JP2011513486A - 液相アルキル化のための方法 - Google Patents

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Abstract

芳香族基質の液−相アルキル化のための方法を開示する。反応領域は、希土類金属イオンを含むことにより改質された第1触媒を含有する少なくとも1つの触媒床を有する。
【選択図】 図1

Description

発明の背景
発明の分野
本発明は一般的に、エチルベンゼン及びスチレンのような生成物の製造のための芳香族化合物のアルキル化法に関する。
関連技術の記述
スチレンは、今日のプラスチックの多くの製造において用いられる重要なモノマーである。スチレンは通常エチルベンゼンを製造し、次いでそれを脱水素してスチレンを製造することにより生産される。エチルベンゼンは、典型的には固定床又は接触蒸留法におけるベンゼンのアルキル化を含む1つもしくはそれより多い芳香族転換法により形成される。
固定床触媒を用いる芳香族転換法は、化学処理産業において周知である。これらの反応には、エチルベンゼンのようなアルキル芳香族化合物の製造のためのベンゼンのような芳香族化合物のアルキル化ならびにまたポリアルキルベンゼンのモノアルキルベンゼンへのアルキル交換が含まれる。一般にそのような触媒は、モレキュラーシーブ触媒、例えばゼオライトY又はゼオライトベータ触媒から選ばれる。
液相アルキル化法の場合、反応器に供給されるアルケン、例えばエチレンは、液相アルキル化触媒の失活を最少にするために、芳香族化合物、例えばベンゼン中に完全に溶解されなければならない。典型的には、アルケンの溶解を助長して気相アルケンを最少にするために、大過剰の芳香族化合物が用いられる。存在する気相アルケンは、典型的な液相アルキル化触媒を急速に失活させ得る。失活した触媒は触媒の再生又は置き換えの必要を生じ、それは系の転換率、生産性及び有効性の低下に導き得る。さらに、系の運転における撹乱(operational upsets to the system)は、反応器中の気相アルケンの遊離を導く可能性があり(can lead to gas phase alkene excursions)、それも触媒の失活を加速させ得る。撹乱(upsets)は触媒の実施期間(run length)、触媒活性を低下させ得、触媒の再生の間の時間を短縮し、さらに転換率、生産性及び有効性を低下させ得る。
上記の観点から、存在し得る気相アルケンに対してより耐性である液相アルキル化によるエチルベンゼンのようなアルキル芳香族化合物の製造方法を得ることが望ましい。
概略
本発明は、1つもしくはそれより多い触媒床を有するアルキル化反応領域を与えることによる、芳香族基質の液相アルキル化のための方法を開示する。少なくとも1つの触媒床は、希土類金属イオンを含むことにより改質された第1触媒を含有する。芳香族基質及びアルキル化剤の供給原料はアルキル化反応領域に導入される。アルキル化反応領域は、芳香族基質が液相にあり、芳香族基質の液相アルキル化を引き起こしてアルキル化生成物を製造するような温度及び圧力条件で運転され、アルキル化生成物は次いでアルキル化反応領域から取り出される。
芳香族基質はベンゼンであることができ、アルキル化剤はエチル化剤又はプロピル化剤、例えばエチレンであることができる。第1触媒を含有する少なくとも1つの触媒床を、存在し得る他の触媒に先立ってアルキル化剤に接触させるように置くことができる。希土
類金属イオンはセリウムであることができ、約0.01重量%〜5.0重量%の範囲内のセリウム含有率を有することができる。第1触媒は、セリウム改質ゼオライト触媒であることができ、セリウム改質ゼオライトベータ触媒であることができる。1つもしくはそれより多い触媒床はさらに、第1触媒より低い希土類金属イオン含有率を有する第2触媒を含有することができ、第2触媒は触媒床内で、アルキル化剤が第1触媒に接触した後にアルキル化剤に接触するように置かれる。第1触媒は、第2触媒より高い気相エチレンに対する耐性を有することができる。触媒床は、分離して装填された触媒を含んでなることができ、ここで第1触媒は、アルキル化剤が第2触媒に接触する前にアルキル化剤の供給流に接触する。供給原料は、触媒床当たりに1:1〜100:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比を有することができる。あるいはまた、供給原料は、触媒床当たりに2:1〜75:1の範囲内又は5:1〜20:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比を有することができ、最小限界は、発熱反応の温度を抑制する反応器の能力により設定される。芳香族基質はベンゼンを含んでなることができ、アルキル化剤はエチレンを含んでなることができ、エチレンは95%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられることができる。別の態様は、90%より低いエタン含有率又は85%より低いエタン含有率又は80%より低いエタン含有率又は20%〜80%のエタン含有率を有する希釈エチレン流を用いることができる。
エチルベンゼン及びポリアルキル化芳香族成分の分離及び回収のために、アルキル化生成物を中間回収領域に供給することができ、ポリアルキル化芳香族成分の少なくとも一部はアルキル交換反応領域に供給される。ベンゼンをアルキル交換反応領域に供給することができ、それはポリアルキル化芳香族画分の不均化を引き起こして、エチルベンゼン含有率が向上し且つポリアルキル化芳香族成分含有率が低下した生成物を生ずるような温度及び圧力条件下で運転される。アルキル交換領域はアルキル交換触媒を含有することができ、アルキル交換領域中で供給原料を液相に保つような温度及び圧力条件下で運転される。希土類金属イオンを含むことにより改質された第1触媒をアルキル交換触媒として用いることもできる。
