以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の図示例のものに限定されるものではない。
本実施形態に係る放射線画像撮影システム50は、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、図1に示すように、例えば、放射線を照射して図示しない患者の一部である被写体(撮影部位)の撮影を行う撮影室R1と、撮影者が被写体に照射する放射線の制御や、放射線を照射して取得した放射線画像の画像処理等を行う前室R2、およびその外部に配置されるものである。
本実施形態では、撮影室R1には、可搬型とされたFPDカセッテFやCRカセッテCを装填可能なブッキー撮影台100や、被写体に放射線を照射する放射線発生装置の放射線源51が設けられている。ブッキー撮影台100の構成等については後で詳しく説明する。
また、放射線源51は、本実施形態では撮影室R1に少なくとも1つ設けられており、1つの放射線源51Aが、立位撮影用のブッキー撮影台100Aと臥位撮影用のブッキー撮影台100Bとで兼用されるようになっている。そして、放射線源51Aの配置や放射線の照射方向を変更することで、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー撮影台100A、100Bのいずれにも放射線を照射することができるようになっている。
本実施形態では、この放射線源51Aの照射方向の変更等は、後述する放射線発生装置の操作卓56のみならず、後述するコンソール57でも行うことができるようになっており、さらに、放射線源51の起動や、図示しない絞りの調整等による照射する放射線の照射野の範囲等の変更をコンソール57でも行うことができるようになっている。この点については、後で説明する。
また、本実施形態では、立位撮影用のブッキー撮影台100Aや臥位撮影用のブッキー撮影台100Bには対応付けられていないポータブルの放射線源51Bも設けられており、ポータブルの放射線源51Bは、撮影室R1内のいかなる場所にも持ち運びでき、任意の方向に放射線を照射できるようになっている。
なお、ポータブルの放射線源51Bは、本実施形態では、後述する放射線発生装置の操作卓56を介してコンソール57による制御を受けるようになっているが、放射線発生装置の操作卓56やコンソール57の制御を受けずに、放射線技師等の撮影者が手動で起動させたり、照射野の調整等を行うように構成することも可能である。
撮影室R1には、FPDカセッテFとコンソール57とが無線通信方式で通信したりブッキー撮影台100を介した有線通信方式で通信する際にこれらの通信を中継する無線アンテナ52を備えた中継器(基地局ともいう。)53等が設けられている。
また、撮影室R1には、クレードル54が設けられており、本実施形態では、FPDカセッテFは、撮影室R1内に持ち込まれてクレードル54に挿入されると、クレードル54を介して自らの識別情報であるカセッテID等の情報を、中継器53を介してコンソール57に送信するようになっている。
なお、本実施形態では、クレードル54は、FPDカセッテFを充電するための充電機能を有しており、FPDカセッテFをクレードル54に挿入することで、FPDカセッテFの内蔵バッテリを充電することができるようになっている。
また、前室R2には、放射線技師等の撮影者が放射線源51から放射線を照射させるために操作する曝射スイッチ55を備えた放射線発生装置の操作卓56が設けられている。
また、本実施形態では、前室R2の外部に、放射線画像撮影システム50全体の制御を行い、また、FPDカセッテFで取得された画像データや図示しない読取装置で読み取られたCRカセッテCの画像データに対する処理や管理等を行うコンソール57が設置されている。
本実施形態では、このように、放射線画像撮影システム50は、少なくともこれらのブッキー撮影台100と、放射線発生装置(放射線源51や操作卓56)と、FPDカセッテFと、CRカセッテCと、図示しない読取装置と、コンソール57とを備えて構成されている。なお、以下、FPDカセッテFとCRカセッテCとを総称する場合、単にカセッテという。
カセッテのうち、CRカセッテCとしては、図示を省略するが、例えば上記特許文献3に記載されたような輝尽性蛍光体シートをフロント板やバック板で挟持した形態のものが用いられる。本実施形態では、CRカセッテCは、従来のスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。
すなわち、放射線入射方向の厚さは13mm〜16mmの範囲内に形成され、17×17インチ(使用可能な最大サイズ。以下、単に最大サイズという。)、14×14インチ(大角サイズ)、14×17インチ(半切サイズ)、11×14インチ(大四切サイズ)、10×12インチ(四切サイズ)、8×10インチ(六切サイズ)等の種々のサイズのものが使用可能とされている。
また、CRカセッテCの裏面(放射線が入射する側の面とは反対側の面)の所定の位置には、光学的に読み取り可能なパターンが印刷されたバーコードラベルが印刷または貼付されている。バーコードラベルには、当該CRカセッテCの固有情報が記録されており、固有情報には、例えば当該CRカセッテCに割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやサイズ情報等が含まれている。
なお、CRカセッテCを用いて放射線画像撮影を行った場合、図示しない読取装置により輝尽性蛍光体シート等からの信号の読み取りが必要となり、放射線技師等の撮影者は、CRカセッテCを用いて撮影を行った場合には、撮影後、CRカセッテCを読取装置まで持参して読取処理を行う。
カセッテのうち、FPDカセッテFは、図2に示すように、図示しないシンチレータおよびフォトダイオード等の光電変換素子を2次元状に配列した放射線検出パネル等が筐体21内に内蔵されたものを用いることができる。なお、放射線検出パネルの型式は上記の型式に限定されず、放射線を素子で直接検出するいわゆる直接型等の種々の型式のものを用いることができる。また、図2では、筐体21がフロント部材21aとバック部材21bとで形成されている場合が示されているが、この他にも、筐体21を筒状のモノコック状に形成することも可能である。
本実施形態では、FPDカセッテFは、CRカセッテCと互換サイズとされており、上記のようにCRカセッテCが準拠するスクリーン/フィルム用のカセッテにおけるJIS Z 4905(対応する国際規格はIEC 60406)に準拠する寸法で構成されている。
そして、FPDカセッテFも、放射線入射方向の厚さは13mm〜16mmの範囲内に形成され、17×17インチ(最大サイズ)、14×14インチ(大角サイズ)、14×17インチ(半切サイズ)、11×14インチ(大四切サイズ)、10×12インチ(四切サイズ)、8×10インチ(六切サイズ)等の種々のサイズのものが使用可能とされている。
また、本実施形態では、FPDカセッテFの側面部分には、FPDカセッテFの電源のON/OFFを切り替える電源スイッチ22が配置されている。また、FPDカセッテFの側面部分には、筐体21内に内蔵された図示しないバッテリの交換のために開閉される蓋部材23が設けられており、蓋部材23の側面部には、FPDカセッテFが中継器53を介して外部と無線で情報の送受信を行うためのアンテナ装置24が埋め込まれている。また、この側面部分には、例えばLED等で構成されバッテリの充電状況や各種の操作状況等を表示するインジケータ25が設けられている。
