JP2012011313A - 液体処理装置および液体処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 連続的な処理が可能であって、効率的に処理を行うことができる液体処理装置および液体処理方法を提供する。
【解決手段】 液体処理装置1は、被処理物質を含む液体3を保持可能である容器11を備える。液体3は、液体供給管15から容器11内部に供給され、同時に液体排出管17を介して液体用ポンプ25によって吸引されて容器11外部に排出される。アスピレーター31は、液体用ポンプ25から排出された液体3によって作動し、容器11内部を減圧する。プラズマ発生用電極13は、液体3にマイクロ波を照射することで液体3を加熱し、液体3中に気泡を発生させる。発生した気泡は、さらにマイクロ波のエネルギーによって、その気泡中で絶縁破壊が起こり、放電プラズマが誘起される。液体3の容器11への供給および排出と、容器11内部でのプラズマ発生とを同時に行うことにより、連続的に液体3を処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマを用いて連続的に液体処理を行う液体処理装置および液体処理方法に関する。
従来、有害物質を含む液体中にプラズマを発生させて有害物質を分解する技術が提案されている。例えば、超音波を照射することで液体中に気泡を発生させ、さらにその液体に対して電磁波を照射することにより気泡中にプラズマを発生させて、このプラズマの作用によって液体中の有害物質が分解されて無害化する反応装置が提案されている(特許文献1参照)。
また、マイクロ波を液体中に照射して、放電プラズマを発生させる液中プラズマ処理装置も提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−306029号公報 特開2009−72716号公報
従来の装置では、被処理物質を含む液体を大量に処理するためには、装置を大型化したり、容器に導入された液体を頻繁に交換したりする必要があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、連続的な処理が可能であって、効率的に処理を行うことができる液体処理装置および液体処理方法を提供することである。
上述した問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、液体を保持可能である容器と、前記容器内部に保持された前記液体中に気泡を発生させる気泡発生手段と、前記液体中における気泡発生領域にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、前記プラズマ発生手段がプラズマを発生させている状態において、前記容器内部に液体を供給する液体供給手段と、前記プラズマ発生手段がプラズマを発生させている状態において、前記容器内部の液体を吸引して前記液体を前記容器外部に排出する液体排出手段と、前記容器内部の気体を吸引して前記容器内部を減圧する減圧手段と、を備えることを特徴とする液体処理装置である。
このように構成された液体処理装置では、液体供給手段が被処理物質を含む溶液を容器に供給しつつ、液体排出手段が容器から液体を排出し、同時に容器内でプラズマを発生させる。つまり、液体の処理を連続的に行うことが可能となる。
また、容器内では、減圧手段による気相の減圧と液体排出手段による液相の減圧の両方を同時に作用させて減圧を実現している。その結果、気泡生成手段により生成された気泡内での絶縁破壊電界強度を低減することができる。従って、より少ない投入エネルギーで容器内部の気泡にプラズマを発生させることが可能となる。
さらに、減圧環境下では、粒子間の衝突頻度を低減させることができるため、発生したプラズマ中の活性種の寿命を延ばすことが可能であり、プラズマによる処理の効率を向上させることができる。
なお、気相領域での放電電力低下も同時に達成できるため、気相領域おいてもプラズマを生成させる場合であっても、プラズマ生成に必要なエネルギーを低減することができる。
容器内部にプラズマを発生させるためのプラズマ発生手段の具体的な構成は特に限定されず、さまざまなものを用いることができる。例として、電磁波(マイクロ波)の照射によって放電プラズマを誘起する構成(特開2004−306029号公報、特開2009−72716号公報など)や、バリア放電によってプラズマを生じさせる構成(特開2009−54557号公報)などを採用することができる。
なお、液体供給手段および液体排出手段としては、例えば液体の送出・吸入が可能なポンプを用いることができる。液体供給手段については、上述した容器とは別体の容器であって、ヘッド圧により液体を容器に供給するものであってもよい。