さらに別の態様は、複数の直列に接続された触媒床を有し、少なくとも1つの触媒床は非改質触媒より高い気相エチレンに対する耐性を有するセリウム改質ゼオライトである第1アルキル化触媒を含有する、多段階アルキル化反応領域を含む、ベンゼンの液相アルキル化のための方法である。供給原料は、触媒床当たりに1:1〜100:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比を有することができる。あるいはまた、供給原料は、触媒床当たりに2:1〜75:1の範囲内又は5:1〜20:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比を有することができる。エチレンは95%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられることができる。別の態様は、90%より低いエタン含有率又は85%より低いエタン含有率又は80%より低いエタン含有率又は20%〜80%のエタン含有率を有する希釈エチレン流を用いることができる。アルキル化多段階反応領域は、ベンゼンが液相にあり、アルキル化触媒の存在下でベンゼンの液相アルキル化を引き起こして、エチルベンゼン及び1種もしくはそれより多いポリアルキル化芳香族成分を含んでなるアルキル化生成物を与えるような温度及び圧力条件下で運転される。アルキル化生成物は多段階アルキル化反応領域から取り出され、アルキル化生成物からのエチルベンゼンの分離及び回収のため、ならびにポリアルキル化芳香族成分の分離及び回収のために回収領域に供給される。触媒床は第2アルキル化触媒を含有することができ、ここで第1アルキル化触媒は第2アルキル化触媒より高い気相エチレンに対する耐性を有し、且つエチレンの供給原料は第2アルキル化触媒に接触する前に第1アルキル化触媒に接触する。多段階アルキル化反応領域は、2〜10個の触媒床を有することができる。第1アルキル化触媒はセリウム改質ゼオライト触媒であることができる。第1触媒は、約0.01重量%〜5.0重量%の範囲内のセリウム含有率を有することができる。
ポリアルキル化芳香族成分の少なくとも一部及びベンゼンをアルキル交換反応領域に供給することができ、それはポリアルキル化芳香族成分の不均化を引き起こして、エチルベンゼン含有率が向上し且つポリアルキル化芳香族成分含有率が低下した生成物を生ずるような温度及び圧力条件下で運転される。アルキル交換領域はアルキル交換触媒を含有することができ、アルキル交換領域中で供給原料を液相に保つのに有効な温度及び圧力条件下で運転される。アルキル交換触媒は、セリウム改質ゼオライトであることもできる。
エチルベンゼンの製造方法を示す略ブロック図。 本発明の態様に従うアルキル化触媒が充填された直列に接続された触媒床を有する多−段階アルキル化反応器の例。
詳細な記述
エチレン、プロピレン及び他の軽質アルケン(light alkene)供給流を用いるベンゼン及び他の芳香族供給流のアルキル化のために、本発明の態様を用いることができる。典型的には、アルキル化反応器はモノアルキル及びポリアルキルベゼンの混合物を与え、アルキル交換反応器と一緒に運転されるであろう。典型的には、アルキル化及びアルキル交換反応段階の間に、アルキル化生成物からのエチルベンゼンの分離及び回収のため、ならびにポリアルキル化芳香族成分の分離及び回収のための分離段階がある。ポリアルキル化芳香族成分の少なくとも一部をアルキル交換反応領域に供給することができる。アルキル交換反応領域にベンゼンが供給され、アルキル交換反応領域は、ポリアルキル化芳香族画分の不均化を引き起こして、エチルベンゼン含有率を向上させ且つポリアルキル化含有率を低下させるような温度及び圧力条件下で運転される。アルキル交換反応を行うために、アルキル交換領域はモレキュラーシーブ触媒を含有することができ、アルキル交換領域中で供給原料を液相に保つのに有効な温度及び圧力下で運転されることができる。次いでエチルベンゼンを脱水素プロセスに送り、スチレンを製造することができる。
アルケンを用いるベンゼンの液相アルキル化は、既知の触媒を用いて行われ得る。一般にゼオライト及び形状選択的シリカ−アルミナ触媒が用いられる。液相プロセスは、アルキル化領域内で供給原料を液相に保つのに有効な温度及び圧力条件下で実施される。この液相プロセスに関する1つの側面は、反応器に供給されるアルケンがベンゼン中に完全に溶解されるような反応器条件の選択である。これは通常、圧力及びベンゼン/アルケン比の調節により行われ、この場合アルケンは制限試薬(limiting reagent)である。アルケン溶解を助長し、気相アルケンを最少にするために、典型的には大過剰のベンゼンが用いられる。存在する気相アルケンは、典型的な液相アルキル化触媒の急速な失活を引き起こし得る。失活した触媒は触媒の再生又は置き換えの必要を生じ、それは系の転換率、生産性及び有効性の低下に導き得る。不慮の系の撹乱(unplanned
upsets to the system)は、反応器中の気相アルケンの遊離を導く可能性があり、それは触媒の失活を加速させ得る。撹乱は触媒の実施期間、触媒活性を低下させ得、触媒の再生の間の時間を短縮し、さらに転換率、生産性及び有効性を低下させ得る。
液相アルキル化反応におけるアルキル化剤供給原料として高純度のアルケンが望ましいかも知れないが、それらは比較的希釈されたアルケン供給材料と存在することもできる。固定床触媒を使用するエチレンを用いるベンゼンのアルキル化において、約20モル%のように低い純度を有するエチレンを用いることができる。1つの態様において、エチレンはアルケン供給材料中で100%〜20%の範囲であることができる。別の態様において
、エチレンはアルケン供給材料中で95%〜20%の範囲であることができる。別の態様において、エチレンはアルケン供給材料中で90%〜20%の範囲であることができる。別の態様において、エチレンはアルケン供給材料中で85%〜20%の範囲であることができる。典型的には、残るアルキル化剤供給原料は主にエタンであろう。本発明は、比較的希釈されたアルケン供給材料を用いる液相アルキル化反応において有益であり得る。
本発明の1つの態様は、アルキル化触媒が充填された複数の直列に接続された触媒床を有する多段階アルキル化反応器の使用を含むことができる。触媒床の1つもしくはそれより多くは、下記で「より高い耐性の触媒」と呼ばれる比較的高い気相アルケンに対する耐性を有するアルキル化触媒を含有する。さらに、アルキル化反応器の1つもしくはそれより多い触媒床は、「より低い耐性の触媒」と呼ばれる比較的低い気相アルケンに対する耐性を有するアルキル化触媒を含有することができる。より低い耐性の触媒は、より高い耐性の触媒の下流に置かれ、そこでは気相アルケンに遭遇する機会は最小化される。
