JP2011254576A - 回転電機用ロータ - Google Patents

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哲夫 脇田
Kuniaki Kuwabara
邦昭 桑原
Yasunobu Toyoda
泰延 豊田
Atsutoshi Ikegawa
敦俊 池川
Naoto Yumisashi
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Abstract

【課題】ロータに形成された冷媒流路に流される冷媒と接する冷媒流路面との面積を増大させ、ロータの冷却効果を高めることができる回転電機用ロータを提供する。
【解決手段】回転軸40により軸支されたロータ本体10に回転軸40の軸芯方向に貫通する冷媒流路10aを設け、冷媒流路10aの内面に冷媒流路10aの内側に突出する放熱部72を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸によってケースに軸支されるとともに、前記回転軸の軸芯方向に積層された磁性を有する複数の板状部材により構成され、前記軸芯方向に貫通する冷媒流路を有するロータ本体を備えた回転電機用ロータに関する。
回転電機用のロータは、温度が高くなると磁性が低下し、回転電機の性能の低下を招くことが知られている。そのため、ロータやロータに挿通された磁石を冷却する技術が求められている。従来のロータを冷却する技術として、例えば、ロータ、上記ロータに近接して配置されるステータ、上記ステータに配設されたステータ巻線、上記ロータ内の上記ステータ巻線に近接した位置に埋め込まれた一対の磁石、を備え、上記ロータには、冷却媒体を流すために、又は、重量低減のために、断面略三角形状の空洞が形成されたものがある(特許文献1参照)。上記ロータは、ロータ軸に連結されているとともに、上記ステータとの間に空隙を形成するように該ステータに対して回転可能に設けられている。上記空洞は、上記モータ・モードで作動しているときに、上記磁石と上記空洞との間の領域における上記ロータの磁束密度が平準化されるように、上記一対の磁石に対して非対称となる位置に設けられている。
この特許文献1の回転電機では、ロータに形成された断面略三角形状の空洞にオイルを流すことにより、ロータを冷却している。
特開2009−50153号公報
しかし、特許文献1の回転電機では、ロータに形成された空洞の断面形状は略三角形状であるため、オイルと空洞面とが接する面積が小さく、十分な冷却効果を得ることができない可能性がある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロータに形成された冷媒流路に流される冷媒と接する冷媒流路面との面積を増大させ、ロータの冷却効果を高めることができる回転電機用ロータを提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の回転電機用ロータは、回転軸によってケースに軸支されるとともに、前記回転軸の軸芯方向に積層された磁性を有する複数の板状部材により構成され、前記軸芯方向に貫通する冷媒流路を有するロータ本体を備え、前記冷媒流路の内面に当該冷媒流路の内側に突出する放熱部が形成されている。
この構成では、ロータ本体には冷媒を流すための冷媒流路が備えられており、その冷媒流路の内面には冷媒流路の内側に突出する放熱部が形成されている。したがって、冷媒流路の内面には凹凸形状が形成されることとなり、冷媒との接触面積が増大し、ロータの熱を冷媒に伝達し易くなるため、冷却効果を高めることができる。
本発明の回転電機用ロータの好適な実施形態の一つでは、前記板状部材は貫通孔が形成され、複数の前記板状部材は第1姿勢と第2姿勢とで積層された際に前記第1姿勢の前記板状部材の前記貫通孔と前記第2姿勢の前記板状部材の前記貫通孔とが連通することにより前記冷媒流路および前記放熱部を形成している。
この構成では、ロータ本体は同形状の板状部材を第1姿勢と第2姿勢とで積層して構成しているため、簡易な構成でありながら冷媒流路の内面に放熱部を形成することができる。
本発明の回転電機用ロータの好適な実施形態の一つでは、前記貫通孔は前記回転軸の軸芯を中心とする円周を均等間隔に分割する基準位置に対して、当該円周の正方向の位相を有する位置に形成された正位相貫通孔と当該円周の負方向の位相を有する負位相貫通孔とを当該円周上に交互に備え、前記第2姿勢は前記第1姿勢に対して隣接する前記基準位置の間の位相差に対応する回転が施された姿勢である。
