JP2011258567A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の出力電圧や出力電流を最適に制御しながら、運転状態を遷移させることが可能な燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池の低効率運転中に、前記燃料電池の出力電圧を変更すべきと判断した場合には、前記燃料電池の出力電力とシステム要求電力とが一致するように前記燃料電池の出力電圧の電圧変化速度を調整しながら、前記燃料電池の出力電圧を昇降圧させるΔV制御S230を実行する電圧制御手段と、設定された排気水素許容濃度を満足するように、前記燃料電池が最も温度が高い場合の前記排気水素許容濃度を満足する前記燃料電池の出力電圧が前記燃料電池の出力電流に応じて多段に設定され、前記判断手段は、前記システム要求電力と前記排気水素濃度情報とに基づき、前記燃料電池の出力電圧が、前記燃料電池の出力電流に応じた前記排気水素許容濃度を満足できる前記燃料電池の出力電圧となるように変更すべきか否かを判断する。
【選択図】図8

Description

本発明は燃料電池システムに関し、特に、燃料電池の容量成分に対する充放電量を考慮しながら運転制御する燃料電池システムに関する。
燃料電池は、燃料を電気化学プロセスによって酸化させることにより酸化反応に伴って放出されるエネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電システムであり、水素イオンを選択的に輸送するための電解質膜の両側面を多孔質材料から成る一対の電極によって挟持して成る膜−電極アッセンブリを複数積層して成るスタック構造を有している。なかでも、固体高分子膜を電解質として用いる固体高分子電解質型燃料電池は、低コストでコンパクト化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、車載電力源としての用途が期待されている。
この種の燃料電池は、一般に70〜80℃が発電に最適な温度域とされているが、寒冷地などの環境では、起動してから最適温度域に達するまでに長時間を要する場合があるので、各種の暖機システムが検討されている。例えば、特開2004−30979号公報には、通常運転に比して発電効率の低い低効率運転を実施することにより燃料電池の自己発熱量を制御し、燃料電池を暖機する手法について開示されている。かかる手法によれば、燃料電池による自己暖機が可能であるため、暖機用の装置を搭載する必要がなく、利便性に優れている。
特開2004−30979号公報
ところで、低効率運転による暖機を終了して通常運転に移行する場合には、この運転状態の遷移にあわせて要求パワーを考慮しながら燃料電池の出力電圧や出力電流を変化させる必要がある。しかしながら、かかる運転状態の遷移にあわせていかに燃料電池の出力電圧や出力電流を制御すべきか、この点を明らかにした従来技術は存在していなかった。
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、燃料電池の出力電圧や出力電圧を最適に制御しながら、運転状態を遷移させることが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る燃料電池システムは、通常運転に比して発電効率の低い低効率運転を行うことにより、燃料電池を暖機する燃料電池システムであって、前記低効率運転から前記通常運転へ移行する際に、設定条件を満たすか否かを判断する判断手段と、前記設定条件を満たさない場合には、前記燃料電池の容量成分に対する充放電量を考慮しながらシステム要求パワーを満たすように該燃料電池の出力電圧を制御するΔV制御を実行することで、低効率運転からΔV制御を経由して通常運転へと移行させる一方、前記設定条件を満たす場合には、前記ΔV制御を経由することなしに、低効率運転から強制的に通常運転へと移行させることを特徴とする。
かかる構成によれば、低効率運転による暖機が不要になった後において、設定条件を満たす場合には、低効率運転から強制的に通常運転へと移行されるため、低効率運転による暖機が不要になった後においても通常運転へ移行できずに、発電効率の悪い低効率運転が継続されてしまう等の問題を未然に防止することが可能となる。
その一方で、設定条件を満たさない場合には、記燃料電池の容量成分に対する充放電量を考慮しながらシステム要求パワーを満たすように該燃料電池の出力電圧を制御するΔV制御を実行することで、低効率運転からΔV制御を経由して通常運転へと移行させるため、外部負荷(バッテリ等)に供給する電力が不足したり、外部負荷に過剰な電力が供給されてしまう等の問題を防止することができる。
ここで、上記構成にあっては、前記低効率運転から前記通常運転へ移行する際、前記燃料電池に供給する酸化ガスを所定量増加させる供給酸化ガス制御手段と、前記酸化ガスの増加前後における燃料電池の出力電力を検知することで、該燃料電池の出力電力偏差を導出する導出手段とをさらに備え、前記判断手段は、導出された前記燃料電池の出力電力偏差が設定された電力閾値を下回った場合に、前記設定条件を満たすと判断する態様が好ましい。
また、上記構成にあっては、前記判断手段は、導出された前記燃料電池の出力電力偏差が設定された電力閾値を所定時間以上継続して下回った場合に、前記設定条件を満たすと判断する態様がさらに好ましい。
また、上記構成にあっては、前記燃料電池の関連温度を検知する検知手段と、検知される前記関連温度に基づき前記低効率運転から前記通常運転へ移行すべきか否かを判定する移行判定手段をさらに備え、前記判断手段は、前記移行判定手段によって前記低効率運転から前記通常運転へ移行すべきと判定された場合に、前記設定条件を満たすか否かの判断を行う態様が好ましい。
