JP2012008385A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】形成するべき画像の印刷属性に応じてエネルギー的に最適な定着を可能とする、画像形成装置および画像形成方法を提供すること。
【解決手段】画像形成装置は、印刷データを受信してページデータを生成すると共に、印刷物を印刷するための印刷属性情報を取得する作像制御部110と、作像制御部110からページデータおよび印刷属性情報を取得して、印刷属性情報で指定される定着温度で印刷物を出力する印刷エンジン170とを含み、印刷エンジン170は、省エネモードから復帰する場合、印刷属性情報が前記省エネモードに退避する前に設定されていた前回定着温度よりも低い定着温度を指定している場合、定着器を、印刷データに設定された印刷属性情報により指定される定着温度に制御する定着制御部210を含んでいる。
【選択図】図2
【解決手段】画像形成装置は、印刷データを受信してページデータを生成すると共に、印刷物を印刷するための印刷属性情報を取得する作像制御部110と、作像制御部110からページデータおよび印刷属性情報を取得して、印刷属性情報で指定される定着温度で印刷物を出力する印刷エンジン170とを含み、印刷エンジン170は、省エネモードから復帰する場合、印刷属性情報が前記省エネモードに退避する前に設定されていた前回定着温度よりも低い定着温度を指定している場合、定着器を、印刷データに設定された印刷属性情報により指定される定着温度に制御する定着制御部210を含んでいる。
【選択図】図2
Description
本発明は、画像形成装置に関し、より詳細には、形成するべき画像の印刷属性に応じてエネルギー的に最適な定着を可能とする、画像形成装置および画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成装置は、複写機、レーザプリンタ、多機能複写機(以下、MFPとして参照する。)、商用印刷装置など幌医分野で使用されている。電子写真法で使用される現像剤は、トナーとして参照される微細な着色粒子であり、加熱・加圧により、上質紙などに熱融着されることで、耐久性のある印刷物が提供される。
この際に、電子写真法式では、定着部材を定着ヒータにより加熱して、熱融着に必要な温度を得ているが、定着のために用いられる定着ヒータは大量の電力を必要とするため、省エネルギー・低炭素化社会を達成する上では、消費電力をできるだけ削減することが好ましい。トナーの熱融着に際して必要とされる電力量は、定着温度に関連し、この定着温度は、紙種やトナーの熱的特性などの要因で決定され、定着温度を下げることは、直接的に消費電力の抑制を可能とする。
これまで電子写真法における定着技術は種々提案されてきており、例えば特開2006−260185号公報(特許文献1)印刷内容から画像解析部の描画処理にかかる時間を予測し、エンジン起動要求コマンド発行タイミングを調整する定着方法が記載されている。
特許文献1に記載されている方法は、印刷エンジンに起動要求しているにもかかわらず、画像処理に時間がかかり、印刷を開始させるまでの時間的遅延が大きくなっても印刷エンジンが再び省エネ状態に戻ることを防止することで、低電力化を達成するものである。また、特開2003−15461号公報(特許文献2)では、印刷に使用するトナーによって、定着温度を可変に設定することにより、省エネルギー化を達成する方法が記載されている。
上記の従来技術が知られていたものの、特開2006−260185号公報は、印刷エンジンの起動タイミングにのみ着目しており、定着させるトナーの特性印刷内容に応じた制御をしていないため、画像形成するべき画像や紙種に依存した省エネルギー設定を行うことはできなかった。また、特許文献2では、省エネから印刷可能状態までの復帰時、一度定着温度をフルカラー印刷で必要とされる温度まで上げてしまうので、モノクロ印刷でも定着が高い温度のまま印刷をしなければならず、不必要に高い定着温度で印刷を行ってしまうといった問題点もあった。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、省エネから復帰時の印刷において、印刷物の特性に応じて最適な定着温度制御を行うことを可能とする画像形成装置および画像形成方法を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するため、印刷データの先頭ページの印刷情報を解析し、印刷に使用する色情報を印刷データから抽出して定着温度が上がりきる前に、前もって色情報のみを印刷エンジンに通知することにより、使用するトナーを特定し、そのトナーが持つ特性に応じて定着温度を低下させることで省エネルギー印刷を可能とするものである。
