JP2012001174A - 有軌道台車システム - Google Patents

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Abstract

【課題】非接触給電線を可動軌道に配線することなく、可動軌道との移動時に搬送台車に給電できるようにする。
【解決手段】有軌道台車システム1は、固定軌道2と、可動軌道3と、搬送台車4と、固定非接触給電線5と、可動非接触給電線6と、を備えている。可動軌道3は、固定軌道2に対して連結および分離可能に移動自在である。搬送台車4は、固定軌道2および可動軌道3に案内される。固定非接触給電線5は、固定軌道2に沿って配置され、搬送台車4に非接触で電力を供給するためのものである。可動非接触給電線6は、可動軌道3に対して固定軌道2側から進出および退避可能に配置され、搬送台車4に非接触で電力を供給するためのものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、台車システム、特に、電動の搬送台車が軌道上を走行する有軌道台車システムに関する。
大型化したガラス基板やそれが複数収納されたカセットを搬送するための電動の搬送台車が知られている。搬送台車は、工場内のクリーンルーム内を自動走行して、処理装置間で物品を搬送する。
このような搬送台車に電力を供給するために固定非接触給電線を配置した有軌道台車システムが従来知られている(例えば、特許文献1参照)。従来の有軌道台車システムは、長円形の固定軌道と、固定軌道の途中に設けられた可動軌道と、両軌道に案内された搬送台車と、を備えている。従来の有軌道台車システムでは、固定非接触給電線は、固定軌道の外周側に配置されている。可動軌道は、固定軌道の内周側に移動可能なメンテナンス台車に搭載されている。
特開2009−165224号公報
前記従来の構成では、可動軌道と一体の給電線を別途設ける、または可動軌道には非接触給電線を設けずに、台車を人が押して可動軌道上を移動させている。
しかし、移動する可動軌道に非接触給電線を別途設けると、可動軌道が移動する距離に応じて非接触給電線を配線しなければならない。このため、非接触給電線の移動距離が長くなり、非接触給電線の構成が複雑になる。
本発明の課題は、非接触給電線を可動軌道に配線することなく、可動軌道との移動時に搬送台車に給電できるようにすることにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明に係る有軌道台車システムは、固定軌道と、可動軌道と、電動の搬送台車と、固定非接触給電線と、可動非接触給電線と、を備えている。可動軌道は、固定軌道に対して連結および分離可能に移動自在である。搬送台車は、固定軌道および可動軌道を走行する。固定非接触給電線は、固定軌道に沿って配置され、搬送台車に非接触で電力を供給するためのものである。可動非接触給電線は、可動軌道に対して固定軌道側から進出および退避可能に配置され、搬送台車に非接触で電力を供給するためのものである。
この有軌道台車システムでは、固定軌道から可動軌道または可動軌道から固定軌道に搬送台車を移動させる際には、可動軌道を固定軌道に連結する。また、可動軌道の連結後に可動非接触給電線を固定軌道側から進出させさる。これにより、可動非接触給電線を可動軌道に沿って配置でき、搬送台車に給電できるようになる。固定軌道に対して連結または解除するために可動軌道を移動させる際には、可動非接触給電線を固定軌道側に退避させてから可動軌道を移動させる。これにより、可動非接触給電線が可動軌道の移動の邪魔にならない。
ここでは、可動非接触給電線を固定軌道側から可動軌道に対して進出および退避可能に配置しているので、固定軌道から可動軌道または可動軌道から固定軌道に搬送台車を移動させる際には可動非接触給電線を可動軌道に向けて進出させ、可動軌道を移動させる際には可動非接触給電線を可動軌道から退避させることができる。このため、非接触給電線を可動軌道に配線することなく、可動軌道との移動時に搬送台車に給電できるようになる。しかも、固定非接触給電線の配置および可動軌道の移動方向を制限することがなくなる。
固定非接触給電線は、少なくとも可動軌道との連結部分では、固定軌道の片側に沿って配置され、可動非接触給電線は、固定非接触給電線が配置されていない側に配置されていてもよい。これにより、固定軌道と可動軌道との間で、隙間無く非接触給電線を配置することができる。
