JP2011515660A - 複数の流入口を備えた高精度質量流量検証器 - Google Patents

複数の流入口を備えた高精度質量流量検証器 Download PDF

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Abstract

低い流入圧力において広い流量検証範囲にわたって高い測定精度をもたらす高精度質量流量検証器(HAMFV)が、流体送達デバイスによる流量測定値を検証するために開示される。HAMFVは、上流バルブを有する複数Nの流入口を画定するチャンバ、1つの下流バルブを有する1つの流出口、チャンバ内の流体圧力を測定するように構成される圧力センサ、およびチャンバ内の流体温度を測定するように構成される温度センサを備える。複数Nの臨界流ノズルが、対応する上流バルブに隣接して配設される。HAMFVは、所望の流量検証範囲および流体の種類に基づいて、対応する上流バルブを開き、他の全ての上流バルブを閉じることによって、複数Nの臨界流ノズルの1つを起動するように構成されるコントローラをさらに備える。複数Nの臨界流ノズルの少なくとも2つは、異なる断面積を有する。
【選択図】図3

Description

関連出願の相互参照
本出願は、(1)2005年3月25日に出願された「External Volume Insensitive Flow Verification」と題する米国特許出願第11/090,120号(「120出願」)(代理人整理番号MKS−155)、(2)2006年6月30日に出願された「Critical Flow Based Mass Flow Verifier」と題する米国特許出願第11/479,092号(「92出願」)(代理人整理番号MKS−180)、および(3)2007年6月27日に出願された「Mass Flow Verifiers Capable of Providing Different Volumes, And Related Methods」と題する米国特許出願第11/769,435号(「435出願」)(代理人整理番号MKS−188)の一部継続出願である。これらの特許出願の内容は、全てが記述されているかのように、参照によりその全体が本明細書に援用される。
質量流量コントローラ(MFC)、質量流量比コントローラ(FRC)、および質量流量計(MFM)のような高精度の流体送達および測定システムは、半導体ウェーハ製造および他種の材料加工のような用途において非常に重要である。多くの場合に、これらの流体送達システムの精度を検証する必要がある。
MFC、FRC、MFM、または他の被試験デバイス(DUT)の精度を検証するために、質量流量検証器(MFV)が用いられることがある。質量流量検証器の一種として上昇率(ROR)流量検証器がある。一般的なROR流量検証器は、チャンバ体積と、圧力センサと、温度センサと、上流および下流に1つずつある2つの隔離バルブとを備える。それらのバルブは、動作していないときには閉じることができ、動作が開始されるときに開いて、それによってMFC(またはMFM)からの流体が流量検証器の中に流れることを可能にする。流体の流れが安定すると、下流のバルブを閉じることができ、結果として、チャンバ体積内の圧力が上昇する。圧力トランスデューサーは、圧力の上昇を測定できる。これらの測定値を用いて、MFVへの流量を計算することができ、それによって、DUTの流量における精度性能を検証できる。
MFVの精度は、測定時間を長くすることによって改善できる。しかしながら、非常に低流速の範囲における高い測定精度と同時に、低い流入圧力において広い流量検証範囲をもたらすMFVを構成することはより難題である。
それ故に、所望の流入圧力を越えることなく、より広い流量範囲にわたって改善された精度もたらすMFVが望まれる。
流体送達デバイスによる測定値を検証するための高精度質量流量検証器(HAMFV)は、複数Nの流入口を画定するチャンバ体積、および1つの流出口を備える。このHAMFVは、N個の各流入口に対して上流バルブ、および流出口に対して1つの下流バルブを備える。HAMFVは、さらに、チャンバ体積内の流体圧力を測定するように構成される圧力センサを備える。
このHAMFVは、さらに、複数Nの臨界流ノズルを備える。各臨界流ノズルは、対応する流入口における1つの上流バルブに隣接して配設される。HAMFVは、所望の流量検証範囲および流体の種類に基づいて、対応する上流バルブを開き、他の全ての上流バルブを閉じることによって、複数Nの臨界流ノズルのうちの1つを選択的に起動するように構成されるコントローラをさらに備える。複数Nの臨界流ノズルの少なくとも2つは、異なる断面積を有する。
このHAMFVは、低い流入圧力において広い流量検証範囲にわたって高度な測定精度をもたらす。
