JP2011512817A - クロストリジウム・ディフィシル胞子に対する抗体及びその使用 - Google Patents

クロストリジウム・ディフィシル胞子に対する抗体及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、細菌クロストリジウム・difficilの内生胞子に結合する抗体、このような抗体の製造方法及びこのような抗体の使用方法を提供し、これはクロストリジウム・ディフィシル内生胞子の検出方法を含む。

Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年2月28日に出願された米国仮出願第61/032,270号の利益を主張するものであり、この仮出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
(発明の分野)
嫌気性胞子を形成するグラム陽性細菌であるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は、ヒトにおける偽膜性大腸炎及び抗生物質起因性下痢の主要な原因であり、病院で感染する院内感染症に関与する最も一般的に見られる細菌の1つである(例えば、Wren,2006,Future Microbiol;1(3):243〜245を参照されたい)。Center for Disease Control(CDC)によると、クロストリジウム・ディフィシルは、米国において毎年数万もの下痢の症例及び少なくとも5,000件の死亡に関与している。クロストリジウム・ディフィシル感染症の数は、1993年から2003年の間に倍増し、2000年以後に最大の増加が生じた。
クロストリジウム・ディフィシル起因性の病気を有する人は、糞便に胞子を排出する。クロストリジウム・ディフィシル感染症はしばしば入院患者間で伝染し、この生物は多くの場合、病院職員の手に存在する(例えば、McFarland et al.,1989,N Engl J Med;320:204〜210を参照されたい)。クロストリジウム・ディフィシル感染症に感染した患者は隔離され、集団発生を避けるために予防措置が取られる。無症状保菌者は胞子を排出することができ、隔離目的のためにスクリーニングを行う必要がある(例えば、Kyne et al.,2000,N Engl J Med;342:390〜397を参照されたい)。
クロストリジウム・ディフィシル胞子は、熱、乾燥及び洗浄剤に対して耐性であり、カートのハンドル、ベッドの横板、病人用便器、トイレ、浴槽、床、備品、リネン、電話、聴診器、温度計及びリモコン装置などの環境表面上で最長70日間生存できる。それゆえに、環境表面は、容易に感染しやすい経路である。入院中の患者の部屋の徹底した洗浄が必要とされる。
洗浄の有効性をモニターし、患者の部屋及び環境表面にクロストリジウム・ディフィシル胞子がないことを検証する明瞭な必要性がある。現在、環境及び患者サンプルでクロストリジウム・ディフィシル胞子を検出するための、使用しやすく迅速な方法は存在しない。クロストリジウム・ディフィシル毒素の検出のためのキット(イムノアッセイ及び分子アッセイの両方)は現在市販されているが、これらのキットはクロストリジウム・ディフィシル胞子を検出しない。それゆえに、迅速で使用しやすいクロストリジウム・ディフィシル胞子検出用システムに対する必要性がある。
本発明は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合する、単離された抗体を包含する。いくつかの実施形態では、胞子は未発芽胞子である。いくつかの実施形態では、胞子は発芽胞子である。いくつかの実施形態では、抗体は、クロストリジウム・ディフィシル栄養細胞に結合しない。いくつかの実施形態では、抗体は、クロストリジウム・ディフィシル毒素に結合しない。
本発明は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上の(hypothetical)タンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、単離された抗体を包含する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基505〜604を含む仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基30〜120を含む仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基194〜293を含む仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基203〜217を含む仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基333〜347を含む仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する。
本発明は、配列番号2のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、配列番号9のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、配列番号10のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、アミノ酸配列EGSSLQYKGDDPESY(配列番号3)に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、アミノ酸配列LKNETYKTKYHKYLE(配列番号4)に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、単離された抗体を包含する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基294〜393を含む推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基582〜596を含む推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、単離された抗体は、アミノ酸残基64〜78を含む推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。
本発明は、配列番号6のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、アミノ酸配列YKLKDKNGGTTKTVA(配列番号7)に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、アミノ酸配列KFKEKPDADSIKLKY(配列番号8)に結合する、単離された抗体を包含する。
本発明は、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片を包含し、モノクローナル抗体又は抗原結合性断片は本発明の抗体によるその抗原標的への結合を抑制する。
本発明は、本発明の単離された抗体の抗原結合性断片を包含する。
いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗体は、ポリクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、本発明の単離された抗体は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)胞子又はクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)胞子に結合しない。いくつかの実施形態では、本発明の抗体及び抗原結合性断片が標識されている。
本発明は、本発明の単離された抗体の1つ以上、又はその抗原結合性断片を含む組成物を包含する。
本発明は、本発明の単離された抗体の1つ以上、又はその抗原結合性断片を含むキットを包含する。
本発明は、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株又は形質転換されたB細胞株を包含する。
本発明は、本発明のモノクローナル抗体の重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、又は1つ以上の相補性決定領域をコードする核酸配列を含む単離されたポリヌクレオチド配列を包含する。本発明は、このような単離されたポリヌクレオチド配列を含む発現ベクターを包含する。本発明は、このような発現ベクターを含む宿主細胞を包含する。
本発明は、抗クロストリジウム・ディフィシル抗体を調製する方法を包含し、この方法は、ポリペプチドに対する抗体反応を生じるのに有効な量でクロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部を含むポリペプチドで宿主生物を免疫化するステップを含む。いくつかの実施形態では、クロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部を含むポリペプチドは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。いくつかの実施形態では、方法は、抗体調製物の精製を更に含む。
本発明は、抗クロストリジウム・ディフィシル抗体を調製する方法を包含し、この方法は、免疫適格性宿主生物においてクロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列を発現するステップを含む。いくつかの実施形態では、クロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択されるアミノ酸配列をコードする。いくつかの実施形態では、方法は、抗体調製物の精製を更に含む。
本発明は、少なくとも2つの単離された抗体又はこれらの抗原結合性断片を含む組成物を包含し、各単離された抗体はクロストリジウム・ディフィシル胞子の異なる抗原エピトープに結合する。
組成物のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する。いくつかの実施形態では、仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。
組成物のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質のポリペプチド断片は、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片からなる群から選択される。
組成物のいくつかの実施形態では、第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合し、第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。いくつかの実施形態では、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質のポリペプチド断片は、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片からなる群から選択される。
本発明は、少なくとも2つの単離された抗体又はこれらの抗原結合性断片を含むキットを包含し、各単離された抗体はクロストリジウム・ディフィシル胞子の異なる抗原エピトープに結合する。
キットのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する。いくつかの実施形態では、仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。
キットのいくつかの実施形態では、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質のポリペプチド断片は、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片から選択される。
キットのいくつかの実施形態では、第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合し、第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。いくつかの実施形態では、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質のポリペプチド断片は、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片から選択される。
本発明は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在の検出方法を包含し、この方法は、サンプルを本発明の1つ以上の単離された抗体に接触させるステップを含む。
本発明は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在の検出方法を包含し、この方法は、サンプルを少なくとも2つの単離された抗体又はこれらの抗原結合性断片に接触させるステップを含み、各単離された抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子の異なる抗原エピトープに結合する。
本発明は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在の検出方法を包含し、この方法は、サンプルを第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片に接触させるステップであって、第1の単離された抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子の第1の抗原エピトープに結合するステップ、及び、サンプルを第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片に接触させるステップであって、第2の単離された抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子の第2の抗原エピトープに結合するステップを含む。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する。いくつかの実施形態では、仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質のポリペプチド断片は、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片から選択される。
本発明の方法のいくつかの実施形態では、第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合し、第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する。いくつかの実施形態では、仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片は、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片から選択される。いくつかの実施形態では、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質のポリペプチド断片は、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片から選択される。
特に指定されない限り、「a」、「an」、「the」、及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用され、「1つ以上」を意味する。
クロストリジウム・ディフィシル株630(配列番号1、GenBank Accession No.YP_001087502に対応)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号11、GenBank Accession No.ZP_01804840に対応)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号12、GenBank Accession No.ZP_01804841に対応)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号21、GenBank Accession No.NZ_AAML04000007のヌクレオチド461827〜462825に対応する領域から翻訳)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号22、GenBank Accession No.NZ_AAML04000007のヌクレオチド462824〜463732に対応する領域から翻訳)、及びクロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26(配列番号23、GenBank Accession No.NZ_ABFD01000037のヌクレオチド15690〜17597に対応する領域の補体からの翻訳)からの仮想上のCD1021タンパク質についてのアミノ酸配列間の相同性を表す。配列は、http://www.ebi.ac.uk/Tools/custalw/で公的に利用可能である複数配列位置合わせプログラムCustalWを使用して位置合わせされた。示されているようなコンセンサス配列は、配列番号38である。6つの仮想上のタンパク質のうちの少なくとも4つで同一であるアミノ酸残基が、コンセンサス配列中に示されている。コンセンサス配列中の「X」残基は、2つ以上の位置合わせされた配列が各残基において非同一性を示したことを表し、又は、「X」残基は、3つ以上の位置合わせされた配列で各残基についての配列情報が欠けていたことを表す。位置合わせされた配列の1つにおける任意の所与の位置に配置された記号「・」は、対応するGenBank登録にアミノ酸位置が報告されていなかったことを表す。 クロストリジウム・ディフィシル株630(配列番号1、GenBank Accession No.YP_001087502に対応)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号11、GenBank Accession No.ZP_01804840に対応)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号12、GenBank Accession No.ZP_01804841に対応)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号21、GenBank Accession No.NZ_AAML04000007のヌクレオチド461827〜462825に対応する領域から翻訳)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58(配列番号22、GenBank Accession No.NZ_AAML04000007のヌクレオチド462824〜463732に対応する領域から翻訳)、及びクロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26(配列番号23、GenBank Accession No.NZ_ABFD01000037のヌクレオチド15690〜17597に対応する領域の補体からの翻訳)からの仮想上のCD1021タンパク質についてのアミノ酸配列間の相同性を表す。配列は、http://www.ebi.ac.uk/Tools/custalw/で公的に利用可能である複数配列位置合わせプログラムCustalWを使用して位置合わせされた。示されているようなコンセンサス配列は、配列番号38である。6つの仮想上のタンパク質のうちの少なくとも4つで同一であるアミノ酸残基が、コンセンサス配列中に示されている。コンセンサス配列中の「X」残基は、2つ以上の位置合わせされた配列が各残基において非同一性を示したことを表し、又は、「X」残基は、3つ以上の位置合わせされた配列で各残基についての配列情報が欠けていたことを表す。位置合わせされた配列の1つにおける任意の所与の位置に配置された記号「・」は、対応するGenBank登録にアミノ酸位置が報告されていなかったことを表す。
本発明は、細菌クロストリジウム・ディフィシル(本明細書では「C.difficile」、「C.diff」、「c.diff」、「C−diff」又は「C.D」とも表す)の内生胞子に結合する抗体に関する。このような胞子特異性抗体は、例えば、環境、生体及び食品サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル内生胞子の検出に、有用である。例えば、バチルス及びクロストリジウムのようなごく少数の細菌属は、内生胞子を形成することができる。細菌性内生胞子は、劣悪な物理的及び化学的条件に対して高度に耐性であり、自然界に見られる細胞のうちでも最も耐久性のある種類のうちの1つであることが証明されている。これらは、高熱、乾燥、放射線及び多くの有害化学物質下でも生存することができ、不十分な環境条件を生存できるようにする細菌の休眠形態である。内生胞子は、非常に長期間にわたって生存して、その後、発芽と呼ばれるプロセスである成長状態に戻ることができる。内生胞子は熱、放射線、消毒剤及び乾燥に耐性であるので、これらは、医学的及び薬学的物質から除去するのが困難であり、しばしば汚染の原因となる。
本発明の抗体は、細菌クロストリジウム・ディフィシルの内生胞子(本明細書では「胞子」とも呼ぶ)に結合する。本明細書で使用するとき、用語「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」は、同じ意味で使用される。本発明の抗体は、成育可能な胞子及び不活性化クロストリジウム・ディフィシル胞子の両方に結合し得る。胞子は、例えば、ホルマリン、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、化学的消毒剤、オートクレーブ処理及び紫外線放射が挙げられるがこれらに限定されない種々の方法のいずれかにより不活性化され得る。本発明の抗体は、発芽及び未発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子の両方に結合し得る。本発明の抗体は、未発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得ない。本発明の抗体は、発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ未発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得ない。未発芽胞子及び発芽胞子を調製する方法は、当事者に周知である。簡潔には、細菌胞子は、ほとんどの細胞が胞子に転換するまでトリプチックソイ寒天培地などの媒体上又はトリプチックソイブロス中で細菌を生育させることにより、一般的に、調製される。胞子は遠心分離により採取され、PBSなどの緩衝液で数回洗浄される。懸濁液をアルコールで処理して、栄養細胞を殺し、洗浄して胞子を採取することができる(例えば、Long and Williams,1958,J Bacteriol:76:332、及び、Powers,1968,Appl Microbiol;16:180〜181を参照されたい)。種々の方法により、胞子発芽を誘発することができる。例えば、Gould,1970,J Appl Bacteriol;33:34〜49;Foerster and Foster,1966,J Bacteriol;91:1168〜1177;Moir and Smith,1990,Ann Rev Microbiol;44:531〜553;及び米国特許出願公開第2003/0175318(A1)号を参照されたい。
