JP2011530661A - 活性成分の制御放出を伴う有効成分含有繊維表面構造体、その使用、およびその生産のための方法 - Google Patents

活性成分の制御放出を伴う有効成分含有繊維表面構造体、その使用、およびその生産のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、調整可能な有効成分放出プロフィールを有する有効成分含有繊維表面構造体であって、繊維状で、ポリマーで、可溶性および/または分解性の有効成分基体と、その基体と結合しその繊維表面構造体より放出され得る少なくとも1種の有効成分とを含む、繊維表面構造体;かかる繊維表面構造体を含む、有効成分を含有する処方物;有効成分を含有する処方物を生産するための本発明による有効成分含有繊維表面構造体の使用;ならびに本発明による繊維表面構造体を生産するための方法に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、調整可能な有効成分放出プロフィールを有する有効成分含有シート状繊維構造体であって、繊維状で、ポリマーで、可溶性および/または分解性の有効成分担体と、その担体と結合し前記シート状繊維構造体より放出させることができる少なくとも1種の有効成分とを含むシート状繊維構造体;かかるシート状繊維構造体を含む有効成分含有処方物;有効成分含有処方物の生産のための発明有効成分含有シート状繊維構造体の使用;および発明シート状繊維構造体の生産のための方法に関する。
技術の現状:
ナノファイバーおよびメソファイバーの生産に関しては、当業者は多数の方法を知っている。それらの方法の中でエレクトロスピニングは現在最も重要性が高い方法である。この方法(この方法は、例えば、D.H. Reneker, H.D. Chun in Nanotechn. 7 (1996), pages 216 ff.により記載されている)では、ポリマー溶融物またはポリマー溶液を、一般には、電極となるエッジで高電場に曝す。これは、例えば、低圧下電場中でポリマー溶融物またはポリマー溶液を、電源の一方の極に接続されたカニューレを通して押し出すことにより行うことができる。その結果、ポリマー溶融物またはポリマー溶液に静電気帯電が発生するため、材料流は対電極に向かいその対電極に向かう途中で凝固することになる。この方法は、電極形状に応じて、不織布または規則繊維の集合体を与える。
DE−A1−10133393には、内径が1〜100nmの中空繊維を生産するための方法が開示されており、その方法では、水不溶性ポリマーの溶液−例えばジクロロメタン中のポリ−L−ラクチド溶液またはピリジン中のナイロン−46溶液−をエレクトロスピニングする。WO−A1−01/09414およびDE−A1−10355665より同様の方法も知られている。
DE−A1−19600162には、ラウンモウアーワイヤー(lawnmower wire)または織物のシート状構造体を生産するための方法が開示されており、その方法では、糸を形成するポリマーとしてのポリアミド、ポリエステルまたはポリプロピレンと、無水マレイン酸変性ポリエチレン/ポリプロピレンゴムと、1以上の経時変化安定剤(aging stabilizers)とを合わせ、溶融し、一緒に混合した後、この溶融物を溶融紡糸する。
DE−A1−10 2004 009 887は、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーの溶融物の静電紡糸または噴霧により、直径が<50μmの繊維を生産するための方法に関するものである。
エレクトロスピニングプロセス、繊維の特性およびその潜在的用途の詳細な説明は、A. Greiner and J. Wendorff, Angew. Chemie Int. Ed., 2007, 119, 5770-5805において見い出すことができる。
繊維不織布を生産するためのさらなる好適な方法は、遠心紡糸(回転紡糸とも呼ばれる)として知られている。EP 624 665 B1およびEP 1 088 918 A1(両方ともBASF社出願)には、紡糸プレートでの遠心紡糸プロセスによってメラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびその熱可塑性ポリマーとのブレンドから繊維構造体を生産するための方法が開示されている。
遠心力を用いて種々のポリマー材料の溶融物から繊維を生産するための方法および装置も、DE 10 2005 048 939 A1に記載されている。
WO−A−2001/54667およびWO−A−2004/014304には、非晶性医薬処方物およびその生産方法が開示されている。ポリマー−医薬品有効成分溶液をエレクトロスピニングすることにより、安定な非晶性処方物を得ることが可能であった。しかしながら、有効成分放出およびその制御についての具体的な情報は得られなかった。
WO−A−2007/082936には、難水溶性効果物質を、タンパク質含有保護コロイド中にその効果物質を分散させることにより処方するための両親媒性自己集合タンパク質の使用が記載されている。難水溶性効果物質と両親媒性自己集合タンパク質とを共通分散相中で混合し、続いて高タンパク質高効果物質相と低タンパク質低効果物質相とに相分離した後に、難水溶性効果物質が封入されたタンパク質マイクロビーズが生じる。
WO−A−2007/093232には、作物保護有効成分のナノ粒子処方物が記載されてり、その処方物では、ナノ粒子が平均粒径0.05〜2.0μmのコアシェル構造を有し作物保護有効成分がコア中にX線非晶形で1種以上のポリマーと一緒に存在し、ここで、そのポリマーは水または水溶液または水−溶媒混合物に不溶性または部分的に可溶性であり、そのシェルは安定化シェルマトリックスからなる。これらの処方物は、(a)水非混和性有機溶媒中の作物保護有効成分の溶液を作製すること、(b)コアポリマーを水非混和性有機溶媒に溶解すること;および(a)および(b)によって得られた混合物を、シェルマトリックスの成分を含む水溶液とともに乳化すること(対応する溶液を混合チャンバーに注入し乳化後有機溶媒を除去することによる)を含む方法により生産できる。
WO−A−2007/082936 DE−A1−10133393 WO−A1−01/09414 DE−A1−10355665 DE−A1−19600162 DE−A1−10 2004 009 887 EP 624 665 EP 1 088 918 DE 10 2005 048 939 WO−A−2001/54667 WO−A−2004/014304 WO−A−2007/082936 WO−A−2007/093232
A. Greiner and J. Wendorff, Angew. Chemie Int. Ed., 2007, 119, 5770-5805
これまでに知られている有効成分および効果物質のポリマー系処方物にはまだ不利点がある。とりわけ処方された有効成分の、例えば長期にわたっての、放出の制御が問題となり、これまでにまだ満足に解決されていない。
農薬、医薬および化粧品の効果物質を合成ポリマー中またはポリマー混合物中に、標準圧力下、温度範囲5〜90℃内でポリマー−有効成分希釈溶液から封入することは、難溶性および熱感受性の効果物質の場合に特に有利であろう。特に有効なのは、生分解性または生体適合性のポリマーを使用することであろう。
よって、本発明の目的は、先行技術から公知の方法より良好な有効成分放出調整を可能にしながら、ポリマー材料を処方助剤として使用しかかる有効成分の処方を可能にする方法を提供することであった。
「有効成分」および「効果物質」という用語は、以下、同義的に用いられる.
添付の図面は以下を示している:
異なる含量のエポキシコナゾール有効成分を含むPVPポリマー溶液をエレクトロスピニングすることにより得られる、PVPポリマー繊維のSEM画像。 対応するキャリブレーションサンプルと比較した、本発明により作製された異なるPVPマトリックス(繊維不織布1および2)中のエポキシコナゾール有効成分の回収率。 純粋PVPまたは結晶性エポキシコナゾールと比較した、作製したての、9重量%、23重量%および33重量%のエポキシコナゾール含量のPVP−エポキシコナゾールからなるシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果。 純粋PVPまたは結晶性エポキシコナゾールと比較した、異なる温度で保存した、PVP−エポキシコナゾールから本発明により作製されたシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果;この目的で、各サンプルを、いずれの場合においても+40℃、−10℃および0℃で24時間、その後20℃で72時間保存した。 本発明により作製された、異なるβ−カロテン含量のPVP−β−カロテン繊維のSEM画像。 対応するキャリブレーションサンプルと比較した、本発明により作製された異なるPVPマトリックス(繊維不織布1および2)中のβ−カロテン有効成分の回収率。 純粋PVPまたは結晶性β−カロテンと比較した、PVP−β−カロテンから本発明により作製されたシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果。 純粋PVPまたは結晶性β−カロテンと比較した、異なる温度で保存した、PVP−β−カロテンから本発明により作製されたシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果;この目的で、各サンプルを、いずれの場合においても+40℃、−10℃および0℃で24時間、その後20℃で72時間保存した。 本発明により作製された異なるエポキシコナゾール含量のPMMA−エポキシコナゾール繊維のSEM画像。 異なるエポキシコナゾール含量のPMMA−エポキシコナゾールから形成されたシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果。 フィルムまたはシート状繊維構造体としての生分解性ポリエステルEcoflex(登録商標)の各エポキシコナゾール放出プロフィール。 生分解性ポリエステルEcoflex(登録商標)、PVPおよびPMMAからの異なるエポキシコナゾール放出プロフィール。 PVP、PMMAならびにPVPおよびPMMAの1:1ブレンドまたは1:5ブレンドから作製されたシート状繊維構造体からの異なるエポキシコナゾール放出プロフィール。 PMMAおよびPVPの有効成分フリー繊維の断面図の顕微鏡画像; PVP、Ecoflex(登録商標)ならびにPVPおよびEcoflexの1:1ブレンドから作製されたシート状繊維構造体からの異なるエポキシコナゾール放出プロフィール; クロトリマゾール有効成分が組み込まれているシート状C16クモ絹タンパク質構造体(繊維)の電子顕微鏡(SEM)画像; 純粋クロトリマゾールと比較した、エレクトロスピニングにより得られたC16クモ絹タンパク質処方物中のクロトリマゾール有効成分の結晶性研究(WAXS、透過率による); エレクトロスピニングにより得、錠剤にプレスしたC16クモ絹タンパク質処方物からのクロトリマゾール有効成分の、リン酸カリウムバッファー(対照)ならびに人工胃液および腸液中への放出。100%値は実施例10による表に示した総有効成分濃度に設定した。
発明の詳細な説明:
1.使用する用語の定義:
特に断りのない限り、本発明文脈においては技術用語についての次の定義を用いる:
「担体ポリマー」とは、合成ポリマーまたはそのブレンド、バイオポリマーまたはそのブレンド、あるいは少なくとも1種の合成ポリマーとバイオポリマーとのブレンドを意味すると理解され、その担体ポリマーは、処方される有効成分(群)/効果物質(群)と非共有相互作用するか、または微粒子有効成分を(分散形または結晶形で)取り囲む能力を有する。
「非共有」相互作用とは、有効成分と担体ポリマーとの共有結合の形成とは関係のない当業者に公知のあらゆるタイプの結合を意味すると理解される。その限定されない例としては、次のものが挙げられる。:水素結合形成、錯体形成、イオン相互作用。
「有効成分」または「効果物質」とは、農薬、薬学、化粧品または食品および飼料産業において用途を見い出すことができる、親水性、親油性または両親媒性を有する合成または天然の低分子量物質;同様に、発明のシート状繊維構造体中に埋め込むことができるしまたは発明のシート状繊維構造体上に吸着させることもできる生物学的に活性な高分子、例えばペプチド(例えば2〜10個のアミノ酸残基を有するオリゴペプチドおよび10個を超える、例えば11〜100個の、アミノ酸残基を有するポリペプチド)、ならびに酵素および一本鎖または二本鎖核酸分子(例えば2〜50個の核酸残基を有するオリゴヌクレオチドおよび50個を超える核酸残基を有するポリヌクレオチド)を意味すると理解される。
「低分子量」とは、1モル当たり5000g未満、とりわけ2000g未満、例えば100〜1000gのモル質量を意味する。
「高分子量」とは、1モル当たり5000gを超え、とりわけ10000g未満、例えば10000〜1000000gのモル質量を意味する。
「有効成分」および「効果物質」という用語は、同義的に用いられる。
本発明によれば、「シート状繊維構造体」という用語には、単一ポリマー繊維と、例えば繊維不織布ウェブを提供するための、多数のかかる繊維の組合せの両方が含まれる。
「有効成分担体」は、繊維形状で存在し、本発明により加工される有効成分(群)を、好ましくは、繊維表面上に吸着させ、非共有結合した形でおよび/または繊維材料中に組み込んで、担持する。有効成分は、繊維上に均一または不均一な分布で存在し得る。加えて、有効成分は、非晶形、半結晶形または結晶形で有効成分担体上/中に可逆的に吸着され得る。
「可溶性」有効成分担体は、水性溶媒または有機溶媒、好ましくは水性溶媒、例えば水または水系溶媒に、pH範囲pH2〜13、例えば4〜11において部分的にまたは完全に溶解する。よって、水溶解度は、広い範囲内で変化し得、すなわち良好な、すなわち迅速がつ完全または本質的に完全な溶解から非常に遅くかつ完全または不完全な溶解まで変化する。
本発明の有効成分処方物の好適なポリマー構成成分は、原則として、温度範囲0〜240℃の間、圧力範囲1〜100バールの間、pH範囲0〜14またはイオン強度10mol/lまで範囲内において水または/および有機溶媒に溶解する全てのポリマーである。
「分解性」の有効成分担体は、繊維構造体が化学的、生物学的または物理的プロセスにより、例えば光または他の放射線の作用、溶媒、化学的または生化学的酸化、加水分解、タンパク質分解により部分的にまたは完全に破壊される場合に存在する。生化学的プロセスは、酵素または微生物により、例えば原核生物または真核生物、例えば細菌、酵母、真菌により媒介され得る。
ポリマーの「混和性」とは、本発明によれば、少なくとも2種の異なるポリマーの混合物の場合には、一方のポリマーがもう一方のポリマーに対する溶媒として作用することができることを意味すると理解される。これは、2種の異なるポリマーの間で単相系が生成することを意味する。非混和性成分の場合には、2つの異なる相が相応じて存在する。
「複合ポリマー」とは、本発明によれば、少なくとも1種の、繊維を形成するポリマー成分と、少なくとも1種の低分子量または高分子量添加物、例えばとりわけ非重合性添加物、例えば以上に定義したとおりの有効成分または効果物質との均一または不均一な混合物を意味すると理解される。
シート状繊維構造体の「加工した形態」とは、シート状繊維構造体の生産において最初に得られた製品をさらに加工することを意味すると理解され;例えば繊維を圧縮するかまたは錠剤にし、さらなる担体に適用しおよび/または繊維長を短くするために粉砕に付すということである。
特に断りのない限り、ポリマーの分子量数はMn値またはMw値に関する。
