JP2011256769A - 横軸ポンプ設備、及びその運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポンプ始動時における始動トルクを軽減させ、低トルク始動を行うことで、駆動機である電動機の始動電流を抑制し、短時間で満水工程を完了させ、早期に排水運転を可能にする横軸ポンプ設備を提供すること。
【解決手段】斜流又は軸流の主ポンプを備え、ポンプケーシング2内を真空引き配管を通して真空ポンプ9により吸気することにより水を吸い上げる吸い上げ式の横軸ポンプ設備であって、吸気配管8は、ポンプケーシング2の主ポンプインペラ3より上流側上部に接続し、吸気配管8の接続箇所に主ポンプ始動時の気液二相流の旋回を防止する旋回流防止機構と、気液二相から気体を分離する気液分離機構15とを設け、該気液分離機構15で分離された気体を吸気配管8を介して真空ポンプ9で吸気する。
【選択図】図1

Description

本発明は、河川の排水を行なう排水機場(ポンプ機場)などに設置する斜流又は軸流ポンプを有する横軸ポンプを備えた横軸ポンプ設備、及びその運転方法に関する。
図8は従来の吸い上げ式の横軸ポンプ設備の概略構成を示す図である。図示するように、横軸ポンプ設備は、吸込水槽120の上に据付けられた斜流又は軸流ポンプからなる横軸ポンプ1を備え、該横軸ポンプ1のポンプインペラ3は回転軸7に固定され、電動機4により回転駆動されるようになっている。ポンプケーシング2の頂部には吸気取出口21が設けられ、該吸気取出口21には吸気配管8を介して真空ポンプ9が接続されている。また、吸気配管8には吸気弁(電磁弁又は電動弁)23、及び満水検知器が接続されている。
ポンプケーシング2の吸い込み側には吸込管5が接続され、吸込管5の吸込口5aは吸込水槽120内に開口している。また、ポンプケーシング2の吐出し側には吐出弁13を介して吐出管6が接続されている。なお、25は落水検知器である。
上記従来の吸い上げ式の横軸ポンプ設備においては、真空ポンプ9でポンプケーシング2内部を吸気し、満水検知器11で満水を検知してから、駆動機である電動機4を起動し横軸ポンプ(主ポンプ)1を始動している。このような運転方法では、始動時におけるポンプトルク(ポンプ回転体を回転させるために必要なトルク)が大きくなり、十分な始動トルクを発生できる駆動系を選定する必要があった。このような駆動系においては、大きい始動トルクを発生するために必要な始動電流値も大きくなるため、その始動電流を抑制するために高価な電動機や始動方式を採用する必要があった。
上記のように、始動電流が大きい電動機を採用する場合、電力を供給する電源系統において、瞬時的な電圧降下を起す場合があり、これを解消するために、構造が複雑で高価な巻線型電動機や、高価な始動装置(インバータやコンドルファ始動器等)を用いるか、電圧降下保障装置を別途設ける必要がある。これは電力を供給する各電力会社では、他の電力需要家への影響を考慮し、系統の電圧降下について、制限を設けており、この制限から、逸脱する設備の場合、設備側で制限を満たす設備を設けるようになっているからである。
また、吸い上げ式の横軸ポンプ設備では、真空ポンプを用い、横軸ポンプ1のポンプケーシング2内の圧力を低下させて呼水運転を行い、ポンプケーシング2内が完全に満水(満水検知器11が満水を検知した状態)になってから横軸ポンプ1を始動している。横軸ポンプ1台あたりの満水に要する時間は通常5分〜10分程度であるが、近年は局地集中的な大雨(ゲリラ豪雨)により河川の水位上昇速度が速くなってきており、上記横軸ポンプ1の早期始動、早期排水運転が強く求められている。
特に、主ポンプの容量(口径)が大きい場合にはポンプケーシング内を満水にするための時間が長くかかり、主ポンプである横軸ポンプ1の始動、排水運転が内水位の上昇に間に合わず、浸水被害をもたらす可能性があった。この対策として、下記するような、真空ポンプの大容量化、真空ポンプの多数台制御、先行待機運転(ドライ始動運転)などが提案されている。
