JP2011255389A - 金属材料の接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】接合部材を用いることなく炉中での良好な接合性と、接合による変形が殆どない、高い信頼性を得られる新規な接合方法を提供する。
【解決手段】金属材料を一方の被接合部材とし、同一もしくは異なる種類の金属材料のいずれかを他方の被接合部材として、前記一方の被接合部材と他方の被接合部材とを接合する方法において、前記一方の被接合部材である金属材料の全質量に対する当該金属材料内に生成する液相の質量の比が0%を超え35%以下となる温度で接合することを特徴とする金属の接合方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属材料を一方の被接合部材とし、同一もしくは異なる種類の金属材料を他方の被接合部材として、両被接合部材を接合する方法に関する。
金属製の部材の接合方法には、従来から様々な方法が採用されている。非特許文献1には、金属の接合方法が材質的接合法、化学的接合法及び機械的接合法に大きく分類されている。
材質的接合法は、被接合部材同士を金属結合によって強固に接合するものである。適切に行なうことにより、接合部の信頼性を高くすることができる。具体的には、溶融させて接合する溶接法;拡散接合法、摩擦接合法、圧接法などの固相接合法;ろう接などの液相−固相反応接合法;などに分類される。材質的接合法は、前述の通り金属結合によって強固な接合を実現するものである。なかでも液相−固相反応接合法であるろう接は、炉中で被接合部材全体を加熱して接合を行うので、同時に多点の接合が可能である。このような利点を活かしたろう接は、自動車用熱交換器やヒートシンクなど接合箇所が多く狭い間隔で接合される製品の接合に多く適用されている。
化学的接合法は、いわゆる接着剤を用いた接合方法である。材質的接合法とは異なり、高温で接合する必要がなく、被接合部材自体の変形が生じないという利点がある。しかしながら、金属結合のような強固な接合が得られないので、接合部の信頼性や熱伝導性が材質的接合法と比べて劣るという欠点がある。
機械的接合法には、リベットやボルト締めなどが挙げられる。材質的接合法や化学的接合法に比べて、比較的簡単に接合ができる。また、材質的接合法と同等以上の接合強度が得られ、方法によっては接合のやり直しが容易である。しかしながら、接合部の形状が限定されること、密閉性を必要とする接合には不適であることなどの欠点がある。
金属材料の接合には、従来から溶接法、ハンダ付け法、ろう付法等の材質的接合法が用いられてきた。
溶接法は、接合部を電気又は炎により加熱して溶融、合金化して接合を成すものである。接合部の隙間が大きい場合や接合強度が必要な場合は、接合時に溶加材を同時に溶融させて隙間を充填する。このように、接合部が溶融するため確実な接合がなされる。一方で、接合部を溶融して接合するため、接合部近傍の形状が大きく変形し、金属組織も局所的に大きく変化して別組織となり局所的な脆弱化が生じることがある。また、接合部のみを局所的に加熱していく必要があるために、同時に多点を接合するのが困難となるなどの問題もある。
ハンダ付け法やろう付法では、被接合部材よりも融点の低いハンダ材やろう材を用いて、電気又は炎により加熱することで、これらハンダ材やろう材のみを溶融させて接合部の隙間を充填することにより接合を成すものである。点状や線状の接続部の接合に有利であり、ハンダ材やろう材は接合凝固時にフィレットと称する形状を成すことにより強度や熱伝導性などの面で非常に高い信頼性が得られる。また、母材を溶融させることなく短時間で強固な接合を得ることができる。特にアルミニウム合金のろう付けでは、ノコロックろう付法や真空ろう付法など炉中ろう付法が行われ、ろう材と被接合部材であるアルミニウム合金材をクラッドしたブレージングシートを用いることを特徴とする。ブレージングシートをプレス加工し、中空構造を有する積層型熱交換器を組み立て、炉中で加熱することにより接合箇所が多く複雑な形状を有する熱交換器を製造することができる。一方で、ろう付やはんだ付では液相が流動するため、微細な流路などがろうで埋められてしまうこともあった。また、ブレージングシートを用いることによって接合部にろうを容易に均一供給できる利点がある一方で、ブレージングシートの製造が複雑であることから、コストダウンや調達性の改善が求められる。更に、接合面側での切削などの加工の自由度が損なわれるなどの問題もある。