1つの臨界流ノズルを備える質量流量検証器を示す図である。 臨界流時間を示すグラフである。 本明細書に開示される一実施形態に従った、複数の流入口および臨界流ノズルを備える高精度質量流量検証器を示す図である。
本明細書の開示において異なるサイズの複数の臨界流ノズルを用いた高精度質量流量検証器が記述される。複数の臨界流ノズルを用いることにより、HAMFVに要求される流入圧力を越えることなく、より広い流量範囲にわたってHAMFVが作動可能になる。比較的に高流速の検証範囲において、比較的に大きいサイズのノズルが、HAMFVに比較的に低い流入圧力を与え、HAMFVは、MFVに要求される(安全要件を満たす)流入圧力の最大値に対処できる。比較的に低流速の検証範囲において、比較的に小さいサイズのノズルが、比較的に長い臨界流時間または測定時間をもたらし、それにより、圧力信号対ノイズ比を改善し、それ故、流量検証の精度を改善する。
図1は、例えば原出願MKS−180に記載される、1つの臨界流ノズルを備える質量流量検証器を示している。図1に示された一実施形態では、MFV100は、密閉されたチャンバに流れ込む流体圧力の上昇率を測定し、それをチャンバに流れ込む流量を検証するために用いる、上昇率タイプのMFVである。特に、MFV100は、臨界流に基づくMFVであり、流れ絞り機構140を備えており、その機構は、実施形態に示される臨界流ノズル140とすることができる。
後にさらに説明するように、臨界流ノズル140は、ノズル140の中の流れを一定に保持し、それによって、MFV100による質量流量試験がチャンバ内の上昇する圧力に実質的に影響されないようにする。こうして、臨界流ノズル140は、DUTに対する下流圧力外乱を大幅に最小化し、それによって流量検証過程中に、DUTの流量変動が最小になるようにする。また、臨界流ノズル140は、MFV100による質量流量検証が、臨界流ノズル140とDUTとの間のいかなる外部体積によっても実質的に影響されないようにもする。実際、臨界流ノズル140とDUTとの間の外部体積は、流量検証または臨界流に基づくMFVによる他の演算値には無関係である。この特性は、外部体積無影響(EVI)と呼ばれる。臨界流に基づくMFVのEVI特性は、異なる流路を備える、臨界流に基づくMFVとDUTとの間の外部体積を確定する必要がないため、半導体プロセスツールにおけるガスパネルへのMFVの統合を大幅に簡易化する。
MFV100は、DUT110からの流体の流れを受け入れるように構成される密閉されたチャンバ体積130を含む。DUT110は、一般的に、流体の流量を送達する質量流量コントローラまたは質量流量比コントローラである。下流出口バルブ150は、チャンバ130からの流体の流れを開閉する。上流入口バルブ120は、DUT110からチャンバ130への流体の流れを開閉する。MFV100はさらに、チャンバ130内の流体圧力を測定するように構成される圧力センサ170と、チャンバ130内の流体温度を測定するように構成される温度センサ180とを備える。
ROR MFVの基本原理は、チャンバ130にわたるマスバランスである。マスバランス方程式を使用し、チャンバ内の気体に理想気体の法則を適用して、以下の式に従ってMFVのチャンバ内の気体圧力および気体温度を測定することによって、入口気体流量を求めることができる。
Figure 2011515660
式中、kは変換定数、すなわちsccm(標準立方センチメートル/分)単位で6×10であり、slm(標準リットル/分)単位では6×10であり、ここで、Pstpは標準圧力(1.01325×10Pa)であり、Tstpは標準温度(=273.15K)であり、Pはチャンバ気体圧力であり、Vはチャンバ体積であり、Tは気体温度である。
MFV100は、圧力センサ170および温度センサ180からの出力信号を受信すると共に、上流バルブ120および下流バルブ150の動作を制御するコントローラ160を含む。コントローラ160は、下流バルブが閉じた後に、チャンバ内の流体圧力の上昇率を測定し、経時的に測定された圧力の上昇率および温度を用いて、式(1)に従って、DUTからチャンバへの流体の流量を計算し、それによって、DUTによる流量測定値を検証する。
典型的な質量流量検証手順は以下のとおりである。
1.上流バルブ120および下流バルブ150の両方を開く。
2.DUTのための流量設定値を与える。
3.チャンバ圧力が定常状態になるまで待つ。
4.流量計算のためにチャンバ気体圧力およびチャンバ気体温度を記録し始める。
5.下流バルブ150を閉じて、チャンバ圧力を上昇させる。
6.流量の検証のために、一定の期間待機する。
7.下流バルブ150を開く。
8.チャンバ気体圧力およびチャンバ気体温度の記録を止める。
