以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。ここでは、本発明の実施形態の理解を容易にするため、遊技者が遊技可能なパチンコ機の機械的構成および電気的構成をその順に説明する。
(パチンコ機1の機械的構成)
図1は、パチンコ機1の概略的な機械的構成を説明するための外観斜視図であり、図2は、パチンコ機1のガラス扉を開けた状態の外観斜視図である。本実施形態におけるパチンコ機1は、遊技場の島設備に設置される縦長矩形状の機枠2と、機枠2の前面開口部に対して扉形式で開閉可能に取り付けられ、遊技盤3や、遊技盤3内の遊技領域4に向かって遊技球を発射する発射装置5を収容する前面枠6と、前面枠6に扉形式で開閉可能に取り付けられ、中央開口部に遊技領域4を遊技者に観察させるための透明なガラス板7を嵌設したガラス扉8と、ガラス扉8の下方において前面枠6に扉形式で開閉可能に取り付けられ、遊技球を収容する受皿9や、発射装置5における遊技球の発射強度を調整するためのハンドル10が設けられた受皿ユニット11とを備えている。また、ガラス扉8の上部や側部には、効果音や楽音等による聴覚的な演出を行うスピーカ12および様々な発光を伴う視覚的な演出を行うランプ部13が設けられる。以下、パチンコ機1の機械的構成を詳しく説明する。
ガラス板7を通じて観察可能な遊技領域4は、遊技球を滑走させるガイドレール20と遊技球規制レール21とによって略円形状となるように区画形成され、遊技者によるハンドル10の操作により発射装置5から発射された遊技球はこの遊技領域4内を流下する。また、遊技領域4内には、その流下方向を変化させるための遊技釘(図示せず)、風車(図示せず)、ステージ22、遊技の契機となる始動入賞口(始動口)23(図中23a、23bで示し、特に区別して説明する場合に23a、23bの表現を用いる。)、一般入賞口24、スルーチャッカ25、電動チューリップ26、アタッカー装置27、遊技の結果を報知する特別図柄表示装置28、演出表示装置29、入賞を果たせなかった遊技球を回収する回収口30等が設けられている。
特別図柄表示装置28は、例えば、7セグメント表示器等で構成され、特別図柄(数字や絵柄)を変動表示し、遊技球が始動入賞口23に入賞したことを契機に行われる電子抽選の結果に基づく特別図柄を停止表示する。演出表示装置29は、遊技盤3の略中央に位置する液晶ディスプレイ等で構成され、例えば、特別図柄表示装置28による特別図柄の変動に連動して大当たりの期待度の異なる様々な演出態様を表示する。以下で用いる特別図柄の変動中といった表現は、特別図柄表示装置28において特別図柄が変動している状態のみならず、演出表示装置29において演出表示(様々な演出態様の表示)が行われている状態も含む。遊技者は、主として、このような演出表示装置29における演出表示に一喜一憂しながら遊技を楽しむこととなる。したがって、特別図柄表示装置28は、演出表示装置29を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。また、受皿9の棚部には、押圧式のボタンスイッチで構成されるチャンスボタン33が設けられ、例えば、遊技者が当該チャンスボタン33を押圧した場合にのみ、現在変動中の特別図柄が大当たりであることの期待度を示す演出態様を演出表示装置29に表示したり、現在変動中の特別図柄が大当たりである場合に、恰も、遊技者によるチャンスボタン33の押圧によって大当たりになったかのように見せる演出表示をしたりして、演出表示装置29による演出表示に遊技者を関与させることができる。
スルーチャッカ25は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、そのゲート内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプの検知センサ(スルーチャッカ検知センサ)が内蔵されている。スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選が実行され、その抽選結果は普通図柄表示装置34を通じて遊技者に報知される。普通図柄表示装置34は、本実施形態において、特別図柄表示装置28に隣接して設けられた2つのLEDランプで構成されており、普通図柄の抽選結果が当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。
ステージ22は、演出表示装置29の下方に配置されており、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ22の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には始動入賞口23aが配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で始動入賞口23aへと導かれる。電動チューリップ26は、始動入賞口23bへの入賞経路に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えている。スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に行われる普通図柄に係る電子抽選に当選すると、電動チューリップ26のソレノイドに通電がなされ、その一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、所定期間、始動入賞口23bへの入賞が可能になる。こうして、遊技者は、多くの抽選機会を得ることができる。
アタッカー装置27は、始動入賞口23に遊技球が入賞することを契機に行われる特別図柄に係る電子抽選の結果が、大当たりまたは小当たりとなり、通常の遊技に比べて遊技者に有利な大当たり遊技または小当たり遊技に移行した場合に、大入賞口35への入賞経路を開放する装置である。大当たり遊技では、アタッカー装置27を通じて大入賞口35への入賞が容易となるので、多くの賞球が遊技者に払い出されるが、小当たり遊技では、アタッカー装置27が極めて短時間かつ少ない回数しか開放されないので、ほぼ賞球を得ることができない。また、一般入賞口24に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。なお、始動入賞口23、一般入賞口24、大入賞口35の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサが設けられている。このようにして払い出された賞球(遊技球)は、一旦受皿9に収容され、遊技者は、必要に応じて外部に排出することができる。遊技者が投入し、または、払い出されて受皿9に収容された遊技球は、1個ずつ発射装置5に流動し、遊技者によるハンドル10への回動量に応じた発射強度で遊技領域4に発射される。
(パチンコ機1の電気的構成)