また、本発明に係る別の燃料電池システムは、通常運転に比して発電効率の低い低効率運転を行うことにより、燃料電池を暖機する燃料電池システムであって、低効率運転中に前記燃料電池の出力電圧を変更すべきか否かを判断する判断手段と、前記出力電圧を変更すべきと判断した場合には、前記燃料電池の容量成分に対する充放電量を考慮しながらシステム要求パワーを満たすように該燃料電池の出力電圧を制御するΔV制御を実行することで、前記出力電圧を変更する電圧制御手段とを具備することを特徴とする。
ここで、上記構成にあっては、排気水素濃度下限値を満足できる前記燃料電池の出力電圧と出力電流の関係を表す排気水素濃度情報を記憶する記憶手段をさらに備え、前記判断手段は、前記排気水素濃度情報に基づいて低効率運転中に前記燃料電池の出力電圧を変更すべきか否かを判断する態様が好ましい。
本発明によれば、燃料電池の出力電圧や出力電圧を最適に制御しながら、運転状態を遷移させることが可能となる。
A.第1実施形態
以下、各図を参照しながら本発明に係わる実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る車両に搭載された燃料電池システム10のシステム構成を示す。なお、以下の説明では車両の一例として燃料電池自動車(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)を想定するが、電気自動車やハイブリッド自動車にも適用可能である。また、車両のみならず各種移動体(例えば、船舶や飛行機、ロボットなど)や定置型電源、さらには携帯型の燃料電池システムにも適用可能である。
燃料電池システム10は、燃料電池車両に搭載される車載電源システムとして機能するものであり、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて発電する燃料電池スタック20と、酸化ガスとしての空気を燃料電池スタック20に供給するための酸化ガス供給系30と、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池スタック20に供給するための燃料ガス供給系40と、電力の充放電を制御するための電力系50と、燃料電池スタック20を冷却するための冷却系60と、システム全体を制御するコントローラ(ECU)70とを備えている。
燃料電池スタック20は、複数のセルを直列に積層してなる固体高分子電解質型セルスタックである。燃料電池スタック20では、アノード極において(1)式の酸化反応が生じ、カソード極において(2)式の還元反応が生じる。燃料電池スタック20全体としては(3)式の起電反応が生じる。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
燃料電池スタック20には、燃料電池スタック20の出力電圧を検出するための電圧センサ71、及び発電電流を検出するための電流センサ72が取り付けられている。
酸化ガス供給系30は、燃料電池スタック20のカソード極に供給される酸化ガスが流れる酸化ガス通路34と、燃料電池スタック20から排出される酸化オフガスが流れる酸化オフガス通路36とを有している。酸化ガス通路34には、フィルタ31を介して大気中から酸化ガスを取り込むエアコンプレッサ32と、燃料電池スタック20のカソード極へ供給される酸化ガスを加湿するための加湿器33と、酸化ガス供給量を調整するための絞り弁35とが設けられている。酸化オフガス通路36には、酸化ガス供給圧を調整するための背圧調整弁37と、酸化ガス(ドライガス)と酸化オフガス(ウェットガス)との間で水分交換するための加湿器33とが設けられている。
酸化ガス通路34と酸化オフガス通路36との間には、燃料電池スタック20をバイパスして両者間を接続するバイパス通路38と、バイパス通路38を流れる酸化ガス流量を調整するバイパス弁39とが配設されている。バイパス弁39は、通常時には閉弁しており、後述する電圧降下処理時に開弁される。バイパス通路38とバイパス弁39とは、バイパスエア流量を調整するためのバイパス手段として機能する。
燃料ガス供給系40は、燃料ガス供給源41と、燃料ガス供給源41から燃料電池スタック20のアノード極に供給される燃料ガスが流れる燃料ガス通路45と、燃料電池スタック20から排出される燃料オフガスを燃料ガス通路45に帰還させるための循環通路46と、循環通路46内の燃料オフガスを燃料ガス通路43に圧送する循環ポンプ47と、循環通路47に分岐接続される排気排水通路48とを有している。
燃料ガス供給源41は、例えば、高圧水素タンクや水素吸蔵合金などで構成され、高圧(例えば、35MPa〜70MPa)の水素ガスを貯留する。遮断弁42を開くと、燃料ガス供給源41から燃料ガス通路45に燃料ガスが流出する。燃料ガスは、レギュレータ43やインジェクタ44により、例えば、200kPa程度まで減圧されて、燃料電池スタック20に供給される。
尚、燃料ガス供給源41は、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクとから構成してもよい。
レギュレータ43は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置であり、例えば、一次圧を減圧する機械式の減圧弁などで構成される。機械式の減圧弁は、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする構成を有する。
インジェクタ44は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタ44は、燃料ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座を備えるとともに、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、このノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に収容保持され噴射孔を開閉する弁体とを備えている。