9.式(1)に基づいて流量を計算し、検証された流量を報告する。
臨界流ノズル140は、流体の流れを臨界流に保持するように構成され、その時点では、変動するチャンバ圧力またはノズルの下流圧力がチャンバ体積への流入質量流量に影響を与えることはない。臨界流条件において、ノズルの中の流れ(Qin)は、ノズルの上流圧力(P)のみによって決定され、それは、以下の方程式に記述されるように、ノズルの下流圧力(P)に影響されない。
Figure 2011515660
上の式中、Cはノズルの吐出係数であり、Aはノズルのオリフィスの断面積であり、Pはノズルの上流圧力であり、Pはノズルの下流圧力であり、それはまた、MFV100のチャンバ圧力であり、Rは一般気体定数であり、Tは気体温度であり、Mは気体の分子量であり、γは、γ=C/Cとして定義される気体の比熱比であって、Cは一定の圧力における流体熱容量であり、Cは一定の体積における流体熱容量である。臨界流条件を満たすためには、ノズルの下流圧力に対する上流圧力の比率は、臨界圧力比αpcよりも小さい必要があり、臨界圧力比は、式(3)に従って、チャンバ内の流体すなわち気体の特性によって決定される。
式(3)の臨界流条件が保持される限り、ノズルの下流圧力すなわちチャンバ圧力は、絞り機構を横切る質量流量に影響を及ぼすことはなく、流量を増やす唯一の方法は、式(2)に従って上流圧力を高めることである。
臨界流に基づくMFVは、図1に示すように、ROR検証器のチャンバの入口において臨界流ノズルまたはオリフィスを有する。MFV100の上流バルブ120および下流バルブ150がいずれも開いており、DUTの流れが定常状態にあり、臨界ノズルが適当な大きさである場合には、絞り機構の下流圧力(チャンバ圧力)と、絞り機構の上流圧力との間の圧力比は、臨界圧力比αpcよりも小さい。それ故、流れ絞り機構を横切る流れは臨界流であり、式(2)によるチャンバ圧力とは無関係である。この定常状態の時点では、絞り機構を通る流れは、DUTによって送達される流れに等しく、絞り機構の上流圧力(DUTの下流圧力)は一定である。流量を検証するために、下流バルブ150が閉じられるとき、チャンバ圧力は上昇する。
チャンバ圧力と絞り機構の上流圧力との間の圧力比が、臨界圧力比αpcよりも小さい限り、絞り機構を通る流れは依然として臨界流であり、上昇するチャンバ圧力とは無関係である。それ故、絞り機構を通る流れは変化せず、絞り機構の上流圧力も変化しないため、チャンバ圧力が上昇している場合であっても、DUTへの下流圧力外乱は存在しない。上昇するチャンバ圧力が臨界圧力比(αpc)を超える場合には、絞り機構を通る流れは臨界流ではなく、絞り機構の上流圧力および下流圧力の両方に依存する。結果として、絞り機構を通る流れは、DUTによって送達される流れに等しくなく、絞り機構の上流圧力が変化し、DUTへの下流圧力外乱が存在する。
MFVの臨界流時間は、下流バルブが完全に閉じられる時点と、上昇するチャンバ圧力が臨界圧力比αpcを超える時点との間の時間として定義される。臨界流時間中に、絞り機構を通る流れは一定の臨界流であり、チャンバ圧力とは無関係である。臨界流時間tcfは、下記の式から導き出すことができる。
Figure 2011515660
式中、(αp0)は、下流バルブが閉じる前に流入量が安定している時点におけるチャンバ圧力と絞り機構の上流圧力との間の初期圧力比である。
式(5)から明らかであるように、臨界流時間tcfは、気体特性、気体温度、並びに臨界流ノズルおよびチャンバ体積を含むMFVの形状に依存する。MFVの検証時間が臨界流時間内にある場合には、ノズルを横切る流れは一定の臨界流であり、上昇するチャンバ圧力はDUTの下流圧力を乱さない。これは、DUTへの下流外乱を大幅に最小化する。
式(3)の臨界流条件が保持される限り、臨界流ノズルまたはオリフィスのような流れ絞り機構は、ROR検証器のチャンバをDUTへの外部配管から分離する。流量検証時間が臨界流時間内にある場合には、絞り機構を通る臨界流は、DUTの流量に等しい。また、DUTからMFVへの流路に沿う圧力分布は一定である。明らかに、臨界流ノズルとDUTとの間の外部体積は、式(1)の流量計算とは関係がない。流量検証の計算のために、準備較正過程において流れ絞り機構とDUTとの間の外部体積を求める必要はない。これは、流入口の入り口における流れ絞り機構を有さない従来のROR MFVと対照的である。従来のROR MFVにおいて流れ検証時間中に、DUTからMFVへの流路に沿う圧力分布は変化する。それ故、流量計算のために、DUTとMFVとの間の外部体積を決定し、式(1)におけるチャンバ体積(V)に対して、計算の要素として含める必要がある。
