JP2012011399A - 装飾部品 - Google Patents

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【課題】 複数のセラミックスをろう材で接合しても、ろう材の不要なはみ出しが抑制され、接合強度の高い装飾部品を提供する。
【解決手段】 複数のセラミックス(本体2,脚部4)が接合層3を介して接合されてなる装飾部品であって接合層3は、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含む装飾部品1である。この装飾部品1は、ろう材の不要なはみ出しが抑制されていとるとともに、セラミックスを構成する非金属成分と、セラミックスに対する濡れ性が良好である元素Bとが反応することによって、セラミックス同士の接合強度を高くすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数のセラミックスを接合した装飾部品に関するものである。
従来、時計用装飾部品や装身具用装飾部品には、金,銀,これらの合金,または各種金属にメッキを施したものが用いられていたが、いずれも硬度が低いことから、硬質物質との接触により、表面に傷が生じやすく、変形しやすいという問題があった。そこで、このような問題を解決するために本出願人は、種々の装飾部品用のセラミックスを提案しており、例えば、特許文献1に、ニッケル,ニオブ,クロムおよび炭素を含み、炭素を0.5質
量%以上0.9質量%以下の含有量で含む窒化チタン質焼結体からなる装飾部品用セラミッ
クスを提案している。
また、装飾部品の形成において、複雑形状への対応や作製上の効率化を図るために、装飾部品となる構成部材を個々に作製して接合することが行なわれており、この接合に用いるろう材として、特許文献2には、Au,Ag,Cuを主成分とし、Ni,In,Ga,Snを含み、残部がその他の不可避成分からなる白色金合金ろう材が提案されている。
国際公開第2009/069549号パンフレット 特開2005−88047号公報
しかしながら、特許文献1で提案している装飾部品用セラミックス同士、またはこの装飾部品用セラミックスと他の材質からなるセラミックスとを、特許文献2で提案された白色金合金ろう材からなる接合層を介して接合した場合には、特許文献2に記載された白色金合金ろう材には、融点の低い成分を含んでいるために接合部においてろう材がはみ出しやすく、しかも、このろう材はステンレス鋼の接合を目的としたものであるため、セラミックスの接合において、高い接合強度を得ることが困難であった。
本発明は上記課題を解決すべく案出されたものであり、複数のセラミックスをろう材で接合しても、ろう材の不要なはみ出しが抑制された、接合強度の高い装飾部品を提供することを目的とするものである。
本発明の装飾部品は、複数のセラミックスが接合層を介して接合されてなる装飾部品であって、前記接合層は、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の装飾部品は、上記構成において、前記元素Aの含有量が2質量%以上22質量%以下であり、前記元素Bおよび前記元素Cの各含有量が1質量%以下8質量%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の装飾部品は、上記いずれかの構成において、前記銅の含有量が35質量%
以上50質量%以下であり、前記銀を併せた含有量が91.5質量%以下であることを特徴とするものである。
また、本発明の装飾部品は、上記いずれかの構成において、前記セラミックスの少なくとも1種は、装飾面が黄金色を呈していることを特徴とするものである。
本発明の装飾部品によれば、複数のセラミックスが接合層を介して接合されてなる装飾部品であって、接合層は、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含むことから、セラミックスを構成する非金属成分と、セラミックスに対する濡れ性が良好である元素Bとが反応することによって、セラミックス同士の接合強度を高くすることができる。また、融点の低い元素Aを含むことにより、接合されるセラミックス同士の間に生じる空隙を減少させつつ、融点の高い元素Cを含むことにより、ろう材の粘性は低くなりすぎるのを抑えて接合部における不要なはみ出しを制御することができる。
また、本発明の装飾部品によれば、元素Aの含有量が2質量%以上22質量%以下であり、元素Bおよび元素Cの各含有量が1質量%以上8質量%以下であるときには、元素A,元素Bおよび元素Cの各含有量が最適化されているので、より空隙が少なくなって接合強度をさらに高くすることができるとともに、接合部における不要なはみ出しを減少させることができる。
また、本発明の装飾部品によれば、銅の含有量が35質量%以上50質量%以下であり、銀を併せた含有量が91.5質量%以下であるときには、ろう材の流れ性を良好にすることができるとともに、銀および銅をそれぞれ単独で用いるよりも低い温度でセラミックス同士を空隙の少ない状態で良好に接合することができる。
また、本発明の装飾部品によれば、セラミックスの少なくとも1種は、装飾面が黄金色を呈しているときには、銀および銅を主成分とし、元素A,元素Bおよび元素Cを含む接合層が、黄金色の色調を呈することから、セラミックスの少なくとも1種が呈する黄金色との色調差が小さく、接合層を有していることが視認されにくいので装飾的価値を損なうことなく複数のセラミックスを接合した装飾部品を得ることができる。
本発明の装飾部品である時計用ケースの実施の形態の一例を示す斜視図である。
以下、本実施形態の装飾部品の一例について説明する。
図1は、本発明の装飾部品である時計用ケースの実施の形態の一例を示す斜視図である。なお、図1において、接合層3については、接合箇所を示すために、誇張して記載している。