また、上述した減圧手段の具体的な構成も特に限定されず、さまざまなものを用いることができる。例えば、ロータリーポンプなどの真空ポンプを用いてもよい。それ以外には、請求項2に記載の発明のように、減圧手段として、液体排出手段が排出する液体により作動するアスピレーターを用いてもよい。
このように構成された液体処理装置では、アスピレーターを用いることで、液体排出手段が排出する液体を利用して気相を減圧することができる。
仮に、減圧手段として真空ポンプを用いる場合には、ポンプの内部に蒸発した液体が混入した際に性能劣化や耐久性劣化を生じない高性能な真空ポンプを用いなければならない。一方本発明では、蒸発した液体は液体排出手段が排出する液体に戻る。そのため、液体の蒸発を考慮する必要がなく、ポンプの性能劣化といった問題を考慮する必要がなくなる。
また、アスピレーターは液体排出手段の駆動に伴って作動するため、減圧手段としての真空ポンプなどを駆動させるためのエネルギーが必要なくなるため、減圧環境を生成するために必要なエネルギーを低減させることができる。
また、上述した気泡発生手段の具体的な構成も特に限定されず、さまざまなものを用いることができる。例えば、気泡を直接溶液に吹き込む構成や、超音波照射等によりキャビテーションを発生させて気泡を生成する構成などが考えられる。それ以外には、例えば請求項3に記載の発明のように、気泡発生手段は、液体を加熱することにより当該液体中に気泡を発生させるものであってもよい。
このように構成された液体処理装置では、気泡発生手段として加熱により液体を沸騰させ、気泡を発生させることができるが、容器内部は減圧環境であるため液体の沸点が低下しており、少ないエネルギーで液体を沸騰させて気泡を発生させることができる。
なお、加熱を実現する具体的な構成としては、電磁波(マイクロ波)を液体に照射して沸騰させる構成や、液体と接触する位置に配置したヒーターなどの発熱体を発熱させる構成などが考えられる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体処理装置において、前記容器内部に供給される液体の供給量を調整する供給量調整手段を備えることを特徴とする。
このように構成された液体処理装置では、供給量調整手段によって液体の供給量を調整することができる。それにより、減圧手段によって容器内が減圧環境となったときに液体の供給量が増加してしまい、真空度が低下してしまうことを抑制できる。なお、供給量調整手段としては例えばバルブやオリフィスなどを用いることができる。
請求項5に記載の発明は、液体を保持可能である容器内部に液体を供給するとともに前記容器内部の液体を吸引して前記容器外部に排出し、同時に、前記容器内部の気体を吸引して前記容器内を減圧した状態において、前記容器に保持される液体中に気泡を発生させ、当該気泡が発生している領域にプラズマを発生させることを特徴とする液体処理方法である。
このような液体処理方法であれば、請求項1に記載の液体処理装置と同様に、被処理物質を含む液体の処理を連続的に行うことが可能となる。このとき、容器内では、減圧手段による気相の減圧と液体排出手段による液相の減圧の両方を同時に作用させて減圧を実現している。その結果、気泡生成手段により生成された気泡内での絶縁破壊電界強度を低減することができる。従って、より少ない投入エネルギーで容器内部の気泡にプラズマを発生させることが可能となる。
さらに、減圧環境下では、粒子間の衝突頻度を低減させることができるため、発生したプラズマ中の活性種の寿命を延ばすことが可能であり、プラズマによる処理の効率を向上させることができる。
なお、減圧環境下では、気相領域での放電電力低下も同時に達成できるため、気相領域においてプラズマを生成させる場合であっても、プラズマ生成に必要なエネルギーを低減することができる。
容器内部の減圧を実現するためには、液体の供給口にバルブやオリフィスなどを設けて、減圧環境となったときに液体の供給量が増加してしまうことを抑制してもよい。
容器内部の気体を吸引するための具体的な構成も特に限定されず、さまざまなものを用いることができる。例えば、ロータリーポンプなどの真空ポンプを用いてもよい。それ以外には、請求項6に記載の発明のように、前記容器外部に排出された液体により作動するアスピレーターによって実現する構成であってもよい。
このような液体処理方法では、アスピレーターを用いて、容器外部に排出される液体を利用して気相を減圧することができる。また請求項2の液体処理装置と同様に、真空ポンプを用いた場合などに蒸発した液体によるポンプの性能劣化などを考慮する必要がなくなる。また、アスピレーターを用いることで真空ポンプなどを駆動させるためのエネルギーが必要なくなるため、減圧環境を生成するために必要なエネルギーを低減させることができる。
