JP2005030948A - 濃度測定装置、濃度測定方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ダイレクトメタノール型やアルコール改質型の燃料電池で発電反応に用いられる燃料流体に、発電反応の中間生成物が燃料流体中に溶解して導電性物質が含まれた場合にも、燃料流体のアルコール濃度を正確に測定することが可能な濃度測定装置、濃度測定方法を提供する。
【解決手段】 電極間に存在する導電性物質によって構成される電気二重層コンデンサが同一の電気容量となる第一の電極対および第二の電極対の電気容量を測定し、第一の電極対の電気容量と第二の電極対の電気容量の差に基づいて、両電極対の電極間に存在する被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出し、被測定物の非導電性成分の濃度を算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、アルコール水溶液のアルコール濃度を測定するための濃度測定装置、濃度測定方法に関し、特に水溶液中に不純物として導電性物質が含有されているアルコール水溶液のアルコール濃度を測定するための濃度測定装置、濃度測定方法に関するものである。
燃料電池は、燃料と酸素(酸化剤ガス)を電気化学的に反応させることにより発電を行う発電素子である。燃料電池は、発電により生成される生成物が水であることから環境を汚染することがない発電素子として近年注目されており、例えば自動車を駆動するための駆動電源や家庭用コジェネレーションシステムとして使用する試みが行われている。
さらに、上述の自動車駆動用の駆動電源等に止まらず、例えばノート型パソコン、携帯電話及びPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型電子機器の駆動電源としての燃料電池の開発も活発に行われている。このような燃料電池においては、所要の電力を安定して出力できるとともに、携帯可能なサイズ及び重量とされることが重要となり、このような要求に対応するべく各種技術開発が盛んに行われている。
燃料としての水素を得るために、水素を含む液体燃料(メタノールやエタノール)を利用する方法が、燃料容積とエネルギー密度の試算から有利とされ、実用化に向け開発が進められている。その一つとしてメタノールを水素に改質せずに燃料として直接用いるダイレクトメタノール型の燃料電池(Direct Methanol Fuel Cell:DMFC)も提案されている。ダイレクトメタノール型の燃料電池では、アノード側でCHOH+HO→CO+6H+6eの如き反応がおき、カソード側で3/2O+6H+6e→3HOの如き反応がおきていると考えられる。アノード側で発生したプロトン(H)が電解質によってカソード側に伝達され、全体としてCHOH+3/2O→CO+2HOの反応が起きて発電とともに水と二酸化炭素が生成される。
このときアノード側に供給される燃料はメタノールと水を混合したメタノール水溶液であり、燃料電池での発電反応に適したメタノール濃度を維持するために、燃料流体のメタノール濃度を測定する必要がある。また、アノードとカソードの間に挟まれたプロトン伝導体がメタノールに溶解することを防止するためにも、燃料流体のメタノール濃度が高くなり過ぎないように、燃料流体のメタノール濃度を測定する必要がある。
また、アルコール燃料を使った燃料電池には、直接アルコールを使って発電させる方法の他にも、水素を取り出すための改質器を用いる方法があるが、この場合もアルコールと水との混合液体を燃料流体として供給必要があり、アルコールの濃度を正確に測定して管理することが重要である。
水とアルコールとを混合した燃料流体中のアルコール濃度を測定する方法としては、水溶液に赤外線を照射して透過する赤外線量を測定することで、アルコール水溶液の成分濃度に応じた赤外線の吸収量を検知器で捉える方式や、アルコール水溶液を蒸発させて高感度ガスセンサでアルコール量を測定する気化方式などがある。しかし、光吸収量測定の方式では測定装置に発光素子、受光素子および複雑な計算を行う演算回路が必要であるために、燃料電池の小型化や低価格化の要請に応えることが困難である。また、気化方式では燃料流体を蒸発させるために燃料の利用効率が低下する問題や、蒸発した水分やアルコール分が電子機器に悪影響を与えるおそれがあった。
また、簡便か構成でアルコール水溶液中のアルコール濃度を測定する方法としては、2枚の電極を組み合わせた電極対をアルコール水溶液中に配置し、電極対の間に存在する水とアルコールの比誘電率によって決まる電気容量の変化からアルコール濃度を測定する方法が提案されている。
