JP2011256647A - 地盤の液状化対策工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】液状化する恐れがない地層(Gc)に到達する複数の柱状改良体(40)を造成する工程と、垂直方向に間隔を隔てて複数の版状改良体(5)を造成して複数の柱状改良体を結合する版(50)を造成する工程とを備え、垂直方向における版(50)の間隔(h)が12.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔を版(50)の垂直方向厚さ(t)で除した数値が12.0以下である。
【選択図】図10
Description
係る被害を防止するために、飽和した砂地や埋立地の様な液状化地盤に対して地盤改良を施し、安定した地層(非液状化層:例えば粘土層)に到達するか、或いは、根入れされた強固な改良体を造成して、当該液状化地盤の被害を防止している。
改良体を造成するに際しては、例えば、改良体を造成するべき領域において、固化材と原位置土(改良対象の地盤)とを混合、攪拌して、固化している。
そのため本出願人は、液状化を防止するべき地盤全体を改良するのではなく、その一部のみを改良領域とせしめ、隣接する柱状改良体を接合するように硬化材を噴射する技術を提案した(特許文献1参照)。
係る技術によれば、改良範囲の液状化を確実に防止することが出来ると共に、硬化材の使用量及び余剰固化材発生量を減少することが出来る。
しかし、上述した従来技術では、柱状改良体同士を接合する相対的な位置関係をどの様に設定すれば、過剰間隙水圧比が所定値以下となるのかについては、言及されていない。
ここで、液状化する恐れがない地層(非液状化層)は、次の3つの地層、すなわち、
地下水位が地表面から10m以深の深度である層、
細粒分含有率Fc=35%以上の砂層(細かい粒子の多い層)、
地表面からの深度が20m以深の層、
である。
表1
本発明において、発生頻度の低いプレート境界に生じる海洋性の大規模な地震を対象とする液状化について適用する場合には、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が8.0m以下にして、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が6.0以下にするのが好ましい。
ここで、「発生頻度の低いプレート境界に生じる海洋性の大規模な地震」は、いわゆる「レベル2」の地震であり、地震動の標準加速度応答スペクトルS10(gal:ガル)が、固有周期T(sec.)に対して、下表2で示す様に規定される地震である。(「道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説」第16頁〜第19頁:平成14年4月10日 改訂版第2刷発行:社団法人日本道路協会編集:参照)
表2
上述する構成を具備する本発明によれば、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が12.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が12.0以下であれば、例えば140ガル(gal)の地震が生じても、改良体からの距離が最大となる個所における過剰間隙水圧比がしきい値(0.6)以下となる。
そのため、本発明が施工された改良対象土層(G)が液状化する恐れはない。
そして、本発明において、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が8.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が6.0以下であれば、例えば、400ガルの海洋型地震の様に、非常に強大な地震が発生しても、改良体からの距離が最大となる個所における過剰間隙水圧比がしきい値(0.6)以下となり、本発明が施工された改良対象土層(G)が液状化することを防止出来る。
そして、改良対象土層(G)に対して、柱状改良体(40)の体積は40%(改良率)程度で済ませることが出来る。
そのため本発明によれば、改良対象土層(G)全体を改良する場合に比較して、固化材の使用量や施工に必要な労力、コストを大幅に低減して、施工期間を短縮することが出来る。
さらに、地盤改良の際に生じる余剰固化材の量も減少する。余剰固化材は産業廃棄物として処理する必要があるので、余剰固化材の量が減少すれば、産業廃棄物処理量も減少する。
最初に、図1〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る地盤の液状化対策工法の施工手順を説明する。
柱状改良体40は、液状化する可能性がある改良対象土層G(液状化層)を垂直方向に貫通して、非液状化層Gcに到達或いは根入れする様に造成される。
図1〜図3における符号4は、造成途中の柱状改良体を示している。
ただし、噴射装置を有するロッド2を回転して、固化材と原位置土とを混合・攪拌しつつ、ボーリング孔内を地上側から地下側に押し下げて、改良体を造成することも可能である。
改良体40の平面上の造成個所については、図6〜図8を参照して後述する。
版状改良体5の造成に際しても、ボーリングマシン1を用いて、改良体40の造成と同様な態様で行う。
ただし、図1〜図3で示す改良体40の造成とは異なり、版状改良体5の造成に際しては、図4、図5で示す様に、同一の水平方向位置において、垂直方向に間隔を隔てて断続的に、複数の版状改良体5を造成している。そして、垂直方向に断続的に造成された複数の版状改良体5の各々において、水平方向に隔てた位置にある複数の版状改良体5(図5では、水平方向について隣接する版状改良体5)同士の垂直方向位置は等しい。