図1に示す例の時計用ケース1は、時刻を表示する指針を回転軸を介して駆動するムーブメント(駆動機構)および文字板等を収容する凹部を有する本体2と、腕に時計を装着するための時計用バンド(図示しない)を取り付ける脚部4とからなる。各脚部4は、時計用バンドを構成するバンド駒(図示しない)を取り付けるためのピン(図示しない)を
装着する穴4aを備えている。
本実施形態の装飾部品である時計用ケース1は、本体2および脚部4がセラミックスからなり、本体2と脚部4とが、接合層3を介して接合されてなるものである。
そして、本実施形態において、接合層3は、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,タンタル,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含むことが重要である。
接合層3における主成分とは、接合層3を構成する全成分100質量%に対して、50質量
%以上を占める成分をいう。すなわち、本実施形態においては、銀および銅の合算が50質量%を超えるものである。
次に、接合層3が、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aを含む、すなわち接合層3となるろう材に上記元素Aが含まれていることから、元素Aは融点が低く溶融しやすいため、ろう材の流れ性が良好となるので、本体2と脚部4との間に生じる空隙(ろう材が追従できずに残る隙間)を減少させることができる。この空隙については、その有無を超音波探傷法により確認することができる。
また、接合層3が、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bを含む、すなわち接合層3となるろう材に上記元素Bが含まれていることから、元素Bはセラミックスからなる本体2および脚部4に対する濡れ性が良好であり、本体2および脚部4を構成するセラミックスに含まれる非金属成分と元素Bとが反応することによって、本体2と脚部4との接合強度を高めることができる。この接合強度については、JIS C 6481−1996に準拠して引きはがし強さを測定することにより確認することができる。
また、接合層3が、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cを含む、すなわち接合層3となるろう材に上記元素Cが含まれていることから、元素Cは融点が高く溶融しにくいため、ろう材の粘性は低くなり過ぎるのを抑えて接合部における不要なはみ出しを制御することができる。なお、本実施形態における接合部における不要なはみ出しとは、本体2および脚部4のそれぞれの装飾面からその法線方向に0.2mmを超えている部分をいう。本体2および脚部4のそれぞれの装
飾面からはみ出している長さについては、光学顕微鏡で確認することができる。
そして、接合層3となるろう材が、銀および銅を主成分とし、上述の特徴を有する元素A,元素Bおよび元素Cを含むことにより、本体2および脚部4と接合層3となるろう材との濡れ性が良好であり、本体2および脚部4を構成するセラミックスに含まれる非金属成分と元素Bとが反応することによって、本体2と脚部4との接合強度を高めることができる。また、融点の低い元素Aを含むことにより、本体2と脚部4との間に生じる空隙を減少させることができるとともに、融点が高く粘性の低くなり過ぎるのを抑えることのできる元素Cを含むことにより、接合部における不要なはみ出しを制御することができる。
また、上述の特徴を得ることのできる元素A,元素Bおよび元素Cの好ましい含有量としては、接合層3を構成する全成分100質量%のうち、元素Aが2質量%以上22質量%以
下、元素Bおよび元素Cがそれぞれ1質量%以上8質量%以下であることが好適である。そして、残部が主成分である銀および銅となる。
また、接合層3は、銅の含有量が35質量%以上50質量%以下であり、銀を併せた含有量が91.5質量%以下であることが好適である。上記範囲を満足する含有量であることにより、ろう材の流れ性が良好になるとともに、銀および銅をそれぞれ単独で用いる場合よりも低い温度で本体2および脚部4を空隙の少ない状態で良好に接合することができる。なお、接合層3における各元素の同定および含有量については、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法により求めればよい。
また、接合層3は、酸素の含有量が2質量%以下であることが好適である。酸素の含有量が上記範囲であることにより、接合層3を構成する各元素の酸化を抑制することができるので、本体2と脚部4との接合強度が低下するおそれを少なくすることができる。なお、接合層3に含まれる酸素の含有量は、赤外線吸収法により求めればよい。
ところで、本実施形態の装飾部品である時計用ケース1を構成するセラミックスからなる本体2および脚部4は、例えば、主成分が窒化チタン,炭化タンタル,窒化ジルコニウム,炭化チタン,炭窒化チタン,炭化珪素,窒化硼素,窒化アルミニウム,窒化珪素,酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムの少なくともいずれか1種であり、焼結体または単結晶のいずれでもよい。なお、ここでいう主成分とは、本体2および脚部4をそれぞれ構成するセラミックスの成分の合計100質量%に対して、50質量%以上を占める成分であ
る。
そして、銀および銅を主成分とし、上記元素A,元素Bおよび元素Cを含む接合層3は、黄金色の色調を呈する。そのため、上述した主成分からなるセラミックスにおいて、装飾面が黄金色以外の色調を呈するセラミックスを複数用いて接合してなる装飾部品は、様々な色調の組み合わせにおいて、セラミックス間の接合部である黄金色を呈する接合層3がアクセントとなり、デザイン性を高めて装飾的価値を高めることができる。
また、複数のセラミックスのうち、セラミックスの少なくとも1種の装飾面が黄金色を呈するものであるとき、すなわち本体2および脚部4のいずれか、若しくは両方の装飾面が黄金色を呈しているときには、接合層3との色調差が小さく、接合層3を有していることが視認されにくいので、装飾的価値を損なうことなく本体2と脚部4とを接合した時計用ケース1を得ることができる。
