JP4949776B2 - 薄膜製造方法及び薄膜製造システム - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜製造装置に関し、特にプラズマを用いて基板や製膜済の基板に処理を行う薄膜製造装置に関する。
アモルファスシリコン太陽電池や微結晶シリコン太陽電池、TFT(Thin Film Transistor)などの製造プロセスにおける半導体薄膜の生成に使用される薄膜製造装置としてプラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)装置が知られている。プラズマCVD装置は、放電電極と、その放電電極に対向するように配置された対向電極とを製膜室内に備えている。薄膜が形成される被処理体としての基板は対向電極上に保持される。所望の薄膜の原料を含む原料ガスを製膜室内に導入しながら放電電極と対向電極の間に高周波電力を印加すると、放電電極と基板の間の領域の原料ガスがプラズマ状態になる。原料ガスが活性化されることにより、基板上に所望の薄膜、例えばアモルファスシリコン膜が形成される。高周波プラズマを用いる薄膜製造方法においては、単なる平行平板型電極を用いた薄膜製造装置ではなく、梯子型電極を用いた薄膜製造装置が有効である。梯子型電極を用いた薄膜製造方法の従来技術が特許文献1に開示されている。
薄膜製造装置を用いて太陽電池用のi層膜を製膜することが行われている。i層膜の膜厚は、基準膜厚Wを中心とする一定範囲(W±ΔW)に含まれるように製膜プロセスが管理される。このことについて、図1を用いて説明する。図1(a)は、初期発電出力−膜厚の関係を示している。横軸は、i層膜の膜厚である。縦軸は、このi層膜を含む太陽電池の初期発電出力である。初期発電出力は、製造直後の太陽電池の発電出力のことである。初期発電出力の変化量は膜厚の変化量に略比例し、膜厚が大きいほど初期発電出力が大きい。しかし、時間の経過ともに太陽電池が劣化するため、太陽電池の発電出力は時間の経過とともに低下して安定後発電出力に漸近する。安定後発電出力は、十分時間が経過して発電出力が安定した後の発電出力である。実用上は、太陽電池の性能は安定後発電出力により評価される。図1(b)は、発電出力の劣化率−膜厚の関係を示している。横軸は膜厚であり、縦軸は劣化率である。劣化率は、{(初期発電出力−安定後発電出力)/安定後発電出力}×100で表される。膜厚が大きいほど発電出力の劣化率が大きいことが図1(b)から明らかである。このため、図1(c)に示されるように、安定後発電出力が極大値をとる膜厚が存在する。図0(c)は、安定後発電出力−膜厚の関係を示している。横軸は膜厚であり、縦軸は安定後発電出力である。安定後発電出力は、膜厚の増加にともなって増加して極大値Eをとり、膜厚の増加にともなって極大値Eから減少している。安定後発電出力が極大値Eをとる膜厚が基準膜厚Wである。目標とする膜厚の範囲W±ΔWは、安定後発電出力が品質管理上の下限出力E(E<E)より大きくなるような膜厚の範囲として決定される。
ところで、プラズマCVD装置を用いて製膜バッチ処理を繰り返すと、放電電極や製膜室の内壁に半導体膜が付着してくる。この付着した半導体膜は、以下「付着膜」と参照される。このような付着膜は、放電電極から剥離し、処理中の基板に降り注ぐ可能性がある。このことは、不良品発生の原因となる。したがって、製膜バッチ処理を所定の回数繰り返す毎にプラズマCVD装置内を清掃する必要がある。この清掃作業は、セルフクリーニングと呼ばれている。このセルフクリーニング処理時、製膜室内にNFやClFのようなクリーニングガスが導入され、放電電極と対向電極の間に高周波電力が印加される。これにより、放電電極と対向電極の間の領域にFラジカルが発生し、そのFラジカルと付着膜とが反応することにより、放電電極等から付着膜が除去される。セルフクリーニングに関連する従来技術が特許文献2乃至4に開示されている。
図2は、一のセルフクリーニングとその次のセルフクリーニングの間で製膜バッチ処理を繰り返して太陽電池用のi層膜を製膜した場合において、i層膜を含む太陽電池の初期発電電流−累積製膜時間の関係、及びi層膜の膜厚−累積製膜時間の関係の一例を示している。ここでは、製膜の設定条件を一定にして製膜バッチ処理を繰り返した場合の結果が示されている。初期発電電流は、製造直後の太陽電池の発電電流であり、初期発電出力に比例する。累積製膜時間は、一のセルフクリーニングからその次のセルフクリーニングまでに薄膜製造装置が繰り返す製膜バッチ処理の各バッチ処理における製膜時間を合計したものである。製膜時間とは、薄膜の形成が進行する時間であり、例えば、原料ガスを製膜室内に導入しながら放電電極と対向電極の間に高周波電力を印加する印加時間である。図2において、左縦軸は初期発電電流、右縦軸は膜厚、横軸は累積製膜時間である。黒菱形のシンボルはi層膜が製膜された製膜バッチ処理までの累積製膜時間と、i層膜を含む太陽電池の初期発電電流の関係を示している。白抜きの四角のシンボルは、i層膜が製膜された製膜バッチ処理までの累積製膜時間と、そのi層膜の膜厚との関係を示している。製膜時間を含む製膜の設定条件が一定であるため、図2の横軸を製膜バッチ処理の回数としてもグラフは同様である。図2から明らかなように、一定の設定条件で製膜しているにもかかわらず、初期発電電流及び膜厚が累積製膜時間に対して変動している。このため、膜厚を上述の基準膜厚Wを中心とする一定範囲(W±ΔW)におさめることが困難である。膜厚の変動要因としては、上述の付着膜の堆積、セルフクリーニングの残留フッ素、給電ケーブルの劣化等が考えられる。
一方、非特許文献1には、プラズマCVD法により作製されるアモルファスシリコンの堆積速度とプラズマの発光強度との関係が以下のように報告されている。プラズマCVD法においては、真空チャンバにSiHが供給され、電極間に電界が印加される。このとき、電極間の領域に引き起こされるグロー放電プラズマ中において生成されるラジカルは、中性ラジカル(SiHx、H…)、イオンラジカル(SiHx+、H+、H+…)さらに発光性ラジカル(Si*、SiH*、H*)にわけられる。このようにして生成した中性ラジカル(SiHx)がアモルファスシリコン膜の形成(堆積)を支配するのだが、SiHxの生成速度とSi*、SiH*の発光強度との間にはプラズマ中の電子温度が一定の場合には比例関係が成立するので、ガス圧力を一定にして、ガス流量、電力密度を変化させた場合には、広いプラズマ条件においてSi*、SiH*発光強度とアモルファスシリコン堆積速度が1乗の比例関係を持つことになる。
特開2002−322563号公報 特開平8−88177号公報 特許第3702235号公報 特開2006−66779号公報 松田彰久、「プラズマCVDの基礎過程―アモルファスシリコンとシリコン系合金―」、ナノプレーティング研究会第9回例会テキスト、昭和63年5月
本願発明者は、セルフクリーニング間において繰り返される製膜バッチ処理を介して製造される製品(この製膜バッチ処理により製造される薄膜又はこの薄膜を含む太陽電池)の品質の変動が、セルフクリーニング後の累積製膜時間(=製膜バッチ処理の回数)に対して規則性を有していることを発見した。例えば、図2においては、膜厚は、累積製膜時間の増加とともに減少する傾向を示している。初期発電電流は、膜厚に比べてばらつきが大きいものの、膜厚と同様に累積製膜時間の増加とともに減少する傾向を示している。
本願発明者は、この規則性を利用して製品の品質のバッチ毎のばらつきを抑制することを着想した。
本発明の目的は、製品の品質のバッチ毎のばらつきが抑制される薄膜製造方法及び薄膜製造システムを提供することである。
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明の薄膜製造方法は、薄膜製造装置(1)を用いた薄膜製造方法である。前記薄膜製造装置は、製膜室(6)と、前記製膜室内に設けられた放電電極(3)と、前記製膜室内に設けられ、前記放電電極に対向する対向電極(2)とを具備する。前記薄膜製造方法は、(a)製膜バッチ処理Lを実行して基板L(8)上に薄膜L(113)を形成する工程を具備する。前記(a)工程は、(a1)前記基板Lを前記対向電極に保持する工程と、(a2)前記製膜室内に前記薄膜Lの原料を含むガスLを導入する工程と、(a3)前記ガスLを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力L(105)を印加して前記基板L上に前記薄膜Lを形成する工程とを含む。前記(a)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングNの後、その次のセルフクリーニングN’の前に実行される。前記(a3)工程において、前記セルフクリーニングNから前記製膜バッチ処理Lまでに前記薄膜製造装置が実行する製膜バッチ処理の回数Lに基づいて前記高周波電力Lが制御される。例えば、前記(a3工程)においては、前記回数Lに対応づけられた設定値L(Y)に基づいて前記高周波電力Lが制御される。