触媒の実際の位置は、反応器が上部供給反応器であるか、下部供給反応器であるか、水平反応器であるかに依存して変わり得る。本明細書に示される実施例において、用いられる反応器は下部供給反応器であり、より高い耐性の触媒が床のより下部に置かれ、より低い耐性の触媒がより上部に置かれる。典型的な液相アルキル化反応器において、例えば反応器中に2〜10個の触媒床があり得る。1つの態様において、より低い耐性の触媒と対立するものとしてより大きな割合のより低い耐性の触媒が反応領域内で用いられる。かくして1つの態様において、それぞれの床の間の位置でアルケンを添加しないならば、多床反応器系の1つもしくは2つの床のみにより高い耐性の触媒を充填し、残りの床により低い耐性の触媒の1つもしくはそれより多くの床を充填することができる。あるいはまた、それぞれの床の間の位置でアルケンが添加される場合、各床はより高い耐性の触媒の下部層を有し、各床の上部層はより低い耐性の触媒であることができる。多床反応器系は多数の床を有する1つの反応器を含んでなることができるか、あるいはそうではなくて、それぞれ1つもしくはそれより多い床を有する複数の反応器を含んでなることができる。触媒床は、触媒層の間に不活性材料を置くことによるような、当該技術分野において既知の実際の又は機能的な障壁により分離されていることができる。あるいはまた、触媒床は互いに隣接して置かれることができる。例えば下部供給反応器において、より高い耐性の触媒を1番目に装填し、2番目により低い耐性の触媒をより高い耐性の触媒の上に装填することができ、それによって、より高い耐性の触媒はより低い耐性の触媒に先立って反応物に接触する。触媒が互いに隣接する別の態様において、2つの床の界面において2つの触媒がある程度まで混合されていることができる。
1つの態様において、より低い耐性の触媒は高い活性を有するが、気相アルケンの存在下でより高い耐性の触媒より急速に失活する傾向があり得る。初期の段階で用いられるより高い耐性の触媒は、供給材料中に存在する気相アルケンと反応し得る。より高い耐性の触媒は、存在する気相アルケンの量をより低い耐性の触媒との接触の前に減少させるか、又は除去する程度まで気相アルケンと反応し得る。この、より低い耐性の触媒と接触する時に存在する気相アルケンの量の減少は、より低い耐性の触媒の有効寿命を延長することができ、且つ触媒再生又は置き換えの頻度を減らすことができる。反応の初期の段階におけるより高い耐性の触媒の使用は、反応器に供給されるアルケンがベンゼン中に完全に溶解される必要性を低下させることができる。初期の段階に用いられるより高い耐性の触媒は、十分なアルケンと反応できるので、より低い耐性の触媒層に達する前に気相アルケンを除去でき、完全に溶解されたアルケンを要求するベンゼン/アルケンへの束縛は取り除かれ得る。従って、アルケンの完全な溶解を助長して気相アルケンを最少にするための大過剰のベンゼンは必要でない。典型的な触媒床当たりのベンゼン:アルケンの重量比が1:1〜100:1で変わり得る場合、1つの態様において、触媒床当たりの比は15:1〜70:1の範囲であることができ、別の態様において、触媒床当たりの比は2:1〜7
5:1又は5:1〜50:1又は5:1〜20:1又は約10:1〜25:1の範囲であることができる。
大過剰のベンゼンの必要性なく、アルケンの溶解性のみではなくて転換率、生産性又は有効性の考慮に基づいてベンゼン/アルケン比を調節することができる。与えられるベンゼン流量に関し、溶解されたアルケンの束縛が実施される場合より多くのアルキル化生成物を、反応器当たりに製造することができる。反応器中における不慮の撹乱の故に存在する気相アルケンは、より低い耐性の触媒の失活の加速を引き起こさずに、より高い耐性の触媒の反応により除去され得るので、信頼性を向上させることができる。向上した信頼性は、触媒の再生の間の時間が延長され、実施期間が増加すると、生産性を向上させることができる。従って、この多触媒系は、転換率、生産性及び信頼性において利点を有し得る。
より低い耐性の触媒は、より高い耐性の触媒と同じか、それより高いか又はそれより低い活性を有することができる。より低い耐性の触媒は、より高い耐性の触媒と同じか、それより高いか又はそれより低い他の因子、例えば経費、耐久性、再生の容易さなども有することができ、それらは全体的な触媒系の設計を決定する時に考慮され得る。
本発明の1つの態様は、分離して装填された触媒を有する多段階アルキル化反応器を含むシステムであり、反応器の出口(output)は分離システムに連結され、それは続いてアルキル交換反応器にポリエチルベンゼン供給材料を供給する。分離システムは多段階分離システム、例えば4段階分離システムであることができる。1つもしくはそれより多い並列アルキル化反応器及び並列アルキル交換反応器を用いることができる。並列アルキル化反応器をアルキル化様式で同時に運転しながら、周期的に1つの反応器の流れをオフの状態とし、残る単数もしくは複数の反応器の流れをオンの状態として供給材料を完全に供給することができる。下記に例示し、記述する1つの態様において、2つの並列反応器が用いられるが、3つもしくはそれより多くの反応器を並列に用いることもできる。アルキル交換反応器のために類似の配置を用いることができる。結果は、残りのアルキル化及び/又はアルキル交換反応器の継続的な運転の間に、流れがオフの状態とされる1つの反応器において触媒の再生を同時に行うことができることである。2つの並列反応器が用いられる場合、この運転様式は、供給材料の同じ流量に関して、2つの異なる空間速度における反応器の運転を生ずることができ、1つの反応器の再生の間、残る流れがオンの状態の反応器の空間速度は両並列反応器が運転されている場合の空間速度の大体2倍であり得ることがわかる。
気相、液相又は超臨界相におけるベンゼンを用いて、アルキル化反応を行うことができる。一般に本発明は、液相又は超臨界相におけるベンゼン又は他の芳香族基質のアルキル化を行う条件下で実施されるであろう。モレキュラーシーブ触媒、例えば通常のもしくは改質されたゼオライト触媒が一般に用いられる。アルキル化反応領域及びアルキル交換反応領域において用いられるモレキュラーシーブ触媒は、同じかもしくは異なることができるが、典型的には異なるモレキュラーシーブが用いられるであろう。
本発明の1つの態様において、並列アルキル化反応器及び並列アルキル交換反応器を用いることができる。これは、並列アルキル化反応器をアルキル化様式で同時に運転しながら、周期的に1つの反応器の流れをオフの状態とし、供給流を完全に流れをオンの状態とした反応器に供給する運転様式を生ずる。下記に記述する態様において、2つの並列反応器が用いられるが、3つもしくはそれより多い反応器を同様に並列に使用できることが認識されるべきである。アルキル交換反応器のために類似の配置を用いることができる。結果は、残るアルキル化反応器及び/又はアルキル交換反応器の運転の間に、1つの反応器において同時に触媒再生又は他のメンテナンス運転を行い得ることである。2つの並列反