上下方向に隣接する版状改良体5の間隔「h」と版状改良体5の厚み「t」との関係については後述する。
壁状の改良体(図示せず)で施工領域を包囲すれば、過剰間隙水圧比が図示しない壁状改良体の外側の領域まで伝播してしまうことが防止される。
ここで、図6で示す版状改良体5は、実際には、図5で示す様に垂直方向に複数の版状改良体5が断続的に配置されている。換言すれば、図6における版状改良体は、図6の紙面に垂直な方向については、間隔を隔てて(地中G内に)複数存在している。
ここで、本明細書においては、改良体40間の隙間となる領域の全体に造成された複数の版状改良体5の集合体を、包括的に「版」50と表記している。換言すれば、改良体40の隙間となる領域全体には、垂直方向に間隔を隔てて、断続的に、版50が造成されている。
そして、係る版50により、改良体全体が結合された構造となっている(後述の図9、図10参照)。
すなわち、図示の実施形態によれば、液状化を防止するべき領域全体を改良する場合に比較して、60%程度の領域を改良せずに済み、その分だけ、固化材の使用量や各種コストが低減する。
図9で示すタイプも図10で示すタイプも、複数の改良体40は、その最上部(地上側端部)において版50(図7の「全面タイプ」)により接合されている。
改良体40の最下端は、非液状化層(図示を省略)に到達しており、図9で示すタイプは、複数の改良体40の最下端が版50により接合されている。そして、最下端の版50の全体が、安定した領域と接触している。なお、改良体40の最下端は、安定した領域に接触していても良いし、安定した領域内に侵入していても良い。
一方、図10で示すタイプでは、複数の改良体40は、その最下端において、安定した領域と接触している。ただし、複数の改良体40同士は、最下端よりも上方の領域で、版50により接合されている。
換言すれば、図9で示すタイプも、図10で示すタイプも、垂直方向における版50の造成個所(或いは、複数の改良体40同士の接合箇所)を、3箇所以上に設定しても良い。
しかし、図22及び図23で示すように、改良体40の上端部40Uが上方の版50−1の上方に突出していても良い。
ここで、図22は図9のタイプに対応しており、改良体40の下端部は下方の版50の下側に突出してはいない。
一方、図23は図10のタイプに対応しており、改良体40の下端部40−2が下方の版50の下側に突出している。
図22、図23で示す様に、改良体40の上端部40Uが上方の版50−1の上方に突出する様に配置する態様であれば、表層部を改良出来ない様な現場で施工する場合に有効である。
表層改良によって最上方の版50を造成するに際しても、図24で示す様に、ボーリングマシン1とロッド2を用いて、柱状改良体40を造成する。ここで、複数の改良体40を造成するために、ボーリングマシン1及びロッド2はガイド部材60上を移動可能に構成されている。そして、ガイド部材60は、H鋼の様な構造部材で構成されたスペーサ62により、地表面Gfから離隔して設けられている。
図24において、図1〜図5で説明した態様で改良体40と版状改良体5が造成されるが、改良体40は地表面Gfまでは造成されず、地表面Gfから距離dIだけ下方の位置よりも下方の領域だけ造成される。換言すれば、図24において、地表面Gfから符号dIで示す深度までの領域には、改良体40は造成されない。
図25において、掘削により形成された地表面近傍の空間は、符号Agで示されている。そして、図25において、除去された土壌が点線で示されている。
供給されたスラリーSが硬化すれば、図27で示すように、上方の版50−1が造成される。ここで、上方の版50−1の上面50Uは、地表面Gfと概略面一である。
すなわち、固化材の噴流を水平方向に噴射しつつ当該噴流を回転して、図24における地表面Gfから距離dIの領域の土壌を切削して、固化材と混合攪拌することにより、図27で示す様な上方の版50−1を造成することも可能である。
上述した以外にも、上方の版50−1を造成する技術は、多々存在する。すなわち、上方の版50−1を造成する態様は、上述した態様に限定されるものではない。
後述のように、過剰間隙水圧比が0.6以下であれば、液状化の恐れはない、と考えられる。換言すれば、地盤Gにおける過剰間隙水圧比がしきい値である0.6を上回る場合には当該地盤Gが液状化する恐れがあり、0.6以下であれば液状化の恐れがないと考えられる。
ここで、過剰間隙水圧比は、次式により定義される。
過剰間隙水圧比=過剰間隙水圧/地震前の鉛直有効応力
ここで、「過剰間隙水圧」は、地震動によって上昇した水圧を意味している。地震前の地下水による水圧のことではない。
また、「地震前の鉛直有効応力」は、地震前の土粒子間に作用する応力を意味している。粒子間の力であるため、水圧は含まない。
すなわち、液状化で歪が発生するのは、過剰間隙水圧比が0.8程度であることは、従来から当業者には知られている。係る数値(0.8)を安全側に余裕を持たせた数値である0.6を、液状化が発生しないためのしきい値として設定した。
以下において、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えないためには、どのような条件で版を造成するべきかについて説明する。
図11は、図9で示すタイプにおいて、400ガルの海洋型地震(発生頻度の低いプレート境界に生じる海洋性の大規模な地震の1例)が発生した場合において、改良体周辺の土壌における過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示している。
