本発明は、マグネットヒンジ(磁気ヒンジ)に関する。
従来のヒンジは一般に、1対のヒンジプレートを有しており、これらのヒンジプレートはヒンジピンによって回転可能に一緒に固定され、互いに対して相対的な運動をすることができるようになっている。従来のヒンジの典型的な使い方の1つは、扉を回転可能に設置する際の使用である。一般に、ヒンジには特定の安定した状態が一つ二つあるわけではない。つまり、ヒンジは、特定の位置や向きに自然に運動するものではない。
ただし、シャワー室の扉に取り付けるヒンジなどの特別な適用例においては、ヒンジプレートを1つまたは複数の位置で維持および/または付勢するヒンジを提供することが望ましい。
公知のヒンジの中には、平坦面部を有するヒンジピンを備え、この平坦面部がバネと相互に作用して、ヒンジプレートを規定の向きに維持するものがある。特に、このバネの片側の端部は、該平坦面部を除けば、通常、円形状を有するピンの円周面に対して付勢する。これらのヒンジ部材が互いに対して相対的に運動すると、ヒンジピンはバネに対して相対的に回転する。ヒンジプレートが規定の位置まで移動すると、ヒンジピンの平坦面部は、バネの端部に押勢される。バネのねじり力は、バネを、ほぼヒンジピンの平坦面部に押勢された位置で維持し、こうすることによって、ヒンジをほぼ規定の位置で維持する。
ただし、このような構成では問題も発生しうる。特に、バネの端部は運動中にヒンジピンの円周面と絶えず接触しているので、ヒンジピンの表面と絶えず擦れあっている。長期間使用するにつれて、このバネ端部がヒンジピンに対して摩擦運動をすることによって平坦面部は丸くなる。その結果、ヒンジプレートを規定の位置で維持することが困難になり、場合によっては規定の位置で保持できなくなることもある。
したがって、ヒンジを保持位置で維持することができ、上記問題のいくつかを解消または少なくとも緩和するヒンジに対する需要が存在する。
本明細書中では、先行技術文献(またはここから得られる情報)または公知の技術内容を参照するが、どの参照事例も、この先行技術文献(またはここから得られる情報)または公知の技術内容が、本明細書に関連する分野における周知の一般的な知識の一部をなしているのだと承認するものでも自認するものではなく、また、一切このようなことを暗示するものでもなく、さらに、このように解釈するべきものでもない。
1つの広い態様では、以下のようなヒンジが提供される。すなわち、第1の磁気要素を有する第1のヒンジ部材と、第2の磁気要素を有する第2のヒンジ部材とを備え、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、互いにヒンジを形成するように設置され、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力によって保持位置にほぼ維持される、ヒンジである。
1つの態様では、上記第1の磁気要素および第2の磁気要素が、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を上記保持位置に付勢する。
別の態様では、上記ヒンジは、上記第2のヒンジ部材から突き出た減衰機構と、上記第1のヒンジ部材から延びる重畳部とを備え、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が互いに対して相対的に上記保持位置に向かって回転する際に、該重畳部が減衰機構を押圧することによって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置へ移動する速度を減速させる。
随意的な態様では、上記減衰機構が液圧機構である。
別の随意的な態様では、上記液圧機構が、第2のヒンジ部材から大きく突き出た液圧ピストンを有し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置に向かって運動する際に、上記重畳部が液圧ピストンを押圧し、この液圧ピストンを液圧機構の液圧シリンダー内へ徐々に後退させる。
随意的に、上記液圧機構が、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置から非保持位置まで移動すると、上記ピストンの一部が上記シリンダーから押し出されるように荷重するバネである。
一実施形態では、上記ヒンジが、上記第1のヒンジ部材を第2のヒンジ部材に回転接合させる接合部材を備えている。
別の一実施形態では、第1の保持ピンが、上記接合部材の第1の中空部を貫いて延び、該第1の中空部の内部で着脱可能に保持されることによって、接合部材が、上記第1の保持ピンを中心として第1のヒンジ部材に回転接続された状態で着脱可能に固定される。
1つの態様では、上記第1の保持ピンはバネを支持し、このバネの第1の端部が上記保持ピンに取り付けられ、バネの第2の端部が上記接合部材の停止面を押勢し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が回転して保持状態を離れると、バネにおいてねじり力が増加し、このねじり力の増加によって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置に付勢される。
別の態様では、第2の保持ピンが、上記接合部材の第2の中空部を貫いて延び、該第2の中空部の内部で着脱可能に保持されることによって、接合部材が、上記第2のヒンジ部材に着脱可能に固定される。
一実施形態では、上記接合部材が第3の磁気要素を有し、上記第1の磁気要素と第3の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持位置に付勢する。
別の一実施形態では、上記第1のヒンジ部材が、互いに着脱可能に固定された、第1のヒンジ前部プレートと第1のヒンジ後部プレートとを有し、上記第2のヒンジ部材が、互いに着脱可能に固定された、第2のヒンジ前部プレートと第2のヒンジ後部プレートとを有する。
代わりの実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、不安定な位置まで移動可能であって、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を付勢し、該不安定な位置から上記保持位置まで移動させる。
一実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、不安定な位置まで移動可能であって、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を付勢し、該不安定な位置から上記保持位置まで移動させる。
別の一実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、自由に運動できる位置範囲まで移動可能になっており、この自由に運動できる位置範囲では、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持および/または付勢することができない。
1つの態様では、上記第1の磁気要素および第2の磁気要素が逆極性を有し、第1の磁気要素と第2の磁気要素とが互いに引き付けあうようになっている。
別の態様では、上記第1のヒンジ部材が、上記第1の磁気要素を収容して保持するために少なくとも1つの開口部を有する。
一実施形態では、上記第2のヒンジ部材が、上記第2の磁気要素を収容して保持するために少なくとも1つの開口部を有する。
別の随意的な態様では、上記第1のヒンジ部材が、上記第1のヒンジ部材における第1のヒンジ本体から延びる腕部を有し、上記第2のヒンジ部材が、第2のヒンジ本体から延びる1対の腕部を有し、該1対の腕部が、第1のヒンジ部材の腕部に対応する窪みを規定し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材の腕部は、それぞれ、第1の磁気要素および第2の磁気要素を有する。
一実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置に維持される際に、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材の腕部によって保持される第1の磁気要素および第2の磁気要素が重ねあわされる。
随意的な態様では、上記第1のヒンジ部材が、磁気強度にばらつきを有する第1の磁気要素からなる第1の磁気要素群を有し、上記第2のヒンジ部材が、磁気強度にばらつきを有する第2の磁気要素からなる第2の磁気要素群を有し、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記不安定な位置から安定した位置へ回転する速度を、上記第1の磁気要素群および第2の磁気要素群が制御する。
例としてのみ提示される本発明の例としての実施形態は、添付の図面との関連において記載された、好適ではあるが非限定的な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
図1は各ヒンジ部材が扉要素に結合されていて、保持位置にあるヒンジの側面図である。
図2は図1のヒンジの扉部材を除き、保持位置にあるヒンジの上面図である。
図3は図1のヒンジの扉部材を除き、不安定な位置にあるヒンジの上面図である。
図4は図1のヒンジの扉部材を除き、自由に運動できる位置にあるヒンジの上面図である。
図5は保持位置にある第2の例のヒンジを示す図である。
図6は不安定な位置にある図5のヒンジを示す図である。
図7は磁気要素が追加された別のヒンジの例を示す図である。
図8は保持位置にある別の例のヒンジを示す斜視図である。
図9は非保持位置にある図8のヒンジを示す斜視図である。
図10は保持位置にある図8のヒンジを示す平面図である。
図11は保持位置にある図8のヒンジの線B−Bにおける断面図である。
図12は保持位置にある図8のヒンジの側面図である。
図13は保持位置にある図8のヒンジの背面図である。
図14は、図8のヒンジにおける第1のヒンジ部材の第1の後部プレートを示す図である。