本発明の画像形成装置は、情報処理装置から受信した印刷データを印刷物として出力しており、印刷データを受信してページデータを生成すると共に、印刷物を印刷するための印刷属性情報を取得する作像制御手段と、作像制御手段から前記ページデータおよび印刷属性情報を取得して、印刷属性情報で指定される定着温度で前記印刷物を出力する印刷エンジン手段とを含んでいる。
印刷エンジン手段は、省エネモードから復帰する場合、印刷属性情報が省エネモードに退避する前に設定されていた前回定着温度よりも低い定着温度を指定している場合、定着器を、印刷データに設定された印刷属性情報により指定される定着温度に制御する定着制御手段を含んでいる。
定着制御手段は、前回定着温度が前記印刷データに設定された印刷属性情報により指定される前記定着温度と一致する場合、前回定着温度で印刷物を出力し、また、定着器を起動する指令を受領した後、定着器が定着可能な温度にまで昇温したことを通知するまでの間に前回定着温度と印刷属性情報で指定される前記定着温度とを比較して、定着器の昇温目標温度を決定する。
本発明の印刷属性情報は、少なくとも印刷のために用いる色数または印刷用紙の種類またはこれらの組み合わせとすることができ、画像形成装置は、前回定着温度と異なる定着温度で印刷物を出力した場合、当該出力の後再度省エネモードに退避する前までに定着温度を新たな前回定着温度として更新している。また、本発明は、画像形成装置に対して上述した処理を実行させる画像形成方法も提供する。
以下、本発明を実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、本実施形態の画像形成装置100のハードウェア機能ブロック図である。画像形成装置100は、図1中、破線で示した領域内の作像制御部110と、印刷エンジン170と、操作パネル180と、ハードディスク装置190とを含んで構成されている。作像制御部110は、ネットワークを介して接続されたパーソナルコンピュータ、ワークステーション(以下、単にPCとして参照する。)といったPC160から、PC160においてユーザが作成した電子データを受領して各種の画像処理を実行し、印刷エンジン170に対して印刷データを送付して作像を指令する。印刷エンジン170は、作像制御部110から印刷データを受領して電子データに対応する印刷物を出力する。
より詳細には、画像形成装置100は、CPU112と、ROM114と、RAM116と、NVRAM118とを含んで構成されている。CPU112は、画像形成装置100の作像を可能とするように構成されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成することができ、ROM114に格納された制御プログラムや実行データなどを読み込んで、印刷エンジン170が印刷するための各種の処理を行っている。
RAM116は、CPU112の処理を可能とするためのランタイム実行空間を提供し、CPU112は、プログラムの実行により生成したランタイムデータや変数などをRAM116に適時的に書き込み、またランタイムデータや変数をRAM116からフェッチして画像形成装置100の処理を可能としている。また、NVRAM118は、画像形成装置100の作像処理に必要なランタイムデータや変数のうち、本実施形態にしたがい持続的に制御するための値を格納する不揮発性メモリである。
画像形成装置100は、さらにネットワークI/F130と、エンジンI/F140と、パネルI/F150と、記憶装置I/F120とを含んで構成されている。ネットワークI/F130は、LAN(Local Area Network)などに接続するための物理層およびネットワーク層の機能を提供し、イーサネット(登録商標)やFTHなどのプロトコルにしたがって転送される電子データを、例えばTCP/IPやUDP/IPなどのトランザクションプロトコルの下、PC160との間で送受信可能としている。
エンジンI/F140は、作像制御部110が電子データから生成した印刷データを印刷エンジン170に対して送付する処理を行い、例えばPCI、CompactPCI、PCIExpress、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1396などのバスインタフェースまたはその他の適切なインタフェースとして実装することができる。パネルI/F150は、作像制御部110に対して各種の設定を行うために使用される操作パネル180からの制御信号を受領して、作像制御部110が解釈可能なコードにデコードし、CPU112に対して操作パネル180を介したユーザ入力およびCPU112の処理結果の出力を可能とする。
