれの表面抵抗をダイアインスツルメンツ社製ロレスターGP(型番MCP−T610、商品名)直列4探針プローブ(ASP)により測定した。結果を下記表1に示す。
Figure 0005329802
表1の結果から明らかなように、湿熱処理を行ったいずれのサンプルでも表面抵抗が下がり、導電率が向上することが分かった。特に、高温であるほど効果的で、より抵抗が下がることが分かった。
実施例2
実施例1と同様にして作製し、露光・現像処理を行ったサンプルについて、以下のようにしてカレンダー処理及び湿熱処理を行った。カレンダー処理は、カレンダー荷重3920N/cm(400kgf/cm)をかけて行った。湿熱処理は、調湿条件を変更したこと以外は実施例1と同様にして行った。
サンプル201は温度100℃相対湿度5%、サンプル202は温度100℃相対湿度20%、サンプル203は温度100℃相対湿度40%、サンプル204は温度100℃相対湿度50%、サンプル205は温度100℃相対湿度60%、サンプル206は温度100℃相対湿度80%の調湿条件で30分間処理した。また、サンプル207は、カレンダー処理を行わずに、温度100℃相対湿度80%の調湿条件で30分間処理した。
各サンプルについて、湿熱処理の前後に、実施例1と同様にして表面抵抗を測定した。結果を下記表2に示す。
Figure 0005329802
表2の結果から明らかなように、湿熱処理を行ったいずれのサンプルでも表面抵抗が下がり、導電率が向上するが、特に、高湿であるほど効果的で、湿度80%のときにより効果があることが分かった。また、サンプル206及び207の結果から、カレンダー処理を行った後に湿熱処理を行うことがより効果的であることが分かった。
実施例3
実施例1と同様にして塗布試料を作製した。このとき、乳剤層塗布液におけるゼラチン量を変更して、乳剤層のAg/バインダー体積比を4.0/1、2.3/1、1.0/1とそれぞれ変更した。また、塗布試料Bにおける硬膜剤(Cpd−7)の配合量を変更し、硬膜剤/バインダーの質量比を下記表3に示すように変更した。また、実施例1と同様にして、乳剤層の上に保護層を設けた。このようにして、Ag量が10.5g/m2であるサンプル301〜318を作製した。
各サンプルに、実施例1と同様にして露光・現像処理を行った後、カレンダー荷重3920N/cm(400kg/cm)をかけ、温度100℃、相対湿度80%の調湿条件下で湿熱処理を行った。処理時間は、10分、30分、60分と変えた。
各サンプルについて、湿熱処理の前後に、実施例1と同様にして表面抵抗を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005329802
表3の結果から明らかなように、本発明の方法によれば、Ag/バインダー比を4.0/1〜1.0/1にそれぞれ変更して湿熱処理を行っても、導電性が上がることが分かった。また、硬膜剤の有無に関係なく、湿熱処理によって導電性が上がることが分かった。
実施例4
導電性ペースト(ペルトロンK−3424LB、商品名、ペルノックス株式会社製;銀/エポキシ樹脂、銀粒径:約7〜8μm)を用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)支持体上に塗布し、乾燥させて塗布試料を作製した(サンプル401〜404)。PETにはあらかじめ親水化処理したものを用いた。サンプル401及び402は、硬化条件の120℃30分で乾燥させた。サンプル403及び404は、10分間放置して自然乾燥させた。その後、サンプル402及び404に、カレンダー荷重3920N/cm(400kg/cm)をかけて実施例1と同様にしてカレンダー処理を行った。サンプル401及び403にはカレンダー処理を行わなかった。
次いで、各サンプルを、温度100℃、相対湿度80%の調湿条件下で10分間放置した。
各サンプルについて、乾燥後、カレンダー処理後、及び湿熱処理後に、実施例1と同様にして表面抵抗を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005329802
表4の結果から明らかなように、銀ナノペーストを用いた場合には、銀塩感光材料における露光・現像処理に代えて乾燥処理を行うことで、短時間で導電膜を形成することができる。また、自然乾燥を行ったサンプル403及び404に比べて、120℃で乾燥させたサンプル401及び402は、より効率的に抵抗を下げることができる。さらに、カレンダー処理をしなかったサンプル401及び403に比べて、カレンダー処理を行ったサンプル402及び404は、より効率的に抵抗を下げることができる。
図1は、本発明の導電膜を用いた電磁波シールドフィルムの好ましい一実施態様の断面図である。

Claims (12)

  1. 支持体上に導電性物質と水溶性バインダーとを含有する導電性金属部を形成する工程と、
    前記の導電性金属部が形成された支持体を、温度40℃以上、相対湿度5%以上の調湿条件下の雰囲気中に放置する湿熱処理工程とを有し、
    前記湿熱処理工程の処理時間が10〜60分であることを特徴とする導電膜の製造方法。
  2. 前記導電性物質が導電性金属微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の導電膜の製造方法。
  3. 前記の導電性金属部を形成する工程が、支持体上に感光性銀塩と水溶性バインダーとを含有する感光層を有する感光材料を露光し現像することによって、前記支持体上に導電性金属銀部を形成する工程であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電膜の製造方法。
  4. 前記の調湿条件の温度が60℃以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  5. 前記の調湿条件の温度が80℃以上であることを特徴とする請求項4に記載の導電膜の製造方法。
  6. 前記の調湿条件の相対湿度が60%以上であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  7. 前記の調湿条件の相対湿度が80%以上であることを特徴とする請求項6に記載の導電膜の製造方法。
  8. 前記水溶性バインダーが水溶性ポリマーであることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  9. 前記支持体上のいかなる層にも硬膜剤を含有しないことを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  10. 前記湿熱処理工程の前に、前記導電性金属部を平滑化処理する平滑化処理工程を有することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の導電膜の製造方法。
  11. 前記平滑化処理を線圧力1960N/cm(200kgf/cm)以上で行うことを特徴とする請求項10記載の導電膜の製造方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によって製造された導電膜。
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