しかし、電極対と比誘電率を用いるアルコール濃度の測定方法では、測定対象である燃料流体が比誘電率が判明している理想的な水とアルコールの混合液体である必要がある。燃料電池の発電反応においては、発電反応の過程でメタノールが分解されて副生成物として蟻酸や一酸化炭素が生成されて燃料流体中に含まれている可能性があり、発電反応によって生成したCOが燃料流体の水に溶けて炭酸イオンが存在している可能性もある。
蟻酸や炭酸イオンは導電性の物質であり、電極対の間に存在する燃料流体の電気容量の値は正確に測定することが困難になるため、燃料電池の燃料流体においては電極対と比誘電率を用いてアルコール濃度の測定する方法は利用することが困難であった。
したがって本願発明は、ダイレクトメタノール型やアルコール改質型の燃料電池で発電反応に用いられる燃料流体において、発電反応の中間生成物が燃料流体中に溶解して導電性物質が含まれた場合にも、燃料流体のアルコール濃度を正確に測定することが可能な濃度測定装置、濃度測定方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために本願発明の濃度測定装置は、二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第一の電極対と、前記第一の電極対の電極間距離と異なる間隔を隔てて前記第一の電極対と略同一面積の二つの電極を配置した第二の電極対と、前記第一の電極対および前記第二の電極対の電気容量をそれぞれ測定する電気容量測定手段と、前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差から、前記第一の電極対および前記第二の電極対の電極に挟み込まれた被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出して、前記被測定物中の非導電性成分の濃度を算出する情報処理部とを有することを特徴とする。
同一面積で電極間距離が異なる二つの電極対の電気容量を測定することで、二つの電極対の電気容量の差を求めて、導電性物質が構成する電気二重層コンデンサの影響を取り除いてアルコール水溶液の比誘電率を算出することができる。アルコール水溶液の水とアルコールに関しては比誘電率が判明しているために、アルコール水溶液の比誘電率からアルコール水溶液のアルコール濃度を算出することが可能となる。
第一の電極対および第二の電極対が平板な板状電極であるとしてもよく、第一の電極対を構成する電極の一方と、第二の電極対を構成する電極の一方とが、共通の電極であるとしてもよい。また、第一の電極対の電極間距離を第二の電極間距離の半分としてもよい。電気容量測定手段としてLCRメータを用いることもできる。
また、上記課題を解決するために本願発明の濃度測定装置は、二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第一の電極対と、前記第一の電極対が構成する電気二重層コンデンサの電気容量と同一の電気二重層コンデンサを構成するように二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第二の電極対と、前記第一の電極対および前記第二の電極対の電気容量を測定する電気容量測定手段と、前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差から、前記第一の電極対および前記第二の電極対の電極に挟み込まれた被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出して、前記被測定物中の非導電性成分の濃度を算出する情報処理部とを有することを特徴とする濃度測定装置。
電気二重層コンデンサの電気容量が等しくなる二つの電極対の電気容量を測定することで、二つの電極対の電気容量の差を求めることで、導電性物質が構成する電気二重層コンデンサの影響を取り除いてアルコール水溶液の比誘電率を算出することができる。アルコール水溶液の水とアルコールに関しては比誘電率が判明しているために、アルコール水溶液の比誘電率からアルコール水溶液のアルコール濃度を算出することが可能となる。
第一の電極対を構成する電極の一方と、第二の電極対を構成する電極の一方とが、共通の電極であるとしてもよく、第一の電極対および前記第二の電極対が略円筒形状であるとしてもよい。