図2は、臨界流時間、ならびに臨界流に基づくMFV100の応答を示すグラフである。グラフ210は、チャンバ内の流体圧力を表しており、それは、下流バルブが閉じられるときに上昇する。グラフ220は、臨界ノズルを横切る流体の流量すなわちチャンバ体積への流入量を表す。MFVの臨界流時間が、参照番号230で図2に示される。図2において明らかであるように、臨界流時間中では、ノズルを通る流入量は、臨界流またはチョーク流れであり、上昇するチャンバ圧力は、ノズルの流入量および上流圧力(DUTの下流圧力でもある)に影響を及ぼさない。臨界流時間が経過した後に、流入量は降下し、DUTの下流圧力が変化する。
流量検証中に、チャンバ圧力を、臨界圧力比限界よりも常に低く抑えることができる場合には、ノズルを通る流れは常に臨界流条件にあり、チャンバ圧力が変化しても、DUTの下流圧力は乱されることがなく、それによってDUTの実際の流れの変動は実質的に最小限に抑えられる。チャンバ体積へのノズルを横切る流入量は、DUTの流量と等しい。流量検証のために、DUTとMFVとの間の外部体積を求める必要はない。
図3は、本明細書に開示された一実施形態に従った、複数の流入口と複数の臨界流ノズルとを含む高精度質量流量検証器(HAMFV)300を示す。HAMFV300は、例を挙げれば、MFC、MFM、またはFRCのようなデバイス399による流体の流量測定値を検証するように構成される。HAMFV300は、チャンバ体積310と、圧力センサ320と、温度センサ350と、下流バルブ370を有する流出口372と、それぞれ上流バルブ360を有する複数Nの流入口315と、各流入口に対する臨界流ノズル330とを備える。チャンバ310は、N個の流入口の任意の1つを通してDUTから流体の流れを受け入れることができる。
複数Nの臨界流ノズル330の各々は、対応する流入口315の1つに隣接して配設される。図3に示す実施形態においてNは2、すなわち、示された実施形態では、2個の流入口と、各流入口に1つずつ配設される2個の臨界流ノズルとが含まれる。当然理解されるように、Nは2に限定されない。別の実施形態では、チャンバは、2つよりも多い数の流入口および対応する(2つよりも多い)臨界流ノズルを有し得る。
複数Nの臨界流ノズル330の各々は、対応する上流バルブ360の1つに隣接して配設される。図3に示された実施形態では、臨界ノズルは、上流バルブの下流に配設される。当然理解されるように、別の実施形態では、臨界流ノズルは、上流バルブの上流にも配設され得る。上流バルブの1つは、流量範囲および気体(または他の流体)の種類に基づいて、選択的に開かれ、他の全ての上流バルブは、流量検証時間全体において閉じられている。それ故、流量検証時間中に、ただ1つの臨界流ノズルが作動する。
上の図1で説明した方法で、複数Nの臨界流ノズル330の各々は、作動中の該ノズルにおける臨界流時間t cf(i=1…N)中に、臨界流ノズルを通る流体の流量を実質的に一定に保持し、そしてチャンバ内の圧力の変動に実質的に影響されないように構成される。i番目の臨界流ノズルにおける臨界流時間tcf,i用の式は、式(5)への類推によって、以下の式として容易に得られる。
Figure 2011515660
式中、A(i=1…N)は、i番目のノズルにおけるノズルののど部の断面積であり、Cは、i番目のノズルの吐出係数であり、他の全ての変数は、上述の式(5)に関して前に定義されたものである。臨界流時間tcf,iは、i番目の臨界流ノズルが作動するときに、下流バルブが閉じられる時点と、PとPとの間の比率が臨界圧力比限界αpcを超える時点との間の期間として定義される。
式(6)から明らかであるように、全てのi(i=1…N)においてi番目の臨界流ノズルにおける臨界流時間tcf,i(i=1…N)は、i番目の臨界流ノズルの断面積Aに反比例する。i番目のノズル(i=1…N)における臨界流時間tcf,iは、それ故、ノズルサイズを小さくすることによって長くすることができる。
臨界流時間を長くすることによって、圧力変化(△P)を増大させて、これにより、信号対ノイズ比を増加させるために、HAMFV300は体積をより長く充填できる。また、より長い検証時間は、多くの測定データサンプルを提供でき、測定ノイズを除去することができる。これら2つの方法により、より長い臨界流時間によって、質量流量検証の精度および再現性を、特に1〜100sccm窒素(N)と同等の流れといった、低い流量範囲において、改善することができる。それ故、HAMFV300が、異なるサイズの臨界流ノズルを有する複数の流入口を備える場合には、比較的に小さいサイズの臨界流ノズルを備える流入口を選択でき、それにより、低い流量検証のための大きいtcf,iを提供する。