図15は、図14の第1の後部プレートを示す側面図である。
図16は、図14の第1の後部プレートを示す背面図である。
図17は、図8のヒンジの第2のヒンジ部材における第2の後部プレートを示す斜視図である。
図18は、図17の第2後部プレートを示す側面図である。
図19は、保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の斜視図である。
図20は、非保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の斜視図である。
図21は、保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の上面図である。
図22は、非保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の上面図である。
図23は、別の非保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の上面図である。
図24は、保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の平面図である。
図25は、前部ヒンジプレートの内側面および保持構造を示す図である。
図26は、図8のヒンジにおける第1の保持ピンを示す平面図である。
図27は、図26の第1の保持ピンを示す上面図である。
図28は、接合部材の第1の中空部を通って突き出る、付勢構成を支持する第1の保持ピンを示す断面図である。
図29は、図28の接合部材における第1の中空部を通って突き出る第1保持ピンを示す断面図である。
以下の形態は、例としてのみ提示するものであって、好適な実施形態の主題を正しく詳細に理解してもらうために説明する。
図1には、ヒンジ100が図示されている。ヒンジ100は、少なくとも1つの第1の磁気要素103、105を含む第1のヒンジ部材101と、少なくとも1つの第2の磁気要素104、106を含む第2のヒンジ部材102とを有し、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102はヒンジを形成するように設置されている。第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、図2に示すように、第1の磁気要素103、105と第2の磁気要素104、106との間の磁気力によって保持位置にほぼ維持されている。
図3に図示するように、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は不安定な位置まで移動可能である。この不安定な位置では、第1の磁気要素103、105と第2の磁気要素104、106との間の磁気力が、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を付勢し、図2の上面図に図示するように、不安定な位置から保持位置まで移動させる。
図4を参照すると、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、少なくとも1つの自由に運動できる位置まで移動可能である。この自由に運動できる位置では、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106は、ヒンジ部材101、102を、互いに対して相対的な規定の向きに付勢または維持できない。
図1を再度参照すると、第1のヒンジ部材101はヒンジ本体115を有し、ヒンジ本体115は延伸する腕部110を有している。腕部110は開口部116を有し、この開口部116を貫いてヒンジピン107が突き出ることができる。腕部110は、少なくとも1つの磁気要素用開口部117、118をさらに有している。この磁気要素用開口部117、118では、磁気要素用開口部117、118が、磁気要素103、105をそれぞれ一つずつ保持している。図1に例として示すように、第1の磁気要素は通常のS極性を有している。
第2のヒンジ部材102は、ヒンジ本体119と、ヒンジ本体119から延びて、窪み部120を規定する1対の腕部111、112とを有している。窪み部120は、第1のヒンジ部材101の腕部110にほぼ対応する。第1の腕部111および第2の腕部112の各々は、ヒンジピン用開口部121、122を有し、各ヒンジピン用開口部121、122は、ヒンジピン107の少なくとも対応する部分を収容して保持する。ヒンジピン107は、第1のヒンジ部材101の腕部110を貫いて突き出ている。このような構成によって、ヒンジピン107を介して第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を回転可能に組み合わせることができる。この結果、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、ヒンジ軸108を中心としてヒンジを形成して運動することができる。図1に例として示すように、上記磁気要素は通常のN極性を有する。
第2のヒンジ部材における第1の腕部111および第2の腕部112も、それぞれが、第2の磁気要素104、106のいずれかを収容して保持する磁気要素用開口部123、124を有している。
図1および図2に図示するように、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102が保持位置に維持される際に、第1の磁気要素103、105は重ねあわせられて一列に並べられている。その結果、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106が互いの近傍に位置するようになり、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を保持位置に保持することが容易になる。
図1に例として示すように、第1の磁気要素が通常のS極性を有し、第2の磁気要素が通常のN極性を有しているので、第1の磁気要素および第2の磁気要素は、磁気によって互いに引き付けられ、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を保持位置に保持することが容易になる。
図2を参照すると、各ヒンジ部材101、102は、扉部材901、092(図1に鎖線で図示)を収容して保持することができる空洞113、114を有する。この具体例では、ヒンジ100が、シャワー用の枠無しガラス扉に結合するように設計されている。
図3を参照すると、ヒンジ部材101、102が不安定な位置に移動する際に、第1の磁気要素103、105と第2の磁気要素104、106とは十分に近接しており、その結果、磁気要素103、104、105、106は互いに磁気的に引き付けあい、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を付勢して、上記不安定な位置から、図1および図2に示す保持位置までヒンジピン107を中心として回転させる。なお、この保持位置では、上記第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106は重なりあう向きにある。
図4を参照すると、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102が上記不安定な位置を通り越してしまった場合、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106は、ヒンジ部材101、102を保持位置に付勢しようとする磁気要素103、104、105、106間の磁気力を大幅に低下させるような距離に位置する。その結果、ヒンジ部材101、102は、矢印900で図示するように、自由に運動できる位置範囲内で運動できるようになる。
上記の記載においては、ヒンジ100が、ヒンジ部材101、102を、図2に示すようにヒンジ部材101、102が互いに平行である保持位置に保持するように構成されているとした。しかしながら、ヒンジがこれ以外の所望の保持位置に維持される、他の構成も可能であることは理解されよう。
例えば、図5に示すように、ヒンジ部材のうちの一方が1対の腕部500、501を有し、腕部500、501は対応する肘部502、503を有する。その結果、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102のヒンジ本体115、119が互いに直交する保持位置に維持される。図6に図示するように、ヒンジ部材101、102は不安定な位置に移動することがあるが、この場合、磁気要素103、104、105、106はヒンジ部材101、102を付勢し、ヒンジ本体115、119が互いに対して相対的に直交に配置される保持位置に戻す。
図7を参照すると、ヒンジのさらに別の例が示されている。特に、第1のヒンジ部材101には磁気要素702、703が追加されている。これらの磁気要素702、703は、ヒンジ本体115の縁に配置されており、第2のヒンジ部材における第2の磁気要素104、106を少なくとも部分的に囲んでいる。追加された磁気要素701、702は、それぞれ、追加された磁気要素用開口部703、704内に収容されて保持される。追加された磁気要素702、703は、第1の磁気要素103、105とともに、第2の磁気要素104、106を少なくとも部分的に囲むことによって、ヒンジ部材101、102を保持位置に維持するのに役立つ。
図2、図3、および図4に例として図示するように、磁気要素103、104、105、106は円形の断面を有している。ただし、磁気要素103、104、105、106に対して、他の断面形状を採用してもよいことは理解されよう。
磁気要素103、104、105、106は好ましくは、サイズが小さくても、有意な磁気強度を有するものであり、さらに、アルニコ、ネオジム(希土類金属の一種)または、強い磁束を有する類似の物質で形成されてもよい。好ましくは、磁気要素103、104、105、106は、ヒンジ部材102、101に結合されている扉部材を意図的に動かそうとしないかぎり、ヒンジ部材101、102を保持位置に維持するのに充分な磁気強度を有する。つまり、磁気要素103、104、105、106は、ヒンジ部材が保持位置から不安定な位置または自由に運動できる位置に動くことができないようにするほどに強力なのである。
