ところで、このように植物の周囲をシート等で覆うハウス構造であっても、害虫が土側から侵入するという問題がある。かかる問題を解消すべく、土の表面にビニールシートを張ることも各農場で行われているが、これが更なる設置の手間を生み出している。
そこで、本願発明者らは、ビニールシートに代えて板状のパネルを土の上に配置し、パネルに貫通孔を形成することを考案した。この場合には、土の上に植物栽培パネルを設置するだけで手間なく土の表面を覆うことができるとともに、貫通孔を通じて植物の根を土まで到達させることができる。
しかしながら、土壌栽培では、水耕栽培と異なって植物への散水が必要となる。その際に、パネルの上方から植物へ散水したとしても、貫通孔から植物の根へと水が上手く入っていかないおそれがある。特に、土側から害虫が侵入しにくいように貫通孔を小さくした場合には、こうした傾向がより顕著なものとなる。
本発明は、こうした事情に鑑みてなされたものであり、害虫の侵入を手間なく抑制しつつ、撒かれた水を植物の根に効率的に供給することのできる植物栽培装置及びそれに用いられる植物栽培パネル、並びにそれらを用いた植物栽培方法及び植物収穫方法を提供することを主たる目的とする。
上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
第1の発明は、植物栽培時に土の上に設置されて用いられる植物栽培パネルであって、板状に形成されてその第1板面が前記土に接するように配置されるパネル本体を備え、前記パネル本体には、前記植物の根が前記土まで到達することを可能とする貫通孔と、前記土と反対側に配置される第2板面の上の水を前記貫通孔へ誘導する誘導部とが設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、植物栽培パネルが、植物栽培時に土の上に設置されて用いられる。この植物栽培パネルは、板状に形成されてその第1板面が土に接するように配置されるパネル本体を備えているため、土の上に植物栽培パネルを設置するだけで手間なく土の表面を覆うことができる。したがって、この植物栽培パネルによれば、土の表面に張られるビニールシートと同様に、土側からの害虫の侵入を抑制することができる。
ここで、パネル本体には、植物の根が土まで到達することを可能とする貫通孔が設けられているため、この貫通孔を通じてパネル本体よりも下側の土まで植物の根を到達させることができる。したがって、パネル本体よりも下側の土の中の水分や養分を、植物の根から吸収させることができる。一方、植物の茎や葉をパネル本体よりも上側で成長させることができるため、植物の茎や葉の方へ土側から害虫が侵入することをパネル本体により抑制することができる。その結果、土側から害虫が侵入することを手間なく抑制することができる。
さらに、パネル本体には、土と反対側に配置される第2板面の上の水を貫通孔へ誘導する誘導部が設けられている。このため、パネルの上方から植物へ散水された場合に、この誘導部によって、パネルの上面に水が溜まることを抑制して、貫通孔へと水を誘導することができる。その結果、撒かれた水を植物の根に効率的に供給することができる。
植物栽培パネルによって、レタスや白菜、ほうれん草等の葉物野菜が栽培される場合には、その収穫時にパネル本体の第2板面(パネル本体の上面となる板面)に沿って野菜を切断すると、収穫が容易である。しかしながら、第2板面上の水を貫通孔へ誘導する誘導部として、貫通孔の第2板面側の端部全体を第2板面よりも凹ませた構成が設けられていると、収穫時にパネル本体の第2板面に沿って野菜を切断する際に、野菜の葉部分をその下端よりも上の部分で切断するおそれがある。
この点、第2の発明では、第1の発明において、前記貫通孔において前記第2板面側の端部には、前記第2板面と板厚方向の位置が一致する部分が設けられている。このため、植物栽培パネルによって葉物野菜が栽培される場合に、野菜の葉部分を上記部分によって支持することができる。したがって、野菜の葉部分は上記部分よりも上側で成長することとなり、パネル本体の第2板面に沿って野菜を切断する際に、野菜の葉部分をその下端で切断することができる。その結果、葉物野菜等を、容易に且つ無駄なく収穫することができる。
なお、上記部分は、パネル本体と別体で構成されていてもよく、また任意の形状を採用することができる。
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記誘導部は、前記第2板面に設けられ前記貫通孔に繋がる凹部であり、前記凹部において前記貫通孔に近い部分はそれよりも遠い部分と比較して深くされていることを特徴とする。
上記構成によれば、パネル本体の第2板面には貫通孔に繋がる凹部が設けられているため、パネル上方から植物へ散水されると、この水の一部が凹部へ入り込むこととなる。そして、凹部において貫通孔に近い部分はそれよりも遠い部分と比較して深くされているため、凹部に入り込んだ水は、重力の作用により凹部において高い部分から低い部分へと誘導される。したがって、簡易な構造により、撒かれた水を植物の根に効率的に供給することができる。
なお、上記凹部の一例として、前記凹部は、貫通孔に近い部分ほど深く形成されているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、凹部に入り込んだ水を貫通孔へ円滑に誘導することができる。
具体的には、第4の発明のように、第3の発明において、前記凹部は、前記貫通孔から延びる複数の溝であるといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、複数の溝に入り込んだ水を、それらの溝に沿って確実に貫通孔へ誘導することができる。
なお、溝の形状は任意であり、直線状に延びる溝、折れ線状に延びる溝、曲線状に延びる溝、分岐しつつ延びる溝等を採用することができる。
第5の発明では、第4の発明において、前記溝において前記貫通孔に近い部分の幅はそれよりも遠い部分の幅と比較して広くされていることを特徴とする。
上記構成によれば、溝を水の流路と考えた場合に、貫通孔に近い部分(流路の下流部分)の流路面積を、それよりも遠い部分(流路の上流部分)の流路面積よりも大きくすることができる。このため、貫通孔に近い部分ほど水の流量が大きくなったとしても、溝から水が溢れることを抑制することができる。その結果、溝に入り込んだ水を効率的に貫通孔へ誘導することができる。
さらに、第6の発明のように、第4又は第5の発明において、前記複数の溝は、前記貫通孔から放射状に延びているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、貫通孔の四方あるいは八方から貫通孔へ水が誘導されるため、貫通孔の周囲に撒かれた水を満遍なく貫通孔へ誘導することができる。
具体的には、第7の発明のように、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記パネル本体には、前記貫通孔が所定間隔で複数設けられており、前記誘導部は、各貫通孔に対応して設けられているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、各貫通孔へ誘導部により水を誘導することができ、植物栽培パネルにより複数の植物を生育することが容易となる。
第8の発明では、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記貫通孔において、前記第1板面側の端部の孔面積が前記第2板面側の端部の孔面積よりも小さくされていることを特徴とする。
