JP2011256647A - 地盤の液状化対策工法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液状化を防止するべき領域全体を改良せずに、過剰間隙水圧比を所定値(しきい値)以下にせしめて液状化を防止することが出来る地盤の液状化対策工法の提供。
【解決手段】液状化する恐れがない地層(Gc)に到達する複数の柱状改良体(40)を造成する工程と、垂直方向に間隔を隔てて複数の版状改良体(5)を造成して複数の柱状改良体を結合する版(50)を造成する工程とを備え、垂直方向における版(50)の間隔(h)が12.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔を版(50)の垂直方向厚さ(t)で除した数値が12.0以下である。
【選択図】図10

Description

本発明は、地盤の液状化対策技術に関する。より詳細には、本発明は、軟弱な地盤中に改良体を造成して、当該軟弱な地盤が液状化することによる被害を抑制或いは防止するための液状化対策工法に関する。
飽和した砂地や埋立地の様な軟弱な地盤は、地震が起こった際に液状化してしまう。そして、当該軟弱な地盤に建造された建造物は、地盤の液状化により、基礎部分の沈下、流動、構造物の浮き上がり等の深刻な損傷や被害を受けてしまう。
係る被害を防止するために、飽和した砂地や埋立地の様な液状化地盤に対して地盤改良を施し、安定した地層(非液状化層:例えば粘土層)に到達するか、或いは、根入れされた強固な改良体を造成して、当該液状化地盤の被害を防止している。
改良体を造成するに際しては、例えば、改良体を造成するべき領域において、固化材と原位置土(改良対象の地盤)とを混合、攪拌して、固化している。
ここで、液状化を防止するべき地盤の全領域を地盤改良するのでは、大量の固化材を使用しなければならず、施工に際しては大量の余剰固化材を発生してしまう。
そのため本出願人は、液状化を防止するべき地盤全体を改良するのではなく、その一部のみを改良領域とせしめ、隣接する柱状改良体を接合するように硬化材を噴射する技術を提案した(特許文献1参照)。
係る技術によれば、改良範囲の液状化を確実に防止することが出来ると共に、硬化材の使用量及び余剰固化材発生量を減少することが出来る。
ここで、地盤が液状化するか否かについては、当該地盤における過剰間隙水圧比で判断する。そして、過剰間隙水圧比が所定値(しきい値:0.6)(詳細は後述する)以下であれば、地盤は液状化しない。
しかし、上述した従来技術では、柱状改良体同士を接合する相対的な位置関係をどの様に設定すれば、過剰間隙水圧比が所定値以下となるのかについては、言及されていない。
特開2008−144495号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、改良範囲全体を改良せずに、過剰間隙水圧比を所定値(しきい値:0.6)以下にせしめて液状化を防止することが出来る地盤の液状化対策工法を提供することを目的としている。
本発明の液状化対策工法は、液状化する恐れがない地層(非液状化層)に到達する複数の柱状改良体(40)を造成する工程(図1〜図3)と、垂直方向に間隔を隔てて複数の版状改良体(5)を造成して(図4、図5)、複数の版状改良体(40)の集合体である版(50)により複数の柱状改良体(40)を結合する工程とを備え、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が12.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が12.0以下であることを特徴としている。
ここで、液状化する恐れがない地層(非液状化層)は、次の3つの地層、すなわち、
地下水位が地表面から10m以深の深度である層、
細粒分含有率Fc=35%以上の砂層(細かい粒子の多い層)、
地表面からの深度が20m以深の層、
である。
本発明は、例えば、「比較的生じる可能性の高い中規模程度の地震」を対象とする液状化について適用可能である。ここで、「比較的生じる可能性の高い中規模程度の地震」とは、いわゆる「レベル1」の地震であり、地震動の標準加速度応答スペクトルS(gal:ガル)が、固有周期T(sec.)に対して、下表1で示す様に規定される地震である。(「道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説」第13頁〜第14頁:平成14年4月10日 改訂版第2刷発行:社団法人日本道路協会編集:参照)
表1
Figure 2011256647
本発明において、発生頻度の低いプレート境界に生じる海洋性の大規模な地震を対象とする液状化について適用する場合には、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が8.0m以下にして、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が6.0以下にするのが好ましい。
ここで、「発生頻度の低いプレート境界に生じる海洋性の大規模な地震」は、いわゆる「レベル2」の地震であり、地震動の標準加速度応答スペクトルS10(gal:ガル)が、固有周期T(sec.)に対して、下表2で示す様に規定される地震である。(「道路橋示方書(V耐震設計編)・同解説」第16頁〜第19頁:平成14年4月10日 改訂版第2刷発行:社団法人日本道路協会編集:参照)
表2
Figure 2011256647
本発明において、複数の柱状改良体(40)の最下端に版(50)が造成されているのが好ましい。
或いは、複数の柱状改良体(40)の最下端に版が造成されておらず、最下方に位置する版(最下層の版50)と改良体(40)の最下端(40b)の間隔が、垂直方向に隣接する版(50)の間隔の1/2以下であるのが好ましい。