1つの態様では、ヒンジ部材101、102が不安定な位置から保持位置へ移動する速度を制御するために、ヒンジ部材101、102の腕部110、111、112が、各種強度を有する磁気要素からなる磁気要素群を有している。1つの態様では、磁気要素のうち、対応する腕部の縁の近くに位置する磁気要素は、中央よりに配置されている磁気要素に比べて、磁気強度が弱い。このような、外よりに配置された磁気要素と中央よりに配置された磁気要素との間の磁気強度の差によって、ヒンジ部材101、102が不安定な位置から保持位置へ移動する速度を制御することが容易になる。
上記例では、第1の磁気要素103、105の磁気極性と第2の磁気要素104、106の磁気極性とは逆(つまり、それぞれS極とN極)であり、その結果、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106が互いに引き付けあうことによって、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102が保持位置にほぼ維持されると説明したが、他の実施形態も可能である。例えば、ヒンジに、同じ極性を有する第1の磁気要素および第2の磁気要素を設けてもよい。この構成では、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の反発しあう磁気力が、ヒンジ部材101、102を規定の保持位置に維持および付勢する。この場合、第1の磁気要素および第2の磁気要素は、実質的に重畳しない(つまり磁気要素は重なりあわない)。
図8を参照すると、ヒンジ800の別の例が示されている。図8に示すヒンジは付勢機構を有し、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802を、非保持位置から保持位置に付勢する。
図8を参照してさらに詳細に説明すると、第1のヒンジ部材801は、前部プレート806および後部プレート804を有している。第2のヒンジ部材802は、前部プレート810および後部プレート808を有している。この第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802の前部プレートおよび後部プレート804、806、808、810は、着脱可能なネジ803によって分離可能である。この場合、各ヒンジ部材801、802の後部プレート804、808は、複数のネジ803のうちの一つを受け留めるための複数の穴812、814を有している。また、各前部プレートの内側面は、それぞれが、ネジ803の尾部を受け留めるための、ネジ溝を切った要素870を有しており、着脱可能な嵌合が実現される。
図8〜図13を参照すると、第1のヒンジ部材は重畳部807を有している。この重畳部807は、第1のヒンジ部材801の後部ヒンジプレート804から延びており、保持位置では第2のヒンジ部材802における後部プレート808の窪み部805に重畳する。1つ以上の減衰要素809が、第2のヒンジ部材802における後部プレート808の窪み部805から突き出ている。減衰要素809は、ヒンジ部材801、802が不安定な位置から図8に示すような閉じた保持位置へ移動する速度を減速させるように構成されている。
特に、この1つ以上の減衰要素809は、液圧(水圧、油圧)機構880として設けられてもよく、この場合、液圧ピストンは、第2のヒンジ部材802における後部プレート808の窪んだ面805から外向きに突き出る。図16を参照すると、ヒンジ800が不安定な位置から閉じた保持位置まで移動する際に、第1のヒンジ部材801における後部プレート808の重畳部807の下面は、液圧ピストン809の最上部を押圧し、上記ピストンの少なくとも一部が徐々に液圧シリンダー内へ後退するようになっている。こうすることによって、閉じた保持位置へのヒンジ部材801、802の移動速度が減速する。
第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802が、図9に示すように非保持位置まで移動し、第1のヒンジ部材の重畳部の下面が上記液圧ピンに接触しなくなると、液圧ピストン809の少なくとも一部が、上記液圧シリンダーから延びることによって、上記減衰機構をリセットする。液圧機構880は、ピストンを押圧し、シリンダーが液圧シリンダー内に後退するときより迅速に、ピストンを液圧シリンダーから外向きに延ばす付勢構成(例えばバネなど)を上記液圧シリンダー内に備えていてもよい。
図16を参照すると、第1のヒンジ部材801における後部プレート804の下面が図示されている。図16から見て取れるように、上記第1のヒンジ部材における前部プレートの重畳部の下面は、ヒンジが保持位置にある間、液圧機構880の最上部を収納するために、1つ以上の窪み823を有していてもよい。第1のヒンジ部材801における後部プレート804の下面は、磁気要素825をぴったりと収容する開口部826をさらに有している。磁気要素825は、第1のヒンジ部材80におけるの後部プレート804の下面のほぼ中央に配置されている。
図10を参照すると、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802における前部プレート806、810の正面図が示されている。以下の記載においてより詳細に説明するように、第1のヒンジ部材801の前部プレート806は、第1の腕部814aおよび第2の腕部814bを有している。第1の腕部814aおよび第2の腕部814bは、第1の腕部814aと第2の腕部814bと間の隙間816を規定する。接合部材811はこの隙間816を通って回転可能である。
図25を参照すると、上記ヒンジが、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802における後部プレート804、808を取り除いた状態で図示されている。前部プレート806、810の内側面は、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802に回転接合する接合部材811を保持するための保持構造890を有している。接合部材811は、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802の前部プレート806、810と後部プレート804、808との間に保持されることによって、第1の部材801および第2の部材802が互いに対して相対的に回転できるようになっている。
接合部材811は、第1のヒンジ部材801によって保持される第1の端部881と、第2のヒンジ部材802によって保持される第2の端部882とを有している。接合部材811における第1の端部881は、半シリンダー状(半円筒形)の端部を形成する、丸みを帯びた端部を有している。この様子は図29にさらにはっきりと示されている。ヒンジ800が閉じた保持位置にある間、接合部材811における第1の端部881の背面875は、隙間816において、第1のヒンジ部材801における前部ヒンジプレート806の前面と同一平面にある。
接合部材811の第1の端部881は、接合部材811における半シリンダー状の端部の軸に沿ってほぼ延びる第1の中空部876を有している。第1の中空部876は、シリンダー状の断面を有する。第1の保持ピン835は、第1の中空部876内に収容され、この場合、第1の保持ピン835における第1の端部837および第2の端部839が、第1の中空部876の両端部から突き出る。図26および図27、に示すように、第1の保持ピン835における第1の端部837および第2の端部839は、方形の外形を有し、これに対応する外形を有する、保持構造890の第1のチャンネル891内に収容される。第1の保持ピン835における第1の端部837と第2の端部839との間に配置された本体部841は、シリンダー状の形状を有し、本体部と第1の端部および第2の端部とが接合して、肩部842を形成する。第1の保持ピン835の各肩部842は、前部ヒンジプレート806の後部の縁に寄りかることによって、保持ピン835をチャンネル891に固定する補助をしている。第1の中空部876は、第1の保持ピン835をぴったりと収容するシリンダー状の形状を有するので、第1のヒンジ部材801が第2のヒンジ部材802に対して相対的に回転する際に、第1の保持ピン835の本体部841は第1の中空部876の中で自由に回転できる。
図26および図27を参照すると、第1の保持ピン835は、第1の保持ピン835の各端部837、839の外側を向いた面の上に配置された、1対の保持溝843を有している。各保持溝843は、円形の外形を有する。第1の保持ピン835が第1のチャンネル891内に載置される際に、保持溝843は、保持構造890の側面部において、対応する保持開口部と一列に並ぶ。各保持開口部は、結合要素821(例えば止めネジなど)を受け留めるためのネジ山を有している。各結合要素の尾端部は、ピン835の保持溝843に収まることによって、保持ピン835をチャンネル891において固定する。
接合部材811の第2の端部882は矩形の断面を有し、第2のヒンジ部材の後部プレートに上記保持構造によって着脱可能に固定可能である。ただし、上記接合部材の第2の端部は、第2のヒンジ部材802の前部プレート810に固定されても、あるいはこれと一体であってもよいことは理解されよう。
1つの態様では、第1の保持ピン835と同様の特性を有する第2の保持ピン847を、接合部材811の第2の端部882に配置された第2の中空部877内に収容してもよい。第1の保持ピン835の場合について上述したように、第2の保持ピン847は、1つ以上の結合要素821(例えば止めネジなど)によって固定されてもよい。また、第2の保持ピン847におけるシリンダー状の本体部とその第1の端部および第2の端部との間に形成される肩部は、保持構造890によって形成されるフランジにそれぞれ寄りかかることによって、第2の保持ピン847を保持する際に補助する。
