(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、植物栽培装置を、畑等で葉物野菜を栽培するための野菜栽培ハウスとして具体化したものである。このハウス内では、例えばレタスや白菜、キャベツ等が栽培できるようになっている。図1は野菜栽培ハウスを畑等に設置した状態を示す斜視図である。
図1において、野菜栽培ハウス10は、土の上に設置される複数の栽培パネル11(11E)と、その栽培パネル11の上方に野菜栽培空間を形成するフレーム部材21(21E)と、そのフレーム部材21に被せられるように設けられるメッシュシート31とから構成されている。図1では、野菜栽培ハウス10内において複数の葉物野菜(野菜苗Y)が栽培されている状態が示されている。なお、ここでは、野菜栽培ハウス10において、中間に設置された2枚の栽培パネル11と、両端にそれぞれ設置された栽培パネル11Eとを備えているが、中間に設置される栽培パネル11の枚数は任意に変更することができる。
図2は、野菜栽培ハウス10において、栽培パネル11の1枚分に相当する部分の分解斜視図である。この野菜栽培ハウス10が畑等に設置される以前においては、栽培パネル11(野菜苗Yを含む)、フレーム部材21及びメッシュシート31が、図示のごとく分解された状態であることが示されている。なお、栽培パネル11を示す図として、平面図を図3とし、図3の4−4線断面図を図4としている。
図2,3に示すように、栽培パネル11(植物栽培パネル)は、略正方形の板状をなすパネル本体15を有し、そのパネル本体15には複数の貫通孔16が形成されている。貫通孔16は、貫通孔16の内部の土Saで育てられる野菜の根が、パネル本体15よりも下側まで伸びることができるようにするものである。これら貫通孔16はいずれも開口断面が正方形状をなし、平面視において縦横に等間隔で形成されている。
図4(a)とその部分拡大図である図4(b)に示すように、貫通孔16において、下側(土Sb側)に配置される端部の断面積は、上側に配置される端部の断面積よりも小さくなっている。詳しくは、貫通孔16の断面積は、上側に配置される端部側から下側に配置される端部側へ向かうに連れて徐々に小さくされている。換言すれば、貫通孔16の断面積は、下側に配置される端部側ほど小さくなっている。このため、縦断面視において、貫通孔16の壁面はテーパ状に形成されている。
また、貫通孔16において下側に配置される端部には、その端部における貫通孔16の断面の中心側へ張り出す底部16a(突出部)が形成されている。この底部16aは、貫通孔16において下側に配置される端部の全周にわたって形成されている。すなわち、底部16aによって、貫通孔16の下端部における断面積がより小さくされている。貫通孔16は、その下端部において小孔部16bを有している。
このように形成された貫通孔16の内部には、土Saが入れられてこの土Saで野菜が苗Yまで育てられる。すなわち、貫通孔16は、野菜を苗Yまで育てるためのポット(育苗容器)等を代用する。このため、貫通孔16の長さ、ひいてはパネル本体15の厚みは、貫通孔16の内部の土Saで野菜を苗Yまで育てることが可能な寸法に設定されている。
また、パネル本体15の四隅には、それぞれ直角三角柱状の柱状部17が形成されており、柱状部17の直角部分がパネル本体15の四隅の角と一致している。本実施形態では、各柱状部17がパネル上面に対していずれも同じ高さに形成されている。図4(a)に示すように、パネル四隅の柱状部17は、パネル本体15の上面(上側に配置される板面)に対して上方に突出し、かつ同パネル本体15の下面(土Sb側に配置される板面)に対して凹ませて形成されている。この場合、パネル本体15の四隅においてパネル下面には凹部17aが形成されている。すなわち、パネル本体15において土Sb側に配置される板面には、各柱状部17に対応する位置に各柱状部17と係合可能な凹部17aが形成されている。一方、パネル本体15において土Sb側に配置される板面には、柱状部17は設けられていない。
栽培パネル11は複数のパネル同士が上下に積層可能になっており、その積層状態では、上下のパネル本体15の間に所定寸法の隙間が形成されるようになっている。具体的には、上述したとおりパネル本体15の四隅には柱状部17が形成されており、下側の栽培パネル11の柱状部17の上端部が、上側の栽培パネル11の凹部17a(柱状部下方の凹部)に入り込むようにして、上下多段に栽培パネル11が積層される。この場合、柱状部17の上端部と凹部17aとの係合により、上側の栽培パネル11と下側の栽培パネル11との位置決めがなされるとともに、各段の栽培パネル11の位置ずれが抑制される。
図6には、複数の栽培パネル11を積層した状態を示しており、パネル四隅の柱状部17は上下各段で互いに当接した状態となっている。こうしたパネル積層状態では、上下各段の栽培パネル11のパネル本体15間に所定の隙間が形成されている。このため、図示のごとく栽培パネル11の貫通孔16に野菜苗Yが配置された状態であっても、その野菜苗Yの葉等が押し潰されることはなく、野菜苗Yを良好な状態に保持したまま保管や運搬等を実施できる。
