JP2012021123A - パンクシーリング剤及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パンク部位のシール性に優れると共に、液保管性が向上されたパンクシーリング剤を提供する。
【解決手段】ラテックスと、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、前記ラテックス中の粒子及び前記粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量が983〜1453.8ppmとなっている。
【選択図】なし
【解決手段】ラテックスと、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、前記ラテックス中の粒子及び前記粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量が983〜1453.8ppmとなっている。
【選択図】なし
Description
本発明は、自動車等のタイヤのパンク箇所を補修するパンクシーリング剤及びその製造方法に関する。
パンクが発生した際にその発生箇所をシールするための補修剤であるパンクシーリング剤は、(1)パンクシーリング剤の本来の機能であるパンクしたタイヤの孔をシールするパンクシール性、(2)パンクシーリング剤の粘度を低くし、バルブ等からパンクシーリング剤を注入し易くする観点から、注入容易性、(3)低温環境下でも使用可能な、ある程度の不凍性、(4)長期間保存可能な保存安定性、等が要求される。
パンクシーリング剤は、一般にパンクシーリング剤を構成する成分を攪拌混合して製造されるが、製造の過程において、例えばラテックス中のゴム等の粒子が凝集する等して、溶液がクリーム化・ゲル化等、不安定化しないように種々の工夫が施されている。
パンクシーリング剤の製造には、主な原料として、ゴムや樹脂の粒子(例えばゴムエマルジョン)や粘着付与剤(例えば粘着剤エマルジョン)、不凍液などが用いられている。ゴム等の粒子や粘着付与剤などは、合成の過程あるいは合成後の安定化の点から、界面活性剤や合成触媒の使用が不可欠とされている。特に界面活性剤は、固体の分散粒子の表面に吸着していわゆる吸着保護層が形成されることにより、パンクシーリング剤を調製した際にも、液中の固体粒子が安定した分散状態で存在するための役割を担っている。
また、これに関連する技術として、天然ゴムラテックスに粘着剤と凍結防止剤と界面活性剤とを含有してなるパンクシーリング剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このように従来より、パンクシーリング剤には、シーリング剤成分としてゴムラテックス等と共に界面活性剤自体が添加されたものが提供されているほか、シーリング剤成分であるゴムラテックスや粘着付与剤の合成過程において、界面活性剤や合成触媒が混在する状況にあるのが通例である。
しかしながら、界面活性剤や合成触媒の使用により、これら成分に由来して、パンクシーリング剤中にナトリウム等のアルカリ金属やカルシウム等のアルカリ土類金属等の金属成分が多く混在している傾向にある。
例えばアニオン性界面活性剤は、疎水基と水系溶媒中でアニオン化する親水基から構成されるが、ゴム粒子等の固体が存在すると、疎水基が固体表面に吸着し、親水基であるアニオンの負電荷を粒子外側に向けて配列することによって吸着保護層を形成している。形成された吸着保護層により固体粒子はあたかも負電荷を帯びた粒子のように振る舞うため、粒子同士はその負電荷同士の反発力により凝集せず、分散状態が形成されている。
一方、このようにゴム粒子等の固体粒子が液中に分散状態で存在している中に、陽イオンが過剰に存在すると、形成されている吸着保護層のアニオンに陽イオンが結びついて粒子の負電荷を中和してしまうため、粒子間反発力が弱まり、長期に亘って安定的に液の性状を保つことが困難になる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、パンク部位のシール性に優れると共に、従来に比べて液保管性が向上されたパンクシーリング剤及びその製造方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、アニオン性界面活性剤を含む例えば合成ゴムラテックスや粘着剤エマルジョンなどを含有する場合に、陽イオンの含有量が所定範囲を超えると、陽イオンの粒子表面への作用により、分散粒子の安定性が低下しやすくなるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ラテックス(ゴム粒子及び樹脂粒子の群より選ばれる有機粒子を分散含有)と、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、前記ラテックス中の粒子及び前記粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量が983〜1453.8ppmであるパンクシーリング剤である。
<1> ラテックス(ゴム粒子及び樹脂粒子の群より選ばれる有機粒子を分散含有)と、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、前記ラテックス中の粒子及び前記粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量が983〜1453.8ppmであるパンクシーリング剤である。
<2> 前記ラテックスは、合成ゴムラテックス(合成ゴム粒子を分散含有)である前記<1>に記載のパンクシーリング剤である。
<3> 前記合成ゴムラテックスは、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、BRラテックス、カルボキシル変性NBRラテックス、及びカルボキシル変性SBRラテックスより選択される少なくとも1種である前記<2>に記載のパンクシーリング剤である。
<4> 前記粘着剤粒子は、粘着剤粒子のエマルジョンの混合により含有されたものである前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載のパンクシーリング剤である。