上記構成によれば、パネル本体の貫通孔において、第1板面側の端部すなわち下側に配置される端部の孔面積を、第2板面側の端部すなわち上側に配置される端部の孔面積よりも小さくすることができる。このため、貫通孔の内部に、上側の端部から植物苗のポット(育苗容器)や土を入れ易くなるとともに、その貫通孔の内部のポットや土が、下側の端部から落ちにくくなる。なお、植物苗のポットとしては、植物苗をポットから出さずにそのまま成長させることのできる紙製ポットを用いるとよい。
また、貫通孔の内部に土を入れた状態で植物栽培パネルを運搬する場合に、貫通孔の内部から土が落ちることを抑制することができる。その結果、ポットを用いることなく、植物栽培パネルの貫通孔の内部に入れた土で植物を苗まで育てた後、植物栽培パネルを運搬して土の上に設置することが容易となる。
具体的には、第8の発明において、前記貫通孔の孔面積は、前記第1板面側の部分ほど小さくされているといった構成を採用することができる。こうした構成によれば、貫通孔の構成が複雑になることを抑制しつつ、貫通孔の内部にポットや土を入れ易くするとともに、その貫通孔の内部のポットや土が落ちにくいようにすることができる。
また、第9の発明のように、第8の発明において、前記貫通孔において前記第1板面側の端部には、前記貫通孔の孔断面の中心側へ突出する突出部が設けられているといった構成を採用することもできる。こうした構成によれば、貫通孔の内部のポットや土を突出部によって下から支えることができるため、貫通孔の内部のポットや土が更に落ちにくくなる。
第10の発明は、第1乃至第9の発明のいずれか発明における植物栽培パネルと、前記植物の周囲を覆うシートと、前記シートと前記植物栽培パネルとの間に空間を形成した状態で前記シートを支持するフレーム部材とを備え、前記フレーム部材は、前記土に差し込まれる差込部と、この差込部が前記土に差し込まれた状態において、前記土の上に設置された前記植物栽培パネルを下方へ押圧可能な押圧部とを有することを特徴とする。
上記構成によれば、植物栽培装置においてフレーム部材は、シートと植物栽培パネルとの間に空間を形成した状態でシートを支持する。このため、植物とシートとが接触しない状態で、植物の周囲をシートにより覆うことができる。
ここで、フレーム部材の差込部が土に差し込まれた状態において、土の上に設置された植物栽培パネルを押圧部により下方へ押圧することができるため、パネル本体の第1板面(下面)と土の表面との間に隙間ができることを抑制することができる。その結果、パネル本体の貫通孔を通じて、パネル本体よりも下側の土まで植物の根を到達させることが容易となる。
第11の発明では、第10の発明において、前記押圧部は、前記フレーム部材において前記差込部の先端から所定長さ離れた部分から側方へ張り出す張出部を有することを特徴とする。
上記構成によれば、土の上に設置された植物栽培パネルに隣接させてフレーム部材が設置される場合に、上記所定長さからパネル本体の厚みを引いた長さだけ差込部が土に差し込まれた段階で、張出部がパネル本体に当接してこれを押圧することとなる。このため、フレーム部材の張出部がパネル本体に当接、すなわちパネル本体を押圧するまで差込部を土に差し込むことにより、フレーム部材の設置と植物栽培パネルを下方へ押圧することとを同時に行うことができる。したがって、これらのことを手間なく行うことができる。
さらに、フレーム部材の張出部がパネル本体に当接するまで差込部を土に差し込むことにより、差込部を土に差し込む長さを一定に調整し易くなるため、各フレーム部材の高さを揃え易くなる。
第12の発明では、第10又は第11の発明において、前記シートの端部には、長尺状に延びる縁部材が設けられ、前記フレーム部材において前記差込部の先端から所定長さ離れた部分には、前記縁部材と係合可能な縁部材係合部が設けられており、前記パネル本体の側面と前記シートとを密着させるように、前記縁部材係合部と前記縁部材とが係合していることを特徴とする。
上記構成によれば、シートの端部には、長尺状に延びる縁部材が設けられているため、シートの端部がめくれ上がることを縁部材により抑制することができる。そして、フレーム部材の差込部が土に差し込まれた状態において、差込部の先端から所定長さ離れた部分に設けられた縁部材係合部に縁部材を係合させることができる。
ここで、パネル本体の側面とシートとを密着させるように、縁部材係合部と縁部材とが係合しているため、パネル本体の側面とシートとの隙間から害虫が侵入することを抑制することができる。すなわち、シートよりも外側からの害虫の侵入を、パネル本体の側面とシートとの密着部により抑制することができる。
なお、フレーム部材において、差込部の先端から上記張出部が設けられる部分までの長さと、差込部の先端から上記縁部材係合部が設けられる部分までの長さとは、同一であってもよいし異なっていてもよい。
第13の発明では、第10乃至第12のいずれかの発明において、前記パネル本体には、前記フレーム部材と係合可能なフレーム部材係合部が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、フレーム部材を設置する際に、パネル本体に設けられたフレーム部材係合部にフレーム部材を係合させることができる。このため、植物栽培パネルとフレーム部材との位置決めを容易に行うことができ、ひいては植物栽培パネルとフレーム部材との位置がずれることを抑制することもできる。
なお、フレーム係合部が、フレーム部材と嵌合する溝や、フレーム部材を挿通させる挿通孔によって構成されている場合には、フレーム部材係合部によってフレーム部材を支えることもできる。
第14の発明は、第1乃至第9のいずれかの発明における植物栽培パネルを用いた植物栽培方法であって、前記第1板面が前記土に接するように、前記植物栽培パネルを前記土の上に設置する工程と、前記植物栽培パネルの上方から散水する工程と、前記貫通孔の内部に入れられた土と前記パネル本体よりも下側の前記土とで前記植物を生育する工程と、を備えることを特徴とする。
上記工程によれば、パネル本体の第1板面が土に接するように、植物栽培パネルが土の上に設置されるため、植物栽培パネルにより土側からの害虫の侵入を手間なく抑制することができる。
ここで、パネル本体には、土と反対側に配置される第2板面の上の水を貫通孔へ誘導する誘導部が設けられている。このため、パネルの上方から散水されると、パネル本体の第2板面上の水が誘導部により貫通孔へ誘導される。したがって、パネルの上面に水が溜まることを抑制することができ、撒かれた水を植物の根に効率的に供給することができる。
また、パネル本体には、植物の根が土まで到達することを可能とする貫通孔が形成されているため、この貫通孔を通じてパネル本体よりも下側の土まで植物の根を到達させることができる。そして、貫通孔の内部に入れられた土とパネル本体よりも下側の土とで植物が育てられるため、植物の根をパネル本体よりも下側まで十分に成長させることができる。一方、植物の茎や葉をパネル本体よりも上側で成長させることができるため、植物の茎や葉の方へ土側から害虫が侵入することをパネル本体により抑制することができる。
なお、貫通孔の内部に入れられた土は、パネル本体の貫通孔に直接入れられたものであってもよいし、上記ポットに入ったものであってもよい。
第15の発明は、第2の発明の植物栽培パネルを用いた植物収穫方法であって、前記第2板面に沿って前記植物を切断する工程を備えることを特徴とする。