上述した様に、地盤が液状化するか否かについては、改良対象土層(G)における過剰間隙水圧比が大きく影響するが、過剰間隙水圧比がしきい値(0.6)以下であれば、地盤の液状化による被害は深刻なものではなく、液状化しないとみなしても差し支えないと考えられる。
上述する構成を具備する本発明によれば、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が12.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が12.0以下であれば、例えば140ガル(gal)の地震が生じても、改良体からの距離が最大となる個所における過剰間隙水圧比がしきい値(0.6)以下となる。
そのため、本発明が施工された改良対象土層(G)が液状化する恐れはない。
そして、本発明において、垂直方向における版(50)の間隔(版間の距離:h)が8.0m以下であり、垂直方向における版(50)の間隔(h)を版の垂直方向厚さ(t)で除した数値(h/t:無次元量)が6.0以下であれば、例えば、400ガルの海洋型地震の様に、非常に強大な地震が発生しても、改良体からの距離が最大となる個所における過剰間隙水圧比がしきい値(0.6)以下となり、本発明が施工された改良対象土層(G)が液状化することを防止出来る。
また本発明によれば、複数の柱状改良体(40)を結合する版(50)を造成することにより、液状化を防止するべき改良対象土層(G)全体を改良する必要がなくなる。
そして、改良対象土層(G)に対して、柱状改良体(40)の体積は40%(改良率)程度で済ませることが出来る。
そのため本発明によれば、改良対象土層(G)全体を改良する場合に比較して、固化材の使用量や施工に必要な労力、コストを大幅に低減して、施工期間を短縮することが出来る。
さらに、地盤改良の際に生じる余剰固化材の量も減少する。余剰固化材は産業廃棄物として処理する必要があるので、余剰固化材の量が減少すれば、産業廃棄物処理量も減少する。
本発明の実施形態の工程図であって、柱状改良体を造成している状態を示している。 図1と同様な工程図であって、2本目の柱状改良体を造成している状態を示している。 図2と同様な工程図であって、3本目の柱状改良体を造成している状態を示している。 図1〜図3と同様な工程図であって、柱状改良体間に版状改良体を造成している状態を示している。 図4と同様な工程図であって、柱状改良体間に複数の版状改良体を造成した状態を示している。 柱状改良体と版状改良体の平面における配置を示す平面図である。 実施形態における改良体の配置の一例を示す平面図である。 実施形態における改良体の配置の一例であって、図7とは異なる配置を示す平面図である。 柱状改良体と版状改良体との立体的な位置関係の一例を模式的に示す斜視図である。 柱状改良体と版状改良体との立体的な位置関係の一例であって、図9とは異なる立体的位置関係を模式的に示す斜視図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合において、地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 図11の数値解析結果の各々について、版間の距離を版の厚さで除した数値と過剰間隙水圧比との関係をプロットした特性図である。 図11の数値解析結果の各々について、版間の距離と過剰間隙水圧比との関係をプロットした特性図である。 版間の距離を版の厚さで除した数値と過剰間隙水圧比との特性線を図12中に示した特性図である。 版間の距離と過剰間隙水圧比との特性線を図13中に示した特性図である。 柱状改良体と版が図10で示す立体的な位置関係にある場合において、地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 図16の数値解析結果の各々について、版間の距離を版の厚さで除した数値と過剰間隙水圧比との特性線を示す特性図である。 図16の数値解析結果の各々について、版間の距離と過剰間隙水圧比との特性線を示す特性図である。 図14と図17とを重ねて示す特性図である。 図15と図18とを重ねて示す特性図である。 図10の場合において、最下層の版と改良体最下端の間隔を、垂直方向について隣接する版の間隔の1/2に設定したときの過剰間隙水圧比の数値解析結果を、図9の場合における過剰間隙水圧比の数値解析結果と対比して示す図である。 図9で示す柱状改良体と版状改良体との立体的な配置の変形例を示す正面図である。 図10で示す柱状改良体と版状改良体との立体的な配置の変形例を示す正面図である。 上方の版を造成する態様であって、図1〜図5で示すのとは別の手順における工程図である。 図24に続く工程を示す工程図である。 図25に続く工程を示す工程図である。 図26に続く工程を示す工程図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合に、図11とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合に、図11及び図28とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合に、図11、図28、図29とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合に、図11、図28〜図30とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合に、図11、図28〜図31とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図9で示す立体的な位置関係にある場合に、図11、図28〜図32とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図10で示す立体的な位置関係にある場合に、図16とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。 改良体と版が図10で示す立体的な位置関係にある場合に、図16及び図34とは異なる条件で地震発生時の過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図1〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る地盤の液状化対策工法の施工手順を説明する。