一のセルフクリーニングとその次のセルフクリーニングの間で製膜バッチ処理を繰り返すと、製膜室の内壁や放電電極へのシリコン膜の堆積等により薄膜製造装置の状態が変化する。したがって、一のセルフクリーニングとその次のセルフクリーニングの間において一定の設定条件での製膜を繰り返すと、例えば図2に示されるように、製膜されたi層膜の膜厚、このi層膜を含む太陽電池の初期発電電流(初期発電出力)が、製膜バッチ処理の回数(累積製膜時間)に応じて変動する。この変動は、製膜バッチ処理の回数に対して一定の規則性を有している。そこで、製膜バッチ処理の回数に基づいて高周波電力を制御することで、製品の品質(膜厚、初期発電電流、初期発電出力)のバッチ毎のばらつきが抑制される。なお、初期発電電流及び初期発電出力は、膜厚に関係する。
本発明の薄膜製造方法においては、前記設定値Lは前記高周波電力Lのパワーを規定することが好ましい。高周波電力のパワーの増減により製膜速度が増減するから、パワーを制御することにより、膜厚、初期発電電流、初期発電出力のばらつきが抑制される。
本発明の薄膜製造方法においては、前記設定値Lは前記高周波電力Lの印加時間を規定することが好ましい。高周波電力の印加時間の増減により膜厚が増減するから、印加時間を増減することにより、膜厚、初期発電電流、初期発電出力のばらつきが抑制される。
本発明の薄膜製造方法は、更に、(b)前記薄膜製造装置を用いて、製膜バッチ処理を繰り返す工程と、(c)前記(b)工程において形成された薄膜(113)についてバッチの繰り返しにともなう膜厚(D)の変動を測定するステップと、(d)前記膜厚の変動に基づいて、前記回数Lと前記設定値Lとを対応づける制御規則(100)を定める工程とを具備することが好ましい。前記(b)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングMの後、その次のセルフクリーニングM’の前に実行される。前記セルフクリーニングM’は、前記セルフクリーニングNのこと、又は前記セルフクリーニングNより前に実行される前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングのことである。事前に製膜バッチ処理を繰り返して得られる膜厚の変動に基づいて制御規則を定めるため、制御規則に薄膜製造装置の特性が反映される。
本発明の薄膜製造方法は、更に、(b)前記薄膜製造装置を用いて、製膜バッチ処理を繰り返す工程と、(c)前記(b)工程において形成されたi層膜(113)を含む太陽電池についてバッチの繰り返しにともなう発電電流の変動を測定するステップと、(d)前記発電電流の変動に基づいて、前記回数Lと前記設定値Lとを対応づける制御規則(100)を定める工程とを具備することが好ましい。この場合、前記薄膜Lは太陽電池用のi層膜である。前記(b)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングMの後、その次のセルフクリーニングM’の前に実行される。前記セルフクリーニングM’は、前記セルフクリーニングNのこと、又は前記セルフクリーニングNより前に実行される前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングのことである。事前に製膜バッチ処理を繰り返して得られる発電電流の変動に基づいて制御規則を定めるため、制御規則に薄膜製造装置の特性が反映される。
本発明の薄膜製造方法は、更に、(b)前記薄膜製造装置を用いて、製膜バッチ処理を繰り返す工程と、(c)前記(b)工程において形成されたi層膜(113)を含む太陽電池についてバッチの繰り返しにともなう発電出力の変動を測定するステップと、(d)前記発電出力の変動とに基づいて、前記回数Lと前記設定値Lとを対応づける制御規則(100)を定める工程とを具備することが好ましい。この場合、前記薄膜Lは太陽電池用のi層膜である。前記(b)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングMの後、その次のセルフクリーニングM’の前に実行される。前記セルフクリーニングM’は、前記セルフクリーニングNのこと、又は前記セルフクリーニングNより前に実行される前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングのことである。事前に製膜バッチ処理を繰り返して得られる発電出力の変動に基づいて制御規則を定めるため、制御規則に薄膜製造装置の特性が反映される。
本発明の薄膜製造方法は、更に、(e)製膜バッチ処理Kを実行して基板K(8)上に薄膜K(113)を形成する工程と、(f)前記薄膜Kの膜厚K(D)を測定する工程とを具備することが好ましい。前記製膜バッチ処理Kは、前記セルフクリーニングNと前記製膜バッチ処理Lとの間に実行される。前記(e)工程は、(e1)前記基板Kを前記対向電極に保持する工程と、(e2)前記製膜室内に前記薄膜Kの原料を含むガスKを導入する工程と、(e3)前記ガスKを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力Kを印加して前記基板K上に前記薄膜Kを形成する工程とを含む。前記(e3)工程において、前記セルフクリーニングNから前記製膜バッチ処理Kまでに前記薄膜製造装置が実行する製膜バッチ処理の回数Kに対応づけられた設定値K(X)に基づいて前記高周波電力Kが制御される。前記(a3)工程において、前記膜厚Kと基準膜厚Kとの比較に基づいて前記設定値Lが補償される。
薄膜製造装置は、セルフクリーニングによってその前のセルフクリーニングの直後の状態に回復するが、全く同一の状態に回復するわけではないため、セルフクリーニングを繰り返すうちにセルフクリーニング直後の状態が少しずつ変化する。この変化により膜厚が変動する場合がある。上記補償により、この変化による膜厚等の品質の変動を抑制することが可能である。
本発明の薄膜製造方法は、更に、(e)製膜バッチ処理Kを実行して基板K(8)上に薄膜K(113)を形成する工程を具備することが好ましい。前記製膜バッチ処理Kは、前記セルフクリーニングNと前記製膜バッチ処理Lとの間に実行される。前記(e)工程は、(e1)前記基板Kを前記対向電極に保持する工程と、(e2)前記製膜室内に前記薄膜Kの原料を含むガスKを導入する工程と、(e3)前記ガスKを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力K(105)を印加して前記基板K上に前記薄膜Kを形成する工程とを含む。前記(e3)工程において、前記セルフクリーニングNから前記製膜バッチ処理Kまでに前記薄膜製造装置が実行する製膜バッチ処理の回数Kに対応づけられた設定値K(X)に基づいて前記高周波電力Kを制御し、前記製膜室内に発生するプラズマの所定の波長における発光強度Kを測定する。前記(a3)工程において、前記発光強度Kと基準発光強度との比較に基づいて前記設定値Lを補償する。
薄膜製造装置は、セルフクリーニングによってその前のセルフクリーニングの直後の状態に回復するが、全く同一の状態に回復するわけではないため、セルフクリーニングを繰り返すうちにセルフクリーニング直後の状態が少しずつ変化する。この変化により製膜速度が変化する場合がある。プラズマの所定の波長(286nm、414nm)における発光強度は製膜速度を反映しているから、上記補償により、この変化による膜厚等の品質の変動を抑制することが可能である。
本発明の薄膜製造方法においては、前記(a3)工程において、前記製膜室内に発生するプラズマLの所定の波長における発光強度Lを測定し、前記発光強度Lと基準発光強度との比較に基づいて前記設定値Lを補償することが好ましい。この補償により、セルフクリーニングの繰り返しによる薄膜製造装置の変化による膜厚等の品質の変動を抑制することが可能である。
本発明の薄膜製造方法においては、前記所定の波長は286nmであることが好ましい。
本発明の薄膜製造方法においては、前記所定の波長は414nmであることが好ましい。