2.好ましい実施形態:
本発明は、第一に、有効成分含有シート状繊維構造体であって、繊維状で、ポリマーで、可溶性および/または分解性の有効成分担体と、その担体と結合し前記シート状繊維構造体より放出させることができる低分子量有効成分、または同じもしくは異なる有効成分種類のまたは同じもしくは異なる作用様式の複数の有効成分、例えば2種、3種、4種または5種の、有効成分とを含むシート状繊維構造体であり、前記担体が、2種以上、例えば2種、3種、4種または5種の、ポリマー成分の混合物を含む複合ポリマーであり、ここで、これらの少なくとも2種のポリマー成分が
a)水性または非水性溶媒への溶解度、
b)分子量(MnまたはMw)
c)ガラス転移温度(Tg)/融点(m.p.);および
d)分解性、例えば化学的分解性およびとりわけ生分解性(例えば少なくとも1種の酵素もしくは少なくとも1種の微生物による、酸化および/もしくは加水分解によるならびに/または放射線によるもの)
から選択される少なくとも1つの特性において異なる、シート状繊維構造体に関する。
より具体的には、ポリマー成分は溶解度および/または分解性に関して異なる。
加えて、少なくとも2種のポリマー成分は、
(i)有効成分(群)の異なる添加密度;
(ii)異なる繊維比表面積(すなわち直径);
(iii)異なる繊維物理的構造(例えば多孔性および/または表面粗度(トポグラフィー)、相分離が異なる形で)
によって異なっていてもよい。
より具体的には、少なくとも1種の有効成分は非晶形または半結晶形で存在する。
例えば、シート状繊維構造体中の有効成分は、前記担体中に組み込まれ(埋め込まれ)および/または前記担体上に吸収され得る。
とりわけ好ましくは、繊維状の有効成分含有担体は紡糸プロセスによって得られる。
より具体的には、繊維状の有効成分含有担体は、少なくとも1種の有効成分と少なくとも2種のポリマー成分との混合物とを、いずれの場合においても溶解した形で含むエレクトロスピニング可能な溶液(an electrospinnable solution)を用いたエレクトロスピニングプロセスによって作製される。
本発明のシート状繊維構造体中に存在するポリマー成分は互いに混和するか、または少なくとも2種のポリマー成分は互いに混和しない。
本発明により使用するポリマー成分は、とりわけ、合成ポリマーおよび天然ポリマー(バイオポリマー)、例えばとりわけ両親媒性自己集合タンパク質から選択され、それらのバイオポリマーはさらに化学的および/または酵素的に修飾されていてよい。
両親媒性自己集合タンパク質は、例えば、マイクロビーズを形成するタンパク質、または本質的に折りたたまれていないタンパク質である。例えば、両親媒性自己集合タンパク質は、絹タンパク質、例えば、とりわけクモ絹タンパク質、好ましくはC16、R16もしくはS16タンパク質(参照、配列番号2、配列番号4または配列番号6);または配列同一性が少なくとも約50%、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%であるこれらのタンパク質由来の紡糸可能なタンパク質である。
合成ポリマーはホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである。
担体ポリマーはとりわけ、
a)少なくとも2種の混和性合成ホモポリマーまたはコポリマーの混合物;
b)少なくとも2種の非混和性合成ホモポリマーまたはコポリマーの混合物;
c)少なくとも2種の混和性バイオポリマーの混合物;
d)少なくとも2種の非混和性バイオポリマーの混合物;
e)少なくとも1種の互いに混和する合成ホモポリマーまたはコポリマーと少なくとも1種のバイオポリマーとの混合物;および
f)少なくとも1種の互いに混和しない合成ホモポリマーまたはコポリマーと少なくとも1種のバイオポリマーとの混合物
から選択される。
ポリマー成分は、各々独立に、約500〜10 000 000、例えば1000〜1 000 000または10 000〜500 000または20 000〜250 000の範囲のモル質量を有する。
有効成分担体繊維の直径は、約10nm〜100μm、例えば50nm〜10μm、または100nm〜2μmである。
加えて、本発明によれば、有効成分の添加は、シート状繊維構造体の固形分に基づき、約0.01〜80重量%、例えば1〜70重量%または10〜50重量%であり得る。
より具体的には、本発明のシート状繊維構造体は、ポリマー繊維およびポリマー不織布から選択される。
加えて、繊維はさらなる物理的構造、例えば多孔性を有し得る。さらに、前記溶液の粘度または粘弾性を高めるため、および紡糸性を良好にするために、少なくとも1種のさらなるポリマーを含め得る。加えて、紡糸可能な溶液の導電率を高めるための少なくとも1種の低分子量添加物、例えば有機または無機塩、有効成分の浸透助剤、バイオアベイラビリティを増大させるための助剤などを含め得る。
シート状繊維構造体では、有効成分はとりわけ繊維中に分子分散して(すなわち有効成分分子はポリマーマトリックス中に個別に存在する、すなわちポリマーマトリックスに溶解する)またはナノ粒子分散して(すなわち有効成分分子は数ナノメートル範囲の寸法の粒子(クラスター)に凝集する)存在する。
本発明はまた、以上に定義したとおりのシート状繊維構造体を加工した形態(粉砕または非粉砕形態のシート状繊維構造体を含む)で、所望により少なくとも1種のさらなる処方助剤と組み合わせて、含む有効成分含有処方物も提供する。例えば、そのシート状繊維構造体は、圧縮した(プレスした)形態(例えば錠剤またはカプセル剤)で、粉末形態で、または担体基体に適用してその中に存在してよい。
発明の処方物は、とりわけ、化粧品(とりわけ皮膚化粧品および毛髪化粧品)処方物、ヒトおよび動物医薬処方物、農薬処方物(とりわけ殺真菌処方物、除草処方物、殺虫処方物および他の作物保護処方物)、食品および動物飼料添加物(例えば食品および飼料補給物)から選択される。
本発明はまた、以上に定義したとおりの有効成分含有処方物の生産のための、以上に定義したとおりの有効成分含有シート状繊維構造体の使用、より具体的にはその中に存在する有効成分の制御放出のための、以上に定義したとおりの有効成分含有処方物の使用も提供する。
最後に、本発明は、以上に定義したとおりのシート状繊維構造体を生産するための方法を提供し、その方法では、
a)少なくとも1種の有効成分を複合液相中で担体ポリマー成分と一緒に混合し、
b)その後、紡糸プロセスによってポリマー複合繊維中への有効成分の埋め込みを行う。
これには、少なくとも1種の有効成分とポリマー成分を溶媒相中で混合することおよびこの混合物を紡糸することを必要とする。
しかしながら、少なくとも1種の有効成分とポリマー成分を少なくとも2種の互いに混和する溶媒の混合物中で混合すること(有効成分とポリマーは少なくともそれらの溶媒の一方に溶解する)、およびそのようにして得られた混合物を紡糸することも可能である。
紡糸プロセスは、エレクトロスピニングプロセスまたは遠心(回転)紡糸プロセスであり得る。より具体的には、紡糸プロセスは、約0〜90℃の範囲の温度で行われる。
本発明はまた、
(i)繊維の直径が10nm〜100μm、好ましくは50nm〜10μm、より好ましくは100nm〜2μmであり、
(ii)効果物質の添加が、処方物の総固形物に基づき、0.01〜80重量%、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは5〜50重量%であり、
(iii)効果物質が、ポリマーおよび所望により添加物と一緒に繊維中にX線非晶形または半結晶形で(微細分散液として)存在する
シート状繊維構造体にも関する。
特定の用途では、共通の溶媒の除去後にポリマーが分離し2つ以上の相を形成する場合には有利であり得る。
紡糸作業を用いれば、合成ポリマーまたはバイオポリマーと効果物質が溶解または分散した形で存在する水溶液または有機溶媒から、シート状構造体(繊維、不織布、被覆)を作製することができる。
これらのポリマーリッチ有効成分リッチ相は、被覆(基体上の層)の形で用いることができ、機械的に安定な有効成分含有ポリマー構造体の形で取り出し所望により乾燥させることができ、さらに錠剤またはカプセル剤に加工することもできる。
本発明はまた、低分子量有効成分および/または高分子量有効成分を本質的に含まない、以上に定義したとおりのシート状繊維構造体も提供する。
本発明は、最後に、有効成分含有処方物の生産のためのかかる有効成分フリーシート状繊維構造体の使用に関し、その場合において処方物は、とりわけ化粧品処方物、ヒトおよび動物医薬処方物、農薬処方物、食品および動物飼料添加物から選択される。
この目的で、例えば、有効成分フリーシート状繊維構造体は、本質的には本明細書に記載したとおり、好適なポリマーを紡糸することにより作製することができ、次のステップにおいて、1種以上の有効成分をそれに関係づける、例えば吸着させる、すなわち非共有結合させることができる。
3.本発明のさらなる構成
(i)有効成分の処方
本発明の有効成分処方物は、公知の方法により合成ポリマーおよび/またはバイオポリマーを用いて様々に作製することができる。有効成分は、例えば、紡糸プロセスによりシート状繊維構造体中にパッケージングまたは封入することができる。
ポリマー−有効成分組合せからなる繊維およびシート状構造体は、溶液または微細分散液またはゲルから始め、当業者に公知の全ての紡糸プロセスにより作製することができる。特に好適な紡糸プロセスは、溶液または微細分散液からのプロセスであり、より好ましくは遠心紡糸(回転紡糸)およびエレクトロスピニング(静電紡糸)が挙げられる。
処方物を繊維へ紡糸する場合、好適な繊維径は、原則として10nm〜100μm、好ましくは繊維径50nm〜10μm、より好ましくは100nm〜2μmである。
エレクトロスピニング(静電紡糸)の場合、処方する溶液または微細分散液を0.01〜10kV/cmの間、より好ましくは1〜6kV/cmの間、最も好ましくは2〜4kV/cmの間の強度の電場に置く。電気力が処方物の表面張力を超えるとすぐに、大部分はジェットの形で対向電極へ移動する。溶媒は電極間の空間において蒸発し、そのため処方物中の固形物は対電極上に繊維の形で存在する。紡糸電極は、ダイまたはシリンジをベースとし得るしまたはローラー形状であり得る。紡糸は、垂直方向(下から上へおよび上から下へ)、および水平方向のいずれかにおいて行われ得る。
本発明によれば好適なさらなるプロセスは遠心紡糸(回転紡糸)である。このプロセスでは、出発材料を溶液または微細分散液として重力場に置く。この目的で、繊維原料は容器に入れられ、その容器は回転するようになっており、その過程で流動化した繊維原料が求心力または遠心力により繊維の形で容器から排出される。繊維は、続いて、シート状構造体を形成するためにガス流により運び去り組み合わせることができる。
有効成分は、本発明によれば、本発明による方法により作製したシート状繊維構造体中に封入することにより処方することができる。このプロセスは通常、2つのステップを含む。第1のステップにおいて、有効成分(群)および担体ポリマー(群)から、それらの成分を共通相中で混合することにより紡糸液を調製する。この目的で、溶媒または溶媒混合物を用いて有効成分およびポリマーを直接溶液にすることができる。あるいは、有効成分およびポリマーをまず異なる溶媒に溶解することができ、その後、それらの溶液を一緒に混合することができ、それによってこの場合も共通相が生成する。その共通相は分子分散相であり得るしまたはコロイド分散相でもあり得る。
有効成分およびポリマーの異なる溶媒への溶解と、それに続くそれらの2つの溶液の混合は、有効成分およびポリマーが共通の溶媒または溶媒混合物に溶解することができない場合にとりわけ有利である。このようにして、好適な溶媒に溶解した有効成分を、この有効成分が溶解しない別の溶媒で希釈することによって、疎水性有効成分のコロイド分散溶液を作製することも可能である。
好適な溶媒は、原則としてシート状繊維構造体の形成を妨げるものであってはならず、有効成分を不可逆的に不活性化するものであってもならない。
有用な溶媒としては、第一に水、さらに水および水混和性有機溶媒の混合物が挙げられる。好適な水混和性溶媒の例は、限定されるものではないが、アルコール、例えばメタノール、エタノールおよびイソプロパノール、フッ素化アルコール、例えばヘキサフルオロイソプロパノールおよびトリフルオロエタノール、アルカノン、例えばアセトン;あるいはスルホキシド、例えばジメチルスルホキシド;またはホルムアミド、例えばジメチルホルムアミド;または例えば有機溶媒、例えばテトラヒドロフランおよびアセトニトリルまたはN−メチル−2−ピロリドンまたはギ酸エステルである。一般的には、担体ポリマーを溶解することができるあらゆる溶媒および溶媒混合物を用いて実施することが可能である。好適な溶媒のさらなる例は、イオン性液体、例えば酢酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMIM)、カオトロピック塩の水溶液、例えば尿素、塩酸グアニジンおよびチオシアン酸グアニジン、または有機酸、例えばギ酸、酢酸などである。
さらなる実施形態では、水と混和しない溶媒または溶媒混合物を使用することが可能である。「水非混和性有機溶媒」という用語は、水溶解度が50%未満、好ましくは25%未満、より好ましくは10%未満、さらに好ましくは10%未満、各段に好ましい実施形態では5%未満である有機溶媒を表す。
例として、限定されるものではないが、次の溶媒を記述する:シクロヘキサン、シクロペンタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、2−メチルペンタン、3−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2−メチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、ベンゼン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、シクロヘキセン、1−ブタノール、エチルビニルエーテル、プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルビニルエーテル、ブチルエチルエーテル、1,2−エポキシブタン、フラン、テトラヒドロピラン、1−ブタナール、2−メチルプロパナール、2−ペンタノン、3−ペンタノン、シクロヘキサノン、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸イソプロピル、プロピオン酸エチル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、クロロエタン、1−クロロプロパン、2−クロロプロパン、1−クロロブタン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、1−クロロ−3−メチルブタン、3−クロロプロペン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン、1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,1−トリクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、ブロモメタン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、1−ブロモブタン、2−ブロモブタン、2−ブロモ−2−メチルプロパン、ブロモメチレン、ヨードメタン、ヨードエタン、2−ヨードプロパン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、ジブロモフルオロメタン、ブロモクロロメタン、ブロモクロロフルオロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタン、1,1,2,2−テトラクロロジフルオロエタン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、1,2−ジブロモ−1−1−ジフロウロエタン(1,2-dibromo-1-1-diflouroethane)、1,1−ジクロロ−2,2−ジフルオロエチレン、プロピオニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、トリエチルアミン、二硫化炭素、1−ブタンチオール、硫化メチル、硫化エチルおよびテトラメチルシラン。