図1で示す様に、地表面Gfに設置したボーリングマシン1を用いて、ボーリングマシン1のロッド2によって、柱状改良体40を、地盤Gにおける非液状化層Gcに到達或いは根入れするように造成する。
柱状改良体40は、液状化する可能性がある改良対象土層G(液状化層)を垂直方向に貫通して、非液状化層Gcに到達或いは根入れする様に造成される。
図1〜図3における符号4は、造成途中の柱状改良体を示している。
改良体40の造成に際しては、公知の方法、例えば、垂直方向に延在するボーリング孔を掘削し、掘削されたボーリング孔内に噴射装置を有するロッド2を挿入し、噴射装置から固化材(硬化材)を噴射して液状化を防止するべき土壌(原位置土)を切削しつつ、固化材と原位置土とを混合・攪拌して、噴射装置を回転しつつ、地上側に引き上げる工法が用いられる。
ただし、噴射装置を有するロッド2を回転して、固化材と原位置土とを混合・攪拌しつつ、ボーリング孔内を地上側から地下側に押し下げて、改良体を造成することも可能である。
次に、図2、図3で示す様に、所定間隔を隔てて、図1と同様な態様にて、複数の改良体40を造成する。
改良体40の平面上の造成個所については、図6〜図8を参照して後述する。
複数の改良体40を造成したならば、図4で示す様に、隣接する改良体40の間の領域に、垂直方向寸法の小さい(厚さの薄い)版状改良体5を造成する。
版状改良体5の造成に際しても、ボーリングマシン1を用いて、改良体40の造成と同様な態様で行う。
ただし、図1〜図3で示す改良体40の造成とは異なり、版状改良体5の造成に際しては、図4、図5で示す様に、同一の水平方向位置において、垂直方向に間隔を隔てて断続的に、複数の版状改良体5を造成している。そして、垂直方向に断続的に造成された複数の版状改良体5の各々において、水平方向に隔てた位置にある複数の版状改良体5(図5では、水平方向について隣接する版状改良体5)同士の垂直方向位置は等しい。
図5において、符号hは上下方向に隣接する版状改良体5間の面々の間隔(垂直方向距離)を示し、符号tは版状改良体5の厚みを示す。
上下方向に隣接する版状改良体5の間隔「h」と版状改良体5の厚み「t」との関係については後述する。
明確には図示されてはいないが、図1〜図5を参照して説明した液状化対策工法の実施に際しては、図1で示す段階よりも以前の段階、或いは、全ての改良体40と版状改良体5(或いは、版状改良体5の集合体である版50)を造成した後に、施工領域或いは改良対象地層Gを包囲するように、壁状の改良体(図示せず)で包囲することが出来る。
壁状の改良体(図示せず)で施工領域を包囲すれば、過剰間隙水圧比が図示しない壁状改良体の外側の領域まで伝播してしまうことが防止される。
図6において、改良体40と版状改良体5の平面状の配置が示されている。
ここで、図6で示す版状改良体5は、実際には、図5で示す様に垂直方向に複数の版状改良体5が断続的に配置されている。換言すれば、図6における版状改良体は、図6の紙面に垂直な方向については、間隔を隔てて(地中G内に)複数存在している。
図6で示す様に、改良体40の周辺には複数の版状改良体5が隙間無く造成されている。そして、図5に関連して説明した通り、水平方向に隔てた位置にある複数の版状改良体5(水平方向について隣接する版状改良体5)同士の垂直方向位置は等しいので、改良体40間の隙間となる領域全体に版状改良体5が造成される。
ここで、本明細書においては、改良体40間の隙間となる領域の全体に造成された複数の版状改良体5の集合体を、包括的に「版」50と表記している。換言すれば、改良体40の隙間となる領域全体には、垂直方向に間隔を隔てて、断続的に、版50が造成されている。
そして、係る版50により、改良体全体が結合された構造となっている(後述の図9、図10参照)。
なお、液状化対策工法を施工するべき地盤Gにおける改良体40の平面における配置として、例えば、図7で示すように、改良体40の周囲において版状改良体5を隙間なく配置する場合と、図8で示すように、版状改良体5間に隙間を設けて改良体40の周囲に配置する場合が存在する。
図7及び図8の例では、施工領域全体に対して、改良体40が占める割合(改良率)は40%程度ある。
すなわち、図示の実施形態によれば、液状化を防止するべき領域全体を改良する場合に比較して、60%程度の領域を改良せずに済み、その分だけ、固化材の使用量や各種コストが低減する。
図9及び図10は、図示の実施形態における改良体40と版50との立体的な位置関係を模式的に示している。
図9で示すタイプも図10で示すタイプも、複数の改良体40は、その最上部(地上側端部)において版50(図7の「全面タイプ」)により接合されている。
改良体40の最下端は、非液状化層(図示を省略)に到達しており、図9で示すタイプは、複数の改良体40の最下端が版50により接合されている。そして、最下端の版50の全体が、安定した領域と接触している。なお、改良体40の最下端は、安定した領域に接触していても良いし、安定した領域内に侵入していても良い。
一方、図10で示すタイプでは、複数の改良体40は、その最下端において、安定した領域と接触している。ただし、複数の改良体40同士は、最下端よりも上方の領域で、版50により接合されている。
図9及び図10では、垂直方向における版50の造成個所は2箇所であるが、これに限定されるものではない。
換言すれば、図9で示すタイプも、図10で示すタイプも、垂直方向における版50の造成個所(或いは、複数の改良体40同士の接合箇所)を、3箇所以上に設定しても良い。
