JP2012013226A - 減衰力可変ダンパ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】減衰力可変ダンパ10は、作動油12が充填されたシリンダ11と、シリンダに摺動自在に収納されてシリンダを上下の流体室21,22に区画するピストン13と、ピストンの摺動時に流体通路37を開放可能なバルブ手段15と、電圧が印可されることでバルブ手段を流体通路に向けて押圧可能な圧電体16とを備える。そして、圧電体に印可する電圧を変化させてバルブ手段を押圧する力を変えることによりダンパの減衰力を調整可能とした。
【選択図】図2
Description
さらに、減衰力可変ダンパには、ピストンに絞孔が常時開放された状態に形成され、絞孔を経て第1、第2の流体室が連通されている。
この状態で、ピストンが摺動することにより、作動油が連通孔および絞孔を流れ、連通孔および絞孔を流れる作動油の抵抗力がダンパの減衰力として得られる。
よって、連通孔を開放することで作動油の抵抗力を小さく抑えて減衰力を低く抑えることができる。
よって、連通孔を閉塞することで作動油の抵抗力を大きくして、減衰力を高くすることができる。
すなわち、圧電体で連通孔を開閉することによりダンパの減衰力を2段階に調整することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
このように、連通孔の閉塞状態を無段階(連続的)に変えることによりダンパの減衰力を無段階(連続的)に調整することが可能である。
しかし、圧電体を構成する圧電素子単体は、電圧の印可による伸縮量(変位量)が微少である。よって、スプールの移動量を連通孔の孔径より大きく確保するためには、圧電体に印可する電圧を精度よく制御する必要がある。
このため、電圧を印可する制御が複雑になり、この観点から改良の余地が残されていた。
よって、スプールを移動して連通孔を開閉状態に切り替える時間が長くなる。このため、ダンパの減衰力を調整する際に応答性の遅れ(タイムラグ)が生じ、この観点から改良の余地が残されていた。
すなわち、バルブ手段の移動量を確保するために、圧電体に印可する電圧を精度よく制御する必要がない。
特に、一例として、圧電体に印可する電圧と、電圧に応じて得られる減衰力との関係をマップ化し、この特性マップなどを用いることで減衰力の調整を一層簡単に制御することが可能である。
これにより、連通孔の開閉にかかる時間(必要とする時間)を考慮する必要がないので、ダンパを調整する際の応答性を好適に確保することができる。
ここで、ピストンが摺動した際に第1、第2の流体室に差圧が発生し、発生した差圧によりバルブ本体に押圧力が作用する。そして、バルブ本体に作用する押圧力が圧電体の押圧力を超えた場合に弾性手段が圧縮する。
このように、弾性手段が圧縮することで、バルブ本体が流体通路から押し上げられて流体通路が開放した状態に保たれる。
これにより、ピストンの摺動速度に対応させてダンパ減衰力を変化させることができる。
そして、第1受圧部および第2受圧部に作用する各押圧力が圧電体の押圧方向に対して反対方向を向くようにした。
これにより、例えば、圧電体やバルブ手段をそれぞれ一つずつ備えたモノチューブタイプダンパでも、ダンパが圧縮・伸張する際の両作動においてダンパ減衰力の調整が可能になる。
これにより、バルブ本体に円錐形状部を備えるだけの簡単な構成で、ダンパが圧縮・伸張する際の両作動においてダンパ減衰力を調整することができる。
これにより、高速域において流体通路を十分に開放することで低減衰を確保することができる。
図1に示すように、減衰力可変ダンパ10は、作動油12が充填された円筒状のシリンダチューブ11(以下、「シリンダ」という)と、シリンダ11内に摺動自在に収容されたピストン13と、ピストン13に連結されてシリンダ11の上端部11aから突出したピストンロッド14と、ピストン13に設けられたバルブ手段15と、バルブ手段15に連結(当接)された圧電体16とを備える。
この減衰力可変ダンパ10は、車両20の懸架装置に用いられる緩衝装置であり、シリンダ11内でピストン13を矢印方向に摺動することにより、作動油12を上流体室21および下流体室22間で移動させて減衰力を得ることができる。
通路部36は円板状に形成され、略中央に流体通路37が上下方向を向いてバルブ収容空間34と同軸上に設けられている。
