JP5229523B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は燃料ガスと酸化ガスとの供給を受けて発電する燃料電池システムに関する。
燃料電池は、燃料を電気化学プロセスによって酸化させることにより酸化反応に伴って放出されるエネルギーを電気エネルギーに直接変換する発電システムであり、水素イオンを選択的に輸送するための電解質膜の両側面を多孔質材料から成る一対の電極によって挟持して成る膜−電極アッセンブリを複数積層して成るスタック構造を有している。なかでも、固体高分子膜を電解質として用いる固体高分子電解質型燃料電池は、低コストでコンパクト化が容易であり、しかも高い出力密度を有することから、車載電力源としての用途が期待されている。
この種の燃料電池は、一般に70〜80℃が発電に最適な温度域とされているが、寒冷地などの環境では、起動してから最適温度域に達するまでに長時間を要する場合があるので、各種の暖機システムが検討されている。例えば、特開2004−30979号公報には、通常運転に比して発電効率の低い低効率運転を実施することにより燃料電池の自己発熱量を制御し、燃料電池を暖機する手法について開示されている。かかる手法によれば、燃料電池による自己暖機が可能であるため、暖機用の装置を搭載する必要がなく、利便性に優れている。
特開2004−30979号公報
低効率運転を実施するには、燃料電池の出力電圧をそのI−V特性曲線(電流対電圧特性曲線)により定まる電圧よりも低い電圧に、システムへ電力供給を行いながら設定する必要がある。電圧降下処理の実施方法として、例えば、燃料電池へ燃料ガスを供給しつつ酸化ガス供給を停止した状態で、システムの要求パワーと現在電圧から決まる燃料電池の目標電流と電流フィルタ値との差分を基にPI制御(比例積分制御)により電圧偏差を演算周期毎に算出し、燃料電池の出力がシステム要求パワーに一致するようにフィードバック制御する方法がある。
しかし、燃料電池の電圧を降下させていくと、電圧降下に対する電流特性が変化するポイントがあるので、PI制御により電圧降下を制御すると、定常偏差を示す積分項の影響で電力制御性が低下することがある。これは、燃料電池の出力電圧を降下させる要因が燃料電池の容量成分(寄生容量)からの放電による電圧降下から燃料電池内部の残留酸化ガスが発電することによる電圧降下に変わるポイントが存在するためである。
そこで、本発明は、かかる問題を解決し、電力制御性に優れた燃料電池の電圧降下処理を実施できる燃料電池システムを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明に係わる燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池の目標電流と実測電流との偏差に比例ゲインを乗じてなる比例項と、偏差を時間積分し更に積分ゲインを乗じてなる積分項とを加算して得られる電圧偏差を基に電圧フィードバック制御により、燃料電池の出力電圧を目標電圧まで降下させるフィードバック制御手段と、を備える。フィードバック制御手段は、燃料電池内部に寄生的に形成されている容量成分からの放電による電圧降下から燃料電池内部に存在する酸化ガスと燃料電池内部に供給された燃料ガスとを用いて燃料電池が発電したことによる電圧降下に変化するポイントで積分項をゼロクリアする。
本発明の他の観点に係わる燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池の目標電流と実測電流との偏差に比例ゲインを乗じてなる比例項と、偏差を時間積分し更に積分ゲインを乗じてなる積分項とを加算して得られる電圧偏差を基に電圧フィードバック制御により、燃料電池の出力電圧を目標電圧まで降下させるフィードバック制御手段と、を備える。フィードバック制御手段は、燃料電池の実測電流が目標電流に一致するポイントで積分項をゼロクリアする。
本発明の他の観点に係わる燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池の目標電流と実測電流との偏差に比例ゲインを乗じてなる比例項と、偏差を時間積分し更に積分ゲインを乗じてなる積分項とを加算して得られる電圧偏差を基に電圧フィードバック制御により、燃料電池の出力電圧を目標電圧まで降下させるフィードバック制御手段と、を備える。フィードバック制御手段は、燃料電池の出力電圧の時間微分が、燃料電池に寄生的に形成されている容量成分からの放電により電圧降下したときの燃料電池の出力電圧の時間微分よりも大きな値である所定の閾値以上となるポイントで積分項をゼロクリアする。