図9及び図10では、改良体40は上方の版50に接続しており、上方の版50よりも上方には延在していない。
しかし、図22及び図23で示すように、改良体40の上端部40Uが上方の版50−1の上方に突出していても良い。
ここで、図22は図9のタイプに対応しており、改良体40の下端部は下方の版50の下側に突出してはいない。
一方、図23は図10のタイプに対応しており、改良体40の下端部40−2が下方の版50の下側に突出している。
図22、図23で示す様に、改良体40の上端部40Uが上方の版50−1の上方に突出する様に配置する態様であれば、表層部を改良出来ない様な現場で施工する場合に有効である。
一方、図9及び図10で示す様に、最上方の版50における上面50Uが地表面Gfと概略面一になる様に配置される場合には、最上方の版50については、図24〜図27で示す様に表層改良によって造成することが可能である。
表層改良によって最上方の版50を造成するに際しても、図24で示す様に、ボーリングマシン1とロッド2を用いて、柱状改良体40を造成する。ここで、複数の改良体40を造成するために、ボーリングマシン1及びロッド2はガイド部材60上を移動可能に構成されている。そして、ガイド部材60は、H鋼の様な構造部材で構成されたスペーサ62により、地表面Gfから離隔して設けられている。
図24において、図1〜図5で説明した態様で改良体40と版状改良体5が造成されるが、改良体40は地表面Gfまでは造成されず、地表面Gfから距離dIだけ下方の位置よりも下方の領域だけ造成される。換言すれば、図24において、地表面Gfから符号dIで示す深度までの領域には、改良体40は造成されない。
改良部40の造成後、図24における地表面Gfから深さdIの領域は、図25で示す様に掘削されて、そこに存在する土壌が除去される。
図25において、掘削により形成された地表面近傍の空間は、符号Agで示されている。そして、図25において、除去された土壌が点線で示されている。
図26で示す工程では、図25の工程で掘削して土壌を除去した空間Agに、セメントミルク等の固化材を混合したスラリーSを供給する。
供給されたスラリーSが硬化すれば、図27で示すように、上方の版50−1が造成される。ここで、上方の版50−1の上面50Uは、地表面Gfと概略面一である。
ここで、地表面Gfから距離dIの領域に残存する土壌を掘削し、掘削により形成された空間Agに固化材を混合したスラリーSを充填することに代えて、図24における地表面Gfから距離dIの領域において、当該領域に対して、いわゆる「表層改良」を施工することが可能である(図示せず)。
すなわち、固化材の噴流を水平方向に噴射しつつ当該噴流を回転して、図24における地表面Gfから距離dIの領域の土壌を切削して、固化材と混合攪拌することにより、図27で示す様な上方の版50−1を造成することも可能である。
上述した以外にも、上方の版50−1を造成する技術は、多々存在する。すなわち、上方の版50−1を造成する態様は、上述した態様に限定されるものではない。
ここで、地盤Gの液状化を防止するためには、液状化対策を施された地盤において、過剰間隙水圧比がしきい値を超えないことが必要とされる。
後述のように、過剰間隙水圧比が0.6以下であれば、液状化の恐れはない、と考えられる。換言すれば、地盤Gにおける過剰間隙水圧比がしきい値である0.6を上回る場合には当該地盤Gが液状化する恐れがあり、0.6以下であれば液状化の恐れがないと考えられる。
ここで、過剰間隙水圧比は、次式により定義される。
過剰間隙水圧比=過剰間隙水圧/地震前の鉛直有効応力
ここで、「過剰間隙水圧」は、地震動によって上昇した水圧を意味している。地震前の地下水による水圧のことではない。
また、「地震前の鉛直有効応力」は、地震前の土粒子間に作用する応力を意味している。粒子間の力であるため、水圧は含まない。
ここで、過剰間隙水圧比のしきい値「0.6」については、次のようにして定められる。
すなわち、液状化で歪が発生するのは、過剰間隙水圧比が0.8程度であることは、従来から当業者には知られている。係る数値(0.8)を安全側に余裕を持たせた数値である0.6を、液状化が発生しないためのしきい値として設定した。
発明者は、図9で示す様なタイプ(改良体40の最下端が版50により接合されているタイプ)及び図10で示す様なタイプ(改良体40の最下端が版により接合されていないタイプ:最下方の版50が改良体40の最下端よりも上方を接合しているタイプ)の双方について、数値解析を行い、版50を造成する条件を種々変更して、過剰間隙水圧比がしきい値を超えないために必要な条件について検討した。
以下において、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えないためには、どのような条件で版を造成するべきかについて説明する。
最初に図11〜図15を参照して、図9で示すタイプにおいて、過剰間隙水圧比がしきい値を超えないために必要な条件について、検証する。
図11は、図9で示すタイプにおいて、400ガルの海洋型地震(発生頻度の低いプレート境界に生じる海洋性の大規模な地震の1例)が発生した場合において、改良体周辺の土壌における過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示している。
図11では、液状化層の垂直方向厚さが比較的薄い場合(液状化層の垂直方向厚さが10mの場合)と、液状化層の垂直方向厚さが比較的厚い場合(液状化層の垂直方向厚さが20mの場合)に大別して示している。
図11において、「千鳥」と記載されているものと「柱列」と記載されているものとは、改良体40の平面的な配置が異なっている。
各数値解析の結果において、例えば「1.0m×3枚」と記載されているのは、垂直方向の厚さ寸法が1mの版50が、垂直方向に間隔を空けて3箇所(改良体の最上端と、最下端と、その間の何れかの位置)に配置されて、複数の改良体40を接合していることを示している。