本発明の薄膜製造方法においては、前記セルフクリーニングNは、前記製膜室内にフッ素を含むセルフクリーニング用のガスを導入する工程と、前記セルフクリーニング用のガスを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力を印加する工程とを含むことが好ましい。
本発明の薄膜製造システムは、薄膜製造装置(1)と、制御装置(87)とを具備する。前記薄膜製造装置は、製膜室(6)と、前記製膜室内に設けられた放電電極(3)と、前記製膜室内に設けられ、前記放電電極に対向する対向電極(2)と、前記放電電極に高周波電力を供給する電源部(60)とを備える。前記制御装置は、前記薄膜製造装置について実行された最後のセルフクリーニングの後に前記薄膜製造装置が実行した製膜バッチ処理の回数に基づいて前記電源部を制御する。
本発明の薄膜製造システムは、更に、前記薄膜製造装置を用いて形成された薄膜(113)の膜厚を測定する膜厚測定装置(80)と、補償器(88)とを具備することが好ましい。前記制御装置は、前記回数に対応づけられた設定値(Y)に基づいて前記電源部を制御する。前記補償器は、前記膜厚と基準膜厚との比較に基づいて前記設定値を補償する。
本発明の薄膜製造システムは、更に、前記製膜室内に発生するプラズマの所定の波長における発光強度を測定する発光強度検出器(85)と、補償器(88)とを具備することが好ましい。前記制御装置は、前記回数に対応づけられた設定値(Y)に基づいて前記電源部を制御する。前記補償器は、前記発光強度と基準発光強度との比較に基づいて前記設定値を補償する。
本発明によれば、製品の品質のバッチ毎のばらつきが抑制される薄膜製造方法及び薄膜製造システムが提供される。
添付図面を参照して、本発明による薄膜製造方法及び薄膜製造システムを実施するための最良の形態を以下に説明する。ここでは、太陽電池用の薄膜を製造する場合について説明するが、本発明による薄膜製造方法及び薄膜製造システムは、太陽電池用の薄膜の製造に限定されず、例えば、TFT(Thin Film Transistor)用の薄膜を製造する場合についても適用可能である。
(第1の実施形態)
図3は、本発明の第1の実施形態における薄膜製造システム200を示している。薄膜製造システム200は、薄膜製造装置1と、薄膜製造装置1が製膜した薄膜の膜厚を測定するための膜厚測定装置80と、薄膜製造装置1が製膜した薄膜を含む太陽電池の発電検査を行う発電検査装置86と、薄膜製造装置1の制御をする制御装置87と、設定値読出し装置89とを具備している。制御装置87は、薄膜製造装置1が実行する製膜バッチ処理が薄膜製造装置1について実行された最後のセルフクリーニングから何回目の製膜バッチ処理であるかに応じて薄膜製造装置1を制御する。設定値読出し装置89は、そのための制御条件テーブル100を記憶している。制御条件テーブル100は、処理の回数と制御のための設定値とを対応付けている。制御装置87は、この設定値に基づいて薄膜製造装置1を制御する。膜厚測定装置80は、薄膜製造装置1が製膜した薄膜(i層膜)の膜厚Dを検出し、膜厚Dを示す検出膜厚(i層膜)93を出力する。発電検査装置86は、発電検査用の光を太陽電池パネルに照射し、そのとき太陽電池が出力する初期発電電流及び初期発電出力を検出し、検出初期発電電流95及び検出初期発電出力96として出力する。検出膜厚(i層膜)93、検出初期発電電流95、及び検出初期発電出力96は、工程管理に利用される。
このように、最後のセルフクリーニングから現在までの製膜バッチ処理の回数に基づいて薄膜製造装置1の制御をすることは、一のセルフクリーニングとその次のセルフクリーニングの間で繰り返される製膜バッチ処理においては、製膜バッチ処理を介して製造される製品(例示:この製膜バッチ処理により製造される薄膜又はこの薄膜を含む太陽電池)の品質が、製膜バッチ処理の回数に対して一定の傾向を示して変動することに基づいている。
図4は、薄膜製造装置1の構成を示す概略図である。薄膜製造装置1の側面から見た図である。図中に矢印でXYZ方向を示す。Z方向は、基板8の製膜面に略垂直である。薄膜製造装置1は、製膜室6、対向電極(ヒータカバー)2、ヒータ5、放電電極3、及び防着板4を具備し、さらに放電電極3に高周波電力を供給するための電源部60、高周波給電伝送路14(14a、14b)、整合器13(13a、13b)、及び高周波給電伝送路12(12a、12b)を具備する。また、発光強度検出器85が製膜室6に設けられた窓(図示されず)を介して製膜室6内に発生するプラズマの発光強度を検出可能なように設けられている。なお、本図において、ガス供給に関する構成は省略している。
製膜室6は、真空容器であり、その内部で基板8に膜を製膜する。真空ポンプ(図示さえれず)によって減圧され、ガス供給装置(図示されず)により原料ガス(例示:SiH+H)を供給される。
対向電極2は、放電電極3と略平行になるように製膜室6内に設置されている。基板8を保持可能な保持手段(図示されず)を有する。対向電極2は、導電性の板であり、非磁性材料で製作される。対向電極2は、製膜時、放電電極3に対向する電極(例示:接地側)となる。対向電極2は、一方の面をヒータ5から所定の距離だけ離れて保持されている。そして、製膜時に他方の面を基板8の表面と密接する。そのとき、基板8と放電電極3との距離は、例えば、3mm〜50mmとすることができる。ヒータ5は、対向電極2を介して、基板8全体が概ね均一な温度となるように基板8の裏側から加熱する。
放電電極3は、梯子状の電極である。高周波給電伝送路12aが接続された給電点53と、高周波給電伝送路12bが接続された給電点54とから、それぞれ高周波電力を受電する。製膜時、対向電極2(例示:接地側)に対向する電極(例示:高周波電力投入側)となる。放電電極3と対向電極2との間の放電で発生する原料ガス(例示:SiH+H)のプラズマにより基板8に膜が製膜される。
防着板4は、接地され、プラズマの広がる範囲を抑えることにより、膜が製膜される範囲を制限する。図4の場合、製膜室6の内側における防着板4の後ろ側(基板8と反対の側)の壁に膜が製膜されないようにしている。
電源部60は、高周波電源60aと高周波電源60bとを備えている。
整合器13(一方を整合器13a、他方を整合器13bとする)は、出力側のインピーダンスを整合可能である。電源部60から高周波給電伝送路14(整合器13a及び高周波電源60aを接続する方を高周波給電伝送路14a、整合器13b及び高周波電源60bに接続する方を高周波給電伝送路14bとする)を介して高周波電力を供給され、高周波給電伝送路12(整合器13a及び給電点53を接続する方を高周波給電伝送路12a、整合器13b及び給電点54を接続する方を高周波給電伝送路12bとする)を介して放電電極3へ送電する。
対向電極2、放電電極3、及び防着板4は、鉛直方向に対してθ=7°〜12°傾けて保持されることが好ましい。より好ましくは約10°傾ける。それにより、対向電極2の基板8に接する表面が、鉛直方向に対して7°〜12°上に向くようする。基板8を垂直から僅かに傾けることは、基板8の自重を利用して少ない手間で基板8を保持し、更に基板8と対向電極2の密着性を向上して基板8の温度分布と電位分布を均一化することができて好ましい。また、製膜室6の設置面積も少なくて済む。
図5は、薄膜製造装置1の構成の一部を示す部分斜視図である。図中に矢印でXYZ方向を示す。XYZ方向は、図4の場合と同じである。放電電極3から見て+Z方向に基板8(対向電極2)が配置される。放電電極3は、互いに略平行にZ方向に略垂直なX方向へ延びる2本の横電極20(図中上側を横電極20a、下側を横電極20bとする)と、2本の横電極20の間に設けられ、互いに略平行にX方向及びZ方向の両者に略垂直なY方向に延びる複数の縦電極21とを備える。ただし、縦電極の数は、高周波を均一に給電してプラズマを均一化できること、及び、製作が容易であること等の観点から適切な数を選定できる。複数の縦電極21の各々には、基板8(対向電極2)と対向する側に所定の間隔で所定の大きさのガス噴出し孔22が設けられている。原料ガスは、ガス供給装置(図示されず)から放電電極3に供給され、ガス噴出し孔22から+Z方向に噴き出す。ただし、ガス噴出し孔22の間隔及び大きさは、原料ガスを均一に供給してプラズマを均一化できること等の観点から適切な間隔及び大きさを選定できる。ただし、放電電極3は平板型電極でも良い。
図中、放電電極3の−Z方向側には、放電電極3の裏面側を覆うように防着板4が設けられている。これにより、放電電極3の表側で発生するプラズマが裏面側まで広範囲に広がることを抑えて、製膜室6での不要な製膜を防止することができる。