ii)シート状繊維構造体およびそのポリマー成分
シート状繊維構造体中の本発明の繊維は1つ、2つ、3つ以上の相からなり得る。
本発明のさらなる実施形態では、本発明のシート状繊維構造体の繊維は、少なくとも3つの相からなり、その場合、1つの相は有効成分の非晶性粒子または半結晶性粒子または結晶性粒子で構成され、もう1つの相はポリマーマトリックス中の有効成分の分子分散分布を構成し、第3の相は有効成分フリーポリマー相を構成する。
本発明のさらなる実施形態では、本発明の繊維構造体の繊維は、少なくとも2つの相からなり、その場合、1つの相は有効成分の非晶性粒子または半結晶性粒子または結晶性粒子で構成され、もう1つの相はポリマーマトリックス中の有効成分の分子分散分布を構成する。
本発明のさらなる実施形態では、本発明のシート状繊維構造体の繊維は、少なくとも2つの相からなり、その場合、1つの相は非晶性有効成分または半結晶性有効成分または結晶性有効成分で構成され、もう1つの相は有効成分フリーポリマーマトリックスを構成する。
本発明のさらに好ましい実施形態では、本発明のシート状繊維構造体の繊維は、ポリマーマトリックス中の有効成分の分子分散分布からなる。
非混和性ポリマーAおよびBを使用する場合、例えば、有効成分およびポリマーAと少量のポリマーBからなる、または有効成分およびポリマーBと少量のポリマーAからなる、さらなる相が形成され得る。
本発明の有効成分処方物の好適なポリマー構成成分は、原則として、温度範囲0〜240℃の間、圧力範囲1〜100バールの間、pH範囲0〜14またはイオン強度10mol/lまでの範囲内において水または/および有機溶媒に溶解する全ての天然および合成ポリマーである。
1種以上のポリマーを使用することが可能である。使用するポリマーのモル質量は、500〜10 000 000g/molの範囲内、好ましくは1000〜1 000 000g/molの範囲内である。有用なポリマーは、原則として、薬理学、作物保護、化粧品、食品および動物飼料生産の用途分野に好適な全てのポリマーである。
高分子量(500 000〜)のポリマーは、難溶性効果物質を処方する場合に有利である。処方物からシート状繊維構造体を得るためには、処方物においてこれらのポリマーは非常に低い濃度でなければならない。処方物における効果物質濃度も相応じて低くなる。
長期安定性が向上した非晶性有効成分処方物を得ることが目的である場合には、ポリマーは、有効成分と強い非共有相互作用を有するかまたはガラス転移温度(Tg)が好ましくは紡糸温度より高くなくてはならない。この場合、最初のケースでは担体との相互作用、2つ目のケースではガラス転移温度より低い温度でのポリマー鎖の運動性の欠如によって有効成分分子の移動が妨げられるため、有効成分は溶媒の除去後もポリマー中の分子分散液または微細分散液に溶解したままである。また、所望により、有効成分の凝集を妨げる少なくとも1種の添加物を含めることも可能である。
好適な合成ポリマーは、例えば、芳香族ビニル化合物のホモポリマーおよびコポリマー、アルキルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、アルキルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、α−オレフィンのホモポリマーおよびコポリマー、脂肪族ジエンのホモポリマーおよびコポリマー、ハロゲン化ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアセテートのホモポリマーおよびコポリマー、アクリロニトリルのホモポリマーおよびコポリマー、ウレタンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、ならびに上述のポリマーを構成するモノマー単位の2種以上から形成されたコポリマーからなる群から選択される。
有用な担体ポリマーとしては、より具体的には、次のモノマーに基づいたポリマーが挙げられる:
アクリルアミド、アジピン酸、アリルメタクリレート、α−メチルスチレン、ブタジエン、ブタンジオール、ブタンジオールジメタクリレート、ブタンジオールジビニルエーテル、ブタンジオールジメタクリレート、ブタンジオールモノアクリレート、ブタンジオールモノメタクリレート、ブタンジオールモノビニルエーテル、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、エチルアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、エチレン、エチレングリコールブチルビニルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル、エチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、エチルビニルエーテル、グリシジルメタクリレート、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールモノビニルエーテル、イソブテン、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、イソプレン、イソプロピルアクリルアミド、メチルアクリレート、メチレンビスアクリルアミド、メチルメタクリレート、メチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピロリドン、オクタデシルビニルエーテル、フェノキシエチルアクリレート、ポリテトラヒドロフラン2ジビニルエーテル、プロピレン、スチレン、テレフタル酸、tert−ブチルアクリルアミド、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルアクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルメチルエーテル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル、4−tert−ブチル安息香酸ビニル、ビニルアセテート、塩化ビニル、ビニルドデシルエーテル、塩化ビニリデン、ビニルイソブチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニルプロピルエーテルおよびビニルtert−ブチルエーテル。
「ポリマー」という用語には、ホモポリマーおよびコポリマーの両方が含まれる。有用なコポリマーは、ランダム系だけでなく交互系、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーでもある。「コポリマー」という用語には、2種以上の異なるモノマーから形成されたポリマー、あるいは例えばステレオブロックコポリマーの場合と同様に、少なくとも1種のモノマーのポリマー鎖への組込みが様々な方法によって実現し得るポリマーが含まれる。
ホモポリマーおよびコポリマーのブレンドを使用することも可能である。ホモポリマーおよびコポリマーは互いに混和する場合もあるしまたは互いに混和しない場合もある。
好ましくは、次のポリマーを挙げるべきである:
ポリビニルエーテル、例えばポリベンジルオキシエチレン、ポリビニルアセタール、ポリビニルエステル、例えばポリビニルアセテート、ポリオキシテトラメチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、例えばポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリメタクリルアミド、ポリヒドロキシブチレート、ポリビニルアルコール、アセチル化ポリビニルアルコール、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、ポリカルボン酸(ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸)、ポリアクリルアミド、ポリイタコン酸、ポリ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリスルホン酸(ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)すなわちPAMPS)、ポリメタクリルアミド、ポリアルキレンオキシド、例えば、ポリエチレンオキシド;ポリ−N−ビニルピロリドン;マレイン酸、ポリ(エチレンイミン)、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリレート、例えばポリフェノキシエチルアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリドデシルアクリレート、ポリ(イボルニルアクリレート)、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリ(t−ブチルアクリレート)、ポリシクロヘキシルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリヒドロキシプロピルアクリレート、ポリメタクリレート、例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(n−アミルメタクリレート)、ポリ(n−ブチルメタクリレート)、ポリエチルメタクリレート、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリシクロヘキシルメタクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルメタクリレート)、ポリラウリルメタクリレート、ポリ(t−ブチルメタクリレート)、ポリベンジルメタクリレート、ポリ(イボルニルメタクリレート)、ポリグリシジルメタクリレートおよびポリステアリルメタクリレート、ポリスチレン、さらに(例えば無水マレイン酸との)スチレン系コポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、メチルメタクリレート−スチレンコポリマー、N−ビニルピロリドンコポリマー、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)。
ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、アクリレート−スチレンコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアミドおよびポリエステルが極めて特に好ましい。
さらに好適なのは天然ポリマーまたはバイオポリマーである:
限定されない例としては、セルロース、セルロースエーテル、例えばメチルセルロース(置換度3〜40%)、エチルセルロース、ブチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース;ヒドロキシプロピルセルロース、イソプロピルセルロース、セルロースエステル、例えばセルロースアセテート、デンプン、加工デンプン、例えばメチルエーテルデンプン、アラビアガム、キチン、セラック(schellack)、ゼラチン、キトサン、ペクチン、カゼイン、アルギン酸塩、ならびに上述の化合物のモノマーから形成されたコポリマーおよびブロックコポリマー;ならびに核酸分子:が挙げられる。
より具体的には、本発明により使用するバイオポリマーは生分解性である。
さらなる好適な生分解性バイオポリマーは両親媒性自己集合タンパク質である。両親媒性自己集合タンパク質は、アミノ酸、とりわけ20個の天然アミノ酸から構成されたポリペプチドからなる。アミノ酸はまた、修飾、例えばアセチル化、グリコシル化、ファルネシル化されていてもよい。
好適な両親媒性自己集合タンパク質は、とりわけ、参照により明示的に本明細書に組み入れられるWO−A−20077082936に記載されている、タンパク質マイクロビーズを形成することができるタンパク質である。
紡糸プロセスによって有効成分を処方するためのさらなる好適なタンパク質は絹タンパク質である。これらは、以下、高度反復アミノ酸配列を含み、動物において液体形態で保存され、その分泌時に剪断または紡糸の結果として繊維を形成するタンパク質を意味すると理解される(Craig, C. L. (1997) Evolution of arthropod silks. Annu. Rev. Entomol. 42: 231-67)。
紡糸プロセスによって有効成分を処方するための特に好適なタンパク質は、クモ類からその原初の形態で単離されたクモ絹タンパク質である。
極めて特に好適なタンパク質は、クモの大瓶状腺(the major ampullate gland)から単離された絹タンパク質である。
好ましい絹タンパク質は、ニワオニグモ(Araneus diadematus)の大瓶状腺からのADF3およびADF4である(Guerette et al., Science 272, 5258:112-5 (1996))。
紡糸プロセスによって有効成分を処方するための同等に好適なタンパク質は、天然絹タンパク質から誘導され遺伝子工学法を用いて原核生物または真核生物発現系において異種産生された天然または合成タンパク質である。発現原核生物の限定されない例は、とりわけ、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、コリネバクテリウム・グルタミクム(Corynebacterium glutamicum)である。発現真核生物の限定されない例は、酵母、例えば、とりわけサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、糸状菌、例えば、とりわけアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)、哺乳類細胞、例えば、とりわけhela細胞、COS細胞、CHO細胞、昆虫細胞、例えば、とりわけSf9細胞、MEL細胞である。
紡糸プロセスによって有効成分を処方するために特に好ましいのは、天然絹タンパク質の反復単位に基づいた合成タンパク質である。それらの合成タンパク質は、合成反復絹タンパク質配列に加えて、1以上の天然非反復絹タンパク質配列をさらに含んでよい(Winkler and Kaplan, J Biotechnol 74:85-93 (2000))。
紡糸プロセスによって有効成分を処方するための合成絹タンパク質の中では、天然クモ絹タンパク質の反復単位に基づいた合成クモ絹タンパク質が好ましい。それらの合成クモ絹タンパク質は、合成反復クモ絹タンパク質配列に加えて、1以上の天然非反復クモ絹タンパク質配列をさらに含んでよい。
合成クモ絹タンパク質の中では、好ましくは、C16タンパク質を挙げるべきである(Huemmerich et al. Biochemistry, 43(42):13604-13612 (2004))。このタンパク質は配列番号2に示されるポリペプチド配列を有する。