また、上述したように、貫通孔16の断面積は、下側に配置される端部側ほど小さくなっているため、栽培パネル11を積層や運搬する際に、貫通孔16の内部から土Saや野菜苗Yが落ちることを抑制することができる。さらに、貫通孔16の下端部には底部16aが形成されているため、この底部16aによって土Saを下から支えることができる。したがって、貫通孔16の内部から土Saや野菜苗Yが落ちることを更に抑制することができる。
図3に戻り、パネル本体15の互いに対向する側面の1組には、パネル本体15の両板面間にわたって延びる溝18(フレーム部材係合部)がそれぞれ形成されている。この溝18は、各側面において所定間隔をおいて形成されており、本実施形態では平面視においてパネル本体15の両端部からそれぞれ4分の1の長さの位置に形成されている。溝18では、その断面形状が半円形状となっており、上記フレーム部材21が係合(詳しくは嵌合)可能なようにその寸法が設定されている。なお、フレーム部材21と嵌合する溝18を、フレーム部材21を挿通させる挿通孔に変更することもできる。
なお、図5に、野菜栽培ハウス10において、端部に配置される栽培パネル11Eを示す。この栽培パネル11Eは、中間に配置される栽培パネル11の一部を省略した形状を有している。具体的には、平面視においてパネル本体15の端部から略4分の1を省略した形状となっており、互いに対向する1組の溝18Eを結ぶ線分よりも端部側の部分を切除した形状を有している。このため、栽培パネル11Eの端部(栽培ハウス10の端部)に位置する1組の溝18Eに、フレーム部材21Eを係合させることができる。
栽培パネル11は、発泡スチロールなど、軽量でかつ所定の弾性及び断熱性を有する合成樹脂材にて形成されている。なお、栽培パネル11の材料として、発泡スチロール以外の材料を使用することも可能であり、例えば、発泡ポリエチレン、発泡ウレタン等の弾性を有する合成樹脂材にて構成してもよい。
図7は、栽培パネル11の溝18に係合するフレーム部材21を示している。このフレーム部材21は、弓形に曲がったアーチ部23と、このアーチ部23の両端部からそれぞれ直線状に延びる支柱部22とを有している。これらのアーチ部23と支柱部22とは、1本のパイプ材を変形させることにより、一体で形成されている。
各支柱部22の端部には、パイプ材を潰すことにより、先の尖った尖端部22bが形成されている。このため、支柱部22の下端を土Sbに差し込むことが容易となる。
支柱部22において、尖端部22bから所定長さの位置には、フレーム部材21の側方(「U」字形状の内側)へ略垂直に張り出す板状の板部材25(張出部)が設けられている。この板部材25は、その板面が支柱部22の軸線方向(上下方向)を向くように、支柱部22に溶接されている。
板部材25は、支柱部22に対して反対側(「U」字形状の外側)へも延びており、この部分は支柱部22に沿って曲げられて、上記メッシュシート31を固定するための固定部26となっている。この固定部26と支柱部22との間には、所定の隙間が形成されている。このため、メッシュシート31の端部に設けられる縁部材41を、固定部26(縁部材係合部)に係合させることが可能となっている。また、固定部26と支柱部22との間隔は、固定部26の端部では他の部分よりも広くなっており、固定部26と支柱部22との隙間に縁部材41を挿入することが容易となっている。
支柱部22において、板部材25よりも下側(先端側)の部分は、土Sbに差し込まれる差込部22aとなっている。すなわち、支柱部22が土Sbへ適切な長さだけ差し込まれるように、板部材25の位置(差込部22aの長さ)が設定されている。そして、栽培パネル11に隣接させてフレーム部材21を設置する際に、板部材25がパネル本体15の上面に当接するまで差込部22aが土Sbへ差し込まれる。
なお、図8に、野菜栽培ハウス10において、端部に配置されるフレーム部材21Eを示す。このフレーム部材21Eは、中間に配置されるフレーム部材21に所定の部材を付加等して形成されている。具体的には、各支柱部22に設けられた板部材25が、並列な支柱部22間を互いに接続するように延びる板部材25Eに変更されている。さらに、この板部材25Eの両端部と中央部とにおいて、固定部26と同様の構造を有する固定部26Eが、固定部26に対して略直角をなす方向に設けられている。そして、この固定部26Eには、メッシュシート31の端部に設けられる縁部材41が係合される。
また、板部材25Eの中央部とアーチ部23の頂部(中央部)とを連結する中央支柱部27が設けられている。このため、アーチ部23は、支柱部22に加えて、中央支柱部27によっても支持される。
図2に示すように、メッシュシート31の端部には、長尺状に延びる角柱状の縁部材41が設けられる。このため、縁部材41により、メッシュシート31の端部がめくれ上がることが抑制される。本実施形態では、縁部材41の長さは、栽培パネル11の一辺の長さと等しくされている。このため、栽培パネル11の枚数に対応して縁部材41が設けられる。なお、縁部材41の長さを、栽培パネル11の一辺の長さの整数倍等に設定してもよい。
縁部材41の厚み(最も短い辺の長さ)は、フレーム部材21の支柱部22に設けられた固定部26と支柱部22との間隔よりも、若干小さく設定されている。そして、メッシュシート31の端部を縁部材41の外周に数回巻き付けた状態で、固定部26と支柱部22との隙間に縁部材41を下方から挿入する。これにより、固定部26に縁部材41が嵌合して、メッシュシート31の端部が固定される。