本発明によれば、電圧降下に対する電流特性が変化するポイントで目標電流と実測電流との定常偏差を示す積分項をゼロクリアすることにより、電圧制御性を高めることができる。
以下、各図を参照しながら本発明に係わる実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係わる燃料電池システム10のシステム構成を示す。
燃料電池システム10は、燃料電池車両に搭載される車載電源システムとして機能するものであり、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて発電する燃料電池スタック20と、酸化ガスとしての空気を燃料電池スタック20に供給するための酸化ガス供給系30と、燃料ガスとしての水素ガスを燃料電池スタック20に供給するための燃料ガス供給系40と、電力の充放電を制御するための電力系50と、燃料電池スタック20を冷却するための冷却系60と、システム全体を制御するコントローラ(ECU)70とを備えている。
燃料電池スタック20は、複数のセルを直列に積層してなる固体高分子電解質型セルスタックである。燃料電池スタック20では、アノード極において(1)式の酸化反応が生じ、カソード極において(2)式の還元反応が生じる。燃料電池スタック20全体としては(3)式の起電反応が生じる。
2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
2+(1/2)O2 → H2O …(3)
燃料電池スタック20には、燃料電池スタック20の出力電圧を検出するための電圧センサ71、及び発電電流を検出するための電流センサ72が取り付けられている。
酸化ガス供給系30は、燃料電池スタック20のカソード極に供給される酸化ガスが流れる酸化ガス通路34と、燃料電池スタック20から排出される酸化オフガスが流れる酸化オフガス通路36とを有している。酸化ガス通路34には、フィルタ31を介して大気中から酸化ガスを取り込むエアコンプレッサ32と、燃料電池スタック20のカソード極へ供給される酸化ガスを加湿するための加湿器33と、酸化ガス供給量を調整するための絞り弁35とが設けられている。酸化オフガス通路36には、酸化ガス供給圧を調整するための背圧調整弁37と、酸化ガス(ドライガス)と酸化オフガス(ウェットガス)との間で水分交換するための加湿器33とが設けられている。
燃料ガス供給系40は、燃料ガス供給源41と、燃料ガス供給源41から燃料電池スタック20のアノード極に供給される燃料ガスが流れる燃料ガス通路45と、燃料電池スタック20から排出される燃料オフガスを燃料ガス通路45に帰還させるための循環通路46と、循環通路46内の燃料オフガスを燃料ガス通路43に圧送する循環ポンプ47と、循環通路47に分岐接続される排気排水通路48とを有している。
燃料ガス供給源41は、例えば、高圧水素タンクや水素吸蔵合金などで構成され、高圧(例えば、35MPa乃至70MPa)の水素ガスを貯留する。遮断弁42を開くと、燃料ガス供給源41から燃料ガス通路45に燃料ガスが流出する。燃料ガスは、レギュレータ43やインジェクタ44により、例えば、200kPa程度まで減圧されて、燃料電池スタック20に供給される。
尚、燃料ガス供給源41は、炭化水素系の燃料から水素リッチな改質ガスを生成する改質器と、この改質器で生成した改質ガスを高圧状態にして蓄圧する高圧ガスタンクとから構成してもよい。
レギュレータ43は、その上流側圧力(一次圧)を、予め設定した二次圧に調圧する装置であり、例えば、一次圧を減圧する機械式の減圧弁などで構成される。機械式の減圧弁は、背圧室と調圧室とがダイアフラムを隔てて形成された筺体を有し、背圧室内の背圧により調圧室内で一次圧を所定の圧力に減圧して二次圧とする構成を有する。
インジェクタ44は、弁体を電磁駆動力で直接的に所定の駆動周期で駆動して弁座から離隔させることによりガス流量やガス圧を調整することが可能な電磁駆動式の開閉弁である。インジェクタ44は、燃料ガス等の気体燃料を噴射する噴射孔を有する弁座を備えるとともに、その気体燃料を噴射孔まで供給案内するノズルボディと、このノズルボディに対して軸線方向(気体流れ方向)に移動可能に収容保持され噴射孔を開閉する弁体とを備えている。