ここで、本実施形態の装飾部品である時計用ケース1を構成するセラミックスからなる本体2,脚部4におけるそれぞれの装飾面とは、装飾部品の装飾的価値が要求される面を指し、全ての面を指すものではない。例えば、図1に示す例の時計用ケースであれば、この時計用ケース1の本体2の凹部を除く表面が、鑑賞の対象となり装飾的価値が要求される面となるので装飾面である。
このように、接合層3は不要なはみ出しが少なく、接合強度に優れているので、様々な材質を用いて接合することにより、色の組み合わせのバリエーションを増やしたり、接合層3の黄金色をアクセントとしてデザイン性を高めたり、装飾部品を構成する部材に求められる特性に応じた材質との組み合わせにより、高級感や美的満足感のみならず、長期間の使用に耐えることのできる装飾部品とすることができる。
そして、装飾面が黄金色を呈するセラミックスの好適な材料としては、主成分が窒化チタン,炭化タンタルおよび窒化ジルコニウムの少なくともいずれか1種であり、装飾品として良好な黄金色を呈するとともに、強度や硬度等の機械的特性が高くするためには、主成分が70質量%以上含有していることが好適である。
また、装飾面が黄金色を呈するセラミックスは、その主成分が窒化チタンであるときに
は、装飾面における窒化チタンの結晶粒子の格子定数によっても装飾面の美観は影響を受けるので、装飾面における窒化チタンの結晶粒子の格子定数が0.4242nm以上0.4252nm以下であることが好適である。格子定数がこの範囲であるときには、窒化チタンの結晶粒子の格子定数がその理論値である0.4242nm近傍に制限されていることから、炭素や酸素等の不純物が窒化チタンに固溶することがほとんどできなくなるため、装飾面の美観を損なうおそれがさらに減少する。なお、窒化チタンの結晶粒子の格子定数の理論値は0.4242nmであり、格子定数は0.4242nmより小さい値をとることはない。装飾面における窒化チタンの結晶粒子の格子定数は高分解能X線回折法を用いて求められる。
具体的には、CuKα1特性X線を装飾部品用セラミックスに照射し、回折角(2θ)が20°≦2θ≦110°の範囲で、0.008°のステップでスキャンして得られたX線回折パターンをRIETAN-2000プログラム(泉富士夫氏作成:F. Izumi and T. Ikeda, Mater. Sci. Forum, 321-324 (2000) 198)を用いてリートベルト法で解析することにより、格子定数
を求めることができる。
但し、上述のように、RIETAN-2000を用いてリートベルト法で解析する場合には、窒化
チタンの結晶粒子の各結晶面からのX線回折パターンのピーク形状によって格子定数が変動するため、虎谷の分割pseudo-voigt関数を用いてピーク形状を限定すればよい。
そして、装飾面が黄金色を呈するセラミックスには、高級感,美的満足感および精神的安らぎ等が求められるため、例えば、装飾面が黄金色を呈する主成分が窒化チタンであるセラミックスであれば、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が72以上84以下であり、クロマティクネス指数a*,b*がそれぞれ3以上9以下,27以上36以下であることが好ましく、接合層3も上述した範囲内であって、黄金色を呈するセラミックスとの色調差が小さいことが好ましい。
ここで、明度指数L*とは色調の明暗を示す指数であり、明度指数L*の値が大きいと色調は明るく、明度指数L*の値が小さいと色調は暗くなる。また、クロマティクネス指数a*は色調の赤から緑の度合いを示す指数であり、a*の値がプラス方向に大きいと色調は赤色になり、その絶対値が小さくなるにつれて色調は鮮やかさに欠けたくすんだ色調になり、a*の値がマイナス方向に大きいと色調は緑色になる。さらに、クロマティクネス指数b*は色調の黄から青の度合いを示す指数であり、b*の値がプラス方向に大きいと色調は黄色になり、その絶対値が小さくなるにつれて色調は鮮やかさに欠けたくすんだ色調になり、b*の値がマイナス方向に大きいと色調は青色になる。
また、装飾面の算術平均高さRaは、光の反射率に影響を及ぼして色調が変わるため、黄金色を呈する装飾面の算術平均高さRaを0.03μm以下としておくことが好ましい。これにより、光の反射率が高くなり、明度指数L*の値を上昇させることができる。この算術平均高さRaが0.03μmを超えると、明度指数L*の値が低下し、色調は暗くなり高級感が低下するおそれがある。
ここで、前述した光の波長は380〜780nmを有する可視光線の集合であり、算術平均高さRaを0.03μm以下とすることによって、可視光線を分光し、青色を示す波長域450〜500nmの光の反射を少なくするとともに、黄色を示す波長域570〜590nmの光の反射を多くするように作用するので、高級感,美的満足感および精神的安らぎ等を与える黄金色を呈することができる。特に、波長域570〜700nmの光に対する装飾面の反射率は、50%以上であることが好適である。
なお、算術平均高さRaはJIS B 0601−2001に準拠して測定すればよく、測定長さおよびカットオフ値をそれぞれ5mmおよび0.8mmとし、触針式の表面粗さ計を用い
て測定する場合であれば、例えば、黄金色を呈するセラミックスの装飾面に、触針先端半径が2μmの触針を当て、触針の走査速度は0.5mm/秒に設定し、この測定で得られた
5箇所の平均値を算術平均高さRaの値とする。
そして、明度指数L*の値を72以上84以下としたのは、黄金色の色調に程良い明るさが発現するからであり、クロマティクネス指数a*の値を3以上9以下としたのは、色調の鮮やかさを落とさずに赤味を抑えることができるためである。また、クロマティクネス指数b*の値を27以上36以下としたのは、色調の鮮やかさを落とさずに黄金色を出せるからである。特に、明度指数L*の値は、72以上79以下であることが好適である。
また、装飾面が黄金色を呈するセラミックスは、この装飾面における開気孔率が2.5%