容器内部に気泡を発生させるための具体的な構成も特に限定されず、さまざまなものを用いることができる。例えば、気泡を直接溶液に吹き込む構成とすることが考えられる。それ以外には、例えば請求項7に記載の発明のように、気泡の発生は、前記容器内部の液体を加熱することにより実現する構成であってもよい。
このような液体処理方法では、加熱によって液体を沸騰させ、気泡を発生させることができるが、容器内部は減圧環境であるため液体の沸点が低下しており、少ないエネルギーで沸騰させて気泡を発生させることができる。
液体処理装置を示す概略構成図 プラズマ発生用電極を示す正面断面図 導波管の先端面を示す平面図 飽和水蒸気圧曲線のグラフ(A)、および、プラズマ分解処理速度を示すグラフ(B) 放電開始電力のグラフ(A)、および、発光強度のグラフ(B) エネルギー効率の水温・圧力依存性を示すグラフであって、大気圧条件(A)、および飽和水蒸気圧条件(B)
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示にすぎず、本発明が、下記の事例以外にもさまざまな形態で実施できるのはもちろんである。
[実施例]
(1)液体処理装置の全体構成
本実施例の液体処理装置1を図1に示す。液体処理装置1は、被処理物質を含む液体3を保持可能である容器11を備える。この容器11の内部には、液体3を処理するためのプラズマを発生させるプラズマ発生用電極13が配置されている。
容器11は、液体3を容器11内部に供給するための液体供給管15と、液体3を容器11外部に排出するための液体排出管17と、容器11内部の気体を外部に排出するための気体排出管19と、が接続されている。
液体供給管15の上流には、図示しない溶液タンクが配置されており、溶液タンクに収容された液体3のヘッド圧によって、液体3は容器11に流入する向きに加圧されて容器11に供給される。また、液体供給管15には供給バルブ21が設けられており、この供給バルブ21により液体3の容器11への供給量を調整することができる。
液体排出管17には、容器11からの液体3の排出量を調整する排出バルブ23が設けられており、その下流には容器11内部の液体3を吸引して液体3を容器11外部に排出する液体用ポンプ25が設けられている。
液体用ポンプ25の下流にはアスピレーター31が設けられている。このアスピレーター31は、水入口31aが液体用ポンプ25の下流に接続しており、空気入口31bが気体排出管19に接続している。アスピレーター31の出口31cから出た液体および空気は排水口33から排出される。
図2に、プラズマ発生用電極13の正面断面図を示す。
プラズマ発生用電極13は、マイクロ波を発生するマイクロ波発生器41(マグネトロン)と、マイクロ波発生器41にて発生したマイクロ波を伝搬する導波管43とを備えている。プラズマ発生用電極13の導波管43は、その先端が容器11内部に突出した状態で容器11の側壁に固定されている。この導波管43の先端は、容器11内の液面よりも下方となる位置に設けられている。
導波管43は、ステンレスからなる管本体45と、管本体45内部(中央孔45a)に配置されたマイクロ波透過体47(具体的には石英ガラス)とを有する。
図3に、導波管43の先端面を示す平面図を示す。
管本体45は、外形形状が略円形状となるよう形成されるとともに、中央孔45aは、管本体45の長手方向に直交する方向に切った断面が略矩形状となるように形成されている。マイクロ波透過体47は、管本体45の長手方向に直交する方向に切った断面形状が略矩形状となるよう(即ち、中央孔45aに収まるように)形成されている。なお、マイクロ波透過体47しては、石英の以外の材料(例えば、セラミックスからなる誘電体材料など)を用いてもよい。
管本体45の先端面には、細長い開口部49(スロット)が設けられており、マイクロ波透過体47を伝搬したマイクロ波がその開口部49から出力される。すなわち、導波管43における管本体45の先端部がスロットアンテナとして機能し、電界強度が非常に強いマイクロ波を出力する。なお、開口部49は、マイクロ波透過体47に印加される電界方向と直交する方向に形成されている。
(2)液体処理装置による液体処理
本実施例の液体処理装置1を用いた液体処理方法を説明する。
まず、液体3の流れと容器11内部の減圧環境の生成について図1を用いて説明する。液体3は、液体供給管15から容器11内部に供給され、同時に液体排出管17を介して液体用ポンプ25によって吸引されて容器11外部に排出される。
容器11内部には、液体3の蒸発やプラズマ発生用電極13による気泡の発生などによって気体51が存在する。アスピレーター31は、液体用ポンプ25から排出された液体3によって作動し、気体排出管19を介して容器11内部の気体51を吸引して容器11外部に排出することで、容器11内部を減圧する。ここで、容器11内部が減圧されることにより、液体3はその沸点が下がる。
次に、プラズマ発生用電極13によるプラズマ発生について図2および図3を用いて説明する。
