以下、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機について、添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係るドラム式洗濯乾燥機の側面断面図である。
図1において、洗濯物を収容する前面開口で底面を有する筒状のドラム1(収容部)は、筐体100内に支持されて洗濯水を貯める筒状の水槽2に内包されている。水槽2の背面には、ドラム1の回転軸を前上がりに傾斜して回転させるドラム駆動モータ3(ドラム駆動部)が取り付けられている。
筐体100には、ドラム1の開口端側に対向させて扉体35が設けられており、使用者は、扉体35を開くことで、ドラム1に対して洗濯物(衣類)を出し入れすることができる。また、水槽2には、図示しない給水弁が設けられた給水管、及び排水弁41が設けられた排水管40が接続されている。
衣類を乾燥させるための乾燥用空気は、送風部4に送風されて、ドラム1内の洗濯物から水分を奪って多湿状態になり、ドラム1の側面周囲に位置する排出口5を通ってドラム1の外へ排出される。排出された乾燥用空気は除湿部6で除湿される。除湿部6で除湿した乾燥用空気は、加熱部7で加熱される。加熱された乾燥用空気(流体)は、第1風路9(第1送風経路)又は第2風路11(第2送風経路)の何れかに導かれ、再びドラム1内に吹き出す。ここで、第1風路9は、ドラム1の後方に開口した第1吹出口8を有する。一方、第2風路11は、ドラム1の前方周側面に開口した第2吹出口10を有する。第1風路9の第1吹出口8は、第2吹出口10よりも空気通過断面積が大きくなるように形成されており、第2風路11に較べて圧力損失が少なく大風量の乾燥用空気をドラム1内に吹き出すことができるようになっている。また、第2風路11の第2吹出口10は、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さくなっており、第1吹出口8に較べて高圧高速の乾燥用空気をドラム1内に吹き出すことができるようになっている。
通常、ドラム式洗濯乾燥機の場合、回転するドラム1の前方と水槽2との間の隙間は、衣類が噛み込まないように、可能な限り小さく形成されている。よって、この僅かな隙間に、広い開口で圧力損失の少ない吹出口を設けることはスペース的に困難であるが、空気通過断面積が比較的小さくて高圧高速の風を吹き出す第2吹出口10を設けることはできる。一方、ドラム1の後方奥の底面には、比較的大きな開口を有する第1吹出口8を設けるスペース的な余裕がある。そして、通風可能な多数の小径孔からなる開口率の大きなカバー36で第1吹出口8を覆えば、当該第1吹出口8に衣類が噛み込むことはない。よって、ドラム1後方の底面に、比較的圧力損失の少ない第1吹出口8を設けることができる。
また、ドラム1の回転軸を前上がりに傾斜して回転させて衣類を撹拌する場合、靴下、ハンカチ、ブリーフなどの小物衣類はドラム1の後方奥に偏り易い一方、長袖の肌着、ズボン下、長袖のカッターシャツ、長袖のパジャマなどの長物衣類は、ドラム1の前方に偏り易い。従って、小物衣類及び長物衣類が混在した状態で乾燥を行う場合、ドラム1の後方奥に位置する第1吹出口8から大風量の乾燥用空気を吹き出すと、ドラム1の奥に偏った小物衣類に乾燥用空気が先に接触する。さらに、この乾燥用空気は、小物衣類をすり抜けてドラム1前方の長物衣類にも到達する。よって、小物衣類及び長物衣類ともに効率よく乾燥でき、特に小物衣類については比較的シワが少ない状態で乾燥できる。一方、乾燥中の撹拌で袖などがねじれ易くてシワが発生し易い長物衣類については、ドラム1の前方に偏り易いため、ドラム1の前方に位置する第2吹出口10から風(乾燥用空気)を当てる方がより乾燥速度が速くなる。さらに、この長物衣類に第2吹出口10から噴出する高圧高速の風(乾燥用空気)を当てることで、長物衣類が広がり易くなるとともに、風によって長物衣類がよく動くので、シワ低減効果が大きい。
風路切換部12は、送風部4の下流側に形成された第1風路9と第2風路11との分岐部に設けられている。この風路切換部12は、乾燥用空気の通過路を、第1風路9又は第2風路11の何れかに切り換えるものである。風路切換部12は、第1風路9と第2風路11との分岐部に回動可能に枢支されたルーバー21と、当該ルーバー21を回動駆動する駆動部とを具備する。そして、ルーバー21が図1中のa側に回転して第2風路11を閉じると、第1風路9側が開となり、送風部4にて送風された乾燥用空気が第1風路9を通過するようになる。一方、ルーバー21が同図中のb側に回転して第1風路9を閉じると、第2風路11側が開となり、送風部4にて送風された乾燥用空気が第2風路11を通過するようになる。この風路切換部12の構成の詳細については後述する。
循環風路13は、送風部4と風路切換部12とがその途中に配設されており、ドラム1、排出口5、除湿部6、加熱部7という風路を順に経て、再度、第1吹出口8もしくは第2吹出口10からドラム1へと乾燥用空気を送り込み、乾燥用空気をドラム式洗濯乾燥機内で循環させる。