例えばMFVにおける流入圧力の最大値を、3000sccmNと同等の流れにおいて100トールよりも小さくすることが好ましいというような、MFVに要求される流入圧力の最大値が存在する。式(2)に従って、臨界流ノズルの上流圧力である、臨界流に基づくMFVに対する流入圧力は、同量の流入量においてノズルののど部の断面積Aに反比例する。HAMFV300は、高精度の流量検証に要求される流入圧力の最大値に対応できる比較的に大きなサイズの臨界流ノズルを備える流入口を選択できる。このようにして、HAMFV300は、流入圧力の最大値用件に違反することなく、非常に大きな流量に至るように流量検証範囲を拡大できる。それ故、複数Nの臨界流ノズルの少なくとも2つは、異なる断面積を有する。当然のことながら、一部の実施形態においては、2つ以上のN個の臨界流ノズルが異なる断面積を有する。一部の実施形態において、全てのN個の臨界流ノズルが異なる断面積を有する。
HAMFV300は、複数Nの臨界流ノズル330の1つ(たとえばi番目のノズル)を、流量検証過程において対応するi番目の上流バルブ(i=1…N)を開き、他の全ての上流バルブ360を閉じることによって、選択的に起動するように構成されるコントローラ380を含む。一実施形態において、i番目のノズルの選択は、所望の流量検証範囲およびユーザに供給され得る流体または気体の種類に基づく。
一実施形態において、コントローラ380は、ホストコントローラまたはユーザからの流量検証コマンドを受信する。流量検証コマンドは、所望の使用可能な流量範囲および流体の種類についての情報を含み得る。本実施形態において、次に、コントローラ380は、所望の使用可能な流量範囲および流体または気体の種類に関する受信した情報に基づいて、複数Nの臨界流ノズルの1つを選択的に起動する。本願において、臨界流ノズルを「起動する」は、(流量が、HAMFVによって検証される)流体がその臨界流ノズルを通って流れることを可能にさせることを意味する。当然のことながら、臨界流ノズルを通る流体の流れは、上述した臨界流動条件を満たす。一実施形態において、臨界流ノズルは、該ノズルに対応する上流バルブを開き、他の全ての上流バルブを閉じることのみによって起動する。
i番目の臨界流ノズル(i=1…N)が起動されると、コントローラは、上の段落において記述した方法で、DUTの流量を検証するように設定される。i番目の臨界流ノズル(i=1…N)がコントローラ380によって選択される場合には、デバイス399からの流体は、選択されたi番目のノズルの中を流れ、その流れは、ノズルの臨界流時間tcf,i中に、臨界流条件を満たすようにされる。
一実施形態において、コントローラ380は、さらに、コントローラ380が下流バルブが閉じられた後に、チャンバ内の流体圧力の上昇率を測定および決定できるように、下流バルブ370、上流バルブ360、圧力センサ320、および温度センサ350の稼働を制御するように構成される。コントローラ380は、コントローラ380が圧力センサ320および温度センサ350の各々を用いることによって、チャンバ内の流体圧力および温度を測定できるように、下流バルブ370および上流バルブ360を適切な時点において起動(および/または適切な場合には停止)する。次に、コントローラ380は、それが測定した圧力の上昇率および温度を用いて、式(1)に従って、デバイスからチャンバ内に流れる流体の流量を計算する。これにより、デバイス399により流量測定値を検証する。
コントローラ380によりi番目の臨界流ノズルが起動中されると、圧力センサおよび温度センサは、臨界流時間tcf,i内に、i番目の臨界流ノズルにおいて測定を行うように設定され、これにより、質量流量検証器による流量検証は、変動するチャンバ圧力および質量流量検証器とDUTとの間の外部体積に実質的に影響されない。
稼働中に、デバイスによる流量の測定値を検証する方法は、質量流量検証器内のチャンバとデバイス(DUT)との間における流体の流路に沿って複数Nの臨界流ノズルを配設し、次に、所望の流量検証範囲および気体の種類に基づいて、i番目の上流バルブを開き、他の全ての上流バルブを閉じることによって、N個の臨界流ノズルのうちのi番目の1つ(i=1…N)を起動する方法を含む。
流量検証の初期においてi番目の上流バルブと下流バルブとの両方が、流れ(流路に沿った、デバイスからi番目の流入口を通るチャンバ内への流れ)を安定させるために開かれて保持される。すなわち、流路に沿う圧力の変化がなく、そして、チャンバ内への流体の流量が定常状態に達する。次に、チャンバの流出口における下流バルブは、チャンバ内への流体圧力が上昇し始めるように閉じられる。次に、式(1)に従った流体の流量を算定するために、臨界流時間tcf,i内に、チャンバ内への流体圧力および温度が測定され、そのようにして、DUTによる流量測定値が検証される。MFVの流量検証時間が、i番目のノズルに対して定義された臨界流時間tcf,i内であるため、i番目のノズルを横切る流体の流量、およびi番目のノズルの上流の流体圧力は実質的に一定であり、実質的にチャンバ内の圧力の上昇とは無関係である。さらに、DUTとMFVとの間の外部体積は、流量を算定するために決定される必要がない。