排気排水通路48には、排気排水弁49が配設されている。排気排水弁49は、コントローラ70からの指令によって作動することにより、循環通路46内の不純物を含む燃料オフガスと水分とを外部に排出する。排気排水弁49の開弁により、循環通路46内の燃料オフガス中の不純物の濃度が下がり、循環系内を循環する燃料オフガス中の水素濃度を上げることができる。
排気排水弁49を介して排出される燃料オフガスは、酸化オフガス通路34を流れる酸化オフガスと混合され、希釈器(図示せず)によって希釈される。循環ポンプ47は、循環系内の燃料オフガスをモータ駆動により燃料電池スタック20に循環供給する。
電力系50は、DC/DCコンバータ51、バッテリ52、トラクションインバータ53、トラクションモータ54、及び補機類55を備えている。DC/DCコンバータ51は、バッテリ52から供給される直流電圧を昇圧してトラクションインバータ53に出力する機能と、燃料電池スタック20が発電した直流電力、又は回生制動によりトラクションモータ54が回収した回生電力を降圧してバッテリ52に充電する機能とを有する。DC/DCコンバータ51のこれらの機能により、バッテリ52の充放電が制御される。また、DC/DCコンバータ51による電圧変換制御により、燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)が制御される。
バッテリ52は、余剰電力の貯蔵源、回生制動時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとして機能する。バッテリ52としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等の二次電池が好適である。
トラクションインバータ53は、例えば、パルス幅変調方式で駆動されるPWMインバータであり、コントローラ70からの制御指令に従って、燃料電池スタック20又はバッテリ52から出力される直流電圧を三相交流電圧に変換して、トラクションモータ54の回転トルクを制御する。トラクションモータ54は、例えば、三相交流モータであり、燃料電池車両の動力源を構成する。
補機類55は、燃料電池システム10内の各部に配置されている各モータ(例えば、ポンプ類などの動力源)や、これらのモータを駆動するためのインバータ類、更には各種の車載補機類(例えば、エアコンプレッサ、インジェクタ、冷却水循環ポンプ、ラジエータなど)を総称するものである。
冷却系60は、燃料電池スタック20内部を循環する冷媒を流すための冷媒通路61、62,63,64、冷媒を圧送するための循環ポンプ65、冷媒と外気との間で熱交換するためのラジエータ66、冷媒の循環経路を切り替えるための三方弁67、及び冷媒温度を検出するための温度センサ74を備えている。暖機運転が完了した後の通常運転時には燃料電池スタック20から流出する冷媒が冷媒通路61,64を流れてラジエータ66にて冷却された後、冷媒通路63を流れて再び燃料電池スタック20に流れ込むように三方弁67が開閉制御される。一方、システム起動直後における暖機運転時には、燃料電池スタック20から流出する冷媒が冷媒通路61,62,63を流れて再び燃料電池スタック20に流れ込むように三方弁67が開閉制御される。
コントローラ70は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェース等を備えるコンピュータシステムであり、燃料電池システム10の各部(酸化ガス供給系30、燃料ガス供給系40、電力系50、及び冷却系60)を制御するための制御手段として機能する。例えば、コントローラ70は、イグニッションスイッチから出力される起動信号IGを受信すると、燃料電池システム10の運転を開始し、アクセルセンサから出力されるアクセル開度信号ACCや、車速センサから出力される車速信号VCなどを基にシステム全体の要求電力を求める。
システム全体の要求電力は、車両走行電力と補機電力との合計値である。補機電力には車載補機類(加湿器、エアコンプレッサ、水素ポンプ、及び冷却水循環ポンプ等)で消費される電力、車両走行に必要な装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、及び懸架装置等)で消費される電力、乗員空間内に配設される装置(空調装置、照明器具、及びオーディオ等)で消費される電力などが含まれる。
そして、コントローラ70は、燃料電池スタック20とバッテリ52とのそれぞれの出力電力の配分を決定し、発電指令値を演算するとともに、燃料電池スタック20の発電量が目標電力に一致するように、酸化ガス供給系30及び燃料ガス供給系40を制御する。更にコントローラ70は、DC/DCコンバータ51を制御して、燃料電池スタック20の出力電圧を調整することにより、燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を制御する。コントローラ70は、アクセル開度に応じた目標トルクが得られるように、例えば、スイッチング指令として、U相、V相、及びW相の各交流電圧指令値をトラクションインバータ53に出力し、トラクションモータ54の出力トルク、及び回転数を制御する。
図2は燃料電池スタック20のC−V特性(サイクリックボルタノグラム)を示している。
このC−V特性は、燃料電池スタック20の動的な電気特性を示すものであり、燃料電池スタック20の電圧を一定の電圧上昇率で昇圧させると、外部から燃料電池スタック20へ流れ込む方向(マイナス方向)に電流が流れ、燃料電池スタックの電圧を一定の電圧下降率で降圧させると、燃料電池スタック20から外部へ流れる方向(プラス方向)に電流が流れる。このような動的な電気特性は、燃料電池スタック20が寄生的に有する容量成分によるものであることが判明している。