送風部4は、加熱部7と風路切換部12との間に設けられ、加熱部7で加熱された乾燥用空気を循環風路13の下流側へと送り出す。この送風部4は、送風用ファン4aと送風用ファンモータ4bとを具備している。送風部4においては、風路切換部12により第1風路9に切り換えられた場合、第1風路9を通過する風量が第2風路11の風量よりも多い所定風量になるように、送風用ファン4aを回転させる。また、風路切換部12により第2風路11に切り換えられた場合、第2風路11の第2吹出口10を通過する風速が第1吹出口8を通過する風速よりも速い所定風速になるように、送風用ファン4aを回転させる。例えば、第1吹出口8を通過する風速を10m/s程度とし、第2吹出口10を通過する風速を50m/s以上とすることができる。なお、第1吹出口8及び第2吹出口10を通過する風速はこれに限定されるものではなく、第2吹出口10における風速が第1吹出口8における風速よりも速い条件を満たせば任意の風速に設定可能である。
そして、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、第1風路9を通過する風量が第2風路11を通過する風量よりも多く、第2風路11の第2吹出口10を通過する風速が第1吹出口8を通過する風速よりも速く、乾燥工程途中に風路切換部12を作動させて第1風路9と第2風路11とを切り換えるものである。
排出口5は、相対的に第1吹出口8からの距離が第2吹出口10からの距離よりも遠い位置に配設されている(換言すれば、排出口5は、相対的に第2吹出口10に近く第1吹出口8からは遠い位置にある)。よって、排出口5は、ドラム1の後方よりも前方に近くなるように設けられている。排出口5は、第1吹出口8からの距離が最も遠くなるように、ドラム1前方にある第2吹出口10の近傍に設けてもよい。
また、排出口5は、ドラム1の上方側に配設されており、衣類に接触後の乾燥用空気を効果的に上方へ排出できるようになっている。なお、洗濯機能のないドラム式衣類乾燥機においては排出口5をドラム1の上方以外の場所に設けることもできるが、ドラム式洗濯乾燥機においては洗濯水の影響を受けるので、洗濯水の水位よりも上方に設けることが好ましい。
また、第2吹出口10は、ドラム1の前方上部に開口している。これにより、ドラム1の回転により持ち上げられた動きのある衣類に対して、効果的に高圧高速の乾燥用空気を吹き付けることができ、シワの低減効果を高めることができる。
水槽2の下方には、水槽2を支えるとともに、脱水時等におけるドラム1内の衣類の偏りなどで発生する重量アンバランス状態でドラム1を回転した場合の水槽2の振動を減衰させるダンパ14が設けられている。このダンパ14には、支持する水槽2内の衣類などによる重量変化でダンパ14の軸が上下に変位する変位量を検知して衣類の量を検知する布量検知部15が取り付けられている。
本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプ方式の除湿及び加熱を行う構成であり、ヒートポンプ装置を備えている。このヒートポンプ装置は、冷媒を圧縮する圧縮機16と、圧縮されて高温高圧となった冷媒の熱を放熱する放熱器17と、高圧の冷媒の圧力を減圧するための絞り部18と、減圧されて低圧となった冷媒によって周囲から熱を奪う吸熱器19と、これら4つの部材を連結して冷媒を循環させる管路20とを具備している。そして、このヒートポンプ装置における吸熱器19が上記の除湿部6であり、放熱器17が上記の加熱部7である。
なお、ドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプ方式の衣類乾燥を行う構成に限定されるものではない。例えば、除湿部6は乾燥用空気に直接水を噴霧する水冷式でもよく、また、加熱部7はヒータであってもよい。
図2に示すように、ドラム式洗濯乾燥機は、制御部70を有している。この制御部70は、入力設定部32を介して使用者から入力される設定情報と各部の動作状態監視とに基づいて、洗濯、すすぎ、脱水、乾燥にわたる一連の運転動作を制御する。例えば、制御部70は、乾燥工程においては、モータ駆動回路42を介してドラム駆動モータ3の回転を制御し、送風部4及びヒートポンプ装置50の動作を制御し、さらに、風路切換部12を制御して第1風路9と第2風路11とを切り換える。制御部70は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、各種処理の実行時にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース及びこれらを接続するバスにより構成することができる。また、制御部70は、後述する第1所定時間及び第2所定時間を計時するタイマ71を有している。このタイマ71としては、制御部70の動作上の内部機能として組み込まれている内部タイマを用いることができる。なお、タイマ71として、制御部70とは独立したタイマ装置を用いることもできる。
なお、本実施の形態では、第1風路9の第1吹出口8を1つだけ設けているが、第1吹出口8を複数とすることもできる。同様に、第2風路11の第2吹出口10を1つだけ設けた例を示しているが、第2吹出口10を複数とすることもできる。
以上のように構成されたドラム式洗濯乾燥機における風路切換部12の構成の詳細について、図1及び図3乃至図10を参照して以下に説明する。