この流体通路37は、ピストン空間35および複数の開口孔33を介して上流体室21および下流体室22を連通可能な通路である。
シール38をシリンダ11の内周壁11bに摺動自在に当接(接触)することで、シリンダ11内が上流体室21および下流体室22に区画されている。
このバルブ本体41は流体通路37に対して同軸上に配置され、流体通路37より大径に形成されている。
バルブ本体41が下降して下部41bを通路部36の上部36aに当接することで、バルブ本体41で流体通路37が閉塞される。
流体通路37を開放することで、下流体室22が流体通路37、ピストン空間35および複数の開口孔33を経て上流体室21に連通される。
このばね部材42は、バルブ本体41を通路部36(流体通路37)に向けて押圧可能な圧縮コイルばねである。
このプランジャ43に圧電体16の下端部16aが連結(当接)されている。
この圧電体16は、プランジャ43、ばね部材42およびバルブ本体41に対して同軸上に配置され、上端部16bがピストンロッド14のストッパ部19に当接されるとともに下端部16aがプランジャ43に連結(当接)されている。
ストッパ部19は、ピストンロッド14に固定されている。よって、圧電体16の上端部16bが上方に伸びることをストッパ部19で阻止することができる。
制御部25は、圧電体16に電圧を印可する状態と、印可しない状態に切り替えることが可能で、さらに、圧電体16に印可する電圧を調整する(変化させる)ことができる。
なお、制御部25については後で詳しく説明する。
図4(a)は、本発明に係る圧電体16およびばね部材42の荷重に対する変位を説明するグラフであり、圧電体16をグラフG1,G2,G3で示し、ばね部材42をグラフG4で示す。縦軸は圧電体16やばね部材42に作用する荷重を示し、横軸は圧電体16やばね部材42の変位を示す。
グラフG1は圧電体16に低電圧を印可した状態を示すグラフである。
グラフG2は圧電体16に中電圧を印可した状態を示すグラフである。
グラフG3は圧電体16に高電圧を印可した状態を示すグラフである。
グラフG5は、グラフG1(図4(a)参照)の低電圧を圧電体16に印可したときに得られるダンパ減衰力を示すグラフである。
グラフG6は、グラフG2(図4(a)参照)の中電圧を圧電体16に印可したときに得られるダンパ減衰力を示すグラフである。
グラフG7は、グラフG3(図4(a)参照)の高電圧を圧電体16に印可したときに得られるダンパ減衰力を示すグラフである。
図3(a)に示すように、グラフG1(図4(a)参照)の低電圧を圧電体16に印可していない状態において、ばね部材42のばね力でバルブ本体41が通路部36に当接した状態に保たれる。
圧電体16に低電圧を印可することで圧電体16が伸びる方向に変位しようとする。
ここで、圧電体16の上端部16bがストッパ部19に(連結)当接しているので、上端部16bが上方に変位することをストッパ部19で阻止する。
このとき、バルブ本体41が通路部36に当接している。よって、圧電体16が荷重F1でプランジャ43を押し下げることでばね部材42が流体通路37に向けて押圧され、押圧されたばね部材42が圧縮するように変位Δsする。
ばね部材42の荷重F2および圧電体16の荷重F1が釣り合った(バランスした)状態において、圧電体16の変位Δpを制止するとともにばね部材42の変位Δsを制止する。
このときの、ばね部材42の変位ΔsはΔ1であり、圧電体16の変位ΔpはΔ1である。
すなわち、図4(a)のグラフにおいて、バランス点Pb1でばね部材42の荷重F2および圧電体16の荷重F1がバランス荷重Fb1で釣り合う。
バルブ本体41が通路部36にバランス荷重Fb1で押圧されることで、バルブ本体41で流体通路37が閉塞された状態に保たれる。
ピストン13を矢印Aの如く下向きに摺動することで、上下の流体室21,22間の差圧Pが下流体室22に発生する。発生した差圧Pによりバルブ本体41に押圧力Poが作用する。
押圧力Po=P×(π/4)×D2
但し、D:流体通路37の直径(孔径)
バルブ本体41に作用する押圧力Poがバランス荷重Fb1を超えた場合にばね部材42が圧縮する。
流体通路37が開放することで、下流体室22の作動油12が流体通路37、ピストン空間35および開口孔33を経て上流体室21に矢印Cの如く流れる。
作動油12が流体通路37を流れるときの抵抗力でグラフG5(図4(b)参照)に示すダンパ減衰力が得られる。