次に、図9の模式図を参照して、野菜栽培ハウス10を用いた野菜の栽培方法の手順を以下に説明する。
まず、図9(a)に示すように、野菜栽培工場の屋内や一般のビニールハウス内において、栽培パネル11(11E)を用意する。このとき、栽培パネル11を載置する場所は、土の上である必要はなく屋内の床や棚等の上でよい。
図9(b)に示すように、この栽培パネル11の貫通孔16の内部に土Saを入れる。ここで、貫通孔16の断面積は、上端側から下端側へ向かうに連れて徐々に小さくされている。このため、貫通孔16の上端から容易に土Saを入れることができるとともに、下端から外部へ土Saが漏れ出ることが抑制される。さらに、貫通孔16の下端部には、その断面の中心側へ張り出す底部16a(図示略)が形成されており、貫通孔16の断面積が更に小さくされている。このため、貫通孔16の下端部(小孔部16b)から外部へ土Saが漏れ出ることが一層抑制される。
この土Saに野菜の種を蒔いた後、図9(c)に示すように、土Saで野菜を苗Yまで育てる。このとき、栽培パネル11は床や棚等の上に載置されているため、栽培パネル11を土の上に載置する場合と比較して、栽培パネル11の下の土側から害虫が侵入することを抑制することができる。さらに、栽培パネル11は屋内に載置されているため、屋外から害虫が侵入することを抑制することができる。その結果、野菜苗Yに害虫が付くことを抑制することができる。
なお、栽培パネル11の下面側から害虫が侵入することを、パネル本体15で抑制することができるため、栽培パネル11を土の上に載置してもよい。また、野菜が種から苗Yへ成長するまでの期間において、野菜へと飛来する害虫が問題にならないのであれば、屋外で野菜を種から苗Yまで育ててもよい。
野菜を苗Yまで育てた後、図9(d)に示すように、栽培パネル11を車両Cの荷台等へ上下に積み重ねて載せ、野菜苗Yを成長させる畑等へと運搬する。ここで、貫通孔16の断面積は、下側に配置される端部側ほど小さくなっているため、貫通孔16の内部から土Saや野菜苗Yが落ちることを抑制することができる。さらに、貫通孔16の下端部に形成された底部16aによって、土Saが下から支えられるため、貫通孔16の内部から土Saや野菜苗Yが落ちることを効果的に抑制することができる。
なお、野菜苗Yの根rが土Saの中で伸びているため、この根rによって土Saの形状が維持され易くなる。根rは、貫通孔16の内部で納まっていてもよいし、貫通孔16の下端部(小孔部16b)からはみ出していてもよい。
図9(e)に示すように、畑等の土Sbの上に、野菜苗Yを含む栽培パネル11を設置する。このとき、パネル本体15の下面(板面)が土Sbに接するように、好ましくはパネル本体15の下面と土Sbとの間にできるだけ隙間ができないように、栽培パネル11を設置する。例えば、パネル本体15の下面を土Sbに押し付けながら、栽培パネル11を細かく往復動や回動させるとよい。
図9(e),(f)に示すように、フレーム部材21の差込部22aを土Sbに差し込むとともに、パネル本体15の溝18に差込部22aを係合(詳しくは嵌合)させる。そして、フレーム部材21の板部材25がパネル本体15の上面に当接して、板部材25(押圧部)がパネル本体15を下方に押圧するまで、差込部22aを土Sbに差し込む。詳しくは、差込部22aの先端から板部材25までの長さから、パネル本体15の厚みを引いた長さだけ、差込部22aを土Sbに差し込んだ段階で、板部材25がパネル本体15の上面に当接することとなる。そして、パネル本体15が下方に押圧されることにより、パネル本体15の下面と土Sbとの間に隙間ができることが抑制され、野菜の根rが貫通孔16(詳しくは小孔部16b)を通じて土Sbまで伸びる(成長する)ことが容易となる。
図9(g)に示すように、フレーム部材21に被せるようにして、メッシュシート31を栽培ハウス10の全長にわたって配置する。このとき、メッシュシート31において、フレーム部材21の固定部26側の端部(メッシュシート31の幅方向の端部)では、メッシュシート31が余った状態となる。このメッシュシート31の端部(余り部分)を縁部材41の外周に数回巻き付けて、メッシュシート31の幅方向の長さを調節する。なお、野菜栽培ハウス10の端部に配置されるフレーム部材21Eでは、フレーム部材21Eの中央支柱部27に沿ってメッシュシート31を下方へ折り曲げて、上記と同様にしてメッシュシート31の長さを調節する。
そして、縁部材41をフレーム部材21(21E)の固定部26(26E)に係合させる。このとき、固定部26と差込部22aとの間隔は、固定部26の先端側で広くなっているため、固定部26と差込部22aとの隙間に縁部材41を容易に挿入することができる。
また、メッシュシート31とパネル本体15の側面とが、縁部材41によって密着させられた状態となる。このようにして設置されたメッシュシート31は、その張力によって縁部材41を引っ張ることとなり、縁部材41が固定部26から外れることが抑制される。そして、野菜の周囲に張られたメッシュシート31により、害虫が野菜へと飛来することを抑制することができる。