配列番号2に示されるポリペプチド配列に加えて、この配列の機能的等価物、機能的誘導体および塩もまた特に好ましい。
紡糸プロセスによって有効成分を処方するためにさらに好ましいのは、昆虫構造タンパク質、例えばレシリンの配列と組み合わせた、天然絹タンパク質の反復単位に基づいた合成タンパク質である(Elvin et al., 2005, Nature 437: 999-1002)。
絹タンパク質とレシリンからなるこれらの組合せタンパク質の中では、R16タンパク質およびS16タンパク質が特に好ましい。これらのタンパク質はそれぞれ、配列番号4および配列番号6に示されるポリペプチド配列を有する。
配列番号4および配列番号6に示されるポリペプチド配列に加えて、これらの配列の機能的等価物、機能的誘導体および塩もまた特に好ましい。
「機能的等価物」とは、本発明によれば、とりわけ、上述のアミノ酸配列の少なくとも1つの配列位置において明記されたものとは異なるアミノ酸を有するがそれにもかかわらず効果物質をパッケージングする特性を有する突然変異体を含むと理解される。よって、「機能的等価物」は、1以上のアミノ酸付加、置換、欠失および/または逆位によって得られる突然変異体を含み、その場合、記述した変化は、発明の特性プロフィールを有する突然変異体をもたらすという条件で、任意の配列位置で起こり得る。機能的等価性は、とりわけ、突然変異体と未変化ポリペプチドとの間で反応性パターンが質的に一致する場合にも存在する。
また、上記の意味における「機能的等価物」は、記載したポリペプチドの「前駆体」、ならびにそのポリペプチドの「機能的誘導体」および「塩」でもある。
「前駆体」は、所望の生物活性の有無にかかわらずそのポリペプチドの天然または合成前駆体である。
好適なアミノ酸置換の例は次の表から引用することができる:
Figure 2011530661
「塩」という表現は、本発明のタンパク質分子の、カルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方を意味すると理解される。カルボキシル基の塩は、それ自体が公知の方法によって調製することができ、無機塩、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄および亜鉛の塩、ならびに有機塩基例えばアミン、例えばトリエタノールアミン、アルギニン、リシン、ピペリジンなどとの塩が挙げられる。酸付加塩、例えば無機酸(例えば塩酸または硫酸)との塩、および有機酸(例えば酢酸およびシュウ酸)との塩も同様に、本発明対象の一部をなす。
本発明のポリペプチドの「機能的誘導体」も同様に、公知の技術を用いて機能性アミノ酸側鎖基またはそれらのN末端もしくはC末端で調製することができる。かかる誘導体には、例えば、アンモニアとまたは第一級もしくは第二級アミンとの反応によって得られるカルボン酸基の脂肪族エステル、カルボン酸基のアミド、;アシル基との反応によって調製される遊離アミノ基のN−アシル誘導体、;あるいはアシル基との反応によって調製される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体が含まれる。
本発明によればさらに包含される「機能的等価物」は、本明細書において具体的に開示するタンパク質/ポリペプチドのホモログである。これらは、具体的に開示するアミノ酸配列の1つに対して少なくとも60%、例えば70%、80%または85%、例えば90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%、の同一性を有する。
2配列間の「同一性」とは、とりわけ、いずれの場合においても全配列長にわたる基の同一性、とりわけ、the Vector NTI Suite 7.1 (Vector NTI Advance 10.3.0, Invitrogen Corp.)(すなわちInformax社(USA)のソフトウェア、clustal法(Higgins DG, Sharp PM. Fast and sensitive multiple sequence alignments on a microcomputer. Comput Appl. Biosci. 1989 Apr;5(2):151-1)を用いる)を使用し、次のパラメーター設定を用い比較により計算された同一性を意味すると理解される:
Figure 2011530661
さらに、生分解性合成ポリマーにも関する。
「生分解性ポリマー」という用語は、DIN V 54900に示される生分解性の定義を満たす全てのポリマーを含むものであり、より具体的にはコンポスト化可能なポリエステルを意味する。
一般的には、生分解性とは、ポリマー、例えばポリエステルが、例えば適当な検証可能な期間内に分解するということを意味する。分解とは、加水分解および/または酸化により、主に微生物、例えば細菌、酵母、真菌および藻類の作用によって起こりうるものである。生分解性は、例えば、ポリエステルをコンポストと混合し一定の期間それを保存することによって定量することができる。ASTM D 5338、ASTM D 6400およびDIN V 54900によれば、例えば、コンポスト化中に熟成させたコンポストにCOを含まない空気を通し、熟成させたコンポストを規定の温度プログラム下におく。本明細書における生分解性は、サンプルからのCOの正味の放出量(サンプルを含まないコンポストからのCO放出量を引いた後のもの)とサンプルからのCOの最大放出量(サンプルの炭素含量から算出したもの)との比率によって定義される。生分解性ポリエステルは、一般には、コンポスト化のわずか数日後に分解の明らかな様相、例えば真菌増殖、亀裂および穴傷を示す。生分解性ポリマーの例は、生分解性ポリエステル、例えばポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリアルキレンアジペートテレフタレート、ポリヒドロキシアルカノエート(ポリヒドロキシブチレート)およびポリラクチドグリコシドである。特に好ましいのは、生分解性ポリアルキレンアジペートテレフタレートであり、好ましくはポリブチレンアジペートテレフタレートである。好適なポリアルキレンアジペートテレフタレートは、例えばDE 4 440 858に記載されている(また、市販されている、例えば、BASF社のEcoflex(登録商標)である)。
ポリマー構造体は、有効成分を含むシート状繊維構造体(例えばポリマー繊維、ポリマー不織布)として作製することができ、基体、例えばマイクロファイバー不織布上への紡糸作業中に用意することができる。これらは、、続いて、錠剤またはカプセル剤にプレスすることができる。
加えて、例えば、後の段階において繊維中の有効成分の結晶化に影響を与えるため(例えば結晶化を阻害するため)または特定の使用特性、例えばバイオアベイラビリティを得るために、紡糸液にさらなる物質を添加することが可能である。好ましい添加物は、例えば、イオン性(カチオン性またはアニオン性)界面活性剤および非イオン性界面活性剤である。紡糸液中の添加物の好適な量は、0.01重量%〜5重量%である。
加えて、紡糸液またはそれから作製したシート状ポリマー構造体に、錠剤またはカプセル剤の崩壊を可能にしそれによって錠剤またはカプセル剤にプレスされたシート状ポリマー構造体の分散の向上を可能にする物質を添加することが可能である。
本発明によれば、より具体的には、本発明の有効成分含有シート状繊維構造体の処方のための好適なポリマー成分組合せにより制御された方法でその有効成分放出特性に影響を及ぼし得ることが観察された。より具体的には、これは、次の特性の少なくとも1つにおいて異なる少なくとも2種のポリマー成分を組み合わせることにより行われる:
a)水性または非水性溶媒への溶解度、
b)分子量
c)ガラス転移温度および/または融点
d)分解性(とりわけ生分解性または化学的分解性、とりわけ、少なくとも1種の酵素または微生物により生分解性を誘導することが可能であり、化学的分解性は、例えば、加水分解経路または酸化的経路により可能である)。加えて、分解性は物理的に、例えば、とりわけ光の作用により、誘導することもできる。)
このようにして、本発明を利用し有効成分放出を使用者の特定の要件に合わせることができる。いずれの場合においても提供する放出プロフィールは、系統的考察に基づきまたは数回の予備試験により経験的に決定することができる。記載する実施例において詳細に説明するように、本発明によれば、異なるポリマー成分を組み合わせることにより、個々のポリマー成分で観察される放出プロフィールとは大きく異なる、有効成分の新たな放出プロフィールを得ることが可能である。例えば、ポリマー組合せによる有効成分放出の、個々のポリマー成分による放出より明らかに早い発現、または観察期間の全体または一部にわたっての発明のポリマー組合せの放出プロフィールにおいて、個々の成分より高いもしくはより低い放出率を観察できる。
特に好適なポリマー組合せの限定されない例は、実施例に例示する組合せに加え、次のとおりである:
ポリエステル/ポリアクリレート(非混和性)
ポリエステル/ポリスチレンまたはスチレンコポリマー(アクリレートまたはブタジエン)(非混和性)
ポリアミド/クモ絹タンパク質(混和性)
スチレンまたはスチレンコポリマー/クモ絹タンパク質
PVP/クモ絹タンパク質(混和性)
PVA/クモ絹タンパク質
PEO/クモ絹タンパク質
ポリアミド/PVP(混和性)
ポリアミド/ポリアクリル酸(混和性)
ポリ乳酸/PVP(場合によって非混和性)
ポリ乳酸/ポリアクリレート
ポリエステル/ポリアクリレート/PVP(非混和性)
ポリエステル/ポリ乳酸/PVP(非混和性または混和性)
ポリエステル/デンプン(混和性)
PVP/デンプン
セルロースまたは誘導体/ポリアクリレート
セルロースアセテート/ポリエチレン−ビニルアセテート(混和性)
ポリビニルアルコール/ポリビニルアセテート(混和性)
コラーゲン/PVA
コラーゲン/PEO
キトサン/PVA(PEO)
ポリウレタン/PVP(混和性)
ポリウレタン/ポリエステル(場合によって非混和性)
ポリウレタン/クモ絹タンパク質(混和性)
ポリカーボネート/ポリカプロラクトン(混和性)
ポリカーボネート/ポリエステル(混和性)
ポリアクリレート/ポリ塩化ビニル(混和性)
(iii)有効成分
「有効成分」および「効果物質」という用語は、以下、同義的に用いられる。これらは、水溶性効果物質および難水溶性効果物質の両方である。「難水溶性」有効成分および「疎水性」有効成分または「難水溶性」効果物質および「疎水性」効果物質という用語は、同義的に用いられる。難水溶性有効成分とは、以下、20℃における水溶解度が<1重量%、好ましくは<0.5重量%、より好ましくは<0.25重量%、最も好ましくは<0.1重量%である化合物を指す。水溶性有効成分とは、以下、20℃における水溶解度が>1重量%、好ましくは>10重量%、より好ましくは>40重量%、最も好ましくは>70重量%である化合物を指す。
好適な効果物質は、色素、とりわけ次の表に明記するものである:
特に有利な色素は、次のリストに明記する油溶性または油分散性化合物である。カラーインデックス番号(CIN)は、the Rowe Colour Index, 3rd edition, Society of Dyers and Colourists, Bradford, England, 1971から引用している。
Figure 2011530661
Figure 2011530661
さらに好ましい効果物質は、脂肪酸、とりわけアルキル分岐を有する飽和脂肪酸、より好ましくは分岐エイコサン酸、例えば18−メチルエイコサン酸である。
さらに好ましい効果物質は、カロテノイドである。カロテノイドは、本発明によれば、次の化合物、およびそのエステル化またはグリコシル化誘導体:β−カロテン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、シトラナキサンチン、カンタキサンチン、ビキシン、β−アポ−4−カロチナール、β−アポ−8−カロチナール、β−アポ−8−カロチン酸エステル、ニューロスポレン、エチネノン、アドニルビン、ビオラキサンチン、トルレン、トルラロジンを個別にまたは混合物として意味すると理解される。好ましく使用されるカロテノイドは、β−カロテン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、シトラナキサンチンおよびカンタキサンチンである。
さらに好ましい効果物質は、ビタミン、とりわけレチノイドおよびそのエステルである。
本発明の文脈において、レチノイドとは、ビタミンAアルコール(レチノール)およびその誘導体、例えばビタミンAアルデヒド(レチナール)、ビタミンA酸(レチノイン酸)およびビタミンAエステル(例えば酢酸レチニル、プロピオン酸レチニルおよびパルミチン酸レチニル)を意味する。「レチノイン酸」という用語には、オールトランスレチノイン酸だけでなく13−シスレチノイン酸も含まれる。「レチノール」および「レチナール」という用語には、好ましくは、オールトランス化合物が含まれる。本発明の処方物に使用される好ましいレチノイドは、オールトランスレチノール(以下、レチノールと呼ぶ)である。
さらに好ましい効果物質は、A群、B群、C群、E群およびF群のビタミン、プロビタミンおよびビタミン前駆体、とりわけ3,4−ジデヒドロレチノール、β−カロテン(ビタミンAのプロビタミン)、アスコルビン酸のパルミチン酸エステル、トコフェロール、とりわけα−トコフェロールおよびそのエステル(例えば酢酸エステル、ニコチン酸エステル、リン酸エステルおよびコハク酸エステル);さらにビタミンFであり、これは、必須脂肪酸、特にリノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸を意味すると理解される。
さらに好ましい効果物質は、ビタミンE群の親油性油溶性抗酸化剤、すなわちトコフェロールおよびその誘導体、没食子酸エステル、フラボノイドおよびカロテノイド、並びにブチルヒドロキシトルエン/アニソールである。
さらに好ましい効果物質は、リポ酸および好適な誘導体(塩、エステル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)である。
さらに好ましい効果物質は、紫外線防護フィルターである。これは、紫外線を吸収し吸収したエネルギーを再びより長い波長の放射線、例えば熱の形で放出することのできる有機物質を意味すると理解される。
使用される油溶性UV−Bフィルターは、例えば、次の物質であり得る:
3−ベンジリデンカンファーおよびその誘導体、例えば3−(4−メチルベンジリデン)カンファー;4−アミノ安息香酸誘導体、好ましくは4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−オクチルおよび4−(ジメチルアミノ)安息香酸アミル;桂皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸プロピル、4−メトキシ桂皮酸イソアミル、4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン);
サリチル酸のエステル、好ましくはサリチル酸2−エチルヘキシル、サリチル酸4−イソプロピルベンジル、サリチル酸ホモメンチル;ベンゾフェノンの誘導体、好ましくは2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン;ベンザルマロン酸のエステル、好ましくは4−メトキシベンズマロン酸ジ−2−エチルヘキシル;トリアジン誘導体、例えば2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチル−1’−ヘキシルオキシ)−1,3,5−トリアジン(オクチルトリアゾン)およびジオクチルブタミドトリアゾン(Uvasorb(登録商標)HEB):
プロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン。
桂皮酸のエステル、好ましくは4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸イソペンチル、2−シアノ−3−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン)の使用が特に好ましい。
ベンゾフェノンの誘導体、とりわけ2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンの使用、およびプロパン−1,3−ジオン、例えば1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオンの使用がさらに好ましい。
有用な典型的UV−Aフィルターとしては、
ベンゾイルメタンの誘導体、例えば1−(4’−tert−ブチルフェニル)−3−(4’−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンまたは1−フェニル−3−(4’−イソプロピルフェニル)プロパン−1,3−ジオン;
ベンゾフェノンのアミノ−ヒドロキシル置換誘導体、例えばn−ヘキシル安息香酸N,N−ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル:が挙げられる。
UV−AおよびUV−Bフィルターは、当然ながら、混合しても使用し得る。
好適なUVフィルター物質を次の表に明記する:
Figure 2011530661
Figure 2011530661
上述の2群の主要な光安定剤に加えて、紫外線が皮膚に透過すると誘発される光化学反応の連鎖を停止する抗酸化タイプの第2の光安定剤を使用することも可能である。その典型例は、トコフェロール(ビタミンE)および油溶性アスコルビン酸誘導体(ビタミンC)である。
本発明によれば、効果物質として記述した化合物の好適な誘導体(塩、エステル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)を使用することが可能である。
過酸化物分解剤と呼ばれるもの、すなわち、過酸化物、より好ましくは脂質過酸化物を分解することができる化合物がさらに好ましい。これらは有機物質、例えば5−ピリミジノール誘導体および3−ピリジノール誘導体ならびにプロブコールを意味すると理解される。
加えて、記述した過酸化物分解剤は、好ましくは、特許出願WO−A−02/07698およびWO−A03/059312(これらの内容は参照により明示的に本明細書に組み入れられる)に記載されている物質、好ましくは、フリーラジカル変換環境を作ることなく過酸化物またはヒドロペルオキシドを対応するアルコールに還元することができる、それらの特許出願に記載されているホウ素含有または窒素含有化合物である。加えて、立体障害アミンもこの目的で使用することが可能である。
さらなる群は、紫外線によってダメージを受けた皮膚に対する炎症抑制作用を有する抗刺激剤の群である。かかる物質は、例えばビサボロール、フィトールおよびフィタントリオールである。
効果物質のさらなる群は、作物保護に使用することができる有効成分、例えば除草剤、殺虫剤および殺真菌剤の群である。
次の殺虫剤リストに考えられる作物保護有効成分を示すが、それに限定されるものではない:
A.1.オルガノ(チオ)ホスフェート:アジンホス−メチル、クロルピリホス、クロルピリホス−メチル、クロルフェンビンフォス、ダイアジノン、ジスルホトン、エチオン、フェニトロチオン、フェンチオン、イソキサチオン、マラチオン、メチダチオン、メチル−パラチオン、オキシデメトン−メチル、パラオキソン、パラチオン、フェントエート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホレート、ホキシム、ピリミホス−メチル、プロフェノホス、プロチオホス、スルプロホス、テトラクロルビンホス、テルブホス、トリアゾホス、トリクロルホン;
A.2.カルバメート:アラニカルブ、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、フェノキシカルブ、フラチオカルブ、メチオカルブ、メトミル、オキサミル、ピリミカルブ、チオジカルブ、トリアザメート:
A.3.ピレスロイド:アレスリン、ビフェントリン、シフルトリン、シハロトリン、シフェノトリン、シペルメトリン、α−シペルメトリン、β−シペルメトリン、ζ−シペルメトリン、デルタメトリン、エスフェンバレレート、エトフェンプロクス、フェンプロパトリン、フェンバレレート、イミプロトリン、λ−シハロトリン、ペルメトリン、プラレトリン、ピレトリンIおよびII、レスメトリン、シラフルオフェン、タウ−フルバリネート、テフルトリン、テトラメトリン、トラロメトリン、トランスフルトリン;
A.4.成長調節剤:a)キチン合成阻害剤:ベンゾイル尿素:クロルフルアズロン、シラマジン、ジフルベンズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、テフルベンズロン、トリフルムロン;ブプロフェジン、ジオフェノラン、ヘキシチアゾックス、エトキサゾール、クロフェンタジン;b)エクジソンアンタゴニスト:ハロフェノジド、メトキシフェノジド、テブフェノジド、アザジラクチン;c)ジュベノイド:ピリプロキシフェン、メトプレン、フェノキシカルブ;d)脂質生合成阻害剤:スピロジクロフェン、スピロメシフェン、式D1のテトロン酸誘導体
Figure 2011530661
A.5.ニコチン受容体アゴニスト/アンタゴニスト:クロチアニジン、ジノテフラン、チアクロプリド;
A.6.GABAアンタゴニスト:アセトプロール、エンドスルファン、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール;
A.7.マクロライド殺虫剤:アバメクチン、エマメクチン、ミルベメクチン、レピメクチン、スピノサド;
A.8.MET1 I殺ダニ剤:フェナザキン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド;
A.9.MET1 IIおよびIII化合物:アセキノシル、フルアシプリム、ヒドラメチルノン;
A.10.脱共役剤化合物:クロルフェナピル;
A.11.酸化的リン酸化阻害剤:シヘキサチン、ジアフェンチウロン、酸化フェンブタスズ、プロパルギット;
A.12.脱皮阻害化合物:クリオマジン;
A.13.混合機能オキシダーゼ阻害剤:ピペロニルブトキシド
A.14.ナトリウムチャネル遮断剤:インドキサカルブ、メタフルミゾン;
A.15.種々のもの:ベンクロチアズ、ビフェナゼート、フロニカミド、ピリダリル、ピメトロジン、硫黄、チオシクラム、および式D2のアミノイソチアゾール化合物
Figure 2011530661
[式中、Rは−CHOCHCHまたはHであり、RiiはCFCFCFまたはCHCH(CHである]、式D3のアントラニルアミド化合物
Figure 2011530661
[式中、Bは水素または塩素であり、Bは臭素またはCFであり、RはCHまたはCH(CHである]、およびJP 2002 284608、WO 02/189579、WO 02/190320、WO 02/190321、WO 04/06677、WO 04/120399またはJP 2004 99597に記載されているようなマロノニトリル化合物、N−R’−2,2−ジハロ−1−R’’−シクロプロパンカルボキサミド−2−(2,6−ジクロロ−α,α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)ヒドラゾンまたはN−R’−2,2−ジ(R’’’)プロピオンアミド−2−(2,6−ジクロロ−α,α,α,α−トリフルオロ−p−トリル)ヒドラゾン[式中、R’はメチルまたはエチルであり、ハロは塩素または臭素であり、R’’は水素またはメチルであり、R’’’はメチルまたはエチルである]。
以下の殺真菌剤リストに考えられる有効成分を示すが、それに限定されるものではない:
1.ストロビルリン
アゾキシストロビン、ジモキシストロビン、エネストロビン、フルオキサストロビン、クレソキシム−メチル、メトミノストロビン、ピコキシストロビン、ピラクロストロビン、トリフロキシストロビン、オリサストロビン、(2−クロロ−5−[1−(3−メチルベンジルオキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバミン酸メチル、(2−クロロ−5−[1−(6−メチルピリジン−2−イルメトキシイミノ)エチル]ベンジル)カルバミン酸メチル、2−(オルト−(2,5−ジメチルフェニルオキシメチレン)フェニル)−3−メトキシアクリル酸メチル:
2.カルボキサミド
−カルボキシアニリド:ベナラキシル、ベノダニル、ボスカリド、カルボキシン、メプロニル、フェンフラム、フェンヘキサミド、フルトラニル、フラメトピル、メタラキシル、オフレース、オキサジキシル、オキシカルボキシン、ペンチオピラド、チフルザミド、チアジニル、N−(4’−ブロモビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロメチル−2−メチルチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−トリフルオロメチルビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロ−2−メチルトリチアゾール−5−カルボキサミド、N−(4’−クロロ−3’−フルオロビフェニル−2−イル)−4−ジフルオロ−2−メチルトリアゾール−5−カルボキサミド、N−(3’,4’−ジクロロ−4−フルオロビフェニル−2−イル)−3−ジフルオロ−1−メチルピラゾール−4−カルボキサミド;
−カルボン酸モルホリド:ジメトモルフ、フルモルフ;
−ベンズアミド:フルメトベル、フルオピコリド(ピコベンズアミド)、ゾキサミド;
−他のカルボキサミド:カルプロパミド、ジクロシメット、マンジプロパミド、N−(2−(4−[3−(4−クロロフェニル)プロパ−2−イニルオキシ]−3−メトキシフェニル)エチル)−2−メタンスルホニルアミノ−3−メチルブチルアミド、N−(2−(4−3−(4−クロロフェニル)プロプ−2−イニルオキシ]−3−メトキシフェニル)エチル)−2−エタンスルホニルアミノ−3−メチルブチルアミド;
3.アゾール
−トリアゾール:ビテルタノール、ブロムコナゾール、シプロコナゾール、ジフェノコナゾール、ジニコナゾール、エニルコナゾール、エポキシコナゾール、フェンブコナゾール、フルシラゾール、フルキンコナゾール、フルトリアホール、ヘキサコナゾール、イミベンコナゾール、イプコナゾール、メトコナゾール、ミクロブタニル、ペンコナゾール、プロピコナゾール、プロチオコナゾール、シメコナゾール、テブコナゾール、テトラコナゾール、トリアジメノール、トリアジメホン、トリチコナゾール;
−イミダゾール:シアゾファミド、イマザリル、ペフラゾエート、プロクロラズ、トリフルミゾール;
−ベンゾイミダゾール:ベノミル、カルベンダジム、フベリダゾール、チアベンダゾール;
−その他:エタボキサム、エトリジアゾール、ヒメキサゾール;
4.窒素含有ヘテロシクリル化合物
−ピリジン:フルアジナム、ピリフェノックス、3−[5−(4−クロロフェニル)−2,3−ジメチルイソオキサゾリジン−3−イル]−ピリジン;
−ピリミジン:ブピリメート、シプロジニル、フェリムゾン、フェナリモール、メパニピリム、ヌアリモール、ピリメタニル;
−ピペラジン:トリホリン;
−ピロール:フルジオキソニル、フェンピクロニル;
−モルホリン:アルジモルフ、ドデモルフ、フェンプロピモルフ、トリデモルフ;
−ジカルボキシミド:イプロジオン、プロシミドン、ビンクロゾリン;
−その他:アシベンゾラル−S−メチル、アニラジン、カプタン、カプタホール、ダゾメット、ジクロメジン、フェノキサニル、ホルペット、フェンプロピジン、ファモキサドン、フェンアミドン、オクチリノン、プロベナゾール、プロキナジド、キノキシフェン、トリシクラゾール、5−クロロ−7−(4−メチルピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、2−ブトキシ−6−ヨード−3−プロピルクロメン−4−オン、N,N−ジメチル−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−スルホニル)−[1,2,4]トリアゾール−1−スルホンアミド;
5.カルバメートおよびジチオカルバメート
−カルバメート:ジエトフェンカルブ、フルベンチアバリカルブ、イプロバリカルブ、プロパモカルブ、3−(4−クロロフェニル)−3−(2−イソプロポキシカルボニルアミノ−3−メチルブチリルアミノ)プロピオン酸メチル、N−(1−(1−(4−シアノフェニル)エタンスルホニル)ブタ−2−イル)カルバミン酸4−フルオロフェニル;
6.他の殺真菌剤
−有機金属化合物:フェンチン塩;
−硫黄含有ヘテロシクリル化合物:イソプロチオラン、ジチアノン;
−有機リン化合物:エジフェンホス、ホセチル、ホセチル−アルミニウム、イプロベンホス、ピラゾホス、トルクロホス−メチル、亜リン酸およびその塩;
−有機塩素化合物:チオファネート−メチル、クロロタロニル、ジクロフルアニド、トリルフルアニド、フルスルファミド、フタリド、ヘキサクロロベンゼン、ペンシクロン、キントゼン;
−ニトロフェニル誘導体:ビナパクリル、ジノカップ、ジノブトン;
−その他:スピロキサミン、シフルフェナミド、シモキサニル、メトラフェノン。
以下の除草剤リストに考えられる有効成分を示すが、それに限定されるものではない:
脂質の生合成を阻害する化合物、例えばクロラジホップ、クロジナホップ、クロホップ、シハロホップ、シクロホップ、フェノキサプロプ、フェノキサプロプ−p、フェンチアプロプ、フルアジホップ、フルアジホップ−P、ハロキシホップ、ハロキシホップ−P、イソキサピリホップ、メタミホップ、プロパキザホップ、キザロホップ、キザロホップ−P、トリホップ、またはそのエステル、ブトロキシジム、シクロキシジム、プロホキシジム、セトキシジム、テプラロキシジム、トラルコキシジム、ブチレート、シクロエート、ジアレート、ジメピペレート、EPTC、エスプロカルブ、エチオレート、イソポリネート、メチオベンカルブ、モリネート、オルベンカルブ、ペブレート、プロスルホカルブ、スルファレート、チオベンカルブ、チオカルバジル、トリアレート、ベルノレート、ベンフレセート、エトフメセートおよびベンスリド;
ALS阻害剤、例えばアミドスルフロン、アジムスルフロン、ベンスルフロン、クロリムロン、クロルスルフロン、シノスルフロン、シクロスルファムロン、エタメトスルフロン、エトキシスルフロン、フラザスルフロン、フルピルスルフロン、ホラムスルフロン、ハロスルフロン、イマゾスルフロン、ヨードスルフロン、メソスルフロン、メトスルフロン、ニコスルフロン、オキサスルフロン、プリミスルフロン、プロスルフロン、ピラゾスルフロン、リムスルフロン、スルホメツロン、スルホスルフロン、チフェンスルフロン、トリアスルフロン、トリベヌロン、トリフロキシスルフロン、トリフルスルフロン、トリトスルフロン、イマザメタベンズ、イマザモキス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、クロランスラム、ジクロスラム、フロラスラム、フルメツラム、メトスラム、ペノキスラム、ビスピリバク、ピリミノバク、プロポキシカルバゾン、フルカルバゾン、ピリベンゾキシム、ピリフタリドおよびピリチオバク;pHが<8の場合;