<5> ラテックス(ゴム粒子及び樹脂粒子の群より選ばれる有機粒子を分散含有)と、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤のエマルジョン(粘着剤を分散含有)と、凍結防止剤とを混合することにより、107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量を983〜1453.8ppmとすると共に、前記ラテックス及び前記エマルジョンの少なくとも一方において、分散をアニオン性界面活性剤を用いて行なうパンクシーリング剤の製造方法である。
本発明によれば、パンク部位のシール性に優れると共に、従来に比べて液保管性が向上されたパンクシーリング剤及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明のパンクシーリング剤について詳細に説明する。
本発明のパンクシーリング剤は、少なくとも、ラテックスと、ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、ラテックス中の粒子及び粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、ナトリウムイオン量を107〜149ppmとし、カリウムイオン量を864〜1281ppmとし、カルシウムイオン量を10.3〜20.3ppmとし、鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を1.6〜3.5ppmとし、且つナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量を983〜1453.8ppmとして構成されたものである。
本発明のパンクシーリング剤は、少なくとも、ラテックスと、ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、ラテックス中の粒子及び粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、ナトリウムイオン量を107〜149ppmとし、カリウムイオン量を864〜1281ppmとし、カルシウムイオン量を10.3〜20.3ppmとし、鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を1.6〜3.5ppmとし、且つナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量を983〜1453.8ppmとして構成されたものである。
本発明においては、合成ゴムラテックス等のラテックス中の粒子及び/又は粘着剤粒子の粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着している成分組成にて構成されている場合に、ナトリウム(Na)イオン量、カリウム(K)イオン量、カルシウム(Ca)イオン量、及び鉄(Fe)イオン量〔2価イオン及び3価イオンの両方を含む〕と、これらの合計のイオン量(Na、K、Ca、及びFeの合計イオン量)とが所定の範囲内であることで、パンクシール性を保持しながら、パンクシーリング剤中の粒子の静電反発力の低下が抑制されるので、長期保存時における凝集、固体化に至るまでの時間を飛躍的に延ばすことができる。これにより、パンクシール性を維持しながらも、液保管性が効果的に向上する。
具体的には、ナトリウムイオン量を107〜149ppmとし、カリウムイオン量を864〜1281ppmとし、カルシウムイオン量を10.3〜20.3ppmとし、鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を1.6〜3.5ppmとする。各イオン量がそれぞれ下限を下回ると、ゴム粒子や樹脂粒子として用いるゴムラテックス等や粘着剤粒子として用いる粘着剤エマルジョン等における界面活性剤や合成触媒等の使用量が少なすぎる等が起因し、保管時の液安定性は保てるものの、パンクシール性が低下する。また、各陽イオンの量がそれぞれ上限を上回って過剰に存在すると、陽イオンの、粒子表面に吸着しているアニオン性界面活性剤のアニオンとの結びつきが強くなる結果、粒子表面の負電荷が弱められて粒子間反発が低下し、凝集しやすく、長期に亘って安定に保てなくなる。
本発明では、更に、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量を983〜1453.8ppmとする。上記と同様、陽イオンの合計量が983ppmを下回ると、パンクシール性が保てず、陽イオンの合計量が1453.8ppmを上回って過剰に存在すると、粒子間反発が低下して凝集しやすくなり、長期に亘って安定に保てなくなる。
本発明において、各陽イオンの量及びこれらの合計イオン量の調節は、パンクシーリング剤の調製に用いる材料、すなわち例えば、ゴム粒子や樹脂粒子を含有させるために用いられる例えば合成ゴムラテックスや合成樹脂ラテックス等、粘着剤粒子を含有させるために用いられる粘着剤エマルジョン等の種類、混合比率を選択したり、あるいは既成のラテックス等に所望により界面活性剤を添加する等の方法により行なうことができる。
−ラテックス−
本発明のパンクシーリング剤は、パンク箇所の孔を閉塞するため、液状の剤中に有機粒子が分散状態にして含有されたラテックスを含有する。このラテックスは、前記有機粒子としてゴム粒子及び/又は樹脂粒子から選択される少なくとも一種を分散状態で含有している。ラテックスは、界面活性剤や合成触媒が用いられて作製されることが一般的であり、ラテックスを用いた場合にNaイオンやKイオン、Caイオン、Feイオンが混入しやすくなる。
本発明のパンクシーリング剤は、パンク箇所の孔を閉塞するため、液状の剤中に有機粒子が分散状態にして含有されたラテックスを含有する。このラテックスは、前記有機粒子としてゴム粒子及び/又は樹脂粒子から選択される少なくとも一種を分散状態で含有している。ラテックスは、界面活性剤や合成触媒が用いられて作製されることが一般的であり、ラテックスを用いた場合にNaイオンやKイオン、Caイオン、Feイオンが混入しやすくなる。
前記ラテックスとしては、種類は特に制限されず、例えば、天然ゴム(NR)ラテックス、合成ゴムラテックス等のゴムラテックス、及び合成樹脂ラテックス等の樹脂ラテックスの中から適宜選択して用いることができる。
前記合成ゴムラテックスとしては、例えば、SBR(スチレンブタジエンゴム)ラテックス、NBR(ニトリルゴム)ラテックス、MBR(アクリルゴム)ラテックス、BR(ポリブタジエンゴム)ラテックス、IIR(ブチルゴム)ラテックス、CRラテックス、IRラテックス、及び多硫化ゴムラテックス等が挙げられる。