本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ他の内生胞子形成細菌の胞子に結合し得ない。本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ、例えば、クロストリジウム又はバチルス属の様々な種のいずれかにより産生される内生胞子などの、ファーミキュート(Firmicute)門の他の内生胞子形成細菌の胞子に結合し得ない。細菌のクロストリジウム及びバチルス属の種には、Clostridium aceticum、Clostridium acetobutylicum、Clostridium botulinum、Clostridium butyricum、Clostridium carnis、Clostridium chauvoei、Clostridium denitrificans、Clostridium fervidus、Clostridium formicoaceticum、Clostridium novyi、Clostridium pasteurianum、Clostridium perfringens、Clostridium septicum、Clostridium sporogenes、Clostridium tetani、Clostridium thermoaceticum、Clostridium thermocellum、Clostridium thermosacchrolyticum、Clostridium tyrobutyricum、Clostridium welchii、Bacillus agaradhaerens、Bacillus alcalophilus、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus anthracis、Bacillus atrophaeus、Bacillus azotoformans、Bacillus badius、Bacillus benzoevorans、Bacillus carboniphilus、Bacillus cereus、Bacillus chitinolyticus、Bacillus circulans、Bacillus clarkii、Bacillus clausii、Bacillus coagulans、Bacillus cohnii、Bacillus edaphicus、Bacillus ehimensis、Bacillus fastidiosus、Bacillus firmus、Bacillus flexus、Bacillus fumarioli、Bacillus fusiformis、Bacillus gibsonii、Bacillus globisporus、Bacillus halmapalus、Bacillus haloalkaliphilus、Bacillus halodenitrificans、Bacillus halodurans、Bacillus halophilus、Bacillus horikoshii、Bacillus horti、Bacillus infernos、Bacillus insolitus、Bacillus kaustophilus、Bacillus laevolacticus、Bacillus lentus、Bacillus licheniformis、Bacillus marinus、Bacillus megaterium、Bacillus methanolicus、Bacillus mojavensis、Bacillus mucilaginosus、Bacillus mycoides、Bacillus naganoensis、Bacillus niacini、Bacillus oleronius、Bacillus pallidus、Bacillus pasteurii、Bacillus pseudalcaliphilus、Bacillus Pseudofirmus、Bacillus pseudomycoides、Bacillus psychrophilus、Bacillus psychrosaccharolyticus、Bacillus pumilus、Bacillus schlegelii、Bacillus silvestris、Bacillus simplex、Bacillus siralis、Bacillus smithii、Bacillus sphaericus、Bacillus sporothermodurans、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、Bacillus thermoamylovorans、Bacillus thermocatenulatus、Bacillus thermocloaceae、Bacillus thermodenitrificans、Bacillus thermoglucosidasius、Bacillus thermoleovorans、Bacillus thermosphaericus、Bacillus thuringiensis、Bacillus tusciae、Bacillus vallismortis、Bacillus vedderi、Bacillus vulcani、及びBacillus weihenstephanensisが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ、例えば、Desulfotomaculum、Sporolactobacillus、Brevibacillus、Sporosarcina、及びThermoactinomycesなどの他の細菌の胞子に結合し得ない。
いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し、かつバチルス・ズブチリス(本明細書ではB.subtilisとも表す)及びクロストリジウム・スポロゲネス(本明細書ではC.sporogenesとも表す)の胞子に結合しない。
本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつクロストリジウム・ディフィシル栄養細胞に結合し得ない。本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ本明細書に記載されているもののいずれかを含む他の内生胞子形成細菌の栄養細胞に結合し得ない。いくつかの実施形態では、本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル、バチルス・ズブチリス及びクロストリジウム・スポロゲネスの栄養細胞に結合しない。クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・スポロゲネス及びバチルス・ズブチリスが挙げられるがこれらに限定されない非常に様々なクロストリジウム及びバチルス種の栄養細胞の培養方法は、当事者には周知である。例えば、Madigan et al.,2003,Brock Biology of Microorganisms,Prentice Hall;及びCappucino,2005,Microbiology Laboratory Manual,Benjamin Cummingsを参照されたい。
病原性クロストリジウム・ディフィシル株は、様々な毒素を産生する。最も特徴的なのは、エンテロトキシン(毒素A)及び細胞毒素(毒素B)であり、これら2つの毒素は感染患者に見られる下痢及び炎症の原因である(例えば、Gianfrilli et al.,1984,Microbiologica;7:375−9を参照されたい)。本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合し得、かつ、クロストリジウム・ディフィシルにより産生される毒素に結合し得ず、例えば、この抗体は毒素A及び/又は毒素Bに結合し得ない。クロストリジウム・ディフィシルの毒素A及び毒素Bを調製するための方法、並びに、抗体がクロストリジウム・ディフィシルの毒素A及び/又は毒素Bに結合するかどうかを判定するための方法は、当事者には周知である。例えば、米国特許第4,530,833号、同第4,533,630号、同第4,863,852号、同第4,879,218号、同第5,231,003号、同第5,610,023号、同第5,965,375号、同第6,503,722号、同第6,939,548号及び同第7,179,611号を参照されたい。
クロストリジウム・ディフィシル内生胞子などの細菌内生胞子は、多くのポリペプチドの秩序だった集合体により形成される多層タンパク質構造内に入っている。内生胞子は、4つの保護層、コア、コルテックス、コート及びエクソスポリウムを含有する。胞子の最も外側の層は、タンパク質から作られる薄い被膜であるエクソスポリウムである。この内側は胞子コートであり、これは高度に架橋されたケラチン及び胞子特異性タンパク質の層から形成される。胞子コートは多くの毒性分子に対して不透過性であり、発芽に関与する酵素も含有し得る。コルテックスは、胞子コートの下に位置し、ペプチドグリカンを含む。コアの壁はコルテックスの下に位置し、プロトプラスト又は内生胞子のコアを囲む。コアは、DNA及びリボソームなどの通常の細胞構造であるが、代謝的に不活性である。
本発明のいくつかの実施形態は、例えば、クロストリジウム・ディフィシルのエクソスポリウムタンパク質、胞子コートタンパク質、胞子コルテックスタンパク質、胞子内膜タンパク質又は胞子コアタンパク質などの胞子特異性タンパク質に結合する抗体を包含する。このような抗体は、本明細書で記載されているファーミキュート門の1つ以上の内生胞子形成細菌上に見られる胞子特異性タンパク質に結合し得る。いくつかの実施形態では、抗体は、クロストリジウム・ディフィシル中で見られる胞子特異性タンパク質に結合するが、例えば、バチルス・ズブチリス及びクロストリジウム・スポロゲネスなどのファーミキュート門の他の胞子形成細菌の内生胞子特異性タンパク質に結合しない。
本発明のいくつかの実施形態は、クロストリジウム・ディフィシルの胞子コート集合体タンパク質に結合する抗体を包含する。1つのこのような胞子コート集合体タンパク質は、CotHタンパク質(本明細書では「cotH」とも呼ぶ)である。CotHタンパク質は胞子コートの構造的構成要素であり、バチルス・ズブチリス中でよく特徴付けられている。これは、コートタンパク質の集合体の方向付け及びコートタンパク質の安定化に関与する。例えば、Naclerio et al.,1996,J Bacteriol;178(15):4375〜4380、及び、Zilha et al.,1999,J Bacteriol;181:2631〜2633を参照されたい。本発明は、クロストリジウム・ディフィシル中の推定CotHタンパク質に結合する抗体を包含する。
クロストリジウム・ディフィシル株630の完全ゲノム配列は特定されており、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)、米国国立医学図書館(NLM)、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)により保持されているGenBank(登録商標)配列データベースで入手可能である。Sebaihia et al.,2006,Nat.Genet;38(7):779〜786も参照されたい。株630は、多剤耐性であり、1982年にスイスのチューリッヒの同一の病棟で多数の他の患者に広がった重篤な偽膜性大腸炎を有する患者から単離された(Wren,2006,Future Microbiol;1(3):243〜245)。それゆえに、株630は、完全に毒性で高度に伝染性の薬剤耐性株の遺伝的特性を有する。
現在、他のクロストリジウム・ディフィシル株の完全なゲノム配列を得るための努力がなされている。Sanger Institute(Wellcome Trust Genome Campus(Hinxton,Cambridge,UK))は、クロストリジウム・ディフィシル株R20291のゲノムを配列解析している。クロストリジウム・ディフィシル株R20291は、Stoke Mandeville(UK)で単離されており、North American hypervirulent BI株に密接に関連する(ftpサイトsanger.ac.uk/pub/pathogens/cd/C_difficile_Bi_454.dbsを参照されたい)。St.LouisのWashington University(St.Louis,MO)は、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58のゲノムを配列解析している(cmr.jcvi.org/cgi−bin/CMR/GenomePage.cgi?org=ntcd03のworldwide webを参照されたい)。
クロストリジウム・ディフィシル株630についての全てのGenBank(登録商標)登録の徹底的な検索は、仮想上のタンパク質CD1021(YP_001087502)を同定したが、これは、バチルス・ズブチリスの胞子コート集合体タンパク質H(cotH)に相同である保存ドメイン(アミノ酸残基90〜393)を示す。NCBIから入手可能な及びncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtmlのworldwide webで利用可能な保存ドメイン検索ツールを使用して、分析を行った。クロストリジウム・ディフィシル630の仮想上のタンパク質CD1021(GenBank Accession No.YP_001087502)は、配列番号1のアミノ酸配列を有する。Sebaihia et al.,2006,Nat.Genet;38(7):779〜786、及び、ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=protein&id=126698605のworldwide webを参照されたい。
本発明のいくつかの実施形態は、クロストリジウム・ディフィシルの仮想上のタンパク質CD1021及びその断片に結合する抗体を包含する。本発明の抗体は、本明細書で述べた任意のクロストリジウム・ディフィシル株が挙げられるがこれらに限定されない様々なクロストリジウム・ディフィシル株中の仮想上のタンパク質CD1021に結合し得る。例えば、本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル株630、クロストリジウム・ディフィシル株R20291、クロストリジウム・ディフィシル株QCD−32q58、クロストリジウム・ディフィシル株QCD−66c26、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43255、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43593、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43594、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43596、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43597、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43598、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43603、クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689及び/又はクロストリジウム・ディフィシルATCC 700792の仮想上のタンパク質CD1021に結合し得る。本発明の抗体は、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021に結合する抗体を包含する。
本発明のいくつかの実施形態は、クロストリジウム・ディフィシルの仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する抗体を包含する。ポリペプチド断片は、例えば、約50、約100、約200、約300、約400、約500又は約600のアミノ酸長であり得る。ポリペプチド断片は、例えば、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40又は約45のアミノ酸長であり得る。ポリペプチド断片は、約8〜20、約12〜15又は約10〜20のアミノ酸長であり得る。
本発明のいくつかの実施形態は、クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021(配列番号1)のポリペプチド断片に結合する抗体を包含する。例えば、本発明は、クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021の残基505〜604(配列番号2)を含むポリペプチドに結合する抗体、クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021の残基30〜120(配列番号9)を含むポリペプチドに結合する抗体、クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021の残基194〜293(配列番号10)を含むポリペプチドに結合する抗体、クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021の残基203〜217(配列番号3)を含むポリペプチドに結合する抗体、及び、クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021の残基333〜347(配列番号4)を含むポリペプチドに結合する抗体を包含する。
ペプチドグリカンの厚い層である胞子コルテックスは、胞子の高度に脱水された状態を維持する役割を果たし、極度の休眠及び胞子の耐熱性に貢献する。細菌胞子発芽は、胞子休眠の不可逆的な喪失及びコアの再水和を導く一連の分解現象を含む。胞子は、発芽に関与する酵素を含有する。それゆえに、発芽に関与する胞子特異性タンパク質に結合する抗体は、発芽している胞子を同定するために使用され得る。本発明は、発芽に関与する胞子特異性タンパク質に結合する抗体を包含する。このような抗体は、発芽胞子に結合し得るが、未発芽胞子に結合し得ない。このような抗体は、未発芽胞子に結合し得るが、発芽胞子に結合し得ない。
N−アセチルムラモイルL−アラニンアミダーゼのようなアミダーゼなどのコルテックス溶菌酵素は、発芽において重要な役割を果たし、コルテックスの加水分解を生じる(例えば、Moriyama et al.,1996,J Bacteriol;181:2373〜2378を参照されたい)。本発明は、クロストリジウム・ディフィシルアミダーゼに結合する抗体を包含し、クロストリジウム・ディフィシルのN−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼに結合する抗体を包含する。
クロストリジウム・ディフィシル株630についての全てのGenBank(登録商標)登録の徹底的な検索は、細胞表面タンパク質(推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ、YP_001087517、本明細書では「CD1036」とも呼ぶ)を同定したが、これは、保存ドメインCW_binding_2(推定細胞壁結合リピート2;174〜265、275〜368、381〜461)及びAmidase_3(N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ、493〜673)を有する。クロストリジウム・ディフィシル630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質(GenBank Accession No.YP_001087517)は、配列番号5のアミノ酸配列を有する。Sebaihia et al.,2006,Nat.Genet;38(7):779〜786、及び、ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=protein&idのworldwide webを参照されたい。
本発明は、クロストリジウム・ディフィシルの推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ及びその断片に結合する抗体を包含する。本発明の抗体は、本明細書で述べた任意のクロストリジウム・ディフィシル株が挙げられるがこれらに限定されない様々なクロストリジウム・ディフィシル株中の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼに結合し得る。例えば、本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル株630、クロストリジウム・ディフィシル株R20291、クロストリジウム・ディフィシル株QCD−32q58、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43255、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43593、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43594、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43596、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43597、クロストリジウム・ディフィシルATCC 43598、クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689及び/又はクロストリジウム・ディフィシルATCC 700792の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼに結合し得る。本発明の抗体は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼに結合する抗体を包含する。