よって、バルブ本体41が流体通路37から離れる距離L1が変化し、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが変化する。
ばね部材42が圧縮する方向に変位Δsすることでバルブ本体41が流体通路37から離れる距離L1が大きくなり、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが多量になる。
よって、図4(b)に示すグラフG5の上昇傾斜が緩やかになり、減衰力可変ダンパ10のダンパ減衰力が必要以上に上昇することを好適に抑えることができる。
ばね部材42が伸張する方向に変位Δsすることでバルブ本体41が流体通路37から離れる距離L1が小さくなり、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが少なくなる。
よって、図4(b)に示すグラフG5の下降傾斜が緩やかになり、減衰力可変ダンパ10のダンパ減衰力が必要以上に下降することを好適に抑えることができる。
よって、バルブ本体41が流体通路37から離れる距離L1を変化させて、流体通路37を流れる作動油12の流量Qを変えることができる。
すなわち、減衰力可変ダンパ10によれば、ピストン13の摺動速度に対応させて減衰力可変ダンパ10のダンパ減衰力を好適に変化させることができる。
具体的には、図4(a)に示すグラフG2の中電圧を圧電体16に印可することで、バランス荷重Fb2(バランス点Pb2)に調整することができる。
バランス荷重Fb2(バランス点Pb2)に調整することで、図4(b)に示すグラフG6のダンパ減衰力が得られる。
バランス荷重Fb3(バランス点Pb3)に調整することで、図4(b)に示すグラフG7のダンパ減衰力が得られる。
このように、バランス荷重Fb1〜Fb3(バランス点Pb1〜Pb3)を調整することで、減衰力可変ダンパ10のダンパ減衰力を好適に調整することができる。
すなわち、バルブ本体の移動量を確保するために、圧電体に印可する電圧を精度よく制御する必要がない。
特に、一例として、圧電体16に印可する電圧と、電圧に応じて得られる減衰力との関係をマップ化し、この特性マップなどを用いることで減衰力の調整を一層簡単に制御することが可能である。
これにより、連通孔の開閉にかかる時間(必要とする時間)を考慮する必要がないので、減衰力可変ダンパ10を調整する際の応答性を好適に確保することができる。
このように、減衰力可変ダンパ10にチェックバルブの機能が備えられているので、従来必要とされていたチェックバルブを不要にできる。
圧電体16に路面振動が反力として作用することで、圧電体16が変位して圧電体16に電圧(電力)が発生する。
このように、圧電体16で発生させた電圧(電力)を回生用ハーネス26を経て電源27に貯える(回生する)ことができる。
すなわち、車両20の走行中に圧電体16が反力(外力)で変位した際に圧電体16に電圧が発生する。圧電体16で発生させた電圧のなかには、交流(AC)の状態に近い成分の電圧や直流(DC)の状態に近い成分の電圧が含まれている。
以下、交流(AC)の状態に近い成分の電圧を「交流成分」という。
また、直流(DC)の状態に近い成分の電圧を「直流成分」という。
そこで、図1に示すように、減衰力可変ダンパ10は、圧電体16で発生させた交流成分および直流成分のなかから直流成分を除去するために、給電回路部や回生回路部に制御部25およびキャパシタ47を備えた。
ここで、給電回路部とは、給電用ハーネス24で形成され、電圧を印加可能な回路部をいう。
また、回生回路部とは、回生用ハーネス26で形成され、電圧(電力)を回生可能な回路部をいう。
給電用スイッチ45aおよび回生用スイッチ45bは、第2制御部46からの信号に基づいてオン、オフの状態に切替え可能なスイッチである。
よって、回生の際に圧電体16で発生させた交流電圧が駆動回路(ドライブ回路)48側に導かれることを防止できる。
給電用スイッチ45aおよび回生用スイッチ45bのオン、オフ状態を制御することで、圧電体16に電圧を印可する状態と、圧電体16で発生させた電圧(電力)を回生する状態とに切り替えることができる。
加えて、第2制御部46は、圧電体16に印可する電圧を調整する(変化させる)ことができる。
なお、電荷は、電源27から駆動回路48を経て圧電体16に印加された直流電圧により圧電体16に蓄えられる。