こうして栽培ハウス10を設置した後、図9(h)に示すように、野菜苗Yを野菜Yaへと成長させる。このとき、野菜Yaの茎や葉はパネル本体15よりも上側で成長するとともに、野菜Yaの根rは貫通孔16を通じてパネル本体15よりも下側の土Sbまで伸びることができる。このため、土側から害虫が侵入すること、ひいては害虫が野菜Yaの茎や葉に付くことを、パネル本体15によって抑制することができる。また、野菜Yaは、パネル本体15よりも下側の土Sbまで伸びた根rにより、土Sbの中の水分や養分を吸収することができる。
なお、野菜栽培ハウス10は、野菜の栽培に何度も繰り返し使用することが可能である。すなわち、野菜Yaの収穫が終わった後に野菜栽培ハウス10を解体し、栽培パネル11の貫通孔16の内部から土Sa及び野菜の根rを取り除くことにより、野菜栽培ハウス10を再度使用することができる。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
・栽培パネル11は、板状に形成されてその板面が畑等の土Sbに接するように配置されるパネル本体15を備えているため、土Sbの上に栽培パネル11を設置するだけで土Sbの表面を覆うことができる。したがって、この栽培パネル11によれば、土Sb側からの害虫の侵入を手間なく抑制することができる。
ここで、パネル本体15には、野菜Yaの根rが畑等の土Sbまで到達することを可能とする貫通孔16(小孔部16b)が形成されているため、この貫通孔16を通じてパネル本体15よりも下側の土Sbまで野菜Yaの根rを到達させることができる。そして、野菜Yaの根rをパネル本体15よりも下側の土Sbまで十分に成長させて、土Sbの中の水分や養分を野菜Yaの根rから吸収させることができる。一方、野菜Yaの茎や葉をパネル本体15よりも上側で成長させることができるため、野菜Yaの茎や葉の方へ土Sb側から害虫が侵入することを、パネル本体15によって抑制することができる。
その結果、簡易な構造の栽培パネル11により、土Sb側から害虫が侵入することを手間なく抑制することができる。したがって、レタスや白菜、キャベツ等の葉物野菜において、根rよりも上の重要な部分を保護することができる。
・パネル本体15の貫通孔16において、下端部の断面積(小孔部16bの断面積)が、上端部の断面積よりも小さくされている。このため、貫通孔16の内部に、上端から土Saを入れ易くすることができるとともに、その貫通孔16の内部の土Saが下端から落ちにくくすることができる。したがって、パネル本体15の貫通孔16の内部に土Saを入れた状態で栽培パネル11を運搬する際に、貫通孔16の内部から土Saが落ちることを抑制することができる。その結果、貫通孔16の内部に入れた土Saで野菜を苗Yまで育てた後、栽培パネル11を運搬して畑等の土Sbの上に設置することが容易となる。
・貫通孔16の断面積は、土Sb側に配置される端部側、すなわち下端側ほど小さくされている。このため、貫通孔16の構成が複雑になることを抑制しつつ、貫通孔16の内部に土Saを入れ易くするとともに、その貫通孔16の内部の土Saが落ちにくいようにすることができる。
・貫通孔16の下端部には、貫通孔16の断面の中心側へ突出する底部16aが設けられているため、貫通孔16の内部の土Saを底部16aによって下から支えることができる。したがって、貫通孔16の内部の土Saが更に落ちにくくなる。
・パネル本体15には、その板面(上面)から互いに同じ長さで突出する複数の柱状部17が設けられている。このため、複数の栽培パネル11を上下に積み重ねた場合に、下側のパネル11におけるパネル本体15の上面と、上側のパネル11におけるパネル本体15の下面との間に空間を確保することができる。したがって、栽培パネル11の貫通孔16の内部に入れた土Saで野菜を苗Yまで育てた状態において、苗Yがパネル本体15によって押し潰されることを抑制しつつ、複数の栽培パネル11を上下に積み重ねることができる。
そして、パネル本体15の下面には上記柱状部17が設けられていないため、栽培パネル11を土Sbの上に設置した場合に、パネル本体15の下面と土Sbの表面との間に隙間ができることを避けることができる。したがって、パネル本体15よりも下側の土Sbまで野菜Yaの根rを到達させることが、柱状部17によって妨げられることはない。
・複数の栽培パネル11を上下に積み重ねた場合に、下側のパネル11(詳しくはパネル本体15)の上面に設けられた柱状部17と、上側のパネル11の下面に設けられた凹部17aとを係合させることができる。このため、上下に積み重ねられるパネル11において互いの位置決めが容易になるとともに、積み重ねられたパネル11が互いにずれることを抑制することができる。
・フレーム部材21の差込部22aが畑等の土Sbに差し込まれた状態において、土Sbの上に設置された栽培パネル11を板部材25により下方へ押圧することができる。このため、パネル本体15の下面と土Sbの表面との間に隙間ができることを抑制することができる。その結果、パネル本体15の貫通孔16(小孔部16b)を通じて、パネル本体15よりも下側の土Sbまで野菜Yaの根rを到達させることが容易となる。また、畑等において雨水が溜まったとしても、板部材25により栽培パネル11の浮き上がりを抑制することができる。
