JP2011513398A - 鏡像異性的に純粋なジオールおよびジオキソラン化合物の製造方法 - Google Patents

鏡像異性的に純粋なジオールおよびジオキソラン化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、ラセミ出発物質から鏡像異性的に純粋なジオールおよびジオキソラン化合物を製造するための新規方法、および治療活性薬剤を製造するための該化合物の使用に関する。

Description

発明の分野
本発明は、ラセミ出発物質から鏡像異性的に純粋なジオールおよびジオキソラン化合物を製造するための新規方法、および治療活性薬剤を製造するための該化合物の使用に関する。
発明の背景
全身性の真菌感染およびグラム陽性細菌感染の増加しつつある世界的発生は、その多くが、医療技術および器官移植の進歩、細胞毒性化学療法介入の普及の増大、広スペクトル抗微生物剤および留置カテーテルの広範囲に及ぶ使用、ならびに、免疫不全患者数の増加に起因すると考えられる。
真菌感染の最も普通の原因は、カンジダ(Candida)種(その中でC. albicansが約50%を占める)、およびアスペルギラス(Aspergillus)種などの糸状菌によるものである[KremeryおよびBarnes、2002]。侵襲性カンジダに伴われる死亡率は、約40%に及び[Edmondら、1999]、一方、侵襲性アスペルギラスに伴われる死亡率は、固形臓器移植受容者において100%に近づく[Minariら、2002]。
スタフィロコッカス(Staphylococcus)種によるグラム陽性感染が優勢である。菌血症が耐性分離株によって引き起こされるときには、死亡率は高い[ElsayedおよびLaupland、2004]。
直ちに利用可能な真菌ワクチンがないとすると、真菌感染に対抗するために利用可能な唯一の臨床的手段は、抗真菌治療である(抗真菌薬)。現在臨床使用されている抗真菌薬は、その全般的な非有効性および不十分な薬理学的プロフィール(望ましくない薬物-薬物相互作用および狭い活性スペクトルを含む)、またはその高い全体的な細胞毒性のいずれかによって制限される[Whiteら、1998]。従って、これらの欠点を克服しうる新規な抗真菌化合物が臨床的に必要とされている。
プラミコナゾール(1-[4-[4-[4-[[(2S,4R)-4-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]メトキシ]フェニル]-1-ピペラジニル]フェニル]-3-(1-メチルエチル)-イミダゾリジノン):
Figure 2011513398
が、急性の皮膚および粘膜真菌感染の短期治療、ならびに慢性真菌感染の治療のための有力な経口の広スペクトル抗真菌剤である。米国特許第6,387,906号明細書(その全体が参照することにより本明細書中に組込まれる)は、プラミコナゾールを含むアゾール化合物の抗真菌活性および製造を記載している。2005年に、第2A相臨床試験が、プラミコナゾールを用いて、足白癬(水虫)、体部白癬(輪状白癬)、頑癬(いんきんたむし)、癜風および脂漏性皮膚炎の治療のために実施された。現在、プラミコナゾールを用いる第2A相臨床試験が、足指爪甲真菌症の治療のために進行中である。
多数の真菌感染の治療におけるプラミコナゾールの上記した潜在的な重要性を考えると、プラミコナゾールおよびプラミコナゾール様化合物の効率的な合成が望ましい。本発明は、鏡像異性的に純粋な形態にあるプラミコナゾール分子のキラル性ジオキソラン部分の製造のための新規方法を発見したことに関する。また、本発明は、この特定のジオキソラン部分または本明細書中に記載する他のキラル性ジオキソラン部分を含有する他の治療活性化合物を製造するための該技術の使用にも関する。
本発明の一つの態様は、式(1)および式(2):
Figure 2011513398
の鏡像異性的に純粋な化合物またはその塩を製造する方法であって、式(3):
Figure 2011513398
のラセミ体ジオキソランを、適当な酵素で処理することを含んでなる方法である[式中、R1は、-(C1-6アルキレン)であり;R2およびR3は、独立してアリールまたはヘテロアリールであり;Xは-OHまたは脱離基である]。
本発明の別の態様は、式(1)および式(2)の鏡像異性的に純粋な化合物またはその塩を製造する方法であって、式(4):
Figure 2011513398
[式中、R2およびR3は、独立してアリールまたはヘテロアリールである]
のラセミ体ジオールを適当な酵素で処理して、式(5)および式(6):
Figure 2011513398
の鏡像異性的に純粋な化合物を供し、次いで、式(7):
Figure 2011513398
のアセタール、または式(8):
Figure 2011513398
のアルデヒドで処理することを含んでなる方法である:ここで、式(7)において、R1は、-(C1-6アルキレン)であり;各R4は、独立してC1-6アルキルまたはアリールであり;Xは-OHまたは脱離基である;また式(8)において、R1は、-(C1-6アルキレン)であり;Xは-OHまたは脱離基である。
本発明の別の態様は、鏡像異性的に純粋なプラミコナゾールを製造する方法であって、式(1)のジオキソラン[この式(1)のジオキソランは、本明細書中に記載される酵素促進法によって製造される]を、式(9):
Figure 2011513398
のピペラジン誘導体と混合することを含んでなる方法である:ここで、式(1)で示されるジオキソランにおいて、R1は-CH2-であり;R2は2,4-ジフルオロフェニルであり;R3は1,2,4-トリアゾールである(即ち、以下に示す式(10)の化合物):
Figure 2011513398
一つの例示的実施態様において、式(10)における可変部分「X」は、BrまたはO-メシルである。
本発明の別の態様は、治療活性化合物またはその薬学上許容される塩を製造する方法であって、式(1)または式(2)の鏡像異性的に純粋なジオキソランを、炭素、酸素または窒素求核試薬(「Nu」)と、該求核試薬が式(1)または式(2)の可変部分Xに取って代わるのに十分な反応条件下で混合して、以下に示す式(11)および式(12):
Figure 2011513398
の生成物を供することを含んでなる方法である。