まず、風路切換部12が設けられる第1風路9と第2風路11との分岐部の構成について説明する。本実施の形態では、図1及び図3等に示すように、第1風路9が送風部4に連通して直線的に延設されているとともに、第2風路11が第1風路9から分岐した構造となっている。この例では、第2風路11が第1風路9に対して略直角(略90度)に分岐しているが、分岐部における第1風路9と第2風路11とがなす角度については、これに限定されるものではなく、任意の角度にすることが可能である。上述のように、大風量経路をなす第1風路9を送風部4から直線的に延設することにより、第1風路9における圧力損失を低減することができ、効率的に大風量の乾燥空気を第1風路9からドラム1内へ送り込むことが可能となる。
また、本実施の形態では、図3等に示すように、大風量経路をなす第1風路9の方が、高風速経路をなす第2風路11よりも、風路断面積(空気通過断面積)が大きくなるように形成されている。
また、本実施の形態では、図3等に示すように、第1風路9と第2風路11との分岐部における第1風路9の断面形状が円形ではなく略矩形になっている。このように、分岐部における第1風路9の断面形状を略矩形とすることにより、第1風路9上部及び下部が平面的になり、当該平面的部分に他の部品を配置し易くなる。なお、分岐部における第1風路9の断面形状はこれに限定されるものではなく、例えば円形等、その他の形状であってもよい。
図6及び図7は、主に送風部4から分岐部までの第1風路9及び第2風路11を形成する風路形成部材24の構成例を示している。この風路形成部材24は、送風部4の送風ファンを収納する送風ファン収納部材25を有し、当該送風ファン収納部材25が、図6に示す送風ファン収納部材25aと、図7に示す送風ファン収納部材25bとに2分割されている。そして、送風ファン収納部材25a・25bを重ね合わせてこれらの周囲に形成された締結部25cをボルト等の締結部材で締結することにより、送風ファン収納部材25a・25bにて形成される内部空間に、送風部4の送風ファンを収納することができるようになっている。
また、送風ファン収納部材25の下流側には、第1風路9を形成する第1風路形成部材26が延設されている。この第1風路形成部材26における分岐部までの部位は、図6に示す第1風路形成部材26aと、図7に示す第1風路形成部材26bとに2分割されている。なお、本実施の形態では、図6に示すように、送風ファン収納部材25a及び第1風路形成部材26aが合成樹脂等で一体成形されているとともに、図7に示すように、送風ファン収納部材25b及び第1風路形成部材26bも合成樹脂等で一体成形されている。そして、第1風路形成部材26a・26bを重ね合わせてこれらの周囲に形成された締結部25cをボルト等の締結部材で締結することにより、第1風路形成部材26a・26bにて形成される内部空間にて第1風路9の一部を構成することができるようになっている。なお、図3に示した第1風路9の分岐部において、図6に示す第1風路形成部材26aがその上部および両側面部を構成し、図7に示す第1風路形成部材26bがその下部を構成する。
そして、図6及び図7に示すように、第1風路形成部材26a・26bの内壁部には、後述するルーバー当てリブ28(当接部)がそれぞれ突設されている。第1風路形成部材26a・26bを重ね合わせた状態では、両者26a・26bの内壁部に突設された各ルーバー当てリブ28が略コの字状に繋がるようになっている。
なお、図6に示すように、第1風路形成部材26は、第1風路形成部材26a・26bで構成される部位の下流にも延設されており、ドラム1に形成された第1吹出口8まで続く第1風路9の全体を形成する。また、第1風路形成部材26には、第2風路11を形成する第2風路形成部材27が接続されている。
図3に示すように、第1風路9と第2風路11との分岐部に設けられる風路切換部12(送風経路切替機構)は、ルーバー21(遮蔽部材)と、減速ギア22と、ルーバー駆動モータ23(駆動モータ)と、ルーバー当てリブ28(当接部)とを備えている。
ルーバー21は、第1風路9と第2風路11との何れか一方の風路を選択的に遮蔽するものである。図3には、ルーバー21が第2風路11を遮蔽することによって、第1風路9を選択した状態を示しており、この状態では送風部4からの乾燥空気は第1風路9を通過することになる。また、図4には、ルーバー21が第1風路9を遮蔽することによって、第2風路11を選択した状態を示しており、この状態では送風部4からの乾燥空気は第2風路11を通過することになる。
ルーバー21は、図5に示すように、回動軸部21aと、当該回動軸部21aの上端に設けられたギア取付部21bと、当該回動軸部21aに固定された風路遮蔽部21cとを有している。ルーバー21は、合成樹脂等の材料によって構成することができる。ルーバー21の風路遮蔽部21cにおいて、その外周上端部21x、外周下端部21yおよび外周先端部21zは、風路形成部材24の分岐部における断面形状に対応して形成されている。また、ルーバー21の風路遮蔽部21cは、分岐部における第2風路11の風路断面積よりも大きな面積を有しており、図3に示すように、ルーバー21が第2風路11を遮蔽する位置にあるとき、第2風路11は風路遮蔽部21cによって完全に遮蔽される。