上述したように、第2の発明の植物栽培パネルでは、貫通孔において第2板面側の端部には、第2板面と板厚方向の位置が一致する部分が設けられている。このため、植物栽培パネルによって葉物野菜が栽培される場合に、野菜の葉部分が上記部分によって支持され、野菜の葉部分は上記部分よりも上側で成長することとなる。したがって、上記工程によれば、パネル本体の第2板面に沿って野菜を切断する際に、野菜の葉部分をその下端で切断することができる。その結果、葉物野菜等を、容易に且つ無駄なく収穫することができる。
第16の発明は、第10の発明の植物栽培装置を用いた植物栽培方法であって、前記第1板面が前記土に接するように、前記植物栽培パネルを前記土の上に設置する工程と、前記フレーム部材の差込部を前記土に差し込むとともに、前記土の上に設置された前記植物栽培パネルを前記押圧部により下方へ押圧する工程と、前記植物栽培パネルの上方から散水する工程と、前記貫通孔の内部に入れられた土と前記パネル本体よりも下側の前記土とで前記植物を生育する工程と、を備えることを特徴とする。
上記工程によれば、フレーム部材の差込部が土に差し込まれるとともに、土の上に設置された植物栽培パネルが押圧部により下方へ押圧されるため、パネル本体の第1板面(下面)と土の表面との間に隙間ができることを抑制することができる。したがって、貫通孔の内部に入れられた土とパネル本体よりも下側の土とで植物を生育するに際して、パネル本体の貫通孔を通じて、パネル本体よりも下側の土まで植物の根を到達させることが容易となる。
第17の発明は、第12の発明の植物栽培装置を用いた植物栽培方法であって、前記第1板面が前記土に接するように、前記植物栽培パネルを前記土の上に設置する工程と、前記パネル本体の側面と前記シートとを密着させるように、前記縁部材係合部と前記縁部材とを係合させる工程と、前記植物栽培パネルの上方から散水する工程と、前記貫通孔の内部に入れられた土と前記パネル本体よりも下側の前記土とで前記植物を生育する工程と、を備えることを特徴とする。
上記工程によれば、パネル本体の側面とシートとを密着させるように、縁部材係合部と縁部材とが係合させられるため、パネル本体の側面とシートとの隙間から害虫が侵入することを抑制することができる。すなわち、シートよりも外側からの害虫の侵入を、パネル本体の側面とシートとの密着部により抑制することができる。
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、植物栽培装置を、畑等で葉物野菜を栽培するための野菜栽培ハウスとして具体化したものである。このハウス内では、例えばレタスや白菜、ほうれん草等が栽培できるようになっている。図1は野菜栽培ハウスを畑等に設置した状態を示す斜視図である。
図1において、野菜栽培ハウス10は、土Sbの上に設置される複数の栽培パネル11(11E)と、その栽培パネル11の上方に野菜栽培空間を形成するフレーム部材21(21E)と、そのフレーム部材21に被せられるように設けられるメッシュシート31とから構成されている。また、各フレーム部材21(21E)の上部には、栽培パネル11の上方から散水するためのホース32が掛け渡されている。ホース32には、所定の間隔で連通孔が設けられており、この連通行から水や農薬等が噴出される。
図1では、野菜栽培ハウス10内において複数の葉物野菜(野菜苗Y)が栽培されている状態が示されている。なお、ここでは、野菜栽培ハウス10において、中間に設置された2枚の栽培パネル11と、両端にそれぞれ設置された栽培パネル11Eとを示しているが、中間に設置される栽培パネル11の枚数は任意に変更することができる。そして、大規模に野菜を栽培する場合には、多数の栽培パネル11が用いられる。
図2は、野菜栽培ハウス10において、栽培パネル11の1枚分に相当する部分の分解斜視図である。この野菜栽培ハウス10が畑等に設置される以前においては、栽培パネル11、フレーム部材21及びメッシュシート31が、図示のごとく分解された状態であることが示されている。ここでは、栽培パネル11に野菜苗Yが配置されている状態を示している。害虫の侵入を抑制するためにメッシュシート31の網目が細かくなっているため、雨はメッシュシート31の網目を通りにくくなっている。なお、栽培パネル11を示す図として、平面図を図3とし、図3の4−4線断面図を図4としている。
図2,3に示すように、栽培パネル11(植物栽培パネル)は、略正方形の板状をなすパネル本体15を有し、そのパネル本体15には複数の貫通孔16が形成されている。貫通孔16は、貫通孔16の内部の土Saで育てられる野菜の根が、パネル本体15よりも下側まで伸びることを可能とするものである。これら貫通孔16はいずれも開口断面が正方形状をなし、平面視において縦横に等間隔で形成されている。なお、貫通孔16の内部の土Saは、ポットに入った状態でもよいし、貫通孔16の内部に直接入れられた状態でもよい。野菜苗Yのポットとしては、野菜苗Yをポットから出さずにそのまま成長させることのできるポットを用いるとよい。すなわち、ポットの底部に野菜苗Yの根が通ることのできる連通孔の設けられたものや、野菜苗Yの根が貫通することのできる紙製のポットを用いるとよい。
パネル本体15の互いに対向する側面の1組には、パネル本体15の両板面(15a,15b)間にわたって延びる溝部18(フレーム部材係合部)がそれぞれ形成されている。この溝部18は、各側面において所定間隔をおいて形成されており、本実施形態では平面視においてパネル本体15の両端部からそれぞれ4分の1の長さの位置に形成されている。溝部18では、その断面形状が半円形状となっており、上記フレーム部材21が係合(詳しくは嵌合)可能なようにその寸法が設定されている。なお、フレーム部材21と嵌合する溝部18を、フレーム部材21を挿通させる挿通孔に変更することもできる。
図4(a)とその部分拡大図である図4(b)に示すように、貫通孔16において、下側(土Sb側)に配置される端部の孔面積は、上側に配置される端部の孔面積よりも小さくなっている。詳しくは、貫通孔16の孔面積は、上側に配置される端部側から下側に配置される端部側へ向かうに連れて徐々に小さくされている。換言すれば、貫通孔16の孔面積は、下側に配置される端部側ほど小さくなっている。このため、縦断面視において、貫通孔16の壁面はテーパ状に形成されている。
貫通孔16の寸法は、上記紙製のポットの大きさに合わせて設定されている。すなわち、市販の紙製のポットを貫通孔16の上側から内部へ入れた場合に、貫通孔16の下側からポットが落ちることなく、貫通孔16の内部にポットが収まるようになっている。詳しくは、栽培パネル11を土Sbの上に配置した場合にポットの底部を土Sbの表面に到達させるために、貫通孔16の内部に入れたポットの底部が栽培パネル11の下面(土Sb側に配置される板面)よりも突出するように貫通孔16の寸法が設定されている。
栽培パネル11は、発泡スチロールで形成されており、軽量でかつ所定の弾性及び断熱性を有している。栽培パネル11は、金型等を用いた発泡成形により形成されている。ここで、発泡スチロールは、水と水素結合を形成しない撥水性材料であり、水に対する濡れ性が弱い。このため、上記ホース32により栽培パネル11の上方から野菜苗Yへ散水したとしても、栽培パネル11の上面に付着した水は水滴となり易く、栽培パネル11上を流動しにくいといった問題がある。その結果、撒かれた水の多くが栽培パネル11上に残り、貫通孔16に入っていかないおそれがある。
そこで、本実施形態では、栽培パネル11上の水を貫通孔16へ誘導する複数の溝(誘導部)をパネル本体15に設けている。以下、図4,5を併せて参照して、この溝について説明する。なお、図5は、栽培パネル11において、1つの貫通孔16に対応する部分を拡大して示す拡大平面図である。栽培パネル11は、各貫通孔16に対応して、図5に示す構成と略同様の構成を複数備えている。