一つの例示的実施態様において、治療化合物は、抗微生物特性または抗菌特性を示す。一つの例示的実施態様において、求核試薬は、フェノール酸素が式(1)または式(2)の可変部分Xに取って代わる部分である式(9)の化合物または同様の化合物である。
本発明の別の態様は、治療活性化合物またはその薬学上許容される塩を製造する方法であって、式(4):
Figure 2011513398
[式中、R2およびR3は、独立してアリールまたはヘテロアリールである]
のラセミ体ジオールを、適当な酵素で処理して、式(5)および式(6):
Figure 2011513398
[式中、R2およびR3は、独立してアリールまたはヘテロアリールである]
の鏡像異性的に純粋なジオールを供する工程を含んでなる方法である。
一つの例示的実施態様において、式(5)の化合物は、式(13):
Figure 2011513398
の化合物であり、この方法によって製造される治療活性化合物は、ポサコナゾールである。別の例示的実施態様において、この方法によって製造される治療活性化合物は、ZD-0870である。
以下に挙げる図面のそれぞれは、本発明の一つの例示的実施態様を示すものである。従って、該図面は、本明細書中に記載される本発明の範囲の限定を意図するものではない。
図1は、対応するラセミ化合物をCAL-Bで処理することによる化合物3の製造(スキーム1において確認される)が、10時間にわたって着実に進行し、その間に、エナンチオマー過剰率が100%に近づき、%変換が60%に近づいたことを示す。
発明の具体的説明
定義
特に断らない限り、本明細書中で使用する全ての技術および科学用語は、一般に、本発明が属している分野の当業者によって普通に理解されるものと同じ意味を有する。
ここに定義されるように、「有効量」または「に有効な量」または「治療有効量」またはあらゆる文法的に等価な用語は、疾病または状態を処置するために動物に投与したときに、該疾病または状態の処置を有効にするのに十分な量を指す。また、「有効量」は、抗真菌効果を誘導するのに十分な化合物または組成物の量とすることもできる。
ここに定義されるように、「鏡像異性的に純粋な」は、本明細書中に挙げた化合物の鏡像異性型であって、該化合物の同一基本分子構造の他の鏡像異性型を実質的に含まない鏡像異性型を指す。特に、用語「鏡像異性的に純粋な」は、少なくとも約80%エナンチオマー過剰率(e.e.)(即ち、最小で約90%の一つのエナンチオマーおよび最大で約10%のその他の可能なエナンチオマー)ないし100%のエナンチオマー過剰率(即ち、100%の一つのエナンチオマーおよびその他のエナンチオマーなし)を有する化合物、例えば、約90%〜100%のエナンチオマー過剰率を有する化合物など、例えば、約95%〜100%のエナンチオマー過剰率を有する化合物など、例えば、約97%〜100%のエナンチオマー過剰率を有する化合物などを指す。本発明の例示的実施態様において、式(1)または式(2)のジオキソランのエナンチオマー過剰率は、少なくとも約95%または少なくとも約96%または少なくとも約97%または少なくとも約98%または少なくとも約99%または少なくとも約99.2%または少なくとも約99.4%または少なくとも約99.6%または少なくとも約99.8%である。
ここに定義されるように、可変部分「X」には、当業者に既知であるあらゆる通常の脱離基が含まれる。例示的実施態様において、脱離基「X」には、ハロ(F、Cl、Br、I)、メシレート(OMs)、トシレート(OTs)、ノシレート(ONs)、ブロシレート(OBs)、トリフレート(OTf)またはアセテート(OAc)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
ここに定義されるように、求核試薬は、一対の電子を供与して新たな共有結合を形成する分子またはイオンである。求核試薬は、通常はルイス塩基であり、プロトン酸のアニオン共役塩基を包含する。具体的な求核試薬は、酸素原子(例えば、アルコール、アルコキシドまたはフェノキシド)、窒素原子(例えば、アミンまたはアミド)および炭素原子[例えば、グリニャール(即ち、炭素-マグネシウム結合を含む化合物)または炭素-リチウム結合、炭素-ナトリウム結合、および他の炭素-金属結合を含む化合物]を包含する。
ここに定義されるように、式(3)および式(4)で示されるラセミ化合物を分割するために使用する酵素は、リパーゼであってよいが、これに限定されるものではない。本発明において使用する酵素の例示的実施態様には、キャンディダ・アンタクティカ(Candida antarctica)のリパーゼB(CAL-B)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)、カンジダ・ルゴーサ(Candida rugosa)、カンジダ・シリンドラセ(Candida cylindracea)、フミコラ・ラヌギネーサ(Humicola lanuginesa)、リゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)、ペニシリウム・カマンベール(Penicilliium camemberti)、ジオトリカム・カンジダム(Geotrichum candidum)、ホグ・パンクリ−ス(Hog pancrease)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、ブタ肝臓エステラーゼ、ブタ膵臓リパーゼ、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)(以前はシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)と称されていた)およびペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)が含まれるが、これらに限定されるものではない。他の使用可能な酵素としては、ジオキシゲナーゼ、ジヒドロゲナーゼ、エノンレダクターゼ、アセトヒドロキシ酸シンターゼ、N-アシルアミノラセマーゼ、パン酵母および人工酵素が挙げられる。