なお、本実施形態の他の実装形式では、操作パネル180は、CRT、LCD、PDなどのディスプレイおよびキーボード・マウスなどの入出力装置として構成することもできる。上述した各機能部は、内部バス(システムバスおよびI/Oバス)192を介して相互接続されていて、作像制御部110の処理を可能としている。記憶装置I/F120は、外付け記憶装置、具体的には大容量のハードディスク装置190や、USBメモリなどとの間でデータ転送を行うものであり、ULTRAATA、SERIALATA、USB2.0など適切なプロトコルを使用したインタフェースとすることができる。
PC160は、画像形成装置100に対して電子データを送付し、印刷エンジン170から電子データに対応する印刷物を出力させる。PC160は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置などを実装し、適切なオペレーティングシステム(OS)の下で、ワードプロセッサ、グラフィックス、ドロー、CADなどのアプリケーションを動作させ、ドキュメントを作成する。PC160は、画像形成装置100に対して印刷を依頼する場合、デスクトップ画面上にプリンタドライバが提供するプリントウィザードを表示する。ユーザは、当該プリントウィザードから、各種の設定を行い、設定が終了した後、「OK」ボタンアイコン上で、所定のマウスイベントを行うことで、プリンタドライバが電子データを印刷するための処理を開始する。電子データは、ラスタライズやスプリングなどの処理を経て電子データに対応する印刷データとされ、画像形成装置100に宛てて送付する。
プリンタドライバは、本発明の要旨ではないので、詳細な説明は省略するが、概略的には、電子データに対するPDL(Page Description Language)の付加、位イメージデータのラスタライズ、スプール処理および画像形成装置100のネットワーク上のアドレスに宛てて作成した印刷データの送付などを実行する。本実施形態では、定着温度制御を行うための制御信号は、プリンタドライバの提供するグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介してユーザが設定することで、印刷データに追加することができる。なお、上述した制御信号を、以下、作像色情報として参照する。
画像形成装置100は、当該印刷データを受領すると、PDLを解釈し、画像形成装置100が印刷することができる形式のページデータを作成し、印刷の実行を開始する。本実施形態では、画像形成装置100が印刷データを受領すると、印刷データから作像色情報を抽出し、画像形成装置100がページデータを作成している期間中に作像色情報を印刷エンジン170に送付し、作像色情報にしたがって定着温度制御を開始する。
図2は、本実施形態の画像形成装置100のソフトウェアブロック図を示す。図2に示す各機能ブロックは、CPUが、プログラムを実行することによって、画像形成装置100の機能手段としてハードウェア資源を機能させることにより、画像形成装置100上に実現されている。画像形成装置100の作像制御部110は、プリンタ制御部204と、画像解析部202とを含んでいる。その他、作像制御部110は、ネットワークI/F130、パネルI/F150、エンジンI/F140を含んでいるが、これらのI/F130〜150は、上述したインタフェース処理を周知のプロトコルにしたがって実行するので、詳細な説明は省略する。
なお、図2には、PC160が含むプリンタドライバ220を示しており、プリンタドライバ220は、ユーザの指令に応答して電子データに対し、ラスタライズ等の処理を施して印刷データを作成し、作像制御部110に送付している。
プリンタ制御部204は、作像制御部110全体の処理を管理し、データ取得、データ送付、各種通知、および画像解析部202の制御などを実行する。画像解析部202は、PC160から送付された印刷データを解析する機能を備え、PDLを解釈してプリンタ制御部204に対してページデータを生成させ、生成されたページデータを、印刷エンジン170へと送付する。さらに本実施形態の画像解析部202は、印刷データの例えばヘッダ情報などデータ制御情報を記述する領域や、PDLを記述する領域に記述された作像色情報をページ処理開始前に取得し、印刷エンジン170に送付して定着器の温度制御を開始させている。なお、画像解析部202は、所定のデータ領域に作像色情報が検出できなかった場合には、作像色情報を、例えばブランクのまま送付することもできるし、明示的に作像色情報がないことを通知する情報を印刷エンジン170に対して送付することができる。
また、図2に示すように、画像形成装置100の印刷エンジン170は、制御部I/F206と、エンジン制御部208と、定着制御部210とを含んでいる。制御部I/F206は、エンジンI/F140から送付されるページデータを受領してエンジン制御部208に渡す機能を有しており、エンジンI/F140に対応する適切なバスインタフェースを含む構成とすることができる。エンジン制御部208は、印刷エンジン170の潜像形成、転写、搬送、定着など各機能部の動作を制御する機能を有しており、印刷エンジン170専用のASICなどを含む構成とすることができ、本実施形態の定着制御を可能としている。