前記合成樹脂ラテックスとしては、例えば、カルボキシ変性NBRラテックス、カルボキシ変性SBRラテックス、アクリルエステル系ラテックス、スチレン・ブタジエン・レジンラテックス、酢酸ビニルラテックス、ポリ酢酸ビニルラテックス、塩化ビニルラテックス、ポリ塩化ビニルラテックス、塩化ビニリデンラテックス、ポリ塩化ビニリデンラテックス、及びポリスチレンラテックス等が挙げられる。
上記の中でも、タイヤなどへの腐食性を考慮すると、合成ゴムラテックス又は合成樹脂ラテックスを用いることがより好ましく、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、BRラテックス、カルボキシル変性NBRラテックス、及びカルボキシル変性SBRラテックスからなる群より選択される1種又は2種以上を用いることがより好ましい。
前記ラテックスは、1種単独で用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
ラテックスのパンクシーリング剤中における含有量(固形分)、すなわちゴム粒子及び樹脂粒子の含有量としては、パンクシーリング剤の全質量に対して、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、25質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。ラテックスの固形分含有量(ゴム粒子及び樹脂粒子の含有量)が前記範囲内であると、実用的で良好なシール性が得られる。
ラテックスのパンクシーリング剤中における含有量(固形分)、すなわちゴム粒子及び樹脂粒子の含有量としては、パンクシーリング剤の全質量に対して、10質量%〜90質量%であることが好ましく、20質量%〜70質量%であることがより好ましく、25質量%〜50質量%であることがさらに好ましい。ラテックスの固形分含有量(ゴム粒子及び樹脂粒子の含有量)が前記範囲内であると、実用的で良好なシール性が得られる。
−粘着剤粒子−
本発明のパンクシーリング剤は、粘着剤粒子の少なくとも一種を含有する。粘着剤は主としてラテックスの固形分である合成ゴムや合成樹脂のタイヤへの接着力を向上させるものである。粘着剤は、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限はなく、例えば、樹脂系粘着剤を好適に用いることができる。
本発明のパンクシーリング剤は、粘着剤粒子の少なくとも一種を含有する。粘着剤は主としてラテックスの固形分である合成ゴムや合成樹脂のタイヤへの接着力を向上させるものである。粘着剤は、本発明の効果を損なうものでなければ特に制限はなく、例えば、樹脂系粘着剤を好適に用いることができる。
粘着剤粒子は、これら粒子を含むエマルジョン(粘着剤エマルジョン)として用いられるのが好ましい。エマルジョンは、界面活性剤や合成触媒が用いられて作製されることが一般的であり、粘着剤エマルジョンを用いた場合にNaイオンやKイオン、Caイオン、Feイオンが混入しやすい。
樹脂系粘着剤としては、例えば、天然樹脂、変性ロジン及び変性ロジンの誘導体、テルペン系樹脂及びテルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン樹脂;芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、アルキルフェノールアセチレン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、及びビニルトルエン−αメチルスチレン共重合体を挙げることができる。
前記天然樹脂としては、ロジン、ダンマル等が挙げられる。
前記変性ロジン及び変性ロジンの誘導体としては、重合ロジン(例えば、ロジン酸エステル樹脂等)、部分水添ロジン等が挙げられる。
前記テルペン系樹脂及びテルペン変性体としては、ピネン、α−ピネンフェノール樹脂、ジペンテンフェノール樹脂、テルペンビスフェノール樹脂等のテルペンフェノール樹脂、又はこれらを水素添化したものなどが挙げられる。
前記脂肪族系炭化水素樹脂としては、オレフィン、オレフィン重合体等が挙げられる。
前記変性ロジン及び変性ロジンの誘導体としては、重合ロジン(例えば、ロジン酸エステル樹脂等)、部分水添ロジン等が挙げられる。
前記テルペン系樹脂及びテルペン変性体としては、ピネン、α−ピネンフェノール樹脂、ジペンテンフェノール樹脂、テルペンビスフェノール樹脂等のテルペンフェノール樹脂、又はこれらを水素添化したものなどが挙げられる。
前記脂肪族系炭化水素樹脂としては、オレフィン、オレフィン重合体等が挙げられる。
また、アクリル系粘着剤、水溶性粘着剤等を用いることもできる。
中でも、前記ラテックスの凝固が起こり難く、ラテックス固形分とタイヤとの接着性に優れるとの観点から、テルペンフェノール樹脂又はロジン酸エステル樹脂を用いることが好ましい。
粘着剤は、前記ラテックスとの混和性やパンクシール性の向上を考慮して、粘着剤エマルジョンとして用い、前記ラテックスに適合するものを使用することが好ましい。ここで、粘着剤エマルジョンがラテックスに「適合」するとは、粘着剤エマルジョンがラテックスを少しも凝固させるものではないことを意味し、粘着剤エマルジョンがラテックスのタイヤへの接着力を向上するものとして用いられることを示す。例えば樹脂が、ゴム皮膜の粘着性付与剤としてのエラストマーに加えられて用いられ得る。
粘着剤エマルジョンは、乳化剤として公知の界面活性剤(好ましくは、アニオン性界面活性剤)を使用し、粘着剤成分として、ロジン酸エステル樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン樹脂などの樹脂成分、又はポリイソブチレン等のブチルゴム系材料を使用して得られる。
粘着剤粒子あるいは前記粘着剤エマルジョンは、1種単独で用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
粘着剤粒子のパンクシーリング剤中における含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、1質量%〜15質量%であることが好ましく、2質量%〜12質量%であることがより好ましく、3質量%〜9質量%であることがさらに好ましい。粘着剤粒子の含有量が前記範囲内であると、実用的で良好なシール性を発揮させることができる。