この構成では、複数の貫通孔を基準位置から正位相方向と負位相方向とに交互にずらして形成している。そのため、第2姿勢を第1姿勢からの回転姿勢とすれば、第1姿勢にある板状部材の正位相貫通孔と第2姿勢にある板状部材の負位相貫通孔とが連通する。また、第1姿勢にある板状部材の負位相貫通孔と第2姿勢にある板状部材の正位相貫通孔とが連通する。ただし、正位相貫通孔と負位相貫通孔との連通により冷媒流路が形成されるが、位相が異なっているためにこれらの貫通孔は全体が重複するのではなく部分的に重複するように連通する。したがって、貫通孔の重複しない内面により放熱部を形成することができる。このように、この構成では第1姿勢の板状部材と第1姿勢から所定角度回転させた第2姿勢の板状部材を積層するだけで、放熱部が形成された冷媒流路を有するロータ本体を構成することができる。
本発明の回転電機用ロータの好適な実施形態の一つでは、前記貫通孔は前記回転軸の軸芯を中心とする円周を均等間隔に分割する基準位置に対して所定の位相差を有する位置に形成され、前記第2姿勢は前記第1姿勢の表裏方向の反転姿勢である。
この構成では、貫通孔は基準位置に対して所定の位相差を有する位置に形成されている。基準位置とは例えば磁石を挿通するための磁石孔である。このような貫通孔が形成された板状部材を裏返すと、貫通孔は基準位置に対して逆位相の位相差を有することとなる。したがって、第1姿勢の板状部材と第1姿勢を裏返した(表裏方向に反転させた)姿勢の第2姿勢の板状部材とを積層すると、貫通孔が部分的に重複するように連通する。これにより、放熱部が形成された冷媒流路を有するロータ本体を構成することができる。
本発明の回転電機用ロータの好適な実施形態の一つでは、前記貫通孔は、前記回転軸の軸芯を中心とする第1円の周上に形成された第1貫通孔と、前記回転軸の軸芯を中心とする第2円の周上に形成された第2貫通孔とを備え、前記第2貫通孔は前記第1貫通孔に対して前記板状部材の周方向に対して所定の位相差を有する位置に形成され、前記第2姿勢は前記第1姿勢に対して前記所定の位相差に対応する回転が施された姿勢である。
この構成では、板状部材は第1円の円周上に形成された第1貫通孔と第2円の円周上に形成された第2貫通孔を備えている。また、第2貫通孔は第1貫通孔に対して所定の位相差を有する位置に形成されている。そのため、第2姿勢を第1姿勢から所定の位相差に対応する回転を施した姿勢とすると、第1貫通孔と第2貫通孔とが連通し冷媒流路を形成する。このとき、第1貫通孔と第2貫通孔とは板状部材の径方向のずれを持っているため、これらは部分的に重複するように連通している。したがって、放熱部が形成された冷媒流路を有するロータ本体を構成することができる。
本発明の回転電機用ロータの好適な実施形態の一つでは、前記板状部材は第1貫通孔を有する第1板状部材と当該第1板状部材の開口形状と異なる開口形状の第2貫通孔を有する第2板状部材とを備え、前記第1板状部材と前記第2板状部材とを積層した状態において前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを連通させることにより前記冷媒流路を構成している。
この構成では、第1板状部材には第1貫通孔が形成され、第2板状部材には第1貫通孔の開口形状と異なる開口形状を有する第2貫通孔が形成されている。そのため、第1板状部材と第2板状部材とを積層することにより、第1貫通孔と第2貫通孔とが連通する。このとき、第1貫通孔と第2貫通孔との開口形状の差により、冷媒流路の内面に放熱部を形成することができる。
本発明の回転電機用ロータの好適な実施形態の一つでは、前記第2貫通孔は前記第1貫通孔の開口形状と異なる開口形状を有し、前記第1貫通孔のうち前記回転軸に対して最も径方向外側に位置する縁部と前記第2貫通孔のうち前記回転軸に対して最も径方向外側に位置する縁部とを前記回転軸の軸芯方向に沿って重畳配置している。
この構成では、第1貫通孔と第2貫通孔とを連通させた際に、冷媒流路の内面のうち板状部材の径方向外側の縁部には凹凸形状が形成されない。ロータ本体を回転させると冷媒流路の内部の冷媒は、遠心力により冷媒流路の内面のうち板状部材の径方向外側の内面側への力を受ける。この構成では、冷媒流路の内面のうち最も冷媒が集中する部位に凹凸形状を形成していないため、冷媒の流れの阻害を低減している。
本発明に係る回転電機用ロータを採用した回転電機の断面図である。 本発明に係る回転電機用ロータのロータ本体の例の平面図である。 冷媒流路の拡大断面図である。 本発明に係る回転電機用ロータを採用した回転電機の分解斜視図である。 実施例1におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例2におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例3におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例4におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例5におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例6におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例7におけるロータ本体を構成する電磁鋼板の平面図およびロータ本体の平面図である。 実施例8におけるロータ本体の斜視図である。