また、エンジン制御部208は、作像制御部110から、作像色情報を受領すると、定着制御部210に作像色情報を通知する。定着制御部210は、作像制御部110から作像色情報を受領すると、NVRAM118などに格納されたルックアップテーブルを参照して、作像色情報に対応する定着温度を取得し、取得した定着温度を省エネモードを挟んで直前の定着温度の値である前回定着温度と比較して、今回の定着温度の変更判断を行う。変更判断の後に決定された定着温度は、定着制御部210における昇温目標温度として設定され、定着器の温度管理のために利用される。
定着制御部210は、より詳細には、定着温度監視部212と、定着温度設定部214とを含んでおり、定着温度監視部212は、温度センサ232が検出した定着ローラ230の温度値を取得して、定着温度設定部214に通知し、定着温度設定部214による定着のための定着温度の値と、現在の定着ローラ温度とを比較判断に応答して、定着ローラ230への通電制御を行う。定着温度設定部214は、エンジン制御部208から取得した作像色情報を使用して現在の定着処理で利用するべき定着温度の値を取得し、定着温度監視部212による温度制御を可能とさせている。このため、定着制御部210は、NVRAM216を含んで構成することができ、NVRAM216に温度制御のために利用される各種データを格納し、その処理のために提供する。なお、NVRAM216は、共用できる場合には、作像制御部110のNVRAM118と共用することができる。
図3は、本実施形態の画像形成装置100の画像形成処理のシーケンス図である。画像形成装置100の画像形成処理は、ステップS301で、プリンタドライバ220が送付した印列データを、作像制御部110の画像解析部202が取得する。画像解析部202は、ステップS302でプリンタ制御部204に対して印刷データおよび作像色情報を送付し、ページデータの作成を要求する。プリンタ制御部204は、ページデータ作成要求を受領すると、ページデータの作成に先立って、ステップS303で定着器をONとする信号であるWakeUp信号をアサートし、エンジン制御部208に通知する。エンジン制御部208は、WakeUp信号のアサートが通知されると、ステップS308で定着制御部210に対し、定着ONを通知し、本実施形態にしたがい定着ヒータの温度制御シーケンスを開始させる。
それに続き、プリンタ制御部204は、ステップS304で、印刷準備要求をエンジン制御部208に通知する。印刷準備要求には、どの印刷アプリケーションを使用するのかを識別するための固有の識別値であるアプリIDおよび作像色情報が含まれている。エンジン制御部208は、受領したアプリIDを参照して、印刷実行プログラムのモジュールを呼び出し、ステップS309で、定着制御部210に対して作像色情報を通知する。このとき、エンジン制御部208が有意義な作像色情報を受領していない場合、作像色情報をブランクのまま、または明示的に作像色情報がないことを示す値を定着制御部210に通知することができる。
定着制御部210は、作像色情報および直前の省エネモードへの退避前の定着温度を参照して、現在の定着温度を決定し、決定された定着温度を、現在の温度制御シーケンスの昇温目標温度として設定する。その後、温度制御シーケンスの進行に伴って定着ローラ230の温度が昇温目標温度に達すると、定着制御部210は、ステップS310で定着昇温完了通知を、エンジン制御部208に通知する。エンジン制御部208は、当該通知を受領すると、ステップS305で、定着器が準備完了であることを示すReady信号をプリンタ制御部204に通知し、同時にページデータの送付要求をエンジン制御部208に送付する。
プリンタ制御部204は、当該Ready信号を受け取ると、ページデータの作成を開始すると共に、ステップS306でエンジン制御部208に対して印刷設定、例えば給紙トレイの指定、紙種、印刷用紙サイズなどを通知する。なお、印刷トレイの指定、紙種、印刷用紙サイズなどは、ステップS301で受領する印刷データの印刷属性を記述するデータ領域に含まれている。本実施形態では、印刷属性とは印刷する際のカラーモード(フルカラーまたはモノクロ)および紙種、紙厚など、定着温度に影響を与えるいかなる属性を含む。その後、プリンタ制御部204は、ステップS307で印刷開始をエンジン制御部208に通知した後、作成したページデータを順次エンジン制御部208に送付して、ページ印刷を実行させ、定着器による現像剤の定着後、電子データに対応する印刷物として出力させている。
