JP5085572B2 - 直流プラズマcvd装置及びそれを用いたダイヤモンドの製造方法 - Google Patents
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Description
また、ダイヤモンドは、ドリフト移動度も高く、Johnson性能指数を比較しても、半導体の中で最も高速電子デバイスとして有利である。
そのため、基板にダイヤモンド膜等を積層した積層基板が注目されている。
しかしながら、気相合成法では、従来、通常の電子デバイスに適する単結晶化が困難であった。これは、基板として従来単結晶Siが用いられていたことに起因する。すなわち、Siとダイヤモンドとでは格子定数の違いが大きく(ミスマッチ度52.6%)、シリコン基板上にダイヤモンドをヘテロエピタキシャル成長させることが非常に困難だからである。
現状では、特にIrに関する研究が最も進んでいる。これは、先ず単結晶MgOを基板としてその上にIr膜をヘテロエピタキシャル成長させ、次に、直流プラズマCVD法で水素希釈メタンガスによるバイアス処理によりIr膜表面を前処理し、そのIr膜上にダイヤモンド膜の成長を行うものである。これにより、当初のサブミクロンサイズから現在では数ミリサイズの単結晶ダイヤモンドが得られている。ダイヤモンド部分の厚みとしては数μ〜100μm程度である。例えば、非特許文献3に記載の条件では、100μm厚程を得るのに8hrの成長を行っている。
このように、基板ステージを、固定電極を中心とした半径Rの円に接するように配置することによって、基板ステージ上に気相成長膜を効率よく気相成長させることができるため、高品質の気相成長膜をより容易に得ることができる。
このように、固定電極及び基板ステージを、融点の高いTa,Mo,Wのいずれかの材料で作製されたものとすることによって、例えば、気相成長中に基板ステージや固定電極が熱で溶融して変形したり消失する可能性を十分に低減することができる。従って装置のメンテナンスに係るコストを低減することができる。
このように、固定電極をカソード、基板ステージをアノードとすることによって、例えばダイヤモンド等の製造に好適な直流プラズマCVD装置とすることができる。
上述のように、本発明の直流プラズマCVD装置は、気相成長膜に欠陥が発生する可能性が低減されたものであるため、このような直流プラズマCVD装置を用いてダイヤモンドを製造することによって、大面積かつ欠陥の少ない高品質なダイヤモンドを効率よく製造することができる。
前述のように、従来の直流プラズマCVD装置でダイヤモンド等の気相成長膜を成長させる場合に、基板上部に位置する固定電極表面の生成物が、長時間CVDを続けると成長してしまい、ついには下方で対向して位置する基板表面上に落下することがあった。
従って、厚いダイヤモンドを得る場合には、無欠陥とすることが困難という問題があった。
そこで、本発明者は、このような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
本発明の直流プラズマCVD装置は、少なくとも、チャンバーと、固定電極と、基板を載置するための電極を兼ねた基板ステージと、を有するものである。
そして、固定電極から鉛直方向に延ばした直線上に基板ステージを配置せず、かつ固定電極の中心から鉛直方向に延ばした線と、固定電極の中心から基板ステージの中心に引いた線との成す角度θが、θ≦90°の関係を満たすように基板ステージが配置されたものである。
そしてこの時、固定電極12の中心から鉛直方向に延ばした線(破線)と、固定電極12の中心から基板ステージ13の中心に引いた線(一点鎖線)との成す角度θが、cos−1{(R2−2r2)/R2}≦θ≦90°の関係を満たすように基板ステージ13が配置されたものとすることができる。
また、90°を超える場合は固定電極の先端で無い部分と基板ステージとの間で放電が発生する可能性があるため、θは90°以下とする。
θは90°より大きくならないようにすることは上述の通りである。
具体例として、R=40mm、r=15mmの場合、cos−1{(R2−2r2)/R2}≒44.0°となり、すなわち44°≦θ≦90°の範囲が最適な基板ステージ位置となる。
そして例えば気相成長膜としてダイヤモンドを製造した場合、大面積且つ高品質のダイヤモンドを効率よく得ることができ、このようなダイヤモンドを利用することで、非常に優れた高周波・高出力電子デバイスを高歩留りで作製することができる。
このように、融点の高いTa,Mo,Wのいずれかの材料で固定電極及び基板ステージが作製されたものであれば、基板ステージや固定電極が気相成長中に発生する熱によって変形したり溶融したりする危険性を十分に低いものとすることができる。よって、基板ステージや固定電極のメンテナンスにかかるコストを低減することができ、装置のランニングコストの低減を図ることができる。
このように、固定電極をカソード、基板ステージをアノードとすることによって、例えばダイヤモンド等の製造に好適な直流プラズマCVD装置とすることができる。