また、上記課題を解決するために本願発明の濃度測定方法は、電極間に存在する導電性物質によって構成される電気二重層コンデンサが同一の電気容量となる第一の電極対および第二の電極対の電気容量をそれぞれ測定し、前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差に基づいて、両電極対の電極間に存在する被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出し、前記比誘電率に基づいて前記被測定物の非導電性成分の濃度を算出することを特徴とする。
電気二重層コンデンサの電気容量が等しくなる二つの電極対の電気容量を測定することで、二つの電極対の電気容量の差を求めることで、導電性物質が構成する電気二重層コンデンサの影響を取り除いてアルコール水溶液の比誘電率を算出することができる。アルコール水溶液の水とアルコールに関しては比誘電率が判明しているために、アルコール水溶液の比誘電率からアルコール水溶液のアルコール濃度を算出することが可能となる。
また、上記課題を解決するために本願発明の濃度測定方法は、二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第一の電極対と、前記第一の電極対の電極間距離と異なる間隔を隔てて前記第一の電極対と略同一面積の二つの電極を配置した第二の電極対との電気容量を測定し、前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差に基づいて、両電極対の電極間に存在する被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出し、前記比誘電率に基づいて前記被測定物の非導電性成分の濃度を算出することを特徴とする。
同一面積で電極間距離が異なる二つの電極対の電気容量を測定することで、二つの電極対の電気容量の差を求めて、導電性物質が構成する電気二重層コンデンサの影響を取り除いてアルコール水溶液の比誘電率を算出することができる。アルコール水溶液の水とアルコールに関しては比誘電率が判明しているために、アルコール水溶液の比誘電率からアルコール水溶液のアルコール濃度を算出することが可能となる。
以下、本願発明を適用した濃度測定装置、濃度測定方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本願発明は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
図1は、本発明の濃度測定装置および濃度測定方法を濃度測定制御部として用いて、燃料流体のアルコール濃度を測定する燃料電池システムの構成例を示す模式図である。図1に示した燃料電池システムは、発電部1に対してメタノールと水を混合したメタノール水溶液を燃料流体として供給し、外部から空気を取り込んで燃料流体中のメタノールと空気中の酸素とを消費して発電を行うものであり、発電部1,空気供給ファン2,燃料タンク3,燃料混合部4,燃料循環ポンプ部5,濃度測定制御部6とを備えている。
発電部1は、パーフルオロスルホン酸などの高分子電解質膜を集電体で挟み込んだ接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)のアノード側にメタノールが供給され、カソード側に酸素が供給されることで発電反応が行われるダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)である。ここでは、発電部1の詳細な構造については説明を省略するが、従来から提案されているDMFCを用いることができ、接合体を積層したスタックセル構造であってもよい。発電部1で発電反応によって生じた電力は発電部1に接続された負荷に対して供給されて消費される。
空気供給ファン2は、燃料電池システムの外部に存在する空気を発電部1のカソード側集電体に対して供給するための送風装置である。発電部1が発電に用いる酸素量を十分に供給することが可能であれば空気供給ファン2は必ずしも必要ではなく、空気取り入れ口を開口して空気の取り入れを行う構成としても良い。
燃料タンク3は、発電部1で発電に用いられるメタノールを貯蔵しておき、燃料混合部4に対してメタノールを供給する容器である。燃料タンク3に貯蔵するメタノールの濃度はエネルギー密度を向上させるために純粋なメタノールであることが望ましいが、水と混合されたメタノール水溶液であっても構わない。燃料タンク3と燃料混合部4との間には燃料配管が接続されており、図示していないポンプなどによってメタノールを燃料混合部4に対して供給することが可能となっている。