図6は、薄膜製造装置1における高周波電力の供給に関する構成を示す概略ブロック図である。薄膜製造装置1は、高周波電力の供給に関する構成として、放電電極3の横電極20a側の給電点53に、高周波電源60a、高周波給電伝送路14a、整合器13a、及び高周波給電伝送路12aが、それぞれ設けられている。同様に、高周波電力の供給に関する構成として、放電電極3の横電極20b側の給電点54に、高周波電源60b、高周波給電伝送路14b、整合器13b、及び高周波給電伝送路12bが、それぞれ設けられている。
高周波給電伝送路14a、14bを介して放電電極3に高周波電力を供給する高周波電源60a、60bは、例えば、特開2002−322563号公報に示されるような、高周波給電伝送路14aと高周波給電伝送路14bとに時間的に位相を変調した高周波電力を供給する位相変調型の電源でも良いし、高周波給電伝送路14aと高周波給電伝送路14bとに同位相又は所定の位相差の高周波電力を位相変調なしで供給する電源でも良い。ここで、高周波は、5MHz以上200MHz以下である。5MHz未満になるとその波長と大型基板の大きさとが大きく異なってくるので、定在波の影響が無視できるようになるからである。200MHzより大きくなると、電源及び伝送路の設計が困難になるからである。
ただし、ここでは、複数の給電点53に対して一つの整合器13a及び高周波電源60aが、複数の給電点54に対して一つの整合器13b及び高周波電源60bが、それぞれ設けられている。しかし、複数の給電点53の各々に整合器及び高周波電源が設けられていても良いし、複数の給電点54の各々に整合器及び高周波電源が設けられていても良い。給電点53、54の位置及びその数は変更が可能である。
図7は、放電電極3の構成を示す断面図である。Z方向は、図4及び図5の場合と同じである。横電極20a及び20bは、X方向に延びるパイプである。縦電極21は、Y方向に延びるパイプであり、一方の端部が横電極20aに接続され、多方の端部が横電極20bに接続されている。原料ガス供給装置(図示されず)は、原料ガス配管16(横電極20aに接続する方を原料ガス配管16a、横電極20bに接続する方を原料ガス配管16bとする)を介して放電電極3に接続されている。原料ガス配管16a及び16bの防着板4を通過する部分は、絶縁管17となっている。絶縁管17は、例えばガラス製である。横電極20a側の給電点53には高周波給電伝送路12aが接続されている。横電極20b側の給電点54には、高周波給電伝送路12bが接続されている。
原料ガスは、原料ガス供給装置(図示されず)から原料ガス配管16を通して横電極20に供給され、横電極20内部及び縦電極21内部に設けられたガス流通路を通して各ガス噴出し孔22に到達し、そこから+Z方向に噴き出す。
次に、本発明の薄膜製造方法を工程の一部に含む太陽電池パネルの製造方法について説明する。ここでは、上記に示した薄膜製造装置1を用いて光電変換層のi層膜を製膜する場合を説明する。太陽電池パネルの製造方法は、ステップS1〜ステップS9を含んでいる。なお、製造される太陽電池パネルは、シリコン系薄膜の太陽電池を備えている。
ただし、シリコン系とは、シリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)やシリコンゲルマニウム(SiGe)を含む。ここでは、シリコン系薄膜として、アモルファスシリコンを例とする。
(ステップS1)
ガラスのような透光性の基板8を用意する。基板8は、例えば、1.4m×1.1m、板厚4mmのソーダフロートガラスで、基板端面は破損防止にコーナー面取りやR面取り加工されていることが望ましい。
(ステップS2)
基板8の表面に透明電極層111として酸化錫膜を主成分とする透明導電膜を約500nmから800nmの膜厚となるよう熱CVD装置にて約500℃で形成する。この際、透明電極膜の表面は適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。透明電極層111として、透明電極膜に加えて、基板8と透明電極膜の間にアルカリバリア膜を形成してもよい。
(ステップS3)
プラズマCVD装置により、アモルファスシリコン薄膜からなる光電変換層(p層膜)112を透明電極層111上に形成する。光電変換層(p層膜)112は、SiHガスとHガスとを主原料として含み、更にドーパントとしてジボラン(B)を含む製膜ガスにより製膜される。なお、光電変換層(p層膜)112は、アモルファスSiCであっても良い。光電変換層(p層膜)112の膜厚は、例えば、10nm〜30nmである。
(ステップS4)
薄膜製造装置1を用いてアモルファスシリコン薄膜からなる光電変換層(i層膜)113を光電変換層(p層膜)112上に形成する。ステップS4は、ステップS4a〜ステップS4cを含んでいる。
(ステップS4a)
透明電極層111及び光電変換層(p層膜)112が形成された基板8を対向電極2にセットする。その後、製膜室6を所定の真空度(例示:10−6Pa)にする。対向電極2の温度は、例えば200℃で一定となるようにヒータ5を温度制御されている。
(ステップS4b)
製膜用のガスを、原料ガス配管16、横電極20内部及び縦電極21内部に設けられたガス流通路、ガス噴出し孔22、を介して放電電極3と基板8との間に供給する。アモルファスシリコン薄膜を形成する場合、ガスは、例えば、H+SiH(SiH分圧:2〜20%)である。ただし、製膜圧力の範囲は、例えば、アモルファスシリコン薄膜を形成する場合、200〜600Paである。
(ステップS4c)
整合器13の出力側のインピーダンスの整合をとりながら、電源部60から放電電極3へ所定の高周波電力を供給する。これにより、放電電極3と対向電極2との間に高周波電力が印加されてガスのプラズマが発生し、基板8上にシリコン薄膜としての光電変換層(i層膜)113が製膜される。アモルファスシリコン薄膜を形成する場合、高周波電力及び基板温度と膜厚は、例えば、0.2W/cm及び200℃と250nm〜300nmである。
図8は、透明電極層111、光電変換層(p層膜)112、及び光電変換層(i層膜)113が形成された基板8を示している。
(ステップS5)
膜厚測定装置80は、透過膜厚計であり、光電変換層(i層膜)113に入射される入射光114の強度と、入射光114が光電変換層(i層膜)113を透過した透過光115の強度とから、光電変換層(i層膜)113の膜厚Dを検出し、膜厚Dを示す検出膜厚(i層膜)93を出力する。膜厚測定装置80は、予め求めておいた光電変換層(i層膜)の膜厚と透過光強度とを関係付けるデータを参照して、透過光115の強度からステップS4で製膜された光電変換層(i層膜)113の膜厚Dを検出することが可能である。
(ステップS6)
プラズマCVD装置により、アモルファスシリコン薄膜からなる光電変換層(n層膜)を光電変換層(i層膜)113上に形成する。光電変換層(n層膜)は、SiHガスとHガスとを主原料として含み、更にドーパントとしてホスフィン(PH)を含む製膜ガスにより製膜される。光電変換層(n層膜)の厚さは、例えば、30〜50nmである。
(ステップS7)
光電変換層(n層膜)上に銀やアルミニウムによる裏面導電膜をスパッタリング装置で形成して太陽電池を製造する。なお、必要に応じて各層の間に他の薄膜を形成しても良い。また、特に記載していないが、太陽電池として直列集積構造とするために、途中工程にYAGレーザーなどを用いた膜のエッチング工程を実施する。
(ステップS8)
EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)等による充填材シートを介してバックシートを設置して太陽電池パネルに防水を施す。さらに、太陽電池が発電した電力を出力する端子箱を基板8に取りつけて太陽電池パネルを完成する。
(ステップS9)
完成した太陽電池パネルについて発電検査装置86を用いて発電検査を行う。発電検査装置86は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m)のソーラシミュレータである。発電検査装置86は、発電検査用の光を太陽電池パネルに照射し、そのとき太陽電池が出力する初期発電電流及び初期発電出力を検出し、検出初期発電電流95及び検出初期発電出力96として出力する。初期発電出力は、初期発電電力とも言われる。