粘着剤粒子のパンクシーリング剤中における含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、1質量%〜15質量%であることが好ましく、2質量%〜12質量%であることがより好ましく、3質量%〜9質量%であることがさらに好ましい。粘着剤粒子の含有量が前記範囲内であると、実用的で良好なシール性を発揮させることができる。
−凍結防止剤−
本発明のパンクシーリング剤は、凍結防止剤の少なくとも一種を含有する。凍結防止剤は、パンクシーリング剤を寒冷地で用いたときに、パンクシーリング剤の凍結を防止するものであり、凍結防止機能を有するものであれば特に制限はない。
本発明のパンクシーリング剤は、凍結防止剤の少なくとも一種を含有する。凍結防止剤は、パンクシーリング剤を寒冷地で用いたときに、パンクシーリング剤の凍結を防止するものであり、凍結防止機能を有するものであれば特に制限はない。
凍結防止剤としては、例えば、1価のアルコールや2価のアルコールを用いることができる。凍結防止剤の具体例には、エタノール、1−プロパノール、エチレングリコール(EG)、及びプロピレングリコール(PG)等を挙げることができる。アルコールは、直鎖でも分岐でも環状でもよく、中でも、安全性の観点からはプロピレングリコール(PG)を用いることが好ましく、パンクシーリング剤の低粘度化の観点からは、炭素数1〜5の1価のアルコールを用いることが好ましい。
凍結防止剤は、1種単独で用いるほか、2種以上を混合して用いてもよい。
凍結防止剤のパンクシーリング剤中における含有量としては、特に制限はないが、低温時の凍結防止性の観点から、パンクシーリング剤の全質量に対して5質量%〜90質量%であることが好ましい。より好ましい含有量は、10質量%〜50質量%である。
凍結防止剤のパンクシーリング剤中における含有量としては、特に制限はないが、低温時の凍結防止性の観点から、パンクシーリング剤の全質量に対して5質量%〜90質量%であることが好ましい。より好ましい含有量は、10質量%〜50質量%である。
本発明における混合液は、上記成分に加えて、さらに水を含有する。
水は、前記粘着剤を粘着剤エマルジョンとして用いる場合や粘着剤エマルジョンを希釈する場合、あるいは凍結防止剤を希釈する場合などの分散媒として用いることができるが、パンクシーリング剤の希薄化のために用いることもできる。
水は、前記粘着剤を粘着剤エマルジョンとして用いる場合や粘着剤エマルジョンを希釈する場合、あるいは凍結防止剤を希釈する場合などの分散媒として用いることができるが、パンクシーリング剤の希薄化のために用いることもできる。
パンクシーリング剤中の全固形分量としては、パンクシーリング剤の全質量に対して、5質量%〜70質量%であることが好ましく、5質量%〜60質量%であることがより好ましく、8質量%〜40質量%とすることがさらに好ましい。
前記「全固形分量」は、以下のようにして求めることができる。
まず、パンクシーリング剤10gを4時間、140℃の状態で放置する。放置後の残留分の質量を測定し、当該残留分の質量をパンクシーリング剤の質量で除する(残留分の質量/放置前のパンクシーリング剤の質量)ことで求めることができる。
まず、パンクシーリング剤10gを4時間、140℃の状態で放置する。放置後の残留分の質量を測定し、当該残留分の質量をパンクシーリング剤の質量で除する(残留分の質量/放置前のパンクシーリング剤の質量)ことで求めることができる。
全固形分量がパンクシーリング剤の全質量に対して、5質量%以上あると、優れたシール性を確保することが可能であり、70質量%以下であると、シール性以外の特性を良好に確保することができる。
〜パンクシーリング剤の製造〜
本発明のパンクシーリング剤は、ゴム粒子及び/又は樹脂粒子と粘着剤粒子と凍結防止剤とを含ませることができる方法であればいずれの方法で製造されてもよい。
パンクシーリング剤は、例えば、ラテックス、粘着剤エマルジョン、凍結防止剤、及び水を混合する工程(混合工程)を設けて調製することができる。このとき、ラテックス及び粘着剤エマルジョンの一方又は両方において、アニオン系界面活性剤を用いて分散処理が行われる。好ましくは、ラテックス(ゴム粒子及び樹脂粒子の群より選ばれる有機粒子を分散含有)と、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤のエマルジョン(粘着剤を分散含有)と、凍結防止剤とを混合すると共に、前記ラテックス及び前記エマルジョンの一方又は両方において、アニオン性界面活性剤を用いて粒子の分散を行なうことにより製造する方法(本発明のパンクシーリング剤の製造方法)により好適に製造することができる。このとき、前記混合は、Naイオン、Kイオン、Caイオン、及びFeイオン(2価イオン及び3価イオンを含む)並びにこれらの合計の陽イオン量が上記の濃度範囲(ppm)を満たすように行なわれる。
本発明のパンクシーリング剤は、ゴム粒子及び/又は樹脂粒子と粘着剤粒子と凍結防止剤とを含ませることができる方法であればいずれの方法で製造されてもよい。
パンクシーリング剤は、例えば、ラテックス、粘着剤エマルジョン、凍結防止剤、及び水を混合する工程(混合工程)を設けて調製することができる。このとき、ラテックス及び粘着剤エマルジョンの一方又は両方において、アニオン系界面活性剤を用いて分散処理が行われる。好ましくは、ラテックス(ゴム粒子及び樹脂粒子の群より選ばれる有機粒子を分散含有)と、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤のエマルジョン(粘着剤を分散含有)と、凍結防止剤とを混合すると共に、前記ラテックス及び前記エマルジョンの一方又は両方において、アニオン性界面活性剤を用いて粒子の分散を行なうことにより製造する方法(本発明のパンクシーリング剤の製造方法)により好適に製造することができる。このとき、前記混合は、Naイオン、Kイオン、Caイオン、及びFeイオン(2価イオン及び3価イオンを含む)並びにこれらの合計の陽イオン量が上記の濃度範囲(ppm)を満たすように行なわれる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩(例えば、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン)、スルホン酸塩〔例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例:アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等)、アルキルナフタレンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩〕、イゲボン、エアロゾルOT型(スルホコハク酸ジイソオクチルナトリウム)、リン酸エステル塩などを挙げることができる。
