JP2001333559A - 電動機のステータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電動機を大型化することなく、ステータを十
分に冷却することができ、電動機の駆動の際に磁束が飽
和することを防止することができる電動機のステータの
提供する。 【解決手段】 複数枚の薄板４２、４４が積層されたス
テータ４０をケーシング３０内に密に設けてなる電動機
１０において、ステータ４０は、外径が異なる複数種類
の薄板４２、４４を有し、これら各種類毎の薄板４２、
４４を所定枚数毎に積層し、薄板４２、４４の外周面と
ケーシング３０の内周面との間に空間を形成し、空間に
冷却媒体を流すようにしたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電動機のステータ
に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、電動機の小型化が望まれている。
しかし、電動機は駆動の際に熱を発生するので、冷却す
るための冷却通路を設ける必要があり、これが小型化を
妨げる原因の一つになっている。そこで、電動機の周辺
に冷却通路を設け冷却するのではなく、たとえば、図６
に示すように電動機のケーシング自体に冷却水通路８０
を設けその中に冷却水を流すという方法が提案されてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の電動機では、電動機を冷却するのに十分な大きさ
の冷却水通路８０をケーシング自体に形成する必要があ
り、冷却水通路８０の大きさに伴ってケーシング自体の
大きさも大きくしなくてはならない。

【０００４】したがって、ケーシングおよびケーシング
自体に形成される冷却水通路８０のために、電動機の小
型化が妨げられる。

【０００５】さらに、従来の方法では、ケーシング自体
に冷却水通路８０を形成しているので、ステータと冷却
水通路との間にケーシングが介在し、ケーシングの熱抵
抗によりステータを十分に冷却することができない。

【０００６】また、上記した従来の方法以外に、ステー
タの内部に直接冷却水通路を配置するという方法もあ
る。しかし、電動機を駆動する際には、ステータ内部に
は磁束が流れ、この磁束が飽和すると電動機の出力が制
限されるので、この方法を採用する場合、冷却水通路の
透磁率が低いために、冷却水通路の大きさの分だけステ
ータの外径を大きくする必要がある。これも、電動機の
小型化を妨げる。

【０００７】そして、電動機の小型化のためにウォータ
ジャケットの容積を減少させると、ウォータポンプの出
力を増加させることが必要となり、ランニングコストが
高くなる。

【０００８】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、電動機を大型化することなく、ステータを十分
に冷却することができ、電動機の駆動の際に磁束が飽和
することを防止することができる電動機のステータの提
供を目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記の手段によって達成される。

【００１０】（１）複数枚の薄板が積層されたステータ
をケーシング内に密に設けてなる電動機において、外径
が異なる複数種類の薄板を各種類毎に所定枚数積層し、
当該薄板の外周面と前記ケーシングの内周面との間に形
成された空間に冷却媒体を流すようにしたことを特徴と
する電動機のステータ。

【００１１】（２）前記冷却媒体は、磁性体を含むこと
を特徴とする電動機のステータ。

【００１２】（３）前記薄板は、前記空間内の冷却媒体
が薄板相互間の隙間に入らないように相互間をシールし
たことを特徴とする電動機のステータ。

【００１３】（４）前記大外径の薄板は、両端に設けら
れていることを特徴とする電動機のステータ。

【００１４】

【発明の効果】請求項１に記載の発明は、外径が異なる
複数種類の薄板を各種類毎に所定枚数積層し、当該薄板
の外周面と前記ケーシングの内周面との間に形成された
空間に冷却媒体を流すようにしたので、電動機のケーシ
ングの大きさに関係なく冷却媒体を流す通路（冷媒通
路）を設けることができ、ステータの冷却のためにケー
シング自体に大きな冷媒通路を設ける必要がなく、結果
として、電動機の小型化を図ることができる。さらに、
ステータに冷媒通路が直接接触するので、冷却効率にも
優れる。また、外径が異なる薄板を積層する枚数やパタ
ーンを変えることによって、定格出力が異なる電動機へ
容易に適用することができる。

【００１５】請求項２に記載の発明は、冷却媒体が磁性
体を含むので、冷媒通路内の透磁率が上がり、冷媒通路
を設けたことに伴い電動機を大型化する必要がない。ま
た、冷却媒体が磁性体を含むので、ステータが回転の際
に発する回転磁界によって、磁性体がステータの回転方
向と同方向に回転し、冷却媒体を流すための出力を助け
ることができる。

【００１６】請求項３に記載の発明は、空間内の冷却媒
体が薄板相互間の隙間に入らないように相互間をシール
したので、冷却媒体が薄板相互間に入り込み電動機の故
障につながることがない。

【００１７】請求項４に記載の発明は、大外径の薄板が
ステータの両端に設けられているので、当該大外径の薄
板が、冷媒通路の壁になり、冷却媒体が電動機内に入り
込むことがない。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、図面を使って本発明の実施
の形態を説明する。

