JP2012021206A - 合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の要旨とするところは、溶融亜鉛めっき浴中に鋼板が浸漬あるいは接触する長さを調節することにより、鋼板が溶融亜鉛めっき浴に浸漬あるいは接触している時間を可変とすることで、めっき原板の種類やめっき付着量に応じて合金化度を制御することを特徴とする表面外観および耐パウダリング性に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法である。
【選択図】図2
Description
[exC]=[C]-(12/48)×([Ti]-(48/14)×[N])-(12/93)×[Nb]・・・(式1)
ただし、[C]、[Ti]、[N]、[Nb]はそれぞれの元素の質量%
また、同じ組成のめっき原板を用いた際でも、めっき付着量が多い場合は、めっき層全体を適度に合金化させるために必要な加熱熱量が多くなる。
(1)連続溶融亜鉛めっき設備による合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
めっき原板となる鋼板は、
質量%で、
C:0.0001〜0.005 %、
Si:0.001〜0.2 %、
Mn:0.01〜1 %、
P:0.001〜0.02 %、
S:0.0001〜0.02 %、
Al:0.001〜0.1 %、
N:0.0001〜0.004 %
Ti:0.002〜0.1 %
Nb:0.1 %以下
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、下記(式1)で定義される[exC]が、-0.02≦[exC]≦0であり、
Al含有量〔Al〕を0.12 質量%<〔Al〕≦0.14 質量%、めっき浴温を440 ℃≦〔めっき浴温〕≦470 ℃とした溶融亜鉛めっき浴を使用し、めっき付着量Fを片面10 g/m2≦F≦65 g/m2とし、前記鋼板と溶融亜鉛めっき浴との接触時間tを、下記(式2)を満足するように制御することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[exC]=[C]-(12/48)×([Ti]-(48/14)×[N])-(12/93)×[Nb] ・・(式1)
ただし、[C]、[Ti]、[N]、[Nb]はそれぞれの元素の質量%
-154[exC]-0.018F-80[Al]+0.03T-0.775< t <-223[exC]-0.016F-125[Al]+0.035T+3.45
・・・(式2)
ただし、Fはめっき付着量(g/m2)、[Al]はめっき浴中のAl濃度(%)、Tはめっき浴温(℃)
(2)前記めっき原板と溶融亜鉛めっき浴との接触時間tを、鋼板をめっき浴に導入する経路であるスナウトの角度と溶融亜鉛めっき浴中のシンクロールの深さを可変とすることにより調節することを特徴とする、上記(1)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(3)前記めっき原板と溶融めっき浴との接触時間tを、めっき用ポット内のめっき浴の深さを変えることにより調節することを特徴とする、上記(1)又は(2)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
(4)前記めっき用ポットが空中ポットであることを特徴とする、上記(3)に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
-154[exC]-0.018F-80[Al]+0.03T-0.775< t <-223[exC]-0.016F-125[Al]+0.035T+3.45
・・・(式2)
ただし、Fはめっき付着量(g/m2)、[Al]はめっき浴中のAl濃度(%)、Tはめっき浴温(℃)
の式を満足するように制御すれば、適度な合金化度と優れた耐パウダリング性を有する鋼板をえることができることを明らかにした。接触時間tが(式2)の下限値よりも小さくなると、合金化の進行が早くなるため、めっき層中のFe濃度が大きくなりすぎて、耐パウダリング性が劣化してしまう。一方、接触時間tが(式2)の上限値よりも大きくなると、合金化の進行が遅くなるため、めっき層が十分に合金化できず、表面外観が劣化してしまう。
