JP2012001515A - グリコーゲン分解酵素阻害剤 - Google Patents

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敦 加藤
Kei Takeshita
圭 竹下
Fumihiro Ishikawa
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Abstract

【課題】グリコーゲン分解酵素を阻害する新規なグリコーゲン分解酵素阻害剤及び該阻害剤を含有する医薬組成物を提供すること。
【解決手段】1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有してなるグリコーゲン分解酵素阻害剤、ならびに、1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有してなるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、グリコーゲン分解酵素阻害剤に関する。さらに詳しくは、1,5-D-アンヒドログルシトール(本明細書では「1,5-AG」と略す場合がある)を含有するグリコーゲン分解酵素阻害剤及び該阻害剤を含有する医薬組成物に関する。
従来、糖尿病治療薬として、膵臓のインスリン分泌の促進、インスリン感受性の増大、小腸α-glucosidaseの阻害等をターゲットとした種々の薬剤が開発されて、臨床で用いられている。その一方で、血中のグルコースの約80%は肝臓由来であることから、肝臓でのグルコース産生を担うグリコーゲン分解酵素を阻害して血糖上昇を抑制することが、新たな糖尿病治療のターゲットとして有望であると注目されている。
グリコーゲン分解は、グリコーゲンホスホリラーゼ(glycogen phosphorylase;EC 2.4.1.1)、ホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase;EC 5.4.2.2)、グルコース-6-ホスファターゼ(glucose-6-phosphatase;EC 3.1.3.9)等の酵素により多段階的に行なわれている。なかでも、グリコーゲンホスホリラーゼは、グリコーゲン分解において律速酵素として機能していることが知られており、本酵素をターゲットとした1,4-dideoxy-1,4-imino-D-arabinitolやCP-91149等が異常な血糖上昇を抑制することが報告されている(非特許文献1、2参照)。
Arch Biochem Biophys. 380, 274-284, 2000. Proc Natl Acad Sci U S A. 95, 1776-1781, 1998.
しかしながら、前記化合物はいずれも実用化には至っていない。よって、さらなるグリコーゲン分解酵素阻害剤が求められている。
本発明の課題は、グリコーゲン分解酵素を阻害する新規なグリコーゲン分解酵素阻害剤及び該阻害剤を含有する医薬組成物を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有してなるグリコーゲン分解酵素阻害剤、
〔2〕 1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有してなるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、ならびに
〔3〕 前記〔1〕記載のグリコーゲン分解酵素阻害剤又は前記〔2〕記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を含有してなる治療又は予防にグリコーゲン分解酵素阻害作用を要する疾患の予防及び/又は治療剤
に関する。
本発明のグリコーゲン分解酵素阻害剤は、グリコーゲン分解酵素を阻害して、血中グルコースの増加を抑制することができるという効果を奏するものである。
図1は、通常食(1,5-AG非含有食)を摂取させた場合と1,5-AG含有食を摂取させた場合のマウスの血糖値の変化を示す図である。
グリコーゲン分解は、肝臓又は筋肉組織において、グリコーゲンが分解を受けてグルコースになる現象をいう。より詳しくは、グリコーゲンがグリコーゲンホスホリラーゼによってグルコース-1-リン酸に分解され、次いで、ホスホグルコムターゼによってグルコース-6-リン酸に分解された後、グルコース-6-ホスファターゼによって分解されてグルコースになる。本発明においては、この一連の分解過程において、詳細なメカニズムは不明であるが、1,5-D-アンヒドログルシトールがグリコーゲンホスホリラーゼの活性を阻害することによって、グリコーゲンからグルコースへの分解を阻害するものであると推定される。