【００１９】図１は、本発明に係るステータを適用した
モータの部分断面図、図２は図１の２−２線に沿う断面
図、図３（Ａ）は、大外径の薄板を示す図、図３（Ｂ）
は、小外径の薄板を示す図である。

【００２０】図１に示すように、本発明に係るステータ
を適用したモータ１０は、いわゆるインナーロータ型の
三相同期モータであり、ケーシング３０内には、ステー
タ４０と小許の間隙を介して前記ロータ２０が設けられ
ている。

【００２１】このロータ２０は、打ち抜き形成された薄
肉のケイ素鋼板等の高透磁（導磁）率材料を積層するこ
とにより形成されたロータコア２２を有し、このロータ
コア２２の中心には出力軸５０が圧入され、この出力軸
５０は、前記ケーシング３０に軸受３２を介して回動自
在に支持されている。

【００２２】ロータコア２２は、図２に示すように、周
方向に等間隔に形成された通孔内にそれぞれ永久磁石２
４が設けられている。図示の同期モータは、６個の永久
磁石２４を用いたモータであるが、各永久磁石２４は、
その厚み方向に磁化され、ロータ２０の外周からみてＮ
極、Ｓ極が交互になるように配置されている。

【００２３】一方、前記ケーシング３０は、例えばアル
ミニウム合金等により形成されており、側壁部３４とカ
バー３６とから構成されている。

【００２４】側壁部３４の内周面に取り付けられた前記
ステータ４０は、前記ロータコア２２と同様、薄肉のケ
イ素鋼板等の高透磁率材料からなる薄板４２、４４によ
って形成されたステータコア４６に、ステータコイル４
８が巻線処理されている。

【００２５】本実施の形態のステータ４０をより詳細に
説明する。

【００２６】ステータ４０は、ステータコア４６とステ
ータコイル４８とから形成されている。

【００２７】ステータコア４６は、図３（Ａ）に示す大
外径の薄板４２と、図３（Ｂ）に示す小外径の薄板４４
とが二枚ずつ交互に多数枚積層することにより形成され
ており、当該積層は、かしめまたはボルトによって行わ
れる。積層されたステータコア４６は、薄板４２および
薄板４４によって凹所が形成されたその表面部にシリコ
ン等の樹脂を塗布してシールされ、ステータコイル４８
を巻線処理される。巻線処理されたステータコア４６
は、端部をさらにシールされ、側壁部３４の内周面に焼
きばめ等によって密に固定される。なお、薄板４２と薄
板４４とは、外径が異なるのみで、ティースの形状は同
形である。

【００２８】ステータコア４６についてさらに言及する
と、外径の異なる薄板４２および薄板４４が積層されて
いるので、図１に示すように、複数の凹所がステータコ
ア４６の外周面に形成される。これらの凹所は、側壁部
３４の内周面と組み合わされ、ステータを冷却するため
に冷却媒体を流動させる複数の冷媒通路６０を形成す
る。

【００２９】ステータコア４６と組み合わされる側壁部
３４は、円筒の外周面に二箇所の凸所を有するような形
状であり、両方の凸所には出力軸について１８０°反対
側の内周面側に形成される供給室３８および回収室３９
が設けられ、当該供給室３８または回収室３９と外周面
とを連通する穴が形成される。供給室３８側の穴には、
図示しない水ポンプからの加圧された冷却媒体を運ぶた
めの流入管７０が取り付けられ、回収室３９側の穴に
は、当該冷却媒体を回収するための回収管７２が取り付
けられる。

【００３０】したがって、流入管７０から供給室３８に
流入した冷却媒体は、冷媒通路６０を通り、回収室３９
に流出し、回収管７２から水ポンプへ戻っていく。ここ
で、ステータコア４６の両端には、大外径の薄板４２が
設けられるので、ステータコア４６の両端に冷媒通路６
０が形成されずに、冷却媒体がモータ１０内に流れ込む
ということがない。また、凹所は、シールされているの
で、薄板相互間に冷却媒体が入り込むようなこともな
い。

【００３１】次に、本実施の形態の作用を説明する。

【００３２】このロータ２０は、通常の同期モータと同
じように、ステータコイル４８に電流が流されることに
より回転する。

【００３３】ステータコイル４８に電流が流されると、
ステータ４０全体が加熱されるので、水ポンプから冷却
媒体が供給され、流入管７０を通り供給室３８に流入
し、供給室３８で各冷媒通路６０に分配される。冷却媒
体は、冷媒通路６０内を流れ、薄板４２、４４を冷却
し、回収室３９に流出し、回収管７２を通って回収され
る。