以下であることが好ましい。さらに、開気孔率が1.1%以下であることが好ましい。なお
、黄金色を呈する装飾面における開気孔率は、金属顕微鏡を用いて、倍率を200倍にして
CCDカメラで装飾面の画像を取り込み、画像解析装置((株)ニレコ製LUZEX−FS等)により画像内の1視野の測定面積を2.25×10−2mm,測定視野数を20,つまり測定総面積が4.5×10−1mmにおける開気孔の面積を求めて測定総面積における割合
を黄金色を呈する装飾面の開気孔率とすればよい。
そして、このような装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*の値およびクロマティクネス指数a*,b*の値は、JIS Z 8722−2000に準拠して測定することで求められる。例えば、分光測色計(コニカミノルタホールディングス(株)製CM−3700d等)を用い、光源をCIE標準光源D65,視野角を10°,測定範囲を5mm×7mmに設定して測定することができる。
次に、装飾面が黄金色を呈する、主成分が窒化チタン,炭化タンタルおよび窒化ジルコニウムの少なくともいずれか1種であるセラミックスの副成分としては、ニッケル,ニオブおよびクロムを含むことが好適である。この副成分である各金属元素の含有量は、蛍光X線分析(XRF)法またはICP発光分析法により測定し、主成分は、X線回折法により同定し、100質量%から副成分の合算した値を引いた値を主成分の含有量とすればよい
そして、ニッケルの含有量としては、7質量%以上14.5質量%以下、ニオブの含有量としては、2.5質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
ニッケルは、展性に富み、主成分の結晶同士を結合する結合剤として作用するために、できる限り多く加えることが好ましいが、一方で、装飾面が黄金色を呈するセラミックスにおいて含有量が多すぎるときには、このセラミックスを身に付けていると汗と反応してニッケルが溶出してしまい、色調は赤みを帯びて、需要者の求める高級感,美的満足感および精神的安らぎ等の装飾的価値を与える黄金色とならなくなるおそれがある。また、CIE1976L*a*b*色空間におけるクロマティクネス指数a*は高くなるものの、明度指数L*,クロマティクネス指数b*とも低くなるため、ニッケルの含有量は7質量%以上14.5質量%以下であることが好ましい。特に、窒化チタン,炭化タンタルおよび窒化ジルコニウムの少なくともいずれか1種を主成分とするセラミックスが腕時計用ケース,バンド駒等を始めとする身に付けるものを構成する場合には、ニッケルの含有量は7質量%以上10質量%以下であることがより望ましい。
また、ニオブの含有量を2.5質量%以上10質量%以下としたのは、ニオブが窒化チタン
に固溶する、あるいはニッケルの内部に溶融することによって、明度指数L*の値を高くする色調調整剤としての作用がある反面、ニオブの含有量が多いと共有結合性が高いために焼結が難しくなるおそれがあるからである。
そして、ニオブの含有量は3質量%以上8質量%以下であることがより望ましい。これは、ニオブは粒成長を抑制するように働くので、結晶粒界は増加し、入射した光は装飾面を形成する結晶による鏡面反射と併せて結晶粒界による拡散反射の影響を強く受ける結果、装飾面における明度指数L*は高くなるとともに、その色調は優れた相乗効果を生むため、光沢のある色調感が増し、さらに高級感,美的満足感および視覚を通じて精神的安らぎが得られるからである。
なお、反射は一般的に鏡面反射と拡散反射とからなり、ここで鏡面反射とは、光が鏡面である装飾面、微視的には装飾面を形成する結晶に入射した後、反射したときにその入射角と反射角が同じになる反射をいい、拡散反射とは光が結晶粒界に入り込み、ランダムな反射を繰り返した後、再び外部に向かう反射をいう。
ただし、装飾面を形成する結晶を後述するバレル研磨により表面粗さを調整することができ、原子間力顕微鏡で測定したときの粒界を含まない結晶面の表面粗さを算術平均高さRaで0.001μm以上0.002μm以下にすると、結晶面での反射が鏡面反射から拡散反射に一部変化する傾向が見られ、装飾面におけるクロマティクネス指数b*を32以上にすることができて鮮やかな黄金色となるので好適である。
また、ニッケルはニオブと化合してニッケルニオブ、例えばNbNiとして析出していることが好適で、NbNiの析出により、明度指数L*の値は大きくなって、気品漂う明るさが醸し出される。このNbNi等のニッケルニオブは、X線回折法で検出することができる。
次に、クロムの含有量は、1.5質量%以上6.5質量%以下であることが好ましい。クロムは、空気中の酸素と結合して装飾面に緻密な酸化被膜を生成するので耐食性を向上させることができるとともに、ニッケルがクロムを包囲した状態で粒界相を形成すると、ニッケルがクロムと反応してニッケルクロム化合物を生成して、ニッケルがイオン化して流出することを抑制することができる。しかしながら、クロムの含有量は色の鮮やかさに影響を及ぼすため、ニッケルの流出を抑制し、耐食性と鮮やかさを兼ね備えるためには、クロムを1.5質量%以上6.5質量%以下の含有量で含むことが好ましい。
なお、ニッケルがクロムを包囲した状態とは、クロムが主成分の結晶と接することなく粒界相に周囲を取り囲まれた状態をいい、この状態については、走査型電子顕微鏡で得られた装飾面の画像と、エネルギー分散型(EDS)X線マイクロアナライザーによって検出されるニッケル,クロムの分布状態を示す装飾面の画像とを照合することで確認することができる。
また、装飾面が黄金色を呈するセラミックスとして、窒化チタンおよび窒化ジルコニウムのいずれか1種を主成分とするときには、0.4質量%以上0.9質量%以下の炭素を含有していることが好適である。上記構成の窒化チタンおよび窒化ジルコニウムのいずれか1種を主成分とするセラミックスに炭素が上記範囲で含有されることにより、炭素は主成分である窒化チタンまたは窒化ジルコニウムに拡散して固溶体を形成して焼結を促進するため、靱性や硬度等の機械的特性を高くすることができる。なお、炭素の含有量については、赤外線吸収(炭素分析)法を用いて測定すればよい。