可動非接触給電線と一体で進出および退避可能であり、可動非接触給電線を支持する給電線支持体をさらに備え、給電線支持体は、進出時に可動軌道が固定軌道から分離動作を妨げるようにしてもよい。これにより、給電線支持体で可動軌道の移動を規制できるので、不意の可動軌道の動作による可動非接触給電線の切断を防止できる。
本発明によれば、可動非接触給電線を固定軌道側から可動軌道に対して進出および退避可能に配置しているので、固定軌道から可動軌道または可動軌道から固定軌道に搬送台車を移動させる際には可動非接触給電線を可動軌道に向けて進出させ、可動軌道を移動させる際には可動非接触給電線を可動軌道から退避させることができる。このため、非接触給電線を可動軌道に配線することなく、可動軌道との移動時に搬送台車に給電できるようになる。
本発明の一実施形態による有軌道台車システムの平面図。 搬送台車の側面図。 搬送台車の断面図。 可動軌道の平面図。 可動軌道の側面図。 可動軌道の正面図 可動非接触給電線の断面図。 制御装置のブロック図。
(1)有軌道台車システム
図1に示すように、有軌道台車システム1は、例えば、カセットCに収納された大型のガラス基板等の物品を複数の処理装置、搬入口および搬出口のそれぞれの受け渡し部8との間で搬送する装置である。有軌道台車システム1は、固定軌道2と、可動軌道3と、搬送台車4と、固定非接触給電線5と、可動非接触給電線6と、給電線支持体7と、を備えている。固定軌道2は、天井から吊り下げられており、さらに、固定軌道2の周囲は囲まれた清浄空間になっている。
固定軌道2は、例えば長円形のループ軌道9と、ループ軌道9から分岐および合流するメンテナンス軌道10と、を有している。このメンテナンス軌道10は、中間部が分断されており、その分断部分に可動軌道3が設けられている。搬送台車4は、固定軌道2および可動軌道3上を、例えば白抜き矢印で示す時計回りに走行する。
可動軌道3は、固定軌道2に対して連結および分離可能に移動自在である。この実施形態では、可動軌道3は、メンテナンス軌道10の中間部に配置された昇降装置30を有している。可動軌道3は、昇降装置30により、メンテナンス軌道10に連結される上部位置とメンテナンス軌道10から分離した下部位置とに移動できる。
固定軌道2および可動軌道3には、図1および図3に示すように、走行レール11と走行ガイド12とを有している。走行レール11は、左右一対の第1走行レール11aおよび第2走行レール11bから構成されている。第1走行レール11aおよび第2走行レール11bは、平坦な走行面を有している。
走行ガイド12は、第1走行ガイド12aおよび第2走行ガイド12bを有している。第1走行ガイド12aおよび第2走行ガイド12bは、第1走行レール11aおよび第2走行レール11bの外側端にそれぞれ設けられている。第1走行ガイド12aおよび第2走行ガイド12bは外側端から上方に延びている。
(2)搬送台車
搬送台車4は、図2および図3に示すように、カセットCを載置可能な載置部15と、固定軌道2および可動軌道3を走行可能な走行部16とを有している。載置部15は矩形枠形状の部材である。載置部15の下面には、走行部16を取り付けるための第1取付部15aおよび第2取付部15bが設けられている。第1取付部15aは走行方向の前側に配置されている。第2取付部15bは、走行方向の後側に配置されている。
走行部16は、第1取付部15aに回動自在に取り付けられた駆動走行部16aと、第2取付部15bに回動自在に取り付けられた従動走行部16bとを有している。駆動走行部16aおよび従動走行部16bは、ボギー台車である。駆動走行部16aは、駆動フレーム20aと、左駆動輪21aおよび右駆動輪21bと、を有している。また、従動走行部16bは、従動フレーム20bと、左従動輪21cと、右従動輪21dと、を有している。左駆動輪21aおよび右駆動輪21bと、左従動輪21cおよび右従動輪21dの進行方向両側には、左固定ガイドローラ22aおよび右固定ガイドローラ22bと、左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bと、が各別に設けられている。左固定ガイドローラ22aおよび左分岐ガイドローラ23aは、第1走行ガイド12aに案内される。右固定ガイドローラ22bおよび右分岐ガイドローラ23bは、第2走行ガイド12bに案内される。
