JP2012001394A - 単結晶ダイヤモンド成長用の基材及び単結晶ダイヤモンドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】単結晶ダイヤモンドを成長させるための基材10,10’であって、少なくとも、種基材11、11’と、該種基材11、11’の前記単結晶ダイヤモンドを成長させる側にヘテロエピタキシャル成長させたイリジウム膜、白金膜、ロジウム膜のいずれか12からなり、前記種基材11,11’は、グラファイト11’か、またはベース基材11a上にグラファイト層11bが形成されたものである単結晶ダイヤモンド成長用の基材。
【選択図】図1
Description
一方、ダイヤモンドは、ドリフト移動度も高く、Johnson性能指数を比較しても、半導体の中で最も高速電子デバイスとして有利である。
従って、ダイヤモンドは、高周波・高出力電子デバイスに適した究極の半導体と云われている。
そのため、基材に単結晶のダイヤモンドを利用した各種電子デバイスの研究が進められている。
しかしながら、HPHTダイヤモンドは結晶性が高いものが得られる一方で大型化が困難で、サイズが大きくなると極端に価格が高くなり、デバイス用基材としての実用化を困難としている。
当該方法では、基材と成長した単結晶ダイヤモンドとが同材料のため、それらの分離が困難で、そのために、基材に予めイオン注入が必要であることや、成長後も長時間のウェットエッチング分離処理が必要なことなどコストの面で課題がある。また、得られる単結晶ダイヤモンドの結晶性も基材へのイオン注入があるため、ある程度の低下は生じてしまう問題がある。
しかしながら当該方法では単結晶MgO基板と単結晶イリジウムを介して成長させた単結晶ダイヤモンドとの間で発生する応力(内部応力と熱応力の和)のため、基材と成長させた単結晶ダイヤモンドが細かく割れてしまう問題がある。また、得られる単結晶ダイヤモンドの結晶性も、種基材である入手可能な単結晶MgOの結晶性が充分で無いため、満足のできるレベルではない。
これによって、グラファイト上に高結晶性のIr膜、Pt膜、Rh膜のいずれかが形成された単結晶ダイヤモンド成長用の基材となるため、このようなIr膜、Pt膜やRh膜の表面上には、高結晶性の単結晶ダイヤモンドをヘテロエピタキシャル成長させることができる。また、成長させた単結晶ダイヤモンド部分のみをウェットエッチング法や機械的研磨法等を用いて基材から容易に剥離できる。特にウェットエッチングで剥離した後に研磨を行うことによって精度良く分離できるため、基材を再利用することが非常に容易であり、コスト面でも非常に有利である。更に、このような構造の基材であれば、たとえ大面積のものであっても、単結晶ダイヤモンドの成長中に応力が過剰にかかることが抑制されるため、大面積単結晶ダイヤモンドを歩留り良く製造できる基材となっている。
このように、ベース基材上にグラファイト層が形成された種基材を、ダイヤモンド層との間で主に応力を発生する部分に単結晶ダイヤモンドとの線膨張係数差の比較的小さい単結晶シリコンや単結晶炭化ケイ素を用いて、その上にグラファイト層が剥離転写されたものとするか、その上にグラファイト層がCVD法、スパッター法、熱分解法のいずれかの方法で形成されたものとすることによって、従来のMgO種基材を用いた場合に比べて基材と単結晶ダイヤモンドとの間に発生する応力を小さくすることができる。そのため、単結晶ダイヤモンドや基材が割れる危険性を極力小さくでき、ほとんど無くすことができる。従って、単結晶ダイヤモンドや基材が破壊されることが少なく、より耐久性の高いものとすることができ、また製造歩留りを改善することができるため、安価な単結晶ダイヤモンドを製造することができる。
このように、グラファイト層が厚み200nm以下の単層グラフェンまたは多層グラフェンからなるものであれば、グラファイト層の作製が容易なものであり、また形成に長時間が必要とならず、安価なものとすることができる。そしてグラファイト層の結晶性を良好なものとできるため、高結晶性の単結晶ダイヤモンドを成長させることができる基材となる。
このように、ベース基材の厚さが、0.03mm以上であればハンドリングが容易であり、また、20.00mm以下のものは仕上げ面研磨加工が容易であるとともに、必要以上の厚さとなってコスト高となることもない。
このように、スパッター法でヘテロエピタキシャル成長されたものとすることで、十分な成長速度で成長させることができるため、生産性高く製造された安価な成長用基材とすることができる。
このように、Ir膜、Pt膜、Rh膜のいずれかの膜の厚さが5Å以上あれば膜厚均一性と結晶性が十分に高く、厚さが100μm以下であれば基材や単結晶ダイヤモンドとの間に発生する応力が小さいため、確実に単結晶ダイヤモンドを成長させることができ、さらには安価な基材となる。
またマイクロ波CVD法又は直流プラズマCVD法によりヘテロエピタキシャル成長させることによって、成長速度を速くすることができるため、製造コストの面で優れた単結晶ダイヤモンドの成長方法とすることができる。