図示しない電源からマイクロ波発生器41に直流電流が供給されることでマイクロ波が発生される。そして、そのマイクロ波は導波管43を伝搬して開口部49から容器11内部の液体3中に照射される。このマイクロ波の照射により、液体3が加熱されることで沸騰し、導波管43の先端の気泡発生領域61において気泡が発生する。
この気泡発生領域61にて発生した気泡は、さらにマイクロ波のエネルギーによって、その気泡中で絶縁破壊が起こり、放電プラズマが誘起される。そして、その放電プラズマの熱エネルギーにより、容器11内部の液体3中の有害物質(被処理物質)が分解され無害化される。
そして、上述したような液体3の容器11への供給および排出と、容器11内部でのプラズマ発生とを同時に行うことにより、連続的に液体3を処理することが可能となる。
(3)液体処理装置による減圧環境生成を確認する試験
液体処理装置1を以下のように構成した。
容器11:内容量12L
液体排出管17:口径20A
液体用ポンプ25:MARUYAMA MFG15−PME(揚程30m、揚水量25L/min)
アスピレーター31:15℃の水を15〜16L/minにて流した際に、最高到達真空度2.7kPa(約20Torr)
以上の構成にて、容器11に25℃の水道水10Lを導入して液体用ポンプ25を駆動させ、容器11内部の気相部分を減圧し、容器内の水量がほぼ一定となるように水道水の供給を行う連続処理を模擬したところ、真空到達度10kPa(約75Torr)を確認した。この値は、容器11内部においてプラズマを発生させる際に、気泡生成やプラズマ発生に必要なエネルギーの低減を実現するために十分な値である。
(4)発明の効果
本実施例の液体処理装置では、液体供給管15から液体3を容器11に供給しつつ、液体用ポンプ25を用いて液体排出管17から液体3を排出し、同時にプラズマ発生用電極13によりプラズマを発生させることができるため、液体3のプラズマ処理を連続的に行うことが可能となる。
また、容器11内部では、アスピレーター31による気相の減圧と液体用ポンプ25による液相の減圧の両方を同時に作用させて減圧を実現している。
その結果、プラズマ発生用電極13による気泡生成に必要なエネルギーの低減と、生成された気泡内での絶縁破壊電界強度の低減によるプラズマ発生に必要なエネルギーの低減と、に加えて、減圧環境下では粒子間の衝突頻度を低減させることができるため、発生したプラズマ中の活性種の寿命を延ばすことが可能であり、プラズマによる処理の効率を向上させることができる。
また、容器11の気相の減圧にアスピレーター31を用いていることから、真空ポンプを用いた減圧を行う場合のように、ポンプ内部への液体蒸気の侵入による性能劣化や耐久性劣化を考慮した高価な真空ポンプを用いる必要がなくなる。またアスピレーター31は液体用ポンプ25の排出液によって作動するため、別途電源などを投入する必要がなくエネルギーの使用を削減できる。
また、供給バルブ21を操作することで液体の供給量を調整して真空度を制御することができる。さらに排出バルブ23を併せて操作することで、液体用ポンプ25の吐出量を調整し、アスピレーター31の気体排出量を制御して、容器11の真空度や液体処理量などを自在に制御することができる。
また、従来のバッチ式の液体処理装置であれば、処理中の液体は常に減圧環境下の容器内に存在するため、液体の有害物質(被処理物質)の濃度を測定することが困難であったが、本実施例の液体処理装置1では、排出口33から排出された液体3を大気圧下で容器にサンプリングできるため、液体の処理状態の確認を簡便に行うことができる。
(5)変形例
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施例においては、プラズマ発生用電極13を1つのみ容器11内部に配置する構成を例示したが、複数配置してもよく、その場合には気相領域に配置してもよい。その場合には気体排出管19の近傍に配置することで、排出される気体に対してプラズマ処理を行うことができる。なお、容器11内部が減圧環境であるため、気相領域での放電電力低下も同時に達成でき、気相領域おいてもプラズマ生成に必要なエネルギーを低減することができる。
また、液体供給管15と溶液タンクの間にポンプを配置して、そのポンプの加圧によって液体3を容器11に供給する構成であってもよい。
また、アスピレーター31に変えて真空ポンプを用いてもよい。この場合、アスピレーターを用いる場合と比較して液体処理装置1の製造コストが増加したり、エネルギーの消費量が増加したりするが、容器11内部をより高い真空度にできるようになる。
また上記実施例においては、プラズマを発生するための装置として、図2,図3に示すようなプラズマ発生用電極13を用いる構成を例示したが、液中にプラズマを照射できるものであればその構成は特に限定されず、さまざまな構成のプラズマ発生装置を用いることができる。