さらに、電源スイッチ22等が設けられたFPDカセッテFの側面部分とは反対側の側面部分には、FPDカセッテFがブッキー撮影台100に装填された場合に、ブッキー撮影台100内の後述するコネクタ114(図6(A)、(B)参照)に接続され、FPDカセッテFがブッキー撮影台100を介して外部からの電力の供給を受け、外部との信号のやりとりを行うための図示しないコネクタ部分fc(図7参照)が設けられている。
なお、上記のように、撮影室R1内に持ち込まれたFPDカセッテFをクレードル54に挿入してFPDカセッテFのカセッテID等をコンソール57に送信する代わりに、例えば、FPDカセッテF内にいわゆるRFID(Radio Frequency IDentification)タグ等の図示しないタグを内蔵しておき、例えば前室R2の出入口付近等に図示しないタグリーダを設置しておいて、タグリーダでFPDカセッテFが撮影室R1や前室R2内に持ち込まれたことをコンソール57に送信するように構成することも可能である。
この場合、タグの記憶部に記憶された固有情報には、例えば当該FPDカセッテFに割り当てられた識別情報としてのカセッテIDやシンチレータの種類情報、サイズ情報、解像度等が含まれる。
本実施形態では、FPDカセッテFやCRカセッテCは、ブッキー撮影台100に装填して用いることも可能であるが、単独で用いることもできるようになっている。すなわち、カセッテ(FPDカセッテFやCRカセッテC)を、ブッキー撮影台100に装填しない、いわば単独の状態で配置し、その上面(放射線が入射する側の面)上に被写体である患者の手や足等を載置し、ポータブルの放射線源51B(図1参照)から放射線を照射して画像データを得るようにして用いることができるようになっている。
なお、FPDカセッテFは、前述したように、ブッキー撮影台100に装填されて撮影が行われる場合には、後述するコネクタ部分fcの各ピンfc1(図7参照)を通じ、ブッキー撮影台100を介して外部からの電力の供給を受け、或いは画像データの送信等の外部との信号のやりとりを行うが、単独の状態で用いられる場合には、内蔵されたバッテリの電力により動作するようになっている。
そして、単独の状態で用いられる場合には、画像データの送信等の外部、特にコンソール57との信号のやりとりは、FPDカセッテFのアンテナ装置24を介し、撮影室R1内に設けられた中継器53を経由して無線通信で行われるようになっている。なお、FPDカセッテFをコンソール57の所に持参してコンソール57に接続して画像データの送信等を行うように構成することも可能である。
また、FPDカセッテFには、図示しない記憶手段が内蔵されており、複数回の放射線画像撮影で得た各画像データを一時的に記憶させることができるようになっている。そのため、FPDカセッテFを用いて、被写体に対して連続して放射線を照射し、そのたびごとに画像データを記憶していくことで連続的に撮影を行うことができるようになっている。
ここで、本実施形態に係るブッキー撮影台100の構成について説明する。なお、以下では、ブッキー撮影台100が、前述した立位撮影用のブッキー撮影台100Aである場合について説明するが、臥位撮影用のブッキー撮影台100Bの場合も全く同様に説明される。
図3(A)、(B)は、本実施形態に係るブッキー撮影台の外観図であり、(A)は外観斜視図、(B)は外観側面図である。本実施形態では、ブッキー撮影台100は、カセッテホルダ101と、カセッテホルダ101を上下方向に移動可能に支持する支柱102と、支柱102等を図示しない床面等に固定するための脚部103等を備えて構成されている。
図3(A)、(B)や図4に示すように、カセッテホルダ101は、主に、本体部104と、引出部110と、保持部120とを備えて構成されている。なお、図4は、カセッテホルダ101の引出部110を本体部104から引き出した状態を表す図である。
カセッテホルダ101の本体部104は、側面部に開口104aが設けられた筐体状に形成されており、筐体の上面部には、患者の胸部レントゲン撮影等を行う際に患者が顎を載せるための窪み104bが設けられている。
なお、本実施形態のブッキー撮影台100は、窪み104bに顎を載せて患者の胸部のレントゲン撮影のみを行うものではなく、カセッテホルダ101を上方に移動させて患者の頭部を撮影したり、カセッテホルダ101を下方に移動させて患者の腹部や腰部、脚部等を撮影したり、或いは、カセッテホルダ101を上方から下方に移動させながら患者の頭部や胸部、腹部、脚部を連続的に撮影する、いわゆる長尺撮影を行うことも可能とされている。
カセッテホルダ101の引出部110は、略板状の背面板111を備えて形成されており、背面板111が、本体部104の開口104aに挿入された状態で図示しないレールに沿って本体部104に対して水平方向に引き出したり押し込んだりすることができるようになっている。そして、引出部110を本体部104に押し込むことで、引出部110の背面板111が本体部104内に収納されるようになっている。
また、引出部110の背面板111の水平方向の一端側、すなわち引出部110が本体部104から引き出された状態における本体部104側とは反対側の端部側には、背面板111を本体部104に完全に押し込んだ状態で本体部104の開口104aに嵌合して開口104aを閉塞する蓋状部112が背面板111と一体的に形成されている。また、蓋状部112の外側には、放射線技師等が把持して引出部110を本体部104から引き出したり本体部104内に押したりするための取手113が設けられている。
また、引出部110の背面板111の手前側には、筐体に収納されたFPDカセッテF(CRカセッテCを装填する場合も同様。)を保持することが可能な保持部120が取り付けられており、保持部120は、引出部110の移動にあわせて本体部104に対して水平方向にスライドするようになっている。すなわち、保持部120は、引出部110とともに本体部104に対して水平方向に引き出されたり押し込まれたりするようになっている。
本実施形態では、カセッテホルダ101の保持部120は、図4に示すように、装填されたFPDカセッテFの上端部分および下端部分を保持し背面側から支持する上端保持部121、下端保持部122および支持板123を備えて構成されているが、それらと、検知表示手段を含む保持部120に付随する構成については後で詳しく説明する。
保持部120の支持板123の裏側、すなわち引出部110の背面板111側には、図5(A)に示すように、引出部110の背面板111に沿うように、コネクタ114とケーブル115が設けられている。すなわち、少なくともケーブル115は、FPDカセッテF等が保持部120に装填された場合には、FPDカセッテFの裏側、すなわち引出部110の背面板111側に配置されるようになる。
図6(A)、(B)は、コネクタ114を表す正面図および側面図である。本実施形態では、コネクタ114は、基本的に、支持体114aから所定本数のピン114bが突出された構成とされており、各ピン114bの両側には、マグネット114cが上下方向に延在する状態でそれぞれ支持体114aに固定されている。
また、コネクタ114の各ピン114bは、先端部分がマグネット114cより外側にそれぞれ突出するように構成されているが、支持体114aに対して各ピン114bの軸方向に移動可能とされている。そして、図示を省略するが、各ピン114bは、支持体114aの内部でそれらの後端部分がバネ等の弾性体により突出方向(すなわち図6(A)では左向き、図6(B)では手前側)に付勢されている。