これにより、キャパシタ47を回生回路部に備えることで、回生時に外力によって発電した時間的変化が大きい電圧(交流成分とみなせる電圧)のみを回生することができる。
整流回路49は、前記回生回路部においてキャパシタ47および電源27間に設けられている。
この整流回路49は、圧電体16で発生させた電圧(電力)のうち交流成分を好適に整流可能な回路である。
図6(a)に示すように、給電用スイッチ45aおよび回生用スイッチ45bがオフの状態において、第2制御部46から第1制御部45に給電信号を伝える。
第1制御部45に給電信号を伝えることで給電用スイッチ45aがオンに切り替わる。
これにより、前記給電回路部がオンの状態に切り替わり、電源27から第2制御部46、駆動回路48および給電用スイッチ45aを経て圧電体16に適正な電圧を印加することができる。
よって、圧電体16に印加する電圧を第2制御部46で、例えば、前述したように低電圧、中電圧および高電圧に調整する(変化させる)ことができる。
図6(b)に示すように、給電用スイッチ45aがオン、回生用スイッチ45bがオフの状態において、第2制御部46から第1制御部45に回生信号を伝える。
第1制御部45に回生信号を伝えることで給電用スイッチ45aがオフ、回生用スイッチ45bがオンに切り替わる。
キャパシタ47に伝えられた電圧(電力)は、キャパシタ47において直流成分が除去され、交流成分のみが整流回路49に伝えられる。
整流回路49側に伝えられた交流成分は整流回路49を経て電源27に伝えられる。
よって、前記給電回路部がオフの状態に切り替えられており、圧電体16に発生した電圧(電力)が給電用スイッチ45a、駆動回路48および第2制御部46を経て電源27に伝わることを防止できる。
このように、回生用ハーネス26にキャパシタ47を設け、かつ、給電用スイッチ45aをオフに切り替えることで、回生に必要な交流成分のみを電源27に回生(充電)することができる。
なお、実施例2,3に係る減衰力可変ダンパにおいて実施例1の減衰力可変ダンパ10と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
円錐形状部52は、基端52bから先端52cに向けて徐々に小径になるように(先細状となるように)円錐形に形成されている。
接触外周部位52aは、円錐形状部52のうち、基端52bおよび先端52c間の高さ方向において略中央に位置する円形状の部位(図8参照)である。
先円錐部位53は、円錐形状部52のうち接触外周部位52aから先端52cまでの部位である。
この先円錐部位53は、上下の流体室21,22間の差圧Pが下流体室22に発生した際に差圧Pを受ける第1受圧部である。以下、先円錐部位53を第1受圧部53として説明する。
図8に示すように、第1受圧部53は投影形状が円形で、投影面積S1に形成されている。
この根元円錐部位54は、上下の流体室21,22間の差圧Pが上流体室21に発生した際に差圧Pを受ける第2受圧部である。以下、根元円錐部位54を第2受圧部54として説明する。
図8に示すように、第2受圧部54は投影形状が環状形で、投影面積S2に形成されている。
ここで、第2受圧部54の投影面積S2は第1受圧部53の投影面積S1と一致するように(すなわち、同じ大きさになるように)形成されている。
図10は、本発明に係る減衰力可変ダンパ50のダンパ速度に対するダンパ減衰力を説明するグラフであり、ダンパ速度に対するダンパ減衰力をグラフG8d,G9d,G10d,G8u,G9u,G10uで示す。縦軸はダンパ減衰力を示し、横軸はダンパ速度を示す。
グラフG8uは、ピストン13の上昇中に圧電体16に低電圧を印可することで得られるダンパ減衰力を示すグラフである。
グラフG9uは、ピストン13の上昇中に圧電体16に中電圧を印可することで得られるダンパ減衰力を示すグラフである。
グラフG10uは、ピストン13の上昇中に圧電体16に高電圧を印可することで得られるダンパ減衰力を示すグラフである。
まず、減衰力可変ダンパ50のピストン13が下降中に得られるダンパ減衰力を図9〜図10に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、圧電体16に電圧を印可していない状態において、ばね部材42のばね力でバルブ本体51が通路部36に当接した状態に保たれる。