[減圧状態でプラズマ効率が増大する理由]
上記実施例の液体処理装置1では、容器11内部を減圧することができる。それによりプラズマ処理の効率が向上する理由を説明する。
図4(A)に飽和水蒸気圧曲線のグラフを示す。
大気圧かつ常温の状態(グラフ中、A)において液体を沸騰させる(気泡を発生させる)ためには、加熱や減圧を行い、飽和水蒸気圧とする必要がある。液体を沸騰させる際に、大気圧(760Torr)で加熱のみを行う場合には大きなエネルギーが必要となるが(グラフ中、B)、減圧することで(グラフ中、C)加熱に必要なエネルギーを低減でき、高効率な気泡生成が可能となる。
上記グラフにおける飽和水蒸気圧曲線上の3点(D,E,F)の状況下で、プラズマによる溶液処理の速度(メチレンブルー分解速度)を測定した結果を図4(B)のグラフに示す。プラズマ出力は660Wで共通とし、水温・圧力は各環境下で一定として測定した結果、飽和水蒸気圧曲線上であれば処理速度に変化がないことが分かる。即ち、処理速度を向上させるためには、溶液を高温に維持することが必須ではなく、飽和水蒸気圧まで減圧することが重要であると分かる。
図5(A),(B)に、水温・水圧がプラズマ生成に及ぼす影響を示す。
図5(A)の放電開始電力のグラフから分かるように、プラズマの放電開始に必要な電力は、飽和水蒸気圧曲線に近づくほど小さくなる。また図5(B)の発光強度のグラフから分かるように、プラズマの発光強度も飽和水蒸気圧曲線に近づくほど大きくなる。これらのグラフより、減圧状態であれば、プラズマ生成の効率が高まることが分かる。
図6(A),(B)に、エネルギー効率の水温・圧力依存性を示す。
図6(A)に示すように、大気圧条件におけるエネルギー効率(分解効率)αは、水温上昇に伴って上昇する。つまり、エネルギー効率を上昇させるためには加熱プロセスが必要となり、それによってエネルギーが必要となる。
一方、図6(B)に示すように、飽和水蒸気圧条件では、あらゆる水温で高いエネルギー効率を達成できる。
以上のことから、減圧環境でプラズマを照射することができる本実施例の液体処理装置1では、効率的な液体処理が実現できる。
1…液体処理装置、3…液体、11…容器、13…プラズマ発生用電極、15…液体供給管、17…液体排出管、19…気体排出管、21…供給バルブ、23…排出バルブ、25…液体用ポンプ、31…アスピレーター、31a…水入口、31b…空気入口、31c…出口、33…排水口、41…マイクロ波発生器、43…導波管、45…管本体、45a…中央孔、47…マイクロ波透過体、49…開口部、51…気体、61…気泡発生領域

Claims (7)

  1. 液体を保持可能である容器と、
    前記容器内部に保持された前記液体中に気泡を発生させる気泡発生手段と、
    前記液体中における気泡発生領域にプラズマを発生させるプラズマ発生手段と、
    前記プラズマ発生手段がプラズマを発生させている状態において、前記容器内部に液体を供給する液体供給手段と、
    前記プラズマ発生手段がプラズマを発生させている状態において、前記容器内部の液体を吸引して前記液体を前記容器外部に排出する液体排出手段と、
    前記容器内部の気体を吸引して前記容器内部を減圧する減圧手段と、を備える
    ことを特徴とする液体処理装置。
  2. 前記減圧手段は、前記液体排出手段が排出する前記液体により作動するアスピレーターである
    ことを特徴とする請求項1に記載の液体処理装置。
  3. 前記気泡発生手段は、液体を加熱することにより当該液体中に気泡を発生させるものである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体処理装置。
  4. 前記液体処理装置は、
    前記容器内部に供給される液体の供給量を調整する供給量調整手段を備える
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体処理装置。
  5. 液体を保持可能である容器内部に液体を供給するとともに前記容器内部の液体を吸引して前記容器外部に排出し、同時に、前記容器内部の気体を吸引して前記容器内部を減圧した状態において、前記容器に保持される液体中に気泡を発生させ、当該気泡が発生している領域にプラズマを発生させる
    ことを特徴とする液体処理方法。
  6. 前記容器内部の減圧は、前記容器外部に排出された液体により作動するアスピレーターによって実現する
    ことを特徴とする請求項5に記載の液体処理方法。
  7. 前記気泡の発生は、前記容器内部の液体を加熱することにより実現する
    ことを特徴とする請求項5または請求項6に記載の液体処理方法。
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