1つの態様では、図25に示すように、保持構造の一部に、各液圧機構における各液圧シリンダーの外側のネジ溝を受け留めて着脱可能に保持するための、ネジ溝を切った1つ以上の穴を備えていてもよい。ただし、図25に鎖線で示すように、別の位置で、1つ以上の減衰要素809が接合要素811内に配置されてもよい。どちらの構成においても、上記ネジ溝を切った1つ以上の穴は、重畳機構が、上述の閉じた位置において突き出る、液圧機構809のピストンの上に載るように配置される。
図23および図24を参照すると、第1のチャンネル891の側面を規定する、一列に並んだ1対の中空部830が図示されている。各中空部830は、磁気要素829をぴったりと収容する。
接合部材811は、ヒンジ800が保持位置に位置している間、上記1対の中空部830と並ぶ中空部832を有する。接合部材811の中空部832は、磁気要素831をぴったりと収容する。第1のヒンジ部材801における後部プレート804内に保持される1対の磁気要素829は、接合部材811の中空部832内に保持される磁気要素831を、磁力によって付勢することによって、ヒンジ部材801、802を保持位置に保持する。
第2の前部ヒンジプレート810上の1対の中空部834は、第2のチャンネル892の側面を規定する。各中空部834は、磁気要素833をぴったりと収容する。中空部834内に保持された磁気要素833は、ヒンジ800を保持位置に付勢する際にさらに補助し、ヒンジ800を保持位置に保持する際に補助する。
第1のヒンジ部材801の後部ヒンジプレートに配置された磁気要素825も、回転部材811の中空部832内に配置された磁気要素831に引き付けられ、例えば、ヒンジを閉じた位置に保持するのに役立つ。保持位置では、磁気要素825は磁気要素831の上に載る。磁気要素825および磁気要素831は互いに異なる極性を有しているので、引き付けあう磁気力を発生させることによって、ヒンジ800を保持位置に付勢することが理解されよう。
図28を参照すると、第1の保持ピン851の別の例が図示されている。特に、第1の保持ピン859は、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802を保持位置に付勢する、追加された付勢構成859を支持する。
具体的には、第1の保持ピン851は、図26および図27に開示した端部とほぼ同様の第1の端部852および第2の端部854を有している。ただし、第1の保持ピン851は、第1の端部852および第2の端部854に比べて幅が狭く、これら端部の間に配置された本体部858を有している。付勢要素850(例えばバネ)が、第1の保持ピン851における幅が狭い本体部858の表面に保持される。バネの第1の端部856は、保持ピン851、具体的にはピン851の第2の端部854と本体部858との間で規定される肩部に固定される。バネ850の第2の端部860は、接合部材811における中空部891の一方の端部から突き出ている。バネ850の第2の端部860は、接合部材811の上面の停止面862に対して押勢可能である。
図29にはっきりと示されるように、第1のヒンジ部材801が第2のヒンジ部材802に対して相対的に回転し始めると、バネの第1の端部856および第2の端部860は、第2の端部860が停止面862に接触するまでは、互いに対して相対的な運動ができない。一旦第2の端部860が停止面862に接触し、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802が回転し続けて保持状態を離れ、また、互いに対して相対的に離れると、保持構造の第1のチャンネル891は、第1の保持ピン851における第1の端部852および第2の端部854にトルクを加えることによって、バネの第1の端部856は、バネ850の第2の端部860に対して相対的に回転し始めて、バネ850に位置エネルギーが増加し蓄積される。こうして、位置エネルギーはヒンジ部材801、802を、逆の方向、つまり保持位置に向かって戻る方向に付勢する。
第1の端部852および/または第2の端部854が着脱可能に取り付けられる際に、バネ850を保持ピン859の本体部858上に保持しながら、バネ850をピン859の本体部858の上方に配置できるように、第1の保持ピン859における第1の端部852および/または第2の端部854を、第1の保持ピン859の本体部858に着脱可能に取り付けてもよい。
図29に図示されているように、第1のヒンジ部材801が保持位置に対して相対的に30°回転するまでは、バネ850の第2の端部860が停止面862を押勢しなくてもよい。第1のヒンジ部材801が保持位置に対して相対的に30°回転すると、バネ850の第2の端部860は停止面862を押勢することよってバネ850の張力が増加する。第1のヒンジ部材の、閉じた位置に対する相対的な回転が30°に達するまでは、磁気要素831、833、825、829は磁力を発生させることによって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置に付勢される。
図8〜図29に開示されたヒンジは、プールの柵に用いるヒンジとして理想的なほどに適している。なぜならば、ヒンジ部材が磁気要素の付勢機構および第1の保持ピンのバネによって保持位置から動かされると、このヒンジは付勢されて閉じた状態になるからである。第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802を保持状態で保持するためには、磁気要素831、833、825、829の一部だけが必要とされることは理解されよう。特に、プール用のヒンジとして適用する場合、本ヒンジが必要とするものは磁気要素825および831だけである。ただし、その他の適用(例えばシャワースクリーンに用いるヒンジ)の場合、本ヒンジには、磁気要素831および829だけが必要とされる。ヒンジ100、800の他の適用例も可能なことは理解されよう。
本発明の随意的な実施形態は、ここで参照または示唆した部品、要素、特徴などを個別に、または2つ以上の部品、要素、特徴の任意のまたはすべての組み合わせにおいてまとめて、広く含んでいると言うこともできる。また、本発明に関連する当該技術分野において公知な等価物が存在する特定の部材が本明細書中で言及される場合、このような公知である等価物は、個別に説明されているが如く、本明細書中に引用されるものとする。
好適な実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者が各種変更、置換、および調整を行うことが可能であることは理解されるべきである。
本発明は、マグネットヒンジ(磁気ヒンジ)に関する。
従来のヒンジは一般に、1対のヒンジプレートを有しており、これらのヒンジプレートはヒンジピンによって回転可能に一緒に固定され、互いに対して相対的な運動をすることができるようになっている。従来のヒンジの典型的な使い方の1つは、扉を回転可能に設置する際の使用である。一般に、ヒンジには特定の安定した状態が一つ二つあるわけではない。つまり、ヒンジは、特定の位置や向きに自然に運動するものではない。
ただし、シャワー室の扉に取り付けるヒンジなどの特別な適用例においては、ヒンジプレートを1つまたは複数の位置で維持および/または付勢するヒンジを提供することが望ましい。
公知のヒンジの中には、平坦面部を有するヒンジピンを備え、この平坦面部がバネと相互に作用して、ヒンジプレートを規定の向きに維持するものがある。特に、このバネの片側の端部は、該平坦面部を除けば、通常、円形状を有するピンの円周面に対して付勢する。これらのヒンジ部材が互いに対して相対的に運動すると、ヒンジピンはバネに対して相対的に回転する。ヒンジプレートが規定の位置まで移動すると、ヒンジピンの平坦面部は、バネの端部に押勢される。バネのねじり力は、バネを、ほぼヒンジピンの平坦面部に押勢された位置で維持し、こうすることによって、ヒンジをほぼ規定の位置で維持する。
ただし、このような構成では問題も発生しうる。特に、バネの端部は運動中にヒンジピンの円周面と絶えず接触しているので、ヒンジピンの表面と絶えず擦れあっている。長期間使用するにつれて、このバネ端部がヒンジピンに対して摩擦運動をすることによって平坦面部は丸くなる。その結果、ヒンジプレートを規定の位置で維持することが困難になり、場合によっては規定の位置で保持できなくなることもある。
したがって、ヒンジを保持位置で維持することができ、上記問題のいくつかを解消または少なくとも緩和するヒンジに対する需要が存在する。
本明細書中では、先行技術文献(またはここから得られる情報)または公知の技術内容を参照するが、どの参照事例も、この先行技術文献(またはここから得られる情報)または公知の技術内容が、本明細書に関連する分野における周知の一般的な知識の一部をなしているのだと承認するものでも自認するものではなく、また、一切このようなことを暗示するものでもなく、さらに、このように解釈するべきものでもない。
1つの広い態様では、以下のようなヒンジが提供される。すなわち、第1の磁気要素を有する第1のヒンジ部材と、第2の磁気要素を有する第2のヒンジ部材とを備え、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、互いにヒンジを形成するように設置され、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力によって保持位置にほぼ維持される、ヒンジである。
1つの態様では、上記第1の磁気要素および第2の磁気要素が、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を上記保持位置に付勢する。