上記の太陽電池パネルの製造方法では、アモルファスシリコン太陽電池を一つ製造する例を示している。しかし、本発明がこの例に限定されるものではなく、微結晶シリコン太陽電池や、アモルファスシリコン太陽電池と微結晶シリコン太陽電池とを各1層〜複数層に積層させた多接合型太陽電池などの他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。
以下、図9を参照して本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造方法を説明する。図9は、薄膜製造装置1が実行する処理フローを示している。この処理フローは、ステップS14〜ステップS16を含んでいる。
(ステップS14、ステップS16)
薄膜製造装置1は、ステップS14においてセルフクリーニングNを実行し、ステップS16においてセルフクリーニングN’を実行する。ここで、セルフクリーニングN’は、セルフクリーニングNの次のセルフクリーニングである。セルフクリーニングは、製膜バッチ処理を繰り返すことにより放電電極3や製膜室6の内壁に付着した半導体膜(以下「付着膜」という)を除去するために製膜バッチ処理を所定回数行うごとに実行される。セルフクリーニングは、製膜室6内に横電極20内部及び縦電極21内部に設けられたガス流通路及びガス噴出し孔22を介してフッ素を含むセルフクリーニング用のガスを導入する工程と、セルフクリーニング用のガスを導入しながら、電源部60が放電電極3に所定の高周波電力を供給して放電電極3と対向電極2との間に高周波電力を印加する工程とを含んでいる。これにより、放電電極3と対向電極2の間の領域にFラジカルが発生し、そのFラジカルと付着膜とが反応することにより、放電電極3等から付着膜が除去される。
なお、セルフクリーニングは、所定の累積製膜時間ごとに実施してもよい。ここで、累積製膜時間は、一のセルフクリーニングから次のセルフクリーニングまでに薄膜製造装置1が繰り返す製膜バッチ処理の各バッチ処理における製膜時間を合計したものである。製膜時間とは、例えば、ステップS4cにおける高周波電力の供給時間(印加時間)である。
(ステップS15)
薄膜製造装置1は、セルフクリーニングN(ステップS14)の後、セルフクリーニングN’(ステップS16)の前に、太陽電池の光電変換層(i層膜)113を製膜する製膜バッチ処理(ステップS4)を繰り返す(ステップS15)。
ステップS15について図10を用いて説明する。製膜バッチ処理の各々について、製膜バッチ処理の回数(セルフクリーニングNの後の回数)101が設定値読出し装置89に入力する。設定値読出し装置89は、回数101が示す回数に対応づけられた設定値を制御条件テーブル100から読み出し、読み出した設定値102を制御装置87に出力する。制御装置87は、制御信号104を電源部60に出力し、電源部60がステップS4cにおいて設定値102の指定する高周波電力105を放電電極3に供給するように電源部60を制御する。放電電極3と対向電極2に印加される高周波電力のパワーは高周波電力105のパワーによって規定される。放電電極3と対向電極2に印加される高周波電力の印加時間は高周波電力105の供給時間によって規定される。
制御条件テーブル100の設定値は、高周波電力105のパワー及び供給時間を指定している。制御条件テーブル100は、図2に示されるような薄膜の膜厚等の変動とその薄膜が製膜されるときの設定条件とから、薄膜の膜厚等が所望の値(例示:基準膜厚W)で一定となるように作成されている。制御条件テーブル100においては、製膜バッチ処理ごとに設定値が異なっていても良く、製膜バッチ処理を複数のグループ(例示:序盤グループ、中盤グループ、終盤グループ)にグループ分けをしたグループごとに設定値が異なっていても良い。
図11は、ステップS15において製膜された光電変換層(i層膜)113の膜厚Dと累積製膜時間の関係と、ステップS15において製膜された光電変換層(i層膜)113を含む太陽電池の初期発電電流と累積製膜時間の関係とを示している。左縦軸は初期発電電流、右縦軸は膜厚D、横軸は累積製膜時間である。黒菱形のシンボルは光電変換層(i層膜)113が製膜された製膜バッチ処理までの累積製膜時間と、その光電変換層(i層膜)113を含む太陽電池の初期発電電流の関係を示している。白抜きの四角のシンボルは、光電変換層(i層膜)113が製膜された製膜バッチ処理までの累積製膜時間と、その光電変換層(i層膜)113の膜厚Dとの関係を示している。図11から明らかなように、ステップS15において製膜されたほとんどの光電変換層(i層膜)113について、膜厚Dが基準膜厚Wを中心とする一定範囲(W±ΔW)に含まれている。また、ステップS15において製膜された光電変換層(i層膜)113を含むほとんどの太陽電池について、初期発電出力がA+ΔA〜A+2ΔAの範囲に含まれている。一方、製膜の設定条件を一定として製膜バッチ処理を繰り返したときの結果である図2においては、膜厚は、累積製膜時間が0〜2の区間では上述の基準膜厚Wを中心とする一定範囲(W±ΔW)に含まれるが、累積製膜時間が2〜5の区間では一定範囲の下限(W−ΔW)よりも小さい。初期発電電流は、A−ΔA〜A+2ΔAの範囲に分布している。すなわち、図11に示された膜厚分布及び初期発電電流分布は、図2に示された膜厚分布及び初期発電電流分布よりも改善されている。
図12は、製膜の設定条件を一定として製膜バッチ処理を繰り返すことで光電変換層(i層膜)が製膜された基板と、ステップS15において光電変換層(i層膜)113が製膜された基板とについて、膜厚Dが一定範囲(W±ΔW)に含まれる基板の割合を製膜面A〜Dに関して比較している。製膜面A〜Dは、一つの基板上の異なる製膜面である。製膜の設定条件を一定として光電変換層(i層膜)が製膜された基板について膜厚Dが一定範囲(W±ΔW)に含まれる基板の割合は、製膜面Aに関しては60%を越えているが、製膜面B及び製膜面Cに関しては50%弱であり、製膜面Dに関しては25%程度である。ステップS15において光電変換層(i層膜)113が製膜された基板について膜厚Dが一定範囲(W±ΔW)に含まれる基板の割合は、製膜面A及び製膜面Bに関しては80%弱であり、製膜面C及びDについては70%程度である。ステップS15においては、設定値が回数に応じて異なっている制御条件テーブル100に基づいて薄膜製造装置1を制御して製膜したことにより、膜厚Dが一定範囲(W±ΔW)に含まれる基板の割合が増加し、製膜面の違いによる差異も減少した。
図13は、製膜の設定条件を一定として製膜バッチ処理を繰り返すことで光電変換層(i層膜)が製膜された基板と、ステップS15において光電変換層(i層膜)113が製膜された基板とについて、膜厚分布の標準偏差を製膜面A〜Dに関して比較している。製膜の設定条件を一定として光電変換層(i層膜)が製膜された基板についての膜厚分布の標準偏差は、製膜面Aに関しては4程度であり、製膜面B〜Dに関しては2程度である。ステップS15において光電変換層(i層膜)113が製膜された基板についての膜厚分布の標準偏差は、製膜面A〜Dに関して1程度である。ステップS15においては、設定値が回数に応じて異なっている制御条件テーブル100に基づいて薄膜製造装置1を制御して製膜したことにより、膜厚分布の標準偏差が減少し、製膜面の違いによる差異も減少した。
次に、制御条件テーブル100を作成する方法について説明する。
(ステップS11、ステップS13)
薄膜製造装置1は、セルフクリーニングMを実行し(ステップS11)、セルフクリーニングM’を実行する(ステップS13)。ここで、セルフクリーニングM’は、セルフクリーニングMの次のセルフクリーニングである。
(ステップS12)
薄膜製造装置1は、セルフクリーニングMの後、セルフクリーニングM’の前に、太陽電池の光電変換層(i層膜)113を製膜する製膜バッチ処理(ステップS4)を繰り返す(ステップS12)。ステップS12により得られるデータに基づいて制御条件テーブル100を作成する。
したがって、ステップS12はステップS15の前に実行される。つまり、セルフクリーニングM’は、セルフクリーニングNのこと、又は、セルフクリーニングNの前に薄膜製造装置1が実行するセルフクリーニングのことである。セルフクリーニングM’がセルフクリーニングNである場合、ステップS13はステップS14である。