パネル本体15において、土Sbに接するように配置される板面(下面となる板面)が第1板面15aであり、土Sbと反対側に配置される板面(上面となる板面)が第2板面15bである。第2板面15bには、各貫通孔16に接続する溝12a,12b(凹部)がそれぞれ複数設けられている。詳しくは、各溝12a,12bは、直線状に形成されており、各貫通孔16において第2板面15b側の端部(上端部)に接続している。
溝12a,12bは、各貫通孔16から放射状に延びており、詳しくは各貫通孔16から八方に延びている。各貫通孔16の正方形状の開口断面において、各辺の中央に溝12aが接続しており、各角部に溝12bが接続している。各溝12a,12bの断面形状は三角形状であり、三角形の角部が各溝12a,12bの底部となっている。各溝12a,12bにおいて、貫通孔16に近い部分はそれよりも遠い部分と比較して深くされている。詳しくは、各溝12a,12bは、貫通孔16に近い部分ほど深く形成されており、各溝12a,12bの底部の傾斜は一定となっている。このため、栽培パネル11が配置された状態において、各溝12a,12bの底部は貫通孔16に近い部分ほど低くなる。
また、各溝12a,12bにおいて、貫通孔16に近い部分の幅はそれよりも遠い部分の幅と比較して広くされている。詳しくは、各溝12a,12bでは、貫通孔16に近い部分ほど幅が広くなっており、その幅は一定の割合で拡大している。このため、溝12a,12bを水の流路と考えると、溝12a,12bの流路幅は下流側へ向かうに連れて徐々に広くなっており、溝12a,12bの流路面積は下流側へ向かうに連れて徐々に大きくなっている。なお、各溝12a,12bは貫通孔16に近い部分ほど深く形成されていることによっても、溝12a,12bの流路面積は下流側へ向かうに連れて徐々に大きくなっている。
ここで、各貫通孔16において第2板面15b側の端部、すなわち第2板面15bにおいて各貫通孔16の周囲部分には、溝12a,12bが設けられていない部分である平面部13(第2板面と板厚方向の位置が一致する部分)が設けられている。各平面部13は、溝12aと溝12bとの間に設けられている。パネル本体15の板厚方向に関して、平面部13の位置と第2板面15bの位置とは一致している。すなわち、平面部13の表面と第2板面15bの表面とが一致しており、それらの表面は同一の平面に含まれている。
このため、上記野菜苗Yを成長させる場合に、野菜苗Yは平面部13よりも上側で成長することとなる。すなわち、野菜苗Yが成長して野菜Yaとなると、野菜Yaの葉部分は平面部13によって支持され、この葉部分が溝12a,12bに入り込むことが抑制される。したがって、野菜Yaを第2板面15bに沿って切断する際に、野菜Yaの葉部分をその下端よりも上の部分で切断することを抑制することができる。
なお、図6に、野菜栽培ハウス10において、端部に配置される栽培パネル11Eを示す。この栽培パネル11Eは、中間に配置される栽培パネル11の一部を省略した形状を有している。具体的には、平面視においてパネル本体15の端部から略4分の1を省略した形状となっており、互いに対向する1組の溝部18Eを結ぶ線分よりも端部側の部分を切除した形状を有している。このため、栽培パネル11Eの端部(すなわち栽培ハウス10の端部)に位置する1組の溝部18Eに、フレーム部材21Eを係合させることができる。
図7は、栽培パネル11の溝部18に係合するフレーム部材21を示している。このフレーム部材21は、弓形に曲がったアーチ部23と、このアーチ部23の両端部からそれぞれ直線状に延びる支柱部22とを有している。これらのアーチ部23と支柱部22とは、1本のパイプ材を変形させることにより、一体で形成されている。
各支柱部22の端部には、パイプ材を潰すことにより、先の尖った尖端部22bが形成されている。このため、支柱部22の下端を土Sbに差し込むことが容易となる。
支柱部22において、尖端部22bから所定長さの位置には、フレーム部材21の側方(「U」字形状の内側)へ略垂直に張り出す板状の板部材25(張出部)が設けられている。この板部材25は、その板面が支柱部22の軸線方向(上下方向)を向くように、支柱部22に溶接されている。
板部材25は、支柱部22に対して反対側(「U」字形状の外側)へも延びており、この部分は支柱部22に沿って曲げられて、上記メッシュシート31を固定するための固定部26となっている。この固定部26と支柱部22との間には、所定の隙間が形成されている。このため、メッシュシート31の端部に設けられる縁部材41を、固定部26(縁部材係合部)に係合させることが可能となっている。また、固定部26と支柱部22との間隔は、固定部26の端部では他の部分よりも広くなっており、固定部26と支柱部22との隙間に縁部材41を挿入することが容易となっている。
支柱部22において、板部材25よりも下側(先端側)の部分は、土Sbに差し込まれる差込部22aとなっている。すなわち、支柱部22が土Sbへ適切な長さだけ差し込まれるように、板部材25の位置(差込部22aの長さ)が設定されている。そして、栽培パネル11に隣接させてフレーム部材21を設置する際に、板部材25がパネル本体15の上面に当接するまで差込部22aが土Sbへ差し込まれる。
フレーム部材21においてアーチ部23の中央部の内周側(下側)に、ホース32を掛けることを可能とするフック229が設けられている。フック229は、「C」字状に形成されており、その開口部が側方に位置するように配置されている。こうした構成によれば、各フレーム部材21のフック229に順にホース32を掛け渡し、このホース32に適宜設けた複数の連通孔から水や農薬等を噴出させることができる。その結果、野菜栽培ハウス10内に水や農薬等を撒くことが容易となる。フック229の形状は「C」字状に限らず、ホース32を掛けることが可能な任意の形状を採用することができる。
なお、図8に、野菜栽培ハウス10において、端部に配置されるフレーム部材21Eを示す。このフレーム部材21Eは、中間に配置されるフレーム部材21に所定の部材を付加等して形成されている。具体的には、各支柱部22に設けられた板部材25が、並列な支柱部22間を互いに接続するように延びる板部材25E(張出部、押圧部)に変更されている。さらに、この板部材25Eの両端部と中央部とにおいて、固定部26と同様の構造を有する固定部26E(縁部材係合部)が、固定部26に対して略直角をなす方向に設けられている。そして、この固定部26Eには、メッシュシート31の端部に設けられる縁部材41が係合される。
また、板部材25Eの中央部とアーチ部23の頂部(中央部)とを連結する中央支柱部27が設けられている。このため、アーチ部23は、支柱部22に加えて、中央支柱部27によっても支持される。なお、フレーム部材21Eには、上記フレーム部材21のフック229と同様のフック229が、中央支柱部27に隣接して設けられている。
図2に示すように、メッシュシート31の端部には、長尺状に延びる角柱状の縁部材41が設けられる。このため、縁部材41により、メッシュシート31の端部がめくれ上がることが抑制される。本実施形態では、縁部材41の長さは、栽培パネル11の一辺の長さと等しくされている。このため、栽培パネル11の枚数に対応して縁部材41が設けられる。なお、縁部材41の長さを、栽培パネル11の一辺の長さの整数倍等に設定してもよい。
縁部材41の厚み(最も短い辺の長さ)は、フレーム部材21の支柱部22に設けられた固定部26と支柱部22との間隔よりも、若干小さく設定されている。そして、メッシュシート31の端部を縁部材41の外周に数回巻き付けた状態で、固定部26と支柱部22との隙間に縁部材41を下方から挿入する。これにより、固定部26に縁部材41が嵌合して、メッシュシート31の端部が固定される。