光合成を阻害する化合物、例えばアトラトン、アトラジン、アメトリン、アジプロトリン、シアナジン、シアナトリン、クロラジン、シプラジン、デスメトリン、ジメタメトリン、ジプロペトリン、エグリナジン、イパジン、メソプラジン、メトメトン、メトプロトリン、プロシアジン、プログリナジン、プロメトン、プロメトリン、プロパジン、セブチルラジン、セクブメトン、シマジン、シメトン、シメトリン、テルブメトン、テルブチラジンおよびテルブトリン;
プロトポルフィリノーゲン−IXオキシダーゼ阻害剤、例えばアシフルオルフェン、ビフェノックス、クロメトキシフェン、クロルニトロフェン、エトキシフェン、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロニトロフェン、ホメサフェン、フリロキシフェン、ハロサフェン、ラクトフェン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン、オキシフルオルフェン、フルアゾレート、ピラフルフェン、シニドン−エチル、フルミクロラク、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルチアセット、チジアジミン、オキサジアゾン、オキサジアルギル、アザフェニジン、カルフェントラゾン、スルフェントラゾン、ペントキサゾン、ベンズフェンジゾン、ブタフェナシル、ピラクロニル、プロフルアゾール、フルフェンピル、フルプロパシル、ニピラクロフェンおよびエトニプロミド;
除草剤、例えばメトフルラゾン、ノルフルラゾン、フルフェニカン、ジフルフェニカン、ピコリナフェン、ベフルブタミド、フルリドン、フルロクロリドン、フルルタモン、メソトリオン、スルコトリオン、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、ベンゾフェナップ、ピラゾリネート、ピラゾキシフェン、ベンゾビシクロン、アミトロール、クロマゾン、アクロニフェン、4−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)ピリミジン、および下式の3−ヘテロシクリル置換ベンゾイル誘導体(参照、WO−A−96/26202、WO−A−97/41116、WO−A−97/41117およびWO−A−97/41118)
Figure 2011530661
[式中、置換基R〜R13は各々以下の通り定義される:
、R10は、水素、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−ハロアルキル、C−C−アルコキシ、ハロアルコキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルフィニルまたはC−C−アルキルスルホニルであり;
は、チアゾール−2−イル、チアゾール−4−イル、チアゾール−5−イル、イソオキサゾール−3−イル、イソオキサゾール−4−イル、イソオキサゾール−5−イル、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−3−イル、4,5−ジヒドロイソオキサゾール−4−イルおよび4,5−ジヒドロイソオキサゾール−5−イルからなる群の複素環式基であり、ここで、記述した基は1個以上の置換基を有していてもよく;例えば、それらの基は、ハロゲン、C−C−アルキル、C−C−アルコキシ、C−C−ハロアルキル、C−C−ハロアルコキシまたはC−C−アルキルチオによって一置換、二置換、三置換または四置換されていてもよく;
11=水素、ハロゲンまたはC−C−アルキル;
12=C−C−アルキル;
13=水素またはpH<8の場合にはC−C−アルキル];
有糸分裂阻害剤、例えばベンフルラリン、ブトラリン、ジニトラミン、エタルフルラリン、フルクロラリン、イソプロパリン、メタルプロパリン、ニトラリン、オリザリン、ペンジメタリン、プロジアミン、プロフルラリン、トリフルラリン、アミプロホス−メチル、ブタミホス、ジチオピル、チアゾピル、プロピザミド、クロルタール、カルベタミド、クロルプロファムおよびプロファム;
VLCFA阻害剤、例えばアセトクロール、アラクロール、ブタクロール、ブテナクロール、デラクロール、ジエタチル、ジメタクロール、ジメテナミド、ジメテナミド−P、メタザクロール、メトラクロール、S−メトラクロール、プレチラクロール、プロピソクロール、プリナクロール、テルブクロール、テニルクロール、キシラクロール、CDEA、エプロナズ、ジフェナミド、ナプロパミド、ナプロアニリド、ペトキサミド、フルフェナセット、メフェナセット、フェントラザミド、アニロホス、ピペロホス、カフェンストロール、インダノファンおよびトリジファン;
セルロース生合成阻害剤、例えばジクロベニル、クロルチアミド、イソキサベンおよびフルポキサム;
除草剤、例えばジノフェネート、ジノプロップ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、DNOC、エチノフェン、およびメジノテルブ;
その他:ベンゾイルプロップ、フランプロップ、フランプロップ−M、ブロモブチド、クロルフルレノール、シンメチリン、メチルジムロン、エトベンザニド、ピリブチカルブ、オキサジクロメホン、トリアジフラムおよび臭化メチル。
作物保護に使用される有効成分はまた、都市状況(例えば、とりわけ宅地造成、家庭分野および庭園分野、飲食店、駐車場、工業地域)において害虫(例えば、とりわけゴキブリ、アリ、シロアリ)を駆除するためにも使用することができ、この有効成分は特にこれらの用途に好適な効果物質のさらなる群である。
本発明による方法を用い脊椎動物(例えば、とりわけラット、マウス)の領域から害虫を駆除するために有効成分を処方することも可能であり、結果として得られた有効成分処方物を、農業および都市状況において対応する害虫駆除のために使用することも可能である。
さらに好適なのは、医薬用途のための有効成分、とりわけ経口投与用の有効成分である。本発明による方法は、原則として、医学的適応に関係なく多数の有効成分に適用できる。
特に、医薬用途のための水溶性有効成分、とりわけ経口投与用の有効成分を挙げるべきである。これは、処方薬および市販薬の有効成分の両方に関連する。本発明は、原則として、医学的適応に関係なく多数の有効成分に適用できる。
好適な難水溶性医薬品有効成分の限定されない例を次の表に明記する:
Figure 2011530661
水溶性医薬品有効成分の例は、とりわけ咳誘発および粘膜有効成分、例えばグアヤコールグリコールエーテル(グアイフェネシンとしても知られる)およびその誘導体である。
さらに好ましい医薬品有効成分は、薬学において使用する抗体および他のタンパク質、例えば酵素またはペプチド、または核酸である。
(iv)処方物からの有効成分の放出
有効成分は、本発明による方法により作製した処方物から、好適な溶媒への脱着によって、加水分解、酸化によりまたは酵素(例えばプロテアーゼ)もしくは完全微生物により生物学的にシート状繊維構造体を分解することによって、あるいは好適な溶媒によるシート状繊維構造体の溶解によって、および繊維表面への有効成分の拡散によって放出させることができる。脱着に好適な溶媒は、有効成分を溶解することができる全ての溶媒または溶媒混合物である。シート状繊維構造体を溶解することができる溶媒は、担体ポリマー系だけに好適な溶媒であり得るしまたは担体ポリマー系および有効成分に好適な溶媒でもあり得る。
本発明の特定の利点は有効成分の遅延放出であり、その放出のために化学的要因、例えば担体の組成を、ナノファイバーおよびメソファイバーの規定の構成(制御された比表面積)と組み合わせることができる。これにより放出をより一層正確に制御することが可能になる。
効果物質分子の放出の動態およびプロフィールは、例えば、
(i)有効成分の担体ポリマーへの添加密度により;
(ii)繊維の比表面積(すなわち直径)により;
(iii)担体ポリマーとして、同じ溶媒への溶解度が同等に良好ではない少なくとも2種のポリマーのポリマー混合物を使用することにより。言い換えれば、特定の溶媒中の可溶性ポリマーと難溶性または不溶性ポリマーの比率を変更することにより;
(iv)担体として生分解性合成ポリマーまたはバイオポリマーを使用することにより;
(v)非生分解性ポリマーと生分解性ポリマーとの混合物における比率を変更することにより;
(vi)非生分解性ポリマーと生分解性ポリマーとの混合物中の非生分解性ポリマー(例えば水溶性/水不溶性)の化学構造を変更することにより;
(vii)非生分解性ポリマーと生分解性ポリマーとの混合物における比率を変更することにより;
(viii)担体ポリマーとして、放出媒質への溶解度が同等に良好ではない少なくとも2種の非生分解性ポリマーのポリマー混合物と、生分解性ポリマーとを使用することにより;
(ix)非混和性ポリマーの混合物を使用することにより(繊維が化学的構造(相分離)を有する);
(x)Tgが使用温度より低い少なくとも1種の相を有するホモポリマー、コポリマーまたはポリマーブレンドの使用することにより;
(xi)物理的構造(多孔性および/または表面粗度(トポグラフィー)の形で);および
(xii)以上の手段の組合せにより
:制御することできる。
本発明はさらに、化粧品、ヒトおよび動物医薬品、作物保護製品、食品および動物飼料における有効成分の保存、輸送または放出のための、記載したポリマーを用いて作製されたシート状繊維構造体の使用を提供する。そのシート状繊維構造体はさらに、パッケージングされた有効成分を、環境的影響、例えば酸化過程もしくは紫外線放射から、あるいは製品の他の構成成分との反応による分解からまたは酵素(例えばプロテアーゼ)もしくは微生物による生分解から保護する役割を果たす。有効成分は、シート状繊維構造体から、脱着、生分解、制御放出もしくは持続放出、またはこれらの手段の組合せによって放出させることができる。
記載した両親媒性自己集合タンパク質のアミノ酸配列を変更することにより、またはさらなるタンパク質またはペプチド配列との融合により、特定の表面、例えば皮膚、毛髪、葉、根を特異的に認識する構造、ならびにこれらの表面または存在する受容体によって認識され結合される構造を作製することが可能である。
よって、記載した両親媒性自己集合タンパク質を用いて処方された有効成分を所望の作用部位に、より効果的にもたらすこと、または活性物質の吸収を改善することが可能である。
加えて、例えば、特異性を高め、有効成分消費もしくは有効成分用量を低くし、または作用を迅速もしくは急速にすることを達成するために、有効成分処方物に関して記載した両親媒性自己集合タンパク質のアミノ酸配列を変更することにより、またはさらなるタンパク質またはペプチド配列との融合により、有効成分を制御された方法で所望の作用部位に直接向けることが可能である。
実験の項
一般原理の項:
a)エレクトロスピニングプロセス
本発明による方法の実施のために好適なエレクトロスピニング装置は、電源の一方の極に接続されるキャピラリーノズルを先端部に備えた、本発明の処方物を収容するシリンジを有する。キャピラリーノズルの出口に対して約20cmの距離で、電源のもう一方の極に接続される正方形の対電極が配置され、その対電極は形成される繊維の収集装置として機能する。装置の操作中、電極において電圧15kV〜35kVの間を確立し、処方物が低圧下でシリンジのキャピラリーノズルを通して排出される。強い電場0.9〜2kV/cmによって起こる処方物の静電気帯電により、材料流は対電極に向かいその対電極に向かう途中で凝固し繊維を形成することになり、その結果として、直径がマイクロメートルおよびナノメートル範囲の繊維が対電極に堆積する。
本発明による方法の実施のためのさらなる考えられる装置は、紡糸液が入っている容器内で回転するローラーを有する。そのローラーは平滑であってよいしまたは物理的構造、例えば針または溝を有していてもよい。ローラーの各回転において、紡糸液は強い電場に入り、いくつかの材料流が生じる。対電極は紡糸電極の上にある。繊維は担体不織布、例えばポリプロピレン上に堆積する。
例えば、Elmarco社製のNanospider装置を使用することが可能である。電圧は電極距離18cmにおいて約82kVである。温度は約23℃および相対空気湿度は35%である。紡糸には鋸歯状電極を使用する。最大厚さのシート状タンパク質構造体(例えばタンパク質フィルム、タンパク質繊維、タンパク質不織布)を得るために、担体不織布は固定する。別法として、担体不織布を進行速度で移動させ規定の方法により比較的薄いシート状タンパク質構造体層を得ることもできる。
b)WAXS分析のためのサンプル調製
サンプルを2枚の粘着テープ片(Scotch社製市販製品)の間に準備し、その透過率を測定した。
c)有効成分放出試験
シート状繊維構造体からの有効成分の放出を長期封入分析方法により調べた。この方法では、封入する有効成分は、脱塩(DM)水への有効成分の溶解度限界より低い規定濃度に作製する。サンプルを数分〜数週間にわたって攪拌を続ける。対数段階的時間間隔で(At logarythmically graduated time intervals)、毎回サンプルを採取し、サンプル中に存在する遊離有効成分をクロマトグラフィーにより分析する。放出量は、上に述べたように、事前に行った有効成分のキャリブレーションに基づき決定することができる。
タンパク質を含有する処方物に関する有効成分放出試験も2つのさらなる変形実験により行うことができる:
消化管中のタンパク質分解活性条件下で有効成分放出の模擬実験をするために、経口投与すべき有効成分処方物、例えばクロトリマゾール(錠剤にプレスされたもの)を合成胃液(0.1gのNaCl;0.16gのペプシン;0.35mlのHClを補って50mlにする、pH1〜2)および合成腸液(3.4gのKHPOを12.5mlの水に溶解し+3.85mlの0.2N NaOHを補って25mlにし+0.5gのパンクレアチンを補って50mlにする、pH6.8)中で分析できる。対照試験(プロテアーゼを加えない)は、5mMリン酸カリウムバッファー(pH8.0)中で行った。これらの条件下ではほんのわずかな有効成分放出しか見られないはずである。錠剤1個当たり20mlの特定の消化液またはバッファーを加え、それらの混合物を、37℃および80rpmで軽く攪拌しながらインキュベートした。異なる時点において、HPLCまたは測光器による有効成分の定量のために、いずれの場合においても500μlのサンプルを採取した。また、難水溶性有効成分、例えばクロトリマゾールの場合には放出後に形成された有効成分凝集体を検出するために、THFでの抽出後に吸光測光法による定量を行った(3mlの上清+3mlのTHF+スパチュラ先端量のNaCl、激しくボルテックスし(15000×gで1分)、上相を分析する(必要に応じて希釈する))。
他の有効成分(経口投与しない医薬品有効成分または他の有効成分)、例えばユビナールAプラスおよびメタザクロールの場合には、規定量のシート状のタンパク質−有効成分構造体を非特異的プロテイナーゼK溶液と混合することによって放出分析を行うことができる。シート状のタンパク質−有効成分構造体を0.25〜0.5%[w/v]プロテイナーゼK(Roche, Germany;5mMリン酸カリウムバッファーに溶解したもの)中で120〜150rpmで攪拌しながらインキュベートした。異なる時点において、完全なままのシート状のタンパク質−有効成分構造体を遠心分離により除去し、それらの上清を4〜5倍過剰のTHFと混合し、続いて有効成分含量を吸光測光法により決定した。全ての実験において、有効成分の放出量は、有効成分固有のキャリブレーションシリーズとの比較後に決定した。