燃料混合部4は、燃料タンク3,発電部1および濃度測定制御部6と燃料配管で接続されており、発電部1で発電に用いられてメタノール濃度が低下した燃料流体と、燃料タンク3から供給されるメタノールとの混合を行って、発電部1のアノード側に燃料流体を供給する装置である。したがって燃料混合部4は、燃料タンク3からは高濃度のメタノールが供給され、濃度測定制御部6からはメタノール濃度が低下した燃料流体が供給され、発電部1に対しては発電反応に最適なメタノール濃度の燃料流体を供給する。例えば、燃料混合部4では、濃度測定制御部6からの制御信号に基づいて燃料タンク3から供給されるメタノールの流量を調整する調整弁が搭載されており、調整弁の開閉を調整することで発電部1から還流してきた燃料流体に混入されるメタノールの量を調整する。
燃料循環ポンプ部5は、発電部1で発電に用いられた燃料流体を濃度測定制御部6および燃料混合部4に対して還流させるポンプ装置である。
濃度測定制御部6は、本発明の濃度測定装置および濃度測定方法を用いて燃料循環ポンプ部5から還流してきた燃料流体のメタノール濃度を測定し、燃料混合部4に対してメタノール濃度の制御信号を送出する装置である。燃料混合部4に対して送出する制御信号は測定したメタノール濃度と燃料タンク3に貯蔵されているメタノールの濃度から演算によって求めるとしてもよく、還流してきた燃料流体のメタノール濃度の測定結果に対応した高濃度メタノールの混合量を予めデータとして蓄積しておき制御信号で混合量を指示するとしてもよい。
図2は、本発明の濃度測定装置である濃度測定制御部6の構成を示す模式図である。濃度測定制御部6は、燃料配管11の内部を通過する燃料流体12中に電極対13と電極対14を配置し、電極対13,14のそれぞれの電気容量を測定する電気容量測定部15と、電気容量測定部15が測定した結果に基づいて情報処理を行う情報処理部16とを備えている。
燃料配管11の内部を通過する燃料流体は、図1に示したように燃料循環ポンプ部5側から濃度測定制御部6に流入して燃料混合部4側へと流出していく。燃料流体12は、メタノールの一部が発電部1での発電反応によって消費されており、燃料混合部4で濃度調整した濃度よりもメタノール濃度が低下している。発電部1が電力を供給する負荷側の駆動状況や発電部1の環境によって、発電部1で消費されるメタノール量は変化するために、燃料配管11内の燃料流体12のメタノール濃度は変動する。また、発電部1での発電反応において発生した副生成物である蟻酸や炭酸などが燃料流体12には溶け込んでいると考えられる。
図3に電極対13,14の構造例を示し、電極対13,14の電気容量を測定することで燃料流体12のメタノール濃度を測定する原理について説明する。電極対13および電極対14は、平板状の電極2枚を所定の距離だけ隔離して平行に配置し、二枚の電極それぞれに端子が接続されて電圧を加えることが可能となっている。図3に示すように、電極対13と電極対14を構成する電極の面積Sは等しいが、電極対13の電極間距離dと電極対14の電極間距離dとは異なっている。この電極対13,14に接続された端子は、図2に示した電気容量測定部15に接続されている。電極対13,14それぞれの電極間には燃料配管11内を流れる燃料流体12が存在しているため、電極対13,14によって燃料流体12が挟まれた平行板コンデンサを形成することになる。
電極対13および電極対14の電極間に存在する燃料流体12は、水とメタノールが混合されたメタノール水溶液であるが、上述して説明したように、発電部1での発電反応によって副生成物として生成された蟻酸や炭酸などが含まれている。蟻酸や炭酸などの導電性物質が電極間に存在する場合には、平行板コンデンサの電気容量では導電性物質の影響は電気二重層成分としてあらわれる。したがって、電極対13,14の等価回路を示すと、図4に示すものとなる。
図4に示すように電極対13の等価回路は、燃料流体12中の水とメタノールが電極対13の電極間に存在することで構成される電気容量Cのコンデンサと、燃料流体12中に溶けている蟻酸や炭酸などの導電性物質が電極対13の電極間に存在することで構成される電気容量Cd1のコンデンサとが並列に接続されたものとなる。同様に、電極対14の等価回路も、燃料流体12中の水とアルコールが電極対14の電極間に存在することで構成される電気容量Cのコンデンサと、燃料流体12中に溶けている蟻酸や炭酸などの導電性物質が電極対14の電極間に存在することで構成される電気容量Cd2のコンデンサとが並列に接続されたものとなる。したがって、電極対13全体での電気容量はCx1=C+Cd1となり、電極対14全体での電気容量はCx2=C+Cd2となる。