特開昭58−13191号公報 特開2009−144658号公報 特許第3394432号公報 特開平8−270598号公報
しかしながら、上記真空ポンプの大容量化、真空ポンプの多数台制御、先行待機運転、吸気構造の工夫には下記のような課題がある。
〔真空ポンプの大容量化〕
満水工程時間(ポンプケーシング内を満水にさせる時間)を短縮するために、吸気容量の大きな真空ポンプを使用することである。しかしながら、真空ポンプにおいては大容量のものが市販化されていないことや、真空ポンプの吸気容量を大きくすると駆動電動機容量が大きくなって高価になること、真空ポンプ運転時の騒音が増大する等、経済性や環境性での課題がある。
〔真空ポンプの多数台制御〕
満水工程時間を短縮させるために、真空ポンプを多数台用いて制御する方法が採られることがある。しかしながら、真空ポンプを多数台使用することにより、騒音問題の発生だけでなく、制御の複雑化、メンテナンス対象機器の増加に繋がり、環境性や経済性、運転管理性が悪化する等の課題がある。
〔ドライ始動運転〕
真空ポンプで満水化を行うと同時に主ポンプを気中で起動することで、真空ポンプのみによる満水工程と比べて満水工程に要する時間を短縮でき、主ポンプの排水運転を迅速に開始できる。しかしながら、ポンプケーシング内の水位が上昇し、水位がポンプインペラに到達気水混合での運転状態になると、インペラの回転に影響されてポンプケーシングの内壁に旋回流(水膜)が発生するため、真空ポンプは空気と水を一緒に吸引することになり、真空ポンプが正常に吸気できず、その結果満水工程時間が長くなることだけではなく、一緒に吸引した水の影響により、満水工程完了の誤検知により真空ポンプが停止して、その結果、落水が発生することがあるという課題がある。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、ポンプ始動時における始動トルクを軽減させ、低トルク始動を行うことで、駆動機である電動機の始動電流を抑制し、安価で簡素な横軸ポンプ設備を提供することを目的とする。
また、短時間で満水工程を完了させ、早期に排水運転を可能する横軸ポンプ設備の運転方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明は、斜流又は軸流の主ポンプを備え、ポンプケーシング内を真空引き配管を通して真空ポンプにより吸気することにより水を吸い上げる吸い上げ式の横軸ポンプ設備であって、真空引き配管は、ポンプケーシングの主ポンプインペラより上流側上部に接続し、真空引き配管の接続箇所に主ポンプ始動時の気液二相流の旋回を防止する旋回流防止機構と、気液二相から気体を分離する気液分離機構とを設け、該気液分離機構で分離された気体を真空引き配管を介して真空ポンプで吸気することを特徴とする。
また、本発明は、上記横軸ポンプ設備において、旋回流防止機構は、ポンプケーシング内面から該ポンプケーシング内部に向かって突出し、ポンプケーシングの内壁面を流れる旋回流が衝突する旋回流防止板を備え、旋回流防止板の近傍で、旋回流の下流側に気液分離機構に連通する吸気開口を設けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記横軸ポンプ設備において、旋回流防止機構はポンプケーシング内の旋回流を抑制する旋回流防止板を備え、旋回流防止板近傍で気液分離機構の底に設けられた第1の吸気開口を設け、第1の吸気開口より吸気した気液二相流を分離する気液分離機構を設け、気液分離機構には第2の吸気開口を設け、第2の吸気開口に真空ポンプを真空引き配管を介して接続し、第1の吸気開口と第2の吸気開口が略鉛直方向に合わないようにずらして設けたことを特徴とする。
また、本発明は、上記横軸ポンプ設備において、主ポンプの吐出口に接続された吐出管に設けた吐出弁は主ポンプの吐出口側に弁体を傾斜させることにより開閉を行う蝶型弁であることを特徴とする。