次に、図9の模式図を参照して、野菜栽培ハウス10を用いた野菜の栽培方法の手順を以下に説明する。
まず、図9(a)に示すように、野菜栽培工場の屋内や一般のビニールハウス内において、紙製のポットPを互いに密着させて複数並べる。このとき、ポットPを整列して配置するためのケース、すなわちポットPの収容部を複数有するケースを用いてもよい。ポットPは、上蓋のない中空の立方体状をなしており、下側の部分ほど小さくなっている。ポットPの底部には、複数の連通孔が設けられている。
そして、これらのポットPの上方から土Saと種Sdとを撒いて、各ポットPの内部に土Sa及び種Sdを入れる。このように、複数のポットPを集中させて土Sa及び種Sdを仕込むことにより、作業の効率を向上させることができる。
次に、図9(b)に示すように、畑等の土Sbの上に栽培パネル11を設置する。このとき、パネル本体15の下面が土Sbに接するように、好ましくはパネル本体15の第1板面15aと土Sbとの間にできるだけ隙間ができないように、栽培パネル11を設置する。例えば、第1板面15aを土Sbに押し付けながら、栽培パネル11を細かく往復動や回動させるとよい。
そして、各貫通孔16の内部に、土Sa及び種Sdを含むポットPを配置する。ここで、貫通孔16の孔面積は、上端側から下端側へ向かうに連れて徐々に小さくされている。このため、貫通孔16の上端から容易にポットPを入れることができる。そして、ポットPの底部が土Sbの表面に接すると、貫通孔16の内周面とポットPの外周面との間に僅かな隙間が形成された状態となる。このため、貫通孔16の内部でポットPが動くことが抑制される。
次に、図9(c)に示すように、フレーム部材21の差込部22aを土Sbに差し込むとともに、パネル本体15の溝部18に差込部22aを係合(詳しくは嵌合)させる。そして、フレーム部材21の板部材25がパネル本体15の上面に当接して、板部材25(押圧部)がパネル本体15を下方に押圧するまで、差込部22aを土Sbに差し込む。詳しくは、差込部22aの先端から板部材25までの長さから、パネル本体15の厚みを引いた長さだけ、差込部22aを土Sbに差し込んだ段階で、板部材25がパネル本体15の上面に当接することとなる。そして、パネル本体15が下方に押圧されることにより、パネル本体15の下面と土Sbとの間に隙間ができることが抑制され、野菜の根が貫通孔16を通じて土Sbまで伸びる(成長する)ことが容易となる。
そして、各フレーム部材21のフック229に、ホース32を順に掛け渡す。このホース32は、水道の蛇口に接続されており、複数の連通孔が設けられている。このため、水道の蛇口を開くことにより、ホース32から散水することができる。
次に、図9(d)に示すように、フレーム部材21に被せるようにして、メッシュシート31を栽培ハウス10の全長にわたって配置する。このとき、メッシュシート31において、フレーム部材21の固定部26側の端部(メッシュシート31の幅方向の端部)では、メッシュシート31が余った状態となる。このメッシュシート31の端部(余り部分)を縁部材41の外周に数回巻き付けて、メッシュシート31の幅方向の長さを調節する。なお、野菜栽培ハウス10の端部に配置されるフレーム部材21Eでは、フレーム部材21Eの中央支柱部27に沿ってメッシュシート31を下方へ折り曲げて、上記と同様にしてメッシュシート31の長さを調節する。
そして、縁部材41をフレーム部材21(21E)の固定部26(26E)に係合させる。このとき、固定部26と差込部22aとの間隔は、固定部26の先端側で広くなっているため、固定部26と差込部22aとの隙間に縁部材41を容易に挿入することができる。
また、メッシュシート31とパネル本体15の側面とが、縁部材41によって密着させられた状態となる。このようにして設置されたメッシュシート31は、その張力によって縁部材41を引っ張ることとなり、縁部材41が固定部26から外れることが抑制される。そして、野菜の周囲に張られたメッシュシート31により、害虫が野菜へと飛来することを抑制することができる。
こうして栽培ハウス10を設置した後、図9(e)に示すように、ホース32から散水して種Sdを野菜苗Yまで育てる。このとき、栽培パネル11の下面側から害虫が侵入することを、パネル本体15で抑制することができる。また、飛来する害虫が栽培ハウス10内に侵入することを、メッシュシート31によって抑制することができる。
ここで、栽培パネル11は、撥水性材料の発泡スチロールで形成されているため、栽培パネル11の第2板面15bに付着した水は水滴となり易い。しかしながら、パネル本体15の第2板面15bには各貫通孔16から放射状に延びる溝が形成されているため、この溝に接触した水は溝内へ入る。そして、この溝の底部は貫通孔16に近い部分ほど低くなっているため、溝内に入った水は貫通孔16へ誘導される。さらに、この溝の流路面積は下流側へ向かうに連れて大きくなっているため、水の流量が下流側で大きくなったとしても、溝から水が溢れることを抑制することができる。
その後、図9(f)に示すように、野菜苗Yを野菜Yaへと成長させる。このとき、野菜Yaの茎や葉はパネル本体15よりも上側で成長するとともに、野菜Yaの根rは貫通孔16を通じてパネル本体15よりも下側の土Sbまで伸びることができる。このため、土側から害虫が侵入すること、ひいては害虫が野菜Yaの茎や葉に付くことを、パネル本体15によって抑制することができる。また、野菜Yaは、パネル本体15よりも下側の土Sbまで伸びた根rにより、土Sbの中の水分や養分を吸収することができる。このとき、野菜Yaの根rは、ポットPの底部に設けられた連通孔を通じて土Sbまで伸びることができるとともに、紙製のポットPの底部を貫通して土Sbまで伸びることもできる。
特に、各貫通孔16において第2板面15b側の端部には、溝が設けられていない部分である平面部13が設けられている。このため、野菜Yaの葉部分は平面部13よりも上側で成長することとなり、野菜Yaの葉部分は平面部13によって支持される。すなわち、野菜Yaの葉部分の下端が平面部13に接した状態となる。
野菜Yaが成長した後、図9(g)に示すように、組付け時と逆の手順で、栽培ハウス10からメッシュシート31、ホース32、及びフレーム部材21を取り外す。これにより、野菜Yaが露出し、野菜Yaの収穫に適した状態となる。
次に、図10を参照して、収穫車50により野菜Yaを自動的に収穫する態様を説明する。
収穫車50は、4つのタイヤ51により走行可能となっており、野菜Yaを切断する刃部52と、刃部52により切断された野菜Yaを搬送するベルトコンベア部53と、コンベア部53により搬送された野菜Yaを収容する収容部57とを備えている。
タイヤ51の駆動は、手動で操作するリモコン、又は収穫車50に搭載される制御部によって制御される。このため、収穫車50は、パネル本体15の第2板面15bの上を、所定の経路及び速度で走行することができる。
刃部52は、山形の2枚の刃を備え、これらの刃が左右に往復移動可能となっている。そして、これらの刃が互いに交差することにより、野菜Yaを切断することができる。第2板面15b上を収穫車50が走行する状態において、刃部52の下面が第2板面15bに沿うように刃部52が設けられている。