図4は、本実施形態の画像解析部202が本実施形態に関連して実行する処理のフローチャートである。画像解析部202の処理は、ステップS400から開始し、ステップS401で印刷データを解析する。当該解析は、本実施形態のコンテキストにおいては、PDLバージョンや、固有のページ記述言語の存在の有無などの判断および作像色情報の判断などを意味する。ステップS401の解析において、PDLを解析し、ステップS402で、ユーザが指定した作像色情報を取得し、ステップSS403で、使用されているPDLなどが、プリンタドライバに固有の作像色指定コマンドを有するバージョンか否かをルックアップテーブルまたはドライバ資源リストなどを利用して判断する。なお、ドライバ資源リストは、例えばROM114などに管理データようのファームウェアなどとして予め出荷時に登録しておくことができる。
ステップS403で固有のコマンドが登録されていないと判断された場合(no)処理を、制御をステップS406に渡す。一方、ステップS403の判断で固有コマンドがあると判断された場合(yes)、当該固有コマンドを使用してエンジン制御部208を制御する必要があるので、ステップS404で作像色情報に対応するコマンドをルックアップテーブルなどから検索し、ステップS405で固有コマンドを作像色情報として設定する。その後、ステップS406でページ生成要求を、プリンタ制御部204に送付し、以後の処理を開始させ、ステップS407で、画像解析部202は処理を終了する。
図5および図6は、本実施形態の定着制御部210の実行する処理のフローチャートである。まず、図5の処理から説明する。定着制御部210の処理は、ステップS500で定着ON信号を受領を待機する処理から開始し、ステップS501で、定着ONを受領し、昇温目標温度の設定処理を開始する。ステップS502では、NVRAMから前回の作像処理で使用した定着温度である前回定着温度の値を読み出し、ステップS503でレジスタメモリなどに確保してある値Tpに設定する。このTpの値を暫定的に昇温目標温度Ttとして設定する(Tt=Tp)。昇温目標温度とは、定着制御部210が所定の定着温度を与えるために利用する制御値であり、定着制御部210は、昇温目標温度Tt付近に定着ローラの温度が設定されるように、ヒータなどの通電制御を行う。
ステップS504では、作像色情報を受信したか否かを判断し、作像色情報を受領していない場合(no)、処理をステップS504に渡し、作像色情報の受信を待機する。一方、ステップS504で、作像色情報を受信している場合(yes)、ステップS505で作像色情報または固有コマンドに対応する定着温度をルックアップテーブルから検索し、Tt2として設定する。なお、作像色情報を受信しているとは、エンジン制御部208から図3のステップS309で明示的に有意義な作像色情報が通知されていることを意味する。ステップS506では、新たな作像色情報または固有コマンドが指定する定着温度が前回の定着温度を指定する値Tpと一致するか異なるかを判断し、前回と異ならない、すなわち同一の場合(no)、Tt=Tpの設定のまま制御をステップS508に渡す。一方、ステップS506で、前回と異なると判断された場合(yes)、ステップS507でTt=Tt2に設定し、前回定着処理とは異なる定着温度を利用する。また、ステップS507では、Tpフラグを登録するテーブルのTpフラグを対応するように更新する。ステップS508では、この段階までに決定されたTtを、現在の昇温目標温度として設定した後、現在の定着ローラの温度情報を取得する。
この段階で、以下の2温度設定のいずれかで現在の定着処理が実行される。
(1)前回定着処理の定着温度での定着処理;
(2)前回定着処理の定着温度とは異なるより低い温度での定着処理:
なお、前回定着処理とは、現在の印刷ジョブが開始される直前の省エネモードに退避する前に実行されていた定着処理を意味する。その後、図5の処理は、ポイントAから図6の処理に制御を渡す。
(1)前回定着処理の定着温度での定着処理;
(2)前回定着処理の定着温度とは異なるより低い温度での定着処理:
なお、前回定着処理とは、現在の印刷ジョブが開始される直前の省エネモードに退避する前に実行されていた定着処理を意味する。その後、図5の処理は、ポイントAから図6の処理に制御を渡す。
図6の処理は、図5の処理からポイントAで制御が渡されて開始し、ステップS600で、現在の定着ローラの定着温度が昇温目標温度より低いか否かを判断し、低い場合(yes)、ステップS601で定着ヒータを起動し、温度制御を開始する。一方、現在の定着ローラの定着温度が昇温目標温度よりも低くない場合には(no)、処理をステップS605に渡し、以後の処理を実行させる。また、ステップS602では、定期的に現在の定着温度情報を取得し、ステップS603で現在の定着温度が昇温目標温度を超えているか否かを判断する。