本発明のグリコーゲン分解酵素阻害剤は、1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する。なお、本明細書において、1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体をまとめて、本発明の有効成分ともいう。
1,5-D-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は、α-D-グルコースの1位が還元された構造であり、体内に最も多く存在するポリオールの一つである。また、1,5-D-アンヒドロフルクトース(以下、1,5-AFともいう)は、生体内においてNADPH依存性の還元酵素によって還元されて1,5-AGを生じる。従って、1,5-AFの摂取後、体内で1,5-AGに変換されて本発明の効果が発現する。同様に、1,5-AGの誘導体は後述する加水分解を受けて1,5-AGに変換されて効果を発現し、1,5-AFの誘導体も同様に加水分解されて1,5-AFに変換された後にNADPH依存性の還元酵素によって還元されて1,5-AGを生じて効果を発現する。
1,5-AG及び1,5-AFの誘導体としては、生体内にて1,5-AGを生じるものであれば特に限定はなく、例えば、式(I):
Figure 2012001515
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ビタミン様作用物質類又は脂肪酸類を示し、但し、R、R、R及びRが同時に水素原子であることはない)
で表わされる1,5-AGの誘導体が好適例として挙げられる。
式(I)におけるR、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ビタミン様作用物質類又は脂肪酸類を示すが、但し、R、R、R及びRが同時に水素原子であることはない。
糖類としては、アルドース、ケトース、アルジトール、デオキシ糖、アンヒドロ糖、アミノ糖、イノシトール、アルドン酸、ウロン酸、アルダル酸、カルバ糖、チオ糖、イミノ糖、アザ糖等の炭素数3〜7の化合物である単糖類、ならびにそれらを構成成分とする二糖類及び多糖類が挙げられる。なお、構成する糖の構造はピラノース、フラノースなどの環状、直鎖のいずれでもよい。具体的には、キシロース、リキソース、アラビノース、リボース、グルコース、アロース、ガラクトース、イドース、タロース、マンノース、アルトロース、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、マンニトール、ソルビトール、アリトール、タリトール、ガラクチトール、イディトール、myo−イノシトール、リブロース、キシルロース、フルクトース、プシコース、タガトース、ソルボース、ラムノース、フコース、グルクロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン等の単糖類;マルトース、ラクトース、トレハロース、イソマルトース、スクロース、セロビオース、ニゲロース等の二糖類;前記単糖類、二糖類がα1‐2結合、α1‐3結合、α1‐4結合、α1‐6結合、β1‐2結合、β1‐3結合、β1‐4結合、β1‐6結合などの各結合様式で結合した多糖類等が例示される。
これらのなかでは、生体内での分解性の観点から、グルコース、ガラクトース、グルクロン酸、マルトース、イソマルトース、ラクトース等の、単糖類ならびにそれらを構成成分とする二糖類及び多糖類が好ましい。なお、これらの糖類を有する誘導体は、体内で小腸グリコシダーゼであるマルターゼ、イソマルターゼ、スクラーゼ、ラクターゼ、セロビアーゼ、トレハラーゼや生体内のアミラーゼ、アミログリコシダーゼ、グルコシダーゼ、マンノシダーゼ、ガラクトシダーゼ、フコシダーゼ、グルクロニダーゼ、α-グリコシダーゼ、β-グリコシダーゼなどの一連の酵素群あるいは胃液、膵液中など消化液中のリパーゼ、アミラーゼあるいは腸内細菌が持つグルクロニダーゼ、ガラクトシダーゼあるいは、胃酸など生理的酸性条件下において加水分解されて1,5-AGに変換される。
アミノ酸類としては、L型アミノ酸残基、D型アミノ酸残基、それらの混合物、又はそれらの誘導体の何れでもよい。また、アミノ酸の種類としては、α-アミノ酸、β-アミノ酸、γ-アミノ酸、δ-アミノ酸の何れでもよいが、α-アミノ酸が好ましい。具体的には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン、シスチン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン等が例示される。これらのアミノ酸類を有する誘導体は、生体内においてグリコシダーゼ、ペプチダーゼ、エステラーゼなどによって加水分解され、あるいは組織細胞内の生理的酸性又はアルカリ性条件に曝露されることで加水分解されて1,5−AGに変換される。