実施例1−PVPおよびエポキシコナゾールからの複合繊維の作製および特性
複合繊維を作製するために、エタノール/水混合物(90:10)により、ポリ(1−ビニル−2−ピロリジノン)Kollidon K−90(PVP)(Mw=1 100 000g/mol、Tg=180℃、BASF SE)およびエポキシコナゾール殺真菌剤(1−{[3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メチル}−1H−1,2,4−トリアゾール)からポリマー溶液を作製し、繊維に紡糸した。これには、紡糸システムを使用し35〜45kVの間の電圧下でポリマー溶液を紡糸することを必要とする。
次の表に開始重量を記載する:
Figure 2011530661
エポキシコナゾール有効成分の濃度数値は、総固形物(PVP+有効成分)に基づいている。担体ポリマーの濃度は、有効成分添加前の溶媒およびポリマーの総質量に基づいている。
図1Aは、有効成分含量に応じて繊維形態を示している。
繊維中のエポキシコナゾールの割合について記載することができるように、最初にキャリブレーションを行った。この目的で、エタノール/水(90/10)により、濃度10〜40重量%(固形分に基づく)のエポキシコナゾールおよび5.7重量%のPVP(有効成分添加前の処方物の総重量に基づく)の溶液を調製し、その溶液をSiウエハーに適用し、その透過率をIR分光法によって分析した。特定バンドのPVPとエポキシコナゾールの比率を評価し、それを用いキャリブレーションプロットを作成した。
作製した有効成分含有シート状繊維構造体を同様にエタノール/水混合物に溶解し、キャリブレーションサンプルと同様にフィルムとしてSiウエハーに適用し、IR分光法によって分析し、キャリブレーションプロットを用いエポキシコナゾールの濃度を決定した。シート状繊維構造体の調査結果ともにキャリブレーション値を図1Bに示している。
そのグラフは、繊維を紡糸した後に、使用量とほぼ同じ量のエポキシコナゾールがまだ存在することを示している。数回の測定によりその結果が再現可能であることが分かる。
エポキシコナゾール有効成分は、シート状繊維構造体中に非晶状態で存在する。これは広角X線散乱分析(WAXS)により確認される(この分析はBruker社D5005回折計(単色化シンクロトロンCu−Kα線)を使用し透過率で行った)。調製したての、PVP−エポキシコナゾールからなるシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果を図2に示している。
これには、サンプルを2枚の粘着テープ片の上または間に封入することを必要とした。約2Θ=18°の急なピークは純粋PVPでも観察されておりエポキシコナゾールに起因するとすることができないため、このピークは夾雑物である。
これらのシート状繊維構造体の保存安定性を検証するために、サンプルを、いずれの場合においても+40℃、−10℃および0℃で24時間そして20℃で72時間保存し、その後広角X線散乱によって再度分析した。
異なる温度で保存した、PVP−エポキシコナゾールからなるシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果を図3に示している。
図3は、処方物が保存に安定している異なる温度での保存過程で有効成分の非晶形態に変化がないことをはっきり示している。
実施例2−PVPおよびβ−カロテンにより構成される複合繊維の作製および特性。
β−カロテンは、脂肪分の多い食品、例えばバター、マーガリン、チーズ、マヨネーズおよび水分散型でさらに水含有食品、例えば果実飲料、プディング、菓子類を着色するために用いられる。β−カロテンはまた、化粧品用の色素としておよび動物飼料添加物としても用いられる。複合繊維を作製するために、クロロホルムにより、ポリ(1−ビニル−2−ピロリジノン)Kollidon K−90(PVP)(Mw=1 100 000g/mol、Tg=180℃、BASF SE)およびβ−カロテン色素からポリマー溶液を作製し、繊維に紡糸した。この目的で、シリンジシステムを使用し40〜45kVの間の電圧下でポリマー溶液を紡糸した。加えて、ポリマー溶液の導電率を高めるために、それに0.5重量%(処方物全体に基づく)の臭化ベンジルトリブチルアンモニウムを添加した。これは繊維形態および直径分布に良い影響を与える:形成するビーズは少なくなり、繊維径分布は狭くなる。
次の表に開始重量を記載する:
Figure 2011530661
β−カロテン効果物質の濃度数値は、PVPおよび効果物質の総質量に基づいている。担体ポリマーの濃度は、溶媒およびポリマーの総質量に基づいている。
図4Aは、効果含量に応じて繊維形態を示している。
繊維中のβ−カロテンの割合について記載することができるように、最初にキャリブレーションを行った。この目的で、クロロホルムにより、濃度10〜40重量%(固形分に基づく)のβ−カロテンおよび6重量%のPVP(有効成分添加前の処方物の総重量に基づく)の溶液を調製し、その溶液をSiウエハーに適用し、その透過率をIR分光法によって分析した。特定バンドのPVPとβ−カロテンの比率を評価し、それを用いキャリブレーションプロットを作成した。
作製した効果物質含有シート状繊維構造体をクロロホルムに溶解し、キャリブレーションサンプルと同様に、フィルムとしてSiウエハーに適用し、IR分光法によって分析し、キャリブレーションプロットを用いてβ−カロテン濃度を評価した。シート状繊維構造体の調査結果ともにキャリブレーション値を図4Bに示している。
図4Bのダイヤグラムは、紡糸後に、繊維が使用したβ−カロテン量をまだ有していることを示している。数回の測定によりその結果が再現可能であることが分かる。
β−カロテン効果物質は非晶状態で存在する。これは広角X線散乱分析(WAXS)により確認される(この分析はBruker社D5005回折計(単色化シンクロトロンCu−Kα線)を使用し透過率で行った)。
サンプルを2枚の粘着テープ片の間に封入した。
図5は、調製したての、PVP−β−カロテンからなるシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果を示している。
これらのシート状繊維構造体の保存安定性を検証するために、サンプルを、いずれの場合においても+40℃、−10℃および0℃で24時間、そして20℃で少なくとも72時間保存し、その後広角X線散乱によって再度分析した。
図6は、異なる温度で保存した、PVP−β−カロテンからなるシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果を示している。
図6は、処方物が保存に安定していることをはっきり示している。有効成分の非晶形態は異なる温度での保存過程では変化しない
実施例3−PMMAおよびエポキシコナゾールにより構成される複合繊維の作製および特性
前記方法の広い適用性をさらに例示するために、複合繊維をポリ(メチルメタクリレート)およびエポキシコナゾール殺真菌剤から作製した。
複合繊維を作製するために、エタノール/クロロホルム混合物(6:11)により、ポリ(メチルメタクリレート)Plexiglas(登録商標)(PMMA)(Mw=430 000 g/mol、Tg=110℃(ISO 11357))およびエポキシコナゾール殺真菌剤(1−{[3−(2−クロロフェニル)−2−(4−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メチル}−1H−1,2,4−トリアゾール)からポリマー溶液を作製し、繊維に紡糸した。この目的で、シリンジシステムを使用し40〜45kVの間の電圧下でポリマー溶液を紡糸した。
次の表に開始重量を記載する:
Figure 2011530661
エポキシコナゾール有効成分の濃度数値は、総固形物(PMMA+有効成分)に基づいている。担体ポリマーの濃度は、有効成分導入前の溶媒およびポリマーの総質量に基づいている。
図7は、有効成分含量に応じて繊維形態を示している。
エポキシコナゾール有効成分は、シート状繊維構造体中に非晶状態で存在する。これは広角X線散乱分析(WAXS)により示される(この分析はBruker社D5005回折計(単色化シンクロトロンCu−Kα線)を使用し透過率で行った)。サンプルはスコッチテープ上または間に準備した。
図8は、PMMA−エポキシコナゾールからなるシート状繊維構造体におけるWAXS分析の結果を示している。
実施例4−有効成分放出への比表面積の影響
繊維のさらなる利点は、フィルムまたは他の処方物形態と比べてその比表面積が高いことである。これを立証するために、繊維およびフィルムからの有効成分の放出を調べた。
放出試験用のシート状繊維構造体は、12重量%のEcoflex(登録商標)(ブタンジオール、アジピン酸およびテレフタル酸に基づいたBASE SE社製脂肪族−芳香族コポリエステル、Tg=−30℃、Tm=115℃、Mn=35 000;Mw=118 000;http://iwww.plasticsportal.com/products/ecoflex.htmlも参照)(有効成分導入前の処方物の総質量に基づく)、クロロホルム/i−プロパノール溶媒混合物(95:5)および10重量%のエポキシコナゾール(固形物(ポリマー+有効成分)に基づく)を含む溶液から紡糸した。
シート状繊維構造体の比較サンプルとして、12重量%のEcoflex(有効成分添加前の処方物の総質量に基づく)および10重量%のエポキシコナゾール(固形分に基づく)からなる同じポリマー−有効成分溶液を顕微鏡スライド上に塗布し、溶媒を蒸発させた後かみそりの刃を使用し顕微鏡スライドからポリマー/有効成分フィルムを外した。
2つのサンプルを脱塩水中に濃度7mg/lに計り入れ、0.5lエルレンマイヤーフラスコ中で磁気攪拌装置において一定速度で継続的に攪拌した。測定は上記の方法によって行った。採取したサンプルを遊離有効成分について、Agilentシリーズ1100 HPLCシステムにおいて波長220nmで分析した。
図9は、フィルムとしておよびシート状繊維構造体としての生分解性Ecoflexポリエステルからのエポキシコナゾールの放出プロフィールを示している。
図9は、放出は担体の比表面積に依存し、この方法で制御することができることを示している。
実施例5:異なる溶解度を有するポリマーからの有効成分放出
加えて、放出は、溶媒への担体ポリマーの溶解度によっても制御することができる。例として、ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレートおよびEcoflexから、エポキシコナゾールを用いてシート状繊維構造体を作製し、脱塩水中への放出を実施例4に記載した方法により測定した。サンプルは次のとおり調製した:
a)エタノール−水混合物(9:1)中5重量%のPVP、20重量%のエポキシコナゾール;
b)クロロホルム−i−プロパノール混合物(95:5)中12重量%のEcoflex、20重量%のエポキシコナゾール;
c)クロロホルム−エタノール混合物(11:6)中6重量%のPMMA、20重量%のエポキシコナゾール。
エポキシコナゾール有効成分の濃度数値は、総固形物(PVP+有効成分)に基づいている。担体ポリマーの濃度は、有効成分添加前の溶媒およびポリマーの総質量に基づいている。
図10は、生分解性ポリエステルEcoflex、PVPおよびPMMAからのエポキシコナゾールの放出プロフィールを示している。
水溶性PVPはエポキシコナゾールを比較的急速に放出する。わずか2分後には、エポキシコナゾールの約40%が繊維から脱した。Ecoflex繊維からはおよそ10分後に初めて遅延様式でエポキシコナゾールがゆっくり放出される。わずか1日後には有効成分の40%が繊維から脱した。Ecoflexは水溶性ではない。従って、遅延および持続放出は、繊維の表面へのエポキシコナゾールの拡散またはポリエステルの部分分解に起因する可能性がある。PVPおよびEcoflex繊維とは対照的に、最初の2日はPMMA繊維からはエポキシコナゾールは放出されない。PMMA繊維は水溶性でなく、繊維から水中へのエポキシコナゾールの拡散も非常に遅いかまたは起こり得ないことは明らかである。
実施例6−難混和性ポリマー(sparingly miscible polymers)のブレンドからの放出
放出プロフィールは、シート状繊維構造体のポリマー組成によっても影響を与えることができる。例えば、難混和性またはわずかな混和性の担体ポリマーを使用することが可能である。次のサンプルを用い、PVPおよびPMMA繊維およびそのブレンドの繊維、PVP−PMMA(1:1)およびPVP−PMMA(1:5)からのエポキシコナゾールの放出を検証した:
a)エタノール−水混合物(9:1)中5重量%のPVP、20重量%のエポキシコナゾール;
b)クロロホルム−エタノール混合物(11:6)中2.5重量%のPVP、2.5重量%のPMMA、20重量%のエポキシコナゾール;
c)クロロホルム−エタノール(11:6)中1重量%のPVP、5重量%のPMMA、20重量%のエポキシコナゾール;
d)クロロホルム−エタノール混合物(11:6)中6重量%のPMMA、20重量%のエポキシコナゾール。
エポキシコナゾール有効成分の濃度数値は、総固形物(担体ポリマー+有効成分)に基づいている。担体ポリマーの濃度は、有効成分導入前の溶媒およびポリマーの総質量に基づいている。
図11は、PVPおよびそのPMMAとのブレンドから作製したシート状繊維構造体からのエポキシコナゾールの放出プロフィールを示している。
ポリマーブレンドからの放出は、PVPまたはPMMAの繊維の放出プロフィールから予測される挙動と非常によく一致する。例えば、PMMA含量の増加とともに放出は減少する。シート状繊維構造体では急速な初期放出−最初の測定時点ですでに0%を大幅に上回っていること−が観察される。この挙動は、それらの2つの担体ポリマーが非混和性であり、高PVPドメインと低PVPドメインが存在する構造体を形成するという事実により説明することができる。この構造はTEM画像において非常にはっきりと表れる。これらはより明るい色でアクリレートを表示する。図12は、PMMAおよびPVP(5:1)の繊維の断面図を示している。
高PVP相は優先的に繊維表面に存在するのに対してアクリレート相は内部において顕著であることが観察される。急速な放出は、高PVP相の溶解により説明することができる。
実施例7−混和性ポリマーのブレンドからの放出
混和性ポリマーを用いる場合には、その結果として、繊維全体にわたって均一な成分分布を有するシート状繊維構造体が得られる。放出プロフィールの研究では、次のサンプルを使用した:
a)エタノール−水混合物(9:1)中5重量%のPVP、20重量%のエポキシコナゾール;
b)クロロホルム−i−プロパノール混合物(95:5)中4重量%のPVP、4重量%のEcoflex、20重量%のエポキシコナゾール;
c)クロロホルム−i−プロパノール混合物(95:5)中12重量%のEcoflex、20重量%のエポキシコナゾール。
エポキシコナゾール有効成分の濃度数値は、総固形物(担体ポリマー+有効成分)に基づいている。担体ポリマーの濃度は、有効成分導入前の溶媒およびポリマーの総質量に基づいている。
図13は、PVPおよびそのEcoflexとのブレンドから作製したシート状繊維構造体からのエポキシコナゾールの放出プロフィールを示している。
PVPに特有の、有効成分の急速な放出は、そのブレンドではもはや起こらず;そのプロフィールは最も溶解しにくいポリマーであるEcoflexと一致し、時間とともに急速になったことが観察される。
実施例8−C16クモ絹タンパク質の作製