圧電体16に低電圧を印可することで圧電体16の下端部16aがプランジャ43に向けて伸びるように変位してプランジャ43を荷重F3でばね部材42に向けて押し下げる。
このとき、バルブ本体51が通路部36に当接している。よって、圧電体16が荷重F3でプランジャ43を押し下げることでばね部材42が流体通路37に向けて押圧され、押圧されたばね部材42が圧縮するように変位する。
ばね部材42の荷重F4および圧電体16の荷重F3が釣り合った(バランスした)状態において、圧電体16の変位を制止するとともにばね部材42の変位を制止する。
バルブ本体51が通路部36にバランス荷重Fb4で押圧されることで、バルブ本体51で流体通路37が閉塞された状態に保たれる。
ピストン13を矢印Dの如く下向きに摺動することで、上下の流体室21,22間の差圧Pが下流体室22に発生する。発生した差圧Pにより第1受圧部53に押圧力Poが作用する。
第1受圧部53に作用する押圧力Poがバランス荷重Fb4を超えた場合にばね部材42が圧縮する。
流体通路37が開放することで、下流体室22の作動油12が流体通路37、ピストン空間35および開口孔33を経て上流体室21に矢印Fの如く流れる。
作動油12が流体通路37を流れるときの抵抗力で減衰力可変ダンパ50にダンパ減衰力が得られる。
よって、流体通路37の開口面積S3が変化し、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが変化する。
ばね部材42が圧縮する方向に変位することでバルブ本体51が流体通路37からさらに離れて開口面積S3が大きくなり、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが多量になる。
よって、図10に示すグラフG8dの上昇傾斜が緩やかになり、減衰力可変ダンパ50のダンパ減衰力が必要以上に上昇することを好適に抑えることができる。
ばね部材42が伸張する方向に変位することでバルブ本体51が流体通路37に近づいて開口面積S3が小さくなり、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが少なくなる。
よって、図10に示すグラフG8dの下降傾斜が緩やかになり、減衰力可変ダンパ50のダンパ減衰力が必要以上に下降することを好適に抑えることができる。
よって、流体通路37の開口面積S3を変化させて、流体通路37を流れる作動油12の流量Qを変えることができる。
すなわち、実施例2の減衰力可変ダンパ50によれば、ピストン13の摺動速度に対応させて減衰力可変ダンパ50のダンパ減衰力を好適に変化させることができる。
具体的には、圧電体16に中電圧を印可することで、図10に示すグラフG9dのダンパ減衰力が得られる。
また、圧電体16に高電圧を印可することで、図10に示すグラフG10dのダンパ減衰力が得られる。
図11(a)に示すように、バルブ本体51を通路部36に当接させた状態で圧電体16に低電圧を印可する。
よって、減衰力可変ダンパ50のピストン13を下降する場合と同様に、バルブ本体51が通路部36にバランス荷重Fb4で押圧されることで、バルブ本体51で流体通路37が閉塞された状態に保たれる。
ピストン13を矢印Gの如く上向きに摺動することで、上下の流体室21,22間の差圧Pが上流体室21に発生する。
よって、減衰力可変ダンパ50のピストン13が下降する場合と同様に、発生した差圧Pにより第2受圧部54に押圧力Poが作用する。
第2受圧部54に作用する押圧力Poがバランス荷重Fb4を超えた場合にばね部材42が圧縮する。
流体通路37が開放することで、上流体室21の作動油12が流体通路37を経て下流体室22に矢印Iの如く流れる。
作動油12が流体通路37を流れるときの抵抗力で減衰力可変ダンパ50にダンパ減衰力が得られる。
よって、流体通路37の開口面積S3が変化し、流体通路37を流れる作動油12の流量Qが変化する。
よって、図10に示すグラフG8uの上昇傾斜が緩やかになり、減衰力可変ダンパ50のダンパ減衰力が必要以上に上昇することを好適に抑えることができる。
よって、図10に示すグラフG8uの下降傾斜が緩やかになり、減衰力可変ダンパ50のダンパ減衰力が必要以上に下降することを好適に抑えることができる。
具体的には、圧電体16に中電圧を印可することで、図10に示すグラフG9uのダンパ減衰力が得られる。
また、圧電体16に高電圧を印可することで、図10に示すグラフG10uのダンパ減衰力が得られる。