本明細書中に記載したキラル化合物中の各不斉炭素中心の絶対配置を、立体化学記述語「R」および「S」によって示すことができる。このRおよびS表示は、例えば、Pure Appl. Chem. (1976)、45、11-30に記載されている規則に対応する。用語「シス」および「トランス」は、本明細書中において、Chemical Abstracts用語法[J. Ore、Chem. (1970)、35(9)、2849-2867]に従って使用し、環部分、例えば、式(1)または式(2)の化合物中のジオキソラン環上の置換基の位置を指す。例えば、ジオキソラン環のシスまたはトランス配置を確立するときに、ジオキソラン環の2位の炭素原子において最高優先度を有する置換基、およびジオキソラン環の4位の炭素原子において最高優先度を有する置換基を考慮する(置換基の優先度は、Cahn-lngold-Prelogの順序付け規則に従って決定する)。これらの最高優先度を有する2つの置換基が、環の同じ側にあるときには、その配置はシスと称され、そうではないときに、その配置はトランスと称される。
本発明の化合物の純粋な鏡像異性型を、当業者には周知である操作の適用によって精製することができる。例えば、エナンチオマーを、光学活性な酸とのジアステレオマー塩の選択的結晶化によって、またはキラル固定相を用いるクロマトグラフィー法によって、互いから分離することができる。
本明細書に定義されるように、「抗微生物剤」は、真菌微生物および/または細菌微生物の増殖を阻害するか、またはそれらを完全に死滅させる薬剤である。より具体的には、「抗真菌剤」は、真菌の増殖を阻害(即ち、静真菌剤)するか、またはそれらを完全に死滅(即ち、殺真菌剤)させる薬剤であり、「抗細菌剤」または「抗生物質」は、細菌を死滅させるか、またはその増殖を低下させる物質である。
本明細書に定義されるように、用語「アルキル」は、置換されていてもよい直鎖、分岐鎖または環式の炭化水素基、またはこれらの組合せを指し、これらは、完全飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和であってよく、また、二価および多価の基を含むことができ、明示した炭素原子数を有する(即ち、C1-6は1〜6個の炭素を意味する)。飽和炭化水素基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルの同族体および異性体などが含まれるが、これらに限定されるものではない。不飽和アルキル基は、1つまたはそれ以上の二重結合あるいは三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびに高級同族体および異性体が含まれるが、これらに限定されるものではない。アルキル基のための置換基は、通常、以下に記載する置換基の群から選択される。
本明細書に定義されるように、用語「アルキレン」は、特に示さない限り、二価の炭素基を指す。例示的実施態様において、アルキレン基は、8炭素鎖(即ち、C1-8)または6炭素鎖(即ち、C1-6)または3炭素鎖(即ち、C1-3)である。このアルキレン鎖は、さらに置換されていてもよい。特定の具体例には、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)-、-CH(OCH3)-、-CH2CH(CH2OCH3)CH2CH2-および-CH2CH(Ph)CH2-が含まれる。
本明細書に定義されるように、用語「ハロ」または「ハロゲン」は、特に示さない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を指す。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを包含することを意味する。例えば、用語「ハロ(C1-C4)アルキル」は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを包含することを意味するが、これらに限定されるものではない。
本明細書に定義されるように、用語「アリール」は、特に示さない限り、置換されていてもよいポリ不飽和芳香族置換基を指し、これは、単一環あるいは一緒に融合しているかまたは共有結合している複数環であることができる(好ましくは1〜3個の環)。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含むアリール基(または環)を指し、ここで、窒素および硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素原子は4級化されていてもよい。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残りに結合することができる。非限定的なアリールおよびヘテロアリール基の例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、テトラゾリル、ベンゾ[b]フラニル、ベンゾ[b]チエニル、2,3-ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン-6-イル、ベンゾ[1,3]ジオキソル-5-イルおよび6-キノリルが含まれる。上記したアリールおよびヘテロアリール環系のそれぞれのための置換基は、通常、以下に記載する置換基の群から選択される。
簡略にするために、他の用語と組み合わせて使用するときの用語「アリール」(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アルキルアリール)には、上で定義したようなアリールおよびヘテロアリール環の両方が含まれる。即ち、本明細書に定義されるように、用語「アルキルアリール」は、アリール基がアルキル基に結合している基(例えば、ベンジル、フェネチルなど)を包含すること意味し、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子によって置換されたアルキル基を包含する[例えば、フェノキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど]。
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)のそれぞれは、示した基の置換および未置換の両形態を包含することを意味する。各タイプの基の好ましい置換基を以下に挙げる。
アルキルおよびヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと称されることが多い基を包含する)のための置換基を、「アルキル基置換基」と総称し、これらは、以下から選択される様々な基の1つまたはそれ以上であることができるが、これらに限定されるものではない:-C1-10アルキル、-OR'、=O、=NR'、=N-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NR-C(NR'R''R''')=NR''''、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2[これらは、0ないし(2m'+1)の範囲の数にあり、ここで、m'は上記基中の炭素原子の合計数である]。R'、R''、R'''およびR''''は、それぞれ好ましくは独立して、水素、置換または未置換ヘテロアルキル、置換または未置換アリール、置換または未置換アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、あるいはアリールアルキル基を指す。例えば、化合物が1つを超えるR基を含むときには、R基のそれぞれは、独立して選択される(1つを超えるR'、R''、R'''およびR''''基が存在するときのこれらの基のそれぞれのように)。R'およびR''が同じ窒素原子に結合しているときには、これらは、窒素原子と一緒になって5-、6-、または7-員環を形成することができる。例えば、-NR'R''は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを包含することを意味するが、これらに限定されるものではない。
アルキル基のために記載した置換基と同様に、アリールおよびヘテロアリール基のための置換基を、「アリール基置換基」と総称する。これらの置換基は、例えば、以下から選択される:-C1-10アルキル、ハロゲン、-OR'、-NR'R''、-SR'、-ハロゲン、-SiR'R''R'''、-OC(O)R'、-C(O)R'、-CO2R'、-CONR'R''、-OC(O)NR'R''、-NR''C(O)R'、-NR'-C(O)NR''R'''、-NR''C(O)2R'、-NR-C(NR'R''R''')=NR''''、-NR-C(NR'R'')=NR'''、-SR'、-S(O)R'、-S(O)2R'、-S(O)2NR'R''、-NRSO2R'、-CNおよび-NO2、-R'、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1-C4)アルキル[これらは、0ないし芳香環系上のオープン価数の合計数の範囲の数にあり;R'、R''、R'''およびR''''は、好ましくは独立して、水素、置換または未置換アルキル、置換または未置換ヘテロアルキル、置換または未置換アリールおよび置換または未置換ヘテロアリールから選択される]。例えば、化合物が1つを超えるR基を含むときには、R基のそれぞれは、独立して選択される(1つを超えるR'、R''、R'''およびR''''基が存在するときのこれらの基のそれぞれのように)。
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つを、式:-T-C(O)-(CRR')q-U-[式中、TおよびUは、独立して、-NR-、-O-、-CRR'-または単結合であり、qは0〜3の整数である]で示される置換基で置換することもできる。また、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つを、式:-Y-(CH2)r-Z-[式中、YおよびZは、独立して、-CRR'-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-または単結合であり、rは1〜4の整数である]で示される置換基で置換することもできる。このように形成した新たな環の単結合のいずれかを、二重結合で置換することもできる。また、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の2つを、式:-(CRR')s-X-(CR''R''')d-[式中、sおよびdは、独立して、0〜3の整数であり、Xは、-O-、-NR'-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR'-である]で示される置換基で置換することもできる。例示的実施態様において、置換基R、R'、R''およびR'''は、独立して、水素または置換および未置換(C1-6)アルキルから選択される。
米国特許第5,714,490号明細書(その全体が参照することにより本明細書中に組込まれる)は、以下に示す式(13)のジオールを介して進行するポサコナゾールの合成を記載している:
Figure 2011513398
本発明は、式(13)の鏡像異性的に純粋な化合物の容易な合成を提供するものであり、次いでこの化合物を用いて、一つの例示的実施態様において、抗真菌剤ポサコナゾールの新規合成を提供することができる。
米国特許第4,925,863号明細書(その全体が参照することにより本明細書中に組込まれる)は、以下に示す式(13)のジオールを介して進行する抗真菌剤ZD-0870の合成を記載している:
Figure 2011513398
本発明は、式(13)の鏡像異性的に純粋な化合物の容易な合成を提供するものであり、次いでこの化合物を用いて、一つの例示的実施態様において、抗真菌剤D-0870の新規合成を提供することができる。
国際公開第93/09114号パンフレットおよび米国特許第5,625,064号明細書(両文献の全体が参照することにより本明細書中に組込まれる)は、以下に示す式(13)のジオールを介して進行するSCH-51048などの抗真菌化合物の合成を記載している:
Figure 2011513398
本発明は、式(13)の鏡像異性的に純粋な化合物の容易な合成を提供するものであり、次いでこの化合物を用いて、一つの例示的実施態様において、抗真菌剤SCH-51048の新規合成を提供することができる。