排気排水通路48には、排気排水弁49が配設されている。排気排水弁49は、コントローラ70からの指令によって作動することにより、循環通路46内の不純物を含む燃料オフガスと水分とを外部に排出する。排気排水弁49の開弁により、循環通路46内の燃料オフガス中の不純物の濃度が下がり、循環系内を循環する燃料オフガス中の水素濃度を上げることができる。
排気排水弁49を介して排出される燃料オフガスは、酸化オフガス通路34を流れる酸化オフガスと混合され、希釈器(図示せず)によって希釈される。循環ポンプ47は、循環系内の燃料オフガスをモータ駆動により燃料電池スタック20に循環供給する。
電力系50は、DC/DCコンバータ51、バッテリ52、トラクションインバータ53、トラクションモータ54、及び補機類55を備えている。DC/DCコンバータ51は、バッテリ52から供給される直流電圧を昇圧してトラクションインバータ53に出力する機能と、燃料電池スタック20が発電した直流電力、又は回生制動によりトラクションモータ54が回収した回生電力を降圧してバッテリ52に充電する機能とを有する。DC/DCコンバータ51のこれらの機能により、バッテリ52の充放電が制御される。また、DC/DCコンバータ51による電圧変換制御により、燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)が制御される。
バッテリ52は、余剰電力の貯蔵源、回生制動時の回生エネルギー貯蔵源、燃料電池車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとして機能する。バッテリ52としては、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池等の二次電池が好適である。
トラクションインバータ53は、例えば、パルス幅変調方式で駆動されるPWMインバータであり、コントローラ70からの制御指令に従って、燃料電池スタック20又はバッテリ52から出力される直流電圧を三相交流電圧に変換して、トラクションモータ54の回転トルクを制御する。トラクションモータ54は、例えば、三相交流モータであり、燃料電池車両の動力源を構成する。
補機類55は、燃料電池システム10内の各部に配置されている各モータ(例えば、ポンプ類などの動力源)や、これらのモータを駆動するためのインバータ類、更には各種の車載補機類(例えば、エアコンプレッサ、インジェクタ、冷却水循環ポンプ、ラジエータなど)を総称するものである。
冷却系60は、燃料電池スタック20内部を循環する冷媒を流すための冷媒通路61、62,63,64、冷媒を圧送するための循環ポンプ65、冷媒と外気との間で熱交換するためのラジエータ66、冷媒の循環経路を切り替えるための三方弁67、及び冷媒温度を検出するための温度センサ74を備えている。暖機運転が完了した後の通常運転時には燃料電池スタック20から流出する冷媒が冷媒通路61,64を流れてラジエータ66にて冷却された後、冷媒通路63を流れて再び燃料電池スタック20に流れ込むように三方弁67が開閉制御される。一方、システム起動直後における暖機運転時には、燃料電池スタック20から流出する冷媒が冷媒通路61,62,63を流れて再び燃料電池スタック20に流れ込むように三方弁67が開閉制御される。
コントローラ70は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インタフェース等を備えるコンピュータシステムであり、燃料電池システム10の各部(酸化ガス供給系30、燃料ガス供給系40、電力系50、及び冷却系60)を制御するための制御手段として機能する。例えば、コントローラ70は、イグニッションスイッチから出力される起動信号IGを受信すると、燃料電池システム10の運転を開始し、アクセルセンサから出力されるアクセル開度信号ACCや、車速センサから出力される車速信号VCなどを基にシステム全体の要求電力を求める。