特にラテックスの凝集等を防止してパンクシーリング剤の安定化を図る観点から、例えば、あらかじめ所望の陽イオンを含む粘着剤エマルジョン及び/又は凍結防止剤と水とを混合し、ラテックスの凝集等や混合後の液のゲル化を生じない程度に粘着剤や凍結防止剤の濃度を低く調整しておいた後に、これを所望の陽イオンを含むラテックスと混合する、等の方法によって好適に調製することができる。
このとき、ラテックスの凝集等の抑制効果が向上する方法を選ぶことによって、ラテックスと混合する際の混合速度、例えば凍結防止剤、粘着剤及び水の混合液をラテックスに滴下する際の滴下速度を上げることが可能になる。このようにすると、ラテックスの不安定化を抑えつつも、パンクシーリング剤の製造工程全体に要する時間をより短縮し、生産性を効率的に向上できる。
このとき、ラテックスの凝集等の抑制効果が向上する方法を選ぶことによって、ラテックスと混合する際の混合速度、例えば凍結防止剤、粘着剤及び水の混合液をラテックスに滴下する際の滴下速度を上げることが可能になる。このようにすると、ラテックスの不安定化を抑えつつも、パンクシーリング剤の製造工程全体に要する時間をより短縮し、生産性を効率的に向上できる。
本発明では、上記の混合工程の後に、必要に応じて濾過工程や凝集塊成長工程を設けてもよい。以下、各工程について説明する。
濾過工程は、混合工程で得られた混合液を、必要に応じて濾過する工程である。濾過方法としては、公知の方法を採用することができる。製造条件によっては、前記混合工程を経た後に、ゴムラテックスの凝集によるゲル化が進行して、微粒子状の凝集物が生成する場合がある。そして、該凝集物を放置しておくと、これを核としてゲル化がより進行する場合がある。そこで、濾過工程により核となる微粒子状の凝集物を除去し、最終的にゴムラテックス凝集塊に起因するシーリング剤のゲル化を効果的に防止することが好ましい。その結果、パンクシーリング剤の貯蔵安定性をも向上させることができる。
濾過に使用する濾過器のフィルタ部材としては、金網状に形成された金属製のメッシュフィルタを用いることが好ましい。この場合、そのメッシュ数は50メッシュ(網目の開口径が約300μm)〜400メッシュ(網目の開口径が約30μm)のものを用いることが好ましい。メッシュフィルタの材質としては、ステンレス、アルミ合金等の耐腐食性が高い金属材料を好適に用いることができる。
また、フィルタ部材としては、50メッシュ〜400メッシュのメッシュフィルタの網目と略同等の開口径の微小開口が多数、穿設された多孔質フィルタを用いてもよく、またメッシュフィルタや多孔質フィルタが積層された積層フィルタを用いてもよい。
前記濾過工程に先立ち、凝集塊成長工程を設けることが好ましい。この凝集塊成長工程では、混合工程で調液されたシーリング剤原液を少なくとも24時間以上、好ましくは48時間以上の静置時間に亘って撹拌することなく容器内に保持(静置)する。静置時間の下限値は、濾過工程で用いられるメッシュフィルタのメッシュ数等に応じて24時間〜48時間の範囲で適宜、変更することができる。
また、静置時間の上限値は特に制限されないが、パンクシーリング剤を製造する際の工程時間(タクト時間)の制約、製造されたパンクシーリング剤をストックするためのストック量の制限等を考慮すると共に、また保管環境に応じてパンクシーリング剤に含まれる水分量が蒸発又は吸湿により徐々に変化することから、保管時の水分量の変化を考慮すると、静置時間の上限値は480時間以下に設定することが好ましい。
上記の各工程では、適宜以下の成分を添加してもよい。
(短繊維)
短繊維は、パンクによりタイヤに発生した穴や孔(欠陥部)に入り込んで目詰まりを生じさせて、これらの穴や孔を迅速、かつ確実に塞ぐ役割を果たす。
(短繊維)
短繊維は、パンクによりタイヤに発生した穴や孔(欠陥部)に入り込んで目詰まりを生じさせて、これらの穴や孔を迅速、かつ確実に塞ぐ役割を果たす。
短繊維の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.1質量%〜5質量%であることが好ましい。0.1質量%以上あれば、短繊維を添加したことによるシール性を十分に発揮することができ、5質量%以下であれば、短繊維の絡み合いを防ぐことができ、粘性が増加しにくく、パンクシーリング剤の注入容易性が向上すると共に、既述のパンクシーリング剤の役割を十分に発揮し易い。
短繊維の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.3質量%〜4質量%とすることが好ましく、0.5質量%〜3質量%とすることがより好ましい。
短繊維の含有量は、パンクシーリング剤の全質量に対して、0.3質量%〜4質量%とすることが好ましく、0.5質量%〜3質量%とすることがより好ましい。
パンクシーリング剤について既述のような役割を充分に発揮させるため、短繊維についても種々の設計をする必要がある。そこで、短繊維の比重(S)、長さ(L)、直径(D)、及び長さと直径との比(L/D)は、それぞれ、下記の範囲とすることが好ましい。
(1)比重(S):0.8≦S≦1.4(より好ましくは、0.9≦S≦1.3、さらに好ましくは、1.0≦S≦1.2)。
比重が0.8以上では、短繊維が上に浮かず、長期の分離安定性が良好であり、1.4以下であると、短繊維が下に沈まず、長期の分離安定性が良好になる。
比重が0.8以上では、短繊維が上に浮かず、長期の分離安定性が良好であり、1.4以下であると、短繊維が下に沈まず、長期の分離安定性が良好になる。
(2)長さ(L):0.05≦L≦10mm(より好ましくは、0.08≦L≦8mm、さらに好ましくは、0.1≦L≦6mm)。
長さが0.05mm以上では、短繊維がパンクによる欠陥部に目詰まりを生じさせてシール性を向上させる効果を充分に発揮させることができ、10mm以下であると、短繊維の相対的な数が保たれ、シール性に優れる。
長さが0.05mm以上では、短繊維がパンクによる欠陥部に目詰まりを生じさせてシール性を向上させる効果を充分に発揮させることができ、10mm以下であると、短繊維の相対的な数が保たれ、シール性に優れる。
(3)直径(D):1≦D≦100μm(より好ましくは、3≦D≦80μm、さらに好ましくは、5≦D≦50μm)。