ビタミン類及びビタミン様作用物質類としては、ビタミンA、ビタミンB1(サイアミン、チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸、ナイアシン(ビタミンB3、ニコチン酸)、ビタミンB17(レートリル、アミグダリン)、イノシトール、コリン、ビタミンF、フラボノイド等が例示される。これらのビタミン類及びビタミン様作用物質類を有する誘導体は、生体内においてグリコシダーゼ、ペプチダーゼ、エステラーゼなどによって加水分解され、あるいは組織細胞内の生理的酸性又はアルカリ性条件に曝露されることで加水分解されて1,5−AGに変換される。
脂肪酸類としては、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、イコサン酸、パルミチン酸等の炭素数2〜20の脂肪酸が好ましく、炭素数8〜20の脂肪酸がより好ましい。これらの脂肪酸類を有する誘導体は、生体内において膵液リパーゼを始めとする各種エステラーゼなどによって加水分解され、あるいは組織細胞内の生理的酸性又はアルカリ性条件に曝露されることで加水分解されて1,5−AGに変換される。
なお、前記糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ビタミン様作用物質類又は脂肪酸類は、生体内で1,5−AGに変換されるのであれば、糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ビタミン様作用物質類又は脂肪酸類そのものでも、それらの塩であってもよい。また、R、R、R及びRとしての、糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ビタミン様作用物質類又は脂肪酸類とは、1,5−AGと結合した残基のことを意味する。
1,5-AG、1,5-AF及びこれらの誘導体は、市販品であっても、当該分野で公知の任意の方法、例えば、特開2008−54531号公報、J. Am. Chem. Soc., 72, 4547(1950)、J. Chem. Soc., 214 (1956)や以下に記載の方法により合成されたものであってもよい。市販品としては、1,5-anhydro-D-glucitol(和光純薬社製)等が例示される。
以下に、1,5-AGの誘導体の合成方法について具体例を挙げる。マルトースを原料とし、J. Am. Chem. Soc., 37, 1264(1915)の方法に準じて、オクタアセチルマルトースを定量的に合成した。続いて、J. Am. Chem. Soc., 72, 4547(1950)に準じて、水素化臭素によるBr化、水素化アルミニウムリチウムによる還元の各工程を行い、1−デオキシマルトース(1-O-α-D-グルコピラノシル-1,5-D-アンヒドログルシトール)を収率85〜95%で合成する。なお、得られた誘導体の構造確認は、例えば、NMR、IR、旋光度、MS、融点測定等の公知の方法に従って行うことができる。
1,5-AG、1,5-AF及びこれらの誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができ、本発明の阻害剤における総含有量は特に限定はなく、通常1〜100重量%程度である。
本発明の阻害剤の形態としては、1,5-AG、1,5-AF及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを体内に摂取することができる形態であれば特に限定はなく、例えば、粉末剤や液剤などが例示される。
本発明のグリコーゲン分解酵素阻害剤は、グリコーゲン分解現象においてグリコーゲンホスホリラーゼを阻害することから、本発明の一態様として、1,5-AG、1,5-AF及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有するグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を提供する。
またさらに、本発明のグリコーゲン分解酵素阻害剤又はグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤が、グリコーゲンホスホリラーゼを阻害してグルコースの産生を抑制することによって、血中グルコース量の増加を抑制することから、本発明は、本発明のグリコーゲン分解酵素阻害剤又はグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を含有する治療又は予防にグリコーゲン分解酵素阻害作用を要する疾患の予防及び/又は治療剤(以下、本発明の医薬組成物と称することがある)を提供する。