システム全体の要求電力は、車両走行電力と補機電力との合計値である。補機電力には車載補機類(加湿器、エアコンプレッサ、水素ポンプ、及び冷却水循環ポンプ等)で消費される電力、車両走行に必要な装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置、及び懸架装置等)で消費される電力、乗員空間内に配設される装置(空調装置、照明器具、及びオーディオ等)で消費される電力などが含まれる。
そして、コントローラ70は、燃料電池スタック20とバッテリ52とのそれぞれの出力電力の配分を決定し、発電指令値を演算するとともに、燃料電池スタック20の発電量が目標電力に一致するように、酸化ガス供給系30及び燃料ガス供給系40を制御する。更にコントローラ70は、DC/DCコンバータ51を制御して、燃料電池スタック20の出力電圧を調整することにより、燃料電池スタック20の運転ポイント(出力電圧、出力電流)を制御する。コントローラ70は、アクセル開度に応じた目標トルクが得られるように、例えば、スイッチング指令として、U相、V相、及びW相の各交流電圧指令値をトラクションインバータ53に出力し、トラクションモータ54の出力トルク、及び回転数を制御する。
図2は燃料電池スタック20を構成するセル21の分解斜視図である。
セル21は、電解質膜22と、アノード極23と、カソード極24と、セパレータ26,27とから構成されている。アノード極23及びカソード極24は、電解質膜22を両側から挟んでサンドイッチ構造を成す拡散電極である。ガス不透過の導電性部材から構成されるセパレータ26,27は、このサンドイッチ構造をさらに両側から挟みつつ、アノード極23及びカソード極24との間にそれぞれ燃料ガス及び酸化ガスの流路を形成する。セパレータ26には、断面凹状のリブ26aが形成されている。リブ26aにアノード極23が当接することで、リブ26aの開口部は閉塞され、燃料ガス流路が形成される。セパレータ27には、断面凹状のリブ27aが形成されている。リブ27aにカソード極24が当接することで、リブ27aの開口部は閉塞され、酸化ガス流路が形成される。
アノード極23は、白金系の金属触媒(Pt,Pt−Fe,Pt−Cr,Pt−Ni,Pt−Ruなど)を担持するカーボン粉末を主成分とし、電解質膜22に接する触媒層23aと、触媒層23aの表面に形成され、通気性と電子導電性とを併せ持つガス拡散層23bとを有する。同様に、カソード極24は、触媒層24aとガス拡散層24bとを有する。より詳細には、触媒層23a,24aは、白金、又は白金と他の金属からなる合金を担持したカーボン粉を適当な有機溶媒に分散させ、電解質溶液を適量添加してペースト化し、電解質膜22上にスクリーン印刷したものである。ガス拡散層23b、24bは、炭素繊維から成る糸で織成したカーボンクロス、カーボンペーパー、又はカーボンフェルトにより形成されている。電解質膜22は、固体高分子材料、例えば、フッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を発揮する。電解質膜22、アノード極23、及びカソード極24によって膜−電極アッセンブリ25が形成される。
電解質膜22と触媒層23aとの界面、電解質膜22と触媒層24aとの界面には、上記の(1)〜(2)式に示す電気化学反応に関与する電子と水素イオンとが集合することにより、電気二重層が形成される。電気二重層に集まる電子と水素イオンとによって生じる電圧は、基底状態にある水素ガス及び酸素ガスのそれぞれを活性化するためのエネルギー源として消費されるので、一般的に活性化過電圧と称される。上記界面に形成される電気二重層は、電気エネルギー貯蔵源として機能するものであり、その動的な電気特性は、キャパシタと等価であることが知られている。
発電電流を急激に増減させると、電解質膜22のオーム抵抗に起因するオーム電圧降下は、発電電流の変化に対して応答性よく追従していくが、電気二重層に生じる活性化過電圧は、発電電流の変化に対して応答性よく追従することができず、ある程度の時間をかけてゆっくりと平衡状態に落ち着く。このような相違が生じる理由は、電解質膜22の電気特性は、抵抗素子としてモデル化できるのに対し、電気二重層の電気特性は、キャパシタとしてモデル化できるためである。
図3は燃料電池スタック20の動的な電気特性をモデル化した等価回路図である。