直径(太さ)が1μm以上では、上記目詰まりを生じさせてシール性を向上させる短繊維の役割を充分に発揮することができ、100μm以下であると、短繊維の相対的な数が保たれ、シール性に優れる。
直径(太さ)が1μm以上では、上記目詰まりを生じさせてシール性を向上させる短繊維の役割を充分に発揮することができ、100μm以下であると、短繊維の相対的な数が保たれ、シール性に優れる。
(4)長さと直径との比(L/D):5≦L/D≦2000(より好ましくは、20≦L/D≦1600、さらに好ましくは、50≦L/D≦1200、特に好ましくは、100≦L/D≦300)。
L/Dが5以上では、上記目詰まりを生じさせてシール性を向上させる短繊維の役割を充分に発揮することができ、2000以下であると、短繊維の絡み合いによるダマの発生が少なく、シール性及び注入容易性に優れる。
L/Dが5以上では、上記目詰まりを生じさせてシール性を向上させる短繊維の役割を充分に発揮することができ、2000以下であると、短繊維の絡み合いによるダマの発生が少なく、シール性及び注入容易性に優れる。
なお、短繊維は、一の材質からなるものを一定の形状で使用することができるが、既述の範囲で複数の材質からなるものを種々の形状で使用することもできる。
短繊維は、その材質に特に制限はないが、ポリエステル、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、及びこれら2以上の複合体のいずれかからなることが好ましく、ポリエチレン、ナイロン、ポリプロピレン、及びこれら2以上の複合体のいずれかからなることがより好ましい。かかる短繊維を使用することで、より良好な分離安定性が得られる。
短繊維は、その全量若しくはその一部(好ましくは全量)を、高級アルコール系誘導体及び/又はベタイン系活性剤等の溶剤で処理しておくことが好ましい。かかる処理により、溶剤が活剤として作用し、短繊維の分散性を向上させることができる。
該処理は、パンクシーリング剤に含有させる前でも後でもよい。処理方法としては、短繊維を上記溶剤に含浸したり、上記溶剤を吹き付けたりして行うことができる。高級アルコール誘導体としては、ポリグリコール系ポリエステル等が好適である。
該処理は、パンクシーリング剤に含有させる前でも後でもよい。処理方法としては、短繊維を上記溶剤に含浸したり、上記溶剤を吹き付けたりして行うことができる。高級アルコール誘導体としては、ポリグリコール系ポリエステル等が好適である。
溶剤の添加量(上記処理により短繊維に吸収される量)としては、短繊維質量の0.2質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜6質量%であることがさらに好ましい。上記範囲であれば、短繊維の十分な分散効果が得られ、当該処理が良好で、効果の向上が期待できる。
(フィラー)
パンクシーリング剤には、フィラーの1種又は2種以上を混合してもよい。フィラーを混合することで、迅速にシールしかつ大きな孔でも確実にシールすることができる。
安定したフィラーとしては、例えばケイ酸、チョーク、カーボンブラック、グラスファイバーで補強された合成樹脂、ポリスチレン粒子、タイヤ等の加硫成品の粉砕による粉末ゴム、おがくず、モスラバー粒子、カットフラワー用の発泡粒子等が採用できる。この中でも特に好ましいフィラーは、ケイ酸と結合したゴム粉末、及びグラスファイバーで補強された合成樹脂である。
パンクシーリング剤には、フィラーの1種又は2種以上を混合してもよい。フィラーを混合することで、迅速にシールしかつ大きな孔でも確実にシールすることができる。
安定したフィラーとしては、例えばケイ酸、チョーク、カーボンブラック、グラスファイバーで補強された合成樹脂、ポリスチレン粒子、タイヤ等の加硫成品の粉砕による粉末ゴム、おがくず、モスラバー粒子、カットフラワー用の発泡粒子等が採用できる。この中でも特に好ましいフィラーは、ケイ酸と結合したゴム粉末、及びグラスファイバーで補強された合成樹脂である。
前記フィラーは、パンクシーリング剤に直接添加され得る。しかしながら、フィラーが、バルブサイズを変更することなくバルブをへてパンクシーリング剤を導くのを困難又は不可能にする大きさを有する限りにおいては、これらのフィラーは、一般的にタイヤをリム組みするときにタイヤの内部に導入され、タイヤにパンクが発生した際にパンクシーリング剤が注入されることによってシーリングを成し遂げる。
前記フィラーは、パンクシーリング剤中に、好ましくは約20g/リットル〜200g/リットル、より好ましくは60g/リットル〜100g/リットル加えられ、あるいはタイヤのリム組においてタイヤ内部に配される。
(他の添加剤)
更に、通常の分散剤、乳化剤、発泡安定剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、を添加してもよく、必要により液状樹脂系エマルジョンを用いてもよい。
更に、通常の分散剤、乳化剤、発泡安定剤、苛性ソーダ等のpH調整剤、を添加してもよく、必要により液状樹脂系エマルジョンを用いてもよい。
〜パンクシーリング剤の粘度〜
パンクシーリング剤の粘度は、実際の使用条件として想定される条件(少なくとも、タイヤへの充填前であって60℃〜−60℃の範囲)において、3mPa・s〜20,000mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜4,500mPa・sであることがより好ましく、8mPa・s〜3,000mPa・sであることがさらに好ましく、10〜3,000mPa・sであることが特に好ましく、15〜1,500mPa・sであることが最も好ましい。
パンクシーリング剤の粘度は、実際の使用条件として想定される条件(少なくとも、タイヤへの充填前であって60℃〜−60℃の範囲)において、3mPa・s〜20,000mPa・sであることが好ましく、5mPa・s〜4,500mPa・sであることがより好ましく、8mPa・s〜3,000mPa・sであることがさらに好ましく、10〜3,000mPa・sであることが特に好ましく、15〜1,500mPa・sであることが最も好ましい。
パンクシーリング剤の粘度が3mPa・s以上であると、バルブへの注入時における液漏れを防止することができる。また、該粘度が20,000mPa・s以下であると、注入時の抵抗を抑えることができるため、注入容易性の低下を防止することができ、また、タイヤ内面への広がりを充分にすることができることから、高いシール性が得られる。