また、装飾面が黄金色を呈するセラミックスにアルミニウムを含んでいなければ、アルミニウムが他の金属成分と結合して銀白色の斑点状の異物として装飾面に付着することがないので、装飾面の美観が損なわれることがほとんどない。黄金色を呈するセラミックス中のアルミニウムの含有量は0.1質量%以下であることが好ましく、アルミニウムの含有
量はICP発光分析法により測定すればよい。
次に、本実施形態の装飾部品を構成するセラミックスは、ビッカース硬度(Hv)が装飾部品としての長期信頼性に影響を与える要因の一つとなるため、いずれも8GPa以上であることが好ましい。ビッカース硬度(Hv)をこの範囲にすると、装飾面に傷が入りにくくなるので、ガラスまたは金属からなる塵埃のような硬度の高い物質と接触しても装飾面に容易に傷が生じることがないからである。このビッカース硬度(Hv)はJIS R 1610−2003(ISO 14705:2000(MOD))に準拠して測定することができる。
また、破壊靱性は装飾面の耐摩耗性に影響し、その値は高いほどよいので、いずれも4MPa・m1/2以上であることが好ましい。この破壊靱性はJIS R 1607−1995で規定される圧子圧入法(IF法)に準拠して測定することができる。
また、本実施形態の装飾部品を構成するセラミックスの表面に非晶質硬質炭素からなる薄膜を形成するときには、セラミックスは撓みにくいことが求められ、撓みにくさを示す指標である動的弾性率は、いずれも300GPa以上であることが好ましい。この動的弾性
率はJIS R 1602−1995で規定される超音波パルス法に準拠して測定することができる。
なお、装飾部品を構成するセラミックスの厚みが薄く、セラミックスから切り出した試験片の厚みをそれぞれJIS R 1610−2003,JIS R 1607−1995の圧子圧入法(IF法),JIS R 1602−1995の超音波パルス法で規定される0.5mm,3mm,10
mmとすることができないときには、セラミックスの厚みをそのまま試験片の厚みとして評価して、その結果が上記数値を満足することが好適である。ただし、そのままの厚みで評価して上記数値を満足することができないほどにセラミックスの厚みが薄いときには、ビッカース硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)については、セラミックスの厚みに応じて押し込み荷重を変更し、その結果を基に0.5mmおよび3mmのときのビッカース硬
度(Hv)および破壊靱性(K1C)をシミュレーションにより推定し、動的弾性率については、自由共振式固有振動法を用いて測定すればよい。
また、装飾部品が身に付けて用いられるようなものであるときには、軽い方が好まれるため、装飾部品を構成するセラミックスは、その見掛密度はいずれも6g/cm以下(0を除く)であることが好適であり、この見掛密度はJIS R 1634−1998に準拠して測定される。また、装飾部品が時計用ケースである場合、図示しないムーブメント(駆動機構)への悪影響を考慮すると、質量磁化が162G・cm/g以上の強磁性金属、例え
ばコバルト(Co)の比率は、セラミックス2,4をそれぞれ構成する成分100質量%に
対し、強磁性金属の合計が0.1質量%以下であることが好適である。このような強磁性金
属の含有量は、ICP発光分光分析装置で測定することができる。
なお、本実施形態の装飾部品として、接合層3を介して本体2と脚部4とを接合した時計用ケース1を示したが、セラミックスからなる文字板等を接合層3を介して接合したものであってもよいことはいうまでもない。また、時計用ケース1に限らず、複数のセラミックスのうち、少なくとも1種の装飾面が黄金色を呈し、接合層3を介して接合されてなる装飾部品であればよい。
次に、本実施形態の装飾部品の製造方法の一例について説明する。なお、複数のセラミックスともに、窒化チタンを主成分とする黄金色を呈するセラミックスの製造方法について説明する。
まず、焼結体中で主成分となる窒化チタンと、ニッケル,ニオブ,クロムおよび炭素の
各粉末とを所定量秤量し、粉砕・混合して調合原料とする。より具体的には、平均粒径が10〜30μmの窒化チタンの粉末と、平均粒径が10〜20μmのニッケルの粉末と、平均粒径が20〜50μmのニオブの粉末および0.1〜10μmの炭素の粉末とを準備し、ニッケルの粉
末が7〜14.5質量%、ニオブの粉末が2.5〜10質量%、クロムの粉末が1.5〜6.5質量%および炭素の粉末が0.5〜0.9質量%であって、残部が窒化チタンの粉末となるように秤量して粉砕・混合すればよい。
なお、ニッケルがクロムを包囲した状態で窒化チタンを結合する粒界相を形成するには、ニッケルの粉末とクロムの粉末とが接触する頻度を高くすることが必要である。この頻度を高くするためには、粉砕・混合時間を長くすればよく、例えば、粉砕・混合時間を150時間以上にすればよい。このとき、この調合原料における不可避不純物としては珪素,
リン,イオウ,マンガン,鉄等が挙げられるが、これらは装飾面の色調に悪影響を及ぼすおそれがあるので、各々0.5質量%未満であることが好適である。
また、窒化チタンの粉末は化学量論的組成のTiNであっても、あるいは非化学量論的組成のTiN1−x(0<x<1)であってもいいが、耐摩耗性および装飾的価値が高い色調という観点からは、各粉末の純度は99%以上であることが好ましく、窒化チタンの粉末が一部ニッケルの粉末と反応してTiNiを微量生成しても何等差し支えない。特に、光沢のある色調感により高い高級感および美的満足感を需要者に与えるには、窒化チタンを主成分とするセラミックスの組成式をTiNとしたときに0.8≦x≦0.96とすること
が好ましいので、窒化チタンの粉末としては組成式をTiNとしたときに0.7≦x≦0.9のものを用いればよい。