駆動フレーム20aは、第1取付部15aに垂直軸回りに回動自在に連結されている。左駆動輪21aおよび右駆動輪21bは、駆動フレーム20aに左右方向の軸回りに回転自在に支持されている。左駆動輪21aおよび右駆動輪21bは、第1走行レール11aおよび第2走行レール11b上を各別に走行する。左駆動輪21aおよび右駆動輪21bは、駆動フレーム20aに設けられた左駆動モータ24aおよび右駆動モータ24bにより各別に駆動される。
従動フレーム20bは、第2取付部15bに垂直軸回りに回動自在に連結されている。左従動輪21cおよび右従動輪21dは、従動フレーム20bに左右方向の軸回りに回転自在に支持されている。左従動輪21cおよび右従動輪21dは、第1走行レール11aおよび第2走行レール11b上を各別に走行する。
駆動フレーム20aおよび従動フレーム20bの外側面には、固定非接触給電線5および可動非接触給電線6からの電力を受ける左ピックアップユニット28aおよび右ピックアップユニット28bが取り付けられている。左ピックアップユニット28aおよび右ピックアップユニット28bは、左駆動輪21aと右駆動輪21bおよび左従動輪21cおよび右従動輪21dを各別に囲むように取り付けられた左取付ブラケット29aおよび右取付ブラケット29bを介して駆動フレーム20aおよび従動フレーム20bの外側面に取り付けられている。
左固定ガイドローラ22aおよび右固定ガイドローラ22bは、左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bと、第1走行ガイド12aおよび第2走行ガイド12bを挟んで各別に配置可能である。左固定ガイドローラ22aおよび右固定ガイドローラ22bは、駆動フレーム20aおよび従動フレーム20bの左側面および右側面にそれぞれ固定されている。左固定ガイドローラ22aおよび右固定ガイドローラ22bは、第1走行ガイド12aおよび第2走行ガイド12bの内側面に接触可能である。
左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bは、駆動フレーム20aおよび従動フレーム20bに前後軸回りに揺動自在に連結されている。左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bは、図示しない電動シリンダにより一括して駆動されている。左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bは、第1走行ガイド12aおよび第2走行ガイド12bの外側面に接触可能なガイド位置と、ガイド位置から上方に揺動した通常走行位置と、通常走行位置からさらに上方に揺動したガイド解除位置とに揺動する。なお、左分岐ガイドローラ23aがガイド位置に配置されると、右分岐ガイドローラ23bがガイド解除位置に配置されるように、左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bは、図示しない連結機構により連結されている。従って、この実施形態では、メンテナンス軌道10に分岐する場合には、右分岐ガイドローラ23bがガイド解除位置に配置され、左分岐ガイドローラ23aがガイド位置に配置される。また、分岐以外で走行する場合は、図3に二点鎖線で示すように、左分岐ガイドローラ23aおよび右分岐ガイドローラ23bが通常走行位置に配置される。
(3)昇降装置
昇降装置30は、図4、図5および図6に示すように、搬送台車4を支持する昇降基台32と、昇降機構34と、上ストッパ36と、下ストッパ38と、昇降機構34を制御する制御装置40と、を備えている。なお、昇降装置30の説明では、搬送台車4の走行方向を前後方向と定義し、前後方向と直交する方向を左右方向と定義し、昇降方向を上下方向と定義する。
(4)昇降部