また、コネクタ114の支持体114aの各ピン114bが設けられた面の、各ピン114bの上下の位置には、後述するFPDカセッテFのコネクタ部分fcに設けられた孔fc3に挿入されることで、FPDカセッテFとコネクタ114との位置決め、すなわちそれらの上下方向や水平方向の相対的な位置関係を確定されるための位置決めピン114dがそれぞれ突設されている。
さらに、コネクタ114の支持体114aには、コネクタ114の各ピン114bをそれぞれ接続された図示しない各導線が内包されたケーブル115が接続されている。
一方、本実施形態では、FPDカセッテFの一端面には、図7に示すように、コネクタ部分fcが設けられている。そして、コネクタ部分fcには、コネクタ114の各ピン114bとそれぞれ接触する端面が平面状の各ピンfc1が並設されており、各ピンfc1の両側には、コネクタ114のマグネット114cが着磁可能な金属板fc2が設けられている。
また、FPDカセッテFのコネクタ部分fcの各ピンfc1の上下の位置には、上記のように、コネクタ114の各位置決めピン114dが挿入されることで、FPDカセッテFとコネクタ114との位置決めを行うための孔fc3がそれぞれ設けられている。本実施形態では、コネクタ114の各位置決めピン114dは、各孔fc3に挿入され易いように、角部がテーパ状に面取りされている。
そして、コネクタ114のマグネット114cがFPDカセッテFのコネクタ部分fcの金属板fc2と着磁する際に、各位置決めピン114dが各孔fc3に挿入されながらFPDカセッテFとコネクタ114との上下方向や水平方向の相対的な位置関係が確定されるとともに、FPDカセッテF側の端面が平面状の各ピンfc1にコネクタ114の各ピン114bの先端部分がそれぞれ当接した状態で、各ピンfc1により各ピン114bが押圧される。
そして、コネクタ114側の各ピン114bがFPDカセッテF側の各ピンfc1との接触を維持した状態でコネクタ114の支持体114a側に押し下げられて、コネクタ114のマグネット114cがFPDカセッテFの金属板fc2と着磁する。このようにして、FPDカセッテFとコネクタ114との位置決めがなされ、各ピンfc1と各ピン114bとが確実に電気的に接続された状態で、FPDカセッテFとコネクタ114とを接続することが可能となる。
コネクタ114は、図5(A)に示すように、引出部110の背面板111近くに配置されており、コネクタ部分fcが本体部104側を向くようにFPDカセッテFが保持部120に装填される場合には本体部104側から、また、コネクタ部分fcが下側を向くようにFPDカセッテFが保持部120に装填される場合には下側から、それぞれFPDカセッテFのコネクタ部分fcに接続されるようになっている。
また、コネクタ114に接続されているケーブル115は、引出部110の背面板111に沿って(すなわち背面板111に接触または近接した位置で)巻回された状態で配置されており、引出部110の背面板111と保持部120の支持板123(図4参照)との間隙に収まるように、背面板111に沿った状態に配置されている。
そして、ケーブル115は、引出部110が本体部104に対して水平方向に引き出されて、FPDカセッテFのコネクタ部分fcに接続されたコネクタ114、或いは引出部110の背面板111の所定の位置に仮固定されたコネクタ114が引出部110の引き出しに伴って引き出されると、背面板111の移動に追従するコネクタ114の移動に追従して、ケーブル115の巻回の曲率半径が小さくなるようになっている。
そして、図5(B)に示すように、ケーブル115は、引出部110が本体部104に対して水平方向に押し込まれてコネクタ114が本体部104内に押し込まれると、背面板111の移動に追従するコネクタ114の移動に追従して、巻回の曲率半径が大きくなるように構成されている。
このように、ケーブル115は、引出部110の背面板111に沿って背面板111と保持部120の支持板123との間隙に収まった状態で、引出部110およびコネクタ114の水平方向の移動に追従してその巻回の曲率半径が拡大したり縮小したりするだけであるため、引出部110を本体部104から引き出したり押し込んだりする際に、ケーブル115が保持部120等の部材に絡みつく等の不都合が生じることを確実に防止することが可能となる。
また、引出部110の背面板111に沿ったケーブル115の巻回の拡大や縮小をより的確に行わせるようにするために、本実施形態では、図5(A)、(B)に示すように、引出部110の背面板111に、ケーブル115の巻回の中心部から背面板111に沿って放射状にレール116が設けられている。なお、本実施形態では、レール116は2本設けられているが、1本でもよく、或いはさらに多数のレール116を設けることも可能であり、レール116やガイド117は適宜設けられる。
また、上記のようにして設けられたレール116上を移動可能で、図示しないバネ等でケーブル115を巻回の中心部から外側に付勢するガイド117が設けられている。また、ケーブル115は、図5(B)に示すように、所定箇所が本体部104の底面部に固定されるようになっている。
そして、ガイド117は、図5(A)に示すように、引出部110が本体部104に対して水平方向に引き出されてケーブル115の巻回の曲率半径が小さくなると、ケーブル115に押されて巻回の中心部方向に移動し、図5(B)に示すように、引出部110が本体部104に対して水平方向に押し込まれると、ケーブル115を外側に付勢しながらレール116上を外側に移動して、ケーブル115の巻回の曲率半径を拡大させるようになっている。
このように、引出部110が本体部104に押し込まれて、図5(B)では図示を省略したFPDカセッテF等が本体部104内に装填された状態で、ケーブル115が図5(B)に示したように大きく拡開するため、FPDカセッテF等に照射された放射線がケーブル115に当たらないようにすることが可能となり、ケーブル115内の図示しない導線等が放射線に曝されて劣化して故障することを防止することが可能となる。
なお、例えば、ガイド117のケーブル115との当接部分に凹部等を設け、ガイド117が移動してもケーブル115がその凹部等から逸脱しないように構成すれば、ケーブル115が引出部110の背面板111に沿って巻回された状態を的確に維持するようにすることが可能となる。
また、コネクタ114は、例えば図6(A)の奥側の面に設けられた図示しない磁石で引出部110の背面板111に着磁固定されたり、或いは、引出部110の背面板111等に設けられた図示しない凹部に嵌め込まれる等して仮固定されるようになっている。また、コネクタ114を仮固定位置から取り出し易いように、引出部110の背面板111に切り欠きを設けることが好ましい。なお、このコネクタ114の仮固定位置は、最大サイズ(17×17インチ)を保持部120に装填する際のコネクタ操作性を確保するため、背面板111の最大サイズカセッテ対応領域よりも外側に設けられることが好ましい。
次に、本実施形態に係るブッキー撮影台100におけるカセッテホルダ101の保持部120の構成および検知表示手段を含む保持部120に付随する構成について説明する。
なお、例えば、保持部120(図4参照)の本体部104側(すなわち図4では右側)の端部に蝶番構造を設け、保持部102の取手113側端部が、引出部110の背面板111から離間し得るように構成すれば、FPDカセッテF等の保持部120への装填動作を行い易くなる。