「Pex1」は過剰間隙水圧比を示し、「h」は垂直方向における版の間隔(単位はm)を示している。
また、「h/t」は、垂直方向における版の間隔「h」を、版の垂直方向厚さ「t」で除した数値(無次元量)を示している(「h」、「t」については図5を参照)。
各数値解析の結果において、「◎」は過剰間隙水圧比が0.6以下であることを示し、「△」は過剰間隙水圧比が0.6よりも大きくて0.8以下であることを示し、「×」は過剰間隙水圧比が0.8よりも大きいことを示している。
そして、各数値解析において、図11の「凡例」で示すように、改良体40は細かい点による薄いハッチングを付して示されており、白い部分は過剰間隙水圧比が0.6以下の領域を示し、横方向の線によるハッチング部分は過剰間隙水圧比が0.6よりも大きくて0.8以下である領域を示しており、黒い部分は過剰間隙水圧比が0.8よりも大きくて1.0以下である領域を示している。
図11で示す数値解析の結果を定量的に表現したものが、図12、図13である。
図12は、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図11の数値解析結果の各々をプロットしている。なお、図12及び図14では、「h/t」を「未改良部一箇所あたりの厚さh/一枚あたりの厚さt」と表現している。
一方、図13では、版50の間隔(版間の距離)「h」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図11の数値解析結果の各々をプロットしている。なお、図13及び図15では、「h」を「未改良部一箇所あたりの厚さh」と表現している。
なお、図12〜図15において、「下端に版を設置した場合」と記載されているのは、図12〜図15は図9で示すタイプの位置関係であることを示している。
図14では、図12のプロットから求めた「h/t」と過剰間隙水圧比との特性線を示している。これにより、「h/t」と過剰間隙水圧比との関係が、特性線という態様で、視覚的に且つ定量的に表現される。
ここで、発明者による各種の解析及び研究によれば、液状化対策の良否を判定する過剰間隙水圧比のしきい値としては、0.6が適当であることが分った。
図14において、縦軸の過剰間隙水圧比が0.6であれば、横軸の「h/t」(図14では「未改良部一箇所あたりの厚さh/一枚あたりの厚さt」)は6.0(無次元量)となる。
図11の数値解析結果及び図12、図14から、図9で示すタイプにおいては、垂直方向における版の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」は、6.0以下となるべきことが判明した。
同様に、図15では、図13のプロットから求めた「h」と過剰間隙水圧比との特性線を示している。これによって、「h」と過剰間隙水圧比との関係が、特性線という態様で、視覚的に且つ定量的に表現される。
図15において、縦軸の過剰間隙水圧比が0.6であれば、横軸の「h」(図15では「未改良部一箇所あたりの厚さh」)は8.0(m)となる。
図11の数値解析結果及び図13、図15から、図9で示すタイプにおいては、垂直方向における版の間隔(版間の距離)「h」は、8.0m以下となるべきことが判明した。
次に、図16〜図21を参照して、図10で示すタイプ(改良体40の最下端は版50により接合されていないタイプ)において、過剰間隙水圧比がしきい値を超えないために必要な条件について、説明する。
図16は、図10で示すタイプにおいて、400ガル〜600ガルの地震が発生した場合において、改良体40周辺の土壌における過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示している。
図16における数値解析結果の区画の態様、各種表示については、図11に関して上述したのと同様である。
図16で示す数値解析の結果を図17、図18で定量的に表現している。
そして、図16〜図18において、「下端に版を設置しない場合」と記載されているのは、図16〜図18は図10で示すタイプの位置関係であることを示している。
図17では、図12と同様に、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図16の数値解析結果の各々をプロットしている。そして、係るプロットから求めた「h/t」と過剰間隙水圧比との特性線を示している。これにより、「h/t」と過剰間隙水圧比との関係が、特性線という態様で、視覚的に且つ定量的に表現される。図17は、図14と同様な図面である。なお、図17でも、「h/t」を「未改良部一箇所あたりの厚さh/一枚あたりの厚さt」と表現している。
図18では、図13と同様に、版50の間隔(版間の距離)「h」を横軸に示し、過剰間隙水圧比を縦軸に示して、図16の数値解析結果の各々をプロットしている。そして、係るプロットから求めた「h」と過剰間隙水圧比との特性線を示している。これによって、「h」と過剰間隙水圧比との関係が、特性線という態様で、視覚的に且つ定量的に表現される。図18は、図15と同様な図面である。
図17と図14とを重ね合わせた図19において、図17で示す特性線と図14で示す特性線とを比較すると、図17の特性線における傾きは、図14の特性線における傾きの2倍となっている。
同様に、図18と図15とを重ね合わせた図20において、図18で示す特性線と図15で示す特性線とを比較すると、図18の特性線における傾きは、図15の特性線における傾きの2倍となっている。
すなわち、「h/t」が同一であれば、図10で示すタイプ(図16〜図18)は、図9で示すタイプ(図11〜図15)に比較して、過剰間隙水圧比が2倍になる。
そして、「h」が同一であれば、図10で示すタイプ(図16〜図18)は、図9で示すタイプ(図11〜図15)に比較して、過剰間隙水圧比が2倍になる。