図11において、「千鳥」と記載されているものと「柱列」と記載されているものとは、改良体40の平面的な配置が異なっている。
「Pex1」は過剰間隙水圧比を示し、「h」は垂直方向における版の間隔(単位はm)を示している。
また、「h/t」は、垂直方向における版の間隔「h」を、版の垂直方向厚さ「t」で除した数値(無次元量)を示している(「h」、「t」については図5を参照)。
そして、各数値解析において、図11の「凡例」で示すように、改良体40は細かい点による薄いハッチングを付して示されており、白い部分は過剰間隙水圧比が0.6以下の領域を示し、横方向の線によるハッチング部分は過剰間隙水圧比が0.6よりも大きくて0.8以下である領域を示しており、黒い部分は過剰間隙水圧比が0.8よりも大きくて1.0以下である領域を示している。
図12は、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図11の数値解析結果の各々をプロットしている。なお、図12及び図14では、「h/t」を「未改良部一箇所あたりの厚さh/一枚あたりの厚さt」と表現している。
一方、図13では、版50の間隔(版間の距離)「h」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図11の数値解析結果の各々をプロットしている。なお、図13及び図15では、「h」を「未改良部一箇所あたりの厚さh」と表現している。
なお、図12〜図15において、「下端に版を設置した場合」と記載されているのは、図12〜図15は図9で示すタイプの位置関係であることを示している。
ここで、発明者による各種の解析及び研究によれば、液状化対策の良否を判定する過剰間隙水圧比のしきい値としては、0.6が適当であることが分った。
図14において、縦軸の過剰間隙水圧比が0.6であれば、横軸の「h/t」(図14では「未改良部一箇所あたりの厚さh/一枚あたりの厚さt」)は6.0(無次元量)となる。
図11の数値解析結果及び図12、図14から、図9で示すタイプにおいては、垂直方向における版の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」は、6.0以下となるべきことが判明した。
図15において、縦軸の過剰間隙水圧比が0.6であれば、横軸の「h」(図15では「未改良部一箇所あたりの厚さh」)は8.0(m)となる。
図11の数値解析結果及び図13、図15から、図9で示すタイプにおいては、垂直方向における版の間隔(版間の距離)「h」は、8.0m以下となるべきことが判明した。
図16は、図10で示すタイプにおいて、400ガル〜600ガルの地震が発生した場合において、改良体40周辺の土壌における過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示している。
図16における数値解析結果の区画の態様、各種表示については、図11に関して上述したのと同様である。
そして、図16〜図18において、「下端に版を設置しない場合」と記載されているのは、図16〜図18は図10で示すタイプの位置関係であることを示している。
図18では、図13と同様に、版50の間隔(版間の距離)「h」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図16の数値解析結果の各々をプロットしている。そして、係るプロットから求めた「h」と過剰間隙水圧比との特性線を示している。これによって、「h」と過剰間隙水圧比との関係が、特性線という態様で、視覚的に且つ定量的に表現される。図18は、図15と同様な図面である。
同様に、図18と図15とを重ね合わせた図20において、図18で示す特性線と図15で示す特性線とを比較すると、図18の特性線における傾きは、図15の特性線における傾きの2倍となっている。
すなわち、「h/t」が同一であれば、図10で示すタイプ(図16〜図18)は、図9で示すタイプ(図11〜図15)に比較して、過剰間隙水圧比が2倍になる。
そして、「h」が同一であれば、図10で示すタイプ(図16〜図18)は、図9で示すタイプ(図11〜図15)に比較して、過剰間隙水圧比が2倍になる。
また、図10で示す改良体40と版50との位置関係(改良体40の下端部には版50が存在しないタイプ)において、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(垂直方向距離)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(垂直方向距離)の1/2に設定すれば、改良体40の歪も1/2となり、最下層の版50と改良体40最下端の間の領域における過剰間隙水圧比も1/2になる。そして、図16を参照すれば、改良体40における歪が最大となり、過剰間隙水圧比が最大となるのは、改良体40の最下端である。換言すれば、最下層の版50と改良体40下端部との間の領域において、過剰間隙水圧比が最大になる。
上述の内容から、図10で示す改良体40と版50との位置関係(改良体40の下端部には版50が存在しないタイプ)において、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(垂直方向距離)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(垂直方向距離)の1/2に設定すれば、過剰間隙水圧比の最大値に関しては、図9で示すタイプと同様となる事が推定される。