ステップS603の判断で、現在の定着温度が昇温目標温度以上であると判断された場合(yes)、ステップS604で定着昇温を停止して、定着温度付近の温度を維持させる。一方、ステップS603で、現在の定着温度が昇温目標温度未満であると判断された場合(no)、制御をステップS602に戻し、ステップS603の判断が肯定的な結果を返すまで昇温を継続する。
ステップS605では、定着温度昇温完了を示すReady信号をエンジン制御部208に通知し、さらにページデータの送付を依頼する。ステップS606では、前回のページデータ処理からの時間経過をモニタし、当該時間経過が省エネ遷移時間を経過したか否かを判断し、省エネ遷移時間が経過した場合(yes)、ステップS607で省エネモードに遷移し、次回のWakeUp信号のアサートを待機し、定着制御部210の処理を終了する。また、ステップS606で、省エネ遷移時間が経過していない場合(no)、処理をステップS602に戻し、エンジン制御部208からのページデータの送付を繰り返し処理する。
図7は、本実施形態で画像解析部202および定着制御部210が使用し、NVRAM118またはNVMRAM216に格納されるルックアップテーブル(LUT)の実施形態を示す。LUT700およびLUT710は、好ましい実施形態ではNVRAM216に登録され、定着制御部210が直接管理することができる。LUT700およびLUT710は、本実施形態で定着制御部210が参照する、作像色情報と、それに対応する昇温目標温度値およびTpフラグを登録し、管理している。
まず、LUT700から説明すると、LUT700のカラム702には、作像色情報が登録されており、例えばColorおよびmonoとして作像色情報が登録されている。なお、例示のため、作像色情報=Colorは、フルカラー印刷を指定し、作像色情報=monoは、ブラックトナーを利用する白黒印刷を指定する。カラム704には、各作像色情報に対応して設定するべき定着ローラの定着温度の値が、それぞれ、Tc、Tmとして登録されていて、作像色情報を参照して、定着温度を変化させることが可能とされている。なお、LUT700は、例示的な目的で説明したものであり、例えば紙種などによって定着温度を登録し、作像色情報とともに紙種情報を利用して定着温度を変更することもできる。
作像色情報および紙種情報を使用して、定着温度を最適化するために利用することができるデータの実施形態をLUT710として示す。LUT710は、作像色情報を登録するカラム712に対応付けて紙種情報毎に異なる定着温度を登録するカラム714を対応付けて登録する。また、LUT710には、Tpフラグテーブル720が対応付けされていて、Tpフラグテーブル720は、定着温度のマトリックスの要素位置が決定されると、当該要素位置のTpフラグを検査し、前回の定着との一致不一致を判断するために利用される。
LUT710のように、複数の異なる情報を組み合わせた場合の定着温度の値を網羅的に登録しておく実施形態では、NVRAM216のデータ構造を変更するだけで図4、図5、図6の処理フローの大きな変更を伴うことなく、より柔軟な定着温度制御を行うことができる。なお、作像制御部110と、印刷エンジン170とが、共通のNVRAM118をシェアできる場合には、LUT700およびLUT710は、NVRAM118に後述するLUT730とともに登録することができ、特定の実装形式に応じて適宜設定することができる。
またLUT700のカラム706およびTpフラグテーブル720は、Tpフラグを登録するデータ領域であり、直前また現在有効に設定されている定着温度について、値「1」を登録し、現在有効ではない定着温度について、値「0」が設定されるトグルフラグとされている。本実施形態で用語「トグルフラグ」とは、設定するべき昇温目標温度値がN個ある場合、i番目の定着温度のフラグの値を、Value_of_Flag(i)として、フラグ設定期間を除き、下記式を満たすように設定するフラグをいう。
上記式(1)で設定したTpフラグは、現在の定着処理の温度条件を指定するランタイムデータとして使用されるとともにNVRAM118に登録されて、次回に省エネモードから復帰したときの昇温目標温度の初期値として利用することができる。このため、例えば、カラー機を保有してはいるものの、出力内容がほとんどモノクロ原稿であるユーザは、うっかり作像色指定を忘れても不必要な定着温度にまで加熱する電力を浪費することなく、画像形成装置100を動作させることができる。このため、本実施形態では、本来的に高い定着温度が必要な作像要求の場合にだけ、高温定着の条件とすることができるので、特にフルカラー画像形成装置の効率的な省エネルギー化を達成することができる。