要するに、流体送達デバイスによる流量測定値を検証する質量流量検証器の精度および使用可能な流量範囲を増大させる方法は、流量測定デバイスとチャンバとの間に複数Nの臨界流ノズルを提供し、次に、選択されたノズルを横切る流体を制限して流すように、N個の臨界流ノズルの1つを選択的に作動する方法を含む。このようにして、選択されたノズルを通る流体の流量は、ノズルの下流における圧力とノズルの上流における圧力との比率が臨界圧力比αpcよりも小さい限り、チャンバ内における圧力の変動に影響されない。この方法は、所望の流量検証範囲、流体の種類、およびMFVの流入圧力の最大値要件に基づいて、臨界流ノズルにとって最適なオリフィスサイズを選択することをさらに含む。
上述した方法およびシステムは、特に、低い流量範囲(例えば1〜100sccmNと同等)において、質量流量検証の精度および再現性を改善する。この範囲において最大約+/−0.5%である読み間違い精度が実現される。さらに、これらの方法およびシステムは、流入圧力の最大値(例えば全てのNと同等の流量範囲において100トール)を越えることなく、流量検証範囲を増大できる(例えば1〜3000sccmNと同等)。臨界流ノズルが用いられるため、外部体積無影響が達成できる。上述した改善は、単一のマノメータを用いて達成し得、これにより単位原価を減少できる。要するに、高精度原位置質量流量検証器が、半導体および他の材料加工に用いられるツール用に提供され得る。
広い流量範囲および低い流入圧力における高精度流量検証を提供するシステムおよび方法の特定の実施形態が説明されてきたが、これらの実施形態における暗黙の概念を他の実施形態においても用いることができることは理解されたい。本出願の保護範囲は、以下の特許請求の範囲のみに限定される。
これらの特許請求の範囲において、単数形の構成要素のへ言及は、特記しない限り、「唯一」を意味するように意図されておらず、むしろ「1つまたは複数」を意味するように意図されている。当業者に既知であるか、または後に知られることになる、本開示全体を通じて説明される種々の実施形態の構成要素に対する全ての構造的および機能的均等物は、参照により本明細書に明白に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。さらに、特許請求の範囲において明らかに列挙されているか否かにかかわらず、本明細書において開示されるいかなるものも公共のものとして提供するように意図されていない。その要素が、「〜の手段」という言い回しを用いて明らかに列挙されない限り、または方法に関する請求項の場合には、その要素が、「〜するステップ」という言い回しを用いて列挙されない限り、いかなる請求項の要素も、米国特許法第112条第6項第35条項の定めるところに従って解釈されるべきではない。

Claims (22)

  1. 流体送達デバイスによる流体の流量測定値を検証するための質量流量検証器であって、該質量流量検証器は、
    複数Nの流入口を画定し、前記デバイスからの前記流体の流れを前記流入口の各々において受け入れるように構成されているチャンバと、
    前記チャンバ内の前記流体の圧力を測定するように構成される圧力センサと、
    複数Nの臨界流ノズルであって、その各々が対応する前記流入口の1つに隣接して、前記対応する流入口を通る前記デバイスから前記チャンバへの流体の流路に沿った前記チャンバの上流に位置決めされている臨界流ノズルと、を備えており、
    全てのi(i=1…N)において、前記i番目の臨界流ノズルにおける臨界流時間tcf,i(i=1…N)中に、前記i番目の臨界流ノズルは、前記i番目の臨界流ノズルを通る前記流体の流量を実質的に一定に保持し、前記チャンバ内の圧力の変動に実質的に影響されないように構成される質量流量検証器。
  2. 前記質量流量検証器による流量検証動作のために、前記複数Nの臨界流ノズルの1つを選択的に起動するように構成されるコントローラをさらに備える、請求項1に記載の質量流量検証器。
  3. 前記コントローラが、前記質量流量検証器の所望の流量検証範囲、および前記流体の種類に基づいて、前記複数Nの臨界流ノズルの前記1つを選択的に起動するようにさらに構成される、請求項2に記載の質量流量検証器。
  4. 複数Nの上流バルブをさらに備え、その各々が前記臨界流ノズルの対応する1つに関連し、
    前記対応する上流バルブを開き、他の全ての上流バルブを閉じることによって前記臨界流ノズルの各々を起動することができる、請求項3に記載の質量流量検証器。