【００３４】冷却媒体は、モータ１０内において、図２
に示すように、薄板４２上に形成された冷媒通路６０を
流れる。ここで、ステータ４０に交流を流すとステータ
コイル４８に流れる電流の変化に同期した回転磁界が発
生するので、冷却媒体に鉄粉などの磁性体を含ませるこ
とで、冷却媒体が回転磁界の方向に回転する。つまり、
図２に示す矢印の方向に回転磁界が発生しているとすれ
ば、当該磁界と同じ方向に磁性体を含む冷却媒体が自然
に流れるので、その分だけ水ポンプの加圧を助けること
ができる。さらに、磁性体は、磁束を流すので、ステー
タ４０の側面に冷媒通路６０を設けても、磁束の飽和を
考慮してステータの外径を大きくする必要がなく、電動
機の小型化を図ることができる。

【００３５】以上のように、本発明に係るステータ４０
を適用したモータ１０は、外径の異なる薄板４２、４４
を積層してステータコア４６を形成し、当該薄板４２、
４４の外径の大きさの違いを利用して、ステータコア４
６の外周と側壁部３４との間に冷媒通路６０を形成した
ので、ケーシング３０自体に冷媒通路を形成する必要が
なくモータ１０を小型化することができる。

【００３６】また、薄板４２、４４の外径の大きさの違
いによって、ステータコア４６の外周は、複数の凹凸箇
所を有し、その凹凸箇所がそのまま冷媒通路６０に使用
されるので、ステータコア４６が冷媒通路６０に接触す
る表面積が平らな表面のステータコアに比べて数倍大き
くなり、ステータコア４６に対する冷却効率もかなり向
上する。

【００３７】さらに、本発明に係るステータ４０は、薄
板４２、４４を任意の順に積層することができるので、
同一形状のロータを有し異なる出力性能を有するモータ
にも適用することができ、冷媒通路の設計自由度が高
い。

【００３８】側壁部３４には、供給室３８および回収室
３９用の凸所が二箇所設けられ、他の部分には冷媒通路
は形成されないので、側壁部３４の凸所以外の直径を小
さくすることができる。一般にモータを使用する場合に
はケースに収納するので、凸所が二箇所だけなら、図４
に示すようにケースの空いた空間を有効利用することに
よって、装置全体としてみても小型化を図ることができ
る。

【００３９】また、冷却媒体に磁性体を含ませたので、
回転磁性によって、冷却媒体が勝手に流れ、その流れの
分だけ水ポンプの加圧を助けることができる。さらに、
磁性体は、磁束を通すので、水が磁束を通さないことに
よる磁束の飽和を考慮してステータを大型化する必要が
なくなる。

【００４０】上記実施の形態では、薄板の外径の大きさ
が二種類で、それらを二枚ずつ交互に積層する場合で説
明したが、これに限らず、三種類以上の異なる外径を有
する薄板を積層してもよい。積層する薄板は、両端に一
番外径の大きな薄板を積層する以外、いかなる組合せで
積層してもよい。

【００４１】また、冷却媒体に磁性体を含ませる場合、
冷却媒体が一定の方向に流れ易くなるので、図５に示す
ように流入管７０および回収管７２を同側に設けてもよ
い。こうすることによって、側壁部３４の凸所が一箇所
になり、よりモータ１０を含む装置全体の小型化を図る
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明に係るステータを適用したモータの部
分断面図である。

【図２】 図１の２−２線に沿う断面図である。

【図３】 （Ａ）は、大外径の薄板を示す図、（Ｂ）
は、小外径の薄板を示す図である。

【図４】 本発明を適用したモータをケースに収納した
状態で示す図である。

【図５】 凸所を一箇所だけ有するモータを示す図であ
る。

【図６】 従来のモータを示す図である。

【符号の説明】

１０…モータ、 ２０…ロータ、 ２２…ロータコア、 ３０…ケーシング、 ３８…供給室、 ３９…回収室、 ４０…ステータ、 ４２、４４…薄板、 ４６…ステータコア、 ４８…ステータコイル、 ５０…出力軸、 ６０…冷媒通路。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数枚の薄板が積層されたステータをケ
   ーシング内に密に設けてなる電動機において、 外径が異なる複数種類の薄板を各種類毎に所定枚数積層
   し、当該薄板の外周面と前記ケーシングの内周面との間
   に形成された空間に冷却媒体を流すようにしたことを特
   徴とする電動機のステータ。
2. 【請求項２】 前記冷却媒体は、磁性体を含むことを特
   徴とする請求項１に記載の電動機のステータ。
3. 【請求項３】 前記薄板は、前記空間内の冷却媒体が薄
   板相互間の隙間に入らないように相互間をシールしたこ
   とを特徴とする請求項１または請求項２に記載の電動機
   のステータ。
4. 【請求項４】 前記大外径の薄板は、両端に設けられて
   いることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか
   に記載の電動機のステータ。