また、パンクシーリング剤は、上記のように、凍結防止剤を含有することによりさらに凝固点を下げることができ、凍結防止剤に1価のアルコールを用いた場合には−40℃以下のような極寒地でも低粘度で好適に用いることができる。−40℃におけるパンクシーリング剤の粘度は、3mPa・s〜5,000mPa・sであることが好ましく、10mPa・s〜3,000mPa・sであることがより好ましく、10mPa・s〜2,000mPa・sであることが特に好ましい。
パンクシーリング剤の粘度は、B型粘度計等により測定することができる。
パンクシーリング剤の粘度は、B型粘度計等により測定することができる。
〜パンクシーリング剤によるパンクの修理方法〜
パンクシーリング剤によるパンクの修理方法としては、公知の方法を適用することができる。すなわち、パンクシーリング剤が充填された容器をタイヤのバルブ口と接続し、適量を注入した後、パンクシーリング剤がタイヤ内面に広がってパンク孔をシールできるように、タイヤを回転させればよい。
パンクシーリング剤によるパンクの修理方法としては、公知の方法を適用することができる。すなわち、パンクシーリング剤が充填された容器をタイヤのバルブ口と接続し、適量を注入した後、パンクシーリング剤がタイヤ内面に広がってパンク孔をシールできるように、タイヤを回転させればよい。
このようなパンクシーリング剤そのものは、種々のポンプアップ装置、例えば燃料ガスとしてプロパン・ブタン混合ガスを含むスプレー缶を用いてタイヤの内部に導入されてタイヤを再膨張させ得るが、図1に示すポンプアップ装置20によって、より好適に使用できる。
図1に示すポンプアップ装置20では、前記圧力源として小型のエアコンプレッサ1を用いている。このエアコンプレッサ1は、ホース2を介して耐圧容器4のガス導入部3に接続されている。前記ガス導入部3は、栓バルブ5で閉止できかつ耐圧容器4に収納されたパンクシーリング剤6の液面上まで延びるライザーチューブとして形成されている。
また、耐圧容器4は、パンクシーリング剤6を取出すための出口バルブ7を有し、この出口バルブ7にホース8の一端が接続されるとともに、該ホース8の他端には、タイヤバルブ10にねじ止めされるねじアダプタ9が取付けられている。
耐圧容器4は、フィリングスタブ12を有し、かつ水が充填されたジャケット11を具えている。必要に応じて、加熱源としての塩化カルシウムが、前記フィリングスタブ12内に充填され得る。パンクシーリング剤6が低温で凍結すると、この加熱源の水和作用で解放される熱によって、利用できる温度にパンクシーリング剤6が加熱される。
前記エアコンプレッサ1には、電気ケーブル13が接続され、そのプラグ14は、例えば、シガレットライターに差込まれる。
前記エアコンプレッサ1には、電気ケーブル13が接続され、そのプラグ14は、例えば、シガレットライターに差込まれる。
タイヤにパンクが発生すると、前記ねじアダプタ9がタイヤバルブ10にねじ止めされ、かつエアコンプレッサ1がシガレットライターに接続されるとともに、耐圧容器4のガス導入部3において前記栓バルブ5が開かれる。そしてエアコンプレッサ1から耐圧容器4内にガス導入部3をへて導入される圧縮空気が、出口バルブ7からパンクシーリング剤6を押出し、タイヤバルブ10をへてタイヤの内部に導入させる。然る後、空気がタイヤの内部に再充填され、タイヤを特定の内圧で膨張させる。これが終わると、ねじアダプタ9をタイヤバルブ10から取外し、エアコンプレッサ1を止める。この直後に、一定距離に亘って予備走行し、タイヤ内部にパンクシーリング剤6を散布しつつパンク孔をシールした後、ポンプアップ装置20が再び接続され、タイヤを要求される内圧まで再度ポンプアップする。
また、本発明のパンクシーリング剤は、図2(A)、(B)に示すポンプアップ装置によってもより好ましく使用できる。なお、図2(A)、(B)に示すポンプアップ装置において、図1に示すポンプアップ装置20と共通の部分には同一符号を付して説明を省略する。
このポンプアップ装置は、図2(A)に示されるパンクシーリング剤6の収納容器である樹脂製のボトル22と、図2(B)に示される圧力源としてのエアコンプレッサ1とを備えている。ボトル22は、1回のパンク修理に必要なパンクシーリング剤6を収容している。ボトル22には、先端部にアダプタ26が配置されたホース24が接続されている。また、エアコンプレッサ1に接続されたホース2にも、その先端部にアダプタ9が配置されている。但し、ボトル22のホース24については、タイヤバルブ10に直接接続可能なものであるならばアダプタ26を省略してもよい。
パンク発生時に、ボトル22のアダプタ26がタイヤバルブ10にねじ止めされる。これにより、ホース24及びアダプタ26を通してタイヤ内に連通する。この状態で、作業者は、図2(A)で2点鎖線(想像線)により示されるように、ボトル22を握り潰してパンクシーリング剤6をボトル22内から搾り出すことにより、ホース24を通してパンクシーリング剤6をタイヤ内へ注入する。
ボトル22内からタイヤ内へのパンクシーリング剤6の注入が完了すると、作業者は、アダプタ26をタイヤバルブ10から取り外してボトル22をタイヤから切り離す。
次いで、作業者は、エアコンプレッサ1のアダプタ9をタイヤバルブ10にねじ止めし、アダプタ9及びホース2を通してエアコンプレッサ1をタイヤ内に連通させる。この状態で、作業者は、エアコンプレッサ1を作動させて加圧空気をタイヤ内へ再充填し、タイヤを特定の内圧で膨張させる。これが終わると、作業者は、アダプタ9をタイヤバルブ10から取外し、エアコンプレッサ1を止める。この直後に、一定距離に亘って予備走行し、タイヤ内部にパンクシーリング剤6を散布しつつパンク孔をシールした後、作業者は、ポンプアップ装置のエアコンプレッサ1を再び接続してタイヤを要求される内圧まで再度、ポンプアップする。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
(実施例1)
まずプロピレングリコール(PG;凍結防止剤)38部と、水20部とを混合し、凍結防止剤含有水溶液を調製した。撹拌しているこの水溶液に、所定の撹拌速度で撹拌処理を施してあるロジン酸エステルエマルジョン10部を滴下した。その後これを、あらかじめ撹拌して均一化しておいたSBRラテックス32部中に滴下し、さらに撹拌を行ない、本発明のパンクシーリング剤を作製した。
まずプロピレングリコール(PG;凍結防止剤)38部と、水20部とを混合し、凍結防止剤含有水溶液を調製した。撹拌しているこの水溶液に、所定の撹拌速度で撹拌処理を施してあるロジン酸エステルエマルジョン10部を滴下した。その後これを、あらかじめ撹拌して均一化しておいたSBRラテックス32部中に滴下し、さらに撹拌を行ない、本発明のパンクシーリング剤を作製した。