カセッテホルダ101の保持部120は、図8に示すように、基本的に、装填されたFPDカセッテFの上端部分を保持する上端保持部121と、下端部分を保持する下端保持部122と、FPDカセッテFを背面側から支持する支持板123とを備えて構成されている。
本実施形態では、上端保持部121は支持板123の上端部分に固定されており、或いは支持板123の上端部分に支持板123と一体的に設けられている。また、下端保持部122は、支持板123に対して、図示しないバネ等により上方に付勢された状態で上下動可能に取り付けられている。
保持部120にFPDカセッテFを装填する際には、図8では図示を省略するFPDカセッテFの下端部分を下端保持部122に嵌合させて押し下げた後、FPDカセッテFの上端部分を上端保持部121に嵌め込むようにして装填する。このように装填すると、FPDカセッテFは、下端部分が下端保持部122から上方に押圧され、上端部分が上端保持部121に押し付けられた状態になって、上下方向の位置決めがなされる。
保持部120の上端保持部121と下端保持部122には、装填されたFPDカセッテFの上端部分や下端部分とそれぞれ嵌合する凹部121a、122aがそれぞれ設けられている。そして、この凹部121a、122aに嵌合するようにFPDカセッテFを装填することで、保持部120によりFPDカセッテFが保持されるようになっている。
また、本実施形態では、図9(A)の側面図や図9(B)の断面図に示すように、少なくとも保持部120の下端保持部122の凹部122aの底部部分122bには、緩衝材124が設けられている。なお、同様にして、上端保持部121にも緩衝材124を設けてもよい。
緩衝材124は、ゴムやスポンジ等の弾性体で形成されており、緩衝材124は、その上側端面が、下端保持部122の底部部分122bの上側端面より上方に突出するように設けられている。
そして、FPDカセッテFが保持部120に装填される際には、緩衝材124が、装填されるFPDカセッテFの下端部分に接触して、FPDカセッテFから保持部120に加わる圧力や、保持部120側からFPDカセッテFに加わる圧力を吸収する。そして、緩衝材124が圧力に応じて縮んでいき、FPDカセッテFの下端部分を、保持部120の下端保持部122の底部部分122bに緩やかに当接させる。
緩衝材124は、このようにして、FPDカセッテFが保持部120に装填される際に、少なくともFPDカセッテFの下端部分と、保持部120の下端保持部122の凹部122aの底部部分122bとがぶつかり合うことを防止するようになっている。
次に、本実施形態に係る検知表示手段について説明する。
なお、以下では、ブッキー撮影台100の保持部120に、14×17インチ(半切サイズ)のFPDカセッテFを縦向き或いは横向きに装填したり、17×17インチ(最大サイズ)のFPDカセッテFを装填する場合について説明するが、同じサイズのCRカセッテCを装填する場合も同様である。また、他のサイズのFPDカセッテFやCRカセッテCを装填する場合も、同様に構成することができる。ただし、使用可能なサイズを増加させるほど、検知手段の構成(数を含む。)や判断アルゴリズムが複雑となる。
本実施形態では、検知表示手段130は、図10に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)等を備えるマイクロコンピュータやFPGA(Field Programmable Gate Array)等からなる制御部131を備えている。制御部131を専用の制御回路で構成することも可能である。
また、検知表示手段130の制御部131には、検知手段として、光を照射する発光手段132aと、保持部120にFPDカセッテFが装填されている場合に発光手段132aが照射した光がFPDカセッテFで反射した反射光を受光する受光手段132bとを備える検知器132が接続されている。
検知器132は、図11に示すように、保持部120の支持板123の背面側(すなわち引出部110の背面板111側)に設けられ、例えばLED(Light Emitting Diode)等で構成される発光手段132aから、支持板123に設けられた開口124を介して、例えば前方下側に向けて光を照射する。
その際、保持部120にFPDカセッテFが装填されていなければ、或いは、装填されていても当該開口124の部分にFPDカセッテFが存在しなければ、照射された光は反射されずに前方に照射されたままとなる。
また、保持部120にFPDカセッテFが装填されており、当該開口124の部分にFPDカセッテFが存在する場合には、図11に示すように、発光手段132aから照射された光がFPDカセッテFの背面側で反射され、例えばフォトダイオード等で構成される受光手段132bによって反射光が受光される。検知器132は、受光手段132bが反射光を受光すると制御部131に信号を送信するようになっている。
本実施形態では、図12に示すように、保持部120の支持板123には、14×17インチのFPDカセッテFを縦向きに(すなわちFPDカセッテFが縦長になるように)装填した場合には、FPDカセッテが位置するが、FPDカセッテFを横向きに(すなわちFPDカセッテFが横長になるように)装填した場合にはFPDカセッテFが位置しないような位置に、開口124Aが設けられている。
そして、この開口124Aの背面側に、図12では図示しない検知器132Aが配置されている。
また、別の開口124Bが、14×17インチのFPDカセッテFを横向きに装填した場合にはFPDカセッテFが位置するが、FPDカセッテFを縦向きに装填した場合にはFPDカセッテFが位置しないような位置に設けられており、この開口124Bの背面側に、図示しない検知器132Bが配置されている。
そして、さらに別の開口124Cが、17×17インチのFPDカセッテFを装填した場合にはFPDカセッテFが位置するが、14×17インチのFPDカセッテFを装填した場合には、14×17インチのFPDカセッテFを縦向きに装填しても横向きに装填しても位置しないような位置に設けられている。そして、この開口124Cの背面側に、図示しない検知器132Cが配置されている。
なお、図12では、図を見易くするために、開口124A〜124Cが実際よりも大きく形成されているように記載されているが、開口124の大きさは、上記のように、検知器132の発光手段132aから前方に光を照射でき、その反射光を受光手段132bで受光することができる程度の大きさであればよい。
このように、本実施形態では、検知器132A〜132Cが、各開口124A〜124Cの位置に1個ずつ、計3個設けられている。
一方、図10に示すように、検知表示手段130の制御部131には、FPDカセッテFの装填の有無や装填の向き、装填されているFPDカセッテFのサイズ等の表示内容を表示する表示手段としての表示部133が接続されている。
具体的には、表示部133は、例えば、カセッテホルダ101の本体部104の上面部(図3(A)等参照)や側面部、或いは、引出部110の蓋状部112(図4等参照)の外面部に設けられ、例えば図13に示すように、LEDが並設されて構成される。
図13では、表示部133として、14×17インチのFPDカセッテFが縦向きに装填されている場合に点灯されるLED133aと、横向きに装填されている場合に点灯されるLED133bと、装填されているFPDカセッテFが17×17インチのサイズである場合に点灯されるLED133cと、保持部120にFPDカセッテFが装填されていない場合に点灯されるLED133dとが並設されている場合が示されている。