以下に、図面を用いて本発明の回転電機用ロータを採用した回転電機の実施形態を説明する。図1から図4はそれぞれ本実施形態の回転電機の断面図、ロータ本体10の断面図、冷媒流路10aの拡大断面図および回転電機用ロータの分解斜視図である。なお、各図の破線矢印は冷媒の流れを示している。
本実施形態では、回転電機を電動モータ1としている。この電動モータ1は永久磁石型モータであり、ハイブリッド車や電気自動車の駆動源として利用可能なものである。電動モータ1は、回転軸40によってケース30に軸支されるロータ本体10と、ロータ本体10の径方向外側に配置され、ケース30に固定されるステータ20とを備えている。ケース30は、図1における左側部分を構成するケース部材30aと、右側部分を構成するケース部材30bとを接合することにより構成されている。なお、回転軸40を駆動するように構成すれば、本回転電機を発電機として機能させることも可能である。
ロータ本体10は、複数の電磁鋼板70(本発明の板状部材の例)を積層することにより構成されている。この電磁鋼板70には、積層される方向に貫通する貫通孔71と磁石孔73とがプレス加工により形成されている。本実施形態では、このような電磁鋼板70を磁石孔73が連通するように積層し、磁石を挿通している(図2,4参照)。また、詳細は後述するが、この積層状態において貫通孔71が連通し、冷媒流路10aを形成している。なお、磁石孔73と貫通孔71との位置関係は本実施形態に示すものに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
図1および図3に示すように、この冷媒流路10aの内面には冷媒流路10aの径方向内側に突出する放熱部72が形成されている。本実施形態では、放熱部72は、ロータ本体10の軸芯方向に対して凹凸形状を有している。このように、本発明では、冷媒流路10aの内面に凹凸形状の放熱部72を備えたことにより、オイルや空気等の冷媒と冷媒流路10aの内面とが接する面積を増大させ、冷却効率を高めている。
ステータ20は、ロータ本体10と同様に、複数の電磁鋼板を積層させることにより構成されている。ステータ20にはコイル21が備えられており、コイル21に通電を行うとステータ20に磁界が発生するため、永久磁石11を備えたロータ本体10が回転する。
回転軸40は、ケース30に設けられた一対のベアリング31を介してケース30に軸支されている。回転軸40は、内部空間40aを有する円筒状に構成されており、壁面には内部空間41aと外部とを連通する連通孔40bが形成されている。回転軸40の一端には、回転軸40と同心軸を有し、回転軸40と一体回転する出力軸41が接続されている。回転軸40と同様に、出力軸41は内部空間41aを有する円筒状に構成されている。ポンプ(図示せず)より送られる冷媒は、出力軸41の内部空間41aを介して、回転軸40の内部空間40aに導入される。なお、回転軸40と出力軸41とを一体に構成しても構わない。
ロータ本体10の出力軸41側(図1における右側)の端面にはプレート部材60、反対側の端面には規制部材50が取り付けられている。プレート部材60には回転軸40の連通孔40bとロータ本体10の冷媒流路10aとを連通する連通空間60aが形成されている。そのため、回転軸40の内部空間40aに導入された冷媒は、回転軸40の連通孔40bおよびプレート部材60の連通空間60aを介して、冷媒流路10aに流入し、ロータ本体10を冷却する。プレート部材60は、ロータ本体10の端面に接着や溶接等の適当な手段で取り付けることができるが、プレート部材60とロータ本体10との間に冷媒漏れを防止する弾性部材等を設けると好適である。
規制部材50はプレート状に形成されており、ロータ本体10の端面に当接させて取り付けられている。図1に示すように、回転軸40の外周面の一部にはねじ山が形成されており、このねじ山と係合するナット51を締め付けることにより、規制部材50はロータ本体10に対して固定されている。また、規制部材50の冷媒流路10aと対応する位置には、連通孔50dが形成されている。冷媒流路10aを流れた冷媒は、この連通孔50dを介してロータ本体10の外部に排出される。
連通孔50dの形成位置は、電動モータ1が使用される条件等に応じて適宜決定することができる。例えば、連通孔50dを冷媒流路10aの径方向外側寄りに形成すると、ロータ本体10が回転した際の遠心力により径方向外側に沿って流れる冷媒が連通孔50dから排出され易くなる。一方、連通孔50dを冷媒流路10aの径方向内側寄りに形成すると、一定量以上の冷媒が冷媒流路10aに溜まってから、冷媒が連通孔50dから排出される