また、本発明は、上記横軸ポンプ設備の運転方法であって、操作制御盤のドライ始動指令により、真空ポンプを起動し気液分離機構を介してポンプケーシンク内を吸気すると共に、主ポンプの吐出口に接続された吐出管に設けた吐出弁の開度を所定の中間開度として、主ポンプを低トルク始動することを特徴とする。
本発明は、ポンプケーシングの真空引き配管の接続箇所に主ポンプ始動時の気液二相流の旋回を防止する旋回流防止機構と、気液二相から気体を分離する気液分離機構とを設け、該気液分離機構で分離され気体を真空引き配管を介して真空ポンプで吸気するので、気液二相での運転を伴うドライ始動時に主ポンプインペラの回転により、ポンプケーシング内壁面に気液二相の旋回流が発生しても、吸気開口から水が流入することがなく、確実にケーシング内を満水にすることができ、主ポンプインペラが接水しない内の主ポンプの始動を可能としたことでポンプの始動トルクが小さくて済み、駆動機である電動機の始動電流を抑制し、安価で簡素な横軸ポンプ設備を提供できる。
また、短時間で満水工程を完了させ、早期に排水運転を可能させる横軸ポンプ設備の運転方法を提供できる。
本発明に係る横軸ポンプ設備の概略構成を示す図である。 本発明に係る横軸ポンプ設備の気液分離機構の構成を示す図である。 本発明に係る横軸ポンプ設備の気液分離機構の構成を示す図である。 気液分離機構の旋回防止機構部の構成を示す図である。 気液分離機構の気液分離短管の構成を示す図である。 本発明に係る横軸ポンプ設備における横軸ポンプ1を始動する際の操作手順を示すフロー図である。 従来の横軸ポンプを始動する際の操作手順を示すフロー図である。 従来の横軸ポンプ設備の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。図1は本発明に係る横軸ポンプ設備の概略構成を示す図である。図1において、図8と同一符号を付した部分は同一又は相当部分を示す。また、他の図面においても同様とする。図1に示すように、吸込水槽120上に据付けられた横軸ポンプ1は斜流又は軸流ポンプであり、ポンプインペラ3より上流側のポンプケーシング2上部に気液分離機構15が設けられている。気液分離機構15の上部の吸気口には、吸気配管8を介して真空ポンプ9が接続され、該吸気配管8には吸気弁(電磁弁又は電動弁)22、及び満水検知器11が設けられている。
ポンプインペラ3は回転軸7に固定され、該回転軸7の他端は駆動機である電動機4の回転軸に連結されている。ポンプケーシング2の吐出口には吐出弁13を介して吐出管6が接続される。吐出弁13は、蝶型弁であり、開閉に関しては当該蝶型弁は横軸の蝶型弁であって、開時において天側の弁体がポンプ側に傾斜し、地側の弁体が吐出側に傾くように設置することが好ましい。
図2及び図3は気液分離機構15の構成を示す図で、図2は気液分離機構15をポンプ上流側から見た図であり、図3はポンプ側面から見た図である。気液分離機構15は、旋回防止機構部30と気液分離短管40から構成されている。旋回防止機構部30は後に詳述するように、ポンプ始動時に生じるポンプケーシング2の内壁に発生する旋回流(水膜)をせき止め、吸気開口に水が流入することを防ぐ作用を奏するものであり、気液分離短管40は後に詳述するように、気液混合水(気液二相流)を分離し、吸気口付近に空気溜まりを作る作用を奏するものである。
図4は旋回防止機構部30の構成を示す図で、図4(a)は設置時ポンプ上流側(図3のA−A方向)から見た図であり、図4(b)は設置時ポンプ側面から見た図であり、図4(c)は設置時下方から見た図(図3のB−B方向)であり、Pはポンプインペラ側、Mは電動機側を示している。図示するように旋回防止機構部30は、円筒状部31を有し、該円筒状部31の上部外周にはフランジ32が設けられ、更に下端は板状の流入防止部33で閉塞され、吸気開口部35以外からは円筒状部31の内部にポンプインペラ3の回転によりポンプケーシング2の内壁面に形成される水膜が流入しないようになっている。また、流入防止部33の下方には旋回防止板34が設けられている。