そして、図10で示すタイプにおいて、最下層の版50と改良体40最下端の間隔を、垂直方向について隣接する版50の間隔の1/2に設定すれば、版間の距離を版の厚さで除した数値と過剰間隙水圧比との特性線(図17参照)における傾きが2倍となり、図17の特性線と図14の特性線が一致する。同様に、図18の特性線における傾きも2倍となり、図15の特性線と一致する。
また、図10で示す改良体40と版50との位置関係(改良体40の下端部には版50が存在しないタイプ)において、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(垂直方向距離)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(垂直方向距離)の1/2に設定すれば、改良体40の歪も1/2となり、最下層の版50と改良体40最下端の間の領域における過剰間隙水圧比も1/2になる。そして、図16を参照すれば、改良体40における歪が最大となり、過剰間隙水圧比が最大となるのは、改良体40の最下端である。換言すれば、最下層の版50と改良体40下端部との間の領域において、過剰間隙水圧比が最大になる。
上述の内容から、図10で示す改良体40と版50との位置関係(改良体40の下端部には版50が存在しないタイプ)において、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(垂直方向距離)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(垂直方向距離)の1/2に設定すれば、過剰間隙水圧比の最大値に関しては、図9で示すタイプと同様となる事が推定される。
また、図21で示すように、図10で示すタイプにおいて、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(垂直方向距離)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(垂直方向距離)の約1/2に設定した場合について、過剰間隙水圧比について数値解析を行った結果は、図9で示すタイプの過剰間隙水圧比の数値解析の結果よりも良好である。
図21(1)は、図9で示すタイプにおける数値解析の結果を示している。図21(1)では、改良体の最上端、中央部、最下端の3箇所に、それぞれ厚さ1.5mの版を設置して、垂直方向(図21では上下方向)における版の間隔を7.75mに設定している。
一方、図21(2)は、図10で示すタイプにおける数値解析の結果を示している。図21(2)においても、改良体の最上端を含む3箇所に、それぞれ厚さ1.5mの版を設置している。図21(2)においては、最下方の版から改良体の最下端までは3.0mであり、垂直方向に隣接する版の間隔は5.75mとなっている。ここで、図21(2)の数値解析では、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(3.0m)は、垂直方向について隣接する版50の間隔(5.75m)の1/2(2.875m)よりも大きいが、1/2に近い数値である。
図21(2)と図21(1)は、版の間隔が相違するので単純に比較検討することは出来ないが、過剰間隙水圧比が0.6以上となる領域(横方向のハッチングを付した領域、及び、黒く塗りつぶされた領域)の面積は、図21(2)の方が明らかに少ない。
ここで、図21(2)の数値解析結果では、改良体40の最下端の領域に黒く塗りつぶされた部分が存在し、その他の領域には黒く塗りつぶされた部分は存在しない。すなわち、図21(2)の数値解析結果では、改良体40の最下端の領域の過剰間隙水圧比が最も高くなっている。
そして、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(図21(2)では3.0m)を短くすれば、改良体40の最下端における歪は小さくなり、最下層の版50と改良体40最下端の間の領域における過剰間隙水圧比も小さくなる。従って、図21(2)において、最下層の版50と改良体40最下端の間隔(図21(2)では3.0m)を、垂直方向について隣接する版50の間隔(5.75m)の1/2(=2.875m)にすれば、改良体40の最下端の領域の過剰間隙水圧比は小さくなり、過剰間隙水圧比が0.6以上となる領域の面積が減少することが予想される。
なお、図16において、改良体40の歪が最大となり、過剰間隙水圧比が最大となるのは、最下方の版50から改良体40下端までの領域であり、それよりも上方の領域においては、図11における数値解析の結果と同様である。
すなわち、最下層の版50よりも上方の領域においては、図11で示す数値解析の結果と、図16で示す数値解析の結果とは、過剰間隙水圧比については有意な相違は存在しない。
以上述べた理由により、図10で示すタイプにおいて、最下層の版50と改良体40最下端の間隔を、垂直方向について隣接する版50の間隔の1/2に設定すれば、過剰間隙水圧比については、図9で示すタイプと同様な(あるいは、より良好な)態様となる。
そのため、図10で示すタイプにおいても、図11〜図15を参照して前述した結果より、過剰間隙水圧比を0.6以下にするためには、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」を版の垂直方向厚さ「t」で除した数値「h/t」は、6.0以下とするべきである。
そして、最下層の版50と改良体40最下端の間隔を、垂直方向について隣接する版の間隔の1/2に設定すれば、過剰間隙水圧比を0.6以下にするためには、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」は、8.0m以下にするべきである。
なお、図10で示すタイプにおいて、最下層の版50と改良体40最下端の間隔を、垂直方向について隣接する版50の間隔の1/2より小さければ、改良体40最下端における歪が小さくなり、過剰間隙水圧比が小さくなる。