昇降基台32は、水平に配置されたレール載置部42と、レール載置部42の右側面に上下方向に配置された昇降フレーム44と、を有している。したがって、昇降基台32は、側面視L字状に構成されている。レール載置部42上には、可動軌道3の走行レール11および走行ガイド12が固定されている。可動軌道3の走行レール11および走行ガイド12は、搬送台車4の前後方向長さより僅かに長い。走行レール11の第1走行レール11aおよび第1走行ガイド12aは、搬送台車4の走行方向の左側に配置され、第2走行レール11bおよび第2走行ガイド12bは、右側に配置される。
昇降フレーム44は、上下方向に延びるガイドフレーム45と、ガイドフレーム45の上部と下部とにそれぞれ配置された左右一対の第1ガイドローラ46a、第2ガイドローラ46bおよび第3ガイドローラ46cと、を有している。ガイドフレーム45は、レール載置部42の右端部に固定されて上方に延びる矩形枠状のものである。ガイドフレーム45は、昇降機構34の後述する2本の昇降ガイドレール50の間に配置されている。
第1ガイドローラ46aと第2ガイドローラ46bは、2本の昇降ガイドレール50の左右の両面にそれぞれ接触して昇降ガイドレール50に案内される。第3ガイドローラ46cは2本の昇降ガイドレール50の対向する面に接触して昇降ガイドレール50に案内される。第1ガイドローラ46aと第2ガイドローラ46bは、ガイドフレーム45の上部および下部の左右両側に固定された第1ガイドブラケット47に回転自在に支持されている。第3ガイドローラ46cは、ガイドフレーム45の左右の上端部および下端部に固定された第2ガイドブラケット48に回転自在に支持されている。第1ガイドローラ46aの直径は、第2ガイドローラ46bの直径より大きい。第3ガイドローラ46cの直径は、第1ガイドローラ46aの直径と同じである。ここで、ガイドフレーム45の上部では、第1ガイドローラ46aは、第2ガイドローラ46bの左側に配置され、下部では右側に配置されている。これは、昇降基台32は、昇降機構34に片持ち支持されているため、図5時計回りのモーメントが働く。したがって、力が作用する上部左側および下部右側のガイドローラの直径を大きくしガイドローラに作用する面圧を一定に維持するためである。
(5)昇降機構
昇降機構34は、吊り部材としての昇降チェーン62を用いて、固定軌道2に連結される上部位置と、固定軌道2から分離される下部位置とに昇降基台32を昇降させる。昇降機構34は、昇降基台32をガイドする前後一対の昇降ガイドレール50と、昇降ガイドレール50を支持する固定フレーム52と、昇降基台32を昇降駆動する昇降駆動部54と、を有している。を有している。
昇降ガイドレール50は、前後方向に間隔を隔てて配置され、ガイドフレーム45の両外側に配置されている。昇降ガイドレール50は、昇降基台32の左方への移動を規制する左規制面50aと、右方への移動を規制する右規制面50bと、前後方向の移動を規制する前後規制面50cと、を有している。この左規制面50aおよび右規制面50bに第1ガイドローラ46aおよび第2ガイドローラ46bがそれぞれ接触し、前後規制面50cに第3ガイドローラ46cが接触する。
固定フレーム52は、昇降ガイドレール50を外側から固定する2本の支柱52aを含み、矩形枠形状に形成されている。固定フレーム52の下部は、昇降基台32の先端の前側まで延びている。固定フレーム52には、昇降駆動部54が配置されている。
昇降駆動部54は、昇降モータ56と、前後一対の駆動スプロケット58と、前後一対の従動スプロケット60と、駆動スプロケット58および従動スプロケット60に掛けわたれる前後一対の昇降チェーン62と、を有している。
駆動スプロケット58は、固定フレーム52の下部に前後方向に沿って配置された駆動軸63に回転不能に連結されている。駆動軸63は、昇降モータ56によりチェーン駆動される。
従動スプロケット60は、固定フレーム52の上部に駆動スプロケット58に対向して配置されている。昇降チェーン62は、ガイドフレーム45に固定されている。
(6)上ストッパ
上ストッパ36は、上昇する昇降基台32に上側から接触するように上部位置に対応して配置された位置決め部材である。上ストッパ36は、図4のA部および図6のB部に拡大して示すように、メンテナンス軌道10の分断部分側から可動軌道3側に突出して配置された板状の部材である。上ストッパ36は、メンテナンス軌道10の第1走行レール11aおよび第2走行レール11bの下面に近接してメンテナンス軌道10の支持部材に固定されている。