  5. 臨界流ノズルの各々が、前記対応する上流バルブの上流または下流に配設される、請求項4に記載の質量流量検証器。
  6. 臨界流ノズルの各々が、前記対応する上流バルブに隣接して配設される、請求項4に記載の質量流量検証器。
  7. 前記チャンバの出口からの前記流体の流れを開閉するように構成される下流バルブをさらに備える、請求項4に記載の質量流量検証器。
  8. 全てのi(i=1…N)において、前記i番目の臨界流ノズルにおける前記臨界流時間tcf,i(i=1…N)が、前記i番目の臨界流ノズルの前記断面積Aに反比例し、
    前記複数Nの臨界流ノズルのうちの少なくとも2つが異なる断面積を有する、請求項3に記載の質量流量検証器。
  9. 前記所望の流量検証範囲が比較的に高い場合に、比較的に大きいサイズの臨界流ノズルが、前記MFVに比較的に低い流入圧力を与えるように構成される、請求項8に記載の質量流量検証器。
  10. 前記所望の流量検証範囲が比較的に低い場合に、比較的に小さいサイズの臨界流ノズルが、前記測定時間を長くして前記測定の精度を高めるように構成される、請求項8に記載の質量流量検証器。
  11. 前記チャンバ内の前記流体温度を測定するように構成される温度センサをさらに備える、請求項1に記載の質量流量検証器。
  12. 前記i番目の臨界流ノズル(i=1…N)が、その臨界流時間tcf,i中に、前記ノズルを通って流れる前記流体が臨界流条件を満たすように構成され、前記N個の臨界流ノズルの各々における前記臨界流条件は数学的に以下の式によって与えられ、
    Figure 2011515660
    式中、
    は、前記チャンバ内および前記i番目の臨界流ノズルの下流における前記流体圧力であり、
    は、前記i番目の臨界流ノズルの上流の前記流体圧力であり、
    γはγ=C/Cとして定義される前記流体の比熱比であり、ここで、Cは一定の圧力における前記流体の熱容量であり、Cは一定の体積における前記流体の熱容量であり、
    αpcは、PとPとの間の最大限許容できる比を表す臨界圧力比であり、前記N個の臨界ノズルの各々を横切る前記流体の流れは実質的に一定のままであり、前記チャンバ内の圧力のいかなる変動にも実質的に影響されない、請求項1に記載の質量流量検証器。
  13. 前記コントローラが、前記下流バルブ、前記上流バルブ、前記圧力センサおよび前記温度センサを制御するようにさらに構成されており、
    前記コントローラが、前記下流バルブが閉じられた後に前記チャンバ内の前記流体圧力の上昇率を測定し、該測定された上昇率を用いて、前記デバイスから前記チャンバへ流れ込む前記流体の流量を計算し、それによって、前記デバイスによる測定値を検証するようにさらに構成される、請求項7に記載の質量流量検証器。
  14. 前記i番目の臨界流ノズルにおける前記臨界流時間tcf,iが、以下の式によって与えられるように、前記下流バルブが閉じられる時点と、PとPとの間の比が前記臨界圧力比限界αpcを超える時点との間と定義され、
    Figure 2011515660
    式中、
    は、前記質量流量検証器における前記チャンバ体積であり、
    p0は、前記下流バルブが閉じられる前の時点における前記ノズルの前記上流と前記下流との間の初期圧力比であり、
    は、前記i番目(i=1…N)の臨界流ノズルにおける吐出係数であり、
    (i=1…N)は、前記i番目のノズルにおける該ノズルののど部の断面積であり、
    (M,γ,T)は、以下に定義される気体物性の関数であり、
    Figure 2011515660
    式中、
    Mは、前記流体の分子量であり、
    Rは、一般気体定数であり、
    Tは、流体温度であり、
    γは、前記流体の比熱比である、請求項13に記載の質量流量検証器。
  15. 前記コントローラによる前記i番目の臨界流ノズルの起動時、前記圧力センサおよび前記温度センサが、前記i番目の臨界流ノズルにおける前記臨界流時間t cf内に測定するように設定され、それによって、前記質量流量検証器による流量検証が、前記変動するチャンバ圧力および前記質量流量検証器と前記DUTとの間の前記外部体積によって実質的に影響されない、請求項14に記載の質量流量検証器。
  16. 前記i番目の臨界流ノズル(i=1…N)の起動時に、前記コントローラが、
    a)前記ホストコントローラまたは前記ユーザから受信した前記所望の流量検証範囲および前記流体の種類に基づいて前記下流バルブを開き、前記i番目の上流ノズルを起動し、
    b)前記ホストコントローラまたは前記ユーザによる前記DUTのための流量設定値を与え、