・フレーム部材21の板部材25がパネル本体15に当接、すなわちパネル本体15を押圧するまで差込部22aを土Sbに差し込むことにより、フレーム部材21の設置と栽培パネル11を下方へ押圧することとを同時に行うことができる。したがって、これらのことを手間なく行うことができる。さらに、フレーム部材21の板部材25がパネル本体15に当接するまで、差込部22aを土Sbに差し込むことにより、差込部22aを土Sbに差し込む長さを一定に調整し易くなる。このため、各フレーム部材21の高さを揃え易くなる。
・パネル本体15の側面とメッシュシート31とを密着させるように、フレーム部材21の固定部26と縁部材41とが係合しているため、パネル本体15の側面とメッシュシート31との隙間から害虫が侵入することを抑制することができる。すなわち、メッシュシート31よりも外側からの害虫の侵入を、パネル本体15の側面とメッシュシート31との密着部により抑制することができる。このため、従来と比較して、メッシュシート31と土Sbとの隙間を埋めるように土寄せ等することが不要となる。さらに、固定部26に縁部材41が嵌合することにより、メッシュシート31が風により飛ばれることを抑制することができる。
・フレーム部材21を設置する際に、パネル本体15に形成された溝18にフレーム部材21を嵌合させることができる。このため、栽培パネル11とフレーム部材21との位置決めを容易に行うことができ、ひいては栽培パネル11とフレーム部材21との位置が互いにずれることを抑制することができる。さらに、溝18によってフレーム部材21を支えることもできる。
なお、上記第1実施形態を、以下のように変形して実施することもできる。
・フレーム部材21において、差込部22aの先端(尖端部22b)から板部材25が設けられる部分までの長さと、差込部22aの先端から固定部26が設けられる部分までの長さとを異ならせてもよい。例えば、差込部22aの先端から固定部26が設けられる部分までの長さを、差込部22aの先端から板部材25が設けられる部分までの長さよりも短くしてもよい。こうした構成によれば、板部材25よりも下側において、固定部26と縁部材41とが係合するため、メッシュシート31の端部と畑等の土Sbと間に隙間ができることを抑制することができる。その結果、メッシュシート31の外部から害虫が侵入することを更に抑制することができる。
・上記実施形態では、貫通孔16において下側に配置される端部には、その全周にわたって底部16a(突出部)を形成したが、図10に示すように、貫通孔216の下端部の一部に突出部216aを形成してもよい。また、図11に示すように、貫通孔316の下端部に複数の小孔部316bを形成するようにしてもよい。これらの構成によれば、貫通孔216の内部に入れた土Saを下から支えることができるとともに、野菜Yaの根rをパネル本体15よりも下側へ伸ばし易くすることができる。
・上記実施形態では、貫通孔16において下側に配置される端部に底部16aを形成したが、図12に示すように、こうした底部16aを省略した貫通孔416を形成するようにしてもよい。こうした構成によっても、貫通孔416の断面積は、下側に配置される端部側ほど小さくなっているため、貫通孔416に土Saを入れ易くすることができるとともに、貫通孔416の内部から土Saが落ちることを抑制することができる。なお、縦断面視において、貫通孔416の壁面が直線となるように形成されていてもよいし、曲線となるように形成されていてもよい。また、貫通孔16,416の横断面形状(平面視での形状)は、矩形状に限らず、円形状や六角形状等、任意の形状を採用することができる。
・上記実施形態では、貫通孔16の断面積は、下側に配置される端部側ほど小さくなっていたが、上端部と下端部との中間部の断面積が最も大きい形状等を採用することもできる。要するに、パネル本体15の貫通孔16において、土Sb側の端部の断面積が、土Sbと反対側の端部の断面積よりも小さい構成であれば、上端から貫通孔16の内部に土Saを入れ易くすることができるとともに、下端から土Saが落ちることを抑制することができる。
・上記実施形態では、板部材25(固定部26)は支柱部22に溶接されていたが、フレーム部材21を野菜栽培ハウス10に設置した後に、板部材25や固定部26を支柱部22に取付けるようにしてもよい。この場合には、支柱部22において、板部材25や固定部26を取付ける取付け部や、板部材25や固定部26の取付け位置を示す印等が設けられていることが望ましい。
・上記実施形態では、板部材25によって栽培パネル11のパネル本体15を押圧するようにしたが、図13に示すように、支柱部22の中間を屈曲させて屈曲部22cを形成し、この屈曲部22cによりパネル本体15を押圧するようにしてもよい。また、支柱部22の中間に段部を設けて、この段部によりパネル本体15を押圧するようにしてもよい。なお、これらの場合には、メッシュシート31の端部に設けられる縁部材41を係合するための構造を別途設けることが望ましい。
要するに、フレーム部材21の差込部22aが畑等の土Sbに差し込まれた状態において、土Sbの上に設置された栽培パネル11を下方へ押圧可能な押圧部が設けられていれば、パネル本体15の下面と土Sbの表面との間に隙間ができることを抑制することができる。なお、こうした押圧部が省略されたフレーム部材21を採用することもできる。