図5(a)は本実施例における第1姿勢の電磁鋼板70の平面図である。本実施例では、貫通孔71および磁石孔73は回転軸40の軸芯を中心とする同一円周上に形成されているが、貫通孔71と磁石孔73とは異なる円周上に形成しても構わない。また、本実施例では、それぞれの電磁鋼板70に8つの貫通孔71と8つの磁石孔73とが形成されているが、それらの数は適宜変更可能である。なお、以下の説明では、貫通孔71が形成される位置とは貫通孔71の開口形状の重心位置を意味する。なお、本実施例から実施例4までは、一の形状、すなわち、同一形状の電磁鋼板70を積層することによりロータ本体10を構成している。
上述したように、本実施例では8つの貫通孔71が形成されているため、貫通孔71を円周上に均等配置した際には、隣接する貫通孔71の位相差は45°となる。なお、位相とは電磁鋼板70の円周方向の角度を表している(以下の説明も同様)。図中の直線は電磁鋼板70の円周方向の角度の8等分線、すなわち、45°間隔位置(以下、基準位置と称する)を示すものである。本実施例では、貫通孔71をこの基準位置から円周の正方向に角度θ回転させた正位相貫通孔71aと負方向に角度θ回転させた負位相貫通孔71bとが交互に形成されている。このように正位相貫通孔71aと負位相貫通孔71bとが形成された電磁鋼板70を45°回転すると、第2姿勢の電磁鋼板70となる(図5(b)参照)。
図5(c)は第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層したロータ本体10の平面図である。図に示すように、本実施例では正位相貫通孔71aと負位相貫通孔71bとが部分的に重複するように連通する状態で電磁鋼板70が積層され、冷媒流路10aを構成している。この冷媒流路10aの内部には電磁鋼板70の周方向側に突出する放熱部72が形成されている。そのため、上記の角度θの値は、貫通孔71の開口形状に応じて、第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層した際に正位相貫通孔71aと負位相貫通孔71bとが部分的に重複する値を設定すればよい。
図6(a)は本実施例における第1姿勢の電磁鋼板70の平面図である。本実施例の貫通孔71および磁石孔73は実施例1と同様に回転軸40の軸芯を中心とする同一円周上に形成されている。
図中の直線は実施例1と同様に電磁鋼板70の円周方向の角度の8等分線、45°間隔の基準位置を示している。本実施例では、磁石孔73は同一円周上の基準位置の中間位置に等間隔(45°間隔)で形成されている。一方、貫通孔71は円周上に等間隔で形成されているが、基準位置から周方向に角度θ回転した位置に形成している。このような電磁鋼板70の表裏方向を逆にすると図6(b)となる。この図6(b)の姿勢が本実施例における第2姿勢である。
図6(c)は第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層したロータ本体10の平面図である。図から明らかなように、第1姿勢の電磁鋼板70の貫通孔71の位置と第2姿勢の電磁鋼板70の貫通孔71の位置とは逆位相となるため、第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層するとこれらの貫通孔71が部分的に重複するように連通し、冷媒流路10aを構成している。また、貫通孔71の部分的な重複により冷媒流路10aの内部には放熱部72が形成されている。なお、本実施例における角度θの値は、貫通孔71の開口形状に応じて、第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層した際にこれらの姿勢の電磁鋼板70に形成された貫通孔71が部分的に重複する値を設定すればよい。
図7(a)は本実施例における第1姿勢の電磁鋼板70の平面図である。図に示すように、本実施例の貫通孔71は回転軸40の軸芯を中心とする第1円の円周上に形成された第1貫通孔71aと第1円よりも半径が大きい第2円の円周上に形成された第2貫通孔71bとにより構成されており、第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとは電磁鋼板70の周方向に交互に形成されている。なお、貫通孔71どうしは45°間隔で形成されている。
この第1姿勢の電磁鋼板70を45°回転させると図7(b)に示す第2姿勢となり、第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層すると図7(c)のようになる。図から明らかなように、本実施例では、電磁鋼板70の径方向にずれた第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとが部分的に重複するように連通し、内部に電磁鋼板70の径方向側に突出する放熱部72が形成された冷媒流路10aを構成している。