    c)前記チャンバ内の圧力が定常状態に達し、安定するまで待ち、
    d)流量検証計算のために、前記チャンバ内における前記流体の圧力および温度を記録し始め、
    e)前記下流バルブを閉じて、それによって前記チャンバ内の圧力が上昇するようにし、
    f)流量検証のために、前記i番目の臨界流ノズルにおける前記臨界流時間tcf,iよりも短い時間において、前記チャンバ内の前記流体の圧力および温度を計測し続け、
    g)前記下流バルブが閉じられた時点から計測された臨界時間内に、前記下流バルブを開き、
    h)以下の式を用いて、前記チャンバに流れ込む前記流体の流量を計算することによって、前記デバイスの測定値を検証するように構成され、
    Figure 2011515660
    式中、
    は、前記質量流量検証器における前記チャンバ体積であり、
    stpは、273.15Kである標準ガス温度であり、
    stpは、1.01325e5Pである標準ガス圧力であり、
    は、SCCM単位の場合、約6×10、SLM単位の場合、約6×10であり、
    Pは、前記圧力センサによって測定される前記流体の圧力であり、
    Tは、前記温度センサによって測定される前記流体の温度である、請求項14に記載の質量流量検証器。
  17. 前記デバイスが、質量流量メータ、質量流量コントローラ、および流量比コントローラのいずれかを備える、請求項1に記載の質量流量検証器。
  18. デバイスによる流体の流れの測定値を検証する方法であって、
    質量流量検証器内のチャンバと前記デバイスとの間の前記流体の流路に沿って、複数Nの臨界流ノズルを配置するステップと、
    前記i番目のノズルに対して定義された臨界流時間tcf,i(i=1…N)中に、前記i番目のノズルを横切る前記流体の流れ、および前記i番目のノズルの上流の前記流体圧力を実質的に一定に保持し、前記チャンバ内の圧力の上昇に実質的に影響されないように、前記N個の臨界流ノズルのi番目の1つ(i=1…N)を起動するステップと、
    前記チャンバの上流の入口バルブおよび前記チャンバの下流の出口バルブが開かれている間に、前記流体が流路に沿って前記デバイスから前記i番目の流入口を通って前記チャンバに流れ込むようにするステップと、
    前記チャンバ内に流れ込む前記流体の流量、および前記チャンバ内の前記流体圧力を定常状態に達するようにするステップと、
    前記流体圧力が前記チャンバ内で上昇し始めるように、前記チャンバの流出口の下流のバルブを閉じるステップと、
    前記臨界流時間tcf,i内に流体圧力および流体温度の測定値を用いて、前記チャンバ内の前記流体圧力の上昇率を測定し、該測定された圧力の上昇率を用いて、前記流体温度の測定値と共に、前記流体の流量を計算するステップと、を含む、方法。
  19. 前記N個の臨界流ノズルの各々は、臨界流時間tcf,i(i=1…N)中に臨界流条件が満たされるように、該ノズルにおける臨界流時間tcf,i(i=1…N)中に、前記i番目のノズルにおいて該ノズルを通る流体の流れを制限するように構成および配設される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記流体の流量は以下の式を用いて計算され、
    Figure 2011515660
    式中、PおよびTは、前記変動するチャンバ圧力が前記DUTの前記下流圧力に影響を及ぼさないような前記臨界流時間内における検証時間中に、前記圧力センサおよび前記温度センサによって測定される、請求項18に記載の方法。
  21. 前記流体の流量についての流量測定デバイスによる測定値を検証する質量流量検証器における精度および使用可能な流量範囲を増大する方法であって、該質量流量検証器は、前記流量測定デバイスからの前記流体の流れを受け入れるように構成されるチャンバと、該チャンバ内の前記流体圧力を測定するように構成される圧力センサと、該チャンバ内の前記流体温度を測定するように構成される温度センサとを備えており、該方法は、
    前記流量測定デバイスと前記チャンバとの間に複数Nの臨界流ノズルを配設するステップと、
    対応する上流バルブを開き、他の全ての上流バルブを閉じることによって、N個の臨界流ノズルの1つを選択的に起動するステップと、を含む、方法。
  22. 前記所望の流量検証範囲、前記流体の種類、およびMFVの流入圧力の最大値要件に基づいて、前記臨界流ノズルのための最適なオリフィスサイズを選択するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
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