ここで、電極対13,14の電極間に存在する燃料流体12中の水とメタノールを混合したメタノール水溶液の比誘電率をkelとすると、電極対13,14の等価回路における電気容量CとCは式1の関係で表わされる。ここで、電極対13の電極間距離はdであり、電極対14の電極間距離はdであり、電極対13,14の電極面積はSである。
Figure 2005030948
電極対13の電極間距離dと電極対14の電極間距離dとは、それぞれ任意の距離として設計可能であるが、例えば電極間距離dを電極間距離dの半分に設定すると、d=2dであるので数1から、C=2Cの関係が成り立つ。
また、電極対13,14の電極間に存在する燃料流体12中に溶けている蟻酸や炭酸などの導電性物質の影響である電気容量成分Cd1とCd2については、電気二重層コンデンサとして考える。電気二重層コンデンサの電気容量は電極面積Sに比例するが、電極間距離には依存しないため、電極対13,14の電極面積Sを等しくすることでCd1=Cd2の関係が成り立つことになる。
したがって、電極対13の電気容量Cx1と電極対14の電気容量Cx2の差Cを求めると、次式の関係が成立する。
Figure 2005030948
上述した数式2を用いると、図2に示した電気容量測定部15で電極対13および電極対14の電気容量をそれぞれ測定し、情報処理部16が電極対13の電気容量Cx1と電極対14の電気容量Cx2の差C、および電極面積Sと電極間距離dに基づいて比誘電率kelを求めることが出来る。比誘電率kelは水とメタノールの混合溶液の比誘電率であり、純水の比誘電率88.15とメタノールの比誘電率32.6は既知であるため、情報処理部16は算出したkelの値からメタノール濃度を算出することができる。
情報処理部16は上述して説明したように、電気容量測定部15が測定した電極対13,14の電気容量の値を基にして燃料流体12のメタノール濃度を算出し、図1に示した燃料タンク3から供給される高濃度メタノールの流量を制御する制御信号を燃料混合部4に対して送出する。燃料タンク3に貯蔵されているメタノールの濃度と算出した燃料流体12のメタノール濃度とから、燃料タンク3から燃料混合部4に流入するメタノール量を算出してもよく、燃料流体12のメタノール濃度と燃料混合部4の調整弁の開放量とを予め定めておき制御信号としても良い。
図5に、電気容量測定部15の一例である回路図を示し、電極対13の電気容量Cx1と電極対14の電気容量Cx2を測定する方法を説明する。測定対象の電極対13,14に発振回路21を接続して、その周波数をカウンター22で測定する。また、電圧制御型水晶発振器(VCXO)23を用意してその一端に発振回路24を接続し、カウンター25で周波数を測定する。カウンター22とカウンター25の測定した周波数を位相比較器26で比較して結果をPV変換器27で電圧に変換して、電圧制御型水晶発振器23の多端に入力してフィードバックを行う。最終的に電圧制御型水晶発振器23が発振する周波数は発振回路21に接続されている電極対13,14の電気容量によって決定されるため、電圧制御型水晶発振器23に加わっている電圧を測定することによって、電極対13,14の電気容量を測定することができる。
電気容量測定部15としては、図5に示した回路を用いる必要はなく、LCRメータなどの通常用いられる電気容量の測定方法を用いることができる。また、図5で示した発振回路21,24に用いられる回路も従来から提案されている発振回路の構成を用いてよい。
図6は、本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の他の例を示す模式図である。本発明の濃度測定装置および濃度測定方法では、電極面積が等しく電極間距離が異なる電極対の電気容量を測定することでメタノール濃度の測定を行うものであるので、数式1に示した関係を成り立たせる電極対であれば形状は問わない。そこで、図6に示すように、同一面積を有する平板状の電極を3枚用意し、一枚目の電極31と二枚目の電極32を距離dだけ隔てて対向させて配置し、二枚目の電極32と三枚目の電極33を距離dだけ隔てて対向させて配置する。
電極31,32,33にそれぞれ端子を接続すると、電極31と電極32が平行板コンデンサの電極対を構成し、電極32と電極33が平行板コンデンサの電極対を構成することになる。従って、図6に示した電極31,32,33でも数式1および数式2が成立し、二つの電極対の電気容量を測定することで導電性物質の影響を除去した燃料流体の非誘電率を算出し、メタノールと水の非誘電率からメタノール濃度を算出することができる。