本発明のいくつかの実施形態は、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼのポリペプチド断片に結合する抗体を包含する。ポリペプチド断片は、例えば、約50、約100、約200、約300、約400、約500又は約600のアミノ酸長であり得る。ポリペプチド断片は、例えば、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40又は約45のアミノ酸長であり得る。ポリペプチド断片は、約8〜20、約12〜15又は約10〜20のアミノ酸長であり得る。本発明は、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼのポリペプチド断片に結合する抗体を包含する。例えば、本発明は、クロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼの残基294〜393(配列番号6)を含むポリペプチドに結合する抗体、クロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼの残基582〜596(配列番号7)を含むポリペプチドに結合する抗体、及び、クロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼの残基64〜78(配列番号8)を含むポリペプチドに結合する抗体を包含する。
本発明の抗体には、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製されたポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、抗イディオタイプ抗体、多重特異性抗体、一本鎖抗体、一本鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、Fab発現ライブラリーにより産生される直鎖抗体断片、VL又はVHドメインのいずれかを含む断片、細胞内で産生された抗体(すなわち、細胞内抗体)、及びこれらの抗原結合性抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体を産生するために、クロストリジウム・ディフィシル細胞、胞子又は毒素、タンパク質、ペプチド、炭水化物及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない非常に様々な標的抗原のいずれかが使用され得る。タンパク質及びペプチドは、例えば、自然に生じるもの、化学合成されたもの、又は組み換え産生されたものであり得る。抗原は、キャリアに結合され得る。
本発明にはまた種々の抗体断片が含まれるが、これはまた抗原結合断片とも呼ばれ、インタクト抗体の一部分のみを含み、一般にインタクト抗体の抗原結合部位を含み、それゆえに抗原を結合する能力を維持する。インタクト又は完全な抗体又は抗体鎖の化学的又は酵素的処理によって、断片を得ることができる。組み換え手段によって、断片を得ることもできる。抗体断片の例には、例えば、タンパク質分解及び/又はジスルフィド架橋を還元して産生されるFab、Fab’、Fd、Fd’、Fv、dAB及びF(ab’)2断片、並びに、Fab発現ライブラリーから産生される断片が挙げられる。そのような抗体断片は、当該技術分野において周知の技術により作られることができる。本発明の抗体は、可変領域(1つ又は複数)を単独で、又はヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン及び/又はFcドメインの全て又は一部と組み合わせて含むことができる。用語「抗原結合性断片」は、抗原に結合する、又は抗原結合においてインタクト抗体と競合する、免疫グロブリン又は抗体のポリペプチド断片を意味する。
本発明の抗体は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgYなど)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2など)又はサブクラスに属すことができる。いくつかの実施形態では、免疫グロブリンはIgGである。免疫グロブリンは、重鎖と軽鎖の両方を有することができる。IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY重鎖のアレイは、κ又はλ形状の軽鎖と対になることができる。
本発明の抗体は、鳥類及び哺乳類などを含む任意の動物由来であることができる。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト、マウス、ラット、ロバ、ヒツジ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマ、ラマ、ラクダ又はニワトリ抗体である。本明細書で使用するとき、「ヒト」抗体は、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有する抗体を包含し、並びに、ヒト免疫グロブリンライブラリーから又は1つ以上のヒト免疫グロブリンについての遺伝子導入動物から単離された抗体を包含する。
本発明の抗体は、ポリクローナル抗体であり得る。用語「ポリクローナル抗体」は、形質細胞の単一クローン1つ超から産生される抗体を意味する。対照的に、「モノクローナル抗体」は、形質細胞の単一クローン1つから産生される抗体を意味する。ポリクローナル抗体の調製は周知である。
標的抗原に対するポリクローナル抗体は、免疫原を有する様々な宿主動物のいずれかを免疫化することにより入手され得る。広範囲の免疫化プロトコルのいずれかを使用してよい。宿主動物は任意の動物であり得、例えば、マウス、ハムスター、ラット、ウサギ、モルモット、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウシ、スイギュウ、バイソン、ラクダ又はラマが挙げられる。宿主動物は鳥類であってもよく、例えば、ニワトリ又はシチメンチョウが挙げられる。いくつかの実施形態では、抗体調製物は、血液サンプルから得られるものよりもむしろ、別の流体源、例えば、乳、初乳、卵白又は卵黄、から得られる。いくつかの実施形態では、抗体調製物は、標的抗原を有する宿主動物の免疫化によるのではなく、むしろ、抗原に予め曝露した個体から、又は、プール血清、例えば、プールヒト血清、から得られる。
免疫化された哺乳類で免疫原性であることが既知であるタンパク質に免疫化剤を接合することが有用であり得る。このような免疫原性タンパク質の例には、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。採用され得るアジュバントの例には、Freund完全アジュバント及びMPL−TDMアジュバント(モノホスホリルリピドA、合成トレハロースジコリノミコラート)が挙げられるが、これらに限定されない。免疫化プロトコルは、過度の実験なしに当業者により選択され得る。
本発明のいくつかの実施形態は、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合する抗血清を包含する。本明細書に用いられる、抗血清とは、免疫化されたホスト動物からの血液から凝固タンパク質及び赤血球(RBC)を除去したものを指す。抗血清(本明細書では「抗血清調製物」、「粗抗血清」又は「原抗血清」とも呼ぶ)は依然として、他の種々の血清タンパク質と同様に、全てのクラスの免疫グロブリンを保有する。それゆえに、標的抗原を認識する抗体に加えて、抗血清はまた、時々免疫学的アッセイにおいて非特異的に反応することができる種々の非標的抗原に対する抗体を含有する。
本発明のいくつかの実施形態では、抗体は富化され得る。このような富化は、調製物から非免疫グロブリンタンパク質を除去し、及び/又は、サンプル内の免疫グロブリンの1つ以上のクラス(例えば、IgGなど)を富化し得る。種々の方法のいずれかを使用して、本明細書に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されないこのような富化抗体を入手し得る。抗体調製物からの非免疫グロブリン血清タンパク質の除去方法及びIgG画分の富化方法は、当該技術分野において周知である。例えば、硫酸アンモニウム沈殿、タンパク質A結合、タンパク質G結合又はカプリル酸調製物を使用して、IgGクラスの抗体を富化し得る。
本発明の抗体は、標的抗原に対する結合活性が強化された抗体を包含する。このような抗体は、抗原親和性免疫吸着により調製され得る。抗原親和性免疫吸着は、様々な手段のいずれかにより遂行され得る。例えば、抗原親和性免疫吸着は、抗原親和性カラムクロマトグラフィーにより遂行され得る。カラムクロマトグラフィーは任意の機械的手段により遂行され得、例えば、圧力下で若しくは圧力無しで実行されるカラムで遂行され、上から下へ若しくは下から上へ実行されるカラムで遂行され、又は、カラム内の流体の流れの方向はクロマトグラフィーのプロセス中に逆転され得る。あるいは、抗原親和性免疫吸着は、カラムクロマトグラフィー以外の手段により遂行され得る。例えば、親和性免疫吸着は、重力、遠心分離又は濾過などの任意の好適な手段によりサンプルを装填、洗浄又は溶出するために使用される液体から固体支持体が分離されるバッチプロセスを使用して遂行され得る。親和性免疫吸着はまた、他よりも強力にサンプル中のいくつかの分子を吸着又は保持するフィルターにサンプルを接触させることにより、遂行され得る。抗原親和性カラムは、本明細書に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されない様々な方法のいずれかにより、調製され得る。抗原親和性カラムへの抗体調製物の結合は、本明細書に記載されているものが挙げられるがこれらに限定されない非常に様々な免疫吸着方法のいずれかにより遂行され得る。抗原親和性カラムへの抗体調製物の結合は、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、塩化物、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、トリス緩衝液、及び/又は、中性に近い緩衝能を有する有機緩衝液が挙げられるがこれらに限定されない様々な緩衝液又は塩の中で生じ得る。このような緩衝液及び塩の具体例には、例えば、トリス、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム又は酢酸アンモニウムが挙げられる。
本発明の抗体は、モノクローナル抗体を包含する。モノクローナル抗体の集団は均質である。調製物中の全てのモノクローナル抗体は標的分子の同一のエピトープを認識し、全てのモノクローナル抗体は同一の親和性を有する。本明細書で使用するとき、「親和性」は、モノクローナル抗体がその抗原エピトープと相互作用する結合力である。本明細書で使用するとき、「エピトープ」は抗体により結合される抗原の部分である。親和性が高いほど、抗原と抗体の間の結合はより緊密になり、抗原は結合部位を保持しやすくなる。
本発明のモノクローナル抗体には、ヒト化抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、一本鎖Fvs(scFv)、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディ、Fab発現ライブラリーにより産生される直鎖抗体断片、VL又はVHドメインのいずれかを含む断片、細胞内で産生された抗体(すなわち、細胞内抗体)及びこれらの抗原結合性抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のモノクローナル抗体は、動物(ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、ヤギ、ウマ、ニワトリ、又はシチメンチョウが挙げられるが、これらに限定されない)により産生すること、化学合成すること又は組み換え発現させることができる。本発明のモノクローナル抗体を、当該技術分野において既知の免疫グロブリン分子の精製法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差、又は任意のその他の標準的なタンパク質精製技術により精製することができる。更に、本発明の抗体又はその断片を、本明細書に記載する異種ポリペプチド配列と融合し、ないしは当該技術分野において既知の別の方法で、精製を容易にすることができる。
本発明のモノクローナル抗体は、任意のアイソタイプであることができる。本発明のモノクローナル抗体は、例えば、マウスIgM、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgA、IgD、又はIgEであってもよい。本発明のモノクローナル抗体は、例えば、ヒトIgM、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、又はIgEであってもよい。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体はマウスIgG2a、IgG1、又はIgG3であってよい。本発明について、所与の重鎖は、κ又はλ形状のいずれかの軽鎖と対になっていてよい。
モノクローナル抗体は、当業者には精通される様々な手法で得ることができる。例えば、所望の抗原で免疫化された動物からの脾臓細胞は、通常、骨髄腫細胞との融合により、不死化される(例えば、Kohler and Milstein,1976,Eur J Immunol;6:511〜519;J.Goding In「Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,」Academic Press,pp59〜103(1986);及び、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,page 726(Cold Spring Harbor Pub.(1988)を参照されたい)。モノクローナル抗体は、当該技術分野において周知の手法で、ハイブリドーマから単離及び精製することができる。モノクローナル抗体を産生する形質転換B細胞株を作るその他既知の方法を利用してもよい。本発明のモノクローナル抗体を、組み換えDNA技術により生成、例えば、ファージディスプレイ法又はコンビナトリアルな方法で生成してもよい。例えば、米国特許第5,223,409号、国際公開WO 92/18619号、同WO 91/17271号、同WO 92/20791号、同WO 92/15679号、同WO 93/01288号、同WO 92/01047号、同WO 92/09690号又は同WO 90/02809号を参照されたい。このような方法を、ヒトモノクローナル抗体の産生に使用できる。
本発明のモノクローナル抗体にはキメラ抗体を含む。キメラ抗体は、異なる動物種由来の異なる部分を持つ。例えば、キメラ抗体は、適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子の遺伝子を、適切な生物学的特異性を有するヒト抗体分子の遺伝子と継ぎ合わせることにより得られる。例えば、Takeda et al.,1985,Nature;314:544〜546を参照されたい。
治療的に有用な抗体は、「ヒト化」モノクローナル抗体由来であってもよい。ヒト化モノクローナル抗体は、マウス(又は他の種の)免疫グロブリンの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域から1つ以上のCDRをヒト可変ドメイン内に導入し、ヒト残基をマウスの相当するフレームワーク領域に置換することにより産生される。ヒト化モノクローナル抗体由来の抗体成分の使用により、マウス定常部の免疫原性に付随する問題の可能性を排除する。ヒト化モノクローナル抗体の作製技術は、例えば、Jones et al.,1986,Nature;321:522、及び、Singer et al.,1993,J Immunol:150:2844に見ることができる。本発明のヒト化モノクローナル抗体の定常部は、任意のアイソタイプに属するヒト免疫グロブリンの定常部とすることができる。例えば、ヒトIgGの定常部としてもよい。ヒト免疫グロブリン由来の定常部のフレームワーク領域は、特に限定されない。
完全な抗体分子は、2つの重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)及び2つの軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)を有する。VH及びVL領域は「相補性決定領域」(「CDR」)と呼ばれる超可変領域に更に細分することができ、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれるより保存された領域が散在している。フレームワーク領域及びCDRの範囲は正確に画定されている(Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242、及び、Chothia,C.et al.,J.Biol.1987;196:901〜917を参照されたい)。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端へ、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置される3つのCDR及び4つのFRで構成される。本発明は、本発明のモノクローナル抗体の重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域、及び/又は、1つ以上の相補性決定領域を有する抗体を包含する。
本発明は、二重特異性又は二機能性抗体を包含する。二重特異性又は二機能性抗体は、2本の異なる重鎖/軽鎖対と2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。二重特異性抗体は、ハイブリドーマの融合又はF(ab’)断片の連結などの様々な方法で産生できる。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin Exp Immunol;79:315〜321、及び、Kostelny et al.,1992,J Immunol;148:1547〜1553を参照されたい。更に、二重特異性抗体は「ダイアボディ」(Holliger et al.,1993,PNAS USA:90:6444〜6448)又は「Janusins」(Traunecker et al.,1991,EMBO J;10:3655〜3659、及び、Traunecker et al.,1992,Int J Cancer Suppl;7:51〜52)のように作製することができる。
更に本発明に包含されるのは、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株、形質転換B細胞株、及び宿主細胞;これらハイブリドーマ、形質転換B細胞株、及び宿主細胞の子孫又は類縁細胞;並びに同じ又は類似するハイブリドーマ、形質転換B細胞株、及び宿主細胞である。これらの子孫又は類縁細胞は、親系統により産生される抗体の、例えば、アイソタイプ及び抗原特異性といった、同定特性の1つ以上を有する抗体を産生し得る。
本発明は更に、本発明のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列を有する単離されたポリヌクレオチド分子を提供する。本発明は更に、本発明のモノクローナル抗体をコードするヌクレオチド配列に対し、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を持つヌクレオチド配列を有する、単離されたポリヌクレオチド分子に関する。本発明はまた、本発明の抗体、又はその補体をコードするヌクレオチド配列と高い厳密性でハイブリッド形成するポリヌクレオチドも含む。本明細書で使用するとき、「厳密な条件」は、第1のポリヌクレオチド分子が、フィルターに結合した第2のポリヌクレオチド分子と、65℃において、0.5MのNaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)及び1mMのEDTAの中でハイブリッド形成し、その後、42℃において0.2×SSC/0.1%SDSの中で洗浄しても結合し続ける能力を意味する(Ausubel et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,Green Publishing Associates,Inc.,and John Wiley & Sons,Inc.,NY,at p.2.10.3(1989)を参照されたい)。更に本発明に包含されるのは、本発明のモノクローナル抗体の1つ以上のCDR領域又は重鎖及び/若しくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドである。免疫グロブリン可変ドメイン及び定常部のクローニングと配列解析の一般的手法はよく知られている。例えば、Orlandi et al.,1989,PNAS USA;86:3833を参照されたい。
本発明はまた、本発明の単離されたポリヌクレオチドを含む組み換えベクターも包含する。ベクターを、例えば、プラスミド、ウイルス粒子、又はファージ形状とすることができる。適切なDNA配列を、様々な方法でベクター内に挿入できる。一般的には、ベクター内の適切な制限エンドヌクレアーゼ部位(1個所又は複数個所)に、当該技術分野において既知の方法でDNA配列を挿入する。このような方法は、当業者の目的の範囲内とみなされる。多くの好適なベクター及びプロモーターが当業者に周知であり、市販されている。一例として、以下のベクターを示す。細菌ベクターとして、例えば、pQE70、pQE60、pQE−9、pBS、pD10、phasescript、psiX174、pbluescriptSK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223−3、pKK233−3、pDR540、及びpRIT5が挙げられる。真核生物ベクターとして、例えば、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLが挙げられる。しかし、その他の任意のプラスミド又はベクターを使用できる。