ここで、発電電流を急激に増減させると、燃料電池スタック20を構成する各セルの電解質膜のオーム抵抗に起因するオーム電圧降下は、発電電流の変化に対して応答性よく追従していくが、電気二重層に生じる活性化過電圧は、発電電流の変化に対して応答性よく追従することができず、ある程度の時間をかけてゆっくりと平衡状態に落ち着く。このような相違が生じる理由は、電解質膜22の電気特性は、抵抗素子としてモデル化できるのに対し、電気二重層の電気特性は、キャパシタとしてモデル化できるためである。
図3は燃料電池スタック20の動的な電気特性をモデル化した等価回路図である。
燃料電池スタック20は、理想燃料電池28とキャパシタ29とが並列接続されてなる回路構成を有している。理想燃料電池28は、上述のC−V特性を有しない仮想的な燃料電池をモデル化したものであり、電気特性上、可変電源と等価な振る舞いをする。キャパシタ29は、上記界面に形成される電気二重層の電気的な振る舞いを容量素子としてモデル化したものである。外部負荷56は電力系50をモデル化した等価回路である。理想燃料電池28から流れ出す電流をIfc、理想燃料電池28の出力電圧(燃料電池スタック20の出力電圧)をVfc、キャパシタ29に流れ込む電流をIc、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流をIs、キャパシタ29の容量をC、時間をtとすると、以下に示す(4)〜(5)式が成立する。
Ifc=Ic+Is …(4)
Ic=C・ΔVfc/Δt …(5)
(4)〜(5)式に示すように、出力電圧Vfcを昇圧すると、単位時間あたりの変化量ΔVfc/Δtに応じて、キャパシタ29に流れ込む電流Icが増加するので、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流Isは減少する。一方、出力電圧Vfcを降圧すると、単位時間あたりの変化量ΔVfc/Δtに応じて、キャパシタ29に流れ込む電流Icが減少するので、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流Isは増加する。このように、出力電圧Vfcの単位時間あたりの昇降圧量を制御することにより、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流Isを加減することができる(以下、便宜上、ΔV制御と呼ぶ)。
ΔV制御の応用例として、例えば、低効率運転時に燃料電池スタック20への発電要求が急減したときに、出力電圧Vfcを制御することによりキャパシタ29に余剰電力を吸収する方法がある。低効率運転とは、エアストイキ比を1.0未満に設定して燃料電池スタック20への反応ガス供給量を制御することにより、電力損失を高めて、低い発電効率で運転することをいう。エアストイキ比とは、酸素余剰率をいい、水素と過不足なく反応するのに必要な酸素に対して供給酸素がどれだけ余剰であるかを示す。エアストイキ比を低く設定して低効率運転を実施すると、通常運転時よりも濃度過電圧が大きくなるので、水素と酸素との反応によって取り出せるエネルギーのうち熱損失(電力損失)が増大する。
低効率運転は、例えば、低温起動時(スタック温度が所定温度以下の起動時)において熱損失を意図的に増大させることによって、燃料電池スタック20を迅速に暖機するための手段として、車両走行前の起動準備段階又は車両走行しながらの暖機運転時に実施される。
車両走行しながらの低効率運転は、燃料電池スタック20への燃料ガス供給量を一定に保持しつつ、アクセル開度に応じて所望の電力が得られるよう燃料電池スタック20への酸化ガス流量を調整しながら、スタック温度が所定温度(例えば0℃)に昇温するまで実施され、スタック温度が所定温度に達すると、通常運転に切り替えられる。
図4は燃料電池スタック20のI−V特性を示している。
通常運転時には、発電効率を高めるため運転ポイント(出力電流Ifc、出力電圧Vfc)がI−V特性曲線(電流対電圧特性曲線)200上に位置するように運転制御する。一方、低効率運転時には、発電効率を意図的に低下させて熱損失を高めるので、運転ポイントは、I−V特性曲線200よりも低い電圧ポイント、例えば、出力電圧Vfc=V1やVfc=V2に設定される。ここで、燃料電池スタック20の暖機は、車両の起動時や停止時のみならず、通常走行時にも行われる。かかる暖機について、熱損失を高める(別言すれば発熱効率を高める)という観点では出力電圧Vfcを可能な限り低く設定したほうが良い。しかしながら、車両走行中の負荷(トラクションモータや各種補機など)からの要求電圧等は、車両起動時などの要求電圧等に比べて高く設定されるため、低効率運転により車両走行しながら暖機運転しているときの燃料電池スタック20の出力電圧Vfc(例えば図4に示すV2)は、低効率運転により起動時や停止時に暖機運転しているときの燃料電池スタック20の出力電圧Vfc(例えば図4に示すV1)に比べて高く設定される。
ここで、低効率運転中の燃料電池スタック20の出力電圧Vfcは、通常、一定に保持され(例えば、V1やV2)、エアコンプレッサ32から燃料電池スタック20に供給される酸化ガス流量を制御することにより出力電流Ifcを調整し、負荷に応じた発電制御を実施する(以下、固定電圧制御と呼ぶ)。ただし、低効率運転の燃料電池スタック20の出力制御は、これに限定されず、負荷等からの要求電圧に応じて燃料電池スタック20の出力電圧Vfcを調整しつつ、エアコンプレッサ32から燃料電池スタック20に供給される酸化ガス流量を制御することにより出力電流Ifcを調整し、負荷に応じた発電制御を実施しても良い。