また、ルーバー21の風路遮蔽部21cは、分岐部における第1風路9の内部を回動できるように、第1風路9の断面よりも若干小さな形状をしており、風路遮蔽部21cの外周上端部21xおよび外周下端部21yと第1風路9の内壁部との間には隙間が形成されるようになっている。この隙間が狭すぎると、高い取り付け精度が要求されるとともに、当該隙間に異物が挟み込み易くなるため、例えば1.5mm程度の隙間が風路遮蔽部21cの外周上端部21xおよび外周下端部21yと第1風路9の内壁部との間に形成されるように構成している。
図3に示すように、第1風路9の内壁部には、ルーバー21における風路遮蔽部21cの外周端部(外周上端部21x、外周下端部21yおよび外周先端部21z)と当接するルーバー当てリブ28が形成されている(図6及び図7も参照)。このルーバー当てリブ28は、ルーバー21の風路遮蔽部21cよりも乾燥空気の風路下流側に形成されている。そして、図4に示すように、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置まで回動したとき、風路遮蔽部21cの外周端部とルーバー当てリブ28とが当接し、第1風路9は風路遮蔽部21cとルーバー当てリブ28とによって完全に封止される。
ここで、ルーバー21とルーバー当てリブ28とが当接した状態を、図8に示す。この図8は、図4におけるA−A線矢視断面の要部である。ルーバー当てリブ28の幅(第1風路9の内壁部からの突出幅)は、あまり広すぎると空気抵抗が大きくなり過ぎることを考慮し、例えば2mm程度とすることができる。ルーバー当てリブ28の幅を2mm程度とし、ルーバー21の風路遮蔽部21cの外周端部と第1風路9の内壁部との隙間を1.5mm程度とすれば、ルーバー21とルーバー当てリブ28とのオーバーラップ幅は0.5mm程度となり、この程度のオーバーラップ幅が確保できれば、第1風路9を充分に封止できる。なお、ここに示したルーバー当てリブ28の幅、ルーバー21と第1風路9の内壁部との隙間、及び上記オーバーラップ幅は、一例であり、その他の値に設計することもできる。
また、図4に示すように、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置まで回動したときの角度θ(第1風路9の延設方向とルーバー21の風路遮蔽部21cとがなす角度)は、本実施の形態では約50度に設定されている。このように、角度θを90度ではなくそれよりも小さい角度(ここでは約50度)に設定すれば、第1風路9から分岐した第2風路11へと乾燥空気が流れるときに、ルーバー21の風路遮蔽部21cに乾燥空気が衝突して生じる圧力損失を、角度θを90度にする場合よりも軽減でき、滑らかなコーナリングを実現できる。これにより、効率的に乾燥空気を第2風路11へ導入することが可能となるのである。また、角度θを45度ではなくそれよりも大きい角度(ここでは約50度)に設定しているのは、角度θを45度にする場合よりもコーナリングの空気通過断面積を大きくでき、空気通過断面積を充分に維持したコーナリングを実現できるからである。このように、上記の角度θは、第1風路9と第2風路11との分岐部のコーナーでの圧力損失と空気通過断面積の維持とを考慮すれば、50度〜55度の範囲が好ましい。
そして、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置にあるとき、ルーバー21より下流側に設けられるルーバー当てリブ28は、ルーバー21の風路遮蔽部21cと略平行になるように形成されており、当該位置で、風路遮蔽部21cの外周端部(外周上端部21x、外周下端部21yおよび外周先端部21z)と隙間なく当接するようになっている。また、ルーバー21の風路遮蔽部21cとルーバー当てリブ28とが当接する部位には、Oリング等の封止部材を設けて空気漏れを確実に防止する構成にすることが好ましい。この場合、Oリング等の封止部材は、ルーバー21の風路遮蔽部21c又はルーバー当てリブ28の何れか一方側に設けることができる。
第1風路9の内部に設けられるルーバー21の回動軸部21aの一端側は、第1風路形成部材26に回動可能に軸支されるとともに、回動軸部21aの他端側は、第1風路形成部材26に穿設されたルーバー取付孔24a(図6及び図9を参照)を貫通して回動可能に軸支されている。そして、ルーバー取付孔24aを貫通して第1風路9の外部へ突出した回動軸部21aの端部にはギア取付部21bが設けられており(図5参照)、当該ギア取付部21bには、図3及び図4に示すように、減速ギア22の第2ギア22bが取り付けられている。
減速ギア22は、円筒形の平歯車である第1ギア22aと、扇形にカットされた平歯車であって当該第1ギア22aと歯合する第2ギア22bとを備える。第1ギア22aは第2ギア22bよりも小径であり、第1ギア22aがピニオンギヤ(小径歯車)となる。第1ギア22aは、ルーバー駆動モータ23のモータ回転軸23aに取り付けられており、ルーバー駆動モータ23の回転動力は、直接、第1ギア22aに伝達されるようになっている。なお、ルーバー駆動モータ23から第1ギア22aへの動力伝達に関しては、上記のように直接ではなく、他の動力伝達機構を介してもよい。
また、第1ギア22aの回転に従って、それと歯合する第2ギア22bが回転させられるので、第1ギア22aが駆動歯車であり、第2ギア22bが被動歯車となっている。ここで、第1ギア22a(駆動歯車)の歯数をZ1とし、第2ギア22b(被動歯車)の歯数をZ2とすると、減速ギア22の減速比は、Z2/Z1として表される。または、第1ギア22aの単位時間当たりの回転数をN1とし、第2ギア22bの単位時間当たりの回転数をN2とすると、減速ギア22の減速比は、N1/N2として表される。そして、この減速比に応じて、第2ギア22bに取り付けられたルーバー21の駆動トルクを増大させることができる。