・図14に示すように、フレーム部材21においてアーチ部23の中央の下部に、ホース等を掛けることを可能とするフック229を設けてもよい。フック229は、「C」字状に形成されており、その開口部が側方に位置している。こうした構成によれば、各フレーム部材21のフック229に順にホースを掛け渡し、このホースに適宜設けた複数の連通孔から水や農薬等を噴出させることができる。その結果、野菜栽培ハウス10内に水や農薬等を撒くことが容易となる。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、野菜栽培ハウスを小規模にしており、1枚の栽培パネルを単位として野菜栽培ハウスを構成している。また、野菜苗は、ポット等で種から苗まで育てられた後、ポット等からパネル本体の貫通孔に移植される。図15は野菜栽培ハウスを畑等に設置した状態を示す斜視図である。
図15において、野菜栽培ハウス110は、地面に設置される栽培パネル111と、その栽培パネル111の上方に野菜栽培空間を形成するフレームユニット121と、そのフレームユニット121に被せられるように設けられる網カバー131とから構成されている。図15では、野菜栽培ハウス110内において複数の葉物野菜(野菜苗Y)が栽培されている状態が示されている。
図16は、野菜栽培ハウス110(植物栽培装置)の分解斜視図であり、野菜栽培ハウス110が畑等に設置される以前においては、栽培パネル111、フレームユニット121及び網カバー131が図示のごとく分解された状態であることが示されている。なお、栽培パネル111の構成図として平面図を図17とし、図17のA−A線断面図を図18(a)、図17のB−B線断面図を図18(b)としている。
栽培パネル111は、矩形板状をなすパネル本体115を有し、そのパネル本体115には複数の貫通孔116が形成されている。貫通孔116は、貫通孔16の内部の土で育てられる野菜の根が、パネル本体15よりも下側まで伸びることができるようにするものである。これら貫通孔116はいずれも開口断面が円形をなし、平面視において縦横に等間隔で形成されている。本実施形態では、貫通孔116の断面積は、上端から下端まで一定となっている。この貫通孔116が野菜の植え付け部となる。
図18(b)には、貫通孔116に挿入配置される野菜苗Y(レタス苗等)を一点鎖線で示している。野菜苗Yは、例えばポットで育苗された後、ポットから貫通孔116に移植される。このため、貫通孔116は、ポットの径寸法に合わせた内径寸法で形成されていることが望ましい。
また、パネル本体115の四隅と中央部とにはそれぞれ角柱状の突起部117,119(柱状部)が形成されている。本実施形態では、各突起部117,119がパネル上面に対していずれも同じ高さに形成されている。図18(a)に示すように、パネル四隅の突起部117は、パネル本体115の上面(上側に配置される板面)に対して上方に突出し、かつ同パネル本体115の下面(土Sb側に配置される板面)に対して凹ませて形成されている。この場合、パネル本体115の四隅においてパネル下面には凹部117aが形成されている。また、図18(b)に示すように、パネル中央部の突起部119は、パネル本体115の上面に対して上方に突出して形成されており、同突起部119の下方においてパネル本体115の下面には凹部119aが形成されている。すなわち、パネル本体115において土Sb側に配置される板面には、各突起部117,119に対応する位置に、各突起部117,119とそれぞれ係合可能な凹部117a,119aが形成されている。一方、この板面には、突起部117,119は設けられていない。
ここで、図17及び図18(a)に示すように、突起部117はパネル本体115の側面よりも内側に入り込んでいる。すなわち、突起部117においてパネル本体115の側面側に位置する側面と、パネル本体115の側面との間には、段部が形成されている。そして、フレームユニット121の脚部がこの段部に係合し、脚部の表面とパネル本体115の側面とが一致するようになる。
栽培パネル111は複数のパネル同士が上下に積層可能になっており、その積層状態では、上下のパネル本体115の間に所定寸法の隙間が形成されるようになっている。具体的には、下側の栽培パネル111の突起部117,119の上端部が、上側の栽培パネル11の凹部117a,119a(突起部下方の凹部)に入り込むようにして、上下多段に栽培パネル111が積層される。この場合、突起部117,119の上端部と凹部117a,119aとの係合により、各段の栽培パネル111の位置ずれが抑制される。また、パネル中央部の突起部119により、パネル本体115の中央部における撓み変形が抑制される。
図19には、複数の栽培パネル111を積層した状態を示しており、各突起部117,119は上下各段で互いに当接した状態となっている。
栽培パネル111は、第1実施形態と同様に、発泡スチロールなど、軽量でかつ所定の弾性及び断熱性を有する合成樹脂材にて形成されている。
図16に戻り、フレームユニット121(フレーム部材)は、栽培パネル111とほぼ同形状及び同寸法をなす上フレーム部122と、その四隅に設けられた脚部123とを有している。
上フレーム部122は、矩形の枠状に形成されており、その各角部には面取り加工又はR加工が施されている。このため、網カバー131の網部132(シート)が上フレーム部122の角部に引っ掛かることを抑制することができる。上フレーム部122の対向する二辺の1組には、それらを掛け渡すように弓形のアーチ部125が設けられている。アーチ部125は、上フレームにおいて各辺の中央に設けられている。このアーチ部125によって、網カバー131の垂れ下がりが抑制される。