応器が用いられると仮定すると、この運転様式は、供給流の同じ流量に関して、2つの異なる空間速度における反応器の運転を生じ、反応器の再生又はメンテナンスの間の空間速度は両並列反応器が運転されている場合の空間速度の大体2倍であることがわかる。
液相アルキル化
液相アルキル化を用いる場合、反応領域は、本質的に液相状態を保つような温度及び圧力で運転される。エチルベンゼンの製造の場合、反応温度は約40℃〜320℃の範囲であることができ、一般に約120℃〜280℃である。1つの態様において、約190℃〜240℃の反応温度を用いることができる。アルキル化圧は一般に、液相を保証するのに十分に高く保たれる。1つの態様において、圧力は300psig〜1600psigの範囲であることができ、別の態様において、圧力は500psig〜800psigの範囲であることができる。本質的に液相条件下で運転される場合、一般に逆流反応器様式が用いられるであろう。流量は、典型的には床当たり約1〜100hr−1の液時間空間速度(LHSV)の範囲であることができ、芳香族基質:アルキル化剤のモル比は約1:1〜100:1の範囲であることができる。1つの態様において、床当たり約10〜70hr−1のLHSV及び約2:1〜50:1の芳香族基質:アルキル化剤のモル比が用いられる。他の態様において、床当たり約10〜70hr−1のLHSV及び約5:1〜20:1の芳香族基質:アルキル化剤のモル比が用いられる。
臨界相アルキル化
超臨界条件下、すなわちベンゼンの臨界圧及び臨界温度より高い圧力及び温度条件下でアルキル化反応を行うことができる。特定的に、アルキル化領域中の温度は280℃におけるかもしくはそれより高く、圧力は550psigにおけるかもしくはそれより高い。好ましくは、アルキル化反応器中の温度は、290℃〜350℃の範囲内の平均値に保たれ、550psig〜1600psigの範囲内、そしていくつかの態様では550psig〜850psigの範囲内の圧力に保たれるであろう。臨界相アルキル化反応は発熱性であり、反応器の入口から出口に正の温度勾配を有し、典型的には約20〜40℃の範囲内の温度上昇を与える。超臨界領域におけるアルキル化反応領域の運転は、ベンゼン:エチレンのモル比を比較的低いレベルに、通常アルキル化反応領域が液相条件下で運転される場合に遭遇するベンゼン:エチレンのモル比より幾分か低いレベルに保つことができる条件下でアルキル化領域を運転することを可能にする。ほとんどの場合、ベンゼン:エチレンのモル比は1:1〜15:1の範囲内であろう。いくつかの場合、運転のサイクルの少なくとも一部の間、ベンゼン:エチレンのモル比はこの範囲の下端内のレベルに、特定的には10:1より低いベンゼン:エチレンのモル比に保たれるであろう。3:1〜8:1の範囲内のベンゼン:エチレンのモル比を用いることができる。
超臨界相における運転は、ベンゼン:エチレン比を低く保つことができる気相アルキル化の利点を与えるが、副生成物の生成、特に気−相アルキル化において多くの場合に遭遇するキシレン生成と関連する問題を起こさない。同時に、超臨界相における運転は、副生成物の収量を低いレベルに抑制することができる液相アルキル化が受ける利点を与える。超臨界相における運転に必要な圧力は、液相アルキル化において必要な圧力より実質的に高くなく、超臨界相におけるベンゼンは、モレキュラーシーブ触媒を清浄に保ち且つ触媒の失活に導くコーキングを妨害する溶媒として機能する。アルキル化反応領域を超臨界条件下で、且つ副生成物の製造を妨害しながらジエチルベンゼン製造を増強する空間速度を与える供給速度で運転することができる。1つの態様において、ベンゼン供給流の空間速度は床当たり10〜150hr−1のLHSVの範囲内、そしていくつかの態様において床当たり40〜100hr−1のLHSVの範囲内であろう。
液相アルキル交換
アルキル交換反応器は、ベンゼン及びアルキル化されたベンゼンをアルキル交換反応器
内で液相に保つ条件下で運転される。典型的には、約65℃〜300℃のアルキル交換反応器内の平均温度及び約300psig〜約1200psigの平均圧力を与えるように、アルキル交換反応器を運転することができる。1つの態様において、圧力は500psig〜800psigの範囲であることができ、別の態様において、圧力は550psig〜650psigの範囲であることができる。ベンゼン:ポリエチルベンゼンの重量比は、一般に少なくとも1:1であり、いくつかの態様においてそれは1:1〜10:1の範囲内、そして別の態様においてそれは1:1〜5:1の範囲であろう。
本発明の多段階反応領域の1つの態様において、ベンゼン−エチレン混合物は、反応領域の初期段階に、ならびにまた触媒床のいくつかの連続的な段階の間に、第1触媒床に導入される。示される実施例において、エチレンを反応器の最上もしくは上端(top or upper end)に置かれる第1触媒床に、ベンゼンと一緒に供給することができる。さらに、連続する触媒床の間でエチレン及び/又はベンゼンの段階間注入を加えることができる。アルキル化反応器は、ベンゼン対エチレン重量比が反応器の長さ方向に沿って一定に保たれるか、増加するか、または減少するように運転される。何故なら、エチレンが段階間で注入され、続いてベンゼンがエチルベンゼンおよびポリエチルベンゼンへとアルキル化されるからである。各触媒床において反応物が最初により高い耐性の触媒に接触するような分離して装填された触媒を用いると、気相エチレンはより低い耐性の触媒の接触に先立ってより高い耐性の触媒により反応し、それにより、より低い耐性の触媒の失活の発生を減少させるであろう。分離装填触媒反応器の有効性の向上の故に、アルキル化供給原料は、単一の触媒を用いる場合よりずっと低いベンゼン−対−エチレン重量比を有することができる。