拡散接合法や摩擦接合法等の固相接合法は、原則として被接合部材の溶融を伴わない接合方法である。
拡散接合法は、母材同士を密着させ、基本的に母材の融点以下で塑性変形を生じない程度に加圧し、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合を成すものである。この接合方法では、被接合部材の変形を伴わずに同時に多点の接合や面接合が可能である。従って、微細な形状を有する被接合部材の接合が可能である。しかしながら、拡散現象を利用するために、溶接やろう付などと比べて接合に長時間を要する。通常、30分程度からそれ以上の時間、所定温度での保持が必要となる。また、接合に加圧が必要であるため、接合操作の煩雑化やコスト増加が避けられない。更に、金属材料によっては、その表面に安定で強固な酸化皮膜が存在しこれによって拡散が阻害されるために、固相拡散接合の適用が難しくなる場合もある。その場合、接合面の酸化皮膜を除去するための特殊な清浄化処理が必要となり、アルゴンイオン衝撃、グロー放電、超音波付与など特殊な工程を要するなどの問題がある。
摩擦接合法のなかで摩擦攪拌接合法は、様々な種類の金属材料に適用可能である。母材の溶融を伴わないために、接合による被接合部材の変形が少ないという利点がある。一方で、接合部の形状が直線や緩曲線に限定され、複雑な形状の接合が困難である。また、接合ツールを接合部に直接接触させるために、微細な形状の接合が困難であると共に、同時に多点を接合することも困難である。また、この接合方法では、接合終端部に接合ピンの痕が残るのを避けられない。更に、接合部において被接合部材が攪拌されるので、母材とは異なる組織を呈することにより接合強度が低下する場合もある。
以上のように、金属材料を材質接合法によって接合する場合は、被接合部材を溶融させない、又は接合部近辺のみ局所的に溶融させる接合方法が一般的に採用されている。被接合部材が全体で溶融すると、形状が保たれず所望の形状が得られないためである。しかしながら、実用的な速度で接合を確実に行うためには、溶融される部分が必要であり、その部分の変形を回避することはできなかった。そのため、接合後の寸法変化や強度変化を想定して、部材の設計、組立を行わなければならない問題がある。
一方で、金属部材の全体を半溶融状態として行う接合方法も提案されている。特許文献1には、合金粉末の半溶融を利用した接合方法が提案されている。この接合方法では、被接合部材である合金粉末はその全体が半溶融状態となるためその形状変形が著しく、形状変形を抑制したい部材の接合には適さない。また、特許文献2には、半溶融の合金母材に非金属部材を圧入して非金属部材と合金母材とを接合する方法が提案されている。しかしながら、この接合方法では所定の金型にパンチを圧接して接合するため、製品の形状が限定される。
特開2005−30513号公報 特開2003−88948号公報
溶接・接合技術データブック、p.57、溶接・接合技術データブック編集委員会(2007年)
上述のような従来技術の問題点に鑑み、本発明は、良好な接合性と、接合による変形が殆どない、信頼性の高い新規な接合方法の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、被接合部材である金属材料を加熱する際に生成する液相を利用する新規な接合方法を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は請求項1において、金属材料を一方の被接合部材とし、同一もしくは異なる種類の金属材料のいずれかを他方の被接合部材として、前記一方の被接合部材と他方の被接合部材とを接合する方法において、前記一方の被接合部材である金属材料の全質量に対する当該金属材料内に生成する液相の質量の比が0%を超え35%以下となる温度で接合することを特徴とする金属の接合方法とした。