燃料電池スタック20は、理想燃料電池28とキャパシタ29とが並列接続されてなる回路構成を有している。理想燃料電池28は、上述のC−V特性を有しない仮想的な燃料電池をモデル化したものであり、電気特性上、可変電源と等価な振る舞いをする。キャパシタ29は、上記界面に形成される電気二重層の電気的な振る舞いを容量素子としてモデル化したものである。外部負荷56は電力系50をモデル化したものである。理想燃料電池28から流れ出す電流をIfc、理想燃料電池28の出力電圧(燃料電池スタック20の出力電圧)をVfc、キャパシタ29に流れ込む電流をIc、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流をIs、キャパシタ29の容量をC、時間をtとすると、以下に示す(4)〜(5)式が成立する。
Ifc=Ic+Is …(4)
Ic=C・ΔVfc/Δt …(5)
(4)〜(5)式に示すように、出力電圧Vfcを昇圧すると、単位時間あたりの変化量ΔVfc/Δtに応じて、キャパシタ29に流れ込む電流Icが増加するので、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流Isは減少する。一方、出力電圧Vfcを降圧すると、単位時間あたりの変化量ΔVfc/Δtに応じて、キャパシタ29に流れ込む電流Icが減少するので、燃料電池スタック20から外部負荷56に流れ出す電流Isは増加する。
本実施形態では、燃料電池システム10を起動したときのスタック温度が所定温度(例えば0℃)未満である場合に車両走行しながらの低効率運転を実施し、燃料電池スタック20を暖機する。低効率運転とは、エアストイキ比を1.0未満に設定して燃料電池スタック20への反応ガス供給量を制御することにより発電損失を高めて低い発電効率で運転することをいう。エアストイキ比とは、酸素余剰率をいい、水素と過不足なく反応するのに必要な酸素に対して供給酸素がどれだけ余剰であるかを示す。エアストイキ比を低く設定して低効率運転を実施すると、通常運転時よりも濃度過電圧が大きくなるので、水素と酸素との反応によって取り出せるエネルギーのうち熱損失(発電損失)が増大する。
車両走行しながらの低効率運転では、燃料電池スタック20の出力電圧をそのI−V特性に基づく電圧値よりも低い一定の電圧値に固定しつつ、燃料電池スタック20に供給される酸化ガス流量を要求電力に応じて可変制御する。ここで、燃料電池スタック20の出力電圧を一定の電圧値に固定する理由は、燃料電池スタック20の出力電圧を変動させると、(4)〜(5)式に示すように、燃料電池スタック20の容量特性によりキャパシタ29からの電力の充放電が生じてしまい、燃料電池スタック20から外部負荷56へ供給される電力に過不足が生じるためである。
低効率運転時の燃料電池スタック20の出力電圧は、迅速な暖機運転を実現するとともに、車両走行に最低限度必要なモータ出力を得ることのできる電圧値に設定される。早期暖機の観点からは、燃料電池スタック20の出力電圧をできるだけ低く設定するのが望ましいが、過度に低すぎると、車両走行に必要なモータ出力を得ることができない場合があるので、暖機性能を満足しつつ車両走行時の適度なモータ出力を得ることのできる電圧に設定するのが望ましい。
このように、低効率運転時における燃料電池スタック20の出力電圧は、一定電圧に固定されるので、コントローラ70は、燃料電池スタック20への酸化ガス供給量を可変制御することにより、要求電力(アクセル開度等)に応じた発電制御を実施する。例えば、高負荷時には、燃料電池スタック20への酸化ガス流量を増大し、低負荷時には、燃料電池スタック20への酸化ガス流量を減少させる。但し、燃料電池スタック20への燃料ガス供給は一定流量に保持されるものとする。
尚、低効率運転は、スタック温度が所定温度(例えば0℃)に昇温するまで実施され、スタック温度が所定温度に達すると、通常運転に切り替えられる。
図4は燃料電池スタック20のI−V特性を示している。
通常運転時には、発電効率を高めるため、運転ポイント(出力電流Ifc、出力電圧Vfc)は、I−V特性曲線(電流対電圧特性曲線)200上の何れかの運転ポイント(例えば、OP2)に設定される。一方、低効率運転時には、発電効率を低下させて熱損失を高めるので、運転ポイントは、I−V特性曲線200よりも低い電圧値を有する運転ポイント(例えば、OP1)に設定される。低効率運転では、出力電圧VfcはV1に固定されるので、エアコンプレッサ32から燃料電池スタック20に供給されるエア流量を制御することにより、出力電流Ifcを調整し、運転負荷(例えば、アクセル開度)に応じた発電制御を実施する。