図3は、パチンコ機1の概略的な機械的構成を説明するための外観図であり、図4は、パチンコ機1の電気的構成を示したブロック図であり、図5〜図8は、パチンコ機1で参照されるテーブルを説明するための説明図である。図3に示すように、パチンコ機1は、遊技盤3の背面側に支持部材等を介して、主制御処理部50と、副制御処理部51と、特別図柄表示制御部52と、普通図柄表示制御部53と、払出制御処理部54と、発射制御処理部55とを備えている。図4に示す電源供給装置57は、外部電源から24Vの交流電源の供給を受け、この交流電源をパチンコ機1で使用する複数の定電圧直流電源に変換し、主制御処理部50、副制御処理部51、特別図柄表示制御部52、普通図柄表示制御部53、払出制御処理部54、発射制御処理部55等の各制御装置に供給する。
(主制御処理部50)
主制御処理部50は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、パチンコ機1の遊技に関する主要な処理が実行される。また、主制御処理部50では、ROMに格納されたプログラムと記憶部に記憶されたテーブル等に基づいて中央処理装置やRAMが協働することで、特別図柄抽選部(特別図柄抽選手段)110と、特別図柄決定部120と、遊技コマンド決定部130と、大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)140と、普通図柄抽選部150と、電動チューリップ作動制御部160として機能し、大当たり判定テーブル170、コマンド参照テーブル171、普通図柄判定テーブル等が記憶部(図示せず)に予め記憶されている。特別図柄抽選部110は、始動入賞口23に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄に係る電子抽選を行い、特別図柄決定部120は、この特別図柄抽選部110による抽選結果に基づいて特別図柄を決定する。遊技コマンド決定部130は、演出態様を決定するための遊技コマンドである変動パターンコマンドを決定する。大当たり遊技制御部140は、特別図柄抽選部110による抽選結果が大当たりとなった場合にアタッカー装置27のソレノイドを作動させて大当たり遊技を実行する。普通図柄抽選部150は、スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に普通図柄に係る電子抽選を行う。電動チューリップ作動制御部160は、電動チューリップ26の作動を制御する。
特別図柄抽選部110は、特別図柄用乱数発生部(特別図柄用乱数発生手段)111と、特別図柄用乱数取得部(特別図柄用乱数取得手段)112と、大当たり当否判定部(大当たり当否判定手段)113と、保留球乱数記憶部114とを備えている。特別図柄用乱数発生部111は、周期的(例えば、200マイクロ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、00000〜34999)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数(特別図柄用の乱数)を生成する。特別図柄用乱数取得部112は、始動入賞口23に遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口23に設けられた始動入賞口検知センサ60からの検出信号が主制御処理部50に入力されたタイミングで)、特別図柄用乱数発生部111により発生した特別図柄用乱数の中から1つの特別図柄用乱数を取得(ラッチ)する。
大当たり当否判定部113は、図5(a)〜(c)に示す大当たり判定テーブル170(通常確率用大当たり判定テーブル170a、高確率用大当たり判定テーブル170b、振り分け用大当たり判定テーブル170c)を用いて、特別図柄用乱数取得部112が取得した特別図柄用乱数が、大当たりまたは小当たりを示す乱数であるか否かを判定する。また、大当たり当否判定部113は、特別図柄用乱数取得部112が取得した特別図柄用乱数が、大当たりを示す乱数であった場合、さらに、その特別図柄用乱数が、大当たり遊技の終了後に、電子抽選における大当たりに当選する大当たり当選確率(作動確率)が所定の確率となる通常確率状態に移行する通常確率大当たり、または、特別図柄用乱数が、大当たり遊技の終了後に、大当たり当選確率が所定の確率より高い確率となる高確率状態に移行する高確率大当たりを示す乱数であるか否かを判定する。
具体的に、大当たり当否判定部113は、まず、現在の遊技状態が通常確率状態であるか高確率状態であるかを判定し、通常確率状態であれば図5(a)の通常確率用大当たり判定テーブル170aと図5(c)の振り分け用大当たり判定テーブル170cとを、高確率状態であれば図5(b)の高確率用大当たり判定テーブル170bと図5(c)の振り分け用大当たり判定テーブル170cとを参照する。仮に、現在の遊技状態が通常確率状態であり、特別図柄用乱数が「00920」であるとすると、通常確率用大当たり判定テーブル170aにおいて特別図柄乱数の上3桁が大当たりを示す乱数「009」と一致し、かつ、振り分け用大当たり判定テーブル170cにおいて特別図柄乱数の下2桁が大当たりのうちでも高確率大当たりを示す「00〜59」の範囲に含まれているので、電子抽選の結果は高確率大当たりとなる。また、特別図柄用乱数の上3桁が、例えば「020」であれば、大当たりでも小当たりでもないのでハズレとなる。
大当たり当否判定部113では、取得可能な特別図柄用乱数の総数(例えば、35000)と、大当たりとなる特別図柄用乱数の数(例えば、100)との比によって大当たり当選確率が決定する。したがって、高確率状態において高確率を実現するためには、図5(b)の高確率用大当たり判定テーブル170bに示すように、取得可能な特別図柄用乱数の総数を固定したまま、大当たりと判定される特別図柄用乱数の数を増やせばよいこととなる(例えば、1000)。ここでは、大当たり自体の電子抽選とその大当たりの種類(高確率大当たり、通常確率大当たり)の電子抽選を1の特別図柄乱数で行っているが、かかる場合に限られず、例えば、0〜349の350個の特別図柄乱数で大当たりの判定のみを行い、大当たりの種類は、別途の電子抽選による0〜99の100個の乱数で判定してもよい。
また、大当たり当否判定部113は、後述する電動チューリップ作動制御部160を通じ電動チューリップ26を操作して始動入賞口23bへの入賞契機を高める時間短縮遊技を付与するか否かを抽選してもよい。かかる時間短縮遊技に関しては後ほど詳述する。
大当たり当否判定部113による当選結果が高確率大当たりであり、大当たり遊技の終了後に遊技状態が高確率状態に移行すると、通常確率状態と比べ高確率で大当たりが抽選される。また、高確率大当たりには通常確率大当たりに比べ、時間短縮遊技が長く設定されることが多い(例えば、次回の大当たり当選まで継続する。)。このように、高確率大当たりに時間短縮遊技が付与されると、獲得した賞球の追加投入を抑えつつ単位時間当たりの抽選機会を増やすことができるので、遊技者は、短時間かつ効率的に次回の大当たりを獲得することが可能となり、持ち玉を確実に増加させることができる。したがって、遊技者は、電子抽選の結果が大当たりであれば、それが通常確率大当たりではなく高確率大当たりであることを期待し、また、高確率状態となってからも引き続き高確率大当たりに当選し続けることを期待することとなる。