昇降基台32のレール載置部42において、可動軌道3の第1走行レール11aおよび第2走行レール11bの内側面には、上ストッパ36の下面に当接する板状の上当接部64が配置されている。上当接部64は、たとえば、矩形板の一つの角部を四角く切り欠いた形状である。上当接部64は、第1走行レール11aおよび第2走行レール11bの内側面に近接してレール載置部42に固定されている。
(7)下ストッパ
下ストッパ38は、下降する昇降基台32に下側から当接するように下部位置に対応して配置された位置決め部材である。下ストッパ38は、固定フレーム52の先端側において、走行レール11の下方に対向して配置されている。
昇降基台32のレール載置部42の下ストッパ38に対向する走行レール11の下方には、下ストッパ38の上面に当接する下当接部66が配置されている。下当接部66は、下方に延びて形成されている。
(8)制御装置
制御装置40は、固定フレーム52の右端に配置された制御盤68の内部に配置されている。制御装置40は、図8に示すように、昇降装置30の昇降モータ56および可変非接触給電線6の後述する給電線支持体69を制御する。制御装置40には、昇降位置検出部57と、昇降モータ56と、給電線支持体69の2本の電動シリンダ82と、通信部59と、その他のセンサと、が接続されている。昇降位置検出部57は、昇降モータ56の回転数の検出により昇降基台32の昇降位置を検出する、たとえばロータリエンコーダを用いている。通信部59は、搬送台車4の制御部及び図示しない上位コンピュータと通信を行う。
制御装置40は、機能構成として上部位置決め制御部40aと下部位置決め制御部40bと、を有している。上部位置決め制御部40aでは、上部位置に相当する昇降位置を予め検出し、検出された昇降位置で昇降モータ56を停止させる。具体的には、昇降基台32に搬送台車4が支持された状態で昇降基台32が上ストッパ36に接触したときに、昇降位置検出部57が検出した昇降位置を上部位置として記憶する。そして記憶された上部位置に昇降基台32が到達すると昇降モータ56が停止するように昇降機構34を位置決め制御する。これにより、昇降基台32が下部位置で位置決めされる。なお、上部位置を記憶する際には、搬送台車4には、最大積載量に相当する重り等を載せておくのが好ましい。
下部位置決め制御部40bでは、下部位置に相当する昇降位置を予め検出し、検出された昇降位置で昇降モータ56を停止させる。具体的には、昇降基台32に搬送台車4が支持されていない状態で昇降基台32が下ストッパ38に接触したときに昇降位置検出部57が検出した昇降位置を下部位置として記憶する。そして記憶された下部位置に昇降基台32が到達すると昇降モータ56が停止するように昇降機構34を位置決め制御する。これにより、昇降基台32が下部位置で位置決めされる。
したがって、制御装置40は、昇降基台32の上昇時には、搬送台車4が支持されて昇降チェーン62がわずかに伸びた状態で、上ストッパ36が上当接部64に接触して上部位置に昇降基台32が位置決めされるように昇降機構34を制御する。これにより、昇降基台32が上部位置にあるとき、搬送台車4が昇降基台32から外れても、昇降基台32が上昇しない。このときのチェーン62に作用する張力はわずかであり、無理な張力がチェーン62に作用することはない。
一方、昇降基台32の下降時には、搬送台車4が支持されずに昇降チェーン62があまり伸びていない状態で、下ストッパ38が下当接部66に接触して下部位置に昇降基台32が位置決めされるように昇降機構34を制御する。これにより、昇降基台32が下部位置にあるとき、搬送台車4が支持されていても、昇降基台32が下降しない。
ここでは、制御装置40は、上昇時と下降時とで昇降位置検出部57の検出値により同じ回転数だけ駆動スプロケット58が回転するように昇降モータ56を制御するだけの簡単な制御で昇降機構34を制御している。したがって、制御部41による昇降制御では、上部位置及び下部位置を検出するセンサの出力による制御は行っていない。
(9)固定非接触給電線