Cは鋼の強度を高める元素であって、過剰に含有すると強度が上昇しすぎて加工性が低下する。また、Cの過剰な含有は合金化遅延の要因となる。これらのことから、Cの上限は0.005 %とする。一方0.0001 %未満とするためには精練コストが多大となるので下限は0.0001 %とする。より高い加工性を確保する上で、Cは0.0001〜0.003とするのが好ましく、0.0001〜0.002 %とするのが更に好ましい。
Siは鋼の強度を高める元素であって、過剰に含有すると強度が上昇しすぎて加工性が低下する。また、Siの過剰な含有は不めっきや著しい合金化遅延の要因となる。これらのことから、Siの上限は0.2 %とする。一方0.001 %未満とするためには精練コストが多大となるので下限は0.001 %とする。より高い加工性を確保する上で、Siは0.001〜0.02 %とするのが好ましい。
Mnは鋼の強度を高める元素であって、過剰に含有すると強度が上昇しすぎて加工性が低下する。また、Mnの過剰な含有は不めっきの要因となる。これらのことから、Mnの上限は1 %とする。一方0.01 %未満とするためには精練コストが多大となるので下限は0.01 %とする。より高い加工性を確保する上で、Mnは0.01〜0.5 %とするのが好ましい。
Pは鋼の強度を高める元素であって、過剰に含有すると強度が上昇しすぎて加工性が低下する。また、Pの過剰な含有は著しい合金化遅延の要因となる。これらのことから、Pの上限は0.02 %とする。一方0.001 %未満とするためには精練コストが多大となるので下限は0.001 %とする。より高い加工性を確保する上で、Pは0.001〜0.015 %とするのが好ましく、0.001〜0.01 %とするのが更に好ましい。
Sは鋼の熱間加工性や耐食性を低下させる元素であるから少ないほど好ましく、上限は0.02 %とする。一方0.0001 %未満とするためには精練コストが多大となるので下限は0.0001 %とする。より高い加工性を確保する上で、またコストの点で、Sは0.001〜0.015 %とするのが好ましく、0.001〜0.01 %とするのが更に好ましい。
Alは鋼の脱酸元素として0.0005 %以上を含有させることが必要であるが、過剰に含有すると加工性を損なうので、上限は0.1 %とする。より高い加工性を確保する上で、Alは0.001〜0.05 %とするのが好ましい。
Nは鋼の熱間加工性や加工性を低下させる元素であるから少ないほど好ましく、上限は0.004 %とする。一方0.0001 %未満とするためにはコストが多大となるので下限は0.0001 %とする。より高い加工性を確保する上で、またコストの点で、Nは0.0005〜0.003 %とするのが好ましい。
Tiは鋼中のCおよびNを炭化物、窒化物として固定して加工性を向上させるが、このために0.002 %以上の添加が必要である。一方、0.1 %を超えて添加しても合金添加コストが上昇するだけでなく、過剰な固溶Tiは鋼板の加工性および表面品質を損なう場合があるので上限は0.1 %とする。より高い加工性を確保する上で、Tiは0.01〜0.8 %とするのが好ましく、0.02〜0.06 %とするのが更に好ましい。
NbはTi同様、鋼中のCおよびNを炭化物、窒化物として固定して加工性を向上させるので、前記Tiの存在下で更にNbを添加してより加工性を向上させることができる。ただし、0.1 %を超えて添加しても合金添加コストが上昇するだけでなく、過剰なNb添加は鋼板の再結晶温度を上昇させ生産性を損ない、また鋼板の加工性および表面品質を損なう場合があるので上限は0.1 %とする。より高い加工性を確保する上で、Nbは0.005〜0.05 %とするのが好ましく、0.01〜0.04 %とするのが更に好ましい。
本願に述べた手法で合金化挙動を適切に制御し、かつ鋼板が適切な加工性を有するためには、下記式で定義される[exC]が、-0.02〜0である必要がある。
[exC]=[C]-(12/48)×([Ti]-(48/14)×[N])-(12/93)×[Nb]
[C]、[Ti]、[N]、[Nb]はそれぞれの元素の質量%
[exC]を-0.02未満とするには、Cを極めて低減し、更にTi,Nbの添加量も増大させる必要があるため、精錬コスト、合金コストが多大となるばかりでなく、合金化速度が大きくなることから耐パウダリング性に優れた鋼板を製造するための製造条件を実現することが困難になる。また軟質過ぎて逆に加工性を損なう場合もある。また0を超えると加工性が低下するとともに、合金化速度が低下し、本願の作用効果を奏しない。以上の観点から、[exC]は、-0.015〜-0.002とするのがより好ましく、-0.01〜-0.003とするのが更に好ましい。