保留球乱数記憶部114は、特別図柄用乱数取得部112が特別図柄用乱数を取得したときに特別図柄が変動中であれば、この取得した特別図柄用乱数を保留球乱数として所定の上限個数(例えば4個)まで記憶する。
特別図柄決定部120は、大当たり当否判定部113で判定された結果に基づいて、特別図柄表示装置28に停止表示する特別図柄を決定する。例えば、判定された結果が高確率大当たりであれば、相異なる複数の高確率大当たりを示す特別図柄(特定の図柄の組合せ)から1の高確率大当たりを示す特別図柄を電子抽選により決定し、判定された結果が通常確率大当たりであれば、相異なる複数の通常確率大当たりを示す特別図柄(特定の図柄の組合せ)から1の通常確率大当たりを示す特別図柄を電子抽選により決定する。また、判定された結果が小当たりであれば小当たりを示す特別図柄を決定し、判定された結果が大当たりや小当たりでもないハズレであればハズレを示す特別図柄を電子抽選により決定する。
遊技コマンド決定部130は、変動パターン用乱数発生部131と、変動パターン用乱数取得部132と、変動パターンコマンド決定部133とを備えている。変動パターン用乱数発生部131は、周期的(例えば、200マイクロ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜63まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数(変動パターン用乱数)を生成する。変動パターン用乱数取得部132は、始動入賞口23に遊技球が入賞し、始動入賞口検知センサ60からの検知信号が主制御処理部50に入力されたタイミングで、変動パターン用乱数発生部131により発生した変動パターン用乱数の中から1つの変動パターン用乱数を取得(ラッチ)する。
変動パターンコマンド決定部133は、特別図柄用乱数取得部112が取得した特別図柄用乱数と変動パターン用乱数取得部132が取得した変動パターン用乱数とに基づき、コマンド参照テーブル171を用いて、変動パターンコマンド(遊技コマンド)の変動パターンNo.を決定する。ここで、コマンド参照テーブル171は、図6(a)〜(c)に示すように、特別図柄用乱数取得部112が取得した特別図柄用乱数が高確率大当たりである場合に用いられる高確率大当たり時参照テーブル171aと、通常確率大当たりである場合に用いられる通常確率大当たり時参照テーブル171bと、ハズレである場合に用いられるハズレ時参照テーブル171cとから構成され、高確率大当たり時参照テーブル171aには、遊技コマンドである変動パターンNo.1〜64までが割り当てられ、通常確率大当たり時参照テーブル171bには、遊技コマンドである変動パターンNo.65〜128までが割り当てられ、ハズレ時参照テーブル171cには、遊技コマンドである変動パターンNo.129〜192までが割り当てられている。
変動パターンコマンド決定部133は、特別図柄用乱数取得部112が取得した特別図柄用乱数が確定高確率大当たりである場合には、高確率大当たり時参照テーブル171aを用いて、変動パターンNo.1〜64の中から、変動パターン用乱数取得部132が取得した変動パターン用乱数に対応付けられた1の変動パターンコマンド(遊技コマンド)の変動パターンNo.を決定して、その変動パターンNo.を変動パターンコマンドとして演出制御処理部200に送信する。変動パターンコマンド決定部133は、特別図柄用乱数が、通常確率大当たりやハズレを示す場合も、高確率大当たり同様に、変動パターンNo.を決定して、その変動パターンNo.を変動パターンコマンドとして演出制御処理部200に送信する。
大当たり遊技制御部140は、特別図柄用乱数取得部112が取得した特別図柄用乱数が大当たりであれば、その大当たりの種類に基づいてアタッカー装置27を開放するラウンド遊技を所定回数(例えば、15回)行うように制御する。ここで、1ラウンドは、所定の時間(例えば、30秒)経過するか、所定数(例えば、10個)の遊技球が大入賞口35に入賞するまでアタッカー装置27を開放する遊技の単位である。ここでは、例えば、15回のラウンド遊技のうち、1または複数のラウンド遊技の開放時間を短縮することで、実質的にラウンド遊技が15回より少ない大当たり遊技を実現することができる。また、大当たり遊技制御部140は、上述した小当たり遊技や、遊技状態の変更を実現する2ラウンド大当たり遊技において、開放時間を極端に短縮したラウンド遊技を2回のみ実行している。かかる2ラウンド大当たり遊技の存在理由は後ほど詳述する。
普通図柄抽選部150は、普通図柄用乱数発生部151と、普通図柄用乱数取得部152と、普通図柄当否判定部153と、普通図柄用保留球乱数記憶部154とを備えている。普通図柄用乱数発生部151は、周期的に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数(普通図柄用の乱数)を発生する。普通図柄用乱数取得部152は、スルーチャッカ25を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ61からの検知信号が主制御処理部50に入力されたタイミングで)、普通図柄用乱数を1つ取得(ラッチ)する。普通図柄当否判定部153は、この普通図柄用乱数取得部152が取得した普通図柄用乱数が普通図柄当たりであるか否かを、普通図柄判定テーブルを参照して決定し、決定結果を普通図柄当否コマンドとして電動チューリップ作動制御部160に送信する。普通図柄用保留球乱数記憶部154は、普通図柄用乱数取得部152が普通図柄用乱数を取得したときに普通図柄が変動中であった場合に、この取得した普通図柄用乱数を普通図柄用保留球乱数として記憶する。
電動チューリップ作動制御部160は、普通図柄当否判定部153が普通図柄用乱数を普通図柄当たりであると判定すると、普通図柄当たりを示す普通図柄当否コマンドに基づき、通常は閉止状態の電動チューリップ26のソレノイドに通電して開閉するよう制御する。このように電動チューリップ26が開口すると、始動入賞口23bへの入賞が可能となるので、遊技者は多くの抽選機会を得ることができる。
また、大当たり当否判定部113が遊技状態として高確率状態や通常確率状態に時間短縮遊技を付与した場合、電動チューリップ作動制御部160は、電動チューリップ26を操作して始動入賞口23bへの入賞契機を高める。かかる入賞契機は、普通図柄抽選部150において普通図柄当たりの当選確率を高めたり、普通図柄に係る電子抽選で当たりとなった場合の開放時間を長くしたり、開閉回数を増やしたり、普通図柄に係る電子抽選に要する時間を短くして単位時間当たりの抽選回数を増やしたりすることで高めることができる。このような時間短縮遊技は、電チューサポートとも呼ばれ、高確率状態では長く設定される傾向にあるので、後述するように、見かけ上高確率状態ではないが、実は高確率状態である遊技状態(不確定高確率状態)において、それが高確率状態であることの遊技者の期待感を高める役も担っている。