固定非接触給電線5は、図1に示すように、固定軌道2に沿って配置され、搬送台車4に非接触で電力を供給するための給電線である。固定非接触給電線5は、図2および図4に示すように上下に間隔を隔てて配置された2組のリッツ線5aおよびリッツ線5bにより構成されている。固定非接触給電線5には、図1に示すように、電源装置61から電力が供給されている。固定非接触給電線5は、固定軌道2のループ軌道9では、たとえば、右側の第2走行レール11b右側で図示しない給電線支持部材により支持されている。一方、メンテナンス軌道10では、左側の第1走行レール11aの左側に分岐部から分断部分の手前側までおよび分断部分から合流部まで配置されている。なお、ループ軌道9のメンテナンス軌道10への分岐部およびメンテナンス軌道10からの合流部では、所定距離だけ固定非接触給電線5が第2走行レール11bの左側にもメンテナンス軌道10と連続して配置されている。
(10)可動非接触給電線
可動非接触給電線6は、図4および図7に示すように、可動軌道3に対して固定軌道2側から進出および退避可能に配置され、搬送台車4に非接触で電力を供給するための給電線である。可動非接触給電線6には、電源装置61から電力が供給されている。可動非接触給電線6は、図7に示すように上下に間隔を隔てて配置された2組のリッツ線6aおよびリッツ線6bにより構成されている。可動非接触給電線6は、メンテナンス軌道10の分断部分の両側に固定非接触給電線5と対向して配置されている。従って、この実施形態では、メンテナンス軌道10の第2走行レール11bの左側に配置されている。
可動非接触給電線6は、給電線支持体69により支持されている。給電線支持体69は、メンテナンス軌道10の第2走行レール11bの左方に配置された固定部70と、可動部72と、駆動部76と、を有している。固定部70はメンテナンス軌道10の第2走行レール11bの左方に配置されたブラケット84に固定されている。可動部72は、リニアガイド74により固定部70に前後移動自在に支持されている。可動部72は、メンテナンス軌道10に配置される図4に実線で示す退避位置と、可動軌道3に配置される図4に二点鎖線で示す進出位置とに前後移動可能である。可動部72の第2走行レール11b側の側面には、配線ブラケット78が固定されている。配線ブラケット78の先端には、配線支持部80が係止されている。この配線支持部80に2組の可動非接触給電線6が保持されている。可動非接触給電線6は、可動部72が進出位置に配置されると、可動レール3上で停止した搬送台車4の駆動フレーム20aおよび従動フレーム20bに装着された右ピックアップユニット28b内に配置可能である。駆動部76は、例えば電動シリンダ82を有しており、電動シリンダ82のシリンダロッド82aの先端に可動部72が固定されている。配線支持部80の後端側で可動非接触給電線6は、図示しないケーブルベアに案内されている。可動部72は、進出位置にあるとき、可動軌道3が固定軌道2から分離するのを妨げる。すなわち、可動部72が進出すると、搬送台車4の右ピックアップユニット28b内に可動非接触給電線6が配置されるため、可動軌道3の昇降動作が妨げられる。
(11)制御装置の制御動作
制御装置40は、昇降装置30および給電線支持体69を制御する。搬送台車4がメンテナンス軌道10を介して可動軌道3に進入して下部位置に下降させる指令を受けると、制御装置40は、給電線支持体69の可動部72を進出位置に進出させる。また、昇降基台32を上部位置に上昇させる。これにより、搬送台車4への電源の供給が可能になり、可動軌道3に進入可能になる。この昇降基台32の上昇時には、上ストッパ36が上当接部64に当接して昇降基台32が上部位置に位置決めされる。上部位置は、搬送台車4が昇降基台32に支持されたときの昇降位置で上ストッパ36が上当接部64に接触する位置である。したがって、この場合、昇降基台32に搬送台車4は、支持されていないので、昇降チェーン62は位置決めされるまでは搬送台車4による伸びは生じていない。このため、上ストッパ36が無ければ、上部位置より上の位置で停止するが、上ストッパ36が上方から上当接部64に当接して上部位置に昇降基台32が位置決めされる。上ストッパ36による上方からの位置決めにより、昇降チェーン62は搬送台車4の自重分に伸びることになる。