なお、図13では、表示部133に、さらに、FPDカセッテFが装填されているにもかかわらず、コネクタ114(図6(A)、(B)等参照)とFPDカセッテFのコネクタ部分fc(図7参照)との電気的な接続が不完全である場合に点灯される、警告手段としてのLED133eが並設されている場合が示されている。
次に、検知表示手段130の制御部131が、各検知器132から受信した信号に基づいて、表示部133に表示させる表示内容、すなわち点灯させる表示部133の各LED133a〜33dを切り替えることについて説明する。
前述したように、各検知器132の前方にFPDカセッテFが存在する場合には、受光手段132bが反射光を受光するため、各検知器132から制御部131に信号が送信される。そして、本実施形態では、制御部131は、3個の検知器132から送信されてくる信号の有無に応じて、下記の表1に示すテーブルに従って、FPDカセッテFの装填の有無や装填の向き、FPDカセッテFのサイズを検知するようになっている。
なお、下記のテーブルにおける132A〜132Cは、前述したように、図12の各開口124A〜124Cの背面側にそれぞれ設けられた検知器132A〜132Cを表す。また、表1のテーブルの「状態」の欄に記載されている内容は、前述した表示部133の各LED133a〜133d(図13参照)の内容と一致している。
図12の開口124Aの位置に配置された検知器132Aでは、14×17インチのFPDカセッテFを縦向きに装填した場合にのみ発光手段132aが照射した光のFPDカセッテFによる反射光を受光手段132bが受光する。そのため、上記のテーブルに示すように、検知器132Aから信号が送信されてきた場合には、14×17インチのFPDカセッテFが縦向きに装填されていることを意味する。
同様に、図12の開口124B、124Cの各位置に配置された各検知器132B、132Cでは、それぞれ、14×17インチのFPDカセッテFを縦向きに装填した場合にのみ、或いは17×17インチのFPDカセッテFを装填した場合にのみ発光手段132aが照射した光のFPDカセッテFによる反射光を受光手段132bが受光するため、上記のテーブルに示すように、検知器132B、132Cからそれぞれ信号が送信されてきた場合には、それぞれ、14×17インチのFPDカセッテFが縦向きに装填されていること、或いは17×17インチのFPDカセッテFが装填されていることを意味する。
また、検知器132A〜132Cのいずれからも信号が送信されてこない場合には、保持部120には14×17インチのFPDカセッテFも17×17インチのFPDカセッテFもともに装填されていないことを意味するため、その状態は、保持部120にFPDカセッテFが装填されていない、いわゆる空の状態に対応する。
このように、検知表示手段130の制御部131は、各検知器132からの信号の送信の有無に応じて上記のテーブルを参照して、FPDカセッテFの装填の有無や装填の向き、FPDカセッテFのサイズを検知する。そして、そのようにして検知した状態に応じて、各状態に対応する表示部133の各LED133a〜133dのいずれか1つを点灯させるようになっている。
このように、本実施形態に係るブッキー撮影台100では、カセッテホルダ101へのFPDカセッテFやCRカセッテCの装填の有無や、装填の向き、装填されているFPDカセッテFやCRカセッテCのサイズに対応するように、表示部133で点灯させる各LED133a〜33dを切り替えるようになっている。
そのため、放射線技師等の撮影者がわざわざカセッテホルダ101を開けて引出部110を引き出したり、撮影室R1を出てコンソール57の所まで行ったりしなくても、カセッテホルダ101の表示部133の表示を見ることで、容易かつ的確にFPDカセッテFやCRカセッテCの装填の有無や、装填の向き、或いは装填されているカセッテのサイズを確認することが可能となる。そのため、ブッキー撮影台100が放射線技師等の撮影者にとって非常に使い勝手が良いものとなる。
一方、検知表示手段130の制御部131は、この検知結果、すなわち上記の例では14×17インチのFPDカセッテFやCRカセッテCが縦向き或いは横向きに装填されているという情報、或いは17×17インチのFPDカセッテFやCRカセッテCが装填されているという情報、或いはいずれのカセッテも装填されていないという情報を、中継器53(図1参照)を介してコンソール57に送信して通知するようになっている。
なお、立位撮影用のブッキー撮影台100Aや臥位撮影用のブッキー撮影台100BにFPDカセッテFが装填されたことは、上記のように、FPDカセッテFのコネクタ部分fcと各ブッキー撮影台100のコネクタ114とが接続されて、各ブッキー撮影台100を介して装填されたFPDカセッテFの識別情報であるカセッテIDがコンソール57に通知されることにより、コンソール57で認識することができるようになっている。
また、図示を省略するが、各ブッキー撮影台100のカセッテホルダ101(図3(A)、(B)参照)には、CRカセッテCが装填される際にCRカセッテCのバーコードを光学的に読み取る図示しないバーコードリーダが設けられており、各ブッキー撮影台100のバーコードリーダは、CRカセッテCのバーコードを読み取ると、当該CRカセッテCのカセッテID等の必要な情報をコンソール57に通知するようになっている。
そして、このようにして、立位撮影用のブッキー撮影台100Aや臥位撮影用のブッキー撮影台100BにCRカセッテCが装填されたことを、コンソール57で認識することができるようになっている。
コンソール57は、本実施形態では、図1に示すように、撮影室R1や前室R2の外側に設けられている。コンソール57は、図示しないCPUやROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータで構成されており、ROMに格納される所定のプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、前述したように放射線画像撮影システム50全体の制御を行うようになっている。
また、コンソール57には、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー撮影台100A、100Bやクレードル54等が中継器53を介して接続されており、また、放射線発生装置の操作卓56が接続されている。
そして、コンソール57は、クレードル54から送信されてきたFPDカセッテFのカセッテID等に基づいて、撮影室R1内にあるFPDカセッテFを管理するようになっている。
また、コンソール57には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等で構成された表示手段57aが設けられており、HDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶手段58が接続されている。また、その他、キーボードやマウス等の図示しない入力手段や、コンソール57から出力された画像データに基づいて放射線画像をフィルムなどの画像記録媒体に記録して出力する図示しないイメージャ等が接続されている。
さらに、図示を省略するが、コンソール57には、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線科情報システム)等がネットワークを介して接続されている。
コンソール57は、撮影室R1で行う放射線画像撮影に先立って、HIS/RISで登録された、放射線画像撮影の対象となる患者の情報と撮影条件を含む撮影オーダ情報をHIS/RISから入手するようになっている。