図7も、本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の他の例を示す模式図である。三つの円筒形状の電極41,42,43を中心軸が同一となるように配置して、それぞれに端子を接続する。この場合にも電極41と電極42とが電極対を構成し、電極42と電極43とが電極対を構成する。各円筒形状の電極間に燃料流体を流すことで、電極41,42,43と燃料流体が構成するコンデンサの等価回路は図4に示したものと同様となる。図7に示した円筒形状の電極で構成される電極対は電極面積が同一ではなないために数式1および数式2を成立させない。しかし、電極41と電極42が構成する電極対と、電極42と電極43が構成する電極対との電気二重層コンデンサ成分が同一となるように電極面積と電極間距離を設定することで、二つの電極対の電気容量を測定して電気容量の差を算出することで、燃料流体中に溶けた導電性物質の影響を除去してメタノール水溶液のみの非誘電率を算出することが可能である。
燃料流体12は温度によって密度が変化して非誘電率が変化する可能性もあり、また、温度による水とメタノールの膨張率の変化もあるため、情報処理部16では、燃料流体12の温度による影響を補正してメタノール濃度を算出するとしてもよい。また、燃料流体12の流速によっても燃料流体12の圧力が変化するために、情報処理部16で流速による影響を補正してメタノール濃度を算出するとしてもよい。
また図8に示すように電極面積がSの電極対において、電極間距離を時間と共に変化させる構成とし、時刻tで電極間距離dとなる電極対の電気容量Cx1を測定し、時刻tで電極間距離がdとなる電極対の電気容量Cx2を測定するとしても良い。この場合でも、電極面積Sが同一で電極間距離が異なる平行板コンデンサが二つ存在する図3と同様に、数式1および数式2が成立するために、上述した濃度測定方法によってメタノール濃度の算出を行うことが可能である。
同一面積で電極間距離が異なる二つの電極対の電気容量を測定することで、二つの電極対の電気容量の差を求めて、導電性物質が構成する電気二重層コンデンサの影響を取り除いてアルコール水溶液の比誘電率を算出することができる。アルコール水溶液の水とアルコールに関しては比誘電率が判明しているために、アルコール水溶液の比誘電率からアルコール水溶液のアルコール濃度を算出することが可能となる。
第一の電極対および第二の電極対が平板な板状電極であるとしてもよく、第一の電極対を構成する電極の一方と、第二の電極対を構成する電極の一方とが、共通の電極であるとしてもよい。また、第一の電極対の電極間距離を第二の電極間距離の半分としてもよい。電気容量測定手段としてLCRメータを用いることもできる。
電気二重層コンデンサの電気容量が等しくなる二つの電極対の電気容量を測定することで、二つの電極対の電気容量の差を求めることで、導電性物質が構成する電気二重層コンデンサの影響を取り除いてアルコール水溶液の比誘電率を算出することができる。アルコール水溶液の水とアルコールに関しては比誘電率が判明しているために、アルコール水溶液の比誘電率からアルコール水溶液のアルコール濃度を算出することが可能となる。
第一の電極対を構成する電極の一方と、第二の電極対を構成する電極の一方とが、共通の電極であるとしてもよく、第一の電極対および前記第二の電極対が円筒形状であるとしてもよい。
本発明の濃度測定装置および濃度測定方法を用いたダイレクトメタノール型の燃料電池システムの一例を示す構成図である。 本発明の濃度測定装置の構成を示す模式図である。 本発明の濃度測定装置に用いられる二つの電極対の一例である平行板コンデンサを示す模式図である。 本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の間に導電性物質を含んだ燃料流体が存在する場合に、電極対と燃料流体が構成するコンデンサの等価回路を示す図である。 本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の電気容量を測定する電気容量測定部の一例を示す回路図である。 本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の一例である平行板コンデンサを示す模式図であり、電極の一枚を共通にした二つの電極対を示している。 本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の一例として、円筒形状の電極を同一の中心軸となるように3つ配置したものを示す模式図である。 本発明の濃度測定装置に用いられる電極対の一例として、電極間距離を変化させる平行板コンデンサを示す模式図である。