(副制御処理部51)
続いて、図4、図7、図8を用い、主制御処理部50からの指令(コマンド)を受けて各種装置を制御する副制御処理部51について説明する。副制御処理部51を構成する演出制御処理部200は、主制御処理部50が生成した指令に従って、演出表示装置29、スピーカ12、ランプ部13、タッチボタン33、その他の演出装置の制御を行っている。
演出制御処理部200は、高確率状態抽選部210と、高確率状態判定部(高確率状態判定手段)211と、演出態様決定部212と、計時部(計時手段)213と、計時判定部(計時判定手段)214と、選択比率変更部(選択比率変更手段)215と、遊技時間導出部(遊技時間導出手段)216と、演出表示制御部(演出表示制御手段)217と、ランプ制御処理部218とを備えており、必要に応じて、別途記憶されている高確率状態判定テーブル220、演出テーブル230等がそれぞれの処理に用いられる。
高確率状態抽選部210は、大当たり当否判定部113が、特別図柄用乱数が高確率大当たりを示す乱数であると判定した場合、「00」〜「99」の状態乱数から1の乱数を無作為に抽出する電子抽選を行い、1の状態乱数を高確率状態判定部211に送信する。かかる状態乱数は、高確率状態判定部211において、大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率状態であることを遊技者に認識させる確定高確率大当たり(確変当たり)と、大当たり遊技終了後の遊技状態が高確率状態であるか通常確率状態であるかを遊技者に認識困難とさせる不確定高確率大当たり(潜伏確変)とを判定するために用いられる。ここで、不確定高確率大当たりが採用されるようになった経緯を説明する。
上述したように、遊技者は、電子抽選の結果が大当たりであれば、それが通常確率大当たりではなく高確率大当たりであることを期待し、また、高確率状態となってからも引き続き高確率大当たりに当選し続けることを期待している。しかし、このように高確率状態と通常確率状態とを単に振り分けただけでは、遊技者は、遊技状態が高確率状態から通常確率状態に移行し、追加的に付与された時間短縮遊技も終了した途端、遊技を止めてしまうこともあり、店舗におけるパチンコ機の稼働率の向上を図るのが難しいという問題があった。
そこで、高確率大当たりとして、高確率大当たりと判断できる確定高確率大当たり(確変当たり)の他に、見かけ上、高確率大当たりと判断できない不確定高確率大当たり(潜伏確変)を設けることとした。かかる不確定高確率大当たりにより、高確率状態が見かけ上終了したとしても、遊技者が、まだ高確率状態が継続しているかもしれないと考え、遊技を止めることを躊躇するので、店舗におけるパチンコ機の稼働率の向上を図ることが可能となる。また、見かけ上、通常確率状態であるが、実は高確率状態(不確定高確率状態)であることを、遊技者が、演出等により推測する新たな遊技性も提供することができる。
また、大当たり遊技におけるアタッカー装置27が開放されるラウンド遊技において、アタッカー装置27の開放時間を短縮し、開閉回数、即ちラウンド遊技を2回に抑え、大当たりが当選したことを意識させることなく、遊技状態が突然、高確率状態に変更したかのように装う所謂2ラウンド大当たり遊技(突然確変)を設けたパチンコ機もある。ここでも高確率状態であることを認識困難にする不確定高確率状態を設けることで、遊技者は、見かけ上通常確率状態であったとしても、高確率状態(不確定高確率状態)であることを期待でき、店舗側ではパチンコ機の稼働率の向上を図ることができる。
しかし、遊技状態が高確率状態であることを認識できないようにしても、不確定高確率大当たりも大当たりの一種である以上、アタッカー装置27の開閉や特別図柄表示装置28への大当たりを示す特別図柄の表示を伴うので、アタッカー装置27の開閉に気付いた遊技者は、大当たりに当選したことを把握すると同時に、その大当たりが不確定高確率大当たりであることを一義的に認識できるので、その後の遊技状態が高確率状態であることを容易に把握してしまう。そこで、大当たり当否判定部113は、大当たりの電子抽選と共に、2ラウンド大当たり遊技と同様の開閉動作を伴う、または、2ラウンド大当たり遊技との判別が困難になる程度に近似している挙動を伴う小当たりの電子抽選も行っている。小当たりの当選を契機に実行される小当たり遊技は、2ラウンド大当たり遊技と同様、アタッカー装置27の開放時間が短縮され、開閉回数が数回(例えば、2回)に抑えられているので、実質的に賞球を得られず、遊技状態(高確率状態、通常確率状態)は小当たり当選前後で変更されることはない。
こうして、遊技者は、アタッカー装置27の開閉を確認したとしても、特別図柄表示装置28に表示された特別図柄により、その当たりの種類を認識しない限り、それ以後の遊技状態が高確率状態であることを確信できないので、2ラウンド大当たり遊技のような遊技を高確率状態のチャンスとみなすことができ、遊技の興趣が高められる。
尚、ここでは、理解を容易にするため、不確定高確率大当たりに係る大当たり遊技終了後の不確定高確率状態を、見かけ上、通常確率状態と同じ状態として説明しているが、かかる場合に限らず、通常確率状態の演出態様および確定高確率状態の演出態様のいずれとも異なる演出態様を実行する遊技状態であり、実質的には通常確率状態または不確定高確率状態のいずれかである特別な遊技状態としてもよく、遊技者は、かかる特別な遊技状態に移行したことによって、現在の遊技状態が、単に通常確率状態と同じ状態であるときと比べ、不確定高確率状態であることをより期待することができる。また、このような特別な遊技状態を演出態様がそれぞれ相異なるように複数設け、その複数の特別な遊技状態それぞれにおける通常確率状態と不確定高確率状態との比率を異ならせることで、その特別な遊技状態が不確定高確率状態であることの期待度に変化をもたらすこともできる。遊技者は、そのような特別な遊技状態に移行したことで、現在の遊技状態が不確定高確率状態であることを期待すると共に、不確定高確率状態であることの期待度が高い特別な遊技状態に移行することで、早期に大当たりに当選することを期待することができ、遊技の興趣を高めることも可能となる。