本発明は請求項2において、前記一方の被接合部材である金属材料において、固相線温度と液相線温度の差を10℃以上とした。更に、本発明は請求項3において、前記一方の被接合部材である金属材料において、接合前に対する接合後の寸法変化を5%以下とした。また、本発明は請求項4において、前記金属材料がAl系合金、Cu系合金、Fe系合金、Ni系合金、Ti系合金、Mg系合金である、請求項1乃至3に記載の金属材料の接合方法であるとした。
本発明に係る金属材料の接合方法は、接合する合金内部に生じる僅かな液相を利用して接合を行うものである。本発明では、同一組成の金属材料同士の接合は勿論のこと、組成の異なる同一金属系の金属材料同士、更には異種金属材料間の接合を、信頼性の高い金属結合によって可能とする。
また、本発明は、被接合部材自体が溶融により大きく流動することがなく、ハンダ材やろう材、溶化材等を用いないため、接合による寸法変化が小さく、殆ど形状変化を生じない。特に、微細な流路を有する部材の接合においても、液相の流れ込みや変形によって流路が塞がれることなく良好な接合を行える。
更に、接合部近傍において局所的な組織変化が生起しないため、強度脆化が生じ難い。また、ろう付法と同等の信頼性を有する同時多点接合を、置きろう、ろうペースト、ろう材をクラッドしたブレージングシートなどを用いることなく行うことができる。これにより、接合性能を損なうことなく材料のコストダウンが可能となる。
本発明と同様に接合による変形が少なく同時多点接合が可能である拡散接合と比べて、加圧が不要で、接合に要する時間を短くでき、接合面に強固な酸化皮膜を有する金属材料の接合であっても、接合面の清浄化処理のための特殊な工程を必要としない。
以上のように、本発明は従来にはない新規な接合方法を提供するものである。
2元系共晶合金としてAl−Si合金の状態図を示す模式図である。 本発明に係る金属材料の接合方法における、液相の生成メカニズムを示す説明図である。 逆T字型接合試験片とその接合部の観察面位置を示す正面図である。 図3で観察した接合部を示す顕微鏡写真である。 接合率、ならびに、接合による変形率を測定するための試料を示す斜視図である。 接合率、ならびに、接合による変形率の測定方法の説明図である。
以下において、本発明を詳細に説明する。
A.被接合部材の組合せ
本発明に係る金属材料の接合方法では、金属材料を一方の被接合部材とし、同一金属系の金属材料及び異種金属材料のいずれかを他方の被接合部材として、一方の被接合部材と他方の被接合部材とを接合する。同一金属系の金属材料同士を接合する場合は、合金組成が同一のもの同士でも、合金組成が異なるもの同士でもよい。
B.液相の生成
本発明に係る金属材料の接合方法では、一方の被接合部材である金属材料の全質量に対する当該金属材料内に生成する液相の質量の比(以下、「液相率」と記す)が0%を超え35%以下となる温度で接合する必要がある。液相率が35%を超えると、生成する液相の量が多過ぎて金属材料が変形を開始してしまう。一方、液相が生成しなければ接合ができない。液相が少ないと接合が困難となる場合があり、好ましい液相率は5〜35%であり、より好ましい液相率は10〜20%である。
加熱中における実際の液相率を測定することは、極めて困難である。そこで、本発明で規定する液相率は平衡計算によって求めるものとする。具体的には、平衡状態を計算するソフトであるThermo−Calcによって合金組成と加熱時の最高到達温度から計算される。
液相の生成メカニズムについて説明する。図1に代表的な2元系共晶合金であるAl−Si合金の状態図を模式的に示す。Si濃度がc1である一方のアルミニウム合金材と他方の被接合部材を組合せて加熱すると、共晶温度(固相線温度)Teを超えた付近の温度T1で液相の生成が始まる。共晶温度Te以下では、図2(a)に示すように、結晶粒界で区分されるマトリクス中に晶析出物が分布している。ここで液相の生成が始まると、図2(b)に示すように、晶析出物分布の偏析の多い結晶粒界が溶融して液相となる。次いで、図2(c)に示すように、アルミニウム合金のマトリクス中に分散する主添加元素成分であるSiの晶析出物粒子や金属間化合物の周辺が球状に溶融して液相となる。更に図2(d)に示すように、マトリクス中に生成したこの球状の液相は、界面エネルギーにより時間の経過や温度上昇と共にマトリクスに再固溶し、固相内拡散によって結晶粒界や表面に移動する。次いで、図1に示すように温度がT2に上昇すると、状態図より液相量は増加する。図1に示すように、一方のアルミニウム合金材のSi濃度がc2の場合には、固相線温度Ts2を超えた付近でc1と同様に液相の生成が始まり、温度がT3に上昇すると、状態図より液相量は増加する。このように、本発明に係る接合方法は、アルミニウム合金に限らず全ての金属材料において、金属材料内部の部分的な溶融により生成される液相を利用するものであり、接合と形状維持の両立を実現できるものである。