別の態様では、上記ヒンジは、上記第2のヒンジ部材から突き出た減衰機構と、上記第1のヒンジ部材から延びる重畳部とを備え、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が互いに対して相対的に上記保持位置に向かって回転する際に、該重畳部が減衰機構を押圧することによって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置へ移動する速度を減速させる。
随意的な態様では、上記減衰機構が液圧機構である。
別の随意的な態様では、上記液圧機構が、第2のヒンジ部材から大きく突き出た液圧ピストンを有し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置に向かって運動する際に、上記重畳部が液圧ピストンを押圧し、この液圧ピストンを液圧機構の液圧シリンダー内へ徐々に後退させる。
随意的に、上記液圧機構が、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置から非保持位置まで移動すると、上記ピストンの一部が上記シリンダーから押し出されるように荷重するバネである。
一実施形態では、上記ヒンジが、上記第1のヒンジ部材を第2のヒンジ部材に回転接合させる接合部材を備えている。
別の一実施形態では、第1の保持ピンが、上記接合部材の第1の中空部を貫いて延び、該第1の中空部の内部で着脱可能に保持されることによって、接合部材が、上記第1の保持ピンを中心として第1のヒンジ部材に回転接続された状態で着脱可能に固定される。
1つの態様では、上記第1の保持ピンはバネを支持し、このバネの第1の端部が上記保持ピンに取り付けられ、バネの第2の端部が上記接合部材の停止面を押勢し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が回転して保持状態を離れると、バネにおいてねじり力が増加し、このねじり力の増加によって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置に付勢される。
別の態様では、第2の保持ピンが、上記接合部材の第2の中空部を貫いて延び、該第2の中空部の内部で着脱可能に保持されることによって、接合部材が、上記第2のヒンジ部材に着脱可能に固定される。
一実施形態では、上記接合部材が第3の磁気要素を有し、上記第1の磁気要素と第3の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持位置に付勢する。
別の一実施形態では、上記第1のヒンジ部材が、互いに着脱可能に固定された、第1のヒンジ前部プレートと第1のヒンジ後部プレートとを有し、上記第2のヒンジ部材が、互いに着脱可能に固定された、第2のヒンジ前部プレートと第2のヒンジ後部プレートとを有する。
代わりの実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、不安定な位置まで移動可能であって、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を付勢し、該不安定な位置から上記保持位置まで移動させる。
一実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、不安定な位置まで移動可能であって、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を付勢し、該不安定な位置から上記保持位置まで移動させる。
別の一実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、自由に運動できる位置範囲まで移動可能になっており、この自由に運動できる位置範囲では、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持および/または付勢することができない。
1つの態様では、上記第1の磁気要素および第2の磁気要素が逆極性を有し、第1の磁気要素と第2の磁気要素とが互いに引き付けあうようになっている。
別の態様では、上記第1のヒンジ部材が、上記第1の磁気要素を収容して保持するために少なくとも1つの開口部を有する。
一実施形態では、上記第2のヒンジ部材が、上記第2の磁気要素を収容して保持するために少なくとも1つの開口部を有する。
別の随意的な態様では、上記第1のヒンジ部材が、上記第1のヒンジ部材における第1のヒンジ本体から延びる腕部を有し、上記第2のヒンジ部材が、第2のヒンジ本体から延びる1対の腕部を有し、該1対の腕部が、第1のヒンジ部材の腕部に対応する窪みを規定し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材の腕部は、それぞれ、第1の磁気要素および第2の磁気要素を有する。
一実施形態では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置に維持される際に、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材の腕部によって保持される第1の磁気要素および第2の磁気要素が重ねあわされる。
随意的な態様では、上記第1のヒンジ部材が、磁気強度にばらつきを有する第1の磁気要素からなる第1の磁気要素群を有し、上記第2のヒンジ部材が、磁気強度にばらつきを有する第2の磁気要素からなる第2の磁気要素群を有し、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記不安定な位置から安定した位置へ回転する速度を、上記第1の磁気要素群および第2の磁気要素群が制御する。
もう1つの広い態様では、以下のようなヒンジが提供される。すなわち、第1の磁気要素を有する第1のヒンジ部材と、第2の磁気要素を有する第2のヒンジ部材とを備え、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、互いにヒンジを形成するように設置され、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持位置に付勢するように構成された付勢機構をさらに備え、該第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力によって保持位置にほぼ維持される、ヒンジである。
1つの態様では、上記第1の磁気要素および第2の磁気要素が、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を上記保持位置に付勢する。
別の態様では、上記第2のヒンジ部材に対して相対的に上記第1のヒンジ部材が移動する速度を減速するように構成された減衰機構を備える。
一実施形態では、上記減衰機構が上記第2のヒンジ部材から突き出ており、上記ヒンジが、上記第1のヒンジ部材から延びる重畳部を備え、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が互いに対して相対的に上記保持位置に向かって回転する際に、該重畳部が減衰機構を押圧することによって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置へ移動する速度を減速させる。
別の一実施形態では、上記減衰機構が液圧機構である。
随意的な態様では、上記液圧機構が、第2のヒンジ部材から大きく突き出た液圧ピストンを有し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置に向かって運動する際に、上記重畳部が液圧ピストンを押圧し、この液圧ピストンを液圧機構の液圧シリンダー内へ徐々に後退させる。
別の随意的な態様では、上記液圧機構が、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置から非保持位置まで移動すると、上記ピストンの一部が上記シリンダーから押し出されるように荷重するバネである。
随意的に、上記ヒンジが、上記第1のヒンジ部材を第2のヒンジ部材に回転接合させる接合部材を備えている。
随意的な実施形態では、第1の保持ピンが、上記接合部材の第1の中空部を貫いて延び、該第1の中空部の内部で着脱可能に保持されることによって、接合部材が、上記第1の保持ピンを中心として第1のヒンジ部材に回転接続された状態で着脱可能に固定される。
別の随意的な実施形態では、上記第1の保持ピンが上記付勢機構を支持し、この付勢機構の第1の端部が上記保持ピンに取り付けられ、付勢機構の第2の端部が上記接合部材の停止面を押勢し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が回転して保持状態を離れると、付勢機構において位置エネルギーが増加し、この位置エネルギーの増加によって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置に付勢される。
1つの態様では、上記付勢機構がバネである。
別の態様では、第2の保持ピンが、上記接合部材の第2の中空部を貫いて延び、該第2の中空部の内部で着脱可能に保持されることによって、接合部材が、上記第2のヒンジ部材に着脱可能に固定される。
一実施形態では、上記接合部材が第3の磁気要素を有し、上記第1の磁気要素と第3の磁気要素との間の第1の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持位置に付勢する。
別の一実施形態では、上記第1のヒンジ部材が、互いに着脱可能に固定された、第1のヒンジ前部プレートと第1のヒンジ後部プレートとを有し、上記第2のヒンジ部材が、互いに着脱可能に固定された、第2のヒンジ前部プレートと第2のヒンジ後部プレートとを有する。
随意的な態様では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が、不安定な位置まで移動可能であって、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を付勢し、該不安定な位置から上記保持位置まで移動さ。