ベルトコンベア部53は、環状のベルト54と2つの回転軸55とを備えている。ベルト54の両端に設けられた回転軸55の回転により、ベルト54が回転駆動される。ベルト54は、刃部52付近から収穫車50の中央付近まで延びており、収穫車50の中央付近では刃部52付近よりも高くなっている。ベルト54の表面には、その幅方向に延びる突部54aが所定の間隔で設けられている。
収容部57は、直方体状に形成されており、その内部にベルト54の一部が挿入されている。詳しくは、ベルト54において刃部52と反対側の端部が、収容部57の内部へ挿入されている。収容部57の上端部はベルト54の上端部よりも高く配置されており、収容部57の下端部はベルト54の上端部よりも低く配置されている。このため、野菜Yaは、ベルト54により収容部57内の所定高さまで搬送される。
こうした構成により、刃部52が駆動されるとともに、収穫車50がパネル本体15の上を走行させられる。そして、刃部52により、第2板面15bに沿って野菜Yaが切断される。ここで、野菜Yaの葉部分は平面部13によって支持されているため、野菜Yaの葉部分をその下端で切断することができる。換言すれば、野菜Yaを第2板面15bに沿って切断する際に、野菜Yaの葉部分をその下端よりも上の部分で切断することを抑制することができる。
刃部52により切断された野菜Yaの葉部分は、ベルトコンベア部53のベルト54により収容部57へ搬送される。ここで、ベルト54の表面には、その幅方向に延びる突部54aが所定の間隔で設けられているため、ベルト54上で野菜Yaが滑ることを抑制することができる。そして、ベルト54により搬送された野菜Yaは、収容部57内へ落下して収容される。収穫車50が複数のパネル本体15上を所定の経路で走行させられ、野菜Yaが順次収穫される。
なお、野菜栽培ハウス10は、損傷がなければ繰り返し使用することが可能である。すなわち、野菜Yaの収穫が終わった後に野菜栽培ハウス10を解体し、栽培パネル11の貫通孔16の内部からポットP、土Sa及び野菜の根rを取り除くことにより、野菜栽培ハウス10を再度使用することができる。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
・栽培パネル11は、板状に形成されてその第1板面15aが土Sbに接するように配置されるパネル本体15を備えている。このため、土Sbの上に栽培パネル11を設置するだけで手間なく土Sbの表面を覆うことができる。したがって、この栽培パネル11によれば、土Sbの表面に張られるビニールシートと同様に、土Sb側からの害虫の侵入を抑制することができる。
ここで、パネル本体15には、野菜Yaの根rが土Sbまで到達することを可能とする貫通孔16が設けられている。このため、この貫通孔16を通じてパネル本体15よりも下側の土Sbまで野菜Yaの根rを到達させることができる。したがって、パネル本体15よりも下側の土Sbの中の水分や養分を、野菜Yaの根rから吸収させることができる。一方、野菜Yaの茎や葉をパネル本体15よりも上側で成長させることができるため、野菜Yaの茎や葉の方へ土Sb側から害虫が侵入することをパネル本体15により抑制することができる。その結果、土Sb側から害虫が侵入することを手間なく抑制することができる。
・パネル本体15には、土Sbと反対側に配置される第2板面15bの上の水を貫通孔16へ誘導する溝12a,12bが設けられている。このため、栽培パネル11の上方から野菜苗Yや野菜Yaへ散水された場合に、溝12a,12bによって、栽培パネル11の上面に水が溜まることを抑制して、貫通孔16へと水を誘導することができる。その結果、撒かれた水を野菜苗Yや野菜Yaの根rに効率的に供給することができる。
・貫通孔16において第2板面15b側の端部には、第2板面15bと板厚方向の位置が一致する平面部13が設けられている。このため、栽培パネル11によって野菜Yaが栽培される場合に、野菜Yaの葉部分を平面部13によって支持することができる。したがって、野菜Yaの葉部分は平面部13よりも上側で成長することとなり、パネル本体15の第2板面15bに沿って野菜Yaを切断する際に、野菜Yaの葉部分をその下端で切断することができる。その結果、野菜Yaを、容易に且つ無駄なく収穫することができる。
・栽培パネル11の上方から野菜苗Yや野菜Yaへ散水されると、この水の一部が溝12a,12bへ入り込むこととなる。そして、溝12a,12bにおいて貫通孔16に近い部分はそれよりも遠い部分と比較して深くされているため、溝12a,12bに入り込んだ水は、重力の作用により溝12a,12bにおいて高い部分から低い部分へと誘導される。したがって、簡易な構造により、撒かれた水を野菜苗Yや野菜Yaの根rに効率的に供給することができる。さらに、溝12a,12bは、貫通孔16に近い部分ほど深く形成されているため、溝12a,12bに入り込んだ水を貫通孔16へ円滑に誘導することができる。
・溝12a,12bは、貫通孔16から延びる複数の溝であるため、これらの溝12a,12bに入り込んだ水を、溝12a,12bの延びる方向に沿って確実に貫通孔16へ誘導することができる。さらに、溝12a,12bは、貫通孔16から放射状に(詳しくは八方に)延びているため、貫通孔16の八方から貫通孔16へ水が誘導される。したがって、貫通孔16の周囲に撒かれた水を満遍なく貫通孔16へ誘導することができる。
・溝12a,12bにおいて貫通孔16に近い部分の幅はそれよりも遠い部分の幅と比較して広くされている。このため、溝12a,12bを水の流路と考えた場合に、貫通孔16に近い部分(流路の下流部分)の流路面積を、それよりも遠い部分(流路の上流部分)の流路面積よりも大きくすることができる。このため、貫通孔16に近い部分ほど水の流量が大きくなったとしても、溝12a,12bから水が溢れることを抑制することができる。その結果、溝12a,12bに入り込んだ水を効率的に貫通孔16へ誘導することができる。
・貫通孔16において、第1板面15a側の端部の孔面積が第2板面15b側の端部の孔面積よりも小さくされている。このため、貫通孔16の内部に、上側の端部からポットPを入れ易くなるとともに、その貫通孔16の内部のポットPが下側の端部から落ちにくくなる。詳しくは、貫通孔16の孔面積は、第1板面15a側の部分ほど小さくされている。このため、貫通孔16の構成が複雑になることを抑制しつつ、貫通孔16の内部にポットPを入れ易くなるとともに、その貫通孔16の内部のポットPが動くことを抑制することができる。
・フレーム部材21,21Eの差込部22aが土に差し込まれた状態において、土Sbの上に設置された栽培パネル11,11Eを板部材25,25Eにより下方へ押圧することができる。このため、パネル本体15の第1板面15aと土Sbの表面との間に隙間ができることを抑制することができる。その結果、パネル本体15の貫通孔16を通じて、パネル本体15よりも下側の土Sbまで野菜Yaの根を到達させることが容易となる。
・フレーム部材21,21Eの板部材25,25Eがパネル本体15に当接、すなわちパネル本体15を押圧するまで差込部22aを土に差し込むことにより、フレーム部材21,21Eの設置と栽培パネル11,11Eを下方へ押圧することとを同時に行うことができる。したがって、これらのことを手間なく行うことができる。さらに、フレーム部材21,21Eの板部材25,25Eがパネル本体15に当接するまで差込部22aを土に差し込むことにより、差込部22aを土に差し込む長さを一定に調整し易くなるため、各フレーム部材21,21Eの高さを揃え易くなる。
・メッシュシート31の端部には、長尺状に延びる縁部材41が設けられているため、メッシュシート31の端部がめくれ上がることを縁部材41により抑制することができる。そして、フレーム部材21,21Eの差込部22aが土に差し込まれた状態において、差込部22aの先端から所定長さ離れた部分に設けられた固定部26に縁部材41を係合させることができる。