図1は、液相アルキル化プロセス100の態様の略ブロック図を示す。プロセス100は一般に、アルキル化システム104(例えば第1アルキル化システム)に投入流102(例えば第1投入流)を供給することを含む。アルキル化システム104は一般に、投入流102をアルキル化触媒と接触させ、アルキル化排出流106(例えば第1排出流)を形成するように適応させられる。1つの態様において、投入流102はベンゼン及びエチレンを含むことができ、アルキル化排出流106はエチルベンゼンを含むことができる。アルキル化排出流106の少なくとも一部は、第1分離システム108に通過する。頂部画分(overhead fraction)は一般にライン110を介して第1分離システム108から回収されるが、底部画分の少なくとも一部はライン112を介して第2分離システム114に通過する。
頂部画分は一般にライン116を介して第2分離システム114から回収されるが、底部画分の少なくとも一部はライン118を介して第3分離システム115に通過する。底部画分は一般にライン119を介して第3分離システム115から回収されるが、頂部画分の少なくとも一部はライン120を介してアルキル交換システム121に通過する。頂部画分120に加え、追加の芳香族化合物のような追加の投入材料が一般にライン122を介してアルキル交換システム121に供給され、アルキル交換触媒に接触し、アルキル交換排出物124を形成する。
プロセス100を、装置最適化に基づいて修正することができる。熱交換機のような追加のプロセス装置を本発明に記載するプロセス内で用いることができ、そのような配置は一般に当該技術分野における熟練者に既知である。さらに、第1成分に関して下記に記載するが、下記に示される流は当該技術分野における熟練者に既知のいずれの追加の成分も含むことができる。
投入流102は一般に芳香族化合物及びアルキル化剤を含む。芳香族化合物は、例えば
ベンゼン、トルエン、キシレン又はナフタレンを含むことができる。
アルキル化剤は、例えばオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、ブテン及びペンテン)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びペンタノール)、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド及びn−バレルアルデヒド)ならびに/あるいはアルキルハライド(例えば塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル及び塩化ペンチル)を含むことができる。1つの態様において、アルキル化剤は、例えばエチレン、プロピレン、ブテン及び/又はペンテンの混合物のような軽質オレフィンの混合物を含む。
1つの態様において、アルキル化システム104は複数の多段階反応容器(示されていない)を含むことができる。1つの態様において、複数の多段階反応容器は複数の触媒床を含み、そのような床はアルキル化触媒(示されていない)を含有する。そのような反応容器は、典型的には液相におけるアルキル化反応を保持するのに十分な反応器温度及び圧力で運転される液相反応器である。そのような温度及び圧力は、一般に個々のプロセスパラメーターにより決定される。条件は液相におけるアルキル化反応を保持するようなものであるが、いくつかの場合、アルキル化剤の一部は気相中に留まり得、例えばベンゼン/エチレンアルキル化反応において、エチレンの一部は気相中に留まり得る。他の場合、プラントの撹乱は、存在するエチレン又は他のアルケンの一部が芳香族化合物から溶液を出て、気相中に存在するのを許すようなやり方でプロセスパラメーターを変え得る。特定の態様において、ベンゼンはライン110を介して回収され、アルキル化システム104への投入材料としてリサイクルされるが(示されていない)、エチルベンゼン及び/又はポリアルキル化ベンゼンはライン112を介して回収される。
アルキル化排出物106は一般に第2の芳香族化合物を含む。1つの態様において、第2の芳香族化合物は例えばエチルベンゼンを含む。第1分離システム108は、芳香族化合物の分離のための当該技術分野における熟練者に既知のいずれの方法又は方法の組み合わせも含むことができる。例えば第1分離システム108は、直列又は並列における1つもしくはそれより多い蒸留カラム(示されていない)を含むことができる。そのようなカラムの数は、アルキル化排出物106の体積に依存し得る。
第1分離システム108からの頂部画分110は一般に、例えばベンゼンのような第1の芳香族化合物を含む。第1の芳香族化合物をアルキル化システム104にリサイクルすることができるか(示されていない)、及び/又はアルキル交換システム121に供給することができる(示されていない)。第1分離システム108からの底部画分112は一般に、例えばエチルベンゼンのような第2の芳香族化合物を含む。
第2分離システム114は、当該技術分野における熟練者に既知のいずれの方法も、例えば直列又は並列における1つもしくはそれより多い蒸留カラム(示されていない)を含むことができる。第2分離システム114からの頂部画分116は一般にエチルベンゼンのような第2の芳香族化合物を含み、それを回収して例えばスチレンの製造のような適した目的のために用いることができる。第2分離システム114からの底部画分118は一般に、例えばポリエチルベンゼンのようなより重い芳香族化合物を含む。
第3分離システム115は一般に、当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法、例えば直列又は並列における1つもしくはそれより多い蒸留カラム(示されていない)を含む。特定の態様において、第3分離システム115からの頂部画分120は、例えばポリエチルベンゼンを含むことができ、それをアルキル交換システム121に送ることができる。底部画分119(例えば重化合物(heavies))を、さらなる処理及び回収のために第3分離システム115から回収することができる(示されていない)。
アルキル交換システム121は一般に1つもしくはそれより多い容器を含み、その中にアルキル交換触媒が配置されている。アルキル交換反応容器は、当該技術分野における熟練者に既知のいずれの反応容器、反応容器の組み合わせ及び/又は複数の反応容器(並列又は直列における)を含むこともできる。1つの態様において、アルキル交換システム121は液相条件下で運転される。アルキル交換排出物124は一般に、例えばエチルベンゼンのような第2の芳香族化合物を含む。アルキル交換排出物124を、エチルベンゼンのような第2の芳香族化合物の分離及び回収のために、第2の分離システム114に送ることができる。
特定の態様において、投入流102はベンゼン及びエチレンを含む。多様な供給源から、例えば新しいベンゼン源及び/又は多様なリサイクル源からベンゼンを供給することができる。