<低効率運転から通常運転に移行する場合の動作>
例えば、低効率運転により車両走行しながら暖機運転しているときの運転ポイントをOP2(I2,V2)とする。暖機運転をしている間に、温度センサ74によって燃料電池スタック20の温度が所定温度(例えば70℃)を越えたことが検知されると、ECU70は低効率運転から通常運転へ遷移すべきタイミングが到来したと判断し、低効率運転から通常運転への運転遷移処理を行う。具体的には、運転遷移処理を実行することにより、燃料電池スタック20の運転ポイントを、低効率運転時の運転ポイントOP2(I2,V2)から、I−V特性曲線200上に位置する運転ポイントOP3(I3,V3)に遷移させる。なお、以下の説明では、通常運転へ移行した後のI−V特性曲線200上での発電制御をI−V制御と呼ぶ。
ここで、低効率運転から通常運転へ移行する際、燃料電池スタック20内部に寄生的に存在するキャパシタ29の存在を何ら考慮せずに、外部負荷56からの要求電力に応じて燃料電池スタック20の出力電圧や出力電流を変動させると、燃料電池スタック20から外部負荷56へ供給される電力(燃料電池スタック20の発電電力とキャパシタ29からの放電電力との総和)と、外部負荷56が要求する電力とが一致せず、例えば外部負荷56に供給する電力が不足したり、外部負荷56に過剰な電力が供給されてしまう等の問題が生じてしまう。
そこで、燃料電池スタック20から外部負荷56へ供給される電力(以下、供給電力)と、外部負荷56が要求する電力(以下、要求電力)とが一致するように、ΔV制御を行うことで低効率運転から通常運転への遷移を行う。なお、ΔV制御の際には、供給電力と要求電力とが一致するように燃料電池スタック20の出力電圧の電圧変化速度を調整しながら、該出力電圧を昇降圧させる。
ここで、低効率運転から通常運転への運転遷移処理について詳細に説明する。
ECU(供給酸化ガス制御手段)70は、上記の如く低効率運転から通常運転へ遷移すべきタイミングが到来したと判断すると、ΔV制御へ移行する前処理として、エアコンプレッサ32から燃料電池スタック20へ供給する酸化ガスを所定量(例えば0.5mol/s)だけ増量する処理(以下、ΔVトリガ処理)を行う。通常、低効率運転は通常運転よりも発電効率の悪い運転領域(図4に示すI−V特性曲線200より下の領域)で運転が行われるため、例えば低効率運転時にエアコンプレッサ32から燃料電池スタック20へ供給する酸化ガス量を増量すると、燃料電池スタック20の出力電流が高くなり、結果として燃料電池スタック20の出力電力が大きくなる。
この原理を利用して、ECU(導出手段)70は、ΔVトリガ処理前後の出力電力を検知し、出力電力偏差Pdを算出した後、この出力電力偏差Pdと、設定された偏差閾値(電力閾値)ΔPとを比較する。ECU(判断手段)70は、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを超えたことを検知すると(設定条件を満たさない場合)、これを契機(トリガ)としてΔV制御を行う。そして、ECU70は、燃料電池スタック20の出力電圧に基づき、ΔV制御からI−V制御への切り換えタイミングを判定する。詳述すると、ECU70は、燃料電池スタック20の出力電圧の指令値が予め設定された閾値以下となり、かつ、この状態が一定時間以上継続した場合には、運転ポイントをI−V特性曲線200上に遷移させ、I−V制御を開始する。
一方、ECU70は、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えない場合には、未だΔV制御の実行タイミングが到来していないと判断する。上述したように、ΔV制御は、ECU70によって出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えたと判断された場合に、これをトリガとして開始されるため、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えない限りは、低効率運転から通常運転への移行が行われない(別言すればI−V制御が行われない)ことになる。
しかしながら、燃料電池スタック20の温度が所定温度以上になり、低効率運転による暖機が不要になった後においても、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えないために、通常運転へ移行することなく低効率運転を継続するのは、発電効率が悪い等の問題がある。そこで、本実施形態では、ECU(判断手段)70は、ΔV処理を開始してから一定時間(t>0)以上出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えない場合には(設定条件を満たす場合)、ΔV制御を行わず、強制的にI−V制御を開始する。このように、強制的にI−V制御を開始するのは、ΔV処理を開始してから一定時間以上出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えないのは、すなわち低効率運転時の運転ポイントが、既にI−V特性曲線200上に乗っていた、あるいは特性曲線200上に乗っていなくともその近傍に存在していたと考えられるからである(例えば、図4に示す運転ポイントOP4(I4,V4)参照)。
かかる方法によれば、低効率運転の運転ポイントがI−V特性曲線200上に乗っている状態で低効率運転による暖機が不要になった後は、一定時間経過後に強制的にI−V制御(すなわち通常運転)が行われるため、上記の如く、低効率運転による暖機が不要になった後においても通常運転へ移行できずに、発電効率の悪い低効率運転が継続されてしまう等の問題を未然に防止することが可能となる。