例えば、式(1)、(2)、(5)および(6)の鏡像異性的に純粋な化合物を製造するための本発明の方法によって製造しうる可能性がある他の抗真菌化合物には、ケトコナゾール(ketoconazole)、イトラコナゾール(itraconazole)、イソコナゾール(isoconazole)、ミコナゾール(miconazole)、エコナゾール(econazole)、スルコナゾール(sulconazole)、フルコナゾール(fluconazole)、フェンチコナゾール(fenticonazole)、セルタコナゾール(sertaconazole)、チオコナゾール(tioconazole)、フルコナゾール(fluconazole)、ボリコナゾール(voriconazole)およびラブコナゾール(ravuconazole)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
式(1)および式(2)の鏡像異性的に純粋な化合物は、薬学的に許容しうる塩として、単独でまたは比較的大きい分子の一部として存在することができる。適する薬学的に許容しうる塩は、有機酸または無機酸のものであり、これら酸には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、酢酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸、フマル酸などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
式(3)で示される部分を含有する化合物(プラミコナゾールなど)の治療活性が、式(1)部分が鏡像異性的に純粋な形態にあるときに有意に高められると考えると、本発明は、式(3)および結局は式(4)の化合物の、式(1)および式(2)の鏡像異性的に純粋な化合物への容易な分割を、経済的に有益なスケールで可能にする。
プラミコナゾールは、例えば、カンジダ(Candida)種、ピチロスポラム(Pityrosporum)種、マラッセジア(Malassezia)種およびトリコフィトン(Trichophyton)種に対して抗真菌特性を示す。ほとんど、カンジダ種は、正常な身体微生物叢として世界中で見いだされる遍在真菌である。カンジダ症は、特に免疫不全宿主において、様々な疾病、例えば、膣カンジダ症(例えば、膣炎、外陰膣炎および外陰かぶれ)、口腔がこう瘡、結膜炎、口腔咽頭カンジダ症、眼内炎、おむつかぶれ、爪感染、皮膚ひだ感染、全身性カンジダ症、口腔カンジダ症、胃腸カンジダ症および赤く浸軟した間擦部位(これらに限定されるものではない)の一因となる普通の真菌感染である。カンジダ(Candida)の例示種には、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsiliosis)、カンジダ・グイリエルモンディ(Candida guilliermondi)、カンジダ・ルシタニエ(Candida lusitaniae)およびカンジダ・クルセイ(Candida krusei)が含まれるが、これらに限定されるものではない。トリコフィトン(Trichophyton)の例示的実施態様には、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)およびトリコフィトン・ルブラム(Trichophyton rubrum)が含まれるが、これらに限定されるものではない。ピチロスポラム(Pityrosporum)の例示的実施態様には、ピチロスポラム・オルビクラーレ(Pityrosporum orbiculare)、ピチロスポラム・オーバル(Pityrosporum ovale)、ピチロスポラム・キャニス(Pityrosporum canis)およびピチロスポラム・パチデルマティス(Pityrosporum pachydermatis)が含まれるが、これらに限定されるものではない。マラセチア(Malassezia)の例示的実施態様には、マラセチア・シンポディアリス(Malassezia sympodialis)、マラセチア・グロボサ(Malassezia globosa)、マラセチア・レストリクタ(Malassezia restricta)、Malassezia sloojjiae、マラセチア・フルフル(Malassezia furfur)、マラセチア・オブツサ(Malassezia obtusa)およびマラセチア・パチデルマチス(Malassezia pachydermatis)が含まれるが、これらに限定されるものではない。プラミコナゾールの投与によって治療しうる具体的な疾患には、頭部白癬(例えば、脂漏性皮膚炎、乾癬、毛包炎および膿痂疹)、体部白癬(輪状白癬)、頑癬(いんきんたむし)、癜風、足白癬(水虫)および爪甲真菌症(爪真菌、例えば足指爪甲真菌症)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
プラミコナゾールの一般的および具体的な配合は、米国特許第6,387,906号明細書に記載されている(その全体が参照することにより本明細書中に組込まれる)。
また、式(1)または式(2)の鏡像異性的に純粋な部分を構造的に一体化した治療活性化合物を含有する医薬組成物は、その他の担体、安定剤、保存剤または補助剤を含むこともできる。これらの化合物群の典型的な例および化合物それ自体については、Remington:「調剤の科学および実際(The Science and Practice of Pharmacy)」、Lippincott、Williams & Wilkins (2005)を参照(その全体が参照することにより本明細書中に組込まれる)。
