JP2011258496A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池システムを建物のパイプスペース室に設置しても、パイプスペース室内が過度に高温にならないようにする。
【解決手段】電気メータ43などの電機機器が収納されたパイプスペース室40が形成された建物に設置される燃料電池システムに、燃料電池2と、温度センサ47と、制御装置51とを備える。燃料電池2は、パイプスペース室40内に配置された筐体16に収められる。温度センサ47は、パイプスペース室40内の筐体16の外面に取り付けられる。制御装置51は、温度センサ47で測定される温度が所定の上限温度以上にならないように、所定の設定温度を越えたら燃料電池2の電気出力を低下させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜を挟んで燃料極であるアノード側電極と酸化剤極であるカソード側電極とを向い合わせた電池セルをセパレータで挟持した構造物を複数枚積層して構成されている。車載用などでは機動性を重視するため、通常、燃料には純水素を使用し、酸化剤には空気を用いたシステムが多い。
定置用や家庭用では、インフラの問題から燃料にはメタン成分の多い都市ガスやプロパンガスを使用するシステムが求められる。この場合は、燃料を水素に改質するために、燃料に水蒸気を混合して水素を生成させる燃料処理器を用いる方法が一般的である。
いずれのシステムでも、アノード電極側に供給された水素がイオン化して固体高分子電解質膜内を流れ、カソード電極側の酸素と反応し、水を生成するとともに、外部に対して電気エネルギが得られる。
固体高分子型燃料電池は、電気エネルギの発生とともに、約100℃以下の排熱を生じる。これは、電池効率が100%にならない限り、つまり電池本体温度が周囲温度のままで発電が可能にならない限り、温度の高い電池温度から周囲温度への放熱分が熱として発生するからである。また、燃料を水素に改質するための燃料処理器においても、通常、改質器などの改質反応の加熱に燃焼器を使うため、燃焼排ガスや燃料処理器外部からの排熱が生じる。
このような熱を利用すれば、電気エネルギとのハイブリッド運転、すなわちコジェネレーション運転となる。このため、非常に経済的でエネルギ効率の高い、地球環境に優しい運転が実現できる。近年、このような燃料電池システムを家庭に導入しようという開発が行われ、既に日本では実用化が始まっている。地球温暖化を防止する方法として、二酸化炭素の排出量が少ないこのエネルギが脚光を浴び、その環境性や省エネ性に注目が集まっているためである。
燃料電池システムの設置場所としては、市場規模を考慮すると、屋外のみならず、屋内設置も可能なシステムが求められている。しかし、屋内に燃料電池システムを設置する場合、設置スペースの確保が必要である。さらにこの場合には、改質反応に必要な燃焼による排気ガスエミッションをそのまま気密性の高い室内に排気することは許されないため、そのための安全対策が必要となっている。
特開2004−178916号公報
燃料改質装置をパッケージング内に有する固体高分子型燃料電池(PEFC)システムを小型化すると、室内設置に好都合である省スペースでコンパクトな型の燃料電池システムとなる。また、電池燃料改質装置をパッケージング内に持たない純水素型のPEFCシステム、あるいは、内部改質ができる固体酸化物型燃料電池(SOFC)システムも、室内設置に好都合である省スペースでコンパクトな型の燃料電池システムとして挙げることができる。
このような省スペース型の燃料電池システムの有望な設置場所としては、マンションのような通常の屋外設置が困難な集合住宅を想定した場合には、パイプスペース室あるいはベランダが挙げられる。ベランダ設置は、実質的に屋外設置と考えられるため、安全対策の課題は少ない。しかし、パイプスペース室に燃料電池システムを設置する場合は、室内設置と考えられる。燃料電池システムを室内設置する場合、設置空間の高温化や、万一の有毒ガス漏洩時の安全対策に万全を期す必要がある。