これは基板ステージをチャンバー上方に設置すると、成長させている気相成長膜が重力によって落下する可能性があるためであり、これを防止するために気相成長膜を下方から支えるべく、基板ステージはチャンバー下部から挿入する形で設置することが望ましい。そしてこれに対応するように、電極を兼ねる基板ステージと固定電極先端の間以外での放電を防止するために、固定電極はチャンバー上部から挿入するように設置することが望ましい。
また、基板24を載せた基板ステージ23をアノード、固定電極22をカソードとすることが望ましい。
そして、少なくとも炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガス、例えば水素ガスで希釈したメタンガスをガス導入管25からチャンバー21内に導入する。
次に、ガス排出管26のバルブを調節してチャンバー21内を所望の圧力にした後、直流電源27から直流電圧を両電極間に印加してチャンバー21内にプラズマを発生させ、基板24上にダイヤモンドを成長させる。
(実施例)
図2に示したような直流プラズマCVD装置を準備し、固定電極をTaを用いて作製し、カソードとした。また、基板ステージをMoで作製し、アノードとした。そしてIr/MgO製の直径10mm、厚み0.5mmの基板を準備した。
そして、電極の間隔Rを40mm、基板ステージの半径rを15mmとしたため、
cos−1{(R2−2r2)/R2}
=cos−1{(402−2×152)/402}
=cos−1(0.719)
≒44
となり、44°≦θ≦90°となる。そこで、固定電極中心から鉛直方向に延ばした線と固定電極中心から基板ステージ中心に引いた線との成す角度θを50°に設定した。
CVD終了後、基板を取り出して評価したところ、直径10mmの基板全面に平均厚み80μmのダイヤモンドが欠陥無く形成されていた。
θを0°、すなわち固定電極の中心から鉛直方向に延ばした線上に基板ステージの中心がくるようにした以外の他の条件は実施例と同一の条件でダイヤモンドの製造を行った。
気相成長の様子を観察したところ、CVDに伴う固定電極先端に付着していた生成物が基板表面上に落下していたことが確認された。
また、気相成長終了後、チャンバーから基板およびダイヤモンドを取り出し、欠陥の有無を評価したところ、落下物が原因である欠陥がダイヤモンド中に発生していた。
θを100°として、基板ステージに基板を真空吸着した以外の他の条件は実施例、比較例1と同一の条件とし、ダイヤモンドの製造を行った。
しかしCVDを開始する際に、固定電極を保持する部分など、固定電極の先端部ではない部分と基板ステージとの間で放電が発生し、気相成長を行うことができなかった。
11,21…チャンバー、 12,22…固定電極、 13,23…基板ステージ、
24…基板、 25…ガス導入管、 26…ガス排出管、 27…直流電源。
Claims (6)
- 少なくとも、概略球形固定電極と、基板を載置するための電極を兼ねる基板ステージと、を有するダイヤモンド成長用直流プラズマCVD装置であって、
前記固定電極の中心から鉛直方向に延ばした線上に前記基板ステージが位置せず、かつ前記基板ステージ中心と前記固定電極中心とを結ぶ直線と、前記鉛直方向に延ばした線との成す角が、90°以下であることを特徴とする直流プラズマCVD装置。 - 前記基板ステージは、前記固定電極を中心とした半径Rの円に接するように配置されたものであることを特徴とする請求項1に記載の直流プラズマCVD装置。
- 前記基板ステージの半径をrとした時、前記鉛直方向に延ばした線と、前記固定電極中心から前記基板ステージ中心に引いた線との成す角度θ(単位:°)が、
cos−1{(R2−2r2)/R2}≦θ≦90°の関係を満たすものであることを特徴とする請求項2に記載の直流プラズマCVD装置。 - 前記固定電極及び前記基板ステージは、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)のいずれかの材料で作製されたものであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の直流プラズマCVD装置。
- 前記固定電極がカソード、前記基板ステージがアノードであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の直流プラズマCVD装置。
- 少なくとも、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスを原料として、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の直流プラズマCVD装置を用いて、基板上にダイヤモンドを気相成長させることを特徴とするダイヤモンドの製造方法。
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