前に議論した通り、アルキル化システム104は一般にアルキル化触媒を含む。投入流102、例えばベンゼン/エチレンは、アルキル化反応の間にアルキル化触媒に接触し、アルキル化排出物106、例えばエチルベンゼンを生成する。不運なことに、アルキル化触媒システムは一般に、再生又は置き換えを必要とする失活を経験する。失活は複数の因子から生ずる。それらの因子の1つは、投入流102中に存在する気相アルケンがアルキル化触媒の活性を低下させ得ることである。
1つの態様において、アルキル化システム104は多数の反応器(示されていない)を有することができ、反応器の1つもしくはそれより多くはより高い耐性の触媒を用いることができる。より高い耐性の触媒を含有する反応器は、典型的には気相アルケンが存在し得る、例えばアルケンがアルキル化システム104に加えられる反応物に接触するように置かれるであろう。さらに、反応器の1つもしくはそれより多くはより低い耐性の触媒を含有することができ、そこには、より高い耐性の触媒から下流のように、気相アルケンは存在しないであろう。
本発明の1つの態様は、アルキル化触媒が充填された複数の直列に接続された触媒床を有する多段階アルキル化反応器の使用を含むことができる。触媒床の1つもしくはそれより多くは、より高い耐性の触媒が充填されていることができる。より高い耐性の触媒を含有する単数もしくは複数の床は、典型的には気相アルケンが存在しそうな投入流102に最初に接触するように置かれるであろう。さらに、アルキル化反応器の1つもしくはそれより多い触媒床は、より低い耐性の触媒を含有することができる。より低い 耐性の触媒は、典型的には気相アルケンが存在しそうにないより高い耐性の触媒から下流に置かれるであろう。
多数の床を有するアルキル化システムの1つの態様を図2に示す。反応器200は、床A、B、C及びDと称される4つの直列に接続された触媒床を含んでなる。投入流202、例えばベンゼン/エチレンは反応器200の底に入り、順に触媒床A、B、C及びDと接触する。ライン20a、20b及び20cを介してエチレン供給流を供給し、エチレンの段階間注入を与えることもできる。二次ベンゼン供給ライン、それぞれ22a、22b及び22cを介してベンゼンを触媒段階間で供給することもできる。アルキル化排出流206は反応器200を出て、さらなる処理のために分離システムに進む。触媒床のそれぞれは、より高い耐性の触媒で全体的に充填されていることができるか、より高い耐性の触媒とより低い耐性の触媒の分離装填を有するか、あるいはより低い耐性の触媒で全体的に充填されていることができる。どの床がより高い耐性の触媒を使用するかは、少なくとも部分的に運転条件により決定され得る。例えばエチレン及びベンゼンの段階間注入の量は、触媒床のどれが気相エチレンに接触する高い可能性を有するかを決定し得る。例えばラ
イン20bを介して、その点における反応器内の組成及びライン22bを介して注入されるべきベンゼンの量に対して多量のエチレンが注入されるべき場合、床Cが気相エチレンと接触するかも知れない可能性は増加し、従ってより高い耐性の触媒の必要性が増す。1つの態様において、各触媒床の前にエチレンの段階間注入があり得、床のそれぞれはより低い耐性の触媒の接触の前に反応物に接触するであろうより高い耐性の触媒を少なくともいくらか含有することができる。
本発明の態様は、より高い耐性の触媒としてセリウム改質ゼオライト触媒を使用することができる。予測に反して、セリウム改質ゼオライト触媒は従来のゼオライト触媒の耐性より高い気相アルケン失活に対する耐性を有し得ることが見出された。別の態様において、他のアルキル化及び/又はアルキル交換触媒もそのようなセリウム改質触媒を使用することができる。1つの態様において、より高い耐性の触媒及びより低い耐性の触媒の両方が1種もしくはそれより多いセリウム改質触媒を含んでなることができる。希釈エチレンが用いられるか又はエチレン純度が約80%より低い態様において、用いられる触媒のすべてがセリウム改質ゼオライト触媒であるのが望ましいかも知れない。別の態様において、エチレンはアルケン供給材料中で95%〜20%の範囲であることができ、アルキル化触媒のすべてはセリウム改質ゼオライト触媒である。別の態様において、エチレンはアルケン供給材料中で90%〜20%の範囲であることができ、アルキル化触媒のすべてはセリウム改質ゼオライト触媒である。別の態様において、エチレンはアルケン供給材料中で85%〜20%の範囲であることができ、アルキル化触媒のすべてはセリウム改質ゼオライト触媒である。
1つの態様において、セリウム改質ゼオライト触媒(例えばセリウムベータ)はセリウム改質ゼオライトベータ触媒である。1つの側面において、セリウムベータ触媒はTotal Petrochemicalsにより開発されたセリウムベータ触媒を含み、それは予期に反して、以前のゼオライト触媒の耐性より高い気相アルケン失活に対する耐性を有することが見出され、それは米国特許出願第2007/0161836号明細書にさらに記載され、引用することにより全体が本明細書の内容となる。1つの態様において、セリウム改質ゼオライトベータ触媒は、液相又は臨界相アルキル化反応内で用いられる。
セリウム改質ゼオライトベータ触媒は、当該技術分野における熟練者に既知のいずれのゼオライト触媒からも形成され得る。例えばセリウムベータ触媒は、セリウムを含むことにより改質されたゼオライトベータを含むことができる。セリウムを用いるゼオライトベータ触媒のいずれの改質方法も用いることができる。例えば1つの態様において、アルキル金属ハライド及び鋳型有機剤(organic templating agent)を含む反応混合物を、反応混合物を結晶化させて例えばゼオライトベータを形成するのに十分な時間(例えば水熱温浸を介して約1日〜多数カ月)、穏やかに撹拌することにより、ゼオライトベータを形成することができる。アルキル金属ハライドは、例えばシリカ、アルミナ、ナトリウム又は他のアルキル金属の酸化物を含むことができる。水熱温浸は、例えば大気圧における水の沸点よりわずかに低温から、含まれる温度における水の蒸気圧に等しいかもしくはそれより高い圧力における約170℃の温度で行うことができる。