そこで、本発明は、燃料電池システムを建物のパイプスペース室に設置しても、パイプスペース室内が過度に高温にならないように、または、パイプスペース内の一酸化炭素濃度が過度に高くならないようにすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、電機機器が収納されたパイプスペース室が形成された建物に設置される燃料電池システムにおいて、前記パイプスペース室内に配置された燃料電池と、前記パイプスペース室内に配置された温度センサと、前記温度センサで測定される温度が所定の上限温度以上にならないように前記燃料電池の電気出力を制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、電機機器が収納されたパイプスペース室が形成された建物に設置される燃料電池システムにおいて、前記パイプスペース室内に配置された燃料電池と、前記パイプスペース室内に配置されて前記燃料電池に水素を供給する燃料処理装置と、前記パイプスペース室内に配置されて一酸化炭素濃度を測定するCOセンサと、前記COセンサで測定される一酸化炭素濃度が所定の濃度以上にならないように前記燃料電池の電気出力を制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、燃料電池システムを建物のパイプスペース室に設置しても、パイプスペース室内が過度に高温にならないように、または、パイプスペース内の一酸化炭素濃度が過度に高くならないようにすることができる。
本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態を設置したパイプスペースの水平断面図である。 図1のII−II矢視正面図である。 本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態のブロック図である。 本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態におけるメータ周囲温度および燃料電池出力の時間変化を示すグラフである。
本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれらに限定されない。
図3は、本発明に係る燃料電池システムの一実施の形態のブロック図である。
本実施の形態の燃料電池システムは、燃料処理装置1と、燃料電池2と、貯湯槽36とを有している。燃料電池2および燃料処理装置1は、1つの筐体16内に収められている。燃料電池2は、CSA(Cell Stack Assembly)とも呼ばれる。貯湯槽36は、筐体16の外部に設けられる。
FPS(Fuel Processing System)とも呼ばれる燃料処理装置1は、脱硫器4、水蒸気発生器5、改質器6、COシフト反応器7、CO選択酸化器8、水蒸気分離器9、改質用水ポンプ11、2つの排熱熱交換器81,82、タンク80を備えている。この燃料処理装置は、外部の燃料供給源3から炭化水素系燃料を供給されて、燃料電池2に水素を供給する。燃料供給源3が供給する炭化水素系燃料は、たとえば都市ガスやプロパンである。改質器6には、改質用燃焼器10が設けられている。
燃料電池2は、アノード極13、カソード極14を備えている。アノード極13とカソード極14とは、固体高分子電解質膜を挟んで設けられる。燃料電池2には、燃料電池2を冷却するための冷却流路70が形成されている。
たとえば都市ガスを燃料として使用する場合、燃料処理装置は、都市ガスから水素ガスへの改質を行う。都市ガスは、燃料供給源3から、燃料昇圧ブロア31によって、燃料遮断弁20、脱硫器4、メイン燃料遮断弁22を通過して、改質器6に送られる。都市ガスなどの燃料は、脱硫器4の内部で、たとえば活性炭やゼオライト吸着などによって硫黄分が取り除かれる。
また、タンク80からフィルタ30を介して改質用水ポンプ11によって送られた水は、水蒸気発生器5で加熱されてガス化する。水蒸気発生器5から水蒸気分離器9に送られた気体から水蒸気のみが抽出され、水蒸気流量調節弁27を通過して、脱硫済の燃料ガスに合流する。水蒸気分離器9で分離された液体の水は、弁83を介してタンク80に送られる。改質器6の排気は、水蒸気発生器5に送られて水を加熱した後、タンク80に併設された排熱熱交換器81に送られ、その後排気される。
改質用燃焼器10によって改質器6の内部は加熱されており、吸熱反応である水蒸気改質反応が維持されている。改質用燃焼器10には、起動用燃料遮断弁21を介して燃料供給源3から燃料が供給されるとともに、燃焼用空気ブロア26によって、燃焼空気切替弁25を介して、あるいは燃焼空気切替弁25を介さずに、空気などの酸素が供給される。また、改質用燃焼器10には、電池反応に用いられなかった水素を含有する燃料電池2のアノード極13から排出されるガスが、オフガス逆止弁24を介して供給される。