図8(a)は本実施例における第1姿勢の電磁鋼板70の平面図である。本実施例の電磁鋼板70には、第1貫通孔71aと第1貫通孔71aの開口形状と異なる形状の第2貫通孔71bが形成されている。また、本実施例の第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとは、周方向に交互に45°の間隔で形成されている。なお、本実施例では、実施例3と同様に、第1円の円周上に第1貫通孔71a、第2円の円周上に第2貫通孔71bを形成しているが、第1円の半径と第2円の半径を同一、すなわち、第1円と第2円とを同一としても構わない。
このような電磁鋼板70を45°回転させると図8(b)に示す第2姿勢となり、第1姿勢の電磁鋼板70と第2姿勢の電磁鋼板70とを積層すると、図8(c)のようになる。図から明らかなように、本実施例では開口形状の異なる第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとが部分的に重複するように連通し、内部に突出する放熱部72が形成された冷媒流路10aを構成している。
上述の実施例1から実施例4までの構成では、単一の形状を有する電磁鋼板70を第1姿勢と第2姿勢とで積層することにより、それぞれの姿勢の電磁鋼板70に形成された貫通孔71が部分的に重複するように連通するため、内部に放熱部72が形成された冷媒流路10aを構成している。したがって、製造コストの削減に寄与することができる。
図9(a),(b)はそれぞれ本実施例における第1電磁鋼板70a,第2電磁鋼板70bの平面図である。第1電磁鋼板70aには回転軸40の軸芯を中心とする第1円の円周上に等間隔(45°間隔)で第1貫通孔71aが形成されている。一方、第2電磁鋼板70bには回転軸40を中心とする第1円の円周上に等間隔(45°間隔)で第1貫通孔71aの開口形状と異なる開口形状を有する第2貫通孔71bが形成されている。
このような第1電磁鋼板70aと第2電磁鋼板70bとを積層すると、図9(c)に示すように、第1貫通孔71aの開口形状と第2貫通孔71bの開口形状との差により、これらが部分的に重複するように連通する。したがって、第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとにより、内部に突出した放熱部72が形成された冷媒流路72を構成することができる。
なお、本実施例では第1円の半径と第2円の半径とは同一としているが、異ならせても構わない。
図10(a)は本実施形態における第1姿勢の電磁鋼板70の平面図である。本実施例の電磁鋼板70には、第1貫通孔71aと第1貫通孔71aの開口形状と異なる開口形状を有する第2貫通孔71bとが電磁鋼板70の周方向に交互に45°の間隔で形成されている。図から明らかなように、第1貫通孔71aのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部と、第2貫通孔71bのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部とが、回転軸40の軸芯を中心とする円に接するように第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとが形成されている。
このような第1姿勢の電磁鋼板70と、図10(b)に示す第1姿勢の電磁鋼板70を45°回転した第2姿勢の電磁鋼板70とを積層すると、図10(c)に示すように、第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとが部分的に重複するように連通し、冷媒流路10aを構成している。このように、本実施例では、第1貫通孔71aのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部と第2貫通孔71bのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部とが回転軸40の軸芯方向に沿って重畳配置されるため、冷媒流路10aのその重畳配置された位置では内部への突出量は0となる。
図11(a),(b)はそれぞれ本実施例における第1電磁鋼板70aと第2電磁鋼板70bの平面図である。本実施例の第1電磁鋼板70aと第2電磁鋼板70bとは実施例5におけるものとほぼ同様であるが、第1円の半径と第2円の半径とが異なっている。
本実施例では、実施例6と同様に第1貫通孔71aのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部と、第2貫通孔71bのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部とが回転軸40を中心とする円に接するように、第1貫通孔71aと第2貫通孔71bとに基づいて、第1円の半径と第2円の半径とが決定されている。これにより、図11(c)に示すように、第1電磁鋼板70aと第2電磁鋼板70bとを積層した際に、第1貫通孔71aのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部と第2貫通孔71bのうち回転軸40に対して最も径方向外側に位置する縁部とが回転軸40の軸芯方向に沿って重畳配置されることとなる。したがって、冷媒流路10aのその重畳配置された位置では内部への突出量は0となる。