ステップS12における処理が図14に示されている。電源部60が放電電極3に供給すべき高周波電力105を指定する設定値102’が制御装置87に入力する。制御装置87は、制御信号104を電源部60に出力し、電源部60がステップS4cにおいて設定値102’が指定する高周波電力105を放電電極3に対して供給するように電源部60を制御する。ここで、設定値102’は、高周波電力105のパワー及び供給時間を指定している。高周波電力105のパワーにより対向電極2及び放電電極3の間に印加される高周波電力のパワーが規定され、高周波電力105の供給時間により対向電極2及び放電電極3の間に印加される高周波電力の印加時間が規定される。設定値102’は、ステップS12における製膜バッチ処理の各々について一定である。膜厚測定装置80は、ステップS12における製膜バッチ処理の各々において薄膜製造装置1が製膜した光電変換層(i層膜)113の膜厚Dを検出し、検出膜厚(i層膜)93を出力する。発電検査装置86は、ステップS12における製膜バッチ処理の各々において薄膜製造装置1が製膜した光電変換層(i層膜)113を含む太陽電池の初期発電電流及び初期発電出力を検出し、検出初期発電電流95及び検出初期発電出力96を出力する。設定値102’から、制御条件テーブル100’が得られる。制御条件テーブル100’は、製膜バッチ処理の回数と高周波電力105の設定値(パワー、供給時間)とを対応づけている。また、検出膜厚(i層膜)93、検出初期発電電流95、又は検出初期発電出力96から、検出値テーブル106が得られる。検出値テーブル106は、製膜バッチ処理の回数と検出値(膜厚D、初期発電電流、初期発電出力)とを対応づけている。なお、製膜バッチ処理の回数は、注目している製膜バッチ処理の前に行われたセルフクリーニングのうち最後のセルフクリーニングの後に薄膜製造装置1が行う最初の製膜バッチ処理を1回目として数える。したがって、制御条件テーブル100’及び検出値テーブル106においては、セルフクリーニングMの後に薄膜製造装置1が最初に行う製膜バッチ処理を1回目として回数を数えている。制御条件テーブル100、制御条件テーブル100’、及び検出値テーブル106は、図14においてグラフのように記載されているが、テーブルである。
ここでは、図2に示すような検出値テーブル106のデータが得られたものとして説明する。図2において、左縦軸は初期発電電流、右縦軸は膜厚D、横軸は累積製膜時間である。黒菱形のシンボルは光電変換層(i層膜)113が製膜された製膜バッチ処理までの累積製膜時間と、その光電変換層(i層膜)113を含む太陽電池の初期発電電流の関係を示している。白抜きの四角のシンボルは、光電変換層(i層膜)113が製膜された製膜バッチ処理までの累積製膜時間と、その光電変換層(i層膜)113の膜厚Dとの関係を示している。なお、ステップS12においては、製膜バッチ処理の各々についての製膜時間が一定であるため、図2の横軸を製膜バッチ処理の回数としてもグラフは同様である。図2から明らかなように、一定の製膜条件で製膜しているにもかかわらず、初期発電電流及び膜厚Dが累積製膜時間に対して変動している。膜厚Dは、累積製膜時間の増加とともに減少する傾向を示し、累積製膜時間が0〜2の区間では基準膜厚Wを中心とする一定範囲(W±ΔW)に含まれるが、累積製膜時間が2〜5の区間では一定範囲の下限(W−ΔW)よりも小さい。初期発電電流は、ばらつきが相対的に大きいものの、膜厚Dと同様に累積製膜時間の増加とともに減少する傾向を示し、A−ΔA〜A+2ΔAの範囲に分布している。この膜厚Dの変動の規則性を示す曲線(直線)106aを最小2乗法等の統計的手法により求めることが可能である。ここで、曲線106aにおいては、偶然誤差による膜厚Dの変動が捨象され、膜厚Dが累積製膜時間(製膜バッチ処理の回数)に対して変動する傾向が抽象されている。
したがって、検出値としての膜厚Dが製膜バッチ処理の回数に対して基準膜厚Wで一定になるように、制御条件テーブル100’における設定値を修正して制御条件テーブル100を作成する。例えば、曲線106aは製膜バッチ処理の回数が増加すると膜厚Dが減少する傾向を示しているので、高周波電力105の供給時間を製膜バッチ処理の回数によらず一定にしたまま、高周波電力105のパワーが製膜バッチ処理の回数とともに増加するように制御条件テーブル100’における設定値を修正して制御条件テーブル100を作成する。高周波電力105のパワーが大きいほど製膜速度が大きいため、製膜バッチ処理の回数に対して膜厚Dを基準膜厚Wで一定にすることができる。制御条件テーブル100においては、製膜バッチ処理の回数がKのときの設定値がXであり、回数がKよりも大きいLのときの設定値がYである。ここで、Xは、例えば制御条件テーブル100’における高周波電力のパワーを指定している。Yは、Xよりも大きいパワーを指定している。なお、曲線106aの如何によっては、YがXよりも小さくなる場合もあり得る。
また、上述の場合とは逆に、パワーを製膜バッチ処理の回数によらずに一定にして供給時間の設定値を修正してもよい。さらに、パワーが大きすぎると製膜される膜質が変化すること、及び、供給時間を長くすると一回の製膜バッチ処理の所要時間が長くなって製造効率が低下することを考慮して、パワーが所定の値を超えない範囲では供給時間を一定にしてパワーを修正し、パワーを所定の値を超えて大きくしないと所望の膜厚を達成できない場合に限ってパワーを所定の値で一定にして供給時間を修正しても良い。
ここで、図1(a)に示されるように初期発電出力の変化量と膜厚の変化量には比例関係があり、初期発電出力と初期発電電流には比例関係がある。したがって、膜厚Dの場合と同様に、検出値としての初期発電電流又は初期発電出力が製膜バッチ処理の回数に対して所望の基準値で一定になるように、制御条件テーブル100’における設定値を修正して制御条件テーブル100を作成することも可能である。
なお、薄膜製造装置1の制御に用いられる制御条件テーブル100は、上述したように薄膜製造装置1に関する制御条件テーブル100’及び検出値テーブル106に基づいて作成されることが好ましい。制御条件テーブル100に薄膜製造装置1の特性が反映されるためである。また、制御条件テーブル100は、薄膜製造装置1と同型の他の薄膜製造装置に関する同様のデータから作成されても良く、他の既存のデータから作成されても良い。また、制御条件テーブル100の作成に際しては、設定値102’は製膜バッチ処理の回数ごとに異なっていても良い。
上述した制御条件テーブル100’における設定値を修正して制御条件テーブル100を作成することは、ステップS12の後、ステップS15の前に実行される。
(第2の実施形態)
図15は、本発明の第2の実施形態に係る薄膜製造システム200’を示している。薄膜製造システム200’は、薄膜製造装置1と、薄膜製造装置1が製膜した薄膜の膜厚を測定するための膜厚測定装置80と、薄膜製造装置1が製膜した薄膜を含む太陽電池の発電検査を行う発電検査装置86と、薄膜製造装置1の制御をする制御装置87と、発光強度検出器85と、補償器88と、設定値読出し装置89とを具備している。薄膜製造装置1、膜厚測定装置80、発電検査装置86は、第1の実施形態と同様である。設定値読出し装置89が記憶している制御条件テーブル100は、第1の実施形態の場合と同様に作成される。発光強度検出器85は、薄膜製造装置1で発生するプラズマの所定の波長における発光強度を検出し、検出発光強度94を出力する。ここで、所定の波長は、Si*ラジカルの発光波長である286nm、又はSiH*ラジカルの発光波長である414nmである。これらのラジカルの発光強度は、シリコン膜の堆積速度を反映している。なお、プラズマ中に存在する他の発光性ラジカルであるHβ*の発光波長は486nm、Hαの発光波長は656nmである。発光波長が発光性ラジカルごとに大きく異なっているため、所望の発光性ラジカルについての発光強度を検出することが可能である。
薄膜製造装置1は、上述したステップS14〜ステップS16を実行する。
第2の実施形態においては、補償器88がステップS15において設定値を補償することにより、薄膜製造装置1が形成する光電変換層(i層膜)113の膜厚D、及びこの光電変換層(i層膜)113を含む太陽電池の品質の変動をより抑制することが可能である。
第2の実施形態におけるステップS15について図16を用いて説明する。製膜バッチ処理の各々について、製膜バッチ処理の回数(セルフクリーニングNの後の回数)101が設定値読出し装置89に入力する。設定値読出し装置89は、制御条件テーブル100から回数101が示す回数に対応づけられた設定値を制御条件テーブル100から読み出し、読み出した設定値102を補償器88に出力する。補償器88は設定値102を補償して補償後の設定値103を制御装置87に出力する。制御装置87は、制御信号104を電源部60に出力し、電源部60がステップS4cにおいて設定値103の指定する高周波電力105を放電電極3に供給するように電源部60を制御する。