改質器6では触媒により都市ガスと水蒸気の反応から、水素が生成するが同時にCOが生成される。固体高分子型燃料電池では、燃料電池2の固体高分子電解質膜および触媒層から構成されるMEA(Membrane Electrode Assembly)でのCO被毒が問題となるため、COはCOへ酸化させる必要がある。このため、COシフト反応器7ではHOによるシフト反応を進める必要がある。また、CO選択酸化用空気ブロア18の空気供給により、CO選択酸化器8では触媒のCO被毒が発生しない程度に酸化反応を進める必要がある。また、改質器6を含めたこれらの触媒反応温度はそれぞれ異なり、改質器6の数百度からCO選択酸化器8の百数十度と、改質ガスの上流と下流の温度差が大きいため、下流側温度を下げるための水熱交換器を設けてもよい。
次に、各触媒での主なプロセス反応を以下に示す。たとえば、メタン成分が主体の都市ガス改質の場合、水蒸気改質反応は(1)式、COシフト反応は(2)式、CO選択酸化反応は(3)式のようになる。
CH+2HO→CO+4H …(1)
CO+HO→CO+H …(2)
2CO+O→2CO …(3)
CO選択酸化器8を通過した改質ガスは、主に水素、炭酸ガスおよび余った水蒸気などを含有する。これらのガスは、アノード極13に送り込まれる。アノード極13に送り込まれた水素ガスは、MEAの触媒層を経てプロトンHが電解質膜を通過し、カソード極用空気ブロア15によってカソード極14を通過する空気中の酸素および電子と結びついて水が生成される。したがって、アノード極13は−極、カソード極14は+極となり、電位を持って直流電圧を発電する。この電位間に電気負荷が接続されれば、本システムは電源としての機能を持つことになる。
発電に使われずに残ったアノード極13の出口ガスは、水蒸気発生器5および改質器6の加熱用燃料ガスとして使われる。また、カソード極14の出口中の水蒸気および燃焼排気ガス中の水蒸気は、排熱熱交換器81により、水分が回収され、システムでの水自立が図られる。
一方、燃料電池2の排熱は、冷却流路70を通過する電池冷却水ポンプ29の循環ラインに配置された排熱熱交換器82によって熱回収される。温水循環ポンプ33の運転により、排熱熱交換器81,82で熱交換して暖められた温水は、貯湯槽36に蓄熱され、給湯やお風呂への温水として使われる。貯湯槽36には、必要に応じて水道管84を介して水道水が供給される。貯湯槽36の熱が使われずに、タンク下部まで高温の温水が貯まった状態では、筐体16に戻る循環水温度が上昇する。このため、温水が使われるまでシステムの運転を停止するか、あるいは放熱器37を通じて大気に放熱する。
次に、起動時の運転方法を示す。運転起動の指令が与えられると、まず燃焼空気切替弁25を開いた状態で燃焼用空気ブロア26が起動し、改質器6内の燃焼室を空気パージする。この場合、燃焼用空気は燃焼用空気ブロア26によって、起動燃料の予混合空気としてだけでなく、拡散空気としても燃焼室内に供給される。
空気パージが完了すると、起動燃料着火のために、たとえば点火プラグからの火花を燃焼室内で発生させる。メイン燃料遮断弁22を閉じ、脱気用遮断弁23を開いた状態で、燃料遮断弁20および起動用燃料遮断弁21を開くと、燃料遮断弁20および起動用燃料遮断弁21を通過した起動用燃料は、燃料昇圧ブロア31で昇圧され、燃焼室内で着火され、火炎が形成される。燃焼室内で使用されるバーナは、起動用と発電用も兼ねた一体型バーナであり、メタン主体の起動燃料は発電時のオフガス燃料である水素主体の燃料よりも燃焼速度が遅く、吹き消えし易いため、予混合燃焼させて燃焼性を向上させている。
燃焼が継続し、燃焼ガスの加熱によって改質器6や、電気ヒータ(図示せず)などで加熱されたCOシフト反応器7、CO選択酸化器8、水蒸気分離器9、他が所定の温度になると、改質用水ポンプ11で水蒸気分離器9に供給された改質水は、そこで蒸気となる。水蒸気流量調節弁27が開いて、この蒸気が燃料改質ラインに供給された後、メイン燃料遮断弁22が開き、燃料供給源3から供給される燃料が改質器6内に供給され、改質反応が始まる。燃料供給源3から燃料が改質器6内に供給されると同時に、起動用燃料遮断弁21、脱器用遮断弁23および燃焼空気切換弁25は閉じる。
改質反応が始まった後、CO選択酸化用空気ブロア18の空気で酸化され、CO選択酸化器8出口から出た改質ガスは、主として水素、炭酸ガス、水蒸気などの成分からなる。この改質ガスは、燃料電池2のアノード極13に供給される。アノード極13の出口から出るオフガスは、オフガス逆止弁24を通過後、改質用燃焼器10に供給される。
改質用燃焼器10に供給されたオフガス燃料は着火して、メイン燃料用空気と安定した拡散燃焼を開始する。その後、カソード極用空気ブロア15から燃料電池2のカソード極14に空気が供給され、インバータ(図示せず)が起動すると燃料電池システムでの発電が開始する。発電に寄与しないまま残ったアノード極13の出口から出るオフガスは改質用燃焼器10に供給され続ける。