治療又は予防にグリコーゲン分解酵素阻害作用を要する疾患としては、グリコーゲン分解酵素を阻害することにより治療効果がみられる疾患であれば特に限定はないが、例えば、糖尿病、前糖尿病(糖尿病として疑われる状態)、耐糖能障害、多嚢胞性卵巣症候群、高脂質血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患(狭心症、心不全など)、高血糖症、若しくは高血圧症、又は狭心症、高血圧、肺高血圧、うっ血性心不全、糖尿病性合併症(例えば糖尿病性壊そ、糖尿病性関節症、糖尿病性糸球体硬化症、糖尿病性皮膚障害、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性白内障、糖尿病性網膜症など)、糖尿病性昏睡、糖尿病性感染症(水虫、肺結核、膀胱炎など)、インポテンツ、末梢性知覚異常、味覚障害、皮膚障害又はこれらが原因因子となって起こる疾患が例示される。また、アルツハイマー型痴呆症等の中枢神経系疾患や各種癌などに対しても有用である。
本発明の医薬組成物としては、本発明の有効成分を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化したものが挙げられる。また、本発明の医薬組成物としては、本発明の所望の効果が得られるのであれば、本発明の有効成分と配合させる成分は特に限定されず、前述するような当該有効成分と同じ用途に使用可能な他の成分と配合することもできる。
例えば、本発明の医薬組成物は、本発明の有効成分を薬学的に許容できる液状又は固体状の担体と配合し、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤や、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とすることができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品や、その他、外用剤とすることもできる。なお、医薬用担体は、医薬組成物の投与形態及び製剤形態に応じて選択することができ、特に限定はない。
上記のような各種形態での医薬組成物は、それぞれ公知の医薬用担体などを利用して、適宜、常法により製造することができる。また、かかる医薬組成物における本発明の有効成分の含有量は、その投与形態、投与方法などを考慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ得るような量であれば、特に限定されるものではない。
本発明の医薬組成物は、製剤形態に応じた適当な投与方法で投与される。投与方法も特に限定はなく、例えば内用、外用及び注射により投与することができる。
本発明の医薬組成物の投与量は、その製剤形態、投与方法、使用目的及び当該医薬組成物の投与対象である患者の年齢、体重、症状によって適宜設定され一定ではない。また、投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で、又は数回に分けて行ってもよい。投与期間も任意である。
また、本発明の別の態様として、本発明のグリコーゲン分解酵素阻害剤又はグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を含有する食品(以下、本発明の食品と称することがある)を提供する。本発明の食品は、本発明の有効成分の有するグリコーゲン分解酵素阻害作用により、治療又は予防にグリコーゲン分解酵素作用を要する疾患、すなわち本発明の医薬組成物が適用可能な前述する各種疾患の症状改善、予防に極めて有用である。すなわち、本発明の食品は、上記疾患の予防又は改善を目的とすることを付した保健機能食品や健康食品として、例えば、血糖値上昇の予防及び/又は改善のために用いられるものである旨の表示を付して提供することが可能になり、血糖値が高い方、血中コレステロール値が気になる方、中性脂肪が気になる方にとって極めて有用な食品となる。ここで、保健機能食品とは、厚生労働省の定める保健機能食品を意味し、栄養機能食品及び特定保健用食品を含み、保健機能食品や健康食品としては、食品及び飲料のいずれであってもよい。
本発明の食品は、本発明の所望の効果が得られるのであれば、その形状に特に限定はなく、粉末状、タブレット状、顆粒状、カプセル状等の経口的に摂取可能な形状物(例えば、サプリメント)が包含される。また、本発明の食品としては、前述する本発明の有効成分をそのまま、もしくは適当な乳化剤や賦形剤等と適宜混合したものも包含される。これらの食品はそのまま、もしくは水等と混合して飲料として食することができる。