ここで、パネル本体15の側面とメッシュシート31とを密着させるように、固定部26と縁部材41とが係合しているため、パネル本体15の側面とメッシュシート31との隙間から害虫が侵入することを抑制することができる。すなわち、メッシュシート31よりも外側からの害虫の侵入を、パネル本体15の側面とメッシュシート31との密着部により抑制することができる。
・フレーム部材21,21Eを設置する際に、パネル本体15に設けられた溝部18,18Eにフレーム部材21,21Eを係合させることができる。このため、栽培パネル11とフレーム部材21,21Eとの位置決めを容易に行うことができ、ひいては栽培パネル11とフレーム部材21,21Eとの位置がずれることを抑制することもできる。さらに、溝部18,18Eによってフレーム部材21,21Eを支えることもできる。
上記の各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施することもできる。
・フレーム部材21,21Eにおいて、差込部22aの先端(尖端部22b)から板部材25,25Eが設けられる部分までの長さと、差込部22aの先端から固定部26が設けられる部分までの長さとを異ならせてもよい。例えば、差込部22aの先端から固定部26が設けられる部分までの長さを、差込部22aの先端から板部材25,25Eが設けられる部分までの長さよりも短くしてもよい。こうした構成によれば、板部材25,25Eよりも下側において、固定部26と縁部材41とが係合するため、メッシュシート31の端部と畑等の土Sbと間に隙間ができることを抑制することができる。その結果、メッシュシート31の外部から害虫が侵入することを更に抑制することができる。
・上記実施形態では、貫通孔16の孔面積は、第1板面15a側ほど小さくなっていたが、上端部と下端部との中間部の孔面積が最も大きい形状等を採用することもできる。なお、縦断面視において、貫通孔416の壁面が直線となるように形成されていてもよいし、曲線となるように形成されていてもよい。要するに、パネル本体15の貫通孔16において、第1板面15a側の端部の断面積が、第2板面15b側の端部の断面積よりも小さい構成であれば、上端から貫通孔16の内部にポットPや土Saを入れ易くすることができるとともに、貫通孔16の内部でポットPが動くことを抑制することができる。また、貫通孔の孔面積が、上端から下端まで一定の構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、板部材25,25E(固定部26,26E)は支柱部22に溶接されていたが、フレーム部材21,21Eを野菜栽培ハウス10に設置した後に、板部材25,25Eや固定部26,26Eを支柱部22に取付けるようにしてもよい。この場合には、支柱部22において、板部材25,25Eや固定部26,26Eを取付ける取付け部や、板部材25,25Eや固定部26,26Eの取付け位置を示す印等が設けられていることが望ましい。
・上記実施形態では、パネル本体15の貫通孔16内に、土Sa及び種Sdを含むポットPを配置した後、種Sdを野菜苗Yまで成長させたが、ポットPで種Sdから野菜苗Yまで成長たせた後に、そのポットPを貫通孔16内に配置してもよい。また、ビニール製のポット等で野菜苗Yまで成長させた後、ポット等から貫通孔116へ野菜苗Yを移植してもよい。また、ポットを用いずに、貫通孔16の内部に土Saを入れて、この土Saにより種Sdを野菜苗Yまで成長させてもよい。それらの場合であっても、栽培パネル11の上方から撒かれた水を、溝12a,12bによって貫通孔16へ誘導することが有効である。また、貫通孔16を通じてパネル本体15よりも下側の土Sbまで野菜Yaの根rを到達させることができる。
・図11に示すように、栽培パネル111の各貫通孔16から放射状に、詳しくは四方に延びる溝112(凹部、誘導部)を、パネル本体15の第2板面15bに設けてもよい。各溝112は、貫通孔16の正方形状の開口断面において各辺の中央から直線状に延びている。貫通孔16の第2板面15b側の端部において、各溝112の間部分が野菜Yaの葉部分を支持する平面部113(第2板面と板厚方向の位置が一致する部分)となっている。この場合には、図5に示した栽培パネル11の溝12a,12bの幅と比較して、溝112の幅を広くするとよい。これにより、溝112の合計数が、溝12a,12bの合計数よりも少ないものの、溝112に入る水の量を確保し易くなる。また、溝12a,12bの深さと比較して、溝112の深さを浅くしたり、より深くしたりしてもよい。
・図12に示すように、栽培パネル121の各貫通孔126から放射状に、詳しくは四方に延びる溝122(凹部、誘導部)を、パネル本体15の第2板面15bに設けてもよい。各溝122は、貫通孔126の八角形状の開口断面において1つおきの各辺から直線状に延びている。各溝122の幅は一定とされており、八角形の各辺の長さと一致している。各溝122の流路断面の形状は三角形状となっており、三角形の角部分が各溝の底部となっている。このため、各溝122に入った水が底部に集まり易く、水の流れを促進することができる。なお、各溝122の深さは、貫通孔126に近い部分ほど深くなるようにしてもよいし、一定であってもよい。そして、貫通孔126の第2板面15b側の端部において、各溝122の間部分が野菜Yaの葉部分を支持する平面部123(第2板面と板厚方向の位置が一致する部分)となっている。
・図13に示すように、図5に示した栽培パネル11に溝12cを加えた構成としてもよい。すなわち、パネル本体15には、貫通孔16から延びる溝12bに接続する溝12c(凹部、誘導部)が設けられている。換言すれば、パネル本体15には、溝12bから分岐する溝12cを設けられている。こうした構成によれば、より多くの溝を第2板面15bに配置することができるため、より多くの水を貫通孔16へ誘導することができる。さらに、第2板面15bに溝を分散させて配置することができるため、第2板面15b上の水を満遍なく集めることができる。
・図14に示すように、図5に示した栽培パネル11に溝12dを加えた構成としてもよい。すなわち、パネル本体15には、貫通孔16から延びる溝12a,12bを互いに接続する溝12d(凹部、誘導部)が設けられている。溝12dは、溝12aの中間部と溝12bの中間部とを接続しており、詳しくは溝12aの中央部と溝12bの中央部とを接続している。溝12dの深さは一定に設定されている。そして、溝12dに入った水は、溝12a及び溝12bへ誘導されることとなる。こうした構成によれば、より多くの溝を第2板面15bに配置することができるため、より多くの水を貫通孔16へ誘導することができる。さらに、第2板面15bに溝を分散させて配置することができるため、第2板面15b上の水を満遍なく集めることができる。
・図15に示すように、栽培パネル151の各貫通孔16から放射状に延びる曲線状の溝152a,152b(凹部、誘導部)を、パネル本体15の第2板面15bに設けてもよい。貫通孔16の正方形状の開口断面において、各溝152aは各辺の中央から延びており、各溝152bは各角部から延びている。各溝152a,152bの流路の断面形状は半円状となっており、円弧の中央部分が各溝152a,152bの底部となっている。このため、各溝152a,152bに入った水が底部に集まり易く、水の流れを促進することができる。また、各溝152a,152bの幅は一定とされており、各溝152a,152bの深さは貫通孔16に近い部分ほど深くされている。このため、各溝152a,152bの流路面積は貫通孔16に近い部分ほど大きくなっており、流路の下流で水の流量が多くなったとしても、各溝152a,152bから水が溢れることを抑制することができる。そして、貫通孔16の第2板面15b側の端部において、各溝152aと各溝152bとの間部分が野菜Yaの葉部分を支持する平面部153(第2板面と板厚方向の位置が一致する部分)となっている。