上記のように、ルーバー駆動モータ23と減速ギア22との組み合わせにより、ルーバー21の駆動トルクを増大させることによって、例えばルーバー21と第1風路9の内壁部との間に異物が挟まった場合であっても、当該異物によりルーバー21が特定の位置でロックされることのない十分なトルクを得ることが可能となる。
また、図10に示すように、第1ギア22a及び第2ギア22bは、ギヤカバー部材29によって覆われている。これにより、第1ギア22aと第2ギア22bとの歯合部への異物の混入を防ぐとともに、第1風路9の外部から第1風路9内への異物の混入をも防止している。
本実施の形態では、ルーバー駆動モータ23として、正逆回転可能なステッピングモータを適用している。そして、図2に示す制御部70が駆動パルスをルーバー駆動モータ23に印加することによって、ルーバー駆動モータ23の回転量(回転角)を調整し、ルーバー21の動作を制御するようになっている。
図3に示すように、第2風路11を遮蔽する位置にルーバー21を駆動する場合、制御部70は若干のオーバーランが発生するように余分なパルス数の駆動パルスをルーバー駆動モータ23に印加する。これによって、ルーバー21に所定の圧力がかかった状態で第2風路11を確実に遮蔽することができる。また、図3中における扇形の第2ギア22bの右端部22cは、当該第2ギア22bの左回転の可動域を制限するオーバーラン防止リブ30と当接することによって、ルーバー21の左回転の大幅なオーバーランが防止されるようになっている。
同様に、図4に示すように、第1風路9を遮蔽する位置にルーバー21を駆動する場合も、制御部70は若干のオーバーランが発生するように余分なパルス数の駆動パルスをルーバー駆動モータ23に印加する。これによって、ルーバー21に所定の圧力がかかった状態で、ルーバー21の風路遮蔽部21cとルーバー当てリブ28とが密着し、第1風路9を確実に遮蔽することができる。また、図4中における扇形の第2ギア22bの左端部22dは、当該第2ギア22bの右回転の可動域を制限するオーバーラン防止リブ31と当接することによって、ルーバー21の右回転の大幅なオーバーランが防止されるようになっている。上記オーバーラン防止リブ30・31は、第1風路9と第2風路11との分岐部のコーナー上部を凹状に形成することにより構成することができる。
以上のように構成されたドラム式洗濯乾燥機について、以下、その動作及び作用効果を詳細に説明する。
先ず、衣類乾燥におけるシワの発生等について考察する。狭いドラム内で衣類を乾燥すると、衣類にシワが多く発生して残るため、使用者の不満となる。これは、狭いドラム内では、衣類がきれいに伸びた状態で乾燥させることができないためである。特に、綿を多く使用した衣類でシワが多く発生し、乾燥後の仕上がりが悪くなる傾向にある。
綿繊維においては、水分が繊維内に介在している状態では繊維同士が自由に動くことができるため、ドラムの回転によって衣類が撹拌されて機械的な力で折り曲げられても、次に伸ばす方向に力が加わると曲がった部分が伸びてシワとして残ることはない。しかし、乾燥が進んで繊維内の水分が減少すると、綿の繊維同士の結合力が強くなり、繊維の動きが悪くなってしまう。このときに機械的な力で繊維が折り曲げられると、その状態を維持し易くなる。さらに乾燥が進んで繊維内の水分がより減少すると、次に伸ばす方向に力が加わっても繊維が曲がったままになって伸びない。この状態をシワの固着と呼ぶ。衣類を乾燥させるには水分を蒸発させなければならないが、水分が減少するとシワが固着するという相反する現象がおこる。シワの固着が多い程、仕上がりが悪い乾燥ということになる。
狭いドラム内では、繊維が曲がった状態になることは避けられない。よって、シワを軽減するためには、シワの数を少なくすること、及び繊維の折り曲がりが鋭角となって強く固着することを避けることが大切である。従って、繊維が折り曲がった箇所が伸びて別の箇所が折り曲がるというように、頻繁に折り曲がりの位置が変わって繊維が伸びたり折り曲がったりしながら乾燥が進むことが好ましい。一方、繊維が伸びた状態で乾燥が進んで水分が殆どなくなった状態では、次に曲げ方向に機械的な力が働いても、繊維同士の結合が強いため、折り曲がって新たなシワにはなり難い。
以上のことから、乾燥工程において、衣類の乾燥状態によってシワが固着し易い領域とそうでない領域とがある。最もシワが発生し易い綿繊維からなる衣類を基準とした乾燥率でいうと、略85%(85%前後)から略100%(100%前後)の領域が、衣類にシワが固着し易い領域である。特に、綿繊維からなる衣類を基準とした乾燥率が略90%(90%前後)から略100%(100%前後)となる領域が、最も衣類にシワが固着し易い。ここで、乾燥率(%)は、下式で示される。
乾燥率=(標準の衣類の質量/水分を含んだ衣類の質量)×100
ここで、標準の衣類の質量とは、気温20℃、湿度65%の条件下で平衡した衣類の質量である。