高確率状態判定部211は、このような確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりとを振り分けている。具体的に、高確率状態判定部211は、図7(a)に示す高確率状態判定テーブル220aを参照し、高確率状態抽選部210が抽出した状態乱数が、確定高確率大当たり(確変当たり)、または、不確定高確率大当たり(潜伏確変)を示す乱数であるか否か判定する。仮に、状態乱数が「20」であるとすると、高確率状態判定テーブル220aにおいて確定高確率大当たりを示す「00〜49」の範囲に含まれているので、電子抽選の結果は確定高確率大当たりとなる。また、状態乱数が「70」であるとすると、高確率状態判定テーブル220aにおいて不確定高確率大当たりを示す「50〜99」の範囲に含まれているので、電子抽選の結果は不確定高確率大当たりとなる。また、ここでは、1の高確率状態判定テーブル220aを例示しているが、かかる場合に限らず、例えば、当該高確率大当たりにかかる入賞が始動入賞口23aと始動入賞口23bといずれであるかに応じてその遊技状態の比率を異ならせてもよい。
ところで、上述した特別図柄決定部120では、高確率大当たりに当選した場合、高確率大当たりを示す特別図柄が電子抽選により決定されている。高確率状態判定部211は、状態乱数が不確定高確率大当たりであった場合、特別図柄決定部120で決定された高確率大当たりを示す特別図柄、例えば、奇数の数字図柄を、通常確率大当たりを示す特別図柄、例えば、偶数の数字図柄に変更して、高確率大当たりが当選したことを遊技者に認識されないようにする。
演出態様決定部212は、まず、大当たり当否判定部113の判定結果と、高確率状態判定部211の判定結果に基づいて、遊技状態をその大当たりの種類に応じて変更する。例えば、大当たり当否判定部113で高確率大当たりと判定され、高確率状態判定部211で確定高確率大当たりと判定された場合、遊技状態を確定高確率状態に変更し、大当たり当否判定部113で高確率大当たりと判定され、高確率状態判定部211で不確定高確率大当たりと判定された場合、遊技状態を不確定高確率状態に変更し、大当たり当否判定部113で通常確率大当たりと判定された場合、遊技状態を通常確率状態に変更する。
そして、演出態様決定部212は、遊技コマンド決定部130から受信した変動パターンコマンドと、高確率状態判定部211の判定結果に基づき、図8に示す演出テーブル230(高確率大当たり時演出テーブル230a、通常確率大当たり時演出テーブル230b、ハズレ時演出テーブル230c)を参照して、遊技に用いる演出を決定している。ここで、確定大当たり時演出テーブル230aは、図8(a)に示すように、変動パターンNo.1〜No.64までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられている。例えば、変動パターンNo.1には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.30には「超スーパーリーチA」が割り当てられている。これらの演出態様は全てリーチ(複数の演出図柄のうち変動中の演出図柄を1つ残して、その他の演出図柄が全て同一図柄で停止した状態の演出態様のこと)を含んでおり、リーチを含まない演出に比べて長時間の演出が行われる態様となっている。また、通常確率大当たり時演出テーブル230bは、図8(b)に示すように、変動パターンNo.65〜No.128までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられており、一部を除いて高確率大当たり時演出テーブル230aとほぼ等しい演出態様が選択される。
ハズレ時演出テーブル230cは、図8(c)に示すように、変動パターンNo.129〜No.192までの変動パターンコマンドに1対1で対応するように演出態様が割り当てられている。例えば、変動パターンNo.129には「リーチなしA」が、変動パターンNo.144には「ノーマルリーチA」が、変動パターンNo.149には「ロングリーチA」が、変動パターンNo.192には「超スーパーリーチB」が割り当てられている。このハズレ時演出テーブル230cでは、リーチなしの演出が多数含まれた構成となっている。
また、演出態様決定部212は、演出態様のみならず、演出表示装置29において演出態様の背景にあたる背景態様も、遊技状態に応じて決定する。演出態様決定部212は、通常確率状態や不確定高確率状態であれば、背景態様を通常背景、例えば、全体的に青色や緑色といった落ち着きのある背景色または朝や昼を連想する背景描画とし、確定高確率状態であれば、高確率確定背景、例えば、赤色や紫色といった興奮を誘う背景色または夕方や夜を連想する背景描画とする。このように電子抽選毎に態様が変化する演出態様ではなく、継続的に表示される背景態様で遊技状態を示すことで、遊技者は、現在の遊技状態を容易に認識することができる。ただし、不確定高確率状態は、見かけ上、高確率状態ではないように見せるため、意図的に通常確率状態と同一の背景態様としている。
なお、特別図柄用乱数が大当たりである場合に決定される変動パターンNo.1〜128は、特別図柄用乱数がハズレである変動パターンNo.129〜192に比べて全体的に特別図柄の変動時間が長い変動パターンコマンドが多くなっている。したがって、変動時間が長い演出態様が表示されると、遊技者は大当たりの可能性が高いのではないかと期待することとなる。また、特別図柄用乱数が大当たりである場合に決定される変動パターンNo.1〜128に、特別図柄用乱数がハズレである変動パターンNo.129〜192には存在しない変動パターンコマンドを含むこともできる。かかる構成により、そのような変動パターンコマンドに対応した演出態様が表示されると、遊技者は大当たりを確信することができる。
さらに、図8(a)と図8(b)とを比較して理解できるように、特別図柄用乱数が高確率大当たりである場合に決定される変動パターンNo.1〜64に、特別図柄用乱数が通常確率大当たりである変動パターンNo.65〜128には存在しない変動パターンコマンド(例えば、変動パターンNo.63の「プレミアリーチA」)を含むこともできる。かかる構成により、そのような変動パターンコマンドに対応した演出態様が表示されると、特別図柄表示装置28に未だ高確率大当たりを示す特別図柄が表示されていないうちから高確率大当たりを確信することが可能となり、遊技者は、優越感に浸ることができる。
また、ここでは、ハズレ時演出テーブル230cの各演出態様が高確率状態と通常確率状態で共通に設けられているが、高確率状態と通常確率状態で所定の変動パターンNo.に関して演出態様を異ならせることで、大当たりを伴わない演出態様においても、高確率状態でしか出現しない変動パターンコマンドに対応した演出態様が表示されるようにすれば、たとえ背景態様が見かけ上高確率状態を示していなかったとしても、遊技者は、現在の遊技状態が高確率状態であることを確信することが可能となり、優越感に浸ることができる。
計時部213は、例えば、RTC(Real Time Clock)等のタイマで構成され、現在の時刻を計時する。