本発明に記載の単結晶ダイヤモンドの製造方法によって製造された単結晶ダイヤモンドを有する基材は、単結晶ダイヤモンドを容易に分離することができる。このため、破損したり割れることなく結晶性の良好な単結晶ダイヤモンドを得ることができる。
また、表面のIr膜、Pt膜、Rh膜を研磨して除去することによって種基材として再利用することができる。従って、極めてコスト面で有利である。
前述の様に、従来、コスト的に有利なCVD法で単結晶ダイヤモンドを得ようとすると、成長した単結晶ダイヤモンド部分を破損なく容易に分離することができないこと、更には成長させた単結晶ダイヤモンドとして高結晶性で大面積なものを得ることが困難であるという問題があった。
このため、本発明者らは、基材の種類や構造、更には単結晶製造方法について鋭意研究を重ねた。
そして、成長させた単結晶ダイヤモンドは、例えばウェットエッチング法でおおよその分離が可能であるし、完全に分離したい場合はウェットエッチングにて分離させた後に単結晶ダイヤモンドに残留したIr膜、Pt膜、Rh膜を機械的研磨法で精度良く除去することで高精度に分離可能であることを確認して、本発明を完成させた。
そして、基材上にヘテロエピタキシャル成長させた単結晶ダイヤモンドは、ウェットエッチング法や機械的研磨法等を用いて基材から容易に剥離できる。特にウェットエッチングで剥離した後に研磨を行うことによって単結晶ダイヤモンド側に残留したIr膜、Pt膜、Rh膜を精度良く分離できる。また剥離が容易なため、基材を再利用することが非常に容易である。そのため、単結晶ダイヤモンドの製造を同じ基材から繰り返して製造することができるため、高結晶性の高品質の単結晶ダイヤモンドを安く製造することができる。
更に、このような構造の基材であれば、たとえ大面積のものであっても、単結晶ダイヤモンドの成長中に応力が過剰にかかることが抑制されるため、大面積単結晶ダイヤモンドを歩留り良く製造できる基材となっている。
このように、ベース基材の厚さが、0.03mm以上であればハンドリングが容易であり、扱いが容易である。また、20.00mm以下のものは両面研磨等も良好に行うことができるため仕上げ面研磨加工が容易であり、使用できる表面状態レベルに容易に仕上げることが可能である。また、必要以上の厚さを有することに伴うコスト高となることも抑制できる。
そして、単結晶SiCをベース基材に用いた場合であれば、例えば1200℃程度以上の高温で熱処理する方法で容易に得られたものとすることができる。
また、単にベース基材上にグラファイト結晶からテープで剥がして分離して剥離転写することによってもグラファイト層は得られる。
また下地となるベース基材の大口径化が非常に容易であり、成長させる単結晶ダイヤモンドの大口径化も容易である。
このように、グラファイト層を、グラフェン(Graphene)と呼ばれる単層のものから厚み200nmまでに形成した多層グラフェンの範囲で形成されたものとすることによって、基材面内の結合連続性が高く均一性が良好であり、単結晶ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長用の基材に非常に適当である。そしてこの多層グラフェンの厚みが200nm以下であれば、単結晶ダイヤモンドを成長させた場合に単結晶ダイヤモンドの結晶欠陥の密度が急激に増加する危険性もなく、良好な結晶性の単結晶ダイヤモンドが得られる。
このように、Ir膜、Pt膜、Rh膜を例えば、R.F.マグネトロンスパッター法でヘテロエピタキシャル成長されたものとすることで、Ir膜、Pt膜、Rh膜を十分な成長速度で成長させたものとすることができ、生産性高く製造された安価な成長用基材とすることができる。
このように、Ir膜、Pt膜、Rh膜の厚さが5Å以上あれば、膜厚均一性や結晶性が十分に高いものとすることができる。また、厚さが100μm以下であれば、基材や単結晶ダイヤモンドとの間に発生する応力を小さいものとすることができるため、確実に基材上に単結晶ダイヤモンドを成長させることができ、また安価なものとすることができる。
このバイアス処理は、例えば、特開2007−238377号公報に記載されている様な、バイアス処理と呼ばれる方法で前処理を行って、Ir、Pt、Rh表面に方位の揃ったダイヤモンド成長核を形成するものとすることができる。
このCVD後に基材から単結晶ダイヤモンド部分のみを分離するには、例えば、熱混酸などのウエットエッチ液に浸けて、単結晶ダイヤモンド/Ir膜とグラファイト、グラファイト/Si、グラファイト/SiCとの2つに分離した後に、機械的研磨法で残ったIr膜を除去することによって行うことができる。
また、一度にIr/グラファイト、Ir/グラファイト/Si、Ir/グラファイト/SiCを機械的研磨法で除去して、単結晶ダイヤモンドのみを得ることもできる。
(実施例)
直径25.0mm、厚みが0.38mmで、方位(0001)の片面研磨加工単結晶6H−SiCをベース基材として用意した。