C.接合における金属組織の挙動
液相が生じた後から接合に至るまでの金属組織の挙動をアルミニウム合金での接合を例に示しながら説明する。図3に示すように、液相を生成するアルミニウム合金材Aと、これと接合するアルミニウム合金材Bとを用いた逆T字型接合試験片を接合し、図に示す観察面を顕微鏡で観察した。前述のように、接合においてアルミニウム合金材Aの表面に生成するごく僅かな液相は、フラックス等の作用により酸化皮膜が破壊された相手のアルミニウム合金材Bとの隙間を埋める。次に、両合金材の接合界面付近にある液相がアルミニウム合金材B内へと移動していき、それに伴い接合界面に接しているアルミニウム合金材Aの固相α相の結晶粒がアルミニウム合金材B内に向かって成長していく。一方、アルミニウム合金材Bの結晶粒もアルミニウム合金材A側へと成長していく。
アルミニウム合金材Bが液相を生成しない合金の場合には、図4(a)に示すように、接合界面付近のアルミニウム合金材B中にアルミニウム合金材Aの組織が入り込んだような組織となって接合される。従って、接合界面にはアルミニウム合金材Aとアルミニウム合金材B以外の金属組織が生じない。また、アルミニウム合金材Bも液相を生成する合金の場合には、図4(b)に示すように、両合金材は完全に一体化した組織となり接合界面が判別できない。
一方、アルミニウム合金材Bとしてろう材をクラッドしたブレージングシートを用いた場合には、図4(c)に示すように、接合部にフィレットが形成され共晶組織が見られる。このように、図4(c)では、図4(a)、(b)において形成される接合組織とは異なるものとなる。ろう付法では接合部を液相ろうが埋めてフィレットを形成するため、接合部は周囲と異なる共晶組織が形成されるのである。また、溶接法においても接合部が局部的に溶融するため、他の部位とは異なる金属組織となる。それに対して、本発明に係る接合方法では、接合部の金属組織が両被接合部材のものだけで構成され、或いは、両被接合部材が一体化したもので構成される点で、ろう付や溶接による接合組織と相違する。
このような接合挙動のため、接合工程後において接合部位近傍の形状変化がほとんど発生しない。すなわち、溶接法のビードや、ろう付法でのフィレットのような接合後の形状変化が、本発明に係る接合方法では殆ど発生しない。それにも拘わらず、溶接法やろう付法と同じく金属結合による接合を可能とする。例えば、アルミニウム合金製ブレージングシート(ろう材クラッド率が片面5%)を用いてドロンカップタイプの積層型熱交換器を組み立てた場合、ろう付け加熱後には溶融したろう材が接合部に集中するため、積層した熱交換器の高さが5〜10%減少する。従って、製品設計においてはその減少分を考慮する必要がある。本発明においては接合後における寸法変化が5%以下であるため、高精度の製品設計が可能となる。
D.固相線温度と液相線温度の差
本発明に係る接合方法では、液相を生成する金属材料の固相線温度と液相線温度の差を10℃以上とするのが好ましい。固相線温度を超えると液相の生成が始まるが、固相線温度と液相線温度の差が小さいと、固体と液体が共存する温度範囲が狭くなり、発生する液相の量を制御することが困難となる。従って、この差を10℃以上とするのが好ましい。例えば、この条件を満たす組成を有する2元系の合金としては、Al−Si系合金、Al−Cu系合金、Cu−Zn系合金、Cu−Sn系合金、Fe−C系合金、Ti−Al系合金、Ni−Al系合金、Mg−Zn系合金などが挙げられる。この条件を満たすには、共晶型合金が固液共存領域を大きく有するので有利である。しかしながら、他の全率固溶型、包晶型、偏晶型などの合金であっても、固相線温度と液相線温度の差を10℃以上とすることにより良好な接合が可能となる。また、上記の2元系合金は主添加元素以外の添加元素を含有することができ、実質的には3元系や4元系合金、更に5元以上の多元系の合金も含まれる。