脚部123(差込部)は、アングル等により形成されており、その角部分が外側に位置するように上フレーム部122に取り付けられている。脚部123の先端は、畑等の土Sbに差し込み易いように斜めにカットされている。
上フレーム部122には脚差込み口が形成されており、この差込み口に脚部123を差し込むことで、上フレーム部122に対して脚部123が一体化される。なお、上フレーム部122と脚部123との一体化構造は任意であり、これらをねじ締結する構造等を採用することもできる。
また、脚部123には、網カバー131を固定するために用いる固定部126が設けられている。この固定部126と脚部123との間には、所定の隙間が形成されている。脚部123において、固定部126よりも下側(先端側)の部分が、土Sbに差し込まれる部分となる。すなわち、脚部123が土Sbへ適切な長さだけ差し込まれるように、固定部126の位置が設定されている。
網カバー131は、上面部と四方の側面部とからなる網部132を有しており、この網部132がフレームユニット121に被せられるようになっている。具体的には、網部132は、下面の開口した直方体状に形成されている。網部132の内寸法は、フレームユニット121の外寸法よりも若干大きく設定されている。
網部132の側面部には、その下端部に縁部材141が取り付けられている。この縁部材141の構成は、第1実施形態の縁部材41の構成に準じている。本実施形態では、網部132の端部に縁部材141が固定されており、脚部123に設けられた固定部126と脚部123との隙間に縁部材141を上方から挿入する。これにより、固定部126と縁部材141とが嵌合して、網カバー131の端部が固定される。
図20に、脚部123に設けられた固定部126と、網カバー131の端部に設けられた縁部材141とが嵌合した状態を示す。
上述したように、突起部117においてパネル本体115の側面側(図の右側)の側面と、パネル本体115の側面との間には、段部が形成されている。そして、フレームユニット121の脚部123がこの段部に係合し、脚部123の表面とパネル本体115の側面とが一致している。このため、固定部126に縁部材141が嵌合した状態では、縁部材141とパネル本体115の側面とが密着した状態となる。したがって、この密着部によって、土Sb側からの害虫の侵入を抑制することができる。
また、縁部材141が土Sbにめり込んだ状態となっているため、地表の害虫が網部132よりも外側(図の右側)から内側(図の左側)へ侵入することを抑制することができる。すなわち、本実施形態では、縁部材141を上方から固定部126に嵌合させる構成のため、縁部材141を土Sbにめり込ませた状態にすることが容易となる。
次に、野菜栽培ハウス110の設置手順を以下に説明する。
まず、野菜苗Yを含む栽培パネル111を畑等の土Sb上に設置する。このとき、栽培パネル111の各貫通孔116には、ポットで育てられた野菜苗Yが既に移植された状態となっている。そして、下部よりも上部が大きいポットの形状を維持する土Saの上部が、貫通孔16の上端縁で支えられた状態となっている。このため、野菜苗Yが貫通孔の内部から落ちることを抑制することができる。また、野菜苗Yの根が土Saの形状を維持するように働いている。
なお、野菜苗Yが移植されていない栽培パネル111を畑等の土Sb上に設置し、その後、栽培パネル111の各貫通孔116に土Saを入れて、この土Saで野菜を種から苗Yまで育てる手順であってもよい。
いずれにしても、野菜苗Yを畑の土Sbの上に設置する際に、従来のような野菜苗Yに畑の土Sbを被せる等の作業が不要であり、野菜栽培ハウス110で野菜苗Yを成長させることができる状態にするための作業を簡易化することができる。
その後、栽培パネル111に対してフレームユニット121を組み付ける。このとき、パネル本体115の四隅に設けられた各突起部117の外面に、フレームユニット121の各脚部123の内面を当接させる。このため、栽培パネル111とフレームユニット121との位置決めを容易に行うことができるとともに、これらが互いにずれることを抑制することができる。
そして、フレームユニット121の上方から網カバー131を被せて、フレームユニット121に網カバー131を固定する。このとき、フレームユニット121の脚部123に設けられた固定部126に、網部132の端部に設けられた縁部材141を上方から嵌合させる。その際に、縁部材141の下部が土Sbにめり込んだ状態とする。
こうして野菜栽培ハウス110を設置した後、第1実施形態と同様にして、野菜苗Yを成長させる。このとき、野菜の茎や葉はパネル本体115よりも上側で成長するとともに、野菜の根は貫通孔116を通じてパネル本体115よりも下側の土Sbまで伸びることができる。
なお、野菜栽培ハウス110も、第1実施形態と同様に、野菜の栽培に何度も繰り返し使用することが可能である。
以上詳述した本実施形態は以下の利点を有する。
・畑等の土Sbの上に栽培パネル111を設置するだけで土Sbの表面を覆うことができる。したがって、この栽培パネル111によれば、土Sb側からの害虫の侵入を手間なく抑制することができる。