本発明のいくつかの実施形態はまた、上記ベクターを含有する宿主細胞を包含する。宿主細胞を、哺乳類若しくは昆虫類の細胞などの高等真核細胞、又は酵母細胞などの下等真核細胞とすることができる。あるいは、宿主細胞を、細菌細胞、又は植物細胞などの原核細胞とすることができる。宿主細胞へのベクター作製物の導入は、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストランによるトランスフェクション又は電気穿孔法などの任意の好適な方法により、もたらすことができる(Davis,L.,et al.,Basic Methods in Molecular Biology(1986))。
本発明のモノクローナル抗体は、適切なプロモーターの制御下において、哺乳類細胞、酵母、細菌、又はその他の細胞内で発現させることができる。無細胞翻訳系を、本発明のDNA構築物由来のRNAを用いるこれらタンパク質の産生に利用することもできる。原核生物宿主及び真核生物宿主と用いるのに適切なクローニングベクター及び発現ベクターは、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor,NY(1989)に記載されている。
更に本発明に包含されるのは、本発明のモノクローナル抗体由来の1つ以上の超可変領域を発現するファージディスプレイライブラリー、及びこのようなファージディスプレイライブラリーから得られるクローンである。ファージディスプレイライブラリーは、抗体由来分子の産生に用いられる。抗体の抗原結合可変ドメインをコードする遺伝子部分を、バクテリオファージのコートタンパク質をコードする遺伝子に融合する。このような遺伝子融合体を含むバクテリオファージを用いて細菌に感染させると、生じたファージ粒子は、抗原結合ドメインがバクテリオファージ外部に提示される状態で、抗体融合タンパク質を発現する外殻を有する。ファージディスプレイライブラリーを、例えば、New England Biolabs Inc.(Ipswich,MA)から入手可能なPh.D.(商標)−7 Phage Display Peptide Library Kit(カタログ番号E8100S)又はPh.D.(商標)−12 Phage Display Peptide Library Kit(カタログ番号E8110S)を用いて調製できる。Smith and Petrenko,1997,Chem Rev;97:391〜410も参照されたい。
本発明の抗体は、当該技術分野において周知の手法により、直接的又は間接的に、基材又は検出可能なマーカーに結合され得る。検出可能なマーカーは、例えば、分光的(例えば、紫外線、赤外線、可視光線、ラマン、表面増強ラマン散乱(SERS)、質量分光)、光化学的、生化学的、免疫化学的又は化学的手段により、検出可能な作用剤である。有用な検出可能なマーカーとして、蛍光染料、化学発光化合物、放射性同位元素、高電子密度試薬、酵素、着色粒子、ビオチン、又はジゴキシゲニン(dioxigenin)が挙げられるがこれらには限定されない。多くの場合、検出可能なマーカーは、放射活性、蛍光、色、又は酵素活性などの測定可能な信号を発する。検出可能な作用剤を結合した抗体を、診断又は治療目的で用いてもよい。検出可能な作用剤の例には、種々の酵素、自然に生じる胞子関連生体分子(例えば、ジピコリン酸、ジピコリン酸カルシウム)、補欠分子族、蛍光物質、発光物質、生物発光物質、放射活性物質、種々のポジトロン放出断層撮影を使用するポジトロン放出金属、非放射活性常磁性金属イオン、ラマン標識及びSERS標識が挙げられる。検出可能な物質は、直接的に、又は例えば、当該技術分野において既知のリンカーなどの仲介物を介して間接的に、当該技術分野において既知の手法を用いて抗体に共役又は結合できる。例えば、診断利用のための抗体への金属イオンの結合を記載している米国特許第4,741,900号を参照されたい。好適な酵素の例として、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、及びアセチルコリンエステラーゼが挙げられ、好適な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチン及びアビジン/ビオチンが挙げられ、好適な蛍光性物質の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロライド及びフィリコエリトリンが挙げられ、発光性物質の例として、ルミノールが挙げられる。生物発光性物質の例として、ルシフェリン、及びエクオリンが挙げられ、及び好適な放射性物質の例として、ヨウ素(121I、123I、125I、131I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(H)、インジウム(111In、112In、113mIn、115mIn)、テクネチウム(99Tc、99mTc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、フッ素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、及び97Ruが挙げられる。このような部分を抗体に結合する手法は周知である。
本発明の抗体は、任意の種類の分子と抗体との共有結合により修飾又は複合化された、抗体誘導体を包含する。このような抗体誘導体として、例えば、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク質分解的開裂、又は細胞内配位子又は他のタンパク質への結合により修飾されている抗体が挙げられる。特異的な化学開裂、アセチル化、ホルミル化、及びツニカマイシンの代謝合成などを含むが、これらに限定されない、既知の手法により任意の多くの化学修飾を実施可能である。更に、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含有できる。
本発明の抗体は、免疫特異的結合について、本明細書に記載する方法及び任意の好適な当該技術分野において既知の方法により評価することができる。利用可能なイムノアッセイには、BIAcore分析、蛍光活性化セルソーター(FACS)分析、免疫蛍光法、免疫細胞化学法、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、及びタンパク質Aイムノアッセイなどの手法を用いた、競合的及び非競合的アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは慣行法であり、当該技術分野において周知である(例えば、Ausubel et al.,eds,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994)を参照されたい)。
更に本発明に包含されるのは、本明細書に記載される抗体の1つ以上を含む組成物である。組成物はまた、例えば、pHを許容範囲に保つのに役立つ緩衝剤、又は微生物の増殖を抑制する防腐剤を含んでもよい。組成物は、例えば、キャリア、賦形剤、安定剤、キレート化剤、塩、又は抗菌剤を含んでもよい。許容可能なキャリア、賦形剤、安定剤、キレート化剤、塩、防腐剤、緩衝剤、若しくは抗菌剤として、リン酸、クエン酸、及びその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンなどの酸化防止剤;アジ化ナトリウム、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなどの防腐剤;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジルアルコール:メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;及びm−クレゾール;ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、若しくは非特異的免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドン(olyvinylpyrrolidone)などの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの単糖類、二糖類、及びその他の炭水化物;EDTAなどのキレート化剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN、PLURONICS、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらには限定されない。本明細書で記載するとき、組成物はポリクローナル抗血清ではない。
本発明はまた、本発明の1つ以上の抗体を含むキット又は検出システムを提供する。キットは、1つ以上の本発明の抗体で満たされる、1つ以上の容器を含み得る。更に、キットは、緩衝液及び溶液など、本発明の実施に必要なその他の試薬を含むことができる。このような容器(1つ又は複数)に任意に付属するものとして、注意事項や説明書が挙げられる。キットは、梱包材料を含むことができる。本明細書で使用するとき、「梱包材料」という用語は、キットの内容物を収容するのに用いる1つ以上の物理的構造体を意味する。梱包材料は、無菌の、汚染物質を含まない環境を提供できる周知の方法で組み立てられる。
本発明は、単離された抗体を包含する。本明細書で開示されている種々の抗体を説明するのに使用するとき、「単離された」は、同定され、その自然環境の構成成分から分離及び/又は回収された抗体を意味する。その自然環境の汚染物質構成成分は、ポリペプチドについての診断又は治療的使用を典型的に妨害する物質であり、酵素、ホルモン及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質を含み得る。
本発明の抗体は、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに、「特異的に結合し」得るか又は「特異的であり」得る。このような抗体は、あらゆる他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープに実質的に結合せずに、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド上のエピトープに結合するものである。
本発明の抗体は、動物により産生すること、化学合成すること又は組み換え発現することができる。本発明の抗体は、当該技術分野において既知の免疫グロブリン分子の任意の精製法、例えば、クロマトグラフィー(イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、サイズ排除カラムクロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない)、遠心分離、溶解度差、又は任意のその他の標準的なタンパク質精製技術により精製することができる。更に、本発明の抗体又はその断片は、本明細書に記載されている異種ポリペプチド配列と融合して、あるいは当該技術分野において既知の別の方法で、精製又は検出を容易にすることができる。
本発明の抗体は、クロストリジウム・ディフィシル胞子及びそのポリペプチド断片の検出方法、並びに、クロストリジウム・ディフィシル胞子又はそのポリペプチド断片の単離又は精製方法が挙げられるがこれらに限定されない非常に様々な診断又は治療方法に使用され得る。
本発明の抗体は、サンプル中でのクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在又は不在を判定するために、当該技術分野において既知の非常に様々なイムノアッセイ技術のいずれかに使用され得る。本明細書で使用するとき、イムノアッセイは、抗体がその抗原標的に対して反応することを用いて、サンプル中でのクロストリジウム・ディフィシル胞子などの検体の存在を同定する試験である。アッセイは、抗体がその抗原に特異的に結合することを利用する。本発明にはまた、このような検出方法も包含される。
イムノアッセイでは、サンプルは1つ以上の抗体に接触させられ、抗体は、サンプル中に存在する場合にはその抗原標的に結合可能である。次に、1つ以上の抗体のそれらの抗原標的への結合は、抗原標的に結合した抗体を検出することにより、判定される。このような検出は、例えば、比色的に、蛍光定量的に、酵素的に、又は放射性同位体で、達成され得る。アッセイの形式に依存して、検出可能な標識を抗原又は抗体に結合することができる。検出可能部分は、直接的又は間接的のいずれかで検出可能な信号を産生することができるべきである。例えば、検出可能部分は、例えば、H、14C、32P、35S又は125Iなどの放射性同位体、例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリンなどの蛍光若しくは化学発光化合物、あるいは、例えば、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素、ラマン標識又はSERS標識であり得る。検出可能部分に抗体又は抗原を結合するための当該技術分野において既知の任意の方法が、採用され得る。検出可能部分(本明細書では検出可能標識とも呼ぶ)は、「標識された」抗体を生成するように、直接的又は間接的に抗体に結合され得る。標識はそれ自体で検出可能であり得るか(例えば、放射性同位体標識又は蛍光標識)、又は、酵素標識の場合には、検出可能である基質化合物若しくは組成物の化学変性を触媒し得る。
本発明のイムノアッセイには、BIAcore分析、蛍光活性化セルソーター(FACS)分析、免疫蛍光法、免疫細胞化学法、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル拡散沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光イムノアッセイ、及びタンパク質Aイムノアッセイなどの手法を用いた、競合的及び非競合的アッセイ系が挙げられるが、これらに限定されない。このようなアッセイは慣行法であり、当該技術分野において周知である(例えば、Ausubel et al.,eds,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,John Wiley&Sons,Inc.,NY(1994)を参照されたい)。
本発明のイムノアッセイは、均質又は不均質であり得る。不均質イムノアッセイは、通常、固相試薬を使用して、サンプルから結合していない抗体又は抗原を除去する工程を必要とする。均質アッセイはこの工程を必要としないので、均質アッセイは典型的に、行うのにより迅速で容易である。分離方法には、例えば、コーティングされた試験管、コーティングされたビーズ、コーティングされたウェル、磁気粒子又はガラス粒子の上での沈殿(例えば、二次抗体を用いて)及び除去が挙げられる。
本発明のイムノアッセイは、例えば、競合的結合アッセイであり得る。競合的イムノアッセイでは、サンプル中の抗原は、抗体と結合するために、標識された抗原と競合する。次に、抗体部位に結合した標識された抗原の量を測定する。この方法では、反応は、未知のものの中の抗原の濃度に反比例する。これは、反応が大きいほど、標識された抗原との競合に利用可能なサンプル中の抗原がより少なくなるからである。競合的イムノアッセイの例は、ラジオイムノアッセイ(RIA)である。
本発明のイムノアッセイは、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)であり得る。ELISAでは、未知量の抗原が表面上に固定され、次に特異的な抗体は表面全体を洗浄され、その結果、抗体は抗原に結合することができる。この抗体は酵素に結合し、最終工程では、酵素がある程度の検出可能な信号に転換できかつサンプル中の抗原の量が測定できる物質が加えられる。ELISAの実行は、特定の抗原に対して特異性を有する少なくとも1つの抗体を伴う。未知量の抗原を有するサンプルは、非特異的に(表面への吸着を介して)又は特異的に(「サンドイッチ」ELISAでは、同一の抗原に対して特異的な別の抗体による捕捉を介して)のいずれかで固体支持体(例えば、ポリスチレンマイクロタイタープレート)上に固定化される。抗原が固定化された後、検出抗体が加えられ、抗原と複合体を形成する。検出抗体は酵素と共有結合することができるか、又は、生物共役化を通して酵素に結合される二次抗体により検出抗体自体を検出することができる。各工程間で、プレートは、典型的にはマイルドな洗剤溶液で洗浄して、特異的に結合しないあらゆるタンパク質又は抗体を除去する。最終洗浄工程後、サンプル中の抗原の量を示す可視信号を産生する酵素基質を加えることにより、プレートを顕色させる。ELISAは、発色、発光又は蛍光基質を利用し得る。
本発明のイムノアッセイは、サンドイッチアッセイであり得る。サンドイッチアッセイでは、検体は、標的検体上の異なる抗原エピトープに結合する2つの抗体間の「サンドイッチ」である。一方の抗体は捕捉抗体として働き、二次抗体は検出抗体として働く。捕捉抗体は試験管又はウェルなどの固相にコーティングされ得、検出抗体は検出可能に標識され得る。
本発明のイムノアッセイは、例えば、イムノクロマトグラフィー側方流動アッセイ(本明細書では、側方流動アッセイ、側方流動試験又はイムノクロマトグラフィック・ストリップ試験とも呼ぶ)であり得る。側方流動アッセイは、単純な装置を使用して、サンプル中の標的検体の存在(又は不在)を迅速に検出する。これらの試験は通常、家庭検査、診療現場臨床検査又は実験での使用のいずれかのための医学的診断に使用される。計量棒形式で多くの場合製造される側方流動試験は、水溶液中に懸濁され得る試験サンプルが吸収パッドに向かって毛管作用又は吸上作用を介して多孔質基材(例えば、ニトロセルロース膜)を通って流れるイムノアッセイの形式である。サンプルが基材に適用された後、サンプルと混合し、サンプル中に存在する場合には検体に結合する色付き試薬(例えば、金又はラテックス粒子)と基材が接触する。混合物は基材を通過し、検体を結合できる抗体を固定化するために予め処理されたライン又は領域に接触する。検体がサンプル中に存在する場合、色付き試薬は試験ライン又は領域で結合していくことができる。代替的な実施形態では、側方流動アッセイを使用して、サンプル中に存在する特異的な抗体を検出することができる。これらの実施形態では、色付き試薬は抗原コーティングされた粒子であることができ、検出ライン又は領域は抗原で予め処理することができる。例えば、米国特許第5,753,517号、同第6,485,982号、同第6,509,196号、同第7,189,522号及び米国再発行特許第39664号、米国特許出願第2006/0275920号、並びに、Jeong et al.,2003,Korean J Biol Sci;7:89〜92を参照されたい。
本明細書に記載されている1つ以上の抗体を使用して、サンプル中に存在する場合には、クロストリジウム・ディフィシル胞子を基材に結合し、次に胞子の存在を様々な方法のいずれかにより検出及び/又は計量する検出方法もまた、本発明に包含される。胞子の存在は、例えば、顕微鏡、培養、酵素活性抗体結合(例えば、ELISAアッセイにおけるような)、カルシウム分子蛍光若しくは発光、又はランタニド金属媒介発光により、判定され得る。カルシウムイオンとの1:1複合体中のジピコリン酸は、細菌胞子に高濃度で存在し、他のあらゆる生命体では観察されていない。例えば、テルビウム又はユーロピウムなどのランタニド金属は、サンプル中の任意の細菌胞子内に存在するジピコリン酸(DPA)と結合して、例えば、ジピコリン酸テルビウム又はジピコリン酸ユーロピウムなどのランタネートキレートを生成する。このようなランタネートキレートは、光ルミネセンス検査を使用して検出できる識別可能な吸光度及び発光スペクトルを有する。ランタニド金属媒介発光はまた、例えば、側方流動アッセイにおいて、本明細書に記載されている種々のイムノアッセイ方法のいずれかで、検出信号として利用され得る。胞子発芽において、Ca−DPAが放出され、カルシウムは多くの手段で検出することができる。感知のための分子蛍光又は発光の使用によるカルシウムの蛍光検出は、高感度を提供する。カルシウム指標染料は、2つの群に分類することができる:第1群はカルシウム存在時にこれらの蛍光を増加する染料であり、一方、第2群はカルシウムの不在時にこれらが有するのとは異なる励起及び/又は発光波長をカルシウム存在時に有する染料である。カルシウム指標染料、カルシウムグリーン−1、カルシウムグリーン−2、及びFluo−4は、波長を変化させることなくカルシウムイオン(Ca2)の存在時にこれらの蛍光を増加する染料の代表である。Fura−2及びIndo−1は、ほとんどの実験で互換可能であると通常考えられるレシオメトリックCa2指標である。Fura−2は、Ca2に結合すると、その吸光又は発光ピークの338nmから366nmへの移行を呈する。一方、Indo−1は、カルシウム存在時に、発光の485nmから405nmへの移行を有する。カルシウムはまた、イクオリン及びオベリンなどのカルシウム活性化発光タンパク質を使用して検出することができる。生物発光の放出のために外部照射からの励起に対する必要性はないので、生成された信号は、実質上バックグラウンドを有さない。これにより、検出を非常に低いレベルに制限し、これらの発光タンパク質を分析用途について魅力的な標識にする。カルシウム媒介信号発信はまた、例えば、側方流動アッセイにおいて、本明細書に記載されている種々のイムノアッセイ方法のいずれかで、検出信号として利用され得る。このような方法及び本明細書に記載されている他の方法はまた、サンプル中に存在する胞子の計量を可能にする。例えば、米国特許第5,876,960号、同第6,498,041号、同第6,815,178号及び同第7,306,942号、米国特許出願第2003/0138876号、同第2004/0014154号及び同第2005/0136508号、並びに、Ponce,2003,NASA Tech Brief;27(3):pp.i〜ii,1〜3を参照されたい。
本発明の検出方法で、クロストリジウム・ディフィシル胞子に結合する本明細書に記載されている抗体の1つ以上を含む、1つ以上の抗体が使用され得る。更に、既知の特異性の1つ以上の追加的な抗体が使用され得、例えば、クロストリジウム・ディフィシル栄養細胞に結合する、異なる細菌種(例えば、C.クロストリジウム若しくはバチルス・ズブチリスなど)の栄養細胞に結合する、又は、異なる細菌種の胞子(例えば、C.クロストリジウム若しくはバチルス・ズブチリスの胞子など)に結合する、1つ以上の抗体が使用され得る。
サンプルは、非常に様々な供給源から入手され得、これらには環境又は食品サンプル及び医学若しくは獣医学的サンプルが挙げられるがこれらに限定されない。環境サンプルの例には、水サンプル、土壌サンプル、植物サンプル及び空気サンプルが挙げられるがこれらに限定されない。食品の例には、肉、家禽、卵、魚、魚介類、野菜、果物、加工食品(例えば、スープ、ソース、ペースト)、穀物製品(例えば、小麦粉、穀物、パン)、缶詰、乳、その他の乳製品(例えば、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、油脂、油、デザート、香辛料、薬味、パスタ、飲料、水、動物用飼料が挙げられるが、これらに限定されない。医学又は獣医学的サンプルには、臨床サンプル、細胞可溶化物、全血又はその部分(例えば、血清)、他の体液又は分泌物(例えば、唾液、痰、汗、皮脂、尿、脳脊髄液)、糞便、細胞、組織、臓器、生検及び異なる種類のスワブが挙げられるが、これらに限定されない。