図5はECU70がプログラムを実行することによって実現される低効率運転から通常運転への運転遷移処理を示すフローチャートである。なお、図5に示す例では、走行中に低効率運転による暖機が行われ、通常運転へと遷移する場合を想定する。
例えば、図4に示す運転ポイントOP2(I2,V2)において低効率運転により車両走行しながら暖機をしている状態において、温度センサ(検知手段)74が燃料電池スタック20の温度(関連温度)が所定温度(例えば70℃)を越えたことを検知されると、ECU(移行判定手段)70は低効率運転から通常運転へ遷移すべきタイミングが到来したと判断する(ステップS110;YES)。ECU70は低効率運転から通常運転へ遷移すべきタイミングが到来したと判断する(ステップS110;YES)。ECU70は低効率運転から通常運転へ遷移すべきタイミングが到来したと判断すると、ΔV制御へ移行する前処理として、エアコンプレッサ32から燃料電池スタック20へ供給する酸化ガスを所定量(例えば0.5mol)だけ増量する処理(すなわち、ΔVトリガ処理)を行う(ステップS120)。通常、低効率運転は通常運転よりも発電効率の悪い運転領域(図4に示すI−V特性曲線200より下の領域)で運転が行われるため、例えば低効率運転時にエアコンプレッサ32から燃料電池スタック20へ供給する酸化ガス量を増量すると、燃料電池スタック20の出力電流が高くなり、結果として燃料電池スタック20の出力電力が大きくなる。
この原理を利用して、ECU70は、まず、ΔVトリガ処理前後の出力電力を検知する(ステップS130)、そして、ECU70は、出力電力偏差Pdを算出した後、この出力電力偏差Pdと、設定された偏差閾値ΔPとを比較し、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを下回りかつ、この状態が一定時間以上継続しているか否かを判断する(ステップS140)。ECU70は、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔP以上である場合、または出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを下回ったとしても一定時間以上継続しなかった場合には(ステップS140;NO)、これを契機(トリガ)としてΔV制御を行う(ステップS150)。そして、ECU70は、燃料電池スタック20の出力電圧に基づき、ΔV制御からI−V制御への切り換えタイミングを判定する(ステップS155)。詳述すると、ECU70は、燃料電池スタック20の出力電圧の指令値が予め設定された閾値以下となり、かつ、この状態が一定時間以上継続した場合には(ステップS155;YES)、運転ポイントをI−V特性曲線200上に遷移させ、I−V制御を開始する(ステップS160)。
一方、ECU70は、出力電力偏差Pdが偏差閾値Δを下回り、かつ一定時間以上継続している場合には、ΔV制御の実行タイミングが到来していないと判断する。上述したように、ΔV制御は、ECU70によって出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えたと判断された場合に、これをトリガとして開始されるため、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えない限りは、低効率運転から通常運転への移行が行われない(別言すればI−V制御が行われない)ことになる。
しかしながら、燃料電池スタック20の温度が所定温度以上になり、低効率運転による暖機が不要になった後においても、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えないために、通常運転へ移行することなく低効率運転を継続するのは、発電効率が悪い等の問題がある。そこで、本実施形態では、ECU70は、ΔVトリガ処理を開始してから一定時間(t>0)以上出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えない場合には、ΔV制御を行わず、強制的にI−V制御を開始する(ステップS170)。このように、強制的にI−V制御を開始するのは、ΔVトリガ処理を開始してから一定時間以上出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを越えないのは、すなわち低効率運転時の運転ポイントが、既にI−V特性曲線200上(あるいは近傍)に乗っていたと考えられるからである(例えば、図4に示す運転ポイントOP4(I4,V4)参照)。
かかる方法によれば、低効率運転の運転ポイントがI−V特性曲線200上に乗っている状態で低効率運転による暖機が不要になった後は、一定時間経過後に強制的にI−V制御(すなわち通常運転)が行われるため、上記の如く、低効率運転による暖機が不要になった後においても通常運転へ移行できずに、発電効率の悪い低効率運転が継続されてしまう等の問題を未然に防止することが可能となる。
なお、上記実施形態では、出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを下回り、かつ一定時間以上継続している場合に、ΔV制御を実行することなく強制的にI−V制御を実施したが(図5に示すステップS140→ステップS170)、例えば出力電力偏差Pdが偏差閾値ΔPを下回った場合は、その継続時間に関わらず常に強制的にI−V制御を実施しても良い。
また、本実施形態では、走行中に低効率運転から通常運転へと遷移する場合を想定したが、起動時や停止時などに行われる低効率運転から通常運転へ遷移する場合にも同様に適用可能である。また、本実施形態では、温度センサ74によって検知される燃料電池スタック20の温度に基づき、低効率運転から通常運転へ移行すべきか否かを判定したが、燃料電池スタック周辺の環境温度や部品温度、外気温度など、燃料電池スタック20の関連温度を検知するセンサ(検知手段)を設け、該センサによって検知される関連温度に基づき、低効率運転から通常運転へ移行すべきか否かを判定しても良い。