本発明の化合物と組合せて使用しうる追加の治療薬剤には、抗微生物剤(例えば、アンホテリシンB、クロトリマゾール、硝酸エコナゾール、フルコナゾール、フルシトシン、ハロプロジン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、AN-1677、AN2690、ビフォナゾール、ミコナゾール、ネチコナゾール、セトラコナゾール、チオコナゾール、ボラコナゾール、ポサコナゾールおよびナイスタチン)、抗アレルギー剤(例えば、アステミゾール、ベタメタゾン、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸クレマスチン、マレイン酸デクスブロムフェニラミン、マレイン酸デクスクロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリンおよび酒石酸トリメプラジン)、抗炎症剤(例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナック、エトドラック、フェニルブタゾンナトリウムメクロフェナメート、インドメタシン、ピロキシカム、スリンダックおよびトルメチン)、抗増殖剤(例えば、ミコフェノール酸モフェチルおよびエボジアミン)、抗挫瘡剤(例えば、トレチノイン、イソトレチノイン、サリチル酸、過酸化ベンゾイルおよびアゼライン酸)、抗掻痒剤(例えば、アゼラスチン、セチリジン、ペルメトリンおよびリンダン)、抗老化剤およびこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
さらなる説明がなくとも、当業者であれば、上記説明および以下の例示的実施例を用いて、本発明に係る化合物を製造および利用することができ、特許請求の範囲に記載される方法を実施することができると考えられる。以下に挙げる実施例は、本発明の具体例を記載するものであり、如何なる意味においても開示の残部を限定するものと解するべきではない。
実験
以下のスキームおよび実施例において、ラセミ化合物2または7を適当な分割酵素で処理することにより、一対のエナンチオマーが製造される結果になる。単純化のために、所望ではないエナンチオマーは、示さないかまたは記さない。
以下のスキーム1は、鏡像異性的に純粋なプラミコナゾールが最終的に調製される本発明の一つの例示的実施態様を示す。市販品から入手可能なラセミ体エポキシドを、対応するジオール(1)に変換し、次いでこれを対応するヒドロキシ-ケタール(2)転換する。次いで、ヒドロキシ-ケタール(2)を、その2S,4Rおよび2R,4Sエナンチオマー成分に分割し、化合物(3)(即ち、2S,4R)である成分を塩化メシルで処理して化合物(4)を得る。これが、式(1)で示される代表化合物である(即ち、R1が-CH2-であり、Xがメシレートであり、R2が2,4-ジフルオロフェニルであり、R3が1,2,4-トリアゾールである)。
Figure 2011513398
以下のスキーム2は、鏡像異性的に純粋な化合物(4)を、既知のヒドロキシフェニルピペラジン化合物(6)[メトキシフェニルピペラジン化合物(5)から誘導される]と混合して鏡像異性的に純粋なプラミコナゾールを得る本発明の一つの例示的実施態様を示す。
Figure 2011513398
以下のスキーム3は、化合物(4)に類似する鏡像異性的に純粋な化合物の別の製造方法の一つの例示的実施態様を示す。示したケースにおいては、「X」可変部分が化合物(4)とは異なる化合物(9)(即ち、Br対OMs)を、ラセミ化合物(7)のリパーゼ分割によって調製する。
Figure 2011513398
化合物(4)と正に同様にして、化合物(9)を、ヒドロキシフェニルピペラジン化合物(6)と混合して、鏡像異性的に純粋なプラミコナゾールを得ることができる。
実施例1(スキーム1から)
Figure 2011513398
酢酸ビニル(約4,000mL)を丸底フラスコに入れた。次いで、酢酸ビニルの最初の水分含量を測定し、水の添加によって0.8〜1.0%に調整した。化合物2(約100g)を、酢酸ビニルに30〜35℃で加え、5〜10分間撹拌し、次いで2,6-ルチジン(3.6g)の添加を、これも30〜35℃で5〜10分間行った。次いで、CAL-B酵素(約5g)を丸底フラスコに加え、30〜35℃で10時間、反応を維持した。10時間後、反応をHPLCによって定期的にモニターして、分割反応の進行を評価した。化合物3のエナンチオマー過剰率が98を超えたときに、酵素を反応混合物から濾過し、約500mLの反応混合物が残るまで、酢酸ビニルを45℃以下の温度で蒸発させた。脱塩水(約1,500mL)を加え、残存する酢酸ビニルを、真空下に50〜55℃で除去した。得られた固体を5〜10℃に冷却し、次いで1時間撹拌し、次いで濾過し、5〜10℃に冷却した水(約300mL)で洗浄した。この固体濾過ケーキを取り置いた。集めた母液をメチルイソブチルケトン(MIBK)(約1,000mL)と混合し、30〜35℃で15〜30分間撹拌し、次いで層を分離させた。水層を、一連のMIBK部分で洗浄し、一緒にした有機層を、その容量が200mL未満になるまで、真空下に50〜55℃で蒸発させた。ヘキサン(約1,000mL)を加え、混合物を10〜15分間撹拌し、次いで0〜5℃に冷却し、1〜2時間撹拌した。得られた固体を濾過し、ヘキサンで洗浄した。以前の工程で取り置いた固体濾過ケーキを、この最も後に集めた固体と一緒にし、次いで丸底フラスコにおいてMIBK(180mL)と混合し、30〜35℃で30〜60分間撹拌した。ヘキサン(約1,000mL)を30〜35℃において30分間で加え、混合物を30〜35℃においてさらに30〜60分間撹拌し、次いで0〜5℃に冷却し、1時間撹拌した。次いで、混合物を濾過し、冷却(0〜5℃)ヘキサンで洗浄し、次いで真空下で乾燥した。
実施例2(スキーム1から)
Figure 2011513398
化合物3(約50g)およびジクロロメタン(500mL)を、丸底フラスコ中、25〜35℃で混合した。トリエチルアミン(約34g)を25〜35℃で加え、反応混合物を0〜10℃に冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(29mL)を0〜10℃で滴下した。0〜10℃で2〜3時間撹拌した後、反応混合物を脱塩水(150mL)で希釈し、5〜10分間撹拌した。層を分離し、水層をジクロロメタン(150mL部分を2回)で連続して抽出した。有機層を一緒にし、水(150mL部分を3回)で連続して洗浄した。次いで、有機層を最小容量まで濃縮し、イソプロピルアミン(500mL)を入れ、真空下に濃縮した。得られた物質を25〜35℃に冷却し、2〜3時間維持し、次いで8〜12℃に冷却し、さらに2〜3時間維持した。次いで、物質を濾過し、固体を、8〜12℃に冷却したイソプロピルアミン(100mL)で洗浄した。化合物4の収率:75〜85%。化学純度:98%以上。キラル純度:98%以上。