従って、最下層の版50と改良体40最下端の間隔が隣接する版50の間隔の1/2より小さい場合であっても、「h/t」が6.0以下で、且つ、垂直方向における版50の間隔(版間の距離)「h」は、8.0m以下であれば、過剰間隙水圧比がしきい値である0.6以下になることは明らかである。
図11〜図21では、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えない様に版を造成する条件については、400ガルの海洋型地震が発生した場合を想定して、改良体周辺の土壌における過剰間隙水圧比を数値解析している。ここで、「400ガルの海洋型地震」というのは、非常に深刻な災害をもたらすレベルの地震である。
出願人は、より現実的なレベルの地震として、140ガルの地震(比較的生じる可能性の高い中規模程度の地震の1例)が発生した場合を想定して、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えない様に版を造成する条件についても、解析した。
図28〜図35を参照して、140ガルの地震が発生した場合に、過剰間隙水圧比がしきい値(=0.6)を超えない条件について、説明する。
図28は、改良体40と版50が図9で示す立体的な位置関係にある場合(底版が存在する場合)に、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析した結果を示している。
ここで、図28において、厚さ1.0mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)の2箇所に配置されている。最下層の版50と最上層の版50との間隔hが18.0m(>12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=18.0/1.0=18.0(>12.0)である。
図28〜図35において、過剰間隙水圧比のしきい値0.6は、一点鎖線で示されている。
図28の場合には、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図29も、改良体40と版50が図9で示す立体的な位置関係にある場合(底版が存在する場合)に、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図29の場合には、厚さ1.5mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)の2箇所に配置されている。最下層の版50と最上層の版50との間隔hが17.0m(>12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=17.0/1.5=11.3(<12.0)である。
図29においても、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図30も、図28、図29と同様に、改良体40と版50が図9で示す立体的な位置関係にある。そして、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図30においては、厚さ2.0mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)の2箇所に配置されている。最下層の版50と最上層の版50との間隔hは、16.0m(>12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=16.0/2.0=8.0(<12.0)である。
図30においても、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図31も、図28〜図30と同様に、改良体40と版50が図9で示す立体的な位置関係にある。そして、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図31の場合には、厚さ1.0mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)に加えて、その中間位置(版50の中心の深度が10m)の3箇所に配置されている。
最上層の版50と中間位置の版50の間隔h、或いは、中間位置の版50と最下層の版50の間隔hは、8.5m(<12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=8.5/1.0=8.5(<12.0)である。
図31では、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在しない。従って、140ガルの地震が発生しても、図31で示す条件であれば、液状化を防止することが出来る。
図32も、図28〜図31と同様に、改良体40と版50が図9で示す立体的な位置関係にある場合において、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図32の場合には、厚さ0.75mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)に加えて、その中間位置(深度9.50m〜10.25m)の3箇所に配置されている。
最上層の版50と中間位置の版50の間隔hは8.75m(<12.0m)、中間位置の版50と最下層の版50の間隔hは、9.0m(<12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=9.0/0.75=12.0、或いは、
h/t=8.75/0.75=11.7(<12.0)である。
図32でも、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在しない。従って、図32の条件であれば、140ガルの地震に対して、液状化が防止出来る。