実施例6および7では、冷媒流路10aの内部の突出量は回転軸40に対して最も径方向外側の端部(以下、径外方向端部と称する)では0となっている。ロータ本体10が回転すると、遠心力により冷媒流路10a中の冷媒は径外方向側端部の側への力が作用する。このとき、径外方向側端部に大きな突出量の放熱部72が形成されていると冷媒の流れを阻害するおそれがある。これは、冷媒の量が少ない場合には顕著となる。したがって、実施例6および7のように、径外方向側端部の突出量を小さく、特に0とすることは、このような観点から好ましい。
図12は本実施例におけるロータ本体10の斜視図である。図から明らかなように、本実施例の電磁鋼板70に形成された貫通孔71は、その開口形状の輪郭線が外に凸な部分と内に凸な部分とを含んだ形状(歯車形状)となっている。したがって、このような電磁鋼板70を積層すると、冷媒流路10aの内面にはその軸芯方向に沿う山と谷が形成される。すなわち、本実施例では冷媒流路10aの内面には周方向の凹凸形状を有することとなる。このような凹凸形状も放熱部72を構成することができる。
本発明は、回転軸によってケースに軸支されるとともに、前記回転軸の軸芯方向に積層された磁性を有する複数の板状部材により構成され、前記軸芯方向に貫通する冷媒流路を有するロータ本体を備えた回転電機用ロータに適用することができる。
1:電動モータ
10:ロータ本体
10a:冷媒流路
40:回転軸
70:電磁鋼板
70a:第1電磁鋼板(電磁鋼板)
70b:第2電磁鋼板(電磁鋼板)
71:貫通孔
71a:正位相貫通孔(貫通孔)
71b:負位相貫通孔(貫通孔)
71a:第1貫通孔(貫通孔)
71b:第2貫通孔(貫通孔)
72:放熱部
73:磁石孔

Claims (7)

  1. 回転軸によってケースに軸支されるとともに、前記回転軸の軸芯方向に積層された磁性を有する複数の板状部材により構成され、前記軸芯方向に貫通する冷媒流路を有するロータ本体を備え、
    前記冷媒流路の内面に当該冷媒流路の内側に突出する放熱部が形成されている回転電機用ロータ。
  2. 前記板状部材は貫通孔が形成され、
    複数の前記板状部材は第1姿勢と第2姿勢とで積層された際に前記第1姿勢の前記板状部材の前記貫通孔と前記第2姿勢の前記板状部材の前記貫通孔とが連通することにより前記冷媒流路および前記放熱部を形成している請求項1記載の回転電機用ロータ。
  3. 前記貫通孔は前記回転軸の軸芯を中心とする円周を均等間隔に分割する基準位置に対して、当該円周の正方向の位相を有する位置に形成された正位相貫通孔と当該円周の負方向の位相を有する負位相貫通孔とを当該円周上に交互に備え、
    前記第2姿勢は前記第1姿勢に対して隣接する前記基準位置の間の位相差に対応する回転が施された姿勢である請求項2記載の回転電機用ロータ。
  4. 前記貫通孔は前記回転軸の軸芯を中心とする円周を均等間隔に分割する基準位置に対して所定の位相差を有する位置に形成され、
    前記第2姿勢は前記第1姿勢の表裏方向の反転姿勢である請求項2記載の回転電機用ロータ。
  5. 前記貫通孔は、前記回転軸の軸芯を中心とする第1円の周上に形成された第1貫通孔と、前記回転軸の軸芯を中心とする第2円の周上に形成された第2貫通孔とを備え、
    前記第2貫通孔は前記第1貫通孔に対して前記板状部材の周方向に対して所定の位相差を有する位置に形成され、
    前記第2姿勢は前記第1姿勢に対して前記所定の位相差に対応する回転が施された姿勢である請求項2記載の回転電機用ロータ。
  6. 前記板状部材は第1貫通孔を有する第1板状部材と当該第1板状部材の開口形状と異なる開口形状の第2貫通孔を有する第2板状部材とを備え、
    前記第1板状部材と前記第2板状部材とを積層した状態において前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とを連通させることにより前記冷媒流路を構成している請求項1記載の回転電機用ロータ。
  7. 前記第2貫通孔は前記第1貫通孔の開口形状と異なる開口形状を有し、
    前記第1貫通孔のうち前記回転軸に対して最も径方向外側に位置する縁部と前記第2貫通孔のうち前記回転軸に対して最も径方向外側に位置する縁部とを前記回転軸の軸芯方向に沿って重畳配置している請求項5または6記載の回転電機用ロータ。
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