ゼオライトベータは、例えば約10〜約200又は約20〜約50のシリカ対アルミナモル比(SiO/Alとして表わされる)を有することができる。1つの態様において、ゼオライトベータは低いナトリウム含有率、例えばNaOとして約0.2重量%より低いか又は例えば約0.02重量%より低い含有率を有することができる。例えばイオン交換を介するような当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法により、ナトリウム含有率を低下させることができる。ゼオライトベータの生成は、さらに米国特許第3,308,069号明細書及び米国特許第4,642,226号明細書に記載されており、それらは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。
他の態様において、セリウム促進ゼオライトY触媒が用いられ得ることが意図されている。さらに、ゼオライトY触媒を、ゼオライトベータの改質と同じ方法でセリウムを用いて改質できることが意図されている。ゼオライトYの生成は米国特許第4,185,040号明細書に記載されており、それは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。1つの態様において、セリウム改質ゼオライトY触媒は液相アルキル交換反応内で用いられる。
1つの態様において、例えばランタン、セリウム、ネオジム又はプラセオジムのような希土類金属イオンを用いてゼオライト触媒を改質する。前に議論した通り、セリウムに基づくゼオライト触媒は、気相アルケン分解に対する耐性において、他のゼオライト触媒系を超える予測し得ない向上を示すことが見出された。しかしながら、希土類金属イオンに基づくゼオライト触媒系の酸性度を修正して、気相アルケン分解に対する耐性を強化できると思われる。そのような酸性度の修正は、例えばJ.Catal.205,2002年,58−66に記載されている方法を介して行われ得、それは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。
システム内の触媒の再生が望ましい場合、再生法は一般に失活した触媒を高温で処理することを含むが、再生は当該技術分野における熟練者に既知のいずれの再生法も含むことができる。反応器がオフ−ラインとされたら、その中に配置されている触媒をパージすることができる。流れがオフの状態とされた反応器のパージは、オフ−ライン反応器中の触媒を、例えば適した不活性ガス(例えば窒素)を含むことができるパージ流と接触させることにより、行われ得る。流れがオフの状態とされた反応器のパージ条件は一般に個々のプロセスパラメーターにより決定され、一般に当該技術分野における熟練者に既知である。
次いで触媒は再生を経ることができる。再生条件は、少なくとも部分的に触媒を再活性化するのに有効ないずれの条件であることもでき、当該技術分野における熟練者に既知である。例えば再生は、アルキル化触媒をある温度又は一系列の温度に、例えばパージ温度又はアルキル化反応温度より約50℃〜約400℃高い再生温度に加熱することを含むことができる。触媒が再生されたら、次いでその再生された触媒を有する反応器は、典型的には継続する製造のためにライン上に置かれる準備ができている。
本明細書で用いられる種々の用語を下記に示す。請求項中で用いられる用語が下記で定義されない限り、それは、印刷出版物及び発行された特許に反映される通り、関連する技術分野における人間がその用語に与えた最も広い定義を与えられるべきである。さらに、他に特定されなければ、本明細書に記載されるすべての化合物は置換されているかもしくは置換されていないことができ、化合物のリストはその誘導体を含む。
「活性」という用語は、標準的な条件の組において反応の時間当たり、プロセスで用いられる触媒の重量当たりに製造される生成物の重量を指す(例えば生成物のグラム/触媒のグラム/時)。
「転換率」という用語は、転換された投入材料のパーセンテージを指す。
「失活した触媒」という用語は、特定されるプロセスにおいてもはや有効でない十分な触媒活性を失ってしまった触媒を指す。
「リサイクル」という用語は、系の排出物をその同じシステム又はプロセス内の別のシステムに投入材料として戻すことを指す。当該技術分野における熟練者に既知の方法で、
例えば排出物を投入流と一緒にすることにより、又はシステム中に直接排出物を供給することにより、排出物をシステムにリサイクルすることができる。さらに、当該技術分野における熟練者に既知のいずれかの方法で、多数の投入流を系に供給することができる。
「再生された触媒」という用語は、特定されるプロセスで有効であるのに十分な活性を再取得した触媒を指す。そのような有効性は個々のプロセスパラメーターにより決定される。
「再生」という用語は、触媒の活性が許容され得ないレベルに達してしまった後、触媒活性を回復する、及び/又は触媒を再使用できるようにするためのプロセスを指す。そのような再生の例には、例えば触媒床上に水蒸気を通過させるか、又は炭素残留物を焼却することが含まれ得る。
前記は本発明の態様に向けられているが、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく、そのさらにもっと別の(other and further)態様を案出することができ、本発明の範囲は続く請求項により決定される。

Claims (33)

  1. 芳香族基質の液相アルキル化のための方法であって、1つもしくはそれより多い触媒床を有するアルキル化反応領域を与え、ここで少なくとも1つの触媒床は希土類金属イオンを含むことにより気相アルケン失活に対する耐性に関して改質された第1希土類金属イオン改質触媒を含有し;
    芳香族基質及びアルキル化剤の供給原料を、アルキル化反応領域中に導入し、及び該第1触媒との接触に導入し;
    芳香族基質が液相にあり、芳香族基質の液相アルキル化を引き起こしてアルキル化生成物を製造する温度及び圧力条件においてアルキル化反応領域を運転し;そして
    多段階アルキル化反応領域からアルキル化生成物を取り出す
    ことを含んでなる方法。
  2. 芳香族基質がベンゼンであり、アルキル化剤がエチル化剤又はプロピル化剤である請求項1の方法。
  3. 第1触媒が、存在し得る他の触媒に先立ってアルキル化剤に接触するように1つもしくはそれより多い触媒床中に置かれる請求項1の方法。
  4. 希土類金属イオンがセリウムである請求項1の方法。
  5. 第1触媒がセリウム改質ゼオライト触媒である請求項1の方法。
  6. 第1触媒が約0.01重量%〜5.0重量%の範囲内のセリウム含有率を有する請求項1の方法。