図33も、図28〜図32と同様に、改良体40と版50が図9で示す立体的な位置関係にある。そして、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図33においては、厚さ0.5mの版50が、地表部分と最深部(版50の下方の深度が20m)に加えて、その中間位置(深度9.75m〜10.25m)の3箇所に配置されている。
最上層の版50と中間位置の版50の間隔h、或いは、中間位置の版50と最下層の版50の間隔hは、9.25m(<12.0m)である。そして、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=9.25/0.5=18.5(>12.0)である。
図33では、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域が存在するので、140ガルの地震に対する液状化の防止には、不適当である。
図34は、改良体40と版50が図10で示す立体的な位置関係にある場合(底版が存在しない場合)に、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図34の場合には、厚さ1.0mの版50が、地表部分と、深度13.0m〜14.0mの領域の2箇所に配置されている。上方の版(地表部分の版)と下方の版(深度13.0m〜14.0mの領域の版)との間隔hは12.0m(=12.0m)である。
そして、下方の版50の下方(深度14.0m)から、改良体40の最下端までの距離は、6.0mである。すなわち、下方の版50(最下方に位置する版)と改良体40の最下端の間隔6.0mは、上方の版と下方の版(垂直方向に隣接する版)の間隔12.0mの1/2となっている。
さらに、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=12.0/1.0=12.0である。
図34においても、深度20mの部分を除くと、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超える領域は存在しない。
ここで、深度20m以下の領域には液状化は生じないので、液状化防止を考慮するに際しては、深度20mの過剰間隙水圧比は考慮する必要がない。
従って、図34の場合には過剰間隙水圧比が0.6を超える領域は存在せず、140ガルの地震に対して液状化を防止することが出来る。
図35も、図34と同様に、改良体40と版50が図10で示す立体的な位置関係にある。そして、140ガルの地震が発生したという条件で、過剰間隙水圧比を数値解析している。
図35の場合には、厚さ0.5mの版50が、地表部分と、深度13.0m〜13.5mの領域の2箇所に配置されている。上方の版(地表部分の版)と下方の版(深度13.0m〜13.5mの領域の版)との間隔hは12.5m(>12.0m)である。
また、図35の場合には、下方の版50の下方(深度13.5m)から、改良体40の最下端までの距離を、6.25mとしている。そして、図35においても、下方の版50(最下方に位置する版)と改良体40の最下端の間隔6.25mは、上方の版と下方の版(垂直方向に隣接する版)の間隔12.5mの1/2となっている。
さらに、垂直方向における版の間隔hを版の垂直方向厚さで除した数値(h/t)は、
h/t=12.5/0.5=25.0(>12.0)である。
図35においても、上述した様に深度20mの部分を除いても、大部分の領域において、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超えている。
従って、図35の場合には、140ガルの地震が発生した場合の液状化防止には、不適当である。
図28〜図35の解析結果より、140ガルの地震が発生した場合については、過剰間隙水圧比がしきい値0.6を超えない様にするために、垂直方向における版50の間隔hが12.0m以下であり、且つ、版50の間隔hを版の垂直方向厚さtで除した数値h/tが12.0以下でなければならないことが確認された。
図示の実施形態によれば、過剰間隙水圧比がしきい値である0.6以下となるので、施工された領域Gが液状化する恐れはない。
また、液状化を防止するべき領域G全体に対して、地盤改良を施すべき部分は40%(改良率)程度で足りる。そのため、図示の実施形態によれば、液状化を防止するべき領域G全体を改良する場合に比較して、固化材の使用量や施工に必要な労力及びコストを大幅に低減することが出来る。
さらに、施工の際に発生するスラリー量も減少する。固化材を包含するスラリーは産業廃棄物として処理しなければならないが、その発生量が減少するため、産業廃棄物の運搬、処理等に係るコストも減少する。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
1・・・ボーリングマシン
2・・・ロッド
5・・・版状改良体
40・・・改良体
50・・・版
G・・・地盤
Gf・・・地表面

Claims (3)

  1. 液状化する恐れがない地層に到達する複数の柱状改良体を造成する工程と、垂直方向に間隔を隔てて複数の版状改良体を造成して、複数の版状改良体の集合体である版により複数の柱状改良体を結合する工程とを備え、垂直方向における版の間隔が12.0m以下であり、垂直方向における版の間隔を版の垂直方向厚さで除した数値が12.0以下であることを特徴とする液状化対策工法。
  2. 複数の柱状改良体の最下端に版が造成されている請求項1の液状化対策工法。
  3. 複数の柱状改良体の最下端に版が造成されておらず、最下方に位置する版と改良体の最下端の間隔が、垂直方向に隣接する版の間隔の1/2以下である請求項1の液状化対策工法。
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