旋回防止板34は流入防止部33の中央近に、ポンプ軸方向と略平行になるようにポンプケーシング2の内部方向に突出して設けられている。旋回防止機構部30の円筒状部31は、図2及び図3に示すように、ポンプケーシング2の上部に形成された円筒状の開口部2a内に旋回防止板34がポンプ軸方向と略平行に、且つポンプケーシング2内壁面から突出するように挿入されて取り付けられている。図2の矢印に示すように、旋回流(水膜)100は旋回防止板34に衝突し、その流方向がポンプケーシング2の内部に向うように変更される。旋回防止板34の旋回流(水膜)100が衝突する側とは反対側に位置する流入防止部33には図4(c)に示すように、扇状の吸気開口部35が形成されている。旋回防止板34の突出長さ(高さ)は150mm程度、その幅は円筒状部31の直径と同じ長さにすることが最も効率的である。
また、吸気開口部35は、上部に設けられる気液分離短管40に設けられる第2の吸気開口部44の開口面積以上とすることが好ましい。図3(d)、(e)、(f)は旋回防止板34のその他の態様を示す図である。図3(d)に示すように、ポンプケーシング2のフランジの開口部2aのフランジ面がポンプ軸芯と水平でない場合等については、該旋回防止板34を傾斜させた構成としてもよい。また、ポンプの取扱水に塵芥が多い場合などには、塵芥の絡みつきを防止するため、図3(e)及び(f)に示すように、旋回防止板34の角部を鈍角で構成したり、角部を無くするように円弧状に構成してもよい。
図5は気液分離短管40の構成を示す図であり、図5(a)は設置時のポンプ上流側から見た図であり、図5(b)は設置時ポンプ側から見た図(下方から見た図)である。また、図5(c)はポンプの側方より見た図であり、図中Pはポンプ側、Mは電動機側である。気液分離短管40は短い円筒状の筒部41を有し、該筒部41の下端にはフランジ42を設け、上端は円板状の蓋体43で閉塞されている。該蓋体43の中心部を通る軸線上でポンプ水流の下流か側に第2の吸気口44が設けられ(図2、図4参照)、該蓋体43に吸気配管8が接続されている。気液分離短管40の蓋体43の高さはポンプケーシング2の接続部から150mm以上でポンプケーシング2の最頂部(ボールトップ)と同程度にすることが好ましい。
気液混合状態での運転を伴うドライ始動においては、ポンプケーシング2内が満水になり定常水量運転に至るまでに、小水量運転状態でポンプが運転する状態となり、この時に生じるインペラ部の逆旋回流により、ポンプの吸込ケーシングの内壁に旋回流(水膜)が発生する。
上記構成の気液分離機構15をポンプインペラ3より上流側のポンプケーシング2上部に設けることにより、ポンプインペラ3の回転によりポンプケーシング2の内壁面に発生する旋回流(水膜)100は、図2に示すように、旋回防止板34に衝突し、ポンプケーシング2の中央部に向う流となり、流入防止部33の旋回流100の下流側に設けた吸気開口部35から円筒状部31内への流入を抑制することが可能となる。流入防止部33は円筒状部31を開口部2aに挿入した場合に、ポンプケーシング2の内壁とに段差がないように設けられている。なお、ポンプケーシング2の開口部2aとしては、ポンプケーシング2に設けているハンドホールを用い、ハンドホールの蓋を蓋体43としてポンプケーシング2の間に気液分離機構15を設けてもよい。
なお、ポンプインペラの下流側(吐出側)の空気については、ポンプの吐出水流により、吐出配管を介して図示しない吐出水槽へ放出されるため、従来の満水になってから始動する始動方法に比べ真空ポンプの吸気能力に主ポンプの掃気能力が加わる分、定格排水運転状態まで移行する時間(始動時間)を短くすることができる。また、上記の通り、インペラの下流側については主ポンプの自己水流で掃気できるため、真空ポンプで吸気する吸気口を設ける必要がなく、従来通りの簡素な設備構成で、ドライ始動を可能としている。