サンプルは、感染媒介物から入手され得る。用語「感染媒介物」は、感染性生物を運搬、及び/又は移動することが可能な無生物又は基質を指すものとして一般的に用いられる。感染媒介物は、人から人へクロストリジウム・ディフィシルなどの病原菌を移す役割を果たす。感染媒介物としては、これらに限定されるものではないが、布巾、モップヘッド、タオル、スポンジ、雑巾、食器、硬貨、紙幣、携帯電話、衣類(靴を含む)、ドアノブ、女性用品、おむつなど、これらの部分、及びこれらの組み合わせが挙げられる。医療関係では感染媒介物の多くの例が存在する;使用間に適切に消毒されていない喉頭鏡などの器具、汚れたタオル、食器、並びに床、壁及び机などの表面は全て、病気を拡大する役割を果たし得る。対象とする表面には、これらに限定されるものではないが、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例、エアダクト)、通気口、トイレの便座、ハンドル、ドアノブ、手すり、ベッドレール(例えば、病院における)、カウンタートップ、テーブルトップ、食事用表面(例、トレイ、皿など)、作業面、機器表面、衣類など、及びこれらの組み合わせを含む様々な表面の少なくとも一部が含まれる。
サンプルは、液体、固体又は半固体であり得る。サンプルは、固体表面のスワブであり得る。サンプルは、調製又は希釈なしで、本発明の検出方法に直接使用され得る。例えば、液体サンプルは、直接アッセイにかけられ得る。サンプルは、緩衝溶液又は細菌培養培地が挙げられ得るがこれらに限定されない溶液中に、希釈又は懸濁され得る。固体又は半固体であるサンプルは、液体中で固体を刻む、混合する又は浸軟することにより、液体中に懸濁され得る。サンプルは、更に、濃縮又は富化され得る。
本発明のイムノアッセイは、種々の適切な対照サンプルを包含し得る。例えば、細菌胞子、細胞若しくは毒素を含有しない陰性対照サンプル、又は、細菌細胞、胞子若しくは毒素を含有する陽性対照サンプルが、アッセイにかけられ得る。本発明のイムノアッセイは、顕色にほんの数分かかり得、サンプル又は試薬調製をほとんど又は全く必要とし得ない。本発明のイムノアッセイは、定性的又は定量的形式で行われ得る。定性的結果は、サンプルについて単純に陽性又は陰性の結果を提供する。陽性と陰性との境界は分析者により判定され、統計的であり得る。多くの場合、標準偏差の2又は3倍が使用されて、陽性サンプルと陰性サンプルとを識別する。定量的形式では、結果は、標準曲線に内挿され得、これは典型的には標的の連続希釈である。
本発明を以下の実施例によって例示する。特定の実施例、物質、量及び手順が本明細書で記載された本発明の範囲及び趣旨により広く解釈されるべきであることが理解されるべきである。
(実施例1)
クロストリジウム・ディフィシル胞子の産生
Brain Heart Infusion Broth(BHI)の入った1本の試験管にクロストリジウム・ディフィシル(ATCC(登録商標)No.700792、American Type Culture Collection(Manassas,VA))を接種し、嫌気性条件下において35〜37℃で24時間にわたってインキュベートした。インキュベート後、ブロス培養物のアリコート1ミリリットル(mL)を最低でも4本のBHIブロス含有試験管に移し、次に、嫌気性条件下において35〜37℃で12日間にわたってインキュベートした。ブロス培養物を10,000回転毎分(rpm)で10分間(min)にわたって遠心分離し、細胞ペレットを室温で1時間にわたって10mLの無水エタノールに再懸濁して、栄養細胞を殺した。1時間後、懸濁液を10,000RPMで10分間にわたって遠心分離し、細胞ペレットを無菌Butterfield緩衝液で少なくとも2回洗浄した。ペレットを無菌Butterfield緩衝液に再懸濁し、嫌気性血液寒天上で連続希釈物をプレーティングすることにより、1ミリリットル当たりの胞子数を決定した。以下の実施例では、失活胞子に対するポリクローナル抗体の産生における免疫原として、及び、抗胞子抗体の結合特異性を判定するためのELISAアッセイにおける抗原標的としての両方で、再懸濁胞子を使用した。
(実施例2)
失活クロストリジウム・ディフィシル胞子に対するポリクローナル抗体の産生
1mL当たり約10個の胞子の濃度のクロストリジウム・ディフィシル胞子を5%ホルマリンで10分間にわたって処理して、胞子を失活させた。失活胞子を無菌Butterfield緩衝液で2回洗浄し、次に無菌Butterfield緩衝液に再懸濁した。標準的なプロトコル(Antagene,Inc(Mountain View,CA))を使用して、ウサギにおいて、ポリクローナル抗体を失活胞子に対して産生する。簡潔には、ニュージーランドシロウサギ(2個体のウサギ)に免疫付与毎に1×10/mL等量の不活性胞子を免疫付与した。無菌生理食塩水で免疫原を1mLに希釈し、1mLの適切なアジュバントと組み合わせた。抗原とアジュバントを混合して、安定なエマルションを形成し、これを皮下注射した。第1日には完全Freundアジュバント(CFA)中の抗原をウサギに免疫付与し、続いて第20日、第40日及び第60日には、全てのそれに続く注射のために不完全Freundアジュバント(IFA)中の抗原を免疫付与した。
最後の免疫付与の10日後に、ウサギから血液を採取し、37℃で一晩にわたって凝固及び退縮させた。次に、凝固した血液を24時間にわたって冷蔵し、血清をデカントし、2500rpmで20分間にわたって遠心分離することにより清澄化した。免疫前及び免疫血清を失活胞子に対してELISAにより試験した。ELISAプロトコルのために、クロストリジウム・ディフィシルの失活胞子をコーティング緩衝液(無菌蒸留水1リットル当たり1.59グラム(g)のNaCO及び2.93gのNaHCOの、0.1Mの重炭酸塩緩衝液、pH9.6)1ミリリットル(mL)当たり10個の胞子に希釈した。100マイクロリットル(μL)の胞子溶液をELISAプレート(ELISA Enhanced Surface plate)(BD Falcon(Franklin Lakes,NJ))のウェルに加えた。対照ウェルに100μLのコーティング緩衝液を加えた。プレートをPARAFILMで覆い、4℃で15〜16時間にわたってインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液(0.05%のTween20を有するリン酸緩衝生理食塩水)で3回洗浄した。室温(RT)で振盪しながら、100μLのブロッキング緩衝液(PBS中、1%のBSA及び0.05%のTween−20)で2時間にわたって、プレートをブロックした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、RTで振盪しながら1〜2時間にわたってブロッキング緩衝液中の一次抗体100μLをインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、RTで振盪しながら1時間にわたってHRP標識を有する二次抗体(ヤギ抗ウサギHRP複合体;1:10,000希釈(Pierce(Rockford,IL)))100μLをインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で4回洗浄した。50μLの基質溶液(1−step Ultra TMB(Pierce(Rockford,IL)))を各ウェルに加え、RTで15〜30分間にわたって振盪しながらインキュベートした。50μLの反応停止液(1.5Mのリン酸)を加えることにより着色を停止させ、各プレートの吸光度を450nmでSpectraMax plus 384(Molecular Devices(Sunnyvale,CA))で読み取った。吸光度を比較して、標的について信号が何倍増加したかを判定した。免疫化血清は、免疫前血清で得られたもののおよそ13〜15倍という、失活胞子に対する良好な応答を示した(表1)。
Figure 2011512817
硫酸アンモニウム沈殿、続いてタンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより、抗体を精製した。簡潔には、氷冷飽和硫酸アンモニウムを最終比1:1(50%の飽和硫酸アンモニウム)まで滴加することにより、抗血清を沈殿させた。この手順を一定攪拌を行いながら氷冷ビーカー内で行った。上清を50mL遠心管に移し、4℃で一晩にわたって往復運動ミキサー上に配置した。2℃において10,000×gで30分間にわたって、懸濁液を遠心分離した。上清を除去し、ペレットを同容量の脱イオン水に再懸濁した。再懸濁タンパク質を2リットル(L)のPBSに対して透析した(12,000〜14,000MWカットオフ透析管)。透析緩衝液を除去し、約2時間後に交換し、かつ約24時間後に再び交換した。透析の約48時間後、タンパク質透析物を除去し、0.22μmフィルターで濾過した。
製造者の取扱説明にしたがって、BioRad(Hercules,CA)からのタンパク質A親和性カラムを使用して、クロマトグラフィーにより、IgG画分を濾液から回収した。簡潔には、Shimadzu HPLC system(Model SCL−10AVP(Shimadzu Corporation,Shimadzu Scientific Instruments,Inc.(Columbia,MD)))を全ての分取クロマトグラフィーの実行に使用した。下記に列挙される抗体の結合及び溶出に使用される溶媒は、結合緩衝液A(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.3)及び溶出緩衝液B(20mMの酢酸ナトリウム、0.5MのNaCl、pH3.5)であった。MILLI Q filtration system(Millipore Corp.(Billerica,MA))を使用して全ての緩衝液を脱イオン水で調製し、0.22μm(孔径)膜フィルターを通して濾過した。サンプル注入に先立ってカラムを結合緩衝液Aで予め平衡化した。T=0分において、サンプル注入ループを介して、抗血清サンプルを手動でカラムに注入した。サンプル注入後、溶媒を以下のようにカラムを通して流した:結合緩衝液BをT=0において流速0.6mL/分で開始;溶出緩衝液BをT=20分において流速1.0mL/分で開始;及び結合緩衝液BをT=60分において流速1.0mL/分で開始。各移動相溶媒からのカラム溶出の一部を採取した。精製された抗クロストリジウム・ディフィシル抗体タンパク質が51分周辺で溶出した。各実行は70分間の長さであり、その後、pHを変化させるための緩衝液の3回の交換により、第2のピークが透析に現れた。次に、分留を濾過し、貯留し、OD測定した。20分で緩衝液を溶出緩衝液に交換した。精製された抗体をPBSに対して透析し、4℃で緩衝液を3回交換した。透析された抗体は、Centriconフィルター(10,000分子量カットオフ;Millipore Corporation(Billerica,MA))を使用して、濃縮した。
精製された抗体を、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・スポロゲネス(ATCC 3584)及びバチルス・ズブチリス(ATCC 19659)胞子に対するELISAにより試験した。クロストリジウム・スポロゲネス及びバチルス・ズブチリス胞子は、Presque Isle Cultures(Erie,PA)から入手した。胞子をコーティング緩衝液で希釈した。種々の胞子濃度(1mL当たり10〜10個)のバチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルをコーティングし、上記のように行われるELISAアッセイにおいて抗体を用いて試験した。抗ウサギHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出し、胞子抗体は1mL当たり10個の胞子において、バックグラウンドの約20倍の応答という、クロストリジウム・ディフィシルとの良好な反応を示し、クロストリジウム・スポロゲネスについてはおよそ2倍という弱い応答を示し、バチルス・ズブチリス胞子についてはバックグラウンドを超える反応を示さなかった(表2を参照されたい)。表2に提示されているデータは、実験の1つからの3つのウェルからの読み取り値の平均であり、少なくとも3つの別個の実験の代表である。
Figure 2011512817
(実施例3)
抗体の産生のためのクロストリジウム・ディフィシル胞子特異性タンパク質の選択
クロストリジウム・ディフィシル株630の完全ゲノム配列は特定されており、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)、米国国立医学図書館(NLM)、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)(NCBI)により保持されているGenBank(登録商標)配列データベースで入手可能である。Sebaihia et al.,2006,Nat.Genet;38(7):779〜786も参照されたい。クロストリジウム・ディフィシルについての全てのGenBank(登録商標)登録の徹底的な検索を行い、2つの胞子特異的タンパク質を抗体産生のために採用した。選択されたタンパク質の1つは、仮想上のタンパク質CD1021(YP_001087502)であり、これは胞子コート集合体タンパク質H(cotH)に対する保存ドメイン(アミノ酸残基90〜393)を示す。もう一方の選択されたタンパク質は、細胞表面タンパク質(推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ、YP_001087517であり、これは、保存ドメインCW_binding_2(推定細胞壁結合リピート2;174〜265、275〜368、381〜461)及びAmidase_3(N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ、493〜673)を有する。NCBIから入手可能な及びncbi.nlm.nih.gov/Structure/cdd/cdd.shtmlのworldwide webで利用可能な保存ドメイン検索ツールを使用して、分析を行った。
クロストリジウム・ディフィシル630の仮想上のタンパク質CD1021(GenBank Accession No.YP_001087502)は、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2011512817
Sebaihia et al.,2006,Nat.Genet;38(7):779〜786、及び、ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=protein&id=126698605のworldwide webも参照されたい。
クロストリジウム・ディフィシル630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質(GenBank Accession No.YP_001087517)は、以下のアミノ酸配列を有する:
Figure 2011512817
Sebaihia et al.,2006,Nat.Genet;38(7):779〜786、及び、ncbi.nlm.nih.gov/entrez/viewer.fcgi?db=protein&idのworldwide webも参照されたい。
(実施例4)
仮想上のタンパク質CD1021に対するGATポリクローナル抗体
Strategic Diagnostics Inc.(SDI)(Newark,DE)が商標を有するGenomic Antibody Technology(商標)(GAT)を使用して、仮想上のタンパク質CD1021に対するポリクローナル抗体を産生した。このタンパク質からの独自のアミノ酸配列を同定し、この配列情報をSDIが商標を有するプラスミドベクターに配置した。このベクターをマウスに導入した。この技術を用いると、宿主動物の細胞はプラスミドを取り込む。これらの細胞中で免疫原を合成し、宿主細胞により分泌させ、免疫系により直ちに認識させ、発現タンパク質配列に対するポリクローナル抗体の産生を導く。GATを使用すると、ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体の両方を顕色させることができる。自然のタンパク質合成機序を使用して、タンパク質免疫原を宿主動物内で産生する。免疫原は実験室では合成も精製も行われないので、変性又は劣化の機会を有さない。天然免疫原が免疫系に直ちに提供され、成熟した抗体反応が生じる。
ポリクローナル抗体産生に使用される仮想上のタンパク質CD1021のタンパク質配列は残基505〜604であり、以下のアミノ酸配列を有した:
Figure 2011512817
2匹の免疫化マウスからの血清を貯留し、ウエスタンブロットにより免疫原に対して試験して抗体の特異性を判定した。その後、実施例2に記載のように、硫酸アンモニウム沈殿、続いてタンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより、抗体を精製した。
まず、種々の胞子濃度(1mL当たり10〜10個)のバチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルをコーティングし、抗体を用いて試験した。抗マウスHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。仮想上のタンパク質CD1021(配列番号2)に対するマウス抗体は、1mL当たり10個の胞子において、バックグラウンドの約10倍増加した応答を示し、クロストリジウム・スポロゲネス胞子については弱い応答(約2倍)を示し、バチルス・ズブチリス胞子についてはバックグラウンドを超える反応を示さなかった(表3を参照されたい)。表3に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、2つの別個の実験の代表である。
Figure 2011512817
サンドイッチELISAを使用して、抗体を更に試験した。プレートをポリクローナルCD1021抗体でコーティングし、その後、胞子(バチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシル)を結合させた。上記実施例2からの抗クロストリジウム・ディフィシル失活胞子抗体を二次抗体として、その後、抗ウサギHRP抗体(BD Pharmingen)を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。バチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルの胞子を種々の濃度で使用したが、抗体はクロストリジウム・ディフィシル胞子の検出に特異的である。それらの結果を下記の表4に示す。
サンドイッチELISAプロトコルにおいて、精製されたマウスCD1021抗体を1μg/mLの濃度で抗原コーティング緩衝液に希釈した。100μLの抗体溶液をELISAプレート(ELISA Enhanced Surface plate)(BD Falcon(Franklin Lakes,NJ))のウェルに加えた。プレートをParafilmで覆い、4℃で15〜16時間にわたってインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で4回洗浄した。室温(RT)で振盪しながら2時間にわたって100μLのブロッキング緩衝液でプレートをブロックした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で4回洗浄し、ブロッキング緩衝液中のクロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・スポロゲネス及びバチルス・ズブチリス(1mL当たり10個、10個及び10個の胞子を100μL)の胞子溶液を加えた。対照ウェル用に、100μLのブロッキング緩衝液を加えた。RTで2時間にわたってインキュベートした後、プレートを空にし、洗浄緩衝液で4回洗浄し、RTで振盪しながら1時間にわたってブロッキング緩衝液中の二次抗体(抗ウサギクロストリジウム・ディフィシル胞子抗体、実施例2に記載)100μLでインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で4回洗浄し、RTで振盪しながら1時間にわたってHRP標識を有する二次抗体(ヤギ抗ウサギHRP複合体;1:10,000希釈(BD Pharmingen))100μLをインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄した。50μLの基質溶液(1−step Ultra TMB(Pierce))を各ウェルに加え、RTで15〜30分間にわたって振盪しながらインキュベートした。50μLの反応停止液(1.5Mのリン酸)を加えることにより着色を停止させ、各プレートの吸光度を450nmで読み取った。吸光度を対照に対して比較し、標的について信号が何倍増加したかを判定した(表4を参照されたい)。表4に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、2つの別個の実験の代表である。
Figure 2011512817
(実施例5)
仮想上のタンパク質CD1021ペプチドに対するポリクローナル抗体
2つの独自のアミノ酸配列を仮想上のタンパク質CD1021から同定した。タンパク質及びDNAデータベース両方の検索は、両方の配列がクロストリジウム・ディフィシルに特異的であり、バチルスなどの他の細菌と相同性を有さないことを示した。これらの2つの配列は以下のものである:
Figure 2011512817
これらのペプチドは、N末端に遊離システインを有して合成され、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合されて、高い力価の抗体を誘発した。Epitomics(Burlingame,CA)による抗原を用いる標準的なプロトコルにしたがって、2つのKLH結合ペプチドの各々を別々に使用して、2個体のウサギを免疫化した。簡潔には、1mLのCFAと共にKLH結合ペプチド(0.5mg/mL)を最初に注射し、その後、1mLのIFAと共にKLH結合ペプチド(0.25mg/mL)を4回追加した。
各免疫付加後に血液を採取し、各ペプチドを使用してELISAにより血清を試験した。出血3及び4は、免疫前血清のおよそ5〜7倍の応答の、ペプチドに対する良好な応答を示した(表5)。