  7. 第1触媒がセリウム改質ゼオライトベータ触媒である請求項1の方法。
  8. 1つもしくはそれより多い触媒床がさらに、第1触媒の含有率より低い希土類金属イオン含有率を有する第2触媒を含んでなり、ここで第2触媒は1つもしくはそれより多い触媒床中で、アルキル化剤が第2触媒に接触する前に第1触媒をアルキル化剤に接触させるように置かれる請求項1の方法。
  9. 第1触媒が第2触媒より高い気相エチレンに対する耐性を有する請求項8の方法。
  10. 芳香族基質がベンゼンを含んでなり、アルキル化剤がエチレンを含んでなり、エチレンが95%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項1の方法。
  11. エチレンが90%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項1の方法。
  12. エチレンが85%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項1の方法。
  13. エチレンが80%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項1の方法。
  14. エチレンが20%〜80%のエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項1の方法。
  15. アルキル化反応領域からのアルキル化生成物を、アルキル化生成物からのエチルベンゼンの分離及び回収のため、ならびにポリアルキル化芳香族成分の分離及び回収のための中間回収領域に供給し、ポリアルキル化芳香族成分の少なくとも一部をアルキル交換反応領域に供給し、ここでベンゼンをアルキル交換反応領域に供給し、ポリアルキル化芳香族画分の不均化を引き起こして、エチルベンゼン含有率が向上し且つポリアルキル化芳香族成分含有率が低下した不均化生成物を生ずるような温度及び圧力条件下でアルキル交換反応領域を運転する請求項1の方法。
  16. アルキル交換領域がアルキル交換触媒を含有し、ここで該第1改質触媒として用いられる型の触媒をアルキル交換領域のために用い、且つここで供給原料を液相に保つのに有効な温度及び圧力条件下で該アルキル交換領域を運転する請求項15の方法。
  17. 供給原料が約1:1〜100:1の範囲内の触媒床当たりのベンゼン:エチレン重量比を有する請求項1の方法。
  18. 供給原料が約2:1〜75:1の範囲内の触媒床当たりのベンゼン:エチレン重量比を有する請求項1の方法。
  19. 供給原料が約5:1〜20:1の範囲内の触媒床当たりのベンゼン:エチレン重量比を有する請求項1の方法。
  20. ベンゼンの液−相アルキル化のための方法であって、複数の直列に接続された触媒床を有する多段階アルキル化反応領域を与え、ここで少なくとも1つの触媒床は、非改質触媒と比較してそれより高い気相エチレンに対する耐性を有するセリウム改質ゼオライトである第1アルキル化触媒を含有し;
    触媒床当たりに約1:1〜100:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比におけるベンゼンとエチレンの供給原料を、多段階アルキル化反応領域中に導入し、及び該アルキル化触媒との接触に導入し;
    ベンゼンが液相にあり、アルキル化触媒の存在下でベンゼンの液相アルキル化を引き起こして、エチルベンゼン及び1種もしくはそれより多いポリアルキル化芳香族成分を含んでなるアルキル化生成物を与える温度及び圧力条件下でアルキル化多段階反応領域を運転し;
    アルキル化生成物を多段階アルキル化反応領域から取り出し;そして
    アルキル化生成物からのエチルベンゼンの分離及び回収のため、ならびにポリアルキル化芳香族成分の分離及び回収のためにアルキル化生成物を回収領域に供給する
    ことを含んでなる方法。
  21. さらに
    ポリアルキル化芳香族成分の少なくとも一部を、ゼオライトアルキル交換触媒を含有するアルキル交換反応領域に供給し;
    アルキル交換反応領域にベンゼンを供給し;そして
    ここでポリアルキル化芳香族成分の不均化を引き起こして、エチルベンゼン含有率が向上し且つポリアルキル化芳香族成分含有率が低下した不均化生成物を生ずるような温度及び圧力条件下でアルキル交換反応領域を運転する
    ことを含んでなる請求項20の方法。
  22. アルキル交換領域中の供給原料を液相に保つのに有効な温度及び圧力条件下でアルキル交換領域を運転する請求項20の方法。
  23. 少なくとも1つの触媒床が第2アルキル化触媒を含有し、ここで第1アルキル化触媒は
    第2アルキル化触媒より高い気相エチレンに対する耐性を有し、且つここでエチレンの供給原料は第2アルキル化触媒に接触する前に第1アルキル化触媒に接触する請求項20の方法。
  24. ゼオライトアルキル交換触媒がセリウム−改質ゼオライト触媒である請求項20の方法。
  25. 第1アルキル化触媒がセリウム−改質ゼオライト触媒である請求項20の方法。
  26. 第1触媒が約0.01重量%〜5.0重量%の範囲内のセリウム含有率を有する請求項20の方法。
  27. 供給原料が触媒床当たりに約2:1〜75:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比を有する請求項20の方法。
  28. 供給原料が触媒床当たりに約5:1〜20:1の範囲内のベンゼン:エチレンの重量比を有する請求項20の方法。
  29. エチレンが95%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項20の方法。
  30. エチレンが90%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項20の方法。
  31. エチレンが85%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項20の方法。
  32. エチレンが80%より低いエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項20の方法。
  33. エチレンが20%〜80%のエタン含有率を有する希釈エチレン流から与えられる請求項20の方法。
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