なお、1枚の衣類の乾燥状態をみても、均等に乾燥することはなく、部分的に乾燥ムラが発生する。例えば、長袖のシャツの場合、脇の下の部分は最も乾きが遅い。このため、通常、乾燥終了時の乾燥率としては100%を目標にするのではなく、100%を超える過乾燥の状態となる乾燥率(例えば乾燥率102%〜105%)で乾燥工程を終了するように設計される。従って、乾燥工程を乾燥率に基づいて領域区分すると、脱水直後から乾燥率90%前後までのシワが固着し難い乾燥序盤の領域、乾燥率90%前後から100%前後のシワが発生して固着が多くなり易い乾燥中盤の領域、及び乾燥率が100%を超えてシワが発生し難くい乾燥終盤の領域となる。
本実施の形態では、乾燥中盤の領域において、衣類の伸びを大きくしてシワ低減に効果のある高圧高速の風を第2風路11の第2吹出口10から吹き出して衣類に当てるようにしている。そして、乾燥序盤と乾燥終盤との少なくとも一方の領域において、第1風路9の第1吹出口8から大風量の風を吹き込むようにしている。このように、乾燥工程において第1風路9と第2風路11とを切り換えることにより、シワの発生を低減するとともに省電力化をも図っている。
乾燥工程における乾燥序盤、乾燥中盤及び乾燥終盤の時期は、乾燥工程開始からの時間により推測することができる。そこで、本実施の形態では、制御部70が、乾燥工程開始からの時間に基づいて、乾燥工程における乾燥序盤、乾燥中盤及び乾燥終盤の時期を判断し、風路切換部12を制御して第1風路9と第2風路11とをタイミングよく切り換える。より具体的には、制御部70は、乾燥工程開始から第1所定時間が経過するまでの期間を乾燥序盤と判断する。また、制御部70は、第1所定時間の経過後、乾燥工程開始からの時間が前記第1所定時間よりも長い第2所定時間が経過するまでの期間を乾燥中盤と判断する。また、制御部70は、第2所定時間の経過後、乾燥工程が終了するまでの期間を乾燥終盤と判断する。
上記のように、乾燥工程の途中で第1風路9と第2風路11とをタイミングよく切り換えることによって、1つの送風部4でもって効果的にシワの発生を低減できる。さらに、乾燥工程の途中において、高風速よりも消費電力の少ない大風量で乾燥する領域を設けているため、高圧で高速の乾燥用空気を常にドラム内に吹き出し、さらに風量を増加するために2つの送風ファン用モータを常に駆動するよりも、トータルの消費電力量を低減できる。このように、本実施の形態のドラム式洗濯乾燥機は、省電力化を図りながら、衣類のシワの発生が少ない良好な乾燥仕上がりを実現することができる。
図11は、風路切り換えタイミングの一例を示すタイムチャートである。乾燥工程において、乾燥運転を開始してから第1所定時間が経過するまでの乾燥序盤期間では、空気通過断面積が大きく圧力損失の少ない第1風路9を使用し、大風量の乾燥用空気をドラム1後方の第1吹出口8から吹き出して衣類に当てる。すなわち、制御部70は、風路切換部12のルーバー駆動モータ23を制御し、図3に示すようにルーバー21の風路遮蔽部21cで第2風路11を閉じて第1風路9側を開き、乾燥運転を開始する。また、制御部70は、乾燥運転の開始と同時にタイマ71による計時を開始し、第1所定時間が経過するまで第1風路9の開状態を継続する。この場合、第1風路9の圧力損失が少ないため、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低くし、少ない消費電力で送風部4を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、乾燥序盤における乾燥時間の短縮及びこの間の消費電力量の低減を図れる。
そして、乾燥運転を開始してから第1所定時間経過後の乾燥中盤期間においては、風路切換部12によって第2風路11に切り換え、送風ファン用モータ4bの回転数を上げる。これにより、乾燥中盤期間では、第1吹出口8よりも空気通過断面積が小さい第2吹出口10から、送風ファン用モータ4bを大回転数で回転させて得られる高圧で高速の乾燥用空気が送風される。すなわち、制御部70は、乾燥運転を開始してから第1所定時間が経過したとき、風路切換部12のルーバー駆動モータ23を制御し、図4に示すようにルーバー21の風路遮蔽部21cとルーバー当接リブ28とで第1風路9を閉じて第2風路9側を開くとともに、送風部4を制御して送風ファン用モータ4bの回転数を上げる。その後、制御部70は、第2所定時間が経過するまで、第2風路11の開状態を継続する。この場合、高圧高速の風によって衣類が常時押し広げられるため、シワが低減する。
さらに、第2所定時間経過後の乾燥終盤には、風路切換部12によって第1風路9に切り換える。乾燥終盤は、衣類に含まれる水分量が少なく、この少ない水分が乾燥用空気と接触して蒸発するには時間がかかる。この様な状態では、大風量の乾燥用空気をドラム1内に送風して水分と乾燥用空気とが接触する機会を多くすることが必要であり、低消費電力で大風量が得られることが好ましい。そこで、空気通過断面積が大きく圧力損失の少ない第1風路9を使用し、大風量の乾燥用空気をドラム1後方の第1吹出口8から吹き出して衣類に当てる。すなわち、制御部70は、乾燥運転を開始してから第2所定時間が経過したとき、風路切換部12のルーバー駆動モータ23を制御して図3に示すように第1風路9側を開くとともに、送風部4を制御して送風ファン用モータ4bの回転数を下げる。その後、制御部70は、乾燥工程の終了まで、第1風路9の開状態を継続する。この場合、第1風路9の圧力損失が少ないため、送風ファン用モータ4bの回転数を比較的低くし、少ない消費電力で送風部4を駆動しても、大風量の風を得ることができる。よって、乾燥終盤における乾燥時間の短縮及びこの間の消費電力量の低減を図れる。