上記において、合成ゴムエマルションとして、Naイオン量:350.0ppm、Kイオン量:3500.0ppm、Caイオン量:1.0ppm、Feイオン量:3.0ppmのSBRラテックスを用いた。
また、粘着付与剤として、Naイオン量:28.0ppm、Kイオン量:3.0ppm、Caイオン量:135.0ppm、Feイオン量:13.0ppmのロジン酸エステルエマルジョンを用いた。
また、粘着付与剤として、Naイオン量:28.0ppm、Kイオン量:3.0ppm、Caイオン量:135.0ppm、Feイオン量:13.0ppmのロジン酸エステルエマルジョンを用いた。
(実施例2〜9、比較例1〜10)
実施例1において、合成ゴムエマルション及び粘着付与剤を、陽イオン量が下記表1に示す量であるSBRラテックス、ロジン酸エステルエマルジョンに代え、あるいは下記表1の陽イオン量になるように調節して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明及び比較用のパンクシーリング剤を製造した。
実施例1において、合成ゴムエマルション及び粘着付与剤を、陽イオン量が下記表1に示す量であるSBRラテックス、ロジン酸エステルエマルジョンに代え、あるいは下記表1の陽イオン量になるように調節して用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明及び比較用のパンクシーリング剤を製造した。
(評価)
上記で得られたパンクシーリング剤について、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
上記で得られたパンクシーリング剤について、下記の評価を行なった。評価結果は、下記表1に示す。
−1.パンクシール性−
実車試験において、車のタイヤのタイヤトレッド溝部に直径3mmの釘を踏み抜いて穴をあけ、作製したパンクシーリング剤を注入した後、1.3kgf/cm2(12.74×10−4Pa)の空気圧を維持しながら、約50km/hで車を走行させた。このとき、シールが完了するまでの走行距離を指標として下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:5km以内
○:5km超10km以内
△:10km超15km以内
×:15km超
実車試験において、車のタイヤのタイヤトレッド溝部に直径3mmの釘を踏み抜いて穴をあけ、作製したパンクシーリング剤を注入した後、1.3kgf/cm2(12.74×10−4Pa)の空気圧を維持しながら、約50km/hで車を走行させた。このとき、シールが完了するまでの走行距離を指標として下記の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
◎:5km以内
○:5km超10km以内
△:10km超15km以内
×:15km超
−2.液保管性−
作製したパンクシーリング剤をポリプロピレン製のボトルに入れてアルミシールした密閉容器を、80℃のオーブン内で保管し、パンクシーリング剤の性状を観察して、固形分が生成するまでの日数を指標として液保管性を評価した。なお、比較例1の保管日数を100で規格化し、指数化して示した。
作製したパンクシーリング剤をポリプロピレン製のボトルに入れてアルミシールした密閉容器を、80℃のオーブン内で保管し、パンクシーリング剤の性状を観察して、固形分が生成するまでの日数を指標として液保管性を評価した。なお、比較例1の保管日数を100で規格化し、指数化して示した。
前記表1に示すように、実施例では、パンクシール性を良好に維持しながら、液保管性を飛躍的に向上させることができた。これに対し、比較例では、各陽イオン量又はその合計イオン量が少なすぎると、保管性に影響はないものの、パンクシール性が低下し、また各陽イオン量又はその合計イオン量が多すぎると、液保管性が著しく低下した。
3・・・ガス導入部
4・・・耐圧容器
6・・・シーリング剤
7・・・出口バルブ
20・・・ポンプアップ装置
4・・・耐圧容器
6・・・シーリング剤
7・・・出口バルブ
20・・・ポンプアップ装置
Claims (5)
- ラテックスと、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤粒子と、凍結防止剤とを含み、前記ラテックス中の粒子及び前記粘着剤粒子の少なくとも一方は、粒子表面にアニオン性界面活性剤が吸着されていると共に、
107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量が983〜1453.8ppmであるパンクシーリング剤。 - 前記ラテックスは、合成ゴムラテックスである請求項1に記載のパンクシーリング剤。
- 前記合成ゴムラテックスは、SBRラテックス、NBRラテックス、MBRラテックス、BRラテックス、カルボキシル変性NBRラテックス、及びカルボキシル変性SBRラテックスより選択される少なくとも1種である請求項2に記載のパンクシーリング剤。
- 前記粘着剤粒子は、粘着剤粒子のエマルジョンの混合により含有されたものである請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のパンクシーリング剤。
- ラテックスと、前記ラテックスのタイヤとの接着力を高める粘着剤のエマルジョンと、凍結防止剤とを混合することにより、107〜149ppmのナトリウムイオン、864〜1281ppmのカリウムイオン、10.3〜20.3ppmのカルシウムイオン、及び1.6〜3.5ppmの鉄イオン量(2価イオン及び3価イオンを含む)を含有し、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、及び鉄イオン(2価イオン及び3価イオンを含む)の合計の陽イオン量を983〜1453.8ppmとすると共に、
前記ラテックス及び前記エマルジョンの少なくとも一方において、分散をアニオン性界面活性剤を用いて行なうパンクシーリング剤の製造方法。
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JP7152487B2 (ja) | 2018-03-09 | 2022-10-12 | エルジー エナジー ソリューション リミテッド | リチウム二次電池 |
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