そして、第1受圧部53および第2受圧部54に作用する各押圧力(差圧P)が圧電体16の押圧方向に対して反対方向を向くようにした。
これにより、例えば、圧電体16やバルブ手段56をそれぞれ一つずつ備えたモノチューブタイプダンパでも、減衰力可変ダンパ50が圧縮・伸張する際の両作動においてダンパ減衰力の調整が可能になる。
これにより、バルブ本体51に円錐形状部52を備えるだけの簡単な構成で、減衰力可変ダンパ50が圧縮・伸張する際の両作動においてダンパ減衰力を調整することができる。
流体通路62は、外周61aに沿って湾曲状に形成されている。
複数の流体通路62を通路部61の外周61aに沿って形成することで、実施例1、2のように通路部61の中央に流体通路を形成する場合と比較して、複数の流体通路62の開口面積S4を大きく確保できる。
開口面積S4は各流体通路62の開口面積の総和である。
よって、バルブ収容空間34において中央部65をバルブ収容空間34の軸線方向(上下方向)に摺動させることができる。
中央部65は、圧電体16の反対側に底面65aが設けられている。
この外枠部66は、底面66aに第1受圧部66bが設けられている。
具体的には、外枠部66で複数の流体通路62を閉塞した状態において、底面66aのうち下流体室22に臨む部位が第1受圧部66bである。
ここで、(外枠部66の上面66cの投影面積)<(底面65aの投影面積)の関係が成立する。よって、底面65aの一部が第2受圧部65bとなる。
第2受圧部65bは、投影面積が第1受圧部66bの投影面積と一致するように(すなわち、同じ大きさになるように)形成されている。
まず、減衰力可変ダンパ60のピストン71が下降中に得られるダンパ減衰力を図14に基づいて説明する。
図14(a)に示すように、圧電体16に電圧を印可していない状態において、ばね部材42のばね力でバルブ本体64の外枠部66が通路部61に当接した状態に保たれる。
圧電体16に電圧を印可することで圧電体16の下端部16aがプランジャ43に向けて伸びるように変位してプランジャ43を荷重F5でばね部材42に向けて押し下げる。
このとき、外枠部66が通路部61に当接している。よって、圧電体16が荷重F5でプランジャ43を押し下げることでばね部材42が流体通路62に向けて押圧され、押圧されたばね部材42が圧縮するように変位する。
ばね部材42の荷重F6および圧電体16の荷重F5が釣り合った(バランスした)状態において、圧電体16の変位を制止するとともにばね部材42の変位を制止する。
バルブ本体64が通路部61にバランス荷重Fb5で押圧されることで、バルブ本体64の外枠部66で流体通路62が閉塞された状態に保たれる。
ピストン71を矢印Jの如く下向きに摺動することで、上下の流体室21,22間の差圧Pが下流体室22に発生する。発生した差圧Pにより第1受圧部66bに押圧力Poが作用する。
第1受圧部66bに作用する押圧力Poがバランス荷重Fb5を超えた場合にばね部材42が圧縮する。
流体通路62が開放することで、下流体室22の作動油12が流体通路62、ピストン空間35および開口孔33を経て上流体室21に矢印Lの如く流れる。
作動油12が流体通路62を流れるときの抵抗力で減衰力可変ダンパ60にダンパ減衰力が得られる。
よって、外枠部66が流体通路62から離れる距離L2が変化して、流体通路62を流れる作動油12の流量Qが変化する。
これにより、ピストン71の摺動速度に対応させて減衰力可変ダンパ60のダンパ減衰力を好適に変化させることができる。
図15(a)に示すように、バルブ本体64の外枠部66を通路部61に当接させた状態で圧電体16に低電圧を印可する。
よって、減衰力可変ダンパ60のピストン71を下降する場合と同様に、バルブ本体64の外枠部66が通路部61にバランス荷重Fb5で押圧されることで、外枠部66で流体通路62が閉塞された状態に保たれる。
ピストン71を矢印Mの如く上向きに摺動することで、上下の流体室21,22間の差圧Pが上流体室21に発生する。
よって、減衰力可変ダンパ60のピストン71が下降する場合と同様に、発生した差圧Pにより第2受圧部65bに押圧力Poが作用する。
第2受圧部65bに作用する押圧力Poがバランス荷重Fb5を超えた場合にばね部材42が圧縮する。
流体通路62が開放することで、上流体室21の作動油12が流体通路62を経て下流体室22に矢印Oの如く流れる。