なお、窒化チタンを主成分とするセラミックスの組成式をTiNとしたときの原子数xの値は、次のようにして求めることができる。窒化チタンは、脱脂または焼成雰囲気中に含まれる酸素および炭素と置換または反応して酸炭窒化チタン(TiCNO)に成りうるため、酸素・窒素分析装置,炭素分析装置およびICP発光分光分析装置を用いて、具体的には、これら分析装置によりセラミックスの酸素,窒素,炭素およびチタンの含有量を測定した後、チタンの含有量と窒素の含有量とをそれぞれの原子量で除すことによりモル数が求められるので、チタンのモル数を1としたときの窒素の比の値を原子数xとする。
次いで、調合原料に有機溶媒として、例えばイソプロパノールを加え、ミルを用いて混合粉砕した後、結合剤としてパラフィンワックスを所定量添加し、所望の成形法、例えば、乾式加圧成形法,冷間静水圧加圧成形法,押し出し成形法等により円板,平板,円環体等の所望形状に成形する。
また、成形法として乾式加圧を選択した場合は、成形圧力は装飾面における開気孔率およびビッカース硬度(Hv)に影響を与えることから、成形圧力を49〜196MPaとする
ことが好適である。成形圧力を49〜196MPaとするのは、相対密度が95%以上で開気孔
率が2.5%以下の焼結体を得ることができるとともに、ビッカース硬度(Hv)を8GP
a以上にすることができるからである。また、金型の寿命を長くすることもできる。
そして、得られた成形体を必要に応じて窒素雰囲気または不活性ガス雰囲気等の非酸化性雰囲気中で脱脂した後、窒素および不活性ガスから選択される少なくとも1種のガス雰囲気中あるいは真空中で焼成し、理論密度に対する相対密度が95%以上の焼結体を得る。なお、窒素および不活性ガスから選択される少なくとも1種のガス雰囲気中あるいは真空中で焼成するのは、酸化性雰囲気中で焼成すると、チタンが酸化してそのほとんどが組成式TiOで表される酸化チタンとなり、この酸化チタンが本質的に備えている白色の色調の影響を受けてしまい、装飾部品を構成するセラミックスの全体の色調が白っぽくかす
むからである。
また、真空中で焼成して装飾部品を構成するセラミックスを得る場合は、その真空度が1.33Pa以下であることが好適である。真空度を1.33Pa以下とするのは、チタンが焼成中に酸化することがなく、装飾面が黄金色を呈するセラミックスを得るためである。さらに、焼成温度を1200〜1800℃とすることが好適である。これにより、相対密度が95%以上で開気孔率が2.5%以下の焼結体を得ることができるとともに、焼成コストも下げられる
からである。
装飾部品を構成するセラミックスが複雑な形状の場合には、予め乾式加圧成形法,冷間静水圧加圧成形法,押し出し成形法,射出成形法等によってブロック形状または製品形状に近い形状に成形し、焼結した後に、研削加工を施す、あるいは最初から射出成形法を用いてもよい。
次に、窒化チタンを主成分とする黄金色を呈する複数のセラミックスを接合するための接合層を形成するためのろう材を準備する。このろう材は、ペースト状であり、主成分となる銀および銅の粉末と、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aからなる粉末と、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bからなる粉末と、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cからなる粉末とを、所定量秤量して混合した後、樹脂および有機溶媒を添加し、順次混練して脱泡することによって得ることができる。
ここで、樹脂としては、例えば、アクリル樹脂,メチルセルロース,エチルセルロース,ニトロセルロース,ポリレート,ポリメタレート等を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、テルピネオール等のアルコール,アセトン,トルエン,キシレン,ジエチレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
あるいは、上記ろう材を構成する混合粉末に、無機化合物フラックスおよび有機溶媒を添加し混練することによっても得ることができる。このとき、無機化合物フラックスに用いる無機化合物としては、例えば、ホウ酸(HBO),ホウフッ化水素酸(HBF)等の酸、塩化リチウム(LiCl),塩化マグネシウム(MgCl)等の塩化物、フッ化ナトリウム(NaF)等のフッ化物、臭化カリウム(KBr)等の臭化物、4ホウ酸カリウム5水和物(K・5HO)等を用いることができる。
特に、接合層における元素Aの含有量を2質量%以上22質量%以下、元素Bおよび元素Cの含有量をそれぞれ1質量%以上8質量%以下とするには、上記ろう材を構成する粉末100質量%に対して、元素Aからなる粉末の含有量を2質量%以上22質量%以下、元素B
および元素Cからなる粉末のそれぞれの含有量を1質量%以上8質量%以下とすればよい。
また、接合層における銅の含有量を35質量%以上50質量%以下であり、銀を併せた含有量が91.5質量%以下とするには、上記ろう材を構成する粉末100質量%に対して、銅の粉
末の含有量を35質量%以上50質量%以下とし、銀の粉末の含有量を併せて91.5質量%以下となるように秤量すればよい。
次に、複数の窒化チタンを主成分とする黄金色を呈するセラミックスを800℃以上900℃以下で熱処理することで、それぞれのセラミックスにおける接合面に付着した有機物や残留炭素を除去する。そして、ペースト状の上記ろう材をスクリーン印刷法,加圧印刷法および刷毛塗り法等のいずれかの方法で接合面に塗布した後、120℃以上150℃以下で乾燥さ
せる。このとき、塗布を行なうのは、一方のセラミックスであっても、両方のセラミックスであってもよい。
そして、複数のセラミックスの接合面同士を合わせて、真空雰囲気中において、800℃
以上900℃以下の範囲で加熱することにより、複数のセラミックスが接合層を介して接合