搬送台車4が可動軌道3に進入して停止したとき、昇降チェーン68は伸びた状態になり、搬送台車4が進入しても可動軌道3は下降しない。搬送台車4が可動軌道3で停止すると、可動部72を退避位置に退避させる。これにより、可動非接触給電線6がメンテナンス軌道10側に配置される。この状態で昇降機構34を制御して昇降基台32を下部位置に下降させる。下部位置に到達すると下ストッパ38が下当接部66に当接して下部位置で昇降基台32が位置決めされる。昇降基台32が下部位置で位置決めされ、搬送台車4が下部位置から取り除かれると、昇降チェーン62に作用する張力が搬送台車4の分だけ小さくなる。しかし、下部位置は、搬送台車4を支持していない状態での昇降位置であるため、下部位置が上方にずれることがない。
下部位置にある搬送台車4を可動軌道3からメンテナンス軌道3に移動させる指令を受けると、制御装置40は、昇降基台32を上昇させる。このとき、昇降基台32に搬送台車4が支持されているので、上部位置に到達すると上ストッパ36に上当接部64が接触する。しかし、上ストッパ36に上当接部64は強く当接してはいない。このとき、昇降チェーン62は搬送台車4の自重分伸びている。昇降基台32が上部位置に到達すると、制御装置40は、可動部72を退避位置から進出位置に進出させる。これにより、搬送台車4に電力が供給され、搬送台車4は可動軌道3からメンテナンス軌道10に移動する。搬送台車4が可動軌道3から外れると、昇降チェーン62は縮んで上ストッパ36に上当接部64が強く当接する。しかし、上ストッパ36により上方への移動が規制されているため、上部位置がずれることはない。
また、搬送台車4が可動軌道3からはずれても可動部72は、進出位置を維持する。可動部72は、昇降基台32の下降命令および上昇命令を受けると退避位置に退避する。可動部72が進出位置にあると、制御装置40は、可動部72を退避位置に移動させてから昇降機構34を制御する。
(12)特徴
(A)有軌道台車システム1は、固定軌道2と、可動軌道3と、電動の搬送台車4と、固定非接触給電線5と、可動非接触給電線6と、を備えている。可動軌道3は、固定軌道2に対して連結および分離可能に移動自在である。搬送台車4は、固定軌道2および可動軌道3を走行する。固定非接触給電線5は、固定軌道2に沿って配置され、搬送台車4に非接触で電力を供給するためのものである。可動非接触給電線6は、可動軌道3に対して固定軌道2側から進出および退避可能に配置され、搬送台車4に非接触で電力を供給するためのものである。
この有軌道台車システム1では、固定軌道2から可動軌道3または可動軌道3から固定軌道2に搬送台車を移動させる際には、可動軌道3を固定軌道2に連結する。また、可動軌道3の連結後に可動非接触給電線6を固定軌道2側から進出させさる。これにより、可動非接触給電線6を可動軌道3に沿って配置でき、搬送台車4に給電できるようになる。固定軌道2に対して連結または解除するために可動軌道3を移動させる際には、可動非接触給電線6を固定軌道2側に退避させてから可動軌道3を移動させる。これにより、可動非接触給電線6が可動軌道3の移動の邪魔にならない。
ここでは、可動非接触給電線6を固定軌道2側から可動軌道3に対して進出および退避可能に配置しているので、固定軌道2から可動軌道3または可動軌道3から固定軌道2に搬送台車4を移動させる際には可動非接触給電線6を可動軌道3に向けて進出させ、可動軌道3を移動させる際には可動非接触給電線6を可動軌道3から退避させることができる。このため、非接触給電線を可動軌道に配線することなく、可動軌道3との移動時に搬送台車4に給電できるようになる。しかも、固定非接触給電線5の配置および可動軌道3の移動方向を制限することがなくなる。
(B)固定非接触給電線5は、少なくとも可動軌道3との連結部分では、固定軌道2の片側に沿って配置され、可動非接触給電線6は、固定非接触給電線5が配置されていない側に配置されていてもよい。これにより、固定軌道2と可動軌道3との間で、隙間無く非接触給電線を配置することができる。
(C)可動非接触給電線6と一体で進出および退避可能であり、可動非接触給電線6を支持する給電線支持体7をさらに備え、給電線支持体7は、進出時に可動軌道3が固定軌道2から分離動作を妨げるようにしてもよい。これにより、給電線支持体7で可動軌道3の移動を規制できるので、不意の可動軌道3の動作による可動非接触給電線6の切断を防止できる。
(13)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態および変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