なお、固相線温度と液相線温度の差は大きくなるほど適切な液相量に制御するのが容易になる。従って、固相線温度と液相線温度の差に上限は特に設けない。
E.接合方法
本発明の接合方法においては、通常、被接合部材は炉中で加熱される。炉の形状に特に制限はなく、例えば1室構造のバッチ炉、ベルト等の搬送機構を有する連続炉などを用いることができる。なお、炉中の雰囲気に制限はないが、真空中や不活性ガス中、あるいは還元性ガス中で行うことが好ましい。また、接合加熱の際に、液相を生成する金属材料の固相線温度以上となる時間を20分以内とするのが好ましく、15分以内とするのが更に好ましい。20分を超えると、前述の粒界すべりによる変形が発生するおそれがある。
金属材料の表層には酸化皮膜が形成されており、これによって接合が阻害される。従って、接合においては酸化皮膜を破壊する必要がある。本発明に係る接合方法では、酸化被膜を破壊するために接合面にフラックスを塗布するのが好ましい。また、酸化皮膜の形成を抑制するために、窒素などの非酸化性雰囲気ガス中で接合するのが好ましい。
以下に、本発明を実施例と比較例に基づいて詳細に説明する。
(実施例1〜20及び比較例21〜25)
表1に接合に用いたAl−Si合金の組成を示す(Siを、1.5〜4.0mass%含有する)。表1には、580〜640℃の各温度での平衡液相率も示した。なお、平衡液相率は、Thermo−Calcによる計算値である。表1に示す合金鋳塊を調製した後、熱間圧延及び冷間圧延により厚さ1mmの圧延板を得た。この圧延板を切り出し、端面をフライスにより平滑にしたものを組み合わせて、図5に示す接合試験片を作製した。試験片の上板と中板には、表1に示す組成のアルミニウム合金板を用い、下板には純アルミニウム板(A1070)を用いた。上板と中板のアルミニウム合金板は同一組成である。これら例は、同一組成のアルミニウム合金材同士の接合である。この接合試験片の接合面には、フッ化物系の非腐食性フラックスを塗布した。図5(a)に示すように、下板に中板と上板を順次重ね、重ね合わせたものの上下に板厚1mmのセラミックス板の治具を配するようにした。次いで、図5(b)に示すように、上下のステンレス板と側面に2本のステンレス線を架け渡して端部をそれぞれ縛り、下板、中板及び上板からなる試験片を固定して試料とした。なお、図5(a)に記載の数字は、部材の寸法(単位:mm)を表わす。
Figure 2011255389
上記の試料を、窒素雰囲気中で所定の温度(580〜635℃)まで昇温しその温度に2分間保持した後に、室温で自然冷却した。窒素雰囲気は、酸素濃度100ppm以下で露点−45℃以下に管理した。昇温速度は、520℃以上において、10℃/分とした。
接合後の試験片を、図6(a)に示す観察断面が得られるように切断した。図6(b)に示すように、上板と中板は接合部1及び接合部2で接合されている。接合部1(2)の一部拡大図を6(c)に示す。上板と中板に接合界面が見られない部分が、接合されている部分であり、接合界面(図の横線)が見られる部分が、接合されていない未接合の部分である。接合率は、下記式(2)で定義される。
接合率(%)={(L1+L2)/2L0}×100 (2)
ここで、L1は接合部1において接合されている部分の長さ、L2は接合部2において接合されている部分の長さ、L10は接合部1と接合部2において、それぞれ接合されるべき長さである。
図6(d)に、試験片の天井部を示す。aは試験片の天井部の接合前の長さ、a1は試験片の天井部上側の接合後における湾曲長さ、a2は試験片の天井部下側の接合後における湾曲長さを表わす。下記式(3)で定義される変形率をもって、接合前に対する接合後の寸法変化とした。
変形率(%)={(a1+a2)/2a}×100 (3)
接合率が95%以上を◎、90%以上95%未満を○、25%以上90%未満を△、25%未満を×と判定した。また、変形率が3%以下を◎、3%を超え5%以下を○、5%を超え8%以下を△、8%を超えるものを×と判定した。
以上の結果より、各評価の判定に対して◎を5点、○を3点、△を0点、×を−5点として点数をつけ、合計点が10点を◎、6点以上9点以下を○、1点以上5点以下を△、0点以下を×と総合判定した。総合判定が◎、○、△を合格とし、×を不合格とした。接合条件(温度、平衡液相率の計算値)と試験結果を表2に示す。