本実施形態では、撮影オーダ情報は、少なくとも撮影部位と撮影条件を指定して設定されるようになっている。具体的には、撮影オーダ情報は、図14に例示するように、患者情報としての「患者ID」P2、「患者氏名」P3、「性別」P4、「年齢」P5、「診療科」P6、および「撮影部位」P7、および撮影条件としての「撮影方向」P8等で構成されるようになっている。
本実施形態では、さらに撮影条件として、放射線画像撮影装置1をブッキー撮影台100に装填した状態で撮影を行うか否かの情報として「ブッキーID」P9の項目が設けられており、ブッキー撮影台100に装填する場合にはそのブッキーIDを記載するようになっている。図14に示した例で、ブッキーID「001」、「002」はそれぞれ立位撮影用のブッキー撮影台100Aおよび臥位撮影用のブッキー撮影台100Bを表し、ブッキーID「003」は、放射線画像撮影装置1をいずれのブッキー撮影台100にも装填せずに単独の状態で用いることを表す。
そして、撮影オーダが登録された順に、各撮影オーダ情報に対して「撮影オーダID」P1が自動的に割り当てられるようになっている。なお、撮影オーダ情報に書き込む患者情報や撮影条件等の内容は、上記のものに限定されず、例えば、患者の生年月日、診察回数、放射線の線量、太っているか痩せているか等の情報を含むように構成することも可能である。
以下、コンソール57の表示手段57aに表示される画面や、画面上の操作に基づくコンソール57による放射線発生装置の操作卓56に対する制御等について説明するとともに、あわせて本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の作用について説明する。
まず、FPDカセッテFが、外部から撮影室R1に持ち込まれてクレードル54に挿入されると、クレードル54や中継器53を介して当該FPDカセッテFの識別情報であるカセッテID等がコンソール57に送信される。そして、コンソール57は、記憶手段58等に、持ち込まれたFPDカセッテFのカセッテID等を記憶させて登録することで、撮影室R1内に存在するFPDカセッテFを把握して管理する。
また、FPDカセッテFが、コネクタ部分fc(図7参照)とコネクタ114(図6(A)、(B)参照)とが接続された状態でブッキー撮影台100に装填されると、ブッキー撮影台100を介してFPDカセッテFのカセッテID等の情報がコンソール57に通知される。また、CRカセッテCがブッキー撮影台100に装填されると、ブッキー撮影台100のバーコードリーダによりCRカセッテCのバーコードが読み取られてCRカセッテCのカセッテID等の情報がコンソール57に通知される。
コンソール57は、ブッキー撮影台100から装填されたカセッテ(FPDカセッテFまたはCRカセッテC)のカセッテID等の情報が通知されてくると、記憶手段58に記憶されているブッキー撮影台100のIDと通知されてきたカセッテのカセッテID等とを対応付けて記憶して登録する。
また、コンソール57は、前述したブッキー撮影台100の検知表示手段130から、当該ブッキー撮影台100に装填されているカセッテ(すなわちFPDカセッテFまたはCRカセッテC)の装填の向き、すなわちカセッテが縦向きに装填されているか横向きに装填されているかに関する情報が通知されてくると、記憶手段58に記憶されているブッキー撮影台100のIDと通知されてきた装填の向き(縦向きまたは横向き)の情報とを対応付けて記憶して登録する。
一方、コンソール57は、HIS/RISから、例えばその日に行う放射線画像撮影に関する撮影オーダ情報を入手する。そして、各撮影オーダ情報は、例えば図15に示すように、表示手段57aの選択画面H1上に表示される。
本実施形態では、選択画面H1には、各撮影オーダ情報を表示するための撮影オーダ情報表示欄h11が設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の左側には、今回撮影する予定である撮影オーダ情報を選択するための選択ボタンh12が各撮影オーダ情報に対応して設けられている。また、撮影オーダ情報表示欄h11の下側には、決定ボタンh13および戻るボタンh14が設けられている。
そして、今回撮影を行う撮影オーダ情報が、当該撮影オーダ情報に対応する選択ボタンh12がクリックされ、決定ボタンh13がクリックされて選択されると、コンソール57は、表示手段57aの画面を、図15に示した選択画面H1から、例えば図16に示すような選択画面H2に切り換える。
図16は、立位撮影用および臥位撮影用のブッキー撮影台100A、100BのいずれにもFPDカセッテFもCRカセッテCも装填されていない場合の選択画面H2を表す図である。
本実施形態では、図16に示すように、選択画面H2上には、その左側に、「立位」および「臥位」の表記を矩形状の枠線で囲む状態で、立位撮影用のブッキー撮影台100Aと臥位撮影用のブッキー撮影台100Bに対応するアイコンIbA、IbBがそれぞれ表示される。また、選択画面H2の右側には、撮影室R1内に存在するがブッキー撮影台100には装填されていないFPDカセッテFに対応するアイコンIfが、それぞれ矩形状の枠線内に1〜3の番号が付されて表示される。
本実施形態では、FPDカセッテFに対応するアイコンIfの枠線内には、1〜3の番号のほか、当該FPDカセッテFの解像度や、「半切」や「大角」等の当該FPDカセッテFのサイズ等が記載されるようになっている。
また、本実施形態では、コンソール57は、FPDカセッテFやCRカセッテCがブッキー撮影台100に装填されていない場合、すなわち記憶手段58を参照してブッキー撮影台100のIDにカセッテのカセッテID等が対応付けられていない場合には、図16に示すように、選択画面H2上の当該ブッキー撮影台100に対応するアイコンIbの枠線を破線で表示して、そのブッキー撮影台100にはFPDカセッテFやCRカセッテCが装填されていないことを表示するようになっている。
また、コンソール57は、FPDカセッテFやCRカセッテCがブッキー撮影台100に装填されている場合、すなわち記憶手段58を参照してブッキー撮影台100のIDにカセッテのカセッテID等が対応付けられている場合には、図17に示すように、選択画面H2上の当該ブッキー撮影台100に対応するアイコンIb(図17では立位撮影用のブッキー撮影台100Aに対応するアイコンIbA。以下同じ。)の枠線を実線で表示するようになっている。
その際、カセッテが装填されているブッキー撮影台100に対応するアイコンIbの枠線を実線で表示するとともに、枠線内を所定の色で着色して表示する等して、カセッテが装填されていないブッキー撮影台100に対応するアイコンIbと区別されるように表示することも可能である。
そして、コンソール57は、例えば当該ブッキー撮影台100にカセッテが縦向きに装填されている場合には、図17に示すように、例えば、カセッテが装填されているブッキー撮影台100に対応するアイコンIbの枠線内に縦長の長方形を表示し、その内部に、「半切」等の装填されているカセッテのサイズを表示するようになっている。
また、コンソール57は、例えばカセッテが装填されているブッキー撮影台100にカセッテが横向きに装填されている場合には、図18に示すように、例えば、カセッテが装填されているブッキー撮影台100に対応するアイコンIbの枠線内に横長の長方形を表示し、その内部に、「半切」等の装填されているカセッテのサイズを表示するようになっている。