別の随意的な態様では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材は、自由に運動できる位置範囲まで移動可能になっており、この自由に運動できる位置範囲では、上記第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の磁気力が、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材を保持および/または付勢することができない。
随意的に、上記第1の磁気要素および第2の磁気要素が逆極性を有し、第1の磁気要素と第2の磁気要素とが互いに引き付けあうようになっている。
随意的な実施形態では、上記第1のヒンジ部材が、上記第1の磁気要素を収容して保持するために少なくとも1つの開口部を有する。
別の随意的な実施形態では、上記第2のヒンジ部材が、上記第2の磁気要素を収容して保持するために少なくとも1つの開口部を有する。
1つの態様では、上記第1のヒンジ部材が、上記第1のヒンジ部材における第1のヒンジ本体から延びる腕部を有し、上記第2のヒンジ部材が、第2のヒンジ本体から延びる1対の腕部を有し、該1対の腕部が、第1のヒンジ部材の腕部に対応する窪みを規定し、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材の腕部は、それぞれ、第1の磁気要素および第2の磁気要素を有する。
別の態様では、上記第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記保持位置に維持される際に、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材の腕部によって保持される第1の磁気要素および第2の磁気要素が重ねあわされる。
一実施形態では、上記第1のヒンジ部材が、磁気強度にばらつきを有する第1の磁気要素からなる第1の磁気要素群を有し、上記第2のヒンジ部材が、磁気強度にばらつきを有する第2の磁気要素からなる第2の磁気要素群を有し、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が上記不安定な位置から安定した位置へ回転する速度を、上記第1の磁気要素群および第2の磁気要素群が制御する。
例としてのみ提示される本発明の例としての実施形態は、添付の図面との関連において記載された、好適ではあるが非限定的な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
図1は各ヒンジ部材が扉要素に結合されていて、保持位置にあるヒンジの側面図である。
図2は図1のヒンジの扉部材を除き、保持位置にあるヒンジの上面図である。
図3は図1のヒンジの扉部材を除き、不安定な位置にあるヒンジの上面図である。
図4は図1のヒンジの扉部材を除き、自由に運動できる位置にあるヒンジの上面図である。
図5は保持位置にある第2の例のヒンジを示す図である。
図6は不安定な位置にある図5のヒンジを示す図である。
図7は磁気要素が追加された別のヒンジの例を示す図である。
図8は保持位置にある別の例のヒンジを示す斜視図である。
図9は非保持位置にある図8のヒンジを示す斜視図である。
図10は保持位置にある図8のヒンジを示す平面図である。
図11は保持位置にある図8のヒンジの線B−Bにおける断面図である。
図12は保持位置にある図8のヒンジの側面図である。
図13は保持位置にある図8のヒンジの背面図である。
図14は、図8のヒンジにおける第1のヒンジ部材の第1の後部プレートを示す図である。
図15は、図14の第1の後部プレートを示す側面図である。
図16は、図14の第1の後部プレートを示す背面図である。
図17は、図8のヒンジの第2のヒンジ部材における第2の後部プレートを示す斜視図である。
図18は、図17の第2後部プレートを示す側面図である。
図19は、保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の斜視図である。
図20は、非保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の斜視図である。
図21は、保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の上面図である。
図22は、非保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の上面図である。
図23は、別の非保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の上面図である。
図24は、保持位置における磁気要素の位置の概要を示す図8のヒンジの半透明の平面図である。
図25は、前部ヒンジプレートの内側面および保持構造を示す図である。
図26は、図8のヒンジにおける第1の保持ピンを示す平面図である。
図27は、図26の第1の保持ピンを示す上面図である。
図28は、接合部材の第1の中空部を通って突き出る、付勢構成を支持する第1の保持ピンを示す断面図である。
図29は、図28の接合部材における第1の中空部を通って突き出る第1保持ピンを示す断面図である。
以下の形態は、例としてのみ提示するものであって、好適な実施形態の主題を正しく詳細に理解してもらうために説明する。
図1には、ヒンジ100が図示されている。ヒンジ100は、少なくとも1つの第1の磁気要素103、105を含む第1のヒンジ部材101と、少なくとも1つの第2の磁気要素104、106を含む第2のヒンジ部材102とを有し、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102はヒンジを形成するように設置されている。第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、図2に示すように、第1の磁気要素103、105と第2の磁気要素104、106との間の磁気力によって保持位置にほぼ維持されている。
図3に図示するように、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は不安定な位置まで移動可能である。この不安定な位置では、第1の磁気要素103、105と第2の磁気要素104、106との間の磁気力が、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を付勢し、図2の上面図に図示するように、不安定な位置から保持位置まで移動させる。
図4を参照すると、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、少なくとも1つの自由に運動できる位置まで移動可能である。この自由に運動できる位置では、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106は、ヒンジ部材101、102を、互いに対して相対的な規定の向きに付勢または維持できない。
図1を再度参照すると、第1のヒンジ部材101はヒンジ本体115を有し、ヒンジ本体115は延伸する腕部110を有している。腕部110は開口部116を有し、この開口部116を貫いてヒンジピン107が突き出ることができる。腕部110は、少なくとも1つの磁気要素用開口部117、118をさらに有している。この磁気要素用開口部117、118では、磁気要素用開口部117、118が、磁気要素103、105をそれぞれ一つずつ保持している。図1に例として示すように、第1の磁気要素は通常のS極性を有している。
第2のヒンジ部材102は、ヒンジ本体119と、ヒンジ本体119から延びて、窪み部120を規定する1対の腕部111、112とを有している。窪み部120は、第1のヒンジ部材101の腕部110にほぼ対応する。第1の腕部111および第2の腕部112の各々は、ヒンジピン用開口部121、122を有し、各ヒンジピン用開口部121、122は、ヒンジピン107の少なくとも対応する部分を収容して保持する。ヒンジピン107は、第1のヒンジ部材101の腕部110を貫いて突き出ている。このような構成によって、ヒンジピン107を介して第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を回転可能に組み合わせることができる。この結果、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、ヒンジ軸108を中心としてヒンジを形成して運動することができる。図1に例として示すように、上記磁気要素は通常のN極性を有する。
第2のヒンジ部材における第1の腕部111および第2の腕部112も、それぞれが、第2の磁気要素104、106のいずれかを収容して保持する磁気要素用開口部123、124を有している。
図1および図2に図示するように、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102が保持位置に維持される際に、第1の磁気要素103、105は重ねあわせられて一列に並べられている。その結果、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106が互いの近傍に位置するようになり、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を保持位置に保持することが容易になる。
図1に例として示すように、第1の磁気要素が通常のS極性を有し、第2の磁気要素が通常のN極性を有しているので、第1の磁気要素および第2の磁気要素は、磁気によって互いに引き付けられ、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を保持位置に保持することが容易になる。
図2を参照すると、各ヒンジ部材101、102は、扉部材901、092(図1に鎖線で図示)を収容して保持することができる空洞113、114を有する。この具体例では、ヒンジ100が、シャワー用の枠無しガラス扉に結合するように設計されている。
