JP2012001824A - スレッドおよび偽造防止用紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】白色または無色透明の磁性剤を含むスレッド1を抄き込んだ偽造防止用紙とすることによって、用紙の表面から磁気層3が透けて見えてしまうことを防ぎ、偽造防止用紙の意匠性や外見的美観を高め、且つスレッド製造のコストやスループットが増大することなく偽造防止用紙が製造できる。
【選択図】図1
Description
しかし、近年はスレッドの偽造品が出回るようになり、単純なスレッドのみでは偽造防止手段としては不十分であった。そこで、スレッドに特殊な磁性剤を導入し、磁性剤の有無を検知して、これを磁気読み取り装置により読み取って媒体の真贋を判定できるようにした技術が提案されていた。(特許文献1参照)
する必要が生じ、そのために工程数が増加して製造のスループットが悪化し、さらに製品コストが増大してしまうという問題があった。
スレッド用基材の一方の面に、白色磁性剤または無色透明磁性剤を含む磁気層を積層したことを特徴とする。
前記基材と磁気層との間に、回折格子を有する回折構造形成層および金属からなる蒸着加工層を積層したことを特徴とする。
前記基材と前記磁気層とを備えたスレッドの両面に接着剤を含む接着層を備えたことを特徴とする。
前記磁気層がパターンを形成してなることを特徴とする。
前記磁性剤が、酸化チタンと酸化鉄を含むことを特徴とする。
前記蒸着加工層がディメタライズ加工によりパターンを形成してなることを特徴とする。
前記請求項1から6のいずれか一項に記載のスレッドが用紙に抄き込まれていることを特徴とする。
図1は、本発明におけるスレッドの第一の実施例の構成を示す断面図であり、この実施例は、用紙に埋め込んで使用するための埋め込みスレッドの構成を示している。
図1に示すように、スレッド用基材2の一方の面に白色磁気層3が積層され、パターン形成されている。白色磁気層3は基材2に接してパターン形成されているか、あるいは全面に積層されていてもよい。白色磁気層3の形成方法は、例えば、印刷インキに白色磁性体粒子を混合させた磁性インキを用いて印刷法により印刷を行ってパターン形成すればよい。
光不透過性基材の材料としては、例えば、セロファン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、液晶ポリマー、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン等の合成樹脂フィルムが用いられ、これらを単体または複合体として使用できる。
これらの材料は、特に耐水性や耐熱性等の特性を勘案して、スレッドを抄き込む媒体の使用目的に応じて適切な材料を用いることができる。
磁性インキは、一般には磁性体粉末をバインダーおよび必要な添加剤(分散剤(界面活性剤)や潤滑剤、可塑剤など)とともに有機溶剤に加え、十分に混練して均一に分散させて得られる。このとき、例えば酸化チタン等からなる白色の磁性体粉末を用いれば白色磁性インキが得られる。また、磁性粒子を核として、その表面に白色顔料などの白色物質の微粒子を固着させたものを用いる場合もある。
基材2が白色であった場合、白色磁性インキを用いた印刷部分はほとんど目立たなくなり、結果として白色磁気層3は表裏どちらの面から見ても隠蔽されることになる。
様に磁気層が隠蔽される効果を有する。
次に、視覚的な効果を持たせたスレッドの構成を説明する。
図2は、本発明におけるスレッドの第二の実施例の構成を示す図であり、この実施例では、該スレッドの一部を用紙表面に露出させて使用する、いわゆるウィンドウ(窓空き)スレッドの構成を示している。
また、白色磁性材料の代わりに無色透明な磁性剤を用いることもできる。
すなわち、外部からの入射光が窓開き側から接着層14、基材11を通って回折構造形成層12に入射して蒸着加工層15で反射した際に、前記凹凸構造の溝により光の波長分散を伴う回折効果を生じ、観察者の視点の位置あるいは角度によって多彩な色にシフトして見える。また金属の蒸着加工層15からの反射光は金属光沢も生じて見える。
このような回折構造を擁するスレッドは偽造が困難であり、高い偽造防止効果を保持する。
次に、視覚効果を持たせたスレッドにおける他の実施例を説明する。
図3は、本発明のスレッドの第三の実施例として、ウィンドウスレッドの構成を示した図である。スレッド20において、基材21に回折構造形成層22が積層され、該回折構造形成層22の一方の面には複数の凹凸構造の溝が二次元的に配置された回折格子が第一界面部25aと第二界面部25bの二つの領域に配置され、さらに第二界面部25bに接して白色磁性マスク層23が積層して形成されている。