なお、図17や後述する図18では、カセッテが装填されているブッキー撮影台100に対応するアイコンIbの近傍に、さらに、装填されているカセッテの種類(すなわち図17や図18の場合はFPDカセッテF)やその番号、解像度等が表示される場合が示されている。
また、当初はいずれのブッキー撮影台100にもカセッテが装填されておらず、図16に示したような選択画面H2が表示されていても、その後、放射線技師等の撮影者が、例えば立位撮影用のブッキー撮影台100AにFPDカセッテFを縦向きに装填すると、選択画面H2上の表示が図17に示したような表示に自動的に切り替わり、また、立位撮影用のブッキー撮影台100AにFPDカセッテFを横向きに装填すると、選択画面H2上の表示が図18に示したような表示に自動的に切り替わる。
このように、本実施形態では、コンソール57は、ブッキー撮影台100から装填されているFPDカセッテFやCRカセッテCの装填の向きが通知されてくると、選択画面H2上に表示する当該ブッキー撮影台100に対応するアイコンIbに、当該ブッキー撮影台100に装填されているカセッテの装填の向きを対応付けて表示するようになっている。
そのため、撮影者がわざわざ撮影室R1内のブッキー撮影台100の所にいってカセッテホルダ101を開けたりしなくても、コンソール57の表示手段57aの選択画面H2を見ることで容易かつ的確にFPDカセッテF等の装填の向きを把握することが可能となる。そのため、撮影者が、被写体に対するFPDカセッテFのポジショニングミスを生じたり、それによる再撮影を行わなければならなくなる事態が発生することを的確に防止することが可能となる。
コンソール57は、例えば図17に示した選択画面H2において、実線等で表示された立位撮影用のブッキー撮影台100Aに対応するアイコンIbAがクリックされて選択されると、当該ブッキー撮影台100Aに装填されているカセッテがFPDカセッテFであるため、放射線発生装置を制御して、放射線源51Aに、CRカセッテCに放射線を照射する場合よりも低線量となるように所定の管電圧や管電流を供給させて、放射線源51Aを起動させる。
また、放射線源51Aを所定の位置に移動させて、立位撮影用のブッキー撮影台100Aの方向を向くように放射線源51Aの配置を変えさせるとともに、選択されたブッキー撮影台100Aに装填されているFPDカセッテFの装填の向きにあわせて、放射線発生装置に、放射線源51Aから照射する放射線の照射野を、FPDカセッテFの装填の向きにあわせて変更させる。
すなわち、FPDカセッテFが当該ブッキー撮影台100Aに縦向きに装填されていれば、例えば放射線源51Aから照射する放射線の照射野が縦長になるように、放射線発生装置を制御して放射線源51Aの図示しない絞り等を調整させる。また、FPDカセッテFが当該ブッキー撮影台100Aに横向きに装填されていれば、例えば放射線源51Aから照射する放射線の照射野が横長になるように放射線源51Aの絞り等を調整させる。
一方、コンソール57は、例えば図17に示した選択画面H2では図示を省略したが、選択されたブッキー撮影台100にCRカセッテCが装填されている場合には、上記と同様に、放射線発生装置を制御して放射線源51Aを起動させたり絞り等を調整したりするが、その際、上記のようなFPDカセッテFに照射する照射線量とは異なる(具体的にはFPDカセッテFに照射する照射線量より大きい照射線量の)放射線が照射されるように、放射線源51Aに供給する管電圧や管電流をCRカセッテC用に変更する。
なお、上記のようにコンソール57と放射線発生装置(放射線源51や操作卓56)とが自動連携するように構成されていない場合には、これらの調整を、コンソール57の選択画面H2上でFPDカセッテFの装填の向きを確認した後で、放射線技師等の撮影者が前室R2に行って放射線発生装置の操作卓56等を操作することにより行うことになる。
また、本実施形態では、図16〜図18に示した選択画面H2において、撮影者が、FPDカセッテFが装填されていないブッキー撮影台100に対応する、破線等で表示されたアイコンIb上に、選択画面H2の右側に表示されているFPDカセッテFに対応するアイコンIfのうちのいずれか1つをドラッグアンドドロップすると、コンソール57は、上記の、FPDカセッテFが装填されているブッキー撮影台100に対応するアイコンIbがクリックされて選択された場合と同様に処理を行うようになっている。
すなわち、この場合、コンソール57は、アイコンIfがアイコンIb上にドラッグアンドドロップされた時点で、放射線発生装置を制御して、放射線源51AにFPDカセッテF用の管電圧や管電流を供給させて、放射線源51Aを起動させるとともに、放射線源51AをアイコンIfがドラッグアンドドロップされたアイコンIbに対応するブッキー撮影台100に放射線を照射できるように所定の位置に移動させ、その方向を向くように放射線源51Aの配置を変えさせる。
また、この場合、FPDカセッテFに対応するアイコンIfの縦向きと横向きとを決定したうえでアイコンIb上にドラッグアンドドロップするか、或いは、アイコンIb上にFPDカセッテFに対応するアイコンIfをドラッグアンドドロップした後でアイコンIb内の装填の向きを図17や図18に示したように変更できるように構成することが好ましい。
そして、装填の向きが決定、変更された時点で、コンソール57は、放射線発生装置を制御して放射線源51Aの絞り等を調整させて、決定、変更されたFPDカセッテFの装填の向きにあわせて、放射線発生装置に、放射線源51Aから照射する放射線の照射野を、FPDカセッテFの装填の向きにあわせて変更させる。
なお、この場合は、選択画面H2でドラッグアンドドロップ等の操作がなされても、実際には、当該ブッキー撮影台100にはFPDカセッテFは装填されていないため、コンソール57は、例えば所定時間内に、アイコンIfがドラッグアンドドロップされたアイコンIbに対応するブッキー撮影台100にFPDカセッテFが装填されなかったり、或いは、装填されたFPDカセッテFの装填の向きが、上記のように決定、変更された装填の向きと異なる場合等には、例えば音声を発する等して撮影者に警告するように構成することが可能である。
上記のように、ブッキー撮影台100に装填されているFPDカセッテFやCRカセッテCの装填の向きにあわせてコンソール57が放射線発生装置を制御して放射線源51Aの絞り等を調整させて、放射線源51Aから照射される放射線の照射野が縦長や横長になるように構成すると、以下のような効果を得ることが可能となる。
すなわち、通常、放射線源51Aから放射線を照射する前に、ポジショニング確認のために、放射線源51Aから照射される放射線の照射野と同じ範囲に、放射線源51Aに付随して設けられたコリメータから光が照射される。そして、上記のように放射線源51Aから照射される放射線の照射野が縦長であればコリメータから照射される光の範囲も縦長になり、放射線源51Aから照射される放射線の照射野が横長であればコリメータから照射される光の範囲も横長になるように、コリメータから光照射される。
そのため、放射線技師等の撮影者は、コリメータからブッキー撮影台100や被写体である患者に光を照射させ、ブッキー撮影台100上や被写体上に投影された光の範囲を見ながら放射線源51Aを動かして、放射線源51Aから照射される放射線の照射野がブッキー撮影台100上や被写体上の的確な位置にくるように放射線源51Aの位置を微調整する。