本発明の食品の製造方法に特に限定はない。例えば、配合、調理、加工などは一般の食品のものに従えばよく、それらの製造方法により製造することができ、得られた食品にグリコーゲン分解酵素阻害作用を有する本発明に係る前記有効成分が含有されていれば良い。
本発明の食品中の前記有効成分の含有量は、その官能と効果発現の観点から適宜選択され、特に限定されるものではない。
本発明の食品の摂取量は、その形態、摂取方法、使用目的及び当該食品を摂取するヒトの年齢、体重によって適宜設定され一定ではない。また、摂取は、1日内において単回で又は数回に分けて行ってもよい。摂取期間も任意である。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。なお、実施例で用いた1,5-D-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は、J. Am. Chem. Soc., 72, 4547(1950)に記載の方法に従って合成したものを用いた。また、室温とは1〜30℃を意味する。
試験例1 グリコーゲン分解酵素に対する阻害活性
グリコーゲンをグルコースまで順次分解するグリコーゲン分解反応は、グリコーゲンホスホリラーゼ(glycogen phosphorylase;EC 2.4.1.1)、ホスホグルコムターゼ(phosphoglucomutase;EC 5.4.2.2)、グルコース-6-ホスファターゼ(glucose-6-phosphatase;EC 3.1.3.9)により多段階的に行なわれている。そこでまず、1,5-AGがこれら3つの酵素が関与するいずれか又は複数の段階を阻害することが出来るか否かについて検討を行った。
具体的には、45mM リン酸緩衝液(pH6.8)、0.1mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、0.34mM ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、4mM グルコース-1,6-ビスリン酸、4mM 塩化マグネシウム、1mM アデノシン一リン酸(AMP)、0.8units/mL ホスホグルコムターゼ、3units/mL グルコース-6-ホスファターゼ、及び2units/mL グリコーゲンホスホリラーゼを含有する試験液に、表1に示す種類の試験物質を1mM又は100mM濃度で添加後、基質であるグリコーゲン 2mg/mLを加えて室温で反応させ、340nmの吸光度の変化量を測定し、阻害率(%)及びIC50を算出した。結果を表1に示す。なお、試験物質の代わりに水を加えたものをControlとして用い、Controlの阻害率を0%とする。また、比較対照として、Glucose、2-Deoxy-glucose、Methyl-α-D-glucoside、Methyl-α-D-mannoside、MaltitolおよびOctyl-β-D-glucosideを使用した。試薬はすべてシグマ社製を使用した。
Figure 2012001515
表1より、1,5-AGを除く、グルコース、2-デオキシグルコースあるいはアノメリックが修飾された一連の糖は、100mMという非常に高い濃度を添加した場合でも、グリコーゲン分解に対して、ごく弱い阻害活性しか示さず、さらに1mMでは全く阻害活性が認められなかった。一方、1,5-AGは、グリコーゲン分解酵素に対して明らかな阻害活性を示し、IC50値は671μMであり、グルコースや2-デオキシグルコースなどと比べ、少なくとも745倍以上強いグリコーゲン分解阻害活性を有していることが明らかになった。
試験例2 グリコーゲンホスホリラーゼに対する阻害活性
試験例1より、1,5-AGが、グリコーゲン分解に関与するグリコーゲンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコース-6-ホスファターゼのいずれか又は複数の酵素に対して明確な阻害活性を示していることが明らかになった。そこで、更に1,5-AGがグリコーゲン分解における律速酵素であるグリコーゲンホスホリラーゼに対して阻害を示すかについて検討した。