図1は、本実施の形態における燃料電池システムを設置したパイプスペースの水平断面図である。図2は、図1のII−II矢視正面図である。
この燃料電池システムの一部は、建物の内部に形成されたパイプスペース室40の内部に設置される。パイプスペース室40は、壁54などの構造体によって、人が通常出入りする居室あるいは廊下などの空間と区切られている。パイプスペース室40には、水道管61、ガス管62および電気配線用管63が通過している。水道管61の途中には、水道メータ41が設けられている。ガス管62の途中には、ガスメータ42が設けられている。電気配線用管63の途中には、電気メータ43が設けられている。水道メータ41、ガスメータ42、電気メータ43は、たとえば上下に並んでいる。水道、ガス、電気は左の壁54より配管あるいは配線により水道メータ41、ガスメータ42および電気メータ43に導入され、右側の壁54を通って、各室内に供給される。
燃料電池システムのうち、筐体16部分がパイプスペース室40内に設置される。つまり、この燃料電池システムは、燃料改質装置をパッケージング内部に収めて、パイプスペース室40に収納可能な程度に小型化されたPEFC型の屋内設置式燃料電池システムである。
燃料電池システムの筐体16には、水道メータ41、ガスメータ42および電気メータ43の下流側で水道管61、ガス管62および電気配線用管63から分岐した水道分岐管71、ガス分岐管72および電気配線用分岐管73を介して水道、ガスおよび電気が供給される。燃料電池システムの筐体16には、正面の下部に吸気口44、正面の上部に排気口45が形成されている。パイプスペース室40のドア46には、吸気口44および排気口45に合わせて開口が形成されている。吸気口44および排気口45の周囲には、吸排気がドア46の開口以外から漏れないようにゴムなどで枠53が取り付けられている。
燃料電池システムの筐体16内に収められた燃焼用空気ブロア26、カソード極用空気ブロア15およびCO選択酸化用空気ブロア18に必要な空気は、筐体16の下部の吸気口44より燃料電池システムの筐体16の内部に導入され、上側の排気口45より排気される。燃料電池システムの貯湯槽36は容量が大きく場所を取るため、パイプスペース室40とは別の場所へ設置する。
燃料電池システムの筐体16の外面には、温度センサ47およびCOセンサ48が取り付けられている。温度センサ47は、電気メータ43などの近傍の温度を測定可能な位置に設けられている。この温度センサ47は、たとえばサーミスタである。温度センサ47が測定した温度を示す信号およびCOセンサ48が測定した一酸化炭素濃度を示す信号は、制御装置51に伝達される。燃料電池システムの制御装置51は、たとえば筐体16の内部に設けられている。制御装置51は、温度センサ47が測定した温度およびCOセンサ48が測定した一酸化炭素濃度に基づいて燃料電池2を制御する。
燃料電池システムで発電が開始されると、貯湯槽36に回収しきれなかった熱は、排気口45から排出されるか、筐体16の外面から放熱される。パイプスペース室40は、一般的に集合住宅の廊下側に面しており、屋外気温に近く温暖地の夏場には40℃を超えることが予想される。まして、燃料電池システムの筐体16の放熱も加わると、さらにパイプスペース室40の温度は上昇する。
パイプスペース室40の温度が異常に高くなる場合、各メータ、特に電気機器であるガスメータ42および電気メータ43の環境使用温度範囲を超える可能性がある。一般的には、このような電気機器は、40℃を超えると品質保証ができなくなる。
そこで本実施の形態の燃料電池システムは、パイプスペース室40内の温度が、電気メータ43などのパイプスペース室40に設置された電気機器の環境使用温度の上限を超えないように燃料電池2およびその他の機器を制御する。具体的には、温度センサ47によってパイプスペース室40内の温度を監視し、運転を制御する。
パイプスペース室40に設置される電気機器のうち電気メータ43の環境使用温度範囲の上限値が最も低い場合、温度センサ47付近の温度と電気メータ43付近の温度の関係を把握しておく。たとえば、温度センサ47付近の温度が電気メータ43の温度よりも5℃高いとする。この場合、電気メータ43の環境使用温度範囲の上限値が40℃とすると、制御装置51は、温度センサ47の温度が45℃を超えないように燃料電池2の電気出力を制御する。
図4は、本実施の形態におけるメータ周囲温度および燃料電池出力の時間変化を示すグラフである。