その際、上記のように、放射線源51Aの照射野にあわせてコリメータから照射される光の範囲が縦長や横長になるように構成されていれば、撮影者が、仮にブッキー撮影台100に装填されているFPDカセッテFやCRカセッテCの装填の向きを誤認していたとしても、放射線源51Aからコリメータ光照射され、ブッキー撮影台100上や被写体上に投影された光の形状を見ることで、当該ブッキー撮影台100に装填されているカセッテの装填の向きを誤認していたことに気づき、装填の向きを正しく認識することが可能となるといった効果がある。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、前回の撮影の際に装填されたFPDカセッテFがブッキー撮影台100に装填されたままの状態であったとしても、今回の撮影では、撮影前に、コンソール57の表示手段57aの選択画面H2上に表示したブッキー撮影台100に対応するアイコンIbに、当該ブッキー撮影台100に装填されているFPDカセッテFの装填の向きが対応付けて表示されているため、今回の撮影の撮影者に、ブッキー撮影台100にFPDカセッテFがどのような向きで装填されているかを的確に通知することが可能となる。
そのため、撮影者がわざわざブッキー撮影台100の所にいってカセッテホルダ101を開けたりしなくても、コンソール57の表示手段57aの選択画面H2を見ることで、容易かつ的確にFPDカセッテFの装填の向きを把握することが可能となる。また、今回の撮影時にポジショニングミスや再撮影の発生を防止することが可能となる。そのため、放射線画像撮影システム50が撮影者にとって使い勝手が良いものとなる。
そして、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50のように、当該ブッキー撮影台100に対応するアイコンIbを選択することで、FPDカセッテFも同時に選択されるように構成すれば、今回の撮影者は、FPDカセッテFの装填の向きを把握したうえで、ブッキー撮影台100に対応するアイコンIbを選択することが可能となる。
なお、上記の実施形態では、ブッキー撮影台100の保持部120に装填されたカセッテ(FPDカセッテFやCRカセッテC)を検知する検知表示手段130(図10や図11参照)の検知手段132として、光を照射する発光手段132aと、保持部120にFPDカセッテFが装填されている場合に発光手段132aが照射した光がFPDカセッテFで反射した反射光を受光する受光手段132bとを備える検知器132を備える場合について説明した。
しかし、ブッキー撮影台100の保持部120に装填されたカセッテを検知する検知手段は、このような構成の検知器132に限定されず、保持部120に装填されたカセッテを検知することができるものであれば、他の形態とすることも可能である。
例えば図19に示すように、検知手段140を、棒状の軸部材141と、軸部材141の中央部分に固定された断面略L字状のレバー142と、軸部材141の一端側に固定されたアーム143と、アーム143の先端に取り付けられたバネ等の弾性体144と、軸部材141の他端側に取り付けられたスイッチ手段145とを備えて構成する。
そして、例えば図12に示したように保持部120の支持板123に設けられた各開口124(すなわち開口124A〜124C)に、図20(A)、(B)に示すように、検知手段140のレバー142の屈曲部142aが支持板123の裏側から開口124に挿入されて、支持板123より前方に突出する状態とする。
そして、検知手段140の軸部材141を、保持部120の支持板123の裏面側で図示しない軸受け部により軸部材141の中心軸(図19の1点鎖線参照)周りに回動自在に支持するように固定し、スイッチ手段145や弾性体144の下端部も支持板123の裏面側に固定する。
このように構成することで、保持部120にカセッテが装填されていない状態では、弾性体144の張力により軸部材141が一定方向に回動するように付勢されて、レバー142の屈曲部142aが開口124を介して支持板123の裏側から前方に突出する状態が維持される。
なお、検知手段140のレバー142が、このように屈曲した構成とされているため、上記のように保持部120の下端保持部122が上下動してレバー142にぶつかっても、レバー142が容易に支持板123の裏側に向けて揺動して逃げるため、下端保持部122の上下動がレバー142により妨害されることがなく、保持部120へのカセッテの装填動作をスムーズに行うことが可能となる。
このように構成すると、カセッテが保持部120に装填された場合、レバー142がカセッテの背面に押されて、保持部120の支持板123の裏側に向けて揺動するため、軸部材141が中心軸周りに回動して、スイッチ145がONされる。
また、カセッテが保持部120から取り外されると、上記のように、弾性体145の張力により軸部材141が中心軸周りに逆方向に回動して、スイッチ145がOFFされる。そして、レバー142の屈曲部142aが開口124を介して前方に突出する状態に戻る。
このように構成すれば、保持部120の支持板123の各開口124A〜124C(図12参照)の位置にそれぞれ設けられた各レバー142(以下、レバー142A〜142Cという。)により、上記の実施形態における検知器132A〜132Cと全く同様にして保持部120に装填されたカセッテを検知することが可能となる。
すなわち、例えば図12に示した例と同様に、開口124Aの位置に配置されたレバー142Aでは、14×17インチのカセッテを縦向きに装填した場合にのみスイッチ145がONされる。そのため、前述したテーブル(表1参照)に示したように、レバー142Aに対応するスイッチ145からON信号が送信されてきた場合には、14×17インチのカセッテが縦向きに装填されていることを意味する。
同様に、図12の開口124B、124Cの各位置に配置された各レバー142B、142Cでは、それぞれ、14×17インチのカセッテを縦向きに装填した場合にのみ、或いは17×17インチのカセッテを装填した場合にのみ各レバー142B、142Cに対応するスイッチ145がそれぞれONされるため、上記のテーブルに示したように、レバー142B、142Cにそれぞれ対応するスイッチ145からそれぞれON信号が送信されてきた場合には、それぞれ、14×17インチのカセッテが縦向きに装填されていること、或いは17×17インチのカセッテが装填されていることを意味する。
また、レバー142A〜142Cに対応する各スイッチ145のいずれからもON信号が送信されてこない場合には、保持部120には14×17インチのカセッテも17×17インチのカセッテもともに装填されていないことを意味するため、その状態は、保持部120にカセッテが装填されていない、いわゆる空の状態に対応する。
このようにして、例えば図19や図20に示した検知手段140を備える検知表示手段によっても、図11に示した検知手段132を備える本実施形態の検知表示手段130と全く同様にして、ブッキー撮影台100の保持部120に装填されたカセッテの装填の向き等を的確に検知することが可能となる。
また、ブッキー撮影台100には検知手段がなく、FPDカセッテの隣接する2辺(長辺側および短辺側)にそれぞれコネクター部分fcが設けられており、どちらのコネクター部分fcが使用されているか(接続されているか)に応じて、FPDカセッテFから装填の向きの情報を発信するように構成することも可能であり、例えば、長辺側のコネクター部分fcが接続使用されている場合は、縦向きに装填されているという情報をブッキー撮影台100やコンソール57に通知するように構成することも可能である。
なお、その他、本発明が上記の実施形態や変形例に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。