そして、このベース基材に対してアルゴン雰囲気中で1650℃×3hの熱処理を行って、ベース基材の表面に厚み10nm程度の多層のグラフェンを形成した。
製膜は、Irをターゲットとした、R.F.マグネトロンスパッター法で、Arガス6×10−2Torr(8Pa)、基材温度700℃の条件で単結晶Ir膜厚が1.5μmになるまでスパッターして仕上げた。
また、バイアス処理及びDCプラズマCVDを行う際の電気的導通のために、基材温度を100℃とした他は同じ条件で、裏面にもIrを1.5μm成長させた。
先ず、基材をバイアス処理装置の負電圧印加電極(カソード)上にセットし、真空排気を行った。次に、基材を600℃に加熱してから、3vol.%水素希釈メタンガスを導入し、圧力を120Torr(1.6×104Pa)とした。それから、バイアス処理を行った。すなわち、両電極間にDC電圧を印加して、所定の直流電流を流した。
そこで、熱混酸中2hエッチングして、ダイヤモンド/Irとグラフェン/6H−SiCとに分離した。その後、更に機械的研磨法で、裏面のIr膜を除去して、単結晶ダイヤモンドの自立構造とした。表面も仕上げ研磨を行ってデバイス用途でも使用できるレベルの面粗さに仕上げた。
種基材として、5.0mm角、厚みが0.5mmで方位(111)の両面研磨加工単結晶MgOを使用し、かつグラフェン層を形成しなかった以外は、実施例と同様に、Ir成長、バイアス処理を行って、基材を用意し、その上にDCプラズマCVD法での単結晶ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長を行った。
この破片一つを取って、結晶性を評価したところ、ラマン半値幅も広く、断面TEMでも転位欠陥が多く存在するなど、デバイス用途では不充分なレベルであった。
厚みが120μmのMgO基板を使用することの他は、比較例1と同様に、Ir成長、バイアス処理を行って、基材を用意し、その上にDCプラズマCVD法での単結晶ダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長を行った。
11…種基材、 11’…種基材(グラファイト)、 11a…ベース基材、 11b…グラファイト層、
12…イリジウム膜、白金膜、ロジウム膜のいずれかからなる膜。
Claims (8)
- 単結晶ダイヤモンドを成長させるための基材であって、少なくとも、
種基材と、該種基材の前記単結晶ダイヤモンドを成長させる側にヘテロエピタキシャル成長させたイリジウム膜、白金膜、ロジウム膜のいずれかからなり、
前記種基材は、グラファイトか、またはベース基材上にグラファイト層が形成されたものであることを特徴とする単結晶ダイヤモンド成長用の基材。 - 前記ベース基材上にグラファイト層が形成された種基材は、前記グラファイト層が、単結晶シリコン(Si)または単結晶炭化ケイ素(SiC)からなるベース基材の表面上に剥離転写されたものか、前記ベース基材表面にCVD法、スパッター法あるいは熱分解法で形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶ダイヤモンド成長用の基材。
- 前記グラファイト層は、厚み200nm以下の単層グラフェンまたは多層グラフェンからなるものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶ダイヤモンド成長用の基材。
- 前記単結晶シリコンまたは前記単結晶炭化ケイ素からなるベース基材は、厚みが0.03mm以上20.00mm以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の単結晶ダイヤモンド成長用の基材。
- 前記イリジウム膜、前記白金膜、前記ロジウム膜のいずれかの膜は、前記種基材のグラファイト上にスパッター法でヘテロエピタキシャル成長されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド成長用の基材。
- 前記イリジウム膜、前記白金膜、前記ロジウム膜のいずれかの膜の厚さが、5Å〜100μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド成長用の基材。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の単結晶ダイヤモンド成長用の基材の前記イリジウム膜、前記白金膜、前記ロジウム膜側に、予め基材側電極をカソードとした直流放電でダイヤモンド核形成を行うバイアス処理を行い、その後マイクロ波CVD法あるいは直流プラズマCVD法によって単結晶ダイヤモンドをヘテロエピタキシャル成長させることを特徴とする単結晶ダイヤモンドの製造方法。
- 請求項7に記載の単結晶ダイヤモンドの製造方法によって成長させた単結晶ダイヤモンドを有する基材から、該成長させた単結晶ダイヤモンドを分離することを特徴とする単結晶ダイヤモンドの製造方法。
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