図21(1)は、図9で示すタイプにおける数値解析の結果を示している。図21(1)では、改良体の最上端、中央部、最下端の3箇所に、それぞれ厚さ1.5mの版を設置して、垂直方向(図21では上下方向)における版の間隔を7.75mに設定している。
一方、図21(2)は、図10で示すタイプにおける数値解析の結果を示している。図21(2)においても、改良体の最上端を含む3箇所に、それぞれ厚さ1.5mの版を設置している。図21(2)においては、最下方の版から改良体の最下端までは3.0mであり、垂直方向に隣接する版の間隔は5.75mとなっている。ここで、図21(2)の数値解析では、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(3.0m)は、垂直方向について隣接する版50の間隔(5.75m)の1/2(2.875m)よりも大きいが、1/2に近い数値である。
ここで、図21(2)の数値解析結果では、改良体40の最下端の領域に黒く塗りつぶされた部分が存在し、その他の領域には黒く塗りつぶされた部分は存在しない。すなわち、図21(2)の数値解析結果では、改良体40の最下端の領域の過剰間隙水圧比が最も高くなっている。
そして、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(図21(2)では3.0m)を短くすれば、改良体40の最下端における歪は小さくなり、最下層の版50と改良体40最下端の間の領域における過剰間隙水圧比も小さくなる。従って、図21(2)において、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(図21(2)では3.0m)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(5.75m)の1/2(=2.875m)にすれば、改良体40の最下端の領域の過剰間隙水圧比は小さくなり、過剰間隙水圧比が0.6以上となる領域の面積が減少することが予想される。
すなわち、最下層の版50よりも上方の領域においては、図11で示す数値解析の結果と、図16で示す数値解析の結果とは、過剰間隙水圧比については有意な相違は存在しない。
そのため、図10で示すタイプにおいても、図11〜図15を参照して前述した結果より、過剰間隙水圧比を0.6以下にするためには、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」は、6.0以下とするべきである。
そして、最下層の版50と改良体40最下端の間隔を、垂直方向について隣接する版の間隔の1/2に設定すれば、過剰間隙水圧比を0.6以下にするためには、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」は、8.0m以下にするべきである。
従って、最下層の版50と改良体40最下端の間隔が隣接する版50の間隔の1/2より小さい場合であっても、「h/t」が6.0以下で、且つ、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」は、8.0m以下であれば、過剰間隙水圧比がしきい値である0.6以下になることは明らかである。
出願人は、より現実的なレベルの地震として、140ガルの地震(比較的生じる可能性の高い中規模程度の地震の1例)が発生した場合を想定して、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えない様に版を造成する条件についても、解析した。
図28〜図35を参照して、140ガルの地震が発生した場合に、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えない条件について、説明する。
ここで、図28において、厚さ1.0mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)の2箇所に配置されている。最下層の版50と最上層の版50との間隔hが18.0m(>12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=18.0/1.0=18.0(>12.0)である。
図28〜図35において、過剰間隙水圧比のしきい値0.6は、一点鎖線で示されている。
図28の場合には、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図29の場合には、厚さ1.5mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)の2箇所に配置されている。最下層の版50と最上層の版50との間隔hが17.0m(>12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=17.0/1.5=11.3(<12.0)である。
図29においても、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図30においては、厚さ2.0mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)の2箇所に配置されている。最下層の版50と最上層の版50との間隔hは、16.0m(>12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=16.0/2.0=8.0(<12.0)である。
図30においても、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図31の場合には、厚さ1.0mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)に加えて、その中間位置(版50の中心の深度が10m)の3箇所に配置されている。