制御装置51は、温度センサ47から伝達される信号が示す温度がたとえば38℃を超えると、燃料電池2の電気出力を低下させる。この際、必要に応じて、燃料処理装置1の各機器の運転状態も変化させてもよい。これに伴って、燃料電池システムの電気出力あるいは熱出力は、要求される電気負荷あるいは熱負荷よりも小さくなる可能性がある。しかし、燃料電池2の電気出力を低下させることにより、燃料電池システムの筐体16内での発熱量が低下し、パイプスペース室40内の温度の上昇が抑制される。燃料電池2の電気出力を低下させてもパイプスペース室40内の温度が上昇し続ける場合には、電気出力をさらに小さくしたり、発電を停止したりする。
外気温の低下あるいは燃料電池2の電気出力の低下に伴ってパイプスペース室40内の温度が低下した場合には、適当なヒステリシスを持って電気あるいは熱負荷に応じて燃料電池2の電気出力を上昇させてもよい。具体的には、温度センサ47から伝達される信号が示す温度がたとえば36℃を下回った場合には、再度燃料電池2の電気出力を増加させてもよい。
このようにして、本実施の形態の燃料電池システムでは、パイプスペース室40内の温度が、パイプスペース室40内に設置された電気機器の環境使用温度範囲の上限値を超えないようにすることができる。その結果、パイプスペース室40内に設置している各種メータを正常に使うことができ、信頼性が向上する。なお、本実施の形態の燃料電池システムは、燃料処理装置1を有するが、燃料処理装置1を持たない純水素型PEFCシステムにも適用できる。あるいは、SOFC型システムにも適用可能である。
制御装置51は、燃料電池2の電気出力を低下させる設定温度を、温度センサ47が測定する温度の上昇勾配、すなわち単位時間当たりの温度上昇に応じて変化させてもよい。たとえば、温度上昇勾配が所定の値以上のときには温度センサ47が測定する温度が38℃を越えたときに電気出力を低下させ、温度上昇勾配が所定の値未満のときには温度センサが測定する温度が42℃を越えたときに電気出力を低下させてもよい。
温度センサ47付近の温度と電気メータ43付近の温度の関係は、パイプスペース室40の構造、燃料電池システムの筐体16と電気メータ43との距離、季節の変化などによって変化する。そこで、燃料電池2の電気出力を低下させる設定温度あるいはこの設定温度を切り替える温度上昇勾配の値は、ディップスイッチあるいはリモコンにより任意に設定できるようにしてもよい。これにより、設置場所あるいは季節の変化に応じて設定温度を変化させることができ、過度の余裕を持つ必要がなくなる。
パイプスペース室40は、ドア46が閉じている状態においては密閉状態に近い。このため、燃料電池システムで有害ガスが発生し、筐体16の外側でパイプスペース室40内に漏えいすると、その有毒ガスがパイプスペース室40内に滞留する可能性がある。パイプスペース室40は人が常時入る空間ではないが、ドア46を開けて、燃料電池システムのメンテナンスあるいは各メータの点検を行う場合がある。
有毒ガスが滞留した状況でパイプスペース室40のドア46を開けた場合、あるいは開けたドア46から人がパイプスペース室40内に入った場合、パイプスペース室40内に滞留した有毒ガスにより人が危険にさらされる可能性がある。そこで、本実施の形態では、パイプスペース室40内の一酸化炭素濃度を監視し、一酸化炭素濃度が過度に高くならないようにしている。具体的には、制御装置51は、COセンサ48が測定する一酸化炭素濃度が50ppmを超えないように燃料電池2の電気出力を制御する。
制御装置51は、COセンサ48から伝達される信号が示す一酸化炭素濃度がたとえば40ppmを超えると、燃料電池2の電気出力を低下させる。この際、必要に応じて、燃料処理装置1の各機器の運転状態も変化させてもよい。これに伴って、燃料電池システムの電気出力あるいは熱出力は、要求される電気負荷あるいは熱負荷よりも小さくなる可能性がある。しかし、燃料電池2の電気出力を低下させることにより、燃料電池システムの筐体16内での一酸化炭素の発生量が低下し、パイプスペース室40内の一酸化炭素濃度の上昇が抑制される。燃料電池2の電気出力を低下させてもパイプスペース室40内の一酸化炭素濃度が上昇し続ける場合には、電気出力をさらに小さくしたり、発電を停止したりする。
外気の流入あるいは燃料電池2の電気出力の低下に伴ってパイプスペース室40内の一酸化炭素濃度が低下した場合には、適当なヒステリシスを持って電気あるいは熱負荷に応じて燃料電池2の電気出力を上昇させてもよい。具体的には、COセンサ48から伝達される信号が示す一酸化炭素濃度がたとえば30ppmを下回った場合には、再度燃料電池2の電気出力を増加させてもよい。
このようにして、本実施の形態の燃料電池システムでは、パイプスペース室40内の一酸化炭素濃度が、過度に高くならないようにすることができる。その結果、パイプスペース室40への人のアクセスの際の安全性が向上する。