図7に示すLUT730は、プリンタドライバ220が作像色を指定する際に固有のコマンドを利用する場合に、検索された固有のコマンドから、画像解析部202が、固有コマンドを作像色情報として通知する場合に該当する定着温度を取得するためのLUTである。カラム732内で、high_fix_tempがカラー定着のための定着温度としてカラム734にTcとして設定され、また、モノクロ印刷のための定着温度が、Tmとしてカラム734に登録されている。なお、LUT730には、Tpフラグを設定するカラムは示されていないものの、LUT700およびLUT730をLUT730の検索で、定着温度を取得し、その後LUT700を参照して、当該定着温度が前回定着温度の値か否かを判断させることもできる。さらに、他の実施形態では、LUT730自体にもLUT700と同様のTpカラムを追加して、トグルフラグを設定しても良い。
図8は、本実施形態による定着温度の印刷シーケンス毎の温度プロファイルを示す。横軸には印刷シーケンスにしたがう時間経過であり、縦軸は、定着ローラの温度である。温度k1は、省エネ状態時の定着温度を示し、温度k2は、黒トナーのみを使用したモノクロ印刷時に必要な定着温度を示しており、k3は、K3はフルカラー印刷時に必要な定着温度を示す。フルカラー印刷を行う場合、混色性やグロスなどを向上させるため、トナーを充分溶融させる必要があるので、モノクロ印刷よりも高い定着温度が必要とされる。
図8中、期間t1は、電源ONから印刷可能状態に至るまでの時間を示し、期間t2は、印刷可能状態の時間を示す。従来では、モノクロおよびカラーを問わず、いずれの印刷にでも対応できるk3の定着温度まで定着器を加熱していた。画像形成装置100が印刷を終了し、一定期間が経過すると、画像形成装置100は、省エネモードに遷移しその結果、必要最低限のCPU能力および電力消費量とされ、この結果定着ローラも通電制御が停止され、期間t3の温度プロファイル810で、印刷可能状態から省エネ状態まで遷移する。
一方、本願では、ユーザが作像色を指定すると、画像形成装置100は、当該作像色のために必要な定着温度を昇温目標温度として設定し、定着ローラの温度制御を行う。図8に示す期間t4は、ユーザがモノクロ印刷を指定した省エネ状態からモノクロ印刷可能状態までの時間を示す。期間t4では、ユーザがモノクロ印刷を指定したので、従来であれば温度プロファイル820で昇温するべき定着ローラの温度は、温度プロファイル830で示されるように低温化されるとともに、印刷開始も早くなり、この結果、省エネルギー化を達成するばかりではなくアーリーウェイクアップを可能とすることが示される。
さらに本実施形態では、期間t4の定着温度の値がランタイムデータとしてだけではなく、NVRAM118に制御データとして登録されるので、期間t7で示すように、画像形成装置100が一旦省エネモードの遷移し、そこから印刷を実行する場合でも、ユーザが意図的にカラー印刷を指定しない限り、カラー印刷のための温度プロファイル850ではなく、温度プロファイル840で示されるように再びモノクロ印刷の定着温度に設定される。この結果、本実施形態では、ユーザが都度、作像色情報を設定しなくても、省エネルギーおよびアーリーウェイクアップが可能とされ、画像形成装置100によるより効率的な画像形成が可能となる。
図9は、本実施形態のプリンタドライバ220がPC160のデスクトップ画面上に表示するGUI900の実施形態を示す。図9に示すGUI900には、各種の印刷設定を行うための入力ボタンや入力フィールド、および印刷イメージを表示するためのグラフィック表示ウィンドウなどが配置されている。さらに、本発明にしたがい、GUI900には、作像色情報を設定する入力フィールド910が、プルダウンリストとして提供されていて、ユーザは、入力フィールド910から、作像色情報を設定し、設定後、ボタンアイコン920をクリックすることで、指定した作像色情報での印刷を指令することができる。
なお、入力フィールド910の情報は、一旦設定すると、次回の呼び出しの際にも前回設定がデフォルト設定としてGUI900が表示されるので、ユーザが明らかにカラー印刷を希望して入力フィールド910の設定を変更する場合を除き、より確実に無駄な定着電力の消費を防止することができる。
本実施形態の上記機能は、C++、Java(登録商標)といったオブジェクト指向プログラミング言語の他、機械語、アセンブラ言語などのレガシープログラミング言語などで記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、プログラムは、ハードディスク装置、CD−ROM、MO、フレキシブルディスク、EEPROM、EPROMなどの装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
これまで本実施形態につき説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
100 画像形成装置
110 作像制御部
112 CPU
114 ROM
116 RAM