以下、より具体的に説明する。薄膜製造装置1がセルフクリーニングNの後に実行するK回目の製膜バッチ処理(ステップS4)に際し、回数Kとしての回数101が設定値読出し装置89に入力する。設定値読出し装置89は、制御条件テーブル100から回数Kに対応づけられた設定値Xを読み出し、設定値Xを示す設定値102を補償器88に出力する。K回目の製膜バッチ処理では、補償器88は、設定値102をそのまま設定値103として制御装置87に出力する。制御装置87は、制御信号104を出力し、電源部60がステップS4cにおいて設定値Xの指定する高周波電力105を放電電極3に対して供給するように電源部60を制御する。ここで、設定値Xは、高周波電力105のパワー及び供給時間を指定している。発光強度検出器85は、薄膜製造装置1がK回目の製膜バッチ処理をしているときに製膜室6内に発生するプラズマの所定の波長における発光強度を検出し、この発光強度を示す検出発光強度94を補償器88に出力する。膜厚測定装置80は、薄膜製造装置1がK回目の製膜バッチ処理において製膜した光電変換層(i層膜)113の膜厚Dを検出し、膜厚Dを示す検出膜厚(i層膜)93を補償器88に出力する。
薄膜製造装置1がセルフクリーニングNの後に実行するL回目の製膜バッチ処理(ステップS4)に際し、回数Lとしての回数101が設定値読出し装置89に入力する。設定値読出し装置89は、制御条件テーブル100から回数Lに対応づけられた設定値Yを読み出し、設定値Yを示す設定値102を補償器88に出力する。ここで、設定値Yは高周波電力105のパワー及び供給時間を指定している。L回目の製膜バッチ処理では、補償器88は、設定値Yを補償した設定値Y’としての設定値103を制御装置87に出力する。ここで補償器88は、例えば、式:
Y’=Y+k(B0−B)
により設定値Y’を算出する。ここで、Bは薄膜製造装置1がK回目の製膜バッチ処理で製膜した光電変換層(i層膜)113の膜厚D、B0は補償器88に入力する基準膜厚97が示す基準膜厚W、kは比例定数である。したがって、K回目の製膜バッチ処理で製膜された光電変換層(i層膜)113の膜厚Dが基準膜厚Wよりも大きい場合には、設定値Yよりも小さい設定値Y’が得られ、その逆の場合には、設定値Yよりも大きい設定値Y’が得られる。制御装置87は、制御信号104を出力し、電源部60がステップS4cにおいて設定値Y’の指定する高周波電力105を放電電極3に対して供給するように電源部60を制御する。なお、設定値Yから設定値Y’を算出する場合、高周波電力105のパワー又は供給時間のいずれか一について補償しても良く、両者について補償しても良い。
セルフクリーニングを実行することにより、薄膜製造装置1の状態はその前のセルフクリーニング直後の状態に回復する。しかし全く同じ状態に回復するわけではないため、セルフクリーニングを何度も繰り返すうちにセルフクリーニング直後の薄膜製造装置1の状態が変動する。そのため、例えば10回目のセルフクリーニング後における10回目の製膜バッチ処理のときの薄膜製造装置1の状態は、20回目のセルフクリーニング後における10回目の製膜バッチ処理のときの薄膜製造装置1の状態と異なる。補償器88による補償には、このようなセルフクリーニングの直後の薄膜製造装置1の状態の変動により生じる膜厚Dの変動を抑制する効果がある。この補償により、L回目の製膜バッチ処理で製膜される光電変換層(i層膜)113の膜厚Dが基準膜厚Wに近づく。
なお、補償器88は、薄膜製造装置1がK回目の製膜バッチ処理をしているときに製膜室6内に発生するプラズマの所定の波長における発光強度(B)と、補償器88に入力する基準発光強度98が示す基準発光強度(B0)との比較に基づいて設定値Yを補償して設定値Y’を求めることとしても良い。ここで、補償器88が設定値Yが示す高周波電力105のパワーについて補償する場合には、L回目の製膜バッチ処理において製膜室6内に発生するプラズマの所定の波長における発光強度が基準発光強度に近づく。
また、補償器88は、以下のような補償をすることも可能である。薄膜製造装置1が実行するL回目の製膜バッチ処理(ステップS4)に際し、回数Lとしての回数101が設定値読出し装置89に入力する。設定値読出し装置89は、制御条件テーブル100から回数Lに対応づけられた設定値Yを読み出し、設定値Yとしての設定値102を補償器88に出力する。補償器88は、設定値Yとしての第1の設定値103を制御装置87に出力する。制御装置87は、電源部60に制御信号104を出力し、電源部60がステップS4cにおいて設定値Yの指定する高周波電力105を放電電極3に対して供給するように電源部60を制御する。発光強度検出器85は、このとき製膜室6内に発生するプラズマの所定の波長における発光強度を検出し、この発光強度を示す検出発光強度94を補償器88に出力する。補償器88は、検出発光強度94が示す発光強度(B)と基準発光強度98が示す基準発光強度(B0)との比較に基づいて設定値Yを補償した設定値Y’を算出し、設定値Y’としての第2の設定値103を制御装置87に出力する。制御装置87は、電源部60に制御信号104を出力し、電源部60がL回目の製膜バッチ処理におけるステップS4cの途中から設定値Y’の指定する高周波電力105を放電電極3に対して供給するように電源部60を制御する。すなわち、高周波電力105のパワー又は供給時間が製膜バッチ処理の途中で変更される。
補償器88は、製膜バッチ処理ごとに補償を行っても良く、製膜バッチ処理を複数のグループ(例示:序盤グループ、中盤グループ、終盤グループ)にグループ分けをしたグループごとに補償を行っても良い。
上述の説明においては、本発明の薄膜製造方法を薄膜製造システム200及び薄膜製造システム200’がオンライン制御により実行する場合について説明したが、薄膜製造方法の一部の処理について薄膜製造システム200のオペレータが実行することも可能である。
図1は、(a)初期発電出力−膜厚のグラフ、(b)発電出力の劣化率−膜厚のグラフ、(c)安定後発電出力−膜厚のグラフである。 図2は、製膜の設定条件を一定として製膜バッチ処理を繰り返す従来技術により太陽電池用のi層膜を製膜した場合において、i層膜を含む太陽電池の初期発電電流及びi層膜の膜厚のセルフクリーニング間における変動の一例を示すグラフである。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造システムの構成を示すブロック図である。 図4は、薄膜製造システムが備える薄膜製造装置の構成を示す概略図である。 図5は、薄膜製造装置の構成の一部を示す部分斜視図である。 図6は、薄膜製造装置における高周波電力の供給に関する構成を示す概略ブロック図である。 図7は、薄膜製造装置が備える放電電極の構成を示す断面図である。 図8は、薄膜製造システムが備える膜厚測定装置が実行する膜厚の測定方法について説明するための基板の断面図である。 図9は、本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造方法に関連して薄膜製造装置が実行する処理フローである。 図10は、本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造方法について説明するためのブロック図である。 図11は、本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造方法により太陽電池用のi層膜を製膜した場合において、i層膜を含む太陽電池の初期発電電流及びi層膜の膜厚の変動を示すグラフである。 図12は、製膜の設定条件を一定として製膜バッチ処理を繰り返す従来技術により太陽電池用のi層膜を製膜した場合と本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造方法により太陽電池用のi層膜を製膜した場合とにおいて、膜厚が目標とする範囲に含まれる基板の割合を比較して示すグラフである。 図13は、製膜の設定条件を一定として製膜バッチ処理を繰り返す従来技術により太陽電池用のi層膜を製膜した場合と本発明の第1の実施形態に係る薄膜製造方法により太陽電池用のi層膜を製膜した場合とにおいて、膜厚分布の標準偏差を比較して示すグラフである。 図14は、制御条件テーブルの作成方法について説明するためのブロック図である。 図15は、本発明の第2の実施形態に係る薄膜製造システムの構成を示すブロック図である。 図16は、本発明の第2の実施形態に係る薄膜製造方法について説明するためのブロック図である。