実施例1(スキーム2から)
Figure 2011513398
DMSO(約200mL)および化合物6(20g)を丸底フラスコ中で混合した。この混合物を、化合物4(20g)を加えながら、25〜35℃の温度に維持した。この混合物を、脱塩水(5mL)中の水酸化ナトリウム(2.5g)を15〜20分間で滴下しながら、61〜64℃に加熱した。次いで、混合物を、63〜67℃で5〜6時間、またはTLCによって反応が完結したように見えるまで加熱した。次いで、反応混合物を25〜35℃に冷却し、その後、25〜35℃の脱塩水(400mL)を加えた。水の添加は発熱性であり、反応混合物が45℃まで上昇する結果になった。反応混合物を25〜35℃で1時間撹拌し、次いで濾過した。得られた固体ケーキを、一連の40mL量のメタノールで洗浄し、真空下に80〜85℃で5〜7時間乾燥した。収率:80%。
表1は、3つの独立した100g試料について、化合物3のエナンチオマー純度が99.1〜99.6であり、一方、その化学純度が98.25〜98.94であることを示すことにより、CAL-Bによる化合物2の処理(スキーム1に示す)を含む酵素分割工程の再現性を確認するものである。表1において示される「%変換」は、個々のエナンチオマーに変換された化合物2で示されるラセミ混合物の%を指し、「収率(%)」は、鏡像異性的に純粋な化合物3の単離収率を指す。
Figure 2011513398
図1は、化合物2のそのエナンチオマー成分への分割(スキーム1に示す)が、10時間にわたって着実に進行し、その間に、エナンチオマー過剰率が100%に近づき、%変換が60%に近づくことを示す。
実施例1(スキーム3から)
Figure 2011513398
リパーゼ(約4.5kg)、化合物7(75kg)、酢酸エチル(EtOAc)(271kg)、酢酸ビニル(281kg)および水(0.8kg)を、反応器中で混合した。混合物の温度を、40±5℃まで上昇させ、反応を12時間続けた。この時間中に、反応混合物をHPLCによって分析して、化合物8の光学純度が90%e.e.以上であることを確認する(これが、反応を終えるための条件である)。化合物8のe.e.がこの要件を満たしていないときには、反応を続け、3時間毎に分析する。反応が完結した後、それを30℃未満まで冷却する。次いで、反応混合物をHyflo super-celで濾過し、残留ケーキをEtOAc(約150kg)で洗浄する。一緒にした濾液を真空下に濃縮して溶媒を除去する。アセトニトリル(約225kg)を加え、反応混合物を真空下に50℃以下の温度で濃縮した。アセトニトリル(約225kg)を加え、反応混合物を20±5℃まで冷却し、2時間以上撹拌した。次いで、反応混合物を−5±5℃まで冷却し、2時間以上撹拌した。得られた結晶を濾過し、−5±5℃の温度においてアセトニトリル(165kg)で洗浄し、次いで真空下に50℃以下の温度で乾燥した。収率:30〜45%。
実施例2(スキーム3から)
Figure 2011513398
鏡像異性的に純粋な化合物8(約38.0kg)およびメタンスルホン酸(209kg)を反応器中で混合した。ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(BADE)(約31.1kg)を、25±10℃で撹拌しながら滴下した。反応混合物中の化合物8の含量が5.0%以下であり、R-シス(化合物9)/R-トランス生成物比が1.60以上であるときに、反応は完結した。これらの要件が満たされない場合、反応混合物を2時間毎に分析する。反応が完結した後、それを炭酸水素ナトリウム水溶液およびMTBEで失活させる。水層のpH値を確かめ、pHが6未満である場合、炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。分離の後、有機層を真空下に濃縮し、シリカゲルカラムによって精製する(移動相:MTBE-EtOAc)。化合物9に対応する分画を集め、真空下に濃縮した。メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を濃縮した物質に加え、次いでメタンスルホン酸を滴下した。(注:メタンスルホン酸を滴下前にMTBEまたはEtOAcによって希釈することもできる)。メタンスルホン酸の量は、化合物9の回収量に基づいた。得られた結晶を濾過し、濯ぎ、真空下に乾燥した。収率:30〜75%。
特に断らない限り、本明細書中の全ての技術および科学用語は、本発明が属している分野の当業者によって普通に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書中に記載したものと同等または等価であるあらゆる方法および原料を、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および原料が本明細書中に記載されている。本明細書中で引用した全ての出版物および特許出願は、出版物が引用された本発明の特定の態様の開示および説明の目的で、参照することによって本明細書中に組込まれる。
参考文献
Figure 2011513398

Claims (22)

  1. 式(1)または式(2):
    Figure 2011513398
    の鏡像異性的に純粋な化合物またはその塩を製造する方法であって、式(3):
    Figure 2011513398
    のラセミ体ジオキソランを処理することを含んでなり、
    式中、
    1は、-(C1-6アルキレン)であり;
    2およびR3は、独立してアリールまたはヘテロアリールであり;
    Xは-OHまたは脱離基である、方法。
  2. 式(1)または式(2):
    Figure 2011513398
    の鏡像異性的に純粋な化合物またはその塩を製造する方法であって、式(4):
    Figure 2011513398
    のラセミ体ジオールを酵素で処理し、次いで、式(5):
    Figure 2011513398
    のアセタール、または式(6):
    Figure 2011513398
    のアルデヒドで処理することを含んでなり、
    式(5)において、
    1は、-(C1-6アルキレン)であり;