計時判定部214は、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、所定の時間範囲は、店舗の閉店前の時間帯を示し、例えば、22:45を閉店時刻とする場合、22:00〜22:45の間を所定の時間範囲とする。かかる所定の時間範囲は店舗毎に自由に設定できる。また、後述する遊技時間導出部216のように、店舗内のさらに個々のパチンコ機1毎に設定することもできる。ここでは、計時部213や計時判定部214を副制御処理部51に設けているが、主制御処理部50やその他の機能部に設けることも可能である。
選択比率変更部215は、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれると計時判定部214が判定した場合に、大当たり当否判定部113における確定高確率状態と不確定高確率状態との選択比率を、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれない場合の選択比率と異なるように変更する。
選択比率変更部215は、計時判定部214において現在の時刻が22:00になると、即ち、現在の時刻が所定の時間範囲(22:00〜22:45)内に含まれると、図7(a)に示した高確率状態判定テーブル220aを切り換えて、確定高確率大当たりの選択比率より不確定高確率大当たりの選択比率を相対的に上げ、遊技状態が不確定高確率状態となり易いようにする。選択比率変更部215は、例えば、高確率状態判定テーブル220aを図7(b)に示した高確率状態判定テーブル220bに切り換え、確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりの選択比率を1:4としたり、高確率状態判定テーブル220aを図7(c)に示した高確率状態判定テーブル220cに切り換え、確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりの選択比率を0:1とする。後者の高確率状態判定テーブル220cにおいては、高確率大当たりが当選しても100%不確定高確率大当たりとなるようになっている。また、確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりの選択比率が段階的に変化する複数の高確率状態判定テーブル220を設け、現在の時刻の進み具合に応じて、確定高確率大当たりより不確定高確率大当たりの選択比率が徐々に上がるようにしてもよい。
このように、選択比率変更部215が確定高確率大当たりの一部または全部を不確定高確率大当たりに書き換える構成により、閉店時に、獲得できるはずの賞球が獲得できないかもしれないといった遊技者の精神的負担(苦痛や焦り)を軽減することができる。また、遊技者は、閉店間際に、次回の当たりを獲得できなかったとしても、その遊技状態が実は高確率状態であったか否かに拘わらず、通常確率状態だったと都合良く考え、悔しい思いをしなくて済む。さらに、閉店時にはほとんどのパチンコ機が通常確率状態または不確定高確率状態になっているので、高確率状態であることが明示されず、店舗側では出玉保障をしなくて済む。
また、遊技者の心理としては、遊技を止めたときの遊技状態が何であろうと、遊技を止めた後に他の遊技者が同じパチンコ機1において遊技を開始し、遊技者自身が獲得したのであろう高確率状態の特典を他の遊技者が受けることが悔しいはずである。ここでは、閉店間際になると、見かけ上、通常確率状態になっていることが多いので、他の遊技者もそのパチンコ機1の打ち出しを容易には始めることができず、遊技者は、悔しい思いをしなくて済む。
また、他の例として、選択比率変更部215は、現在の時刻が所定の時間範囲(22:00〜22:45)内に含まれると、図7(a)に示した高確率状態判定テーブル220aを切り換えて、確定高確率大当たりの選択比率を不確定高確率大当たりの選択比率より相対的に上げ、遊技状態が確定高確率状態となり易いようにしてもよい。選択比率変更部215は、例えば、高確率状態判定テーブル220aを図7(d)に示した高確率状態判定テーブル220dに切り換え、確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりの選択比率を4:1としたり、高確率状態判定テーブル220aを図7(e)に示した高確率状態判定テーブル220eに切り換え、確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりの選択比率を1:0とする。後者の高確率状態判定テーブル220eにおいては、高確率大当たりが当選すると100%確定高確率大当たりとなるようになっている。
かかる構成により、遊技者は現在の遊技が高確率遊技か通常確率遊技かを認識しやすくなり、閉店間際に、不確定高確率状態ではなく実際は通常確率状態であるにも拘わらず遊技を続行して持ち玉を減らしてしまうことを回避でき、遊技者の不満を解消できる。また、高確率状態であることを把握した後、大当たりになかなか当選しなかったとしても、遊技者は、高確率状態であることを確信して遊技を継続できるので、次回の大当たりを予定通り獲得できる可能性が高まる。こうして、遊技者は、安心して遊技を続けることが可能となる。また、店舗側は、閉店間際の不確定高確率大当たりを排除し、高確率状態と通常確率状態とを確実に把握した上で最後まで遊技できることをアピールすることが可能となり、稼働率を向上することができる。このようにして、遊技者は、閉店に近くない間は不確定高確率状態も遊技の一つとして楽しむことができ、閉店が近くなると遊技状態を明確に把握して、賞球を有効に獲得することが可能となる。
また、選択比率変更部215は、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれ、遊技状態が不確定高確率状態であると判定された場合に、図8(c)に示したハズレ時演出テーブル230cと異なるハズレ時演出テーブル(図示せず)に切り変えてもよい。現在の時刻が所定の時間範囲に含まれたときに採用されるハズレ時演出テーブルは、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれない場合のハズレ時演出テーブル230cと比較して、演出態様や背景態様が異なったり、特別図柄の変動中にスピーカ12から出力される聴覚的な演出が異なるとしてもよい。このように現在の時刻が所定の時間範囲に含まれている場合においてしか出現しない演出により、見かけ上は、通常確率状態であるにも拘わらず、高確率状態であることを確信できる。また、このような演出は時間限定のプレミア演出でもあるので、そのプレミア演出を見たいという遊技者により、パチンコ機1の閉店間際の稼働率の向上も図ることができる。