B.第2実施形態
第1実施形態において説明したように、低効率運転中の燃料電池スタック20の出力電圧Vfcは一定に保持され、エアコンプレッサ32から燃料電池スタック20に供給される酸化ガス流量を制御することにより出力電流Ifcを調整し、負荷に応じた発電制御が行われる(固定電圧制御)。
ところが、走行中の低効率運転においては、固定電圧制御による出力電圧Vfcの一定にすると、出力電流Ifcの値によっては、設定された排気水素許容濃度を満足できない領域が存在することが判明した。そこで、本実施形態では、低効率運転中の出力電流Ifcの値によらず、常に設定された排気水素許容濃度を満足できるような、多段固定電圧制御を実施する。なお、多段固定電圧制御とは、低効率運転中に燃料電池スタック20の出力電圧Vfcを常に一定値に固定するのではなく、設定された排気水素許容濃度を遵守するために、出力電流Ifcに応じて該出力電圧Vfcを複数の値(本実施形態では2値)に設定し、設定した出力電圧Vfcの間で適宜切り換える制御をいう。
図6は、燃料電池スタック20の各温度と排気水素の燃料電池の出力電流、出力電圧特性を示す図である。
図6に示すように、燃料電池スタック20の温度が高ければ高いほど、排気水素許容濃度による電圧下限値は高くなる。本実施形態では、予め実験などにより最も温度が高い場合(ここでは温度T5の場合)の排気水素許容濃度による電圧下限値を設定しておき、排気水素許容濃度を遵守できるように、出力電流Ifcに応じて出力電圧Vfcを出力電圧Vfc1,Vfc2(>Vfc1)の間で切り換えを行う。
ここで、出力電圧Vfc1とVfc2の間で出力電圧Vfcを切り換える際には、ΔV制御を用いて燃料電池スタック20の動作ポイントを遷移する。なお、ΔV制御を行う際に、急激に出力電圧Vfcを上下(具体的にはVfc1→Vfc2,Vfc2→Vfc1)させると、外部負荷56に供給する電力が不足したり、外部負荷56に過剰な電力が供給されてしまう等の問題が生じてしまう。そこで、ΔV制御の際には、供給電力と要求電力とが一致するように燃料電池スタック20の出力電圧の電圧変化速度を調整しながら、該出力電圧を昇降圧させる。
以上説明した制御を行うことで、低効率運転を行う場合であっても確実に排気水素許容濃度を遵守することができるとともに、外部負荷56に供給する電力が不足したり、外部負荷56に過剰な電力が供給されてしまう等の問題も未然に防止することができる。
図7は、ECU(記憶手段)70に格納されている電圧・電流切り換えマップMPを例示した図である。この電圧・電流切り換えマップMPは、排気水素濃度(排気水素濃度下限値)を満足できる燃料電池スタック20の出力電圧Vfcと出力電流Ifcとの関係をあらわすマップ(排気水素濃度情報)である。ECU(判断手段)70は、この電圧・電流切り換えマップMPを参照することにより、例えば出力電流Ifc1(50A程度等)までは出力電圧Vfc1を選択し、出力電流Ifc1以上であれば出力電圧Vfc2(<Vfc1)を選択する(図6参照)。
図8は、ECU70によって実行される多段固定電圧制御処理を示すフローチャートである。
低効率運転を開始する際、まず、ECU70はシステム要求電力と、電圧・電流切り換えマップMPとに基づき、出力電圧Vfcと出力電流Ifcを決定する(ステップS210)。
その後、ECU(判断手段)70は、図6に示す排気水素許容濃度による電圧下限値を参照しながら、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcの切り換えタイミングが到来したかを判定する(ステップS220)。ECU70は、例えば現時点で出力電圧Vfc2、出力電流Ifc1が設定されている状態において、出力電流Ifc1以下に設定しなければならない場合には、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcの切り換えタイミングが到来したと判断し(ステップS220;YES)、ECU70は、ΔV制御を行うことで出力電圧Vfc2から出力電圧Vfc1に切り換え(ステップS230→ステップS240)、処理を終了する。一方、ECU70は、例えば現時点で出力電圧Vfc2、出力電流Ifc1が設定されている状態において、出力電流Ifc1以下に設定する必要がない場合には、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcの切り換えタイミングは到来していないと判断し、(ステップS220;NO)、ステップS230、S240をスキップして処理を終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、低効率運転を行う際、設定された排気水素許容濃度を遵守できるように、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcについて多段固定電圧制御を実施するとともに、出力電圧Vfcの切り換えを行う際には、ΔV制御を行う。これにより、低効率運転を行う場合であっても確実に排気水素許容濃度を遵守することができるとともに、外部負荷56に供給する電力が不足したり、外部負荷56に過剰な電力が供給されてしまう等の問題も未然に防止することができる。
(1)なお、上述した本実施形態では、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcを、低い出力電圧Vfc2から高い出力電圧Vfc1に切り換える場合(システム要求パワーが減少する場合など)を例に説明したが、これとは逆に、高い出力電圧Vfc1から低い出力電圧Vfc2に切り換える場合(システム要求パワーが増加する場合など)にも、同様に適用可能である。