具体的には、250mM トリス-マレイン酸緩衝液(pH6.8)、5mg/mL グリコーゲン、1mM アデノシン一リン酸、15mM システイン、2units/mL グリコーゲンホスホリラーゼを含有する試験液に、表2に示す種類の試験物質を1mM又は100mM濃度で添加後、基質である16mM グルコース一リン酸を加え、室温で30分間インキュベーションした。250mM 硫酸溶液を加えて反応を停止し、0.25% モリブデン酸アンモニウム、19mg/mL 1-アミノ-2-ナフトール-4-スルホン酸、115mg/mL 亜硫酸水素ナトリウム、115mg/mL 亜硫酸ナトリウムを添加後、室温で30分間インキュベーションし、分光光度計を用いて660nmの吸光度を測定し、阻害率(%)及びIC50を算出した。結果を表2に示す。なお、試験物質の代わりに水を加えたものをControlとして用い、Controlの阻害率を0%とする。また、比較対照として、Glucose、2-Deoxy-glucose、Methyl-α-D-glucoside、Methyl-α-D-mannoside、MaltitolおよびOctyl-β-D-glucosideを使用した。試薬はすべてシグマ社製を使用した。
Figure 2012001515
表2より、1,5-AGは、グリコーゲンホスホリラーゼに対して明らかな阻害活性を示し、IC50値は204μMを示した。一方、グルコース、2-デオキシグルコースあるいはアノメリックが修飾された一連の糖は、100mMという非常に高い濃度を添加した場合でも、ごく弱い活性しか示さず、さらに1mMでは全く阻害活性が認められなかった。以上の結果から、1,5-AGは、グリコーゲン分解における律速酵素であるグリコーゲンホスホリラーゼに対してグルコースや2-デオキシグルコースなどと比べ、少なくとも2,450倍以上強い阻害活性を有していることが明らかになった。
試験例3 II型糖尿病自然発症型マウスを用いた長期投与試験
あらかじめ定常血糖値をそろえたII型糖尿病モデルマウス(db/db : C57BLKS/J Iar-+Leprdb)6週齢、雄性をJapan SLC, Inc.より購入し、1週間環境に順応させた後、3% 1,5-AGを含む飼料(1,5-AG含有食)を摂食させる群10匹と、通常食(1,5-AG非含有食)を摂食させる群(コントロール群)10匹の2群に分け、自由飲水及び自由摂食条件下で8週間個別飼育した。動物飼育環境は実験期間中を通して恒温(24±1℃)、恒湿度(60±5%)に維持し、明暗周期は12時間(明周期:8時30分〜20時30分)とした。血糖値は、摂食初日と摂食開始から1、2、4、6、8週間後に尾静脈血を採取し、アントセンスIII(バイエルメディカル社製)にて測定した。結果を図1に示す。なお、通常食としては、ラボMRストック(日本農産工業株式会社)を与え、両群間での飲水量及び食餌量に差は認められなかった。図中の「*」は、有意差(p<0.05)があることを示す。
図1より、1,5-AGを摂取しないコントロール群では、実験開始時の血糖値(139±40mg/dL)から徐々に血糖値が上昇し、実験開始後8週目には血糖値(438±95mg/dL)まで上昇した。一方、3% 1,5-AGを含む飼料を摂取した群では、コントロール群と比べ血糖値の上昇が実験開始時の血糖値(121±33mg/dL)から実験開始後8週目(338±91mg/dL)まで、常に有意に抑制されていた。以上の結果から、1,5-AGは高血糖状態を緩和し、糖尿病態を改善することが示唆される。
本発明の1,5-AGを含有するグリコーゲン分解酵素阻害剤は、グリコーゲンの分解を抑制してグルコースの産生を抑制することができるため、例えば、糖尿病およびそれに付随する疾患、例えば糖尿病性合併症、高脂血症、動脈硬化症などの予防あるいは治療に利用可能である。

Claims (5)

1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有してなるグリコーゲン分解酵素阻害剤。
1,5-D-アンヒドログルシトールの誘導体が式(I):
Figure 2012001515
(式中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、糖類、アミノ酸類、ビタミン類、ビタミン様作用物質類又は脂肪酸類を示し、但し、R、R、R及びRが同時に水素原子であることはない)
で表わされる化合物である請求項1記載の阻害剤。
グリコーゲン分解酵素がグリコーゲンホスホリラーゼである請求項1又は2記載の阻害剤。
1,5-D-アンヒドログルシトール、1,5-D-アンヒドロフルクトース及びこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有してなるグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤。
請求項1〜3いずれか記載のグリコーゲン分解酵素阻害剤又は請求項4記載のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を含有してなる治療又は予防にグリコーゲン分解酵素阻害作用を要する疾患の予防及び/又は治療剤。
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