遊技時間導出部216は、選択比率変更部215が確定高確率大当たりの選択比率より不確定高確率大当たりの選択比率を相対的に上げるように設定した場合に、店舗内における本実施形態が適用された1または複数のパチンコ機1それぞれに対し、現在の時刻を用い、平均消化時間と平均当選間時間との和である平均高確率遊技時間とを導出する。平均消化時間は、大当たり遊技の消化時間の平均値であり、消化時間は、特別図柄表示装置28が大当たりを報知してから、後述する大当たり遊技制御部140が大当たり遊技を終了するまでの時間である。また、平均当選間時間は、高確率状態の開始、即ち、大当たり遊技制御部140が高確率大当たりに係る大当たり遊技を終了した時点から、次回の大当たりに当選する、即ち、特別図柄表示装置28が大当たりを報知するまでの当選間遊技時間の平均値である。ただし、ここで言う、次回の大当たりは、遊技状態が変更される可能性がある大当たりであり、変更しないことが遊技者等に理解されている大当たりや小当たりは含まれない。
具体的に、遊技時間導出部216は、パチンコ機1毎に、大当たりを報知した時刻と大当たり遊技が終了した時点を記憶部(図示せず)に記憶し、その履歴を通じて消化時間と当選間遊技時間とをすべて抽出し、その中から通常遊技状態における当選間遊技時間を排除した上で、平均消化時間と平均当選間時間との和をとって平均高確率遊技時間を導出する。上述した所定の時間範囲は、導出された平均高確率遊技時間に基づいて決定され、例えば、閉店時刻が22:45で、平均高確率遊技時間が30分であれば、所定の時間範囲は、22:15〜22:45となる。このように所定の時間範囲の長さを平均高確率遊技時間と同じにすることで、所定の時間範囲に含まれる前に高確率大当たりに当選し、それが確定高確率大当たりとなったとしても、理論上、閉店時間までには高い確率で大当たり遊技が終了されることとなる。また、現在の時刻が所定の時間範囲内に収まった後は、大当たりに当選したとしても不確定高確率大当たりにしかならないので、上述したような、閉店時における遊技者の精神的負担や店舗側の負担を軽減することが可能となる。
また、ここでは、パチンコ機1毎に平均高確率遊技時間が導出されるので、入賞率(単位時間当たりの入賞数)が比較的高いパチンコ機1は、平均高確率遊技時間が短くなり、所定の時間範囲の開始時間が遅くなる。同様に、入賞率が比較的低いパチンコ機1は、平均高確率遊技時間が長くなり、所定の時間範囲の開始時間が早くなる。これにより店舗側で画一的に所定の時間範囲を設定しなくても、パチンコ機1毎のクセや入賞率に応じてそれぞれに適した平均高確率遊技時間が自動的に導出される。
したがって、このような遊技の流れを遊技者が知ったとしても、所定の時間範囲が遊技者に把握されることはないので、思いの外、閉店間際に確定高確率大当たりに当選したことで、自身が遊技していたパチンコ機1が入賞率において優秀であることを把握できる。このように、平均高確率遊技時間そのものが遊技性を奏することとなり、遊技者の興趣を高めることができる。
演出表示制御部217は、演出態様決定部212が決定した演出態様および背景態様を演出表示装置29に表示するよう制御する。また、演出表示制御部217は、計時判定部214が現在の時刻が所定の時間範囲に含まれると判定した場合に、選択比率変更部215によるハズレ時演出テーブルの切り換えに応じて、高確率状態判定部211で判定された遊技状態に基づく演出を、所定の時間範囲に含まれない場合の演出と異なるように制御する。
例えば、上述したように、選択比率変更部215が、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれない場合に演出態様や背景態様が異なるハズレ時演出テーブルを選択することで、演出態様や背景態様を異ならせることが可能となる。このとき、遊技者の、例えば、チャンスボタン33の押圧操作に応じて、演出態様や背景態様が異なるハズレ時演出テーブルを、元のハズレ時演出テーブル230cに戻すこともできる。また、演出表示制御部217は、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれている場合において、不確定高確率状態ではあるが、高確率状態であることが予測可能な演出が継続または頻出しているときに、遊技者の、例えば、チャンスボタン33の押圧操作に応じて、その演出を高確率状態であることが認識できない演出に変更することもできる。さらに、演出表示制御部217は、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれる間のさらに所定の契機に応じてパチンコ機1の遊技者にのみ現在の遊技状態を報知するとしてもよい。例えば、所定の時間範囲内でチャンスボタン33が押圧されると、その押圧されたタイミングにおいて、現在の遊技状態が不確定高確率状態であればその旨報知する。
こうして、遊技を止めた後に他の遊技者が同じパチンコ機1において遊技を開始し、遊技者自身が獲得したのであろう高確率状態の特典を他の遊技者が受けるといった、遊技者の悔しい思いを回避することができる。
ランプ制御処理部218は、演出表示制御部217同様、演出態様決定部212が決定した演出態様および背景態様を受けてランプ部13や電飾の点灯制御を行う。
(特別図柄表示制御部52)
図4に説明を戻すと、特別図柄表示制御部52は、主制御処理部50の特別図柄決定部120が決定した特別図柄を示すコマンドと、遊技コマンド決定部130が決定した変動パターンコマンドに基づき、特別図柄表示装置28に特別図柄を所定の時間だけ変動させた後に停止させる態様で特別図柄決定部120が決定した特別図柄を表示する。
(普通図柄表示制御部53)
一方、普通図柄表示制御部53は、普通図柄抽選部150による普通図柄に係る抽選結果を示すコマンドを受け、そのコマンドに基づいて普通図柄表示装置34に普通図柄を変動させた後に停止させる態様で表示するよう制御する。なお、普通図柄表示制御部53は、上述した特別図柄表示制御部52による表示制御と比べて表示する図柄の対象が相違するものの、表示制御の基本構成はほぼ同じである。
(払出制御処理部54)
払出制御処理部54は、CRユニットに接続された球貸信号制御装置37からの球貸指令を受けて遊技球を遊技者に貸し出すように賞球払出装置38を制御する他、主制御処理部50からの払出指令を受けて、所定個数の賞球を遊技者に対して払い出すように賞球払出装置38を制御する。この賞球払出装置38は、遊技球を1個ずつ保持する切欠きが形成されたスプロケット(図示せず)と、このスプロケットを回転させるモータ(図示せず)とを備えて構成されている。そして、モータの回転を制御することにより、必要な数だけ賞球を払い出すことができるようになっている。具体的には、始動入賞口検知センサ60、一般入賞口検知センサ62、大入賞口検知センサ63等が遊技球の通過を検知すると、賞球払出装置38は、主制御処理部50を経由して受けたコマンドに基づき遊技球を払い出す。
(発射制御処理部55)
発射制御処理部55は、ハンドル10の回動量に対応して、発射装置5に対する作動の制御を行う装置である。より具体的に言うと、発射装置5に対して通電させたり、通電を停止したり、あるいは、通電電流を変化させるといった制御処理を行う。なお、この発射制御処理部55は、払出制御処理部54と接続されており、CRユニットが接続されていない場合に発射停止信号が受信されるようになっている。