符号の説明
1 発電部
2 空気供給ファン
3 燃料タンク
4 燃料混合部
5 燃料循環ポンプ部
6 濃度測定制御部
11 燃料配管
12 燃料流体
13,14 電極対
15 電気容量測定部
16 情報処理部
21,24 発振回路
22,25 カウンター
23 電圧制御型水晶発振器
26 位相比較器
27 PV変換器
31,32,33,41,42,43 電極
,C,Cd1,Cd2,Cx1,Cx2,C 電気容量
,d 電極間距離
el 比誘電率
S 電極面積

Claims (10)

  1. 二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第一の電極対と、
    前記第一の電極対の電極間距離と異なる間隔を隔てて前記第一の電極対と略同一面積の二つの電極を配置した第二の電極対と、
    前記第一の電極対および前記第二の電極対の電気容量をそれぞれ測定する電気容量測定手段と、
    前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差から、前記第一の電極対および前記第二の電極対の電極に挟み込まれた被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出して、前記被測定物中の非導電性成分の濃度を算出する情報処理部と
    を有することを特徴とする濃度測定装置。
  2. 前記第一の電極対および前記第二の電極対が平板な板状電極であることを特徴とする請求項1記載の濃度測定装置。
  3. 前記第一の電極対を構成する電極の一方と、前記第二の電極対を構成する電極の一方とが、共通の電極であることを特徴とする請求項1記載の濃度測定装置。
  4. 前記第一の電極対の電極間距離が、前記第二の電極間距離の半分であることを特徴とする請求項1記載の濃度測定装置。
  5. 前記電気容量測定手段としてLCRメータを用いることを特徴とする請求項1記載の濃度測定装置。
  6. 二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第一の電極対と、
    前記第一の電極対が構成する電気二重層コンデンサの電気容量と同一の電気二重層コンデンサを構成するように二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第二の電極対と、
    前記第一の電極対および前記第二の電極対の電気容量を測定する電気容量測定手段と、
    前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差から、前記第一の電極対および前記第二の電極対の電極に挟み込まれた被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出して、前記被測定物中の非導電性成分の濃度を算出する情報処理部と
    を有することを特徴とする濃度測定装置。
  7. 前記第一の電極対を構成する電極の一方と、前記第二の電極対を構成する電極の一方とが、共通の電極であることを特徴とする請求項6記載の濃度測定装置。
  8. 前記第一の電極対および前記第二の電極対が略円筒形状であることを特徴とする請求項6記載の濃度測定装置。
  9. 電極間に存在する導電性物質によって構成される電気二重層コンデンサが同一の電気容量となる第一の電極対および第二の電極対の電気容量を測定し、
    前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差に基づいて、両電極対の電極間に存在する被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出し、
    前記比誘電率に基づいて前記被測定物の非導電性成分の濃度を算出することを特徴とする濃度測定方法。
  10. 二つの電極を所定の間隔を隔てて対向して配置した第一の電極対と、前記第一の電極対の電極間距離と異なる間隔を隔てて前記第一の電極対と略同一面積の二つの電極を配置した第二の電極対との電気容量をそれぞれ測定し、
    前記第一の電極対の電気容量と前記第二の電極対の電気容量の差に基づいて、両電極対の電極間に存在する被測定物の非導電性成分の比誘電率を算出し、
    前記比誘電率に基づいて前記被測定物の非導電性成分の濃度を算出することを特徴とする濃度測定方法。
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