流入防止部33に設けられる吸気開口部35の形状は、扇形に限定されるものではなく、円形、楕円形、正方形、長方形等の様々な形状が可能であるが、いずれの場合でも、旋回防止板34に衝突しなかった旋回流が気液分離短管40に流入するのを防ぐような位置及び形状でなければならない。
図5(c)に示すように、気液分離短管40は旋回防止機構で抑制しきれなかった飛沫水流101を確実に気液分離させることが可能となり、真空ポンプの吸気性能、信頼性を確保することができる。なお、図示したように、第1の吸気開口部35と第2の吸気開口部44は略鉛直方向に並べて配置せず、ずらして配置することで気液分離効果を向上させることができる。また、上記のように、ハンドホール蓋を蓋体43としてポンプケーシング2の間に気液分離機構15を設ける場合は、吸気口44を設けたハンドホール蓋と旋回防止機構部30の間に設ける。また、ハンドホールの蓋を蓋体43とする場合は、吸気口44は中心若しくはポンプの流れ方向に対して下流側に設けることが好ましい。
図6は、上記構成の横軸ポンプ設備における横軸ポンプ1を始動する際の操作手順を示すフロー図である。図示しない操作制御盤の操作により、横軸ポンプ設備をドライ状態からの運転制御ができるようになっている。以下、ドライ始動フローについて説明する。
〔ドライ始動〕
ドライ始動制御とは、吸気弁22の開操作、真空ポンプ9を起動、主ポンプ(横軸ポンプ1)始動、吐出弁13の開操作を連動させる運転制御方法である。吸込水位等の始動条件が成立し(ステップST1)、ドライ始動指令が自動若しくは手動にて出されると(ステップST1−1)、次いで吸気弁22を開き(ステップST1−3)、真空ポンプ9を起動(ステップST1−4)、主ポンプ(横軸ポンプ1)始動し(ステップST1−5)、吐出弁13を中間開度まで開く(ステップST1−6)。
次いで満水検知か否かを判断し(ステップST1−7)、ノー(N)の場合は満水検知を待ち、イエス(Y)の場合は第2の吸気弁22を閉じて(ステップST1−8)、真空ポンプ9を停止し(ステップST1−9)、吐出弁13を開く(全開)(ステップST1−10)。続いて定格排水運転に移行したか、即ち定格排水運転を検知したか否かを判断し(ステップST1−11)、定格排水運転を検知したら始動を完了する(ステップST1−12)。
ここで定格排水運転に移行したか否かを検知する方法としては、主ポンプ(横軸ポンプ)1の吐出圧力、若しくは電動機4の電流値により判断することが望ましい。また、本運転フローにおいては、吐出弁13を中間開にて始動しているが全開にしての始動としても構わない。但し、できる限りの始動時間の短縮をはかる場合においては、吐出弁13を中間開度にて始動ことで、主ポンプ1の吐出流が吐出弁13の弁体によりポンプ側に戻され、全開の時に比べ早期に、且つ確実にポンプインペラ部が満水となり、ポンプ吐出流による掃気効果を上げ、結果、始動時間の短縮を図ることができる。なお、その際の吐出弁13の開度は10〜30%とすることが最も好ましい。
次いで、従来の通常始動方法を図7のフロー図に基いてについて説明する。
〔通常始動〕
通常始動は、横軸ポンプ1のポンプケーシング2の略頂部の吸気取出口21から、第1の吸気弁23を通して真空ポンプにより吸気し満水操作を行う運転方法である。水位等の始動条件が成立し(ステップST2)、始動指令が出されると(ステップST2−1)、吸気弁23を開き(ステップST2−2)、真空ポンプ9を始動する(ステップST2−4)。
上記真空ポンプ9の始動運転によりポンプケーシング2内の空気が頂部吸気取出口21から吸引され、吸込水槽120の水がポンプケーシング2内に流入する。その後、ポンプケーシング2内の水位が徐々に上昇し、満水検知器11が所定の満水水位を検知すると(ステップST2−5)、主ポンプを始動する(ステップST2−6)。続いて第1の吸気弁23を閉じ(ステップST2−7)、真空ポンプ9を停止し(ステップST2−8)満水工程を終了し、始動完了する(ステップST2−9)。