・上記各溝は、徐々に深くなる構成に限らず、段階的に深くなる構成であってもよい。また、上記各溝は、徐々に幅が広くなる構成に限らず、段階的に幅が広くなる構成であってもよい。
・図16に示すように、栽培パネル151の各貫通孔166の周囲にすり鉢状(円錐状)の凹部162(誘導部)を設けてもよい。凹部162は、貫通孔166に接続されており、貫通孔166に近い部分ほど深くなっている。こうした構成によれば、凹部162に入った水を貫通孔166へ誘導することができるとともに、パネル本体15上において広い部分から水を集めることができる。このため、貫通孔166へ水を効率的に誘導することができる。
なお、上記の構成では、パネル本体15には、野菜Yaの葉部分を支持する部分が設けられていないが、プラスチック製のポット等により同部分を構成することができる。すなわち、パネル本体15の板厚方向において、貫通孔166の内部に配置されたポットの上端と第2板面15bとを一致させることにより、上記部分を構成することができる。このように、パネル本体15と別体の部材により、野菜Yaの葉部分を支持する部分を構成してもよい。こうした構成によれば、上記部分の構成に制約されることなく、第2板面15b上の水を貫通孔166へ導く誘導部を自由に構成することができる。
・図17に示すように、図16に示した栽培パネル11に溝172を加えた構成としてもよい。すなわち、パネル本体15には、貫通孔16へ水を導く凹部162に接続する溝172(凹部、誘導部)が設けられている。こうした構成によれば、より多くの水を貫通孔166へ誘導することができるとともに、第2板面15b上の水を満遍なく集めることができる。
・図18に示すように、栽培パネル181の各貫通孔16から放射状に、詳しくは十六方に延びる親水部182a,182b,182c(誘導部)を、パネル本体15の第2板面15bに設けてもよい。各親水部182a,182b,182cは、水と水素結合を形成する親水性材料からなり、水に対する濡れ性が強い。各親水部182a,182b,182cの表面は、第2板面15bと略一致している。こうした構成によれば、各親水部182a,182b,182cに接触した水は、各親水部182a,182b,182cの延びる方向に沿って拡がることとなり、貫通孔16へと誘導される。したがって、栽培パネル181上に水が溜まることを抑制することができ、撒かれた水を野菜苗Yや野菜Yaの根に効率的に供給することができる。
・栽培パネルの形状は矩形状に限らず、三角形状や円形状等の形状を採用することもできる。この場合には、栽培パネルの形状に合わせて、各貫通孔へ水を誘導する溝や凹部、親水部、またフレームユニット等の形状を変更すればよい。
・上述した各栽培パネルの材料として、発泡スチロール以外の材料を使用することも可能である。例えば、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等の合成樹脂材料や、その他の材料にて栽培パネルを形成してもよい。そして、栽培パネルが撥水性材料により形成されていない場合であっても、上述した溝や凹部をパネル本体に設けることにより、栽培パネルの上面に水が溜まることを抑制して、各貫通孔へ水を誘導することができる。
・図19に示すように、貫通孔16において第1板面15a側の端部には、その端部における貫通孔16の断面の中心側へ張り出す底部16a(突出部)が形成されているといった構成を採用してもよい。この底部16aは、貫通孔16において第1板面15a側の端部の全周にわたって形成されている。すなわち、底部16aによって、貫通孔16の下端部における孔面積がより小さくされている。貫通孔16は、その下端部において小孔部16bを有している。貫通孔16の下端部には、貫通孔16の断面の中心側へ突出する底部16aが設けられているため、貫通孔16の内部のポットPや土Saを底部16aによって下から支えることができる。したがって、貫通孔16の内部のポットPや土Saが更に落ちにくくなる。したがって、栽培パネル191により野菜苗Yまで育てた後に、野菜苗Yを成長させる畑等へ栽培パネル191を運搬する場合に有効である。
・また、図19に示した栽培パネル191では、貫通孔16において第1板面15a側の端部には、その全周にわたって底部16a(突出部)を形成したが、図20に示すように、貫通孔216の下端部の一部に突出部216aを形成してもよい。また、図21に示すように、貫通孔316の下端部に複数の小孔部316bを形成するようにしてもよい。これらの構成によれば、貫通孔216の内部に入れた土Saを下から支えることができるとともに、野菜Yaの根rをパネル本体15よりも下側へ伸ばし易くすることができる。
・上記実施形態では、板部材25,25Eによって栽培パネル11,11Eのパネル本体15を押圧するようにしたが、図22に示すように、支柱部22の中間を屈曲させて屈曲部22cを形成し、この屈曲部22cによりパネル本体15を押圧するようにしてもよい。また、支柱部22の中間に段部を設けて、この段部によりパネル本体15を押圧するようにしてもよい。なお、これらの場合には、メッシュシート31の端部に設けられる縁部材41を係合するための構造を別途設けることが望ましい。
要するに、フレーム部材21,21Eの差込部22aが畑等の土Sbに差し込まれた状態において、土Sbの上に設置された栽培パネル11,11Eを下方へ押圧可能な押圧部が設けられていれば、パネル本体15の下面と土Sbの表面との間に隙間ができることを抑制することができる。なお、こうした押圧部が省略されたフレーム部材21を採用することもできる。
・上記実施形態では、野菜の周囲を覆うシートとして、メッシュシート31を採用したが、ビニールシート等を採用することもできる。この場合には、ビニールシートにより雨が遮られるため、撒かれた水を栽培パネルの各貫通孔へ誘導する構成が特に有効となる。
・パネル本体15において、パネル下面が凸凹状の面で形成されていてもよい。例えば、パネル上面を平坦面で形成するのに対し、パネル下面を凸凹状の面に形成するとよい。凹凸状の面として、具体的には、円錐状や角錐状、山状の突起が頂点を下向きにして分布する形状等を採用することができる。すなわち、畑等の土Sbは平坦でない場合もあり、この場合には、凸凹状の面を有するパネル本体であれば、土Sbとの間に隙間ができることを抑制し易くなる。
ちなみに、上記構成の栽培パネルを水に浮かべて利用する場合には、パネル下面が凹凸状に形成されていることで、そのパネル下面側に局部的に気泡が溜まり、パネル面が傾く等の不都合が考えられる。ゆえに、上記構成の栽培パネルを水に浮かべて利用することは不向きであるが、土の上なら、凹凸の間に土Sbが入り込むため、有益となる。
・上記実施形態では、畑等の土Sbの上に野菜栽培ハウス10を設置したが、野菜栽培工場内の土の上に野菜栽培ハウス10を設置してもよい。また、その際には、建物の2階等に設けられた土の上に、野菜栽培ハウス10を設置してもよい。
・上記実施形態では、野菜栽培ハウス10として、レタスや白菜、ほうれん草等の葉物野菜を栽培するようにしたが、野菜に限らず、生花等、根よりも上の部分が重要である植物の栽培にこれらを適用することもできる。