制御装置51は、燃料電池2の電気出力を低下させるしきい値を、COセンサ48が測定する一酸化炭素濃度の上昇勾配、すなわち単位時間当たりの一酸化炭素濃度上昇に応じて変化させてもよい。たとえば、一酸化炭素濃度の上昇勾配が所定の値以上のときにはCOセンサ48が測定する温度が40ppmを越えたときに電気出力を低下させ、一酸化炭素濃度の上昇勾配が所定の値未満のときには温度センサが測定する温度が45ppmを越えたときに電気出力を低下させてもよい。
1…燃料処理装置、2…燃料電池、3…燃料供給源、4…脱硫器、5…水蒸気発生器、6…改質器、7…COシフト反応器、8…CO選択酸化器、9…水蒸気分離器、10…改質用燃焼器、11…改質用水ポンプ、13…アノード極、14…カソード極、15…カソード極用空気ブロア、16…筐体、18…CO選択酸化用空気ブロア、20…燃料遮断弁、21…起動用燃料遮断弁、22…メイン燃料遮断弁、23…脱気用遮断弁、24…オフガス逆止弁、25…燃焼空気切替弁、26…燃焼用空気ブロア、27…水蒸気流量調節弁、29…電池冷却水ポンプ、30…フィルタ、31…燃料昇圧ブロア、33…温水循環ポンプ、36…貯湯槽、37…放熱器、40…パイプスペース室、41…水道メータ、42…ガスメータ、43…電気メータ、44…吸気口、45…排気口、46…ドア、47…温度センサ、48…COセンサ、51…制御装置、53…枠、54…壁、61…水道管、62…ガス管、63…電気配線用管、70…冷却流路、71…水道分岐管、72…ガス分岐管、73…電気配線用分岐管、80…タンク、81…排熱熱交換器、82…排熱熱交換器、83…弁、84…水道管

Claims (9)

  1. 電機機器が収納されたパイプスペース室が形成された建物に設置される燃料電池システムにおいて、
    前記パイプスペース室内に配置された燃料電池と、
    前記パイプスペース室内に配置された温度センサと、
    前記温度センサで測定される温度が所定の上限温度以上にならないように前記燃料電池の電気出力を制御する制御装置と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記制御装置は前記温度センサで測定される温度が所定の設定温度を越えると前記燃料電池の電気出力を低下させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記所定の設定温度は前記温度センサで測定される温度の単位時間当たりの上昇量によって変化することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記所定の設定温度を変更する変更手段をさらに有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池を収める筐体をさらに有し、前記温度センサは前記筐体の外面に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記パイプスペース室内に配置されて前記燃料電池に水素を供給する燃料処理装置と、前記パイプスペース室内に配置されて一酸化炭素濃度を測定するCOセンサと、をさらに有し、前記制御装置はさらに前記COセンサで測定される一酸化炭素濃度が所定の濃度以上にならないように前記燃料電池の電気出力を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記制御装置は前記COセンサで測定される一酸化炭素濃度が所定の設定値を越えると前記燃料電池の電気出力を低下させることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池システム。
  8. 前記所定の設定温度は前記COセンサで測定される一酸化炭素濃度の単位時間当たりの上昇量によって変化することを特徴とする請求項7に記載の燃料電池システム。
  9. 電機機器が収納されたパイプスペース室が形成された建物に設置される燃料電池システムにおいて、
    前記パイプスペース室内に配置された燃料電池と、
    前記パイプスペース室内に配置されて前記燃料電池に水素を供給する燃料処理装置と、
    前記パイプスペース室内に配置されて一酸化炭素濃度を測定するCOセンサと、
    前記COセンサで測定される一酸化炭素濃度が所定の濃度以上にならないように前記燃料電池の電気出力を制御する制御装置と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
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