その製造方法としては、回折構造形成層22の全面に金属薄膜を蒸着した後、さらにその上に白色磁性マスク層23が印刷法により積層される。
次に、この白色磁性マスク層23を保護膜として、前記金属薄膜にディメタライズ処理を行うことにより、白色磁性マスク層23に保護された第二界面部24bは金属薄膜が残り、保護されない第一界面部24aは金属薄膜が除去される。
この回折構造を擁するスレッドは偽造が困難であり、高い偽造防止効果を保持することができる。
そしてこのような目的で用いる多層干渉フィルム自体も偽造が困難であるため、より高い偽造防止効果が得られる。
前記第三の実施例で示したスレッドの構成において、以下にスレッドの製造手順を説明する。
(i)厚さ16μmの多層干渉フィルムを基材として、その上に微細回折構造形成層となるUV硬化型インキをグラビアコーティング法を用いて厚さ1μmで塗布し、乾燥およびエ
ージングを行った。
(ii)凹凸溝が間隔0.3μm、深さ0.4μmで刻まれた回折格子パターンを有するエンボス原版を用意した。この原版を装着したシリンダーロールを加熱して、前記UV硬化型インキ塗布層に100℃でのエンボス加工を施した後、フィルム基材側から紫外線を照射してインキを硬化させ、回折格子パターンが形成された回折構造形成層を得た。
(iii)この回折構造形成層の上に、蒸着加工層として厚さ50nmのアルミニウム金属薄膜を蒸着法により積層した。
(iv)前記蒸着加工層の上に、白色磁性剤を含有した塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂(塩酢ビ)からなるマスク用インキを、グラビア印刷法を用いて厚さ1μmでマスクパターンを印刷塗布し、白色磁気マスク層を得た。次に、マスクされた領域以外の前記蒸着加工層の露出部分を、アルカリ溶液でディメタライズ処理を行って除去した。
(v)白色微粉末のシリカフィラーを分散させた塩酢ビからなる接着剤を、(iv)で作製した積層体の表裏両面にグラビアコーティング法により厚さ2μmで塗布した。
基板となるガラス板上に感光性ポジレジストを塗布した後、電子線描画を行って回折格子パターンを描画し、現像処理を行ってレジストパターンを得た。このレジストパターン表面にスパッタリング法により導電膜を被膜して母型を作製し、ニッケル電鋳法を用いてエンボス原版を得た。
この偽造防止用紙を表裏から目視観察すると、スレッド中の磁気マスク層は用紙と色がほぼ同じであるため区別することができず、この偽造防止用紙を例えば商品券やパスポートなどに使用しても、券面の意匠性を損なうことがない。
即ちこれらの偽造防止用紙の意匠に制限を与えず、その用途を拡大する効果が得られた。
無色透明な磁性材料は公知のものでよく、例えばスズ酸化物やスズ水酸化物が被着された酸化鉄粒子粉末などがある。
2,11,21 ・・・基材
3,13 ・・・白色磁気層
23 ・・・白色磁気マスク層
4,14,24 ・・・接着層
12,22 ・・・回折構造形成層
15 ・・・蒸着加工層
25a ・・・第一界面部
25b ・・・第二界面部
Claims (7)
- スレッド用基材の一方の面に、白色磁性剤または無色透明磁性剤を含む磁気層を積層したことを特徴とするスレッド。
- 前記基材と磁気層との間に、回折格子を有する回折構造形成層および金属からなる蒸着加工層を積層したことを特徴とする、請求項1に記載のスレッド。
- 前記基材と前記磁気層とを備えたスレッドの両面に接着剤を含む接着層を備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載のスレッド。
- 前記磁気層がパターンを形成してなることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のスレッド。
- 前記磁性剤が、酸化チタンと酸化鉄を含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のスレッド。
- 前記蒸着加工層がディメタライズ加工によりパターンを形成してなることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載のスレッド。
- 前記請求項1から6のいずれか一項に記載のスレッドが用紙に抄き込まれていることを特徴とする偽造防止用紙。
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