Figure 2011512817
実施例2に記載のように、硫酸アンモニウム沈殿、続いてタンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより、出血3及び4からの血清を精製した。精製した抗体をELISAによりプレート結合ペプチドへの結合について試験した。
1μg/mLの濃度で抗原コーティング緩衝液にペプチドを希釈した。100μLのペプチド溶液をELISAプレート(ELISA Enhanced Surface plate)(BD Falcon(Franklin Lakes,NJ))のウェルに加えた。対照ウェルに100μLのコーティング緩衝液を加えた。プレートをParafilmで覆い、4℃で15〜16時間にわたってインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄した。室温(RT)で振盪しながら2時間にわたって100μLのブロッキング緩衝液でプレートをブロックした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、RTで振盪しながら1〜2時間にわたってブロッキング緩衝液中の一次抗体100μLをインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、RTで振盪しながら1時間にわたってHRP標識を有する二次抗体(1:10,000希釈)100μLをインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄した。50μLの基質溶液(1−step Ultra TMB(Pierce))を各ウェルに加え、RTで15〜30分間にわたって振盪しながらインキュベートした。50μLの反応停止液(1.5Mのリン酸)を加えることにより着色を停止させ、各プレートの吸光度を450nmで読み取った。吸光度を対照に対して比較して、標的について信号が何倍増加したかを判定した。
種々の胞子濃度(1mL当たり10〜10個)のバチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルをコーティングし、抗体を用いて試験した。抗ウサギHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して抗原抗体相互作用を検出し、抗体はクロストリジウム・ディフィシル胞子の検出に特異的であり、クロストリジウム・ディフィシル胞子についてバックグラウンドの6〜10倍の応答を示した(表6を参照されたい)。表6に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、少なくとも3つの別個の実験の代表である。
Figure 2011512817
(実施例6)
推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質に対するGATポリクローナル抗体
Strategic Diagnostics Inc.(Newark,DE)が商標を有するGenomic Antibody Technology(商標)(GAT)を使用して、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質である細胞表面タンパク質に対するポリクローナル抗体を産生した。実施例4に記載のように、このタンパク質からの独自の配列を同定し、この免疫原をマウス内でin vivoで発現させた。発現された免疫原を宿主免疫系により認識させ、発現タンパク質に対するポリクローナル抗体の産生を導く。抗体産生に使用される細胞表面タンパク質(推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ)のタンパク質配列は、残基294〜393であり、以下のアミノ酸配列を有した:DKNHDVEKV YITNANGGEV DALTIAAKAG QDKQPIILTD KDSITDNYKW LKSEDLQNAY FIGGPQMIST NVINKVNGIT KDSVTNNRVY GADRHETNAN(配列番号6)。
血清を免疫化動物から貯留し、ウエスタンブロットにより免疫原に対して試験して抗体の特異性を判定した。その後、硫酸アンモニウム沈殿、続いてタンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより、抗体を精製した。
まず、種々の未発芽胞子濃度(1mL当たり10〜10個)のバチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルをコーティングし、抗体を用いて試験した。抗マウスHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。細胞表面タンパク質(推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ)に対する抗体は、クロストリジウム・ディフィシル又は他の胞子といかなる反応も示さなかった。
種々の発芽溶液を使用して、バチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルの胞子を発芽させた。発芽胞子(1mL当たり10〜10個)をコーティングし、抗体を用いて試験した。抗マウスHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。この抗体は発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子を検出することができ、バックグラウンドの約6倍の応答を示すが、発芽バチルス・ズブチリス又はクロストリジウム・スポロゲネス胞子を検出できなかった(表7を参照されたい)。表7に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、2つの別個の実験の代表である。
胞子の発芽は、バチルス・ズブチリス胞子について詳しく研究されてきており、これはL−アラニン並びにアスパラギンとグルコースとフルクトースとカリウムイオンとの組み合わせ(「AGFK」)などの特定の発芽因子により発芽するように誘導することができる(Moir and Smith,1990,Ann Rev Microbiol;44:531〜553)。クロストリジウム・ディフィシル胞子を発芽させる最初の試みは、種々の発芽因子(AGFKとアラニン及びイノシンとの組み合わせ)を使用することであったが、胞子発芽は効率的ではなかった。クロストリジウム・ディフィシル胞子は、1%のタウロコール酸ナトリウムを添加した栄養培地内で発芽するが(Sorg and Sonenshein,2008,J Bacteriol(2008年2月1日に印刷に先立って公開)doi:10.1128/JB.01765−07)、これらの胞子は、酵母抽出物(5mg/mL)、L−システイン(0.1%)及び1%のタウロコール酸ナトリウムを補填したBrain Brain−Heart Infusionブロス内で発芽した。胞子の発芽に続いて、胞子培養物のOD600の測定(発芽時にOD600は減少する)及び位相差顕微鏡検査を行った。前述のようにクロストリジウム・スポロゲネス及びバチルス・ズブチリスの胞子を発芽させた(Broussolle et.al.,2002,Anaerobe;8:89〜100;Moir and Smith,1990,Ann Rev Microbiol;44,531〜553)。
Figure 2011512817
(実施例7)
細胞表面タンパク質(推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ)ペプチドに対するポリクローナル抗体
2つの独自の配列をクロストリジウム・ディフィシルN−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼのタンパク質配列から同定し、タンパク質及びDNAデータベースの両方でのBLAST検索で、これらの配列は、クロストリジウム・ディフィシルに特異的であり、バチルスなどの他の細菌と相同性を有さなかった。
ペプチド1 YKLKDKNGGTTKTVA(配列番号7)(アミノ酸残基582〜596)
ペプチド2 KFKEKPDADSIKLKY(配列番号8)(アミノ酸残基64〜78)
これらのペプチドは、N末端に遊離システインを有して合成され、KLHに結合されて、高い力価の抗体を誘発した。両方のKLH結合ペプチドを組み合わせ、共に使用して、Antagene(Mountain View,CA)による標準的なプロトコルにしたがって、2個体のウサギを免疫化した。最後の免疫付与の10日後に、ウサギから血液を採取し、37℃で一晩にわたって凝固及び退縮させた。次に、凝固した血液を24時間にわたって冷蔵し、血清をデカントし、2500rpmで20分間にわたって遠心分離することにより清澄化した。これらのペプチドに対して免疫前の及び免疫化した血清を用いて、最初のELISAを行った。これらのペプチドに対して免疫化した血清はペプチドに対して良好な応答を示し、免疫前の血清の約7〜10倍の応答を示した(表8)。
Figure 2011512817
実施例2に記載のように、硫酸アンモニウム沈殿、続いてタンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより、抗体を精製した。精製された抗体をELISAにより試験した。まず、種々の未発芽胞子濃度(1mL当たり10〜10個)のバチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルをコーティングし、抗体を用いて試験した。抗ウサギHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。細胞表面タンパク質(推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ)に対する抗体は、クロストリジウム・ディフィシル又は他の胞子といかなる反応も示さなかった。種々の発芽溶液を使用して、バチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルの胞子を発芽させた。発芽胞子(1mL当たり10〜10個)をコーティングし、抗体を用いて試験した。抗ウサギHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。この抗体は発芽クロストリジウム・ディフィシル胞子を検出することができ、バックグラウンドの約6倍の応答を示すが、バチルス・ズブチリス又はクロストリジウム・スポロゲネス発芽胞子を検出できなかった(表9を参照されたい)。表9に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、2つの別個の実験の代表である。
Figure 2011512817
(実施例8)
クロストリジウム・ディフィシル胞子の検出のためのクロストリジウム・ディフィシル共通抗原に対するポリクローナル抗体
市販のウサギクロストリジウム・ディフィシル共通抗原(グルタミン酸デヒドロゲナーゼ)抗体(Meridian Life Science(Saco,ME))は、毒素産生性及び非毒素産生性株の両方と反応し、クロストリジウム・ディフィシルの栄養細胞を検出するのに使用される。この実施例では、市販のウサギクロストリジウム・ディフィシル共通抗原抗体をELISAによるクロストリジウム・ディフィシル胞子の検出のために試験した。硫酸アンモニウム沈殿、続いてタンパク質Aカラムクロマトグラフィーにより、抗体を精製した。種々の胞子濃度(1mL当たり10〜10個)のバチルス・ズブチリス、クロストリジウム・スポロゲネス及びクロストリジウム・ディフィシルをプレートにコーティングし、抗体を用いて試験した。抗ウサギHRP抗体(Pierce(Rockford,IL))を使用して、抗原抗体相互作用を検出した。共通抗原抗体はクロストリジウム・ディフィシル胞子と良好な反応を示し(1mL当たり10個の胞子においてバックグラウンドの約10倍の応答、及び1mL当たり10個の胞子においてバックグラウンドの約18倍の応答)、クロストリジウム・スポロゲネス胞子については弱い応答を示し(バックグラウンドの約2倍の応答)、バチルス・ズブチリス胞子についてはバックグラウンドを超える反応を示さなかった(表10を参照されたい)。表10に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、少なくとも3つの別個の実験の代表である。この抗体は、サンドイッチELIZAアッセイにおける捕捉抗体として使用され得る。
Figure 2011512817
(実施例9)
栄養細胞に対するクロストリジウム・ディフィシル抗体の結合
失活胞子に対するウサギポリクローナル抗体(実施例2により詳細に記載)、CD1021配列配列番号3に対するウサギポリクローナル抗体(実施例5により詳細に記載)、2つのアミダーゼペプチド配列番号7及び配列番号8に対するウサギポリクローナル抗体(実施例7により詳細に記載)、及び、市販の抗GDH抗体(実施例8により詳細に記載)をクロストリジウム・ディフィシルの栄養細胞への結合についてELISAによりスクリーニングした。嫌気性条件下で16〜18時間にわたってクロストリジウム・ディフィシルATCC株43594、43596及び43603をチオグリコレート培地内で成育させた。これらの細胞を抗原コーティング緩衝液で系列希釈し、100μLの種々の希釈物をELISAプレートに加え、プレートを嫌気性条件下において37℃で1時間にわたってインキュベートして、胞子形成を防止した。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、嫌気性条件下において37℃で1時間にわたってブロッキング緩衝液でブロックした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、RTで1時間にわたって一次抗体をインキュベートした。プレートを空にし、洗浄緩衝液で3回洗浄し、RTで1時間にわたってHRP標識を有する二次抗体(1:10,000)をインキュベートした。プレートを洗浄し、基質を加えて顕色させ、反応停止液を加えた後でプレートを450nmで読み取った。失活胞子、CD1021(配列番号3)及びアミダーゼ(配列番号7及び配列番号8)に対するウサギポリクローナル抗体は、栄養細胞(1mL当たり約10〜10個の細胞)とのいかなる結合も示さなかった。しかしながら、市販の抗GDH抗体は、1mL当たり約10個の細胞において、対照の4倍の信号増加という、良好な結合を示した(表11を参照されたい)。表11に提示されたデータは、3つのウェルの読み取り値の平均であり、2つの別個の実験の代表である。
Figure 2011512817
(実施例10)
クロストリジウム・ディフィシル胞子検出のための側方流動装置における抗体の使用
上記実施例に記載の種々の抗体をCy3(Cy3Ab標識キット(Amersham Biosciences(Piscataway,NJ))で標識し、クロストリジウム・ディフィシル胞子検出能力について試験した。特に、失活胞子に対するウサギポリクローナル抗体(実施例2により詳細に記され、表12では「胞子」抗体と呼ぶ)、CD1021配列配列番号3に対するウサギポリクローナル抗体(実施例5により詳細に記され、表12ではCD1021ペプチド1Abと呼ぶ)、2つのアミダーゼペプチド配列番号7及び配列番号8の混合物に対するウサギポリクローナル抗体(実施例7により詳細に記され、表12ではアミダーゼペプチドAbと呼ぶ)、並びにクロストリジウム・ディフィシル・グルタミン酸塩デヒドロゲナーゼ共通抗原に対する市販のウサギ抗体(実施例8により詳細に記され、表12では「GDH」抗体と呼ぶ)を標識し、試験した。
結合パッドとニトロセルロース膜と吸収パッドとを有する典型的な側方流動ストリップを調製した。ニトロセルロース上に抗体をスポッティングし、乾燥させた。クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・スポロゲネス及びバチルス・ズブチリスの発芽及び未発芽胞子(1mL当たり10個)を各々、標識された抗体(10μg/mLのCy3標識抗体50μL)で別個に混合し、結合パッドに適用した。抗体胞子混合物を10分間にわたって吸い上げさせた。リン酸緩衝生理食塩水を対照として使用した。10分後、マイクロアレイスキャナー(Tecan(Durham,NC))を使用して、ストリップをスキャンした。
クロストリジウム・ディフィシル胞子抗体、アミダーゼ抗体又はCD1021抗体を使用する側方流動ストリップは、抗体がクロストリジウム・ディフィシル胞子の検出に特異的であることを示した。アミダーゼ抗体は未発芽胞子を検出しなかったが、発芽胞子を検出することができた。これらの観察に基づき、クロストリジウム・ディフィシル胞子検出のための側方流動ストリップを設計することができる。例えば、標識されたGDH抗体は検出試薬として、胞子抗体又はCD1021抗体は未発芽胞子を検出するための捕捉試薬として、及びアミダーゼ抗体は発芽抗体を検出するための捕捉試薬として使用され得る。
表12に概要が示されているように、抗体の種々の対を、クロストリジウム・ディフィシル胞子を検出するために、胞子又は発芽胞子を検出するために使用することができる。
Figure 2011512817
(実施例11)
表面上でのクロストリジウム・ディフィシル胞子の検出
1mL当たり10個のクロストリジウム・ディフィシル胞子100μLを無菌アルミニウム試験片(2.54cm×7.62cm(1”×3”))上に広げ、RTで約1時間にわたって乾燥させた。約50μLの無菌PBSで湿らせた無菌スワブで5〜10秒間にわたって激しく擦ることにより胞子を回収した。胞子を含有するスワブを1mLのコーティング緩衝液中に浸漬させ、1〜2分間にわたって激しくボルテックス混合した。綿棒を溶液から除去し、胞子の回収をELISAにより判定した。対照のために、試験片を無菌PBSを用いて広げ、同様に処理した。表13に見られるように、クロストリジウム・ディフィシル胞子抗体及びCD1021ペプチド1Abは、表面上の胞子の存在を検出することができる。
Figure 2011512817
(実施例12)
抗体の抗原アフィニティー精製
特定の抗原に特異的で、他の免疫グロブリンからの架橋反応物質を有さない、抗体の精製は、多くの場合有益である。上記実施例に記載のポリクローナル抗体のいずれかは、NH連鎖を介しての親和性マトリックスへのペプチド又はタンパク質抗原共有結合を使用する親和性クロマトグラフィーにより精製され得る。精製は、カラム中でAffygel(Biorad(Hercules,CA))、AminoLink樹脂(Pierce(Rockford,IL))又はCNBr活性化Sepharose 4B(Amersham Biosciences(Piscataway,NJ))などのペプチド/タンパク質結合親和性マトリックスを使用して達成することができる。抗原に特異的である抗体は、カラムに対して結合する。結合しない抗体及び他の血清タンパク質は、カラムを通過する。次に、抗原に結合した抗体をカラムから溶出させる。得られる精製された抗体は、高度に特異的である。
(実施例13)
クロストリジウム・ディフィシル仮想上のタンパク質CD1021の追加的領域に対する抗体
実施例4により詳細に記載されている手順にしたがって、マウスポリクローナル及びモノクローナル抗体は、仮想上のタンパク質CD1021クロストリジウム・ディフィシル株630の追加的ポリペプチド配列に対して顕色させることができる。例えば、KSVDLYSDVY IEKYFNRDKV MEVNIEIDES DLKDMNENAI KEEFKVAKVT VDGDTYGNVG IRTKGNSSLI SVANSDSDRY SYKINFDKYN T(配列番号9)のアミノ酸配列を有する仮想上のタンパク質CD1021クロストリジウム・ディフィシル株630の残基30〜120を有するポリペプチド、又は、VTGDLYKSDE GSSLQYKGDD PESYSNLIVE SDKKTADWSK ITKLLKSLDT GEDIEKYLDV DSVLKNIAIN TALLNLDSYQ GSFAHNYYLY EQDGVFSMLP(配列番号10)のアミノ酸配列を有する仮想上のタンパク質CD1021クロストリジウム・ディフィシル株630の残基194〜293を有するポリペプチドを免疫原として使用することができる。ポリクローナル及びモノクローナル抗体はまた、例えば、配列番号9及び配列番号10の約10〜20個のアミノ酸及び約14個のアミノ酸の断片などの、これらの断片に対して顕色させることができる。
(実施例14)
モノクローナル抗体
クロストリジウム・ディフィシル内生胞子に結合するモノクローナル抗体は、様々な既知の方法により産生され得る。モノクローナル抗体は、配列番号1〜12、16〜23、38及び45〜50、並びにこれらの断片のいずれかを抗原として使用して、産生され得る。例えば、実施例4に記載のような仮想上のCD1021タンパク質配列配列番号2で、又は、実施例6に記載のような推定アミダーゼタンパク質配列配列番号6で、免疫化されたマウスは、マウスモノクローナル抗体の産生に使用され得る。更に、実施例5に記載のような仮想上のCD1021ペプチド配列番号3若しくは配列番号4で、又は、実施例7に記載のような推定アミダーゼペプチド配列配列番号7若しくは配列番号8で、免疫化されたウサギは、ウサギモノクローナル抗体の産生に使用され得る。マウスで開始する従来方法よりもむしろ、Epitomicが商標を有する、ウサギからモノクローナル抗体を製造するための方法が、使用され得る。抗体製造のための基本原理は、マウスモノクローナルと同一である。ウサギB細胞に融合してウサギハイブリドーマ細胞を作ることができる、商標を有するウサギ融合パートナーを使用する。次に、ハイブリドーマをスクリーニングして、特異的及び感応性抗原認識を有するクローンを選択し、抗体を様々な方法を使用して特徴付ける。
(実施例15)
Blast解析
仮想上のタンパク質CD1021のためのクロストリジウム・ディフィシル株630タンパク質配列(YP_001087502)(配列番号1)及び推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質(YP_001087517)(配列番号5)をGenBank、RefSeq Nucleotides、EMBL、DDBJ及びPDB配列(HTGS0,1,2、EST、GSS、STS、PAT、WGSを除く)で入手可能なおよそ988の微生物ゲノム配列に対する相同性について検索した。クロストリジウム・ディフィシル株630、クロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26及びクロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58についてのゲノム配列データベースでのみ配列作製における有意な位置合わせ(E valueは0.0)が発見された。
クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58の仮想上のタンパク質CD1021。
クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021(配列番号1)について、有意な相同性(E Valueは0.0)を有する以下の配列がクロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58で発見された。
以下のアミノ酸配列を有する、GenBank Accession No.ZP_01804840、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58の仮想上のタンパク質CdifQ_04001048:
Figure 2011512817
以下のアミノ酸配列を有する、GenBank Accession No.ZP_01804841、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58の仮想上のタンパク質CdifQ_04001049:
Figure 2011512817
GenBank Accession No.NZ_AAML04000007の領域461827〜462825;以下のヌクレオチド配列を有するクロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58C_difficile_bld4_cont00007:
Figure 2011512817
ヌクレオチド配列配列番号13によりコードされたアミノ酸配列は以下である:
Figure 2011512817
並びに、GenBank Accession No.NZ_AAML04000007の領域462824〜463732;以下のヌクレオチド配列を有するクロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58_difficile_bld4_cont00007:
Figure 2011512817
ヌクレオチド配列配列番号14によりコードされたアミノ酸配列は以下である:
Figure 2011512817
クロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26の仮想上のタンパク質CD1021
クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021(配列番号1)について、有意な相同性(E Valueは0.0)を有する1つの配列がクロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26で発見された。
GenBank Accession No.NZ_ABFD01000037の領域15690〜17597の補体;以下のヌクレオチド配列を有するクロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26contig00122:
Figure 2011512817
ヌクレオチド配列配列番号15によりコードされたアミノ酸配列は以下である:
Figure 2011512817
図1は、クロストリジウム・ディフィシル株630からの仮想上のCD1021タンパク質YP_001087502(配列番号1)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58からのZP_01804840(配列番号11)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58からのZP_01804841(配列番号12)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58からのNZ_AAML04000007の領域461827〜462825(配列番号21)、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58からのNZ_AAML04000007の領域462824〜463732(配列番号22)及びクロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26からのNZ−ABFD01000037の領域15690〜17597の補体(配列番号23)についてのアミノ酸配列間の高度の相同性を示す。コンセンサス配列は、配列番号38として示される。
推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質
クロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質(配列番号5)について、クロストリジウム・ディフィシル株630において有意な相同性(E valueは0.0)を有する以下の追加的配列が発見された。
以下のアミノ酸配列を有する、GenBank Accession No.YP_001087516、クロストリジウム・ディフィシル株630の細胞表面タンパク質推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ:
Figure 2011512817
並びに、以下のアミノ酸配列を有するGenBank Accession No.YP_001089297(クロストリジウム・ディフィシル630の細胞表面タンパク質):
Figure 2011512817
クロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質(配列番号5)について、クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58において有意な相同性(E valueは0.0)を有する以下の配列が発見された。
以下のアミノ酸配列を有する、GenBank Accession No.ZP_01804350(仮想上のタンパク質CdifQ_04001133;クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58):
Figure 2011512817
以下のアミノ酸配列を有する、GENEBANK Accession No.ZP_01804351(仮想上のタンパク質CdifQ_04001134;クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58):
Figure 2011512817
並びに、以下のアミノ酸配列を有する、GenBank Accession No.ZP_01802273(仮想上のタンパク質CdifQ_04003247;クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58):
Figure 2011512817
本明細書に記載の抗体は、配列番号11、配列番号12、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22及び配列番号23、並びにこれらの断片のアミノ酸配列の1つ以上に結合し得る。本明細書に記載の抗体は、配列番号13、配列番号14及び配列番号15、並びにこれらのポリペプチド断片のゲノムヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の1つ以上に結合し得る。
本明細書に記載のもののいずれかが挙げられるがこれらに限定されない種々の方法のいずれかにより、配列番号11、配列番号12、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22及び配列番号23、並びにこれらの断片のアミノ酸配列の1つ以上に結合する抗体は産生され得る。本明細書に記載の種々の方法のいずれかにより、配列番号13、配列番号14及び配列番号15、並びにこれらのポリペプチド断片のゲノムヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列の1つ以上に結合する抗体は産生され得る。このような任意の抗体は、サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子を検出する方法で使用され得る。
(実施例16)
クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689からのCD1021のクローニング及び配列解析
NheI部位を有する順方向プライマー(5’−TAAGCTAGCATGAAAGATAAAAAATTTACC−3’)(配列番号24)、XhoI部位を有する逆方向プライマー(5’−TTACTCGAGTTTTGACTTTATAAATCTTCT−3’)(配列番号25)及び鋳型としてATCC株9689からのゲノムDNAを使用するPCRにより、CD1021コード配列を増幅した。終止コドンを逆方向プライマーから除去して、配列の末端への6−HISタグの付加を促進した。得られた断片寸法は、1923塩基対(bp)であった。
同様に、NheI部位を有する順方向プライマー(5’−ACAGCTAGCATGAAAAGTGTTGATTTATATAGT−3’)(配列番号26)及びXhoI部位を有する逆方向プライマー(5’−ACTCTCGAGAGTATTATAC TTATCAAAATTA−3’)(配列番号27)を用い、鋳型としてATCC株9689からゲノムDNAを使用して、クロストリジウム・ディフィシル株630におけるCD1021のアミノ酸残基30〜120(配列番号9)(本明細書では「断片1」とも呼ぶ)に対応する領域を増幅した。得られた断片寸法は294bpであり、ATG開始コドンを含んだ。
NheI部位を有する順方向プライマー(5’−AATGCTAGCATGGTAACTGGAG ACTTATATAAGTCA−3’)(配列番号28)及びXhoI部位を有する逆方向プライマー(5’−AAACTCGAGTGG TAACA TAGAAAATACTCCAT−3’)(配列番号29)を用い、鋳型としてATCC株9689からゲノムDNAを使用して、クロストリジウム・ディフィシル株630におけるCD1021のアミノ酸残基194〜293(配列番号10)(本明細書では「断片2」とも呼ぶ)に対応する領域を増幅した。得られた断片寸法は321bpであり、ATG開始コドンを含んだ。
並びに、NheI部位を有する順方向プライマー(5’−GCAGCTAGCATGAGTAAAACTATAAAATCTCAA−3’)(配列番号30)及びXhoI部位を有する逆方向プライマー(5’−AATCTCGAGGAAGTATGTTGTTGTTTTACT CAC−3’)(配列番号31)を用い、鋳型としてATCC株9689からゲノムDNAを使用して、クロストリジウム・ディフィシル株630におけるCD1021のアミノ酸残基505〜604(配列番号2)(本明細書では「断片3」とも呼ぶ)に対応する領域を増幅した。得られた断片寸法は321bpであり、ATG開始コドンを含んだ。
得られたPCR反応物をアガロースゲル(0.8%)上で泳動させ、期待された寸法の生成物を観察した。製造者の取扱説明にしたがってZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen(Carlsbad,CA))を使用して、PCR断片をクローニングした。形質転換したコロニーを採取し、37℃で16時間にわたってカナマイシン(100μg/mL)を有するLB内で成育させた。Qiaprepスピンミニプレップキット(Qiagen(Valencia,CA))を使用して、これらの培養物からプラスミドを単離し、このプラスミドをEcoRI(Invitrogen)で切断し、アガロースゲルにより分析した。M13順方向−20プライマー(5’−GTAAAACGACGGCCAGT−3’)(配列番号32)及びM13逆方向−27プライマー(5’−CAGGAAACAGCTATGAC−3’)(配列番号33)を用い、BigDye(登録商標)Terminator v1.1 Cycle Sequencing Kit(Applied Biosystems(Foster City,CA))を使用して、挿入物を有するクローンを配列解析した。適切な内部プライマーを使用して、1923bpのCD1021コード配列の完全配列を入手した。4つのクローニング反応各々についての更なる特徴付けのために3つのクローンを選択した。1923bpのCD1021コード配列については、3つのクローンは、pCD1021−1、pCD1021−2及びpCD1021−3であった。断片1については、3つのクローンは、pCD1021−Fr1−1、pCD1021−Fr1−2及びpCD1021−Fr1−3であった。断片2については、3つのクローンは、pCD1021−Fr2−1、pCD1021−Fr2−2及びpCD1021−Fr2−3であった。断片3については、3つのクローンは、pCD1021−F3−1、pCD1021−Fr3−2及びpCD1021−Fr3−3であった。
プラスミドpCD1021−2におけるクロストリジウム・ディフィシルATCC 9689CD1021断片のヌクレオチド配列は、以下である:
Figure 2011512817
プラスミドpCD1021−2におけるCD1021断片の翻訳されたアミノ酸配列は、以下である:
MKDKKFTLLISIMIIFLCAVVGVYSTSSNKSVDLYSDVYIEKYFNRDKVMEVNIEIDESDLKDMNENAIKEEFKVAKVTVDGDTYGNVGIRTKGNSSLISVANSDSDRYSYKINFDKYNTSQSMEGLTQLNLNNCYSDPSYMREFLTYSICEEMGLATPEFAYAKVSINGEYHGLYLAVEGLKESYLENNFGNVTGDLYKSDEGSSLQYKGDDPESYSNLIVESDKKTADWSKITKLLKSLDTGEDIEKYLDVDSVLKNIAINTALLNLDSYQGSFAHNYYLYEQDGVFSMLPWDFNMSFGGFSGFGGGSQSIAIDEPTTGNLEDRPLISSLLKNETYKTKYHKYLEEIVTKYLDSDYLENMTTKLHDMIASYVKEDPTAFYTYEEFEKNITSSIEDSSDNKGFGNKGFDNNNSNNSDSNNNSNSENKRSGNQSDEKEVNAELTSSVVKANTDNETKNKTTNDSESKNNTDKDKSGNDNNQKLEGPMGKGGKSIPGVLEVAEDMSKTIKSQLSGETSSTKQNSGDESSSGIKGSEKFDEDMSGMPEPPEGMDGKMPPGMGNMDKGDMNGKNGNMNMDRNQDNPREAGGFGNRGGGSVSKTTTYFKLILGGASMIIMSIMLVGVSRVKRRRFIKSK(配列番号45)。
プラスミドpCD1021−Fr1−1におけるクロストリジウム・ディフィシルATCC 9689 CD1021断片(30〜120アミノ酸残基)のヌクレオチド配列は、以下である:
Figure 2011512817
プラスミドpCD1021−Fr1−1におけるCD1021断片(30〜120アミノ酸残基)の翻訳されたアミノ酸配列は、以下である:
MKSVDLYSDVYIEKYFNRDKVMEVNIEIDESDLKDMNENAIKEEFKVAKVTVDGDTYGNVGIRTKGNSSLISVANSDSDRYSYKINFDKYNT(配列番号46)。
プラスミドpCD1021−Fr2−1におけるクロストリジウム・ディフィシルATCC 9689CD1021断片(194〜293アミノ酸残基)のヌクレオチド配列は、以下である:
Figure 2011512817
プラスミドpCD1021−Fr2−1におけるCD1021断片(194〜293アミノ酸残基)の翻訳されたアミノ酸配列は、以下である:
MVTGDLYKSDEGSSLQYKGDDPESYSNLIVESDKKTADWSKITKLLKSLDTGEDIEKYLDVDSVLKNIAINTALLNLDSYQGSFAHNYYLYEQDGVFSMLP(配列番号47)。
プラスミドpCD1021−Fr3−1におけるクロストリジウム・ディフィシルATCC 9689CD1021断片(505〜604アミノ酸残基)のヌクレオチド配列は、以下である:
Figure 2011512817
プラスミドpCD1021−Fr3−1におけるCD1021断片(505〜604アミノ酸残基)の翻訳されたアミノ酸配列は、以下である:
MSKTIKSQLSGETSSTKQNSGDESSSGIKGSEKFDEDMSGMPEPPEGMDGKMPPGMGNMDKGDMNGKNGNMNMDRNQDNPREAGGFGNRGGGSVSKTTTYF(配列番号48)。
(実施例17)
クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689 CD1021クローンの発現
製造者の取扱説明にしたがって制限酵素NheI及びXhoI(New England Biolabs(Ipswich,MA))を用いて、実施例16で得られた組み換えプラスミドpCD1021−2と発現ベクターpET21−a(+)(Novagen(Madison,WI))とを別々に切断した。制限酵素消化pCD1021−2DNAをアガロースゲル(0.8%)上で泳動させ、Qiaquickゲル抽出キット(Qiagen)を使用して完全長CD1021断片をこのゲルから精製した。製造者の取扱説明にしたがってT4DNAリガーゼ(Invitrogen)を使用して、得られた断片(1917bp)を制限酵素消化発現ベクターpET21−a(+)に結合した。
結合混合物を使用して、TOP10ケミカルコンピテントE.coli細胞を形質転換し、アンピシリン(50μg/mL)を有するLB寒天培地上にプレーティングした。これらのプレートを37℃で12〜16時間にわたってインキュベートし、組み換えクローンを採取し、37℃において16時間にわたってアンピシリン(100μg/mL)を有するLB内で成育させた。アルカリ溶菌プロトコル(Miniprepキット(Qiagen))を使用するミニプレップ精製により、これらの培養物からプラスミドを単離し、このプラスミドをNheI及びXhoIで切断し、アガロースゲルにより分析した。完全長CD1021挿入物を有するクローンを選択し、製造者の取扱説明にしたがってタンパク質の発現について試験した。
同様に、実施例16で得られたクローンCD1021−Fr1−1、CD1021−Fr2−2及びCD1021−Fr3−1の断片1、断片2及び断片3をNheI及びXhoIで制限消化し、NheI/XhoI制限pET21a+にクローニングした。組み換えクローンを上記のように採取及び分析した。挿入物を有するクローンを選択し、製造者の取扱説明にしたがってタンパク質の発現について試験した。
組み換えクローンをBLR(DE3)のコンピテント細胞に形質転換し、アンピシリン(50μg/mL)を有するLB寒天培地上にプレーティングした。このプレートを37℃で12〜16時間にわたってインキュベートした。複数のコロニーを採取し、37℃で16時間にわたってアンピシリン(100μg/mL)を有する5mLのLB内で成育した。一晩成育させたクローンを、アンピシリン(100μg/mL)を有する5mLのLB中に、1:100に希釈し、0.6〜0.7のOD600に成育させた。Lab−Line MaxQ 4000 Incubated and Refrigerated Shakers(Barnstead International(Dubuque,Iowa))を使用して、37℃又は15℃のいずれかで3時間にわたって、クローンを0.4mMのイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG;Sigma(St.Louis,MO))で誘導した。
誘導された細胞を4℃において10分間にわたって5000rpmで回転し、1mLの0.1mMのTRIS−HCl緩衝液、pH8.0に再懸濁した。Branson Digital Sonifier model S−250D(Branson(Danbury,CT))を使用して、0.3175cm(1/8インチ)のテーパ形状のマイクロチップを10秒間にわたって用いて、細胞を超音波処理し、細胞を溶解させた。細胞抽出物をSDS−PAGEにより分析した。ゲルをクマシーブルーで染色し、誘導された細胞は、37℃よりも15℃において期待分子量の組み換えタンパク質の良好な発現を示した。
(実施例18)
クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689からのアミダーゼ(CD1036)のクローニング及び配列解析
NcoI部位を有する順方向プライマー(5’−AATCCATG G TAAGTAAGGAGATTAATATG−3’)(配列番号34)、XhoI部位を有する逆方向プライマー(5’−TTCCTCGAGTTTTAATGAATCTTCTATTCC−3’)(配列番号35)及び鋳型としてクロストリジウム・ディフィシルATCC株9689からのゲノムDNAを使用するPCRにより、推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質コード配列を増幅した。終止コドンを逆方向プライマーから除去して、配列の末端への6−HISタグの付加を促進した。得られた断片寸法は、2045bpであった。
同様に、NcoI部位を有する順方向プライマー(5’−AGG CCA TGGATAAAAATCATGATGTGGAA−3’)(配列番号36)及びXhoI部位を有する逆方向プライマー(5’−TTTCTCGAGGTTTGCATTTG TTTCGTGTCT−3’)(配列番号37)を用い、鋳型としてATCC株9689からのゲノムDNAを使用して、クロストリジウム・ディフィシル630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質のアミノ酸残基294〜393(配列番号6)に対応する領域を増幅した。得られた断片寸法は317bpであり、ATG開始コドンを含んだ。
Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen(San Diego,CA))を使用して、得られたPCR断片をクローニングし、実施例16に記載の手順を使用して組み換えクローンを配列解析した。2つのクローニング反応について各々3つのクローンを特徴付けた。2045bpのCD1036コード配列については、3つのクローンは、pCD1036−1、pCD1036−2及びpCD1036−3であった。断片1については、3つのクローンは、pCD1036−Fr1−1、pCD1036−Fr1−2及びpCD1036−Fr1−3であった。
プラスミドpCD1036−2におけるクロストリジウム・ディフィシルATCC 9689 CD1036断片のヌクレオチド配列は、以下である:
Figure 2011512817
プラスミドpCD1036−2におけるCD1036断片の翻訳されたアミノ酸配列は、以下である:
MVSKEINMRRNTKLLTTGILSMAIVAPTMAFATESNAMENNADLNINLEKKSIVLGSKSKVSVKFKEKPDADSITLKYKCYDMPLNTTLNYNQSTGAYEGTINYNQDPEYLNVWELQGITINSKNNHKTLNRQDLEKLGLNLKDYNVTQECIIEDITSRKDVNKYLRKTSSPITELTGSDRYETAVKISKEGWKNGSDKVVIINGDVSIDGIISTPLATTYNAPILLVEKNNVPNSVKSELKRLNPKDIIIIGDENAISKTTANQIKSTVNASQTRLNGSNRYETSLLIAKEIDKNHDVEKVYITNANGGEVDALTIAAKAGQDKQPIILTDKDSITDNTYKWLKSEDLQNAYFIGGPQMISTNVINKVNGITKDSVTNNRVYGADRHETNANVIKKFYTDDELEAVLVAKSDVLVDALAAGPLAANLKSPILITPKTYVSAYHKDNLEAKSANKVYKIGGGLTSKVMSSIASSLSKHNTTPTEPGNSGGKTVMIDPGHGGSAPGNSSGGMIEKDYNLNTSLATTEYLRSKGFNVIMTRDTDKTLSLGNRTALSNSLKPDLFTSIHYNGSTNKQGHGVEVFYKLKDKNGGTTKTVATNILNRILEKFKLTNRGIKTRVLPSDSTKDYLYVLRSNDMPAVLVECAFLDNENDMSLINSSAKVKEMGTQIGKGIEDSLK(配列番号49)。
プラスミドpCD1036−Fr1−1におけるクロストリジウム・ディフィシルATCC 9689 CD1036断片(294〜393アミノ酸残基)のヌクレオチド配列は、以下である:
Figure 2011512817
プラスミドpCD1036−Fr1−1における9689 CD1036断片(294〜393アミノ酸残基)の翻訳されたアミノ酸配列は、以下である:
MDKNHDVEKVYITNANGGEVDALTIAAKAGQDKQPIILTDKDSITDNTYKWLKSEDLQNAYFIGGPQMISTNVINKVNGITKDSVTNNRVYGADRHETNAN(配列番号50)。
(実施例19)
クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689アミダーゼクローンの発現
実施例18で得られた、組み換えプラスミドpCD1036−2からの推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質の全コード配列及び発現ベクターpET21−d(+)(Novagen)を、実施例17に記載の手順を使用して、制限酵素NcoI及びXhoI(New England Labs(Ipswich,MA))で切断し、pET21−d(+)にクローニングした。同様に、組み換えプラスミドpCD1036−Fr−1からのクロストリジウム・ディフィシル630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ細胞表面タンパク質アミノ酸残基294〜393(配列番号6)に対応する断片を、実施例17に記載の手順にしたがって、制限酵素NcoI及びXhoIで切断し、pET21−d(+)にクローニングした。実施例17に記載のように、組み換えクローンを採取し、分析した。挿入物を有するクローンを選択し、製造者の取扱説明にしたがってタンパク質の発現について試験した。
組み換えクローンをBLR(DE3)のコンピテント細胞に形質転換し、アンピシリン(50μg/mL)を有するLB寒天培地上にプレーティングした。実施例17に記載のように、複数のコロニーを採取し、タンパク質発現について分析した。誘導された細胞は、37℃よりも15℃において期待分子量の組み換えタンパク質の良好な発現を示した。
本明細書で引用される全ての特許、特許出願及び出版物、並びに電子的に入手可能なマテリアル(例えば、GenBank及びRefSeqなどにおけるヌクレオチド配列サブミッション、並びに例えば、SwissProt、PIR、PRF、PDBなどに登録されているアミノ酸配列サブミッション、並びに、GenBank及びRefSeqにおける注釈つきコード領域からの翻訳物を含む)の完全な開示は、参考として組み込まれる。本出願の開示と本明細書に参考として組み込まれる任意の文書の開示(複数可)との間にいずれかの不一致が認められる場合にも、本出願の開示が優先される。前述の詳細な説明及び実施例は理解を明確化するためにのみ提示されている。それらから無用の限定を解するべきでない。本発明は、示され記載された厳密な詳細事項に限定されるべきではないが、それは当業者に対して明らかな変形が、特許請求の範囲において規定された本発明の範囲に包含されるからである。
特に指示がない限り、明細書及び添付の特許請求の範囲に使用される成分の量、分子量を表す全ての数は、全ての例において、「約」という用語により修正されることを理解されたい。したがって特に指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明が実現しようとする所望の性質に応じて変化し得るおおよその値である。最低限でも、また特許請求の範囲と等価物の原則を制限しようとするものではないが、それぞれの数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数値を考慮して、通常の数値のまるめ方を適用することによって解釈されるべきである。
本発明の広範囲で示す数値的範囲及びパラメータは概算値であるが、具体例に記載の数値は可能な限り正確に報告する。しかしながら、全ての数値は、それらの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる一定の範囲を本質的に含有するものである。
全ての見出しは読者の利便性のためであって、特に指示がない限り、見出しの後に続く文面の意味を制限するために使用しているのではない。
配列番号1 クロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021
配列番号2 仮想上のタンパク質CD1021の残基505〜604
配列番号3 仮想上のタンパク質CD1021の残基203〜217
配列番号4 仮想上のタンパク質CD1021の残基333〜347
配列番号5 クロストリジウム・ディフィシル630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼ
配列番号6 推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼの残基294〜393
配列番号7 推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼの残基582〜596
配列番号8 推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼの残基64〜78
配列番号9 仮想上のタンパク質CD1021の残基30〜120
配列番号10 仮想上のタンパク質CD1021の残基194〜293
配列番号11〜12 クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58のゲノムのコードされたアミノ酸配列
配列番号13〜14 クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58からのゲノム配列
配列番号15 クロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26からのゲノム配列
配列番号16〜17 クロストリジウム・ディフィシル株630のゲノムのコードされたアミノ酸配列
配列番号18〜20 クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58のゲノムのコードされたアミノ酸配列
配列番号21 クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58の翻訳されたアミノ酸配列
配列番号22 クロストリジウム・ディフィシルQCD−32g58ゲノム配列の翻訳されたアミノ酸配列
配列番号23 クロストリジウム・ディフィシルQCD−66c26の翻訳されたアミノ酸配列
配列番号24〜37 合成オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号38 コンセンサス配列
配列番号39〜44 クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689からのゲノム配列
配列番号45〜50 クロストリジウム・ディフィシルATCC 9689の翻訳されたアミノ酸配列

Claims (60)

  1. クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)胞子に結合する、単離された抗体。
  2. 前記胞子が未発芽胞子である、請求項1に記載の単離された抗体。
  3. 前記胞子が発芽胞子である、請求項1に記載の単離された抗体。
  4. 前記抗体がクロストリジウム・ディフィシル栄養細胞に結合しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の抗体。
  5. 前記単離された抗体がクロストリジウム・ディフィシル毒素に結合しない、請求項1〜3のいずれか一項に記載の単離された抗体。
  6. 配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上の(hypothetical)タンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、単離された抗体。
  7. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基505〜604を含む前記仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、請求項6に記載の単離された抗体。
  8. 配列番号2のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体。
  9. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基30〜120を含む前記仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、請求項6に記載の単離された抗体。
  10. 配列番号9のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体。
  11. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基194〜293を含む前記仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、請求項6に記載の単離された抗体。
  12. 配列番号10のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体。
  13. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基203〜217を含む前記仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、請求項6に記載の単離された抗体。
  14. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基333〜347を含む前記仮想上のタンパク質CD1021の断片に結合する、請求項6に記載の単離された抗体。
  15. アミノ酸配列EGSSLQYKGDDPESY(配列番号3)に結合する、単離された抗体。
  16. アミノ酸配列LKNETYKTKYHKYLE(配列番号4)に結合する、単離された抗体。
  17. 配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、単離された抗体。
  18. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基294〜393を含む前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項17に記載の単離された抗体。
  19. 配列番号6のアミノ酸配列に結合する、単離された抗体。
  20. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基582〜596を含む前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項17に記載の単離された抗体。
  21. 前記単離された抗体が、アミノ酸残基64〜78を含む前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項17に記載の単離された抗体。
  22. アミノ酸配列YKLKDKNGGTTKTVA(配列番号7)に結合する、単離された抗体。
  23. アミノ酸配列KFKEKPDADSIKLKY(配列番号8)に結合する、単離された抗体。
  24. 前記単離された抗体がポリクローナル抗体である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の単離された抗体。
  25. 前記単離された抗体がモノクローナル抗体である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の単離された抗体。
  26. モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片であって、請求項25に記載のモノクローナル抗体によるその抗原標的への結合を抑制する、モノクローナル抗体又はその抗原結合性断片。
  27. 前記単離された抗体がバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)胞子又はクロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)胞子に結合しない、請求項1〜26のいずれか一項に記載の単離された抗体。
  28. 請求項1〜27のいずれか一項に記載の単離された抗体の抗原結合性断片。
  29. 前記単離された抗体又は前記抗原結合性断片が標識されている、請求項1〜27のいずれか一項に記載の単離された抗体又は請求項28に記載の抗原結合性断片。
  30. 請求項1〜29のいずれか一項に記載の単離された抗体の1つ以上を含む組成物。
  31. 請求項1〜29のいずれか一項に記載の単離された抗体の1つ以上を含むキット。
  32. 請求項25又は26に記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株又は形質転換されたB細胞株。
  33. 請求項25又は26に記載のモノクローナル抗体の重鎖、軽鎖、重鎖可変領域、軽鎖可変領域又は1つ以上の相補性決定領域をコードする核酸配列を含む、単離されたポリヌクレオチド配列。
  34. 請求項33に記載の単離されたポリヌクレオチド配列を含む、発現ベクター。
  35. 請求項34に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
  36. 抗クロストリジウム・ディフィシル抗体を調製する方法であって、ポリペプチドに対する抗体反応を生じるのに有効な量でクロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部を含む前記ポリペプチドで宿主生物を免疫化するステップを含む、方法。
  37. 前記クロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部を含む前記ポリペプチドが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
  38. 抗クロストリジウム・ディフィシル抗体を調製する方法であって、
    免疫適格性宿主生物において前記クロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部をコードする核酸配列を発現するステップを含む、方法。
  39. 前記クロストリジウム・ディフィシルゲノムによりコードされたタンパク質の少なくとも一部をコードする前記核酸配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする、請求項38に記載の方法。
  40. 前記抗体調製物を精製することを更に含む、請求項36〜39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 少なくとも2つの単離された抗体又はこれらの抗原結合性断片を含む組成物であって、各単離された前記抗体がクロストリジウム・ディフィシル胞子の異なる抗原エピトープに結合する、組成物。
  42. 少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する、請求項41に記載の組成物。
  43. 少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項41に記載の組成物。
  44. 第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合し、第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項41に記載の組成物。
  45. 前記仮想上のタンパク質CD1021の前記ポリペプチド断片が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項42又は43に記載の組成物。
  46. 前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の前記ポリペプチド断片が、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項43又は45に記載の組成物。
  47. 少なくとも2つの単離された抗体又はこれらの抗原結合性断片を含むキットであって、各単離された抗体が前記クロストリジウム・ディフィシル胞子の異なる抗原エピトープに結合する、キット。
  48. 少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する、請求項47に記載のキット。
  49. 少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項47に記載のキット。
  50. 第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合し、第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項47に記載のキット。
  51. 前記仮想上のタンパク質CD1021の前記ポリペプチド断片が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項48又は50に記載のキット。
  52. 前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の前記ポリペプチド断片が、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項49又は50に記載のキット。
  53. サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在を検出する方法であって、前記サンプルを請求項1〜29のいずれか一項に記載の単離された抗体に接触させるステップを含む、方法。
  54. サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在を検出する方法であって、前記サンプルを少なくとも2つの単離された抗体又はこれらの抗原結合性断片に接触させるステップを含み、各単離された抗体が、前記クロストリジウム・ディフィシル胞子の異なる抗原エピトープに結合する、方法。
  55. サンプル中のクロストリジウム・ディフィシル胞子の存在を検出する方法であって、
    前記サンプルを第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片に接触させるステップであって、前記第1の単離された抗体が前記クロストリジウム・ディフィシル胞子の第1の抗原エピトープに結合するステップ、及び
    前記サンプルを第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片に接触させるステップであって、前記第2の単離された抗体が前記クロストリジウム・ディフィシル胞子の第2の抗原エピトープに結合するステップ、
    を含む、方法。
  56. 少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合する、請求項54又は55に記載の方法。
  57. 少なくとも1つの単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項54又は55に記載の方法。
  58. 第1の単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号1を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の仮想上のタンパク質CD1021又は前記仮想上のタンパク質CD1021のポリペプチド断片に結合し、第2の単離された抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号5を有するクロストリジウム・ディフィシル株630の推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質又は前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の断片に結合する、請求項54又は55に記載の方法。
  59. 前記仮想上のタンパク質CD1021の前記ポリペプチド断片が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号9、配列番号10及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項56又は58に記載の方法。
  60. 前記推定N−アセチルムラモイル−L−アラニンアミダーゼタンパク質の前記ポリペプチド断片が、配列番号6、配列番号7、配列番号8及びこれらの断片からなる群から選択される、請求項57又は58に記載の方法。
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