以上、本発明の実施形態例を説明したが、本発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
本発明は、真空引き配管をポンプケーシングの主ポンプインペラより上流側上部に接続し、真空引き配管の接続箇所に主ポンプ始動時の気液二相流を分離する気液分離機構と、該気液分離機構で液から分離された気体を吸気する吸気開口とを設けたので、始動時に主ポンプインペラの回転により、ポンプケーシング内壁面に気液二層の旋回流が発生しても、吸気開口に水が流入することがなく、主ポンプインペラが接水しない内に主ポンプを始動するから始動トルクが小さくて済み、駆動機である電動機の始動電流を抑制し、短時間で満水工程を完了させ、早期に排水運転を可能させる横軸ポンプ設備に利用することができる。
1 横軸ポンプ
2 ポンプケーシング
3 ポンプインペラ
4 電動機
5 吸込管
6 吐出管
7 回転軸
8 吸気配管
9 真空ポンプ
11 満水検知器
13 吐出弁
15 気液分離機構
21 吸気取出口
22 第2の吸気弁
23 第1の吸気弁
25 落水検知器
30 旋回防止機構部
31 円筒状部
32 フランジ
33 流入防止部
34 旋回防止板
35 第1の吸気開口部
40 気液分離短管
41 筒部
42 フランジ
43 蓋体
44 第2の吸気開口部

Claims (5)

  1. 斜流又は軸流の主ポンプを備え、ポンプケーシング内を真空引き配管を通して真空ポンプにより吸気することにより水を吸い上げる吸い上げ式の横軸ポンプ設備であって、
    前記真空引き配管は、前記ポンプケーシングの前記主ポンプインペラより上流側上部に接続し、
    前記真空引き配管の接続箇所に前記主ポンプ始動時の気液二相流の旋回を防止する旋回流防止機構と、気液二相から気体を分離する気液分離機構とを設け、該気液分離機構で分離された気体を前記真空引き配管を介して前記真空ポンプで吸気することを特徴とする横軸ポンプ設備。
  2. 請求項1に記載の横軸ポンプ設備において、
    前記旋回流防止機構は、前記ポンプケーシング内面から該ポンプケーシング内部に向かって突出し、前記ポンプケーシングの内壁面を流れる旋回流が衝突する旋回流防止板を備え、
    前記旋回流防止板の近傍で、前記旋回流の下流側に前記気液分離機構に連通する吸気開口を設けたことを特徴とする横軸ポンプ設備。
  3. 請求項1に記載の横軸ポンプ設備において、
    前記旋回流防止機構は前記ポンプケーシング内の旋回流を抑制する旋回流防止板を備え、
    前記旋回流防止板近傍で前記気液分離機構の底に設けられた第1の吸気開口を設け、
    前記第1の吸気開口より吸気した気液二相流を分離する気液分離機構を設け、
    前記気液分離機構には第2の吸気開口を設け、
    前記第2の吸気開口に前記真空ポンプを前記真空引き配管を介して接続し、
    前記第1の吸気開口と前記第2の吸気開口が略鉛直方向に合わないようにずらして設けたことを特徴とする横軸ポンプ設備。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の横軸ポンプ設備において、
    前記主ポンプの吐出口に接続された吐出管に設けた吐出弁は前記主ポンプの吐出口側に弁体を傾斜させることにより開閉を行う蝶型弁であることを特徴とする横軸ポンプ設備。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の横軸ポンプ設備の運転方法であって、
    操作制御盤のドライ始動指令により、前記真空ポンプを起動し前記気液分離機構を介して前記ポンプケーシンク内を吸気すると共に、前記主ポンプの吐出口に接続された吐出管に設けた吐出弁の開度を所定の中間開度として、前記主ポンプを低トルク始動することを特徴とする横軸ポンプ設備の運転方法。
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