(演出制御)
図9は、始動入賞口23への遊技球の入賞に係る演出制御の一例を示したフローチャートである。図9は始動入賞口23に遊技球が入賞した場合において特別図柄用乱数取得部112が1の特別図柄用乱数を取得したときの一連の処理を示している。
特別図柄用乱数取得部112は、始動入賞口23に遊技球が入賞したことに伴って、特別図柄用乱数を取得したか否か判定し(S300)、特別図柄用乱数を取得していれば(S300におけるYES)、大当たり当否判定部113が、その特別図柄乱数が当たり(大当たりまたは小当たり)を示す乱数であるか否か判定する(S301)。特別図柄用乱数が取得されるまでは(S300におけるNO)、特別図柄用乱数取得判定ステップ(S300)を繰り返す。
特別図柄用乱数が当たりを示す乱数でなければ(S301におけるNO)、特別図柄決定部120はハズレを示す特別図柄を電子抽選により決定し(S302)、演出表示制御部217は、演出態様決定部212が決定した、最終的にハズレを示す特別図柄が表示される演出態様を実行する(S303)。特別図柄用乱数が当たりを示す乱数であれば(S301におけるYES)、大当たり当否判定部113は、同特別図柄乱数が小当たりを示す乱数であるか否か判定し(S304)、特別図柄用乱数が小当たりを示す乱数であれば(S304におけるYES)、特別図柄決定部120は小当たりを示す特別図柄を電子抽選により決定し(S305)、演出表示制御部217は、演出態様決定部212が決定した、最終的に小当たりを示す特別図柄が表示される演出態様を実行する(S306)。そして、大当たり遊技制御部140は小当たり遊技を実行する(S307)。
特別図柄用乱数が小当たりを示す乱数でなければ(S304におけるNO)、即ち、大当たりを示す乱数であれば、大当たり当否判定部113は、同特別図柄乱数が高確率大当たりを示す乱数であるか否か判定し(S308)、特別図柄用乱数が高確率大当たりを示す乱数でなければ(S308におけるNO)、即ち、通常確率大当たりを示す乱数であれば、特別図柄決定部120は通常確率大当たりを示す特別図柄を電子抽選により決定し(S309)、演出表示制御部217は、演出態様決定部212が決定した、最終的に通常確率大当たりを示す特別図柄が表示される演出態様を実行する(S310)。そして、大当たり遊技制御部140は大当たり遊技を実行し(S311)、演出態様決定部212は、前回の遊技状態に拘わらず、遊技状態を通常確率状態に設定する(S312)。
特別図柄用乱数が高確率大当たりを示す乱数であれば(S308におけるYES)、特別図柄決定部120は高確率大当たりを示す特別図柄を電子抽選により決定し(S313)、計時判定部214は、現在の時刻が所定の時間範囲に含まれるか否か判定する(S314)。所定の時間範囲に含まれない(S314におけるNO)、即ち、閉店までまだ時間があれば、高確率状態判定部211は、高確率大当たりを再度確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりとに振り分け、かかる振り分け結果に基づいて、再度、特別図柄を決定する(S315)。続いて、演出表示制御部217は、高確率状態判定部211の判定結果に基づいて演出態様決定部212が決定した、最終的に高確率大当たりを示す特別図柄が表示される演出態様、または、最終的に通常確率大当たりを示す特別図柄が表示される演出態様を実行する(S316)。そして、大当たり遊技制御部140は大当たり遊技を実行し(S317)、演出態様決定部212は、前回の遊技状態に拘わらず、高確率状態判定部211の判定結果に基づいて遊技状態を、確定高確率状態または不確定高確率状態に設定する(S318)。
現在の時刻が所定の時間範囲に含まれていれば(S314におけるYES)、即ち、閉店が近づくと、選択比率変更部215は、高確率状態判定テーブル220aを、例えば、確定高確率大当たりと不確定高確率大当たりの選択比率が0:1である高確率状態判定テーブル220cに切り換え(S319)、高確率状態判定部211は、高確率大当たりをすべて不確定高確率大当たりに書き換えると共に、特別図柄を通常確率大当たりを示す特別図柄に変換(再決定)する(S320)。続いて、演出表示制御部217は、高確率状態判定部211の判定結果に基づいて、演出態様決定部212が決定した、最終的に通常確率大当たりを示す特別図柄が表示される演出態様を実行する(S321)。そして、大当たり遊技制御部140は大当たり遊技を実行し(S322)、演出態様決定部212は、前回の遊技状態に拘わらず、高確率状態判定部211の判定結果に基づいて、遊技状態を不確定高確率状態に設定する(S323)。
このような演出制御における、選択比率変更部215が確定高確率大当たりを不確定高確率大当たりに書き換える処理により(S320)、閉店時に、獲得できるはずの賞球が獲得できないかもしれないといった遊技者の精神的負担(苦痛や焦り)を軽減することができる。また、遊技者は、閉店間際に、次回の当たりを獲得できなかったとしても、その遊技状態が実は高確率状態であったか否かに拘わらず、通常確率状態だったと都合良く考え、悔しい思いをしなくて済む。さらに、閉店時にはほとんどのパチンコ機が通常確率状態または不確定高確率状態になっているので、高確率状態であることが明示されず、店舗側では出玉保障をしなくて済む。
また、高確率状態判定部211が、高確率大当たりをすべて不確定高確率大当たりに変更する処理(S320)に代えて、不確定高確率大当たりをすべて確定高確率大当たりに変更すると、遊技者は現在の遊技が高確率遊技か通常確率遊技かを認識しやすくなり、閉店間際に、不確定高確率状態ではなく実際は通常確率状態であるにも拘わらず遊技を続行して持ち玉を減らしてしまうことを回避でき、遊技者の不満を解消できる。また、大当たりになかなか当選しなかったとしても、高確率状態であることに自信を持って遊技を継続できるので、次回の大当たりを予定通り獲得できる可能性が高まる。こうして、遊技者は、安心して遊技を続けることが可能となる。また、店舗側は、閉店間際の不確定高確率大当たりを排除し、高確率状態と通常確率状態とを確実に把握した上で最後まで遊技できることをアピールすることが可能となり、稼働率を向上することができる。このようにして、遊技者は、閉店に近くない間は不確定高確率状態も遊技の一つとして楽しみ、閉店が近くなると遊技状態を明確に把握して、賞球を有効に獲得することが可能となる。
また、コンピュータによって、上記パチンコ機1として機能するプログラムやそのプログラムを記録した記録媒体も提供される。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
なお、本明細書の演出制御における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。