    各R4は、独立してC1-6アルキルまたはアリールであり;
    Xは-OHまたは脱離基であり;
    そして、式(6)において、
    1は、-(C1-6アルキレン)であり;
    Xは-OHまたは脱離基である、方法。
  3. 1が-CH2-であり;
    2がフェニルであり、ここで、フェニルは置換されていてもよく;
    3がヘテロアリール環である、
    請求項1または2に記載の方法。
  4. 1が-CH2-であり;
    2がジフルオロフェニルであり;
    3がトリアゾール環である、
    請求項1または2に記載の方法。
  5. 各R4がC1-6アルキルである、請求項2に記載の方法。
  6. 各R4がメチルまたはエチルである、請求項2に記載の方法。
  7. 式(1)および式(2)の化合物が、少なくとも約80%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項1または2に記載の方法。
  8. 式(1)および式(2)の化合物が、少なくとも約90%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項1または2に記載の方法。
  9. 式(1)および式(2)の化合物が、少なくとも約95%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項1または2に記載の方法。
  10. 式(1)および式(2)の化合物が、少なくとも約97%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項1または2に記載の方法。
  11. 式(1)および式(2)の化合物が、少なくとも約99%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項1または2に記載の方法。
  12. 式(1)の化合物が、式(8):
    Figure 2011513398
    の化合物またはその塩である、請求項1に記載の方法。
  13. 鏡像異性的に純粋なプラミコナゾール:
    Figure 2011513398
    またはその薬学上許容される塩を製造する方法であって、式(8):
    Figure 2011513398
    のジオキソランを、式(7):
    Figure 2011513398
    のピペラジンと混合することを含んでなり、
    式中、Xは、Cl、Br、I、OMs、OTs、ONs、OBs、OTfおよびOAcからなる群から選択され、
    式(8)の化合物は、請求項1に記載の方法に従って調製される、方法。
  14. RがOMsおよびBrからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記プラミコナゾールが、少なくとも約80%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項13に記載の方法。
  16. 前記プラミコナゾールが、少なくとも約90%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項13に記載の方法。
  17. 前記プラミコナゾールが、少なくとも約95%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項13に記載の方法。
  18. 前記プラミコナゾールが、少なくとも約97%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項13に記載の方法。
  19. 前記プラミコナゾールが、少なくとも約99%のエナンチオマー過剰率を有する、請求項13に記載の方法。
  20. 前記酵素が、キャンディダ・アンタクティカ(Candida antarctica)のリパーゼB(CAL-B)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、シュードモナス種(Pseudomonas sp.)、カンジダ・ルゴーサ(Candida rugosa)、カンジダ・シリンドラセ(Candida cylindracea)、フミコラ・ラヌギネーサ(Humicola lanuginesa)、リゾプス・デレマー(Rhizopus delemar)、ペニシリウム・カマンベール(Penicilliium camemberti)、ジオトリカム・カンジダム(Geotrichum candidum)、ホグ・パンクリ−ス(Hog pancrease)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、ムコール・ジャバニカス(Mucor javanicus)、リゾプス・ニベウス(Rhizopus niveus)、ブタ肝臓エステラーゼ、ブタ膵臓リパーゼ、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)(以前はシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)と称されていた)およびペニシリウム・ロックフォルティ(Penicillium roqueforti)からなる群から選択される、請求項1、2および13のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記酵素がキャンディダ・アンタクティカ(Candida antarctica)のリパーゼB(CAL-B)である、請求項20に記載の方法。
  22. 治療活性分子またはその薬学上許容される塩を製造する方法であって、式(1)または式(2):
    Figure 2011513398
    の鏡像異性的に純粋なジオキソランを、炭素、酸素または窒素求核試薬(Nu)と、該求核試薬が式(1)または式(2)の可変部分Xに取って代わるのに十分な反応条件下で混合して、式(9)または式(10):
    Figure 2011513398
    の化合物を提供することを含んでなる、方法。
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