図3を参照すると、ヒンジ部材101、102が不安定な位置に移動する際に、第1の磁気要素103、105と第2の磁気要素104、106とは十分に近接しており、その結果、磁気要素103、104、105、106は互いに磁気的に引き付けあい、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102を付勢して、上記不安定な位置から、図1および図2に示す保持位置までヒンジピン107を中心として回転させる。なお、この保持位置では、上記第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106は重なりあう向きにある。
図4を参照すると、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102が上記不安定な位置を通り越してしまった場合、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106は、ヒンジ部材101、102を保持位置に付勢しようとする磁気要素103、104、105、106間の磁気力を大幅に低下させるような距離に位置する。その結果、ヒンジ部材101、102は、矢印900で図示するように、自由に運動できる位置範囲内で運動できるようになる。
上記の記載においては、ヒンジ100が、ヒンジ部材101、102を、図2に示すようにヒンジ部材101、102が互いに平行である保持位置に保持するように構成されているとした。しかしながら、ヒンジがこれ以外の所望の保持位置に維持される、他の構成も可能であることは理解されよう。
例えば、図5に示すように、ヒンジ部材のうちの一方が1対の腕部500、501を有し、腕部500、501は対応する肘部502、503を有する。その結果、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102は、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102のヒンジ本体115、119が互いに直交する保持位置に維持される。図6に図示するように、ヒンジ部材101、102は不安定な位置に移動することがあるが、この場合、磁気要素103、104、105、106はヒンジ部材101、102を付勢し、ヒンジ本体115、119が互いに対して相対的に直交に配置される保持位置に戻す。
図7を参照すると、ヒンジのさらに別の例が示されている。特に、第1のヒンジ部材101には磁気要素702、703が追加されている。これらの磁気要素702、703は、ヒンジ本体115の縁に配置されており、第2のヒンジ部材における第2の磁気要素104、106を少なくとも部分的に囲んでいる。追加された磁気要素701、702は、それぞれ、追加された磁気要素用開口部703、704内に収容されて保持される。追加された磁気要素702、703は、第1の磁気要素103、105とともに、第2の磁気要素104、106を少なくとも部分的に囲むことによって、ヒンジ部材101、102を保持位置に維持するのに役立つ。
図2、図3、および図4に例として図示するように、磁気要素103、104、105、106は円形の断面を有している。ただし、磁気要素103、104、105、106に対して、他の断面形状を採用してもよいことは理解されよう。
磁気要素103、104、105、106は好ましくは、サイズが小さくても、有意な磁気強度を有するものであり、さらに、アルニコ、ネオジム(希土類金属の一種)または、強い磁束を有する類似の物質で形成されてもよい。好ましくは、磁気要素103、104、105、106は、ヒンジ部材102、101に結合されている扉部材を意図的に動かそうとしないかぎり、ヒンジ部材101、102を保持位置に維持するのに充分な磁気強度を有する。つまり、磁気要素103、104、105、106は、ヒンジ部材が保持位置から不安定な位置または自由に運動できる位置に動くことができないようにするほどに強力なのである。
1つの態様では、ヒンジ部材101、102が不安定な位置から保持位置へ移動する速度を制御するために、ヒンジ部材101、102の腕部110、111、112が、各種強度を有する磁気要素からなる磁気要素群を有している。1つの態様では、磁気要素のうち、対応する腕部の縁の近くに位置する磁気要素は、中央よりに配置されている磁気要素に比べて、磁気強度が弱い。このような、外よりに配置された磁気要素と中央よりに配置された磁気要素との間の磁気強度の差によって、ヒンジ部材101、102が不安定な位置から保持位置へ移動する速度を制御することが容易になる。
上記例では、第1の磁気要素103、105の磁気極性と第2の磁気要素104、106の磁気極性とは逆(つまり、それぞれS極とN極)であり、その結果、第1の磁気要素103、105および第2の磁気要素104、106が互いに引き付けあうことによって、第1のヒンジ部材101および第2のヒンジ部材102が保持位置にほぼ維持されると説明したが、他の実施形態も可能である。例えば、ヒンジに、同じ極性を有する第1の磁気要素および第2の磁気要素を設けてもよい。この構成では、第1の磁気要素と第2の磁気要素との間の反発しあう磁気力が、ヒンジ部材101、102を規定の保持位置に維持および付勢する。この場合、第1の磁気要素および第2の磁気要素は、実質的に重畳しない(つまり磁気要素は重なりあわない)。
図8を参照すると、ヒンジ800の別の例が示されている。図8に示すヒンジは付勢機構を有し、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802を、非保持位置から保持位置に付勢する。
図8を参照してさらに詳細に説明すると、第1のヒンジ部材801は、前部プレート806および後部プレート804を有している。第2のヒンジ部材802は、前部プレート810および後部プレート808を有している。この第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802の前部プレートおよび後部プレート804、806、808、810は、着脱可能なネジ803によって分離可能である。この場合、各ヒンジ部材801、802の後部プレート804、808は、複数のネジ803のうちの一つを受け留めるための複数の穴812、814を有している。また、各前部プレートの内側面は、それぞれが、ネジ803の尾部を受け留めるための、ネジ溝を切った要素870を有しており、着脱可能な嵌合が実現される。
図8〜図13を参照すると、第1のヒンジ部材は重畳部807を有している。この重畳部807は、第1のヒンジ部材801の後部ヒンジプレート804から延びており、保持位置では第2のヒンジ部材802における後部プレート808の窪み部805に重畳する。1つ以上の減衰要素809が、第2のヒンジ部材802における後部プレート808の窪み部805から突き出ている。減衰要素809は、ヒンジ部材801、802が不安定な位置から図8に示すような閉じた保持位置へ移動する速度を減速させるように構成されている。
特に、この1つ以上の減衰要素809は、液圧(水圧、油圧)機構880として設けられてもよく、この場合、液圧ピストンは、第2のヒンジ部材802における後部プレート808の窪んだ面805から外向きに突き出る。図16を参照すると、ヒンジ800が不安定な位置から閉じた保持位置まで移動する際に、第1のヒンジ部材801における後部プレート808の重畳部807の下面は、液圧ピストン809の最上部を押圧し、上記ピストンの少なくとも一部が徐々に液圧シリンダー内へ後退するようになっている。こうすることによって、閉じた保持位置へのヒンジ部材801、802の移動速度が減速する。
第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802が、図9に示すように非保持位置まで移動し、第1のヒンジ部材の重畳部の下面が上記液圧ピンに接触しなくなると、液圧ピストン809の少なくとも一部が、上記液圧シリンダーから延びることによって、上記減衰機構をリセットする。液圧機構880は、ピストンを押圧し、シリンダーが液圧シリンダー内に後退するときより迅速に、ピストンを液圧シリンダーから外向きに延ばす付勢構成(例えばバネなど)を上記液圧シリンダー内に備えていてもよい。
図16を参照すると、第1のヒンジ部材801における後部プレート804の下面が図示されている。図16から見て取れるように、上記第1のヒンジ部材における前部プレートの重畳部の下面は、ヒンジが保持位置にある間、液圧機構880の最上部を収納するために、1つ以上の窪み823を有していてもよい。第1のヒンジ部材801における後部プレート804の下面は、磁気要素825をぴったりと収容する開口部826をさらに有している。磁気要素825は、第1のヒンジ部材80におけるの後部プレート804の下面のほぼ中央に配置されている。
図10を参照すると、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802における前部プレート806、810の正面図が示されている。以下の記載においてより詳細に説明するように、第1のヒンジ部材801の前部プレート806は、第1の腕部814aおよび第2の腕部814bを有している。第1の腕部814aおよび第2の腕部814bは、第1の腕部814aと第2の腕部814bと間の隙間816を規定する。接合部材811はこの隙間816を通って回転可能である。
図25を参照すると、上記ヒンジが、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802における後部プレート804、808を取り除いた状態で図示されている。前部プレート806、810の内側面は、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802に回転接合する接合部材811を保持するための保持構造890を有している。接合部材811は、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802の前部プレート806、810と後部プレート804、808との間に保持されることによって、第1の部材801および第2の部材802が互いに対して相対的に回転できるようになっている。