(a)前記実施形態では、可動軌道3が昇降装置30により昇降したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、可動軌道が横行装置により固定軌道に連結する連結位置と分離する分離位置とに横行する構成にも本発明を適用できる。
(b)前記実施形態では、固定非接触給電線5および可動非接触給電線6が上下に並べて配置された2組のリッツ線で構成されているが、本発明はこれに限定されない。左右に並べて配置された2組のリッツ線であってもよい。
(c)前記実施形態では、可動非接触給電線6が直線的に進出および退避したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、可動非接触給電線6が左右軸回りに旋回して進出および退避するようにしてもよい。
本発明は、可動軌道上と固定軌道上とを搬送台車が走行する有軌道台車システムに適用可能である。
1 有軌道台車システム
2 固定軌道
3 可動軌道
4 搬送台車
5 固定非接触給電線
5a リッツ線
5b リッツ線
6 可動非接触給電線
6a リッツ線
6b リッツ線
7 給電線支持体
8 受け渡し部
9 ループ軌道
10 メンテナンス軌道
11 走行レール
11a 第1走行レール
11b 第2走行レール
12 走行ガイド
12a 第1走行ガイド
12b 第2走行ガイド
15 載置部
15a 第1取付部
15b 第2取付部
16 走行部
16a 駆動走行部
16b 従動走行部
20a 駆動フレーム
20b 従動フレーム
21a 左駆動輪
21b 右駆動輪
21c 左従動輪
21d 右従動輪
22a 左固定ガイドローラ
22b 右固定ガイドローラ
23a 左分岐ガイドローラ
23b 右分岐ガイドローラ
24a 左駆動モータ
24b 右駆動モータ
28a 左ピックアップユニット
28b 右ピックアップユニット
29a 左取付ブラケット
29b 右取付ブラケット
30 昇降装置
32 昇降基台
34 昇降機構
36 上ストッパ
38 下ストッパ
40 制御装置
40a 上部位置決め制御部
40b 下部位置決め制御部
42 レール載置部
44 昇降フレーム
45 ガイドフレーム
46a 第1ガイドローラ
46b 第2ガイドローラ
46c 第3ガイドローラ
47 第1ガイドブラケット
48 第2ガイドブラケット
50 昇降ガイドレール
50a 左規制面
50b 右規制面
50c 前後規制面
52 固定フレーム
52a 支柱
54 昇降駆動部
56 昇降モータ
57 昇降位置検出部
58 駆動スプロケット
59 通信部
60 従動スプロケット
62 昇降チェーン
63 駆動軸
64 上当接部
66 下当接部
68 制御盤
69 給電線支持体
70 固定部
72 可動部
76 駆動部
78 配線ブラケット
80 配線支持部
82 電動シリンダ
82a シリンダロッド
84 ブラケット

Claims (3)

  1. 固定軌道と、
    前記固定軌道に対して連結および分離可能に移動自在な可動軌道と、
    前記固定軌道および前記可動軌道を走行する電動の搬送台車と、
    前記固定軌道に沿って配置され、前記搬送台車に非接触で電力を供給するための固定非接触給電線と、
    前記可動軌道に対して前記固定軌道側から進出および退避可能に配置され、前記搬送台車に非接触で電力を供給するための可動非接触給電線と、
    を備えた有軌道台車システム。
  2. 前記固定非接触給電線は、少なくとも前記可動軌道との連結部分では、前記固定軌道の片側に沿って配置され、
    前記可動非接触給電線は、前記固定非接触給電線が配置されていない側に配置されている、請求項1に記載の有軌道台車システム。
  3. 前記可動非接触給電線と一体で進出および退避可能であり、前記可動非接触給電線を支持する給電線支持体をさらに備え、
    前記給電線支持体は、進出時に前記可動軌道が前記固定軌道から分離する動作を妨げる、請求項1または2に記載の有軌道台車システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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