118 NVRAM
120 記憶装置I/F
130 ネットワークI/F
140 エンジンI/F
150 パネルI/F
160 PC
170 印刷エンジン
180 操作パネル
190 ハードディスク装置
192 内部バス
200 ソフトウェアブロック
202 画像解析部
204 プリンタ制御部
206 制御部I/F
208 エンジン制御部
210 定着制御部
212 定着温度監視部
214 定着温度設定部
216 NVRAM
220 プリンタドライバ
230 定着ローラ
232 温度センサ
700、710、730 LUT
110 作像制御部
112 CPU
114 ROM
116 RAM
118 NVRAM
120 記憶装置I/F
130 ネットワークI/F
140 エンジンI/F
150 パネルI/F
160 PC
170 印刷エンジン
180 操作パネル
190 ハードディスク装置
192 内部バス
200 ソフトウェアブロック
202 画像解析部
204 プリンタ制御部
206 制御部I/F
208 エンジン制御部
210 定着制御部
212 定着温度監視部
214 定着温度設定部
216 NVRAM
220 プリンタドライバ
230 定着ローラ
232 温度センサ
700、710、730 LUT
Claims (8)
- 情報処理装置から受信した印刷データを印刷物として出力する画像形成装置であって、
前記印刷データを受信してページデータを生成すると共に、前記印刷物を印刷するための印刷属性情報を取得する作像制御手段と、
前記作像制御手段から前記ページデータおよび前記印刷属性情報を取得して、前記印刷属性情報で指定される定着温度で前記印刷物を出力する印刷エンジン手段とを含み、
前記印刷エンジン手段は、省エネモードから復帰する場合、前記印刷属性情報が前記省エネモードに退避する前に設定されていた前回定着温度よりも低い定着温度を指定している場合、定着器を、前記印刷データに設定された前記印刷属性情報により指定される前記定着温度に制御する定着制御手段を含む、画像形成装置。 - 前記定着制御手段は、前記前回定着温度が前記印刷データに設定された前記印刷属性情報により指定される前記定着温度と一致する場合、前記前回定着温度で前記印刷物を出力する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記定着制御手段は、前記定着器を起動する指令を受領した後、前記定着器が定着可能な温度にまで昇温したことを通知するまでの間に前記前回定着温度と前記印刷属性情報で指定される前記定着温度とを比較し、前記定着器の昇温目標温度を決定する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記印刷属性情報は、少なくとも印刷のために用いる色数または印刷用紙の種類またはこれらの組み合わせである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置は、前記前回定着温度と異なる定着温度で前記印刷物を出力した場合、当該出力の後再度省エネモードに退避する前までに前記定着温度を新たな前回定着温度として更新する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記作像制御手段は、印刷に用いる色数を判断する画像解析手段を備え、
前記印刷エンジン手段は、前記印刷属性情報の少なくとも前記色数を判断して定着器の温度設定を切り換え制御する定着温度設定手段を備える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 情報処理装置から受信した印刷データを印刷物として出力する画像形成方法であって、画像形成装置が、
前記印刷データを受信してページデータを生成すると共に、前記印刷物を印刷する場合の印刷属性情報を取得するステップと、
省エネモードから復帰する場合、前記印刷属性情報が前記省エネモードに退避する前に設定されていた前回定着温度と、前記印刷属性情報が指定する定着温度とを比較し、前記印刷属性情報が前記前回定着温度よりも低い定着温度を指定していると判断された場合、昇温目標温度を前記印刷データに設定された前記印刷属性情報により指定される定着温度とし、前記印刷属性情報が前記前回定着温度と同じ定着温度を指定していると判断された場合、昇温目標温度を前記前回定着温度として定着器を温度制御するステップと、
前記温度制御下の前記定着器により、前記印刷物を定着するステップと
を含む画像形成方法。 - 前記温度制御するステップは、前記定着器を起動する指令を受領した後、前記定着器が定着可能な温度にまで昇温したことを通知するまでの間に実行される、請求項7に記載の画像形成方法。
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