最上層の版50と中間位置の版50の間隔h、或いは、中間位置の版50と最下層の版50の間隔hは、8.5m(<12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=8.5/1.0=8.5(<12.0)である。
図31では、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在しない。従って、140ガルの地震が発生しても、図31で示す条件であれば、液状化を防止することが出来る。
図32の場合には、厚さ0.75mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)に加えて、その中間位置(深度9.50m〜10.25m)の3箇所に配置されている。
最上層の版50と中間位置の版50の間隔hは8.75m(<12.0m)、中間位置の版50と最下層の版50の間隔hは、9.0m(<12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=9.0/0.75=12.0、或いは、
h/t=8.75/0.75=11.7(<12.0)である。
図32でも、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在しない。従って、図32の条件であれば、140ガルの地震に対して、液状化が防止出来る。
図33においては、厚さ0.5mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)に加えて、その中間位置(深度9.75m〜10.25m)の3箇所に配置されている。
最上層の版50と中間位置の版50の間隔h、或いは、中間位置の版50と最下層の版50の間隔hは、9.25m(<12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=9.25/0.5=18.5(>12.0)である。
図33では、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図34の場合には、厚さ1.0mの版50が、地表部分と、深度13.0m〜14.0mの領域の2箇所に配置されている。上方の版(地表部分の版)と下方の版(深度13.0m〜14.0mの領域の版)との間隔hは12.0m(=12.0m)である。
そして、下方の版50の下方(深度14.0m)から、改良体40の最下端までの距離は、6.0mである。すなわち、下方の版50(最下方に位置する版)と改良体40の最下端の間隔6.0mは、上方の版と下方の版(垂直方向に隣接する版)の間隔12.0mの1/2となっている。
さらに、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=12.0/1.0=12.0である。
ここで、深度20m以下の領域には液状化は生じないので、液状化防止を考慮するに際しては、深度20mの過剰間隙水圧比は考慮する必要がない。
従って、図34の場合には過剰間隙水圧比が0.6を超える領域は存在せず、140ガルの地震に対して液状化を防止することが出来る。
図35の場合には、厚さ0.5mの版50が、地表部分と、深度13.0m〜13.5mの領域の2箇所に配置されている。上方の版(地表部分の版)と下方の版(深度13.0m〜13.5mの領域の版)との間隔hは12.5m(>12.0m)である。
また、図35の場合には、下方の版50の下方(深度13.5m)から、改良体40の最下端までの距離を、6.25mとしている。そして、図35においても、下方の版50(最下方に位置する版)と改良体40の最下端の間隔6.25mは、上方の版と下方の版(垂直方向に隣接する版)の間隔12.5mの1/2となっている。
さらに、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=12.5/0.5=25.0(>12.0)である。
従って、図35の場合には、140ガルの地震が発生した場合の液状化防止には、不適当である。
また、液状化を防止するべき領域G全体に対して、地盤改良を施すべき部分は40%(改良率)程度で足りる。そのため、図示の実施形態によれば、液状化を防止するべき領域G全体を改良する場合に比較して、固化材の使用量や施工に必要な労力及びコストを大幅に低減することが出来る。
さらに、施工の際に発生するスラリー量も減少する。固化材を包含するスラリーは産業廃棄物として処理しなければならないが、その発生量が減少するため、産業廃棄物の運搬、処理等に係るコストも減少する。
2・・・ロッド
5・・・版状改良体
40・・・改良体
50・・・版
G・・・地盤
Gf・・・地表面
Claims (3)
- 液状化する恐れがない地層に到達する複数の柱状改良体を造成する工程と、垂直方向に間隔を隔てて複数の版状改良体を造成して、複数の版状改良体の集合体である版により複数の柱状改良体を結合する工程とを備え、垂直方向における版の間隔が12.0m以下であり、垂直方向における版の間隔を版の垂直方向厚さで除した数値が12.0以下であることを特徴とする液状化対策工法。
- 複数の柱状改良体の最下端に版が造成されている請求項1の液状化対策工法。
- 複数の柱状改良体の最下端に版が造成されておらず、最下方に位置する版と改良体の最下端の間隔が、垂直方向に隣接する版の間隔の1/2以下である請求項1の液状化対策工法。
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