上記のように、制御部70は、乾燥工程開始からの時間(第1所定時間及び第2所定時間)に基づいて、乾燥工程における乾燥序盤、乾燥中盤及び乾燥終盤の各期間の時期を判断しているが、乾燥対象の衣類の量により、乾燥工程全体の時間及び各期間の長さが異なる。そこで、布量検知部15により乾燥対象の衣類の量を検知し、その検知結果に応じて、各期間の判断基準である第1所定時間及び第2所定時間を変更するようにしてもよい。
布量検知部15は、洗濯開始前に、ドラム1に投入された衣類の量(質量)を検知する。具体的には、布量検知部15は、水槽2が空の状態(水槽2内に水が存在せず、ドラム1に衣類が投入されていない状態)におけるダンパ14の軸の位置と、洗濯開始前であって水を水槽2に注入する前の状態(水槽2内に水は存在しないが、ドラム1内には衣類が存在する状態)におけるダンパ14の軸の位置との差によって、ドラム1に投入された衣類の量を検知する。
そして、制御部70は、布量検知部15の検知結果に基づいて、乾燥対象の衣類の量が多いほど、第1所定時間及び第2所定時間が長くなるように設定する。このように、乾燥対象の衣類の量に応じて、乾燥序盤、乾燥中盤、乾燥終盤の時間を最適化することにより、乾燥工程において効果的に第1風路9と第2吹出口10とを切り換えることができる。
また、風路切換部12の動作は次のとおりである。すなわち、制御部70がルーバー駆動モータ23に駆動パルスを印加することにより、ルーバー駆動モータ23を正回転又は逆回転させる。この場合、ルーバー駆動モータ23の駆動力は、モータ回転軸23aに取り付けられ第1ギア22aに伝達され、さらに第1ギア22aに歯合する第2ギア22bに伝達される。このとき、第1ギア22aと第2ギア22bとで構成される減速ギア22において所定の減速比で減速がなされ、これによってルーバー21を駆動するトルクが増加する。第2ギア22bにはルーバー21が取り付けられているので、ルーバー21は十分なトルクで回動(正逆回転)する。よって、例えばルーバー21と第1風路9の内壁部との間に異物が挟まった場合であっても、当該異物によりルーバー21が特定の位置でロックされることのないトルクでルーバー21を回動できるので、ルーバー21の位置制御が不能になるという事態を回避できる。よって、従来のように送風経路の切替制御が十分に出来ないことにより所望の送風経路が選択できなくなったり空気漏れが発生したりすることは、本実施の形態の洗濯乾燥機では生じることはない。このように、本実施の形態では、異物によるロックや空気漏れのない信頼性の高い送風経路切替機構を実現できる。また、当該信頼性の高い送風経路切替機構を備えた衣類乾燥機(又は洗濯乾燥機)は、それが有する乾燥性能を長期的に維持できる。
また、図4に示すように、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置まで回転したとき、ルーバー21における風路遮蔽部21cの外周端部がルーバー当てリブ28に当接することによって封止状態となり、第1風路9を確実に遮蔽することができるようになっている。よって、遮蔽された第1風路9から空気が漏れることを効果的に防止でき、信頼性の高い効率的な送風が可能となる。
ここで、ルーバー当てリブ28がルーバー21よりも乾燥空気の風路下流側に設けられているので、ルーバー21に乾燥空気が当たれば、その空気圧によってルーバー21がルーバー当てリブ28方向に付勢される。これにより、ルーバー21とルーバー当接リブ28との密着状態を容易に実現でき、より確実に空気漏れを防ぐことが可能となる。上記のルーバー当てリブ28は、ルーバー21を所定位置で固定するストッパとしての機能と、ルーバー21とともに第1風路9を封止する封止機能とを兼ね備えている。
また、図4に示すように、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置まで回転した状態において、第1風路9の延設方向とルーバー21とがなす角度θを50度〜55度の好ましい範囲に設定している。これにより、第1風路9と第2風路11との分岐部のコーナーでの乾燥空気通過時の圧力損失を軽減できるとともに、当該コーナーでの空気通過断面積の維持を図ることができる。よって、滑らかなコーナリングにより効率的に乾燥空気を第1風路9から分岐した第2風路11へ導入することが可能となる。
なお、本実施の形態では、図3、図4および図8に示すように、ルーバー当てリブ28を略コの字状に形成し、ルーバー21の風路遮蔽部21cにおける外周上端部21x、外周下端部21yおよび外周先端部21zがルーバー当てリブ28に当接する構成を説明したが、外周先端部21zに対応する部分のルーバー当てリブ28を省略してもよい。すなわち、図12および図13に示すように、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置にあるとき、ルーバー21の回動軸から最も離れた位置にある外周先端部21zを第1風路形成部材26の側壁と当接するように構成すれば、外周先端部21zに対応する部分のルーバー当てリブ28を省略できる。ここで、図12は第1風路形成部材26aの内部の状態を示す斜視図であり、図13は図12の第1風路形成部材26aの要部を拡大した斜視図である。