野菜の根をパネル本体115よりも下側の土Sbまで十分に成長させて、土Sbの中の水分や養分を野菜の根から吸収させることができる。一方、野菜の茎や葉をパネル本体115よりも上側で成長させることができるため、野菜の茎や葉の方へ土Sb側から害虫が侵入することをパネル本体115によって抑制することができる。
その結果、簡易な構造の栽培パネル111により、土Sb側から害虫が侵入することを手間なく抑制することができる。したがって、レタスや白菜、キャベツ等の葉物野菜において、根よりも上の重要な部分を保護することができる。
・パネル本体115において、土Sbと反対側に配置される板面(上面)には、その板面から互いに同じ長さで突出する複数の突起部117,119が設けられている。このため、複数の栽培パネル111を上下に積み重ねた場合に、下側のパネル111におけるパネル本体115の上面と、上側のパネル111におけるパネル本体115の下面との間に空間を確保することができる。したがって、野菜苗Yがパネル本体115によって押し潰されることを抑制しつつ、複数の栽培パネル111を上下に積み重ねることができる。
そして、パネル本体115の下面には上記突起部117,119が設けられていないため、栽培パネル111を土Sbの上に設置した場合に、パネル本体115の下面と土Sbの表面との間に隙間ができることを避けることができる。したがって、パネル本体115よりも下側の土Sbまで野菜の根を到達させることが、突起部117,119によって妨げられることはない。
・複数の栽培パネル111を上下に積み重ねた場合に、下側のパネル111(詳しくはパネル本体115)の上面に設けられた突起部117と、上側のパネル111の下面に設けられた凹部117a,119aとを係合させることができる。このため、上下に積み重ねられるパネル111において互いの位置決めが容易になるとともに、積み重ねられたパネル111が互いにずれることを抑制することができる。
・フレームユニット121の脚部123に設けられた固定部126が、畑等の土Sbに対して所定量だけめり込むまで、脚部123を土Sbに差し込むことにより、各脚部123を土Sbに差し込む長さを揃え易くなる。このため、フレームユニット121の上面を水平に調整することが容易となる。
・パネル本体115の側面と網カバー131の端部に設けられた縁部材141とを密着させるように、固定部126と縁部材141とが嵌合しているため、パネル本体115の側面と縁部材141との隙間から害虫が侵入することを抑制することができる。すなわち、網カバー131よりも外側からの害虫の侵入を、パネル本体115の側面と縁部材141との密着部により抑制することができる。
なお、上記第2実施形態を、以下のように変形して実施することもできる。
・フレームユニット121において、各脚部123が内側に折り畳み可能な構成であってもよい。こうした構成によれば、複数のフレームユニット121をまとめて運搬するのに好都合であるとともに、上フレーム部122と脚部123との組付けを容易化することができる。
・第1実施形態と同様に、フレームユニット121の脚部123が畑等の土Sbに差し込まれた状態において、土Sbの上に設置された栽培パネル111を下方へ押圧可能な押圧部を設けるようにしてもよい。
・パネル本体115の貫通孔116を、第1実施形態の貫通孔16及びその変形例と同様の構成に変更してもよい。
・栽培パネル111の形状は矩形状に限らず、三角形状や円形状等の形状を採用することもできる。この場合には、栽培パネル111の形状に合わせて、フレームユニット121及び網カバー131の形状を変更すればよい。
(他の実施形態)
上記の各実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記の各実施形態では、野菜の周囲を覆うシートとして、メッシュシート31及び網部132を採用したが、ビニールシート等を採用することもできる。
・パネル本体15,115において、パネル下面が凸凹状の面で形成されていてもよい。例えば、パネル上面を平坦面で形成するのに対し、パネル下面を凸凹状の面に形成するとよい。凹凸状の面として、具体的には、円錐状や角錐状、山状の突起が頂点を下向きにして分布する形状等を採用することができる。すなわち、畑等の土Sbは平坦でない場合もあり、この場合には、凸凹状の面を有するパネル本体であれば、土Sbとの間に隙間ができることを抑制し易くなる。
ちなみに、上記構成の栽培パネルを水に浮かべて利用する場合には、パネル下面が凹凸状に形成されていることで、そのパネル下面側に局部的に気泡が溜まり、パネル面が傾く等の不都合が考えられる。ゆえに、上記構成の栽培パネルを水に浮かべて利用することは不向きであるが、土の上なら、凹凸の間に土Sbが入り込むため、有益となる。
・上記の各実施形態では、畑等の土Sbの上に野菜栽培ハウス10,110を設置したが、野菜栽培工場内の土の上に野菜栽培ハウス10,110を設置してもよい。また、その際には、建物の2階等に設けられた土の上に、野菜栽培ハウス10,110を設置してもよい。
・上記の各実施形態では、野菜栽培ハウス10,110として、レタスや白菜、キャベツ等の葉物野菜を栽培するようにしたが、野菜に限らず、生花等、根よりも上の部分が重要である植物の栽培にこれらを適用することもできる。