されることとなり、次に、接合された複数のセラミックスにおける装飾的価値が求められる面に、ラップ盤を用いてラップ加工を行なった後、バレル研磨を行なうことにより、本実施形態の装飾部品を得ることができる。なお、このような装飾部品の装飾面に現れる気孔は、その開口部の最大径を30μm以下にすることが好適で、この範囲にすることで、気孔内への雑菌,異物や汚染物等の凝着を低減することができる。
ここで、装飾面となる表面の算術平均高さRaを0.03μm以下とするには、錫製のラップ盤に平均粒径の小さいダイヤモンド砥粒を供給してラップ加工すればよく、例えば平均粒径1μm以下のダイヤモンド砥粒を用いればよい。また、バレル研磨では、回転バレル研磨機を用い、メディアとしてグリーンカーボランダム(GC)を回転バレル研磨機に投入し、湿式で24時間行なえばよい。
以上のような製造方法で得られた装飾部品では、セラミックスは、装飾面が黄金色を呈し、接合層は、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含むことから、セラミックスを構成する非金属成分と、セラミックスに対する濡れ性が良好である元素Bとが反応することによって、セラミックス同士の接合強度を高くすることができる。融点の低い元素Aを含むことにより、接合されるセラミックス同士の間に生じる空隙を減少させつつ、融点の高い元素Cを含むことにより、ろう材の粘性は低くなりすぎるのを抑えて接合部における不要なはみ出しを制御することができる。さらに、銀および銅を主成分とし、上記元素A,元素Bおよび元素Cを含む接合層は、黄金色の色調を呈することから、セラミックスの少なくとも1種が呈する黄金色との色調差が小さく、接合層を有していることが視認されにくいので装飾的価値を損なうことなく複数のセラミックスを接合した装飾部品を得ることができ、需要者に、高級感,美的満足感および精神的安らぎ等を与えることができる。
なお、装飾部品を構成するセラミックスとして、上述した以外の材質を用いるときには、公知の方法で作製した焼結体または単結晶を用いればよいことはいうまでもない。そして、材質および色調の異なるセラミックスを接合することによって、黄金色を呈する接合層3をアクセントとしてデザイン性を高めたり、装飾部品を構成する部材に求められる特性に応じた材質と組み合わせたりすることができるので、高級感や美的満足感のみならず、長期間の使用に耐えることのできる装飾部品とすることができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
窒化チタン,炭化タンタル,窒化ジルコニウム,炭化チタン,炭窒化チタン,炭化珪素,窒化硼素,窒化アルミニウム,窒化珪素,酸化アルミニウムおよび酸化ジルコニウムのそれぞれを主成分とするセラミックスの試験片をそれぞれについて複数作製した。なお、各試験片の長さ,幅および厚みはそれぞれ25mm,5mm,1mmとした。
次に、主成分となる銀および銅の粉末と、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aからなる粉末と、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブ
から選択される少なくとも1種の元素Bからなる粉末と、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cからなる粉末とに、メチルセルロースおよびテルピネオールを添加し、順次混練して脱泡することによって、ペースト状のろう材を得た。
そして、試験片を800℃以上900℃以下で熱処理することによって、試験片の接合面に付着した有機物や残留炭素を除去した。次に、試験片の接合面にろう材を刷毛で塗って塗布した後に135℃で乾燥させて、各接合面が対向するように配置して、真空雰囲気中におい
て、840℃で加熱することにより、同材質,異材質の試験片がそれぞれ接合された接合体
を得た。なお、接合面は、いずれも試験片の長さおよび幅がそれぞれ25mm,5mmであ
る主面とした。
そして、接合体を確認したところ、接合層3は黄金色を呈しており、試験片の色調が黄金色を呈していない材質からなる組み合わせの接合体については、黄金色を呈する接合層3がアクセントとなって、デザイン性を高められることがわかった。また、少なくともいずれか一方の試験片の色調が黄金色を呈している接合体については、その試験片と接合層3との色調差が小さく、接合層3を有していることが視認されにくいので装飾的価値が損われるものではなかった。また、接合強度については、各接合体を厚み方向に引っ張り、一方の試験片が他方の試験片から剥離した値を測定し、この値を接合面の面積で除した値を接合強度とした結果、いずれも600MPa以上を有していた。
まず、図1に示す例の時計用ケース1を構成する、いずれも窒化チタンを主成分とするセラミックスからなる本体2および脚部4を準備した。この窒化チタンを主成分とするセラミックスにおける含有量は、ニッケルが9質量%,ニオブが8質量%,クロムが2質量%,炭素が0.7質量%で、残部が窒化チタンである。そして、この窒化チタンを主成分と
するセラミックスの機械的特性としては、破壊靭性値が5.7MPa・m1/2,ビッカー
ス硬度(Hv)が10.3GPaであった。そして、本体2および脚部4を800℃以上900℃以下で熱処理することによって、本体2および脚部4の接合面に付着した有機物や残留炭素を除去した。
次に、表1〜表3に示す含有量となるように、各種粉末を所定量秤量して混合した後、メチルセルロースおよびテルピネオールを添加し、順次混練して脱泡することによって、ペースト状のろう材を得た。なお、表1〜表3では、元素A,元素Bおよび元素Cが1種である場合は、それぞれA1,B1およびC1の各欄にそれらの元素記号を、元素A,元素Bおよび元素Cが2種の場合は、それぞれA1およびA2,B1およびB2,C1およびC2の各欄にそれらの元素記号を記した。
その後、熱処理した脚部4の接合面に、上記各ろう材を刷毛塗り法で塗布した後、135
℃で乾燥させた。そして、本体2の各接合面に脚部4の接合面が対向するように配置して、真空雰囲気中において、840℃で加熱することにより、本体2にそれぞれの接合層3を