接合部材811は、第1のヒンジ部材801によって保持される第1の端部881と、第2のヒンジ部材802によって保持される第2の端部882とを有している。接合部材811における第1の端部881は、半シリンダー状(半円筒形)の端部を形成する、丸みを帯びた端部を有している。この様子は図29にさらにはっきりと示されている。ヒンジ800が閉じた保持位置にある間、接合部材811における第1の端部881の背面875は、隙間816において、第1のヒンジ部材801における前部ヒンジプレート806の前面と同一平面にある。
接合部材811の第1の端部881は、接合部材811における半シリンダー状の端部の軸に沿ってほぼ延びる第1の中空部876を有している。第1の中空部876は、シリンダー状の断面を有する。第1の保持ピン835は、第1の中空部876内に収容され、この場合、第1の保持ピン835における第1の端部837および第2の端部839が、第1の中空部876の両端部から突き出る。図26および図27、に示すように、第1の保持ピン835における第1の端部837および第2の端部839は、方形の外形を有し、これに対応する外形を有する、保持構造890の第1のチャンネル891内に収容される。第1の保持ピン835における第1の端部837と第2の端部839との間に配置された本体部841は、シリンダー状の形状を有し、本体部と第1の端部および第2の端部とが接合して、肩部842を形成する。第1の保持ピン835の各肩部842は、前部ヒンジプレート806の後部の縁に寄りかることによって、保持ピン835をチャンネル891に固定する補助をしている。第1の中空部876は、第1の保持ピン835をぴったりと収容するシリンダー状の形状を有するので、第1のヒンジ部材801が第2のヒンジ部材802に対して相対的に回転する際に、第1の保持ピン835の本体部841は第1の中空部876の中で自由に回転できる。
図26および図27を参照すると、第1の保持ピン835は、第1の保持ピン835の各端部837、839の外側を向いた面の上に配置された、1対の保持溝843を有している。各保持溝843は、円形の外形を有する。第1の保持ピン835が第1のチャンネル891内に載置される際に、保持溝843は、保持構造890の側面部において、対応する保持開口部と一列に並ぶ。各保持開口部は、結合要素821(例えば止めネジなど)を受け留めるためのネジ山を有している。各結合要素の尾端部は、ピン835の保持溝843に収まることによって、保持ピン835をチャンネル891において固定する。
接合部材811の第2の端部882は矩形の断面を有し、第2のヒンジ部材の後部プレートに上記保持構造によって着脱可能に固定可能である。ただし、上記接合部材の第2の端部は、第2のヒンジ部材802の前部プレート810に固定されても、あるいはこれと一体であってもよいことは理解されよう。
1つの態様では、第1の保持ピン835と同様の特性を有する第2の保持ピン847を、接合部材811の第2の端部882に配置された第2の中空部877内に収容してもよい。第1の保持ピン835の場合について上述したように、第2の保持ピン847は、1つ以上の結合要素821(例えば止めネジなど)によって固定されてもよい。また、第2の保持ピン847におけるシリンダー状の本体部とその第1の端部および第2の端部との間に形成される肩部は、保持構造890によって形成されるフランジにそれぞれ寄りかかることによって、第2の保持ピン847を保持する際に補助する。
1つの態様では、図25に示すように、保持構造の一部に、各液圧機構における各液圧シリンダーの外側のネジ溝を受け留めて着脱可能に保持するための、ネジ溝を切った1つ以上の穴を備えていてもよい。ただし、図25に鎖線で示すように、別の位置で、1つ以上の減衰要素809が接合要素811内に配置されてもよい。どちらの構成においても、上記ネジ溝を切った1つ以上の穴は、重畳機構が、上述の閉じた位置において突き出る、液圧機構809のピストンの上に載るように配置される。
図23および図24を参照すると、第1のチャンネル891の側面を規定する、一列に並んだ1対の中空部830が図示されている。各中空部830は、磁気要素829をぴったりと収容する。
接合部材811は、ヒンジ800が保持位置に位置している間、上記1対の中空部830と並ぶ中空部832を有する。接合部材811の中空部832は、磁気要素831をぴったりと収容する。第1のヒンジ部材801における後部プレート804内に保持される1対の磁気要素829は、接合部材811の中空部832内に保持される磁気要素831を、磁力によって付勢することによって、ヒンジ部材801、802を保持位置に保持する。
第2の前部ヒンジプレート810上の1対の中空部834は、第2のチャンネル892の側面を規定する。各中空部834は、磁気要素833をぴったりと収容する。中空部834内に保持された磁気要素833は、ヒンジ800を保持位置に付勢する際にさらに補助し、ヒンジ800を保持位置に保持する際に補助する。
第1のヒンジ部材801の後部ヒンジプレートに配置された磁気要素825も、回転部材811の中空部832内に配置された磁気要素831に引き付けられ、例えば、ヒンジを閉じた位置に保持するのに役立つ。保持位置では、磁気要素825は磁気要素831の上に載る。磁気要素825および磁気要素831は互いに異なる極性を有しているので、引き付けあう磁気力を発生させることによって、ヒンジ800を保持位置に付勢することが理解されよう。
図28を参照すると、第1の保持ピン851の別の例が図示されている。特に、第1の保持ピン859は、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802を保持位置に付勢する、追加された付勢構成859を支持する。
具体的には、第1の保持ピン851は、図26および図27に開示した端部とほぼ同様の第1の端部852および第2の端部854を有している。ただし、第1の保持ピン851は、第1の端部852および第2の端部854に比べて幅が狭く、これら端部の間に配置された本体部858を有している。付勢要素850(例えばバネ)が、第1の保持ピン851における幅が狭い本体部858の表面に保持される。バネの第1の端部856は、保持ピン851、具体的にはピン851の第2の端部854と本体部858との間で規定される肩部に固定される。バネ850の第2の端部860は、接合部材811における中空部891の一方の端部から突き出ている。バネ850の第2の端部860は、接合部材811の上面の停止面862に対して押勢可能である。
図29にはっきりと示されるように、第1のヒンジ部材801が第2のヒンジ部材802に対して相対的に回転し始めると、バネの第1の端部856および第2の端部860は、第2の端部860が停止面862に接触するまでは、互いに対して相対的な運動ができない。一旦第2の端部860が停止面862に接触し、第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802が回転し続けて保持状態を離れ、また、互いに対して相対的に離れると、保持構造の第1のチャンネル891は、第1の保持ピン851における第1の端部852および第2の端部854にトルクを加えることによって、バネの第1の端部856は、バネ850の第2の端部860に対して相対的に回転し始めて、バネ850に位置エネルギーが増加し蓄積される。こうして、位置エネルギーはヒンジ部材801、802を、逆の方向、つまり保持位置に向かって戻る方向に付勢する。
第1の端部852および/または第2の端部854が着脱可能に取り付けられる際に、バネ850を保持ピン859の本体部858上に保持しながら、バネ850をピン859の本体部858の上方に配置できるように、第1の保持ピン859における第1の端部852および/または第2の端部854を、第1の保持ピン859の本体部858に着脱可能に取り付けてもよい。
図29に図示されているように、第1のヒンジ部材801が保持位置に対して相対的に30°回転するまでは、バネ850の第2の端部860が停止面862を押勢しなくてもよい。第1のヒンジ部材801が保持位置に対して相対的に30°回転すると、バネ850の第2の端部860は停止面862を押勢することよってバネ850の張力が増加する。第1のヒンジ部材の、閉じた位置に対する相対的な回転が30°に達するまでは、磁気要素831、833、825、829は磁力を発生させることによって、第1のヒンジ部材および第2のヒンジ部材が保持位置に付勢される。
図8〜図29に開示されたヒンジは、プールの柵に用いるヒンジとして理想的なほどに適している。なぜならば、ヒンジ部材が磁気要素の付勢機構および第1の保持ピンのバネによって保持位置から動かされると、このヒンジは付勢されて閉じた状態になるからである。第1のヒンジ部材801および第2のヒンジ部材802を保持状態で保持するためには、磁気要素831、833、825、829の一部だけが必要とされることは理解されよう。特に、プール用のヒンジとして適用する場合、本ヒンジが必要とするものは磁気要素825および831だけである。ただし、その他の適用(例えばシャワースクリーンに用いるヒンジ)の場合、本ヒンジには、磁気要素831および829だけが必要とされる。ヒンジ100、800の他の適用例も可能なことは理解されよう。
本発明の随意的な実施形態は、ここで参照または示唆した部品、要素、特徴などを個別に、または2つ以上の部品、要素、特徴の任意のまたはすべての組み合わせにおいてまとめて、広く含んでいると言うこともできる。また、本発明に関連する当該技術分野において公知な等価物が存在する特定の部材が本明細書中で言及される場合、このような公知である等価物は、個別に説明されているが如く、本明細書中に引用されるものとする。
好適な実施形態を詳細に説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者が各種変更、置換、および調整を行うことが可能であることは理解されるべきである。