符号の説明
1…薄膜製造装置
2…対向電極
3…放電電極
4…防着板
5…ヒータ
6…製膜室
8…基板
12、12a、12b…高周波給電伝送路
13、13a、13b…整合器
14、14a、14b…高周波給電伝送路
16、16a、16b…原料ガス配管
17…絶縁管
20、20a、20b…横電極
21…縦電極
22…ガス噴出し孔
53、54…給電点
60…電源部
60a、60b…高周波電源
80…膜厚測定装置
85…発光強度検出器
86…発電検査装置
87…制御装置
88…補償器
89…設定値読出し装置
93…検出膜厚(i層膜)
94…検出発光強度
95…検出初期発電電流
96…検出初期発電出力
97…目標膜厚
98…目標発光強度
100、100’…制御条件テーブル
101…回数
102、102’103…設定値
104…制御信号
105…高周波電力
106…検出値テーブル
106a…曲線
111…透明電極層
112…光電変換層(p層膜)
113…光電変換層(i層膜)
114…入射光
115…透過光
200、200’…薄膜製造システム

Claims (8)

  1. 薄膜製造装置を用いた薄膜製造方法であって、
    前記薄膜製造装置は、
    製膜室と、
    前記製膜室内に設けられた放電電極と、
    前記製膜室内に設けられ、前記放電電極に対向する対向電極と
    を具備し、
    前記薄膜製造方法は、
    (a)製膜バッチ処理Lを実行して基板L上に薄膜Lを形成する工程と、
    (e)製膜バッチ処理Kを実行して基板K上に薄膜Kを形成する工程と、
    (f)前記薄膜Kの膜厚Kを測定する工程と、
    を具備し、
    前記(a)工程は、
    (a1)前記基板Lを前記対向電極に保持する工程と、
    (a2)前記製膜室内に前記薄膜Lの原料を含むガスLを導入する工程と、
    (a3)前記ガスLを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力Lを印加して前記基板L上に前記薄膜Lを形成する工程と
    を含み、
    前記(a)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングNの後、その次のセルフクリーニングN’の前に実行され、
    前記(a3)工程において、前記セルフクリーニングNから前記製膜バッチ処理Lまでに前記薄膜製造装置が実行する製膜バッチ処理の回数Lに対応づけられた設定値Lに基づいて前記高周波電力Lが制御され、
    前記製膜バッチ処理Kは、前記セルフクリーニングNと前記製膜バッチ処理Lとの間に実行され、
    前記(e)工程は、
    (e1)前記基板Kを前記対向電極に保持する工程と、
    (e2)前記製膜室内に前記薄膜Kの原料を含むガスKを導入する工程と、
    (e3)前記ガスKを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力Kを印加して前記基板K上に前記薄膜Kを形成する工程と、
    を含み、
    前記(e3)工程において、前記セルフクリーニングNから前記製膜バッチ処理Kまでに前記薄膜製造装置が実行する製膜バッチ処理の回数Kに対応づけられた設定値Kに基づいて前記高周波電力Kが制御され、
    前記(a3)工程において、前記膜厚Kと基準膜厚Kとの比較に基づいて前記設定値Lが補償される薄膜製造方法。
  2. 前記設定値Lは前記高周波電力のパワーを規定する請求項1に記載の薄膜製造方法。
  3. 前記設定値Lは前記高周波電力Lの印加時間を規定する請求項1又は2に記載の薄膜製造方法。
  4. (b)前記薄膜製造装置を用いて、製膜バッチ処理を繰り返す工程と、
    (c)前記(b)工程において形成された薄膜についてバッチの繰り返しにともなう膜厚の変動を測定するステップと、
    (d)前記膜厚の変動に基づいて、前記回数Lと前記設定値Lとを対応づける制御規則を定める工程と
    を具備し、
    前記(b)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングMの後、その次のセルフクリーニングM’の前に実行され、
    前記セルフクリーニングM’は、前記セルフクリーニングNのこと、又は前記セルフクリーニングNより前に実行される前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングのことである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜製造方法。
  5. (b)前記薄膜製造装置を用いて、製膜バッチ処理を繰り返す工程と、
    (c)前記(b)工程において形成されたi層膜を含む太陽電池についてバッチの繰り返しにともなう発電電流の変動を測定するステップと、
    (d)前記発電電流の変動に基づいて、前記回数Lと前記設定値Lとを対応づける制御規則を定める工程と
    を具備し、
    前記薄膜Lは太陽電池用のi層膜であり、
    前記(b)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングMの後、その次のセルフクリーニングM’の前に実行され、
    前記セルフクリーニングM’は、前記セルフクリーニングNのこと、又は前記セルフクリーニングNより前に実行される前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングのことである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜製造方法。
  6. (b)前記薄膜製造装置を用いて、製膜バッチ処理を繰り返す工程と、
    (c)前記(b)工程において形成されたi層膜を含む太陽電池についてバッチの繰り返しにともなう発電出力の変動を測定するステップと、
    (d)前記発電出力の変動とに基づいて、前記回数Lと前記設定値Lとを対応づける制御規則を定める工程と
    を具備し、
    前記薄膜Lは太陽電池用のi層膜であり、
    前記(b)工程は、前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングMの後、その次のセルフクリーニングM’の前に実行され、
    前記セルフクリーニングM’は、前記セルフクリーニングNのこと、又は前記セルフクリーニングNより前に実行される前記薄膜製造装置についてのセルフクリーニングのことである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の薄膜製造方法。
  7. 前記セルフクリーニングNは、
    前記製膜室内にフッ素を含むセルフクリーニング用のガスを導入する工程と、
    前記セルフクリーニング用のガスを導入しながら、前記放電電極と前記対向電極との間に高周波電力を印加する工程と、
    を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の薄膜製造方法。
  8. 薄膜製造装置と、
    制御装置と
    前記薄膜製造装置を用いて形成された薄膜の膜厚を測定する膜厚測定装置と、
    補償器と、
    を具備し、
    前記薄膜製造装置は、
    製膜室と、
    前記製膜室内に設けられた放電電極と、
    前記製膜室内に設けられ、前記放電電極に対向する対向電極と、
    前記放電電極に高周波電力を供給する電源部と
    を備え、
    前記制御装置は、前記薄膜製造装置について実行された最後のセルフクリーニングの後に前記薄膜製造装置が実行する製膜バッチ処理Lの際に、前記製膜バッチ処理Lの回数Lに対応づけられた設定値Lに基づいて前記電源部を制御し、且つ、前記薄膜製造装置について実行された最後のセルフクリーニングNと前記製膜バッチ処理Lとの間に実行する製膜バッチ処理Kの際に、前記製膜バッチ処理Kの回数Kに対応づけられた設定値Kに基づいて前記電源部を制御し、
    前記膜厚測定装置は、前記製膜バッチ処理Kで製膜された膜厚Kを測定し、
    前記補償器は、前記膜厚Kと基準膜厚Kとの比較に基づいて前記設定値Lを補償する薄膜製造システム。
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