(2)また、上述した本実施形態では、多段固定電圧制御の一例として、2種類の出力電圧Vfc1、Vfc2で切り換える2段固定電圧制御を例示したが、3種類以上の出力電圧で切り換えても良い。切り換え可能な出力電圧の種類を増やすことで、より発電効率(あるいは発熱効率)の高い出力電圧制御が可能となる。
第1実施形態に係る燃料電池システムのシステム構成図である。 燃料電池スタックのC−V特性図である。 燃料電池スタックの等価回路図である。 燃料電池スタックの運転ポイントの説明図である。 運転遷移処理を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る燃料電池スタック20の各温度と排気水素の燃料電池の出力電流、出力電圧特性を示す図である。 電圧・電流切り換えマップを例示した図である。 多段固定電圧制御処理を示すフローチャートである。
10・・・燃料電池システム、20・・・燃料電池スタック、30・・・酸化ガス供給系、40・・・燃料ガス供給系、50・・・電力系、60・・・冷却系、70・・・コントローラ。
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、燃料電池の出力電圧や出力電を最適に制御しながら、運転状態を遷移させることが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
本発明によれば、燃料電池の出力電圧や出力電を最適に制御しながら、運転状態を遷移させることが可能となる。
排気排水弁49を介して排出される燃料オフガスは、酸化オフガス通路36を流れる酸化オフガスと混合され、希釈器(図示せず)によって希釈される。循環ポンプ47は、循環系内の燃料オフガスをモータ駆動により燃料電池スタック20に循環供給する。
図6は、燃料電池スタック20の各温度と排気水素の燃料電池の出力電流、出力電圧特性を示す図である。なお、図6のα1−5は、燃料電池スタック20の各温度をあらわすものであり、α1が最も温度が高く、α5が最も温度が低い状態をあらわしている。
図6に示すように、燃料電池スタック20の温度が高ければ高いほど、排気水素許容濃度による電圧下限値は高くなる。本実施形態では、予め実験などにより最も温度が高い場合(ここでは温度T5の場合)の排気水素許容濃度による電圧下限値を設定しておき、排気水素許容濃度を遵守できるように、出力電流Ifcに応じて出力電圧Vfcを出力電圧Vfc1,Vfc2(>Vfc1)の間で切り換えを行う。

Claims (6)

  1. 通常運転に比して発電効率の低い低効率運転を行うことにより、燃料電池を暖機する燃料電池システムであって、
    前記低効率運転から前記通常運転へ移行する際に、設定条件を満たすか否かを判断する判断手段と、
    前記設定条件を満たさない場合には、前記燃料電池の容量成分に対する充放電量を考慮しながらシステム要求パワーを満たすように該燃料電池の出力電圧を制御するΔV制御を実行することで、低効率運転からΔV制御を経由して通常運転へと移行させる一方、前記設定条件を満たす場合には、前記ΔV制御を経由することなしに、低効率運転から強制的に通常運転へと移行させることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記低効率運転から前記通常運転へ移行する際、前記燃料電池に供給する酸化ガスを所定量増加させる供給酸化ガス制御手段と、前記酸化ガスの増加前後における燃料電池の出力電力を検知することで、該燃料電池の出力電力偏差を導出する導出手段とをさらに備え、
    前記判断手段は、導出された前記燃料電池の出力電力偏差が設定された電力閾値を下回った場合に、前記設定条件を満たすと判断することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記判断手段は、導出された前記燃料電池の出力電力偏差が設定された電力閾値を所定時間以上継続して下回った場合に、前記設定条件を満たすと判断することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の関連温度を検知する検知手段と、検知される前記関連温度に基づき前記低効率運転から前記通常運転へ移行すべきか否かを判定する移行判定手段をさらに備え、
    前記判断手段は、前記移行判定手段によって前記低効率運転から前記通常運転へ移行すべきと判定された場合に、前記設定条件を満たすか否かの判断を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の燃料電池システム。
  5. 通常運転に比して発電効率の低い低効率運転を行うことにより、燃料電池を暖機する燃料電池システムであって、
    低効率運転中に前記燃料電池の出力電圧を変更すべきか否かを判断する判断手段と、
    前記出力電圧を変更すべきと判断した場合には、前記燃料電池の容量成分に対する充放電量を考慮しながらシステム要求パワーを満たすように該燃料電池の出力電圧を制御するΔV制御を実行することで、前記出力電圧を変更する電圧制御手段と
    を具備することを特徴とする燃料電池システム。
  6. 排気水素濃度下限値を満足できる前記燃料電池の出力電圧と出力電流の関係を表す排気水素濃度情報を記憶する記憶手段をさらに備え、
    前記判断手段は、前記排気水素濃度情報に基づいて低効率運転中に前記燃料電池の出力電圧を変更すべきか否かを判断することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
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