介して脚部4を接合した試料No.1〜92を得た。
そして、本体2の表側の装飾面からはみ出している法線方向の最大長さを、光学顕微鏡により倍率を50倍で測定し、この最大長さをはみ出し長さとした。なお、本実施例において、このはみ出し長さが0.2mmを超えているときには、不要なはみ出しを生じているも
のとした。
また、超音波探傷法により本体2と接合層3との間に生じている空隙を平面視した面積Sを測定し、空隙が全くない状態の面積、すなわち本体2の4箇所の接合面を合わせた
面積Sに対する比率(=S/S×100)を求め、空隙率とした。ここで、超音波探
傷法の測定条件は、探傷周波数を50MHz,ゲインを30dB、スキャンピッチを100μm
とした。
また、本体2を治具に固定した後、脚部4をそれぞれ径方向に引っ張り、本体2から脚部4が剥離したときの力を測定した。そして、これらの測定値を対応する脚部4の接合面積でそれぞれ除した値の平均値を接合強度とした。
また、各ろう材を構成する各元素の同定および含有量については、蛍光X線分析法により求めた。これら測定値および計算値を表1〜表3に示す。
Figure 2012011399
Figure 2012011399
Figure 2012011399
表1〜表3に示す通り、比較例である試料No.1は、元素Aが含まれていないことから、ろう材の流れ性が悪いために、本体2および接合層3との間の空隙率が高く、空隙が多いことがわかる。また、比較例である試料No.4は、元素Bが含まれていないことから、本体2に対する脚部4の接合強度が低いことがわかる。また、比較例である試料No.8は、元素Cが含まれていないことから、はみ出し長さが1.5mmと長く、不要なはみ
出しがあることがわかる。
一方、試料No.2,3,5〜7,9〜92は、セラミックスの少なくとも1種の装飾面が黄金色を呈し、接合層3が、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含むことから、空隙が少ないので高い接合強度が得られるとともに、0.2mmを超える不要なはみ出しがないことがわかっ
た。
また、元素A,元素Bおよび元素Cがそれぞれインジウム,チタンおよびモリブデンであり、元素Bおよび元素Cの含有量が同じで、元素Aの含有量が異なる試料No.2,3,7,12〜15,70〜72を比べると、試料No.3,7,12〜15,70,71は、元素Aが2質量%以上22質量%以下であることから、はみ出し長さが短く、本体2と接合層3との間の
空隙率がゼロであり、接合強度が高いことがわかった。
また、元素A,元素Bおよび元素Cがそれぞれインジウム,チタンおよびモリブデンであり、元素Aおよび元素Cの含有量が同じで、元素Bの含有量が異なる試料No.5〜7,43〜45を比べると、試料No.6,7,43,44は元素Bが1質量%以上8質量%以下であることから、本体2に対する脚部4の接合強度が高いことがわかった。
また、元素A,元素Bおよび元素Cがそれぞれインジウム,チタンおよびモリブデンであり、元素A,元素Bの含有量が同じで、元素Cの含有量が異なる試料No.9〜18を比べると、試料No,10〜17は元素Bが1質量%以上8質量%以下であることから、接合層3のはみ出し長さが短く、本体2と接合層3との間の空隙も少ないことがわかった。
また、元素A,元素Bおよび元素Cの種類および各含有量が同じである試料No.11〜15を比べると、試料No.12,13,14は、銅の含有量が35質量%以上50質量%以下であり、銀を併せた含有量が91.5質量%以下であることから、空隙がない上、接合強度が十分確保され、はみ出していないことがわかった。
次に、実施例2で作製した試料No.2,3,5〜7,9〜92にラップ加工を施し、装飾面の算術平均高さRaを0.03μm以下とした。そして、この装飾面について、分光測色計(コニカミノルタホールディングス(株)製CM−3700d)を用い、光源をCIE標準光源D65,視野角を10°,測定範囲を5mm×7mmに設定して測定したところ、装飾面のCIE1976L*a*b*色空間における明度指数L*が78であり、クロマティクネス指数a*が6であり、b*が32であった。そして、本体2と脚部4と間の接合層3について、目視で確認を行なったところ、黄金色を呈するセラミックスからなる本体2および脚部4と、これらを接合する接合層3との色調差が小さく、接合層3を有していることが視認されにくかったので、需要者に高級感,美的満足感および精神的安らぎ等を与えられることがわかった。
1:時計用ケース
2:本体
3:接合層
4:脚部

Claims (4)

  1. 複数のセラミックスが接合層を介して接合されてなる装飾部品であって、前記接合層は、銀および銅を主成分とし、インジウム,亜鉛および錫から選択される少なくとも1種の元素Aと、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選択される少なくとも1種の元素Bと、モリブデン,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選択される少なくとも1種の元素Cとを含むことを特徴とする装飾部品。
  2. 前記元素Aの含有量が2質量%以上22質量%以下であり、前記元素Bおよび前記元素Cの各含有量が1質量%以下8質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の装飾部品。
  3. 前記銅の含有量が35質量%以上50質量%以下であり、前記銀を併せた含有量が91.5質量%以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装飾部品。
  4. 前記セラミックスの少なくとも1種は、装飾面が黄金色を呈していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の装飾部品。
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