Figure 2011255389
実施例1〜20では、接合加熱時のアルミニウム合金材中の液相率が適正な範囲であったため良好な接合がなされ、総合判定が合格であった。特に、液相率が10〜20%である実施例3、8、12、13、15、16では変形が極僅かで且つ高い接合率が得られた。
比較例21では、液相が生成しなかったため、接合がなされなかった。
比較例22〜25では、液相率が高過ぎたため、大きな変形が発生して総合判定が不合格となった。
(実施例26〜40及び比較例41〜50)
表1に示すAl−Si合金に代えて、表3に示す組成の金属材料を用いて、実施例1〜20及び比較例21〜25と同様に接合率と変形率を試験した。すなわち、これら例においても、上板と中板の金属材料板は同一組成であり、同一組成の金属材料同士の接合である。
Figure 2011255389
試験片を、水素と窒素の混合雰囲気中で所定の接合温度にて保持時間3分の加熱により接合を実施した。
表4に、接合条件(接合温度、平衡液相率の計算値)、ならびに、試験結果を示す。なお、平衡液相率の計算、接合率及び変形率の算出は、実施例1〜20及び比較例21〜25と同様である。
Figure 2011255389
実施例26〜40では、接合加熱時の金属材料中の液相率が適正な範囲であったため良好な接合がなされ、総合判定が合格であった。
比較例41、43、45、47、49では、接合温度が固相線温度以下であったため、液相が生成されず接合がなされなかった。
比較例42、44、46、48、50では、生成する液相が過剰であったため被接合部材が形状を維持できず、大きく変形してしまった。特に、比較例48では完全に形状が崩れてしまい、接合率を測定することも不可能であった。
本発明により、良好な接合性と、接合による変形が殆どない、信頼性の高い金属材料の接合方法が達成され、工業的な価値が大きい。
a・・試験片の天井部の接合前の長さ
a1・・試験片の天井部上側の接合後における湾曲長さ
a2・・試験片の天井部下側の接合後における湾曲長さ
c1・・Si濃度
c2・・Si濃度
T・・温度
T1・・Teを超えた温度
T2・・T1より更に高い温度
T3・・Ts2を超えた温度
Te・・固相線温度
Ts2・・固相線温度

Claims (4)

  1. 金属材料を一方の被接合部材とし、同一の金属材料あるいは他の金属材料のいずれかを他方の被接合部材として、前記一方の被接合部材と他方の被接合部材とを接合する方法において、前記一方の被接合部材である金属材料の全質量に対する当該金属材料内に生成する液相の質量の比が0%を超え35%以下となる温度で接合することを特徴とする金属材料の接合方法。
  2. 前記一方の被接合部材である金属材料において、固相線温度と液相線温度の差が10℃以上である、請求項1に記載の金属材料の接合方法。
  3. 前記一方の被接合部材である金属材料において、接合前に対する接合後の寸法変化が5%以下である、請求項1又は2に記載の金属材料の接合方法。
  4. 前記金属材料がAl系合金、Cu系合金、Fe系合金、Ni系合金、Ti系合金、Mg系合金である、請求項1乃至3に記載の金属材料の接合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5276238B1 (ja) * 2011-11-30 2013-08-28 古河スカイ株式会社 金属の成形方法およびその成形品
WO2016167218A1 (ja) * 2015-04-16 2016-10-20 三菱マテリアル株式会社 接合体、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク、及び、接合体の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、ヒートシンクの製造方法
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CN110640345A (zh) * 2019-08-23 2020-01-03 广州洲宗金属制品有限公司 自钎焊铝合金板材、发热盘、复合锅底和它们的制造方法

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