図12および図13に示す構成において、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置にあるとき、当該ルーバー21よりも送風方向上流側であって、当該ルーバー21の外周先端部21z(遮蔽部材の一部分)と対応する位置における第1風路形成部材26の側壁に、漏れ防止壁61(漏れ防止部)を形成することが好ましい。この漏れ防止壁61は、送風された空気がルーバー21の外周先端部21zと第1風路形成部材26の側壁との間をすり抜けて漏れるのを防止する機能を有するものである。すなわち、ルーバー21が第1風路9を遮蔽する位置にあるとき、ルーバー21の外周先端部21zは第1風路形成部材26の側壁と当接しているが、外周先端部21zの先端にパッキン等を装着しているわけではないので、ルーバー21の外周先端部21zと第1風路形成部材26の側壁との間に僅かな隙間が存在すれば、そこから送風された空気が漏れる可能性がある。そこで、上記の漏れ防止壁61をルーバー21よりも送風方向上流側に設けることによって、送風された空気はルーバー21の外周先端部21zの手前で漏れ防止壁61に当たるので、外周先端部21zと第1風路形成部材26の側壁との間に空気が入り込み難くすることができ、効果的に第1風路9への空気漏れを防止できるのである。
ここで、漏れ防止壁61の形成位置は、ルーバー21の回動動作を妨げないように設計される。つまり、ルーバー21の回動中にルーバー21の外周先端部21zが漏れ防止壁61に接触しないように、当該外周先端部21zと漏れ防止壁61との間には若干の間隔を設けている。
また、図14および図15に示すように、ルーバー21が第2風路11を遮蔽する位置にあるとき、当該ルーバー21よりも送風方向上流側であって、当該ルーバー21の外周先端部21z(遮蔽部材の一部分)と対応する位置における第1風路形成部材26の側壁に、送風された空気がルーバー21の外周先端部21zを飛び越すジャンプ台62(漏れ防止部)を形成することが好ましい。このジャンプ台62の厚み(高さ)は、ルーバー21における風路遮蔽部21cの外周先端部21zの厚み(例えば2mm程度)よりも厚くしており(例えば2.5mm〜3mm程度)、送風された空気がルーバー21の外周先端部21zと第1風路形成部材26の側壁との間に入り込んで漏れるのを防止する機能を有するものである。すなわち、ルーバー21が第2風路11を遮蔽する位置にあるとき、第2風路11はルーバー21の風路遮蔽部21cによって塞がれているが、当該風路遮蔽部21cの面と空気の送風方向とが略平行になっているので、勢いよく送風された空気がルーバー21の外周先端部21zと第1風路形成部材26の側壁との間に入り込んでルーバー21を当該側壁から離して浮かせる可能性がある。そうなると、送風された空気が第2風路11へと漏れてしまう。そこで、ジャンプ台62をルーバー21よりも送風方向上流側に設けることによって、送風された空気がルーバー21の外周先端部21zの手前にあるジャンプ台62を通過することによってルーバー21の外周先端部21zを飛び越すので、当該外周先端部21zに勢いよく空気が当たることはない。これにより、勢いよく送風された空気がルーバー21の外周先端部21zと第1風路形成部材26の側壁との間に入り込み難くすることができ、効果的に第2風路11への空気漏れを防止できるのである。
なお、ルーバー21の外周先端部21zよりも送風方向上流側にジャンプ台62を設ければ、ルーバー21の回動動作がジャンプ台62により妨げられることはないので、ルーバー21の外周先端部21zとジャンプ台62との間隔は、上述のルーバー21の外周先端部21zと漏れ防止壁61との間隔よりも狭く設計することができる。
なお、本実施の形態では、図3等に示すように、分岐部において第1風路9の方が第2風路11よりも、風路断面積(空気通過断面積)が大きくなるように形成されている例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、分岐部における第1風路9と第2風路11との風路断面積が同一の構成にも適用できる。この場合、第2風路11の内壁部にもルーバー当接リブを突設することによって確実に第2風路11を遮断することができる。
また、本実施の形態においては、洗濯機能及び衣類乾燥機能をともに具備するドラム式洗濯乾燥機について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、洗濯機能を具備しない衣類乾燥機にも適用できる。衣類乾燥機の構成例としては、図1に示すドラム式洗濯乾燥機から洗濯機能を除いた構成とすることができる。例えば、洗濯機能を具備しない衣類乾燥機としては、図1の水槽2には給水管や排水管40を接続する必要がなく、水槽2を単なるドラム1の外槽として構成し、その他の基本構成を図1のドラム式洗濯乾燥機と同様とすればよい。
また、本実施の形態においては、本発明をドラム式の洗濯乾燥機に適用した例を説明したが、ドラム式に限定されるものではない。すなわち、本発明の衣類乾燥機及び洗濯乾燥機は、上述の送風経路切替機構(風路切換部12)を具備しておればよく、ドラム式以外の吊り干し乾燥やパルセータ方式の縦型洗濯乾燥等の用途にも適応できる。