ところで、システム起動直後(イグニッションスイッチをオンにした段階)では、燃料電池スタック20の出力電圧は、開放端電圧OCVに等しいので、暖機運転のために低効率運転を実施するには、電圧降下処理を実施し、燃料電池スタック20の出力電圧を所望の電圧値(例えば、V1)にまで降圧させる。
次に電圧降下処理の詳細について説明する。
図5は電圧降下処理時の燃料電池スタック20の電圧指令値V_refを算出するための機能ブロック図を示している。これらの各機能は、コントローラ70の演算機能により実現されるものである。
目標電流算出機能301は、外部負荷56からの要求電力に応じて算出される燃料電池スタック20の目標電力P_refと、電圧センサ71の出力値である電圧フィルタ値V_fltとを基に燃料電池スタック20の目標電流I_regを算出する。減算器302は、電流センサ72の出力値である電流フィルタ値I_fltと、目標電流算出機能301によって算出された目標電流I_regとの偏差ΔIを求める。
PI制御機能303は、偏差ΔIに比例ゲインKPを乗じることにより、比例型フィードバック補正値(比例項:P=KP×ΔI)を算出するとともに、偏差の時間積分値(∫ΔIdt)に積分ゲインKIを乗じることにより、積分型フィードバック補正値(積分項:I=KI×∫ΔIdt)を算出し、これらを加算したフィードバック電圧補正値ΔV_refを算出する。
遅延回路304は、一演算周期前の電圧指令値V_refを記憶する。減算器305は、一演算周期前の電圧指令値V_refからフィードバック電圧補正値ΔV_refを差し引くことにより、次の演算周期の電圧指令値V_refを算出する。DC/DCコンバータ51は、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcが電圧指令値V_refに一致するように制御する。
コントローラ70は、燃料電池スタック20の目標電流I_regと電流フィルタ値I_fltとの偏差ΔIに比例ゲインKPを乗じてなる比例項Pと、偏差ΔIを時間積分し更に積分ゲインKIを乗じてなる積分項Iとを加算して得られるフィードバック電圧補正値ΔV_refを基に燃料電池スタック20の出力電圧をフィードバック制御するフィードバック制御手段として機能する。コントローラ70は、燃料電池スタック20の出力電圧Vfcが目標電圧V1に一致するまで、上記のようにして演算周期毎に電圧指令値V_refを算出する。
尚、電圧降下処理時には、燃料ガス供給系40から燃料電池スタック20への燃料ガス供給が維持されたまま、酸化ガス供給系30から燃料電池スタック20への酸化ガス供給が停止される。
図6は電圧降下処理時における燃料電池スタック20の電圧対時間特性を示している。
電圧降下曲線400は、電圧降下処理時の電圧フィルタ値V_fltの時間変化を示しており、時刻t0〜時刻t1の期間、及び時刻t2〜時刻t3の期間は、主としてキャパシタ29からの放電による急激な電圧降下を示し、時刻t1〜時刻t2の期間は、主として燃料電池スタック20内部に残留する酸化ガスの発電による緩やかな電圧降下を示している。このグラフに示すように、時刻t1において電圧降下に対する電流特性が変化するポイントAが存在することが理解できる。
図7は電圧降下処理時における燃料電池スタック20の電流対時間特性を示している。
同図において、電流フィルタ値500は、電圧降下処理時の電流フィルタ値I_fltの時間変化を示しており、目標電流600は、電圧降下処理時の目標電流I_regの時間変化を示している。電圧降下処理を始めた直後では、電流フィルタ値500と目標電流600との偏差は大きく、電流フィルタ値500は、目標電流600になかなか追従することができない。そして、時間経過に伴い両者の偏差は次第に小さくなり、時刻t1では、電流フィルタ値500は、目標電流600に一致する。ここで、符号800は、時刻t0〜時刻t1の期間に電流フィルタ値500と目標電流600との偏差を時間積分した定常偏差を示しており、時刻t1の時点における積分項Iに等しい。
電流フィルタ値500が目標電流600に一致する時点、即ち、電圧降下に対する電流特性が変化するポイントAにおいて、定常偏差を示す積分項Iをゼロクリアすることにより、時刻t1以降における電流追従制御性を高めることができる。