作動油12が流体通路62を流れるときの抵抗力で減衰力可変ダンパ60にダンパ減衰力が得られる。
よって、外枠部66が流体通路62から離れる距離L2が変化して、流体通路62を流れる作動油12の流量Qが変化する。
これにより、ピストン71の摺動速度に対応させて減衰力可変ダンパ60のダンパ減衰力を好適に変化させることができる。
そして、第1受圧部66bおよび第2受圧部65bに作用する各押圧力(差圧P)が圧電体16の押圧方向に対して反対方向を向くようにした。
これにより、例えば、圧電体16やバルブ手段72をそれぞれ一つずつ備えたモノチューブタイプダンパでも、減衰力可変ダンパ60が圧縮・伸張する際の両作動においてダンパ減衰力の調整が可能になる。
これにより、高速域において流体通路62を十分に開放することで低減衰を確保することができる。
例えば、前記実施例1〜3では、圧電体16に印可する電圧を、一例として低電圧、中電圧および高電圧の3段階に分けた例について説明したが、これに限らないで、圧電体16に印可する電圧を低電圧〜高電圧の範囲で無段階に変えることも可能である。
圧電体16に印可する電圧を無段階に変えることでダンパ減衰力を一層好適に調整することが可能になる。
例えば、給電用スイッチ45aや回生用スイッチ45bを手動などの他の手段でオン、オフ制御することも可能である。
Claims (5)
- 車両の懸架装置に用いられて減衰力を調整可能な減衰力可変ダンパであって、
作動油が充填されたシリンダと、
前記シリンダに摺動自在に収納されて前記シリンダを第1、第2の流体室に区画するとともに、前記第1、第2の流体室を連通させる流体通路を有するピストンと、
前記ピストンに設けられ、前記流体通路に向けて押圧することで前記流体通路を閉塞可能で、かつ、前記ピストンの摺動時に前記流体通路を開放可能なバルブ手段と、
前記バルブ手段に連結され、電圧が印可されることで前記バルブ手段を前記流体通路に向けて押圧可能な圧電体と、を備え、
前記圧電体に印可する電圧を変化させて前記バルブ手段を押圧する力を変えることにより前記減衰力を調整可能としたことを特徴とする減衰力可変ダンパ。 - 前記ピストンは、
前記圧電体が設けられたピストン本体と、前記ピストン本体に一体に形成されて前記流体通路が設けられた通路部と、を有し、
前記バルブ手段は、
前記通路部および前記ピストン本体間に摺動自在に設けられて前記流体通路を開閉可能なバルブ本体と、前記バルブ本体を前記流体通路に向けて押圧する弾性手段と、を有し、
前記弾性手段に前記圧電体を設けて、前記圧電体に電圧を印可することにより前記弾性手段を前記流体通路に向けて押圧可能としたことを特徴とする請求項1記載の減衰力可変ダンパ。 - 前記バルブ本体は、
前記第1流体室および前記第2流体室のうち一方の流体室に配置され、
前記流体通路を閉塞した状態において、前記流体通路を介して前記第1流体室および前記第2流体室のうち他方の流体室に臨み、前記他方の流体室に充填された作動油の押圧力が前記圧電体の押圧方向に対して反対方向を向くように作用する第1受圧部と、
前記流体通路を閉塞した状態において、前記一方の流体室に充填された作動油の押圧力が前記圧電体の押圧方向に対して反対方向を向くように作用する第2受圧部と、
を有することを特徴とする請求項2記載の減衰力可変ダンパ。 - 前記バルブ本体は、
前記流体通路に向けて先細状となる円錐形状部を有し、前記円錐形状部の接触外周部位を前記流体通路の外周壁に当接させて前記流体通路を閉塞可能とし、
前記円錐形状部のうち前記接触外周部位から先端までの先円錐部位が前記他方の流体室に臨む前記第1受圧部であり、
前記接触外周部位から基端までの根元円錐部位が前記一方の流体室に臨む前記第2受圧部であり、
前記先円錐部位の投影面積を前記根元円錐部位の投影面積に一致させたことを特徴とする請求項3記載の減衰力可変ダンパ。 - 前記流体通路は、
前記通路部の外周に沿って形成され、
前記バルブ本体は、
前記流体通路を閉塞可能に前記通路部の外周に沿って形成され、前記第1受圧部が設けられた外枠部と、
前記外枠部の内側に配置され、前記第2受圧部が設けられた中央部と、を有し、
前記第1受圧部の投影面積を前記第2受圧部の投影面積に一致させたことを特徴とする請求項3記載の減衰力可変ダンパ。
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