試験方法は以下の通りとした。ここで、接触時間とは、鋼板がスナウト内で浴中に進入してから、めっき浴表面に到達するまでの時間とした。
外観
外観を目視で確認し、未合金化による外観ムラや不めっきの見られないものを○、未合金化による外観ムラや不めっきが生じたものを×とした。
合金化度
合金化度は、各鋼板から所定の大きさのサンプルを採取し、めっき層を溶解させて化学分析を行い、めっき層中のFe濃度を測定することで評価した。評点は以下のとおりである。
過:めっき層中Fe濃度11 %以上
適:めっき層中Fe濃度9 %以上11 %未満
未:めっき層中Fe濃度9 %未満
耐パウダリング性
耐パウダリング性は、各鋼板からサンプルを採取し、60°V曲げ方式により評価した。
すなわち、あらかじめ圧縮側に密着テープを貼った試験片を曲げ角度が60°となるようにV字状に試験片を曲げ、曲げ戻し後に密着テープをはがして、めっきの剥離の程度を目視で観察して、以下の分類で密着性を評価した。なお、合金化度が「未」と判定されたものについては、耐パウダリング性の評価は行わなかった。
○:めっき層がまったく剥離しないもの
△:めっき層の剥離が軽微であるもの
×:めっきが相当程度剥離したもの
2 ガスワイピングノズル
3 シンクロール
4 溶融めっきポット
5 スナウト
6 鋼板
7 ターンダウンロール
8 メタルポンプ
9 板面シール
Claims (4)
- 連続溶融亜鉛めっき設備による合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法であって、
めっき原板となる鋼板は、
質量%で、
C:0.0001〜0.005 %、
Si:0.001〜0.2 %、
Mn:0.01〜1 %、
P:0.001〜0.02 %、
S:0.0001〜0.02 %、
Al:0.001〜0.1 %、
N:0.0001〜0.004 %
Ti:0.002〜0.1 %
Nb:0.1 %以下
を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなり、下記(式1)で定義される[exC]が、-0.02≦[exC]≦0であり、Al含有量〔Al〕を0.12 質量%<〔Al〕≦0.14 質量%、めっき浴温を440 ℃≦〔めっき浴温〕≦470 ℃とした溶融亜鉛めっき浴を使用し、めっき付着量Fを片面10 g/m2≦F≦65 g/m2とし、前記鋼板と溶融亜鉛めっき浴との接触時間tを、下記(式2)を満足するように制御することを特徴とする合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
[exC]=[C]-(12/48)×([Ti]-(48/14)×[N])-(12/93)×[Nb] ・・(式1)
ただし、[C]、[Ti]、[N]、[Nb]はそれぞれの元素の質量%
-154[exC]-0.018F-80[Al]+0.03T-0.775< t <-223[exC]-0.016F-125[Al]+0.035T+3.45
・・・(式2)
ただし、Fはめっき付着量(g/m2)、[Al]はめっき浴中のAl濃度(%)、Tはめっき浴温(℃) - 前記めっき原板と溶融亜鉛めっき浴との接触時間tを、鋼板をめっき浴に導入する経路であるスナウトの角度と溶融亜鉛めっき浴中のシンクロールの深さを可変とすることにより調節することを特徴とする、請求項1に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記めっき原板と溶融めっき浴との接触時間tを、めっき用ポット内のめっき浴の深さを変えることにより調節することを特徴とする、請求項1又は2に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 前記めっき用ポットが空中ポットであることを特徴とする、請求項3に記載の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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