本実施形態の理解を容易にするため、電流フィルタ値500が目標電流600に一致する時点において、積分項Iをゼロクリアしない場合の電流フィルタ値I_fltの時間変化を符号700に示す。積分項Iをゼロクリアしないと、定常偏差が積み重なった状態で電流追従制御することになるので、電流追従制御性が低下することが理解できる。
尚、電圧降下に対する電流特性が変化するポイントAは、電流フィルタ値500が目標電流600に一致するか否かを検出することにより、或いは電圧フィルタ値V_fltの時間微分が所定の閾値以下となることを検出することにより、その存在を検出することができる。電圧降下に対する電流特性が変化するポイントAが検出された時点で積分項Iをゼロクリアすればよい。
尚、電圧降下処理は、上述した低効率運転による暖気運転を実施するための前準備として実施される他、例えば、触媒活性化処理のために実施することもできる。燃料電池スタック20を酸化電位で連続運転すると、白金触媒の表面に酸化皮膜が形成されてしまい、過電圧が増大するので、I−V特性が低下することが知られている。燃料電池スタック20の出力電圧を還元電位まで低下させることにより、白金触媒を被覆する酸化皮膜を除去し、I−V特性を回復させることができる。
上述の実施形態では、燃料電池システム10を車載電源システムとして用いる利用形態を例示したが、燃料電池システム10の利用形態は、この例に限られるものではない。例えば、燃料電池システム10を燃料電池車両以外の移動体(ロボット、船舶、航空機等)の電力源として搭載してもよい。また、本実施形態に係わる燃料電池システム10を住宅やビル等の発電設備(定置用発電システム)として用いてもよい。
本実施形態に関る燃料電池システムのシステム構成図である。 セルの分解斜視図である。 燃料電池スタックの等価回路図である。 燃料電池スタックの運転ポイントの説明図である。 電圧降下処理時における電圧指令値を演算するための機能ブロック図である。 電圧降下処理時における燃料電池スタックの電圧対時間特性を示すグラフである。 電圧降下処理時における燃料電池スタックの電流対時間特性を示すグラフである。
符号の説明
10…燃料電池システム 20…燃料電池スタック 30…酸化ガス供給系 40…燃料ガス供給系 50…電力系 60…冷却系 70…コントローラ

Claims (3)

  1. 燃料電池と、
    前記燃料電池の目標電流と実測電流との偏差に比例ゲインを乗じてなる比例項と、前記偏差を時間積分し更に積分ゲインを乗じてなる積分項とを加算して得られる電圧偏差を基に電圧フィードバック制御により、前記燃料電池の出力電圧を目標電圧まで降下させるフィードバック制御手段と、を備え、
    前記フィードバック制御手段は、前記燃料電池内部に寄生的に形成されている容量成分からの放電による電圧降下から前記燃料電池内部に存在する酸化ガスと前記燃料電池内部に供給された燃料ガスとを用いて前記燃料電池が発電したことによる電圧降下に変化するポイントで前記積分項をゼロクリアする、燃料電池システム。
  2. 燃料電池と、
    前記燃料電池の目標電流と実測電流との偏差に比例ゲインを乗じてなる比例項と、前記偏差を時間積分し更に積分ゲインを乗じてなる積分項とを加算して得られる電圧偏差を基に電圧フィードバック制御により、前記燃料電池の出力電圧を目標電圧まで降下させるフィードバック制御手段と、を備え、
    前記フィードバック制御手段は、前記燃料電池の実測電流が目標電流に一致するポイントで前記積分項をゼロクリアする、燃料電池システム。
  3. 燃料電池と、
    前記燃料電池の目標電流と実測電流との偏差に比例ゲインを乗じてなる比例項と、前記偏差を時間積分し更に積分ゲインを乗じてなる積分項とを加算して得られる電圧偏差を基に電圧フィードバック制御により、前記燃料電池の出力電圧を目標電圧まで降下させるフィードバック制御手段と、を備え、
    前記フィードバック制御手段は、前記燃料電池の出力電圧の時間微分が、前記燃料電池に寄生的に形成されている容量成分からの放電により電圧降下したときの前記燃料電池の出力電圧の時間微分よりも大きな値である所定の閾値以上となるポイントで前記積分項をゼロクリアする、燃料電池システム。
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