C16クモ絹タンパク質を、大腸菌発現株を含むプラスミドを用い生物工学的手段により作製した。C16クモ絹タンパク質(ADF4としても知られる)の設計およびクローニングは、Hummerich et al. (Biochemistry 43, 2004, 13604-13012)に記載されている。その文書に記載されている方法とは対照的に、大腸菌BL21 Gold(DE3)(Stratagene)においてC16クモ絹タンパク質を作製した。大腸菌はTechfors発酵槽(Infors HAT, Switzerland)中で最少培地およびフェドバッチ法を用いて増殖させた。
Figure 2011530661
細胞を37℃でOD600100まで増殖させ、その後、0.1mMイソプロピルβ−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)でタンパク質発現の誘導を行った。発酵終了時(誘導の8〜12時間後)に、それらの培養物を回収した。タンパク質のほとんどは「封入体」中に存在した。
細胞の回収後、ペレットを20mM 3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、pH7.0(湿潤材料1kg当たり5lのバッファー)に再懸濁した。この後、細胞破壊をM−110EH Microfluidizer(Microfluidics, US)を使用し圧力1200〜1300バールで行った。沈降後、破壊後のペレットには封入体だけでなく細胞片および膜構成成分も含まれており、細胞片および膜構成成分は2つの洗浄ステップにより除去した。第1の洗浄ステップでは、ペレットを2.5容量のTrisバッファー(50mM Tris/HCl、0.1%Triton X−100、pH8.0)に再懸濁した後、残留する固形物を遠心分離により沈降させた。第2の洗浄ステップはTrisバッファー(50mM Tris/HCl、5mM EDTA、pH8.0)を用いて行った。沈降後に再度得られたペレットは膜および細胞片を実質的に含まなかった。
洗浄した封入体をチオシアン酸グアニジン(Roth, Germany)に溶解し、その際1gのペレット(湿潤質量)当たり1.6gのチオシアン酸グアニジンを加えた。封入体は、ゆっくりと加熱しながら(50℃)攪拌する間に溶解した。
存在する不溶性構成成分を除去するために、続いて遠心分離を行った。C16クモ絹タンパク質水溶液を得るために、次いで5mMリン酸カリウムバッファー(pH8.0)(透析の希釈係数:200)で16時間の透析を行った。
大腸菌タンパク質の汚染により透析において凝集体が形成したが、それらは遠心分離により除去できた。得られたタンパク質溶液は約95%C16クモ絹タンパク質の純度を有していた。
得られたタンパク質水溶液は、直接エレクトロスピニングに使用することができるし、またはより良好な保存性のために、タンパク質マイクロビーズにさらに加工することもできる。C16タンパク質マイクロビーズを作製するために、C16クモ絹タンパク質水溶液を0.25容量の4モル濃度の硫酸アンモニウム溶液と混合する。硫酸アンモニウムの作用下で、タンパク質モノマーは集合し球体構造を形成する(本明細書ではこれらをマイクロビーズと呼ぶ)。マイクロビーズを遠心分離により除去し、蒸留水で3回洗浄し、その後凍結乾燥させた。
実施例9−エレクトロスピニングを用いた、効果物質としてのクロトリマゾールの処方
さらなる活性成分、とりわけ難水溶性の活性成分、物質の処方について記載した方法の有用性を示すために、例として、有効医薬成分クロトリマゾールをシート状C16クモ絹タンパク質構造体中にエレクトロスピニングによって封入した。
紡糸可能な溶液の作製のために、C16クモ絹タンパク質マイクロビーズ(14%[w/w])および有効成分クロトリマゾール(10%[w/w])を一緒にギ酸(98〜100%p.a.)に溶解した。ビーカーには最初に200mlのギ酸を入れ、その後50.4gのC16クモ絹タンパク質と36gのクロトリマゾール(Sigma社(Germany)製)を徐々に入れ攪拌した。一度それらの物質が完全に溶解したら、ギ酸(98〜100%)を用いてその溶液を360gにした。
別法として、出発材料の基礎として水溶性C16クモ絹タンパク質溶液(実施例1参照)を使用することも可能である。その際には、有効成分をタンパク質水溶液に直接溶解しまたは、使用する有効成分の濃度が比較的高い場合には、代替溶媒(例えばギ酸)に予備溶解した後、タンパク質溶液と混合する。紡糸液の粘度を高めるために、その後、加えて、水溶性ポリマーまたはポリマー分散液を加えることが可能である。
C16クモ絹タンパク質およびクロトリマゾールの溶液を、Elmarco社Nanospider装置で3時間紡糸した。電圧は電極距離18cmにおいて82kVであった。温度は約23℃および相対空気湿度は35%であった。紡糸には鋸歯状電極を使用した。最大厚さのシート状タンパク質構造体を得るために、担体不織布は固定した。別法として、担体不織布を進行速度で移動させ規定の方法によりより薄いシート状タンパク質構造体層を得ることもできる。続いて、バッチから得られたタンパク質繊維を減圧下40℃で一晩乾燥させた。
そのようにして作製した、クロトリマゾールが組み込まれているシート状C16クモ絹タンパク質構造体の電子顕微鏡分析により、その構造体が主として、直径約50nm〜1μmの繊維であることが分かった(図14)。
純粋クロトリマゾールとは対照的に、C16クモ絹タンパク質/クロトリマゾール処方物ではX線回折により結晶性ピークは認められない(図15)。従って、有効成分は非晶形でまたは固溶体として中に封入され、そしてそのことがそのバイオアベイラビリティに良い影響を与え得ると考えることができる。
関連性の高い投与形からの有効成分放出を検証するために、シート状C16クモ絹タンパク質構造体を用い錠剤にプレスした。いずれの場合においても、KBrプレス(Paul-Otto-Weber(Germany)社製)において300mgの材料を減圧下および圧力100バールでおよそ10分間プレスした。錠剤は直径約13mmおよび厚さ約2mmであった。
錠剤からのクロトリマゾールの放出を2つの異なる試験により検証した。消化管中のタンパク質分解活性条件下で有効成分放出の模擬実験をするために、合成胃液(0.1gのNaCl;0.16gのペプシン;0.35mlのHClを補って50mlにする、pH1〜2)および合成腸液(3.4gのKHPOを12.5mlの水に溶解し+3.85mlの0.2N NaOHを補って25mlにし+0.5gのパンクレアチンを補って50mlにする、pH6.8)を使用した。さらなる試験を5mMリン酸カリウムバッファー(pH8.0)中で行った。これらの対照条件下ではほんのわずかな有効成分放出しか見られないはずである。錠剤1個当たり20mlの特定の消化液またはバッファーを加え、それらの混合物を、37℃および80rpmで軽く攪拌しながらインキュベートした。放出されたクロトリマゾールは、THFでの上清の抽出後にその低水溶解度(従って水溶液系中で凝集体を形成する傾向)に基づいて262nmでの吸光測光法による測定により定量した(3mlの上清+3mlのTHF+スパチュラ先端量のNaCl、激しくボルテックスし(15000×gで1分)、上相を分析する(必要に応じて希釈する))。
対照実験(プロテアーゼを含まないバッファー)では有効成分封入量の最大2%しか放出されないが、胃液では約50%放出が24時間以内に達成され、存在する酵素活性(プロテアーゼ)によって制御される(図16)。この間に、クロトリマゾール有効成分は連続的に放出される。腸液では、対照的に、24時間後に有効成分の約20%しか放出されない(図16)。C16クモ絹タンパク質/クロトリマゾール処方物は、弱い放出しか見られない問題の時間範囲において置かれる比較的中性のpH値ではとても安定しているようである。
24時間後に処方物からまだ放出されていないクロトリマゾールの割合を決定するために、タンパク質分解していないC16クモ絹タンパク質繊維を含む混合物を3mlのテトラヒドロフラン(THF)と混合し、振盪しながらさらに最大48時間インキュベートした。続いて、有効成分含量を吸光測光法により262nmで定量した。結果、最終値と事前に決定した中間値を用いクロトリマゾール有効成分のC16クモ絹タンパク質処方物への添加密度を決定することができた。調べた全ての錠剤についての添加密度は27%〜33%[w/w]の間であり、錠剤にプレスしたシート状C16クモ絹タンパク質構造体への平均添加密度は約30%[w/w]クロトリマゾールであった(以下の表を参照)。
Figure 2011530661
本明細書において引用する刊行物の開示を明示的に参照する。

Claims (28)

  1. 有効成分含有シート状繊維構造体であって、繊維状で、ポリマーで、可溶性および/または分解性の有効成分担体と、前記担体と結合し前記シート状繊維構造体より放出させることができる少なくとも1種の低分子量または高分子量有効成分とを含むシート状繊維構造体であり、前記担体が、少なくとも2種のポリマー成分の混合物を含む複合ポリマーであり、ここで、これらの少なくとも2種のポリマー成分が
    a)溶媒への溶解度、
    b)分子量
    c)ガラス転移温度/融点;および
    d)分解性
    から選択される少なくとも1つの特性において異なることを特徴とする、シート状繊維構造体。
  2. 前記少なくとも1種の有効成分が非晶形、半結晶形または結晶形であることを特徴とする、請求項1に記載のシート状繊維構造体。
  3. 前記有効成分が、前記担体中に組み込まれおよび/または前記担体上に吸収されることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシート状繊維構造体。
  4. 繊維状の有効成分含有担体が紡糸プロセスによって得られることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  5. 前記繊維状の有効成分含有担体が、少なくとも1種の有効成分と少なくとも2種のポリマー成分との混合物とを、いずれの場合においても溶解した形で含むエレクトロスピニング可能な溶液(an electrospinnable solution)を用いたエレクトロスピニングプロセスによって得られることを特徴とする、請求項4に記載のシート状繊維構造体。
  6. 前記ポリマー成分が互いに混和するか、または少なくとも2種のポリマー成分が互いに混和しないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  7. 前記ポリマー成分が、合成ポリマーおよび天然ポリマー、例えばとりわけ両親媒性自己集合タンパク質から選択され、それらのバイオポリマーがさらに化学的および/または酵素的に修飾されていてよいことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  8. 前記合成ポリマーがホモポリマーまたはコポリマーであることを特徴とする、請求項7に記載のシート状繊維構造体。
  9. 前記複合ポリマーが、
    a)少なくとも2種の混和性合成ホモポリマーまたはコポリマーの混合物;
    b)少なくとも2種の非混和性合成ホモポリマーまたはコポリマーの混合物;
    c)少なくとも2種の混和性バイオポリマーの混合物;
    d)少なくとも2種の非混和性バイオポリマーの混合物;
    e)少なくとも1種の互いに混和する合成ホモポリマーまたはコポリマーと少なくとも1種のバイオポリマーとの混合物;および
    f)少なくとも1種の互いに混和しない合成ホモポリマーまたはコポリマーと少なくとも1種のバイオポリマーとの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  10. 前記ポリマー成分が、各々独立に、約500〜10000000の範囲のモル質量を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  11. 前記有効成分担体繊維の直径が、10nm〜100μm、例えば50nm〜10μm、または100nm〜2μmであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  12. 前記有効成分の添加が前記シート状繊維構造体の固形分に基づき、約0.1〜80重量%であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  13. ポリマー繊維およびポリマー不織布から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  14. 前記有効成分が繊維中に分子分散してまたはナノ粒子分散して存在することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体を加工した形態で、所望により少なくとも1種のさらなる処方助剤と組み合わせて、含むことを特徴とする、有効成分含有処方物。
  16. 粉砕形態または未粉砕形態の前記シート状繊維構造体を含むことを特徴とする、請求項15に記載の処方物。
  17. 緻密形態の、粉末形態のまたは担体基体に適用された前記シート状繊維構造体を含むことを特徴とする、請求項15または請求項16に記載の処方物。
  18. 化粧品処方物、ヒトおよび動物医薬処方物、農薬処方物、食品および動物飼料添加物から選択されることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか一項に記載の処方物。
  19. 請求項15〜18のいずれか一項に記載の有効成分含有処方物の生産のための、請求項1〜14のいずれか一項に記載の有効成分含有シート状繊維構造体の使用。
  20. その中に存在する有効成分の制御放出のための、請求項15〜18のいずれか一項に記載の有効成分含有処方物の使用。
  21. a)少なくとも1種の有効成分を複合液相中で担体ポリマー成分と一緒に混合し、
    b)その後、紡糸プロセスによってポリマー複合繊維中への有効成分の埋め込みを行う、
    請求項1〜14のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体を生産するための方法。
  22. 前記少なくとも1種の有効成分と前記バイオポリマー成分が溶媒相中で混合され、この混合物から紡糸されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. 前記少なくとも1種の有効成分および前記ポリマー成分が少なくとも2種の互いに混和する溶媒の混合物中で混合され、有効成分およびポリマーが少なくとも前記溶媒の一方に溶解でき、この混合物から紡糸されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  24. 前記紡糸プロセスがエレクトロスピニングプロセスまたは遠心紡糸プロセスであることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記使用温度が約0〜90℃の範囲内であることを特徴とする、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 低分子量の有効成分を本質的に含まないことを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のシート状繊維構造体。
  27. 有効成分含有処方物の生産のための、請求項26に記載のシート状繊維構造体の使用。
  28. 前記処方物が化粧品処方物、ヒトおよび動物医薬処方物、農薬処方物、食品および動物飼料添加物から選択されることを特徴とする、請求項27に記載の使用。
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