JP2011253005A - プラスチック光ファイバの製造装置およびプラスチック光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】流路断面が円形状で、芯材と鞘材が同心円状の芯鞘構造に複合される複合部15と、流路断面が非円形状であり、複合部15で複合された断面円形状の複合溶融樹脂に非円形状の断面形状を付与する断面形状付与部16と、複合部15と断面形状付与部16の間に設けられ、流路断面の形状が、その断面積が複合部15側から徐々に小さくなるように、断面形状付与部16の断面形状へと変化しているテーパー部17と、が設けられた紡糸手段1を備えたプラスチック光ファイバの製造装置。また、該製造装置を用いたPOFの製造方法。
【選択図】図2
Description
[1]芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸手段を備えたプラスチック光ファイバの製造装置であって、前記紡糸手段の内部の樹脂流路に、流路断面が円形状で、その中心に芯材が供給され、該芯材の周りに鞘材が供給され、芯材と鞘材が同心円状の芯鞘構造に複合される複合部と、流路断面が、直線および/または曲線を組み合わせた非円形状であり、前記複合部で複合された断面円形状の複合溶融樹脂に非円形状の断面形状を付与する断面形状付与部と、前記複合部と前記断面形状付与部の間に設けられ、流路断面の形状が、その断面積が前記複合部側から徐々に小さくなるように、前記断面形状付与部の断面形状へと変化しているテーパー部と、が設けられていることを特徴とするプラスチック光ファイバの製造装置。
[2]前記断面形状付与部の断面形状が正六角形である、前記[1]に記載のプラスチック光ファイバの製造装置。
[3]芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸工程を有するプラスチック光ファイバの製造方法であって、芯材と鞘材が同心円状の芯鞘構造に複合された複合溶融樹脂を形成した後、該複合溶融樹脂の断面形状を、その断面積が徐々に小さくなるように変形させ、非円形状の断面形状に賦形して紡糸することを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法。
また、本発明のPOFの製造方法によれば、所望の断面形状を有する芯鞘構造のPOFを、芯部と鞘部の軸ずれ、および鞘部の厚みの不均一化を抑制して簡便に製造できる。
以下、本発明のPOFの製造装置の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態のPOFの製造装置100(以下、単に「製造装置100」という。)は、図1に示すように、芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸手段1と、溶融状態の芯材を押し出す芯材押出機2と、芯材押出機2から紡糸手段1に供給する芯材の流量を制御する定量ポンプ3と、溶融状態の鞘材を押し出す鞘材押出機4と、鞘材押出機4から紡糸手段1に供給する鞘材の流量を制御する定量ポンプ5と、紡糸手段1により紡糸されたPOF20に延伸処理を施す延伸手段6と、延伸されたPOF20を巻き取る巻取り手段7と、POF20の走行を規制するガイド部材8とを有している。
芯材押出機2と定量ポンプ3、定量ポンプ3と紡糸手段1、鞘材押出機4と定量ポンプ5、および定量ポンプ5と紡糸手段1は、それぞれ溶融樹脂(芯材、鞘材)が流通する配管を介して接続されている。
紡糸手段1の樹脂流路においては、芯材流路部13、複合部15、テーパー部17および断面形状付与部16の中心軸が一致している。
芯材流路部13の断面形状は、円形状である。
芯材流路部13の内径は、製造するPOFの芯部の直径に応じて適宜選定すればよく、4〜10mmが好ましい。
鞘材流路部14の断面形状および内径は特に限定されない。鞘材流路部14の断面形状は円形状が好ましく、内径は1〜3mmが好ましい。
複合部15の断面形状は、図3に示すように円形状であり、その中心と、芯材流路部13の中心が一致している。つまり、複合部15の中心部分に、断面円形状の芯材が芯材流路部13から供給されるようになっている。また、鞘材流路部14と複合部15は、複合部15の内壁近傍で連通しており、複合部15において、芯材の周りに鞘材が供給されるようになっている。
複合部15の底面に円環状の溝15aが形成されていれば、複合部15の一方の内壁近傍に鞘材流路部14から供給された鞘材が、溝15aに沿って複合部15の反対側まで均一に行き渡りやすくなる。これにより、鞘材が鞘材流路部14側からその反対側に向かう流れによって、複合部15を通過する芯材に、その鞘材の流れ方向に力が加わることを抑制することが容易になる。そのため、複合溶融樹脂において芯材の中心軸と鞘材の中心軸にずれが生じたり、鞘材の厚みに斑が生じることを抑制することが容易になる。
溝15aが形成される位置は、複合部15において鞘材が供給される位置、すなわち鞘材流路部14と複合部15の連結位置よりも中心側であればよい。
この例では、断面形状付与部16の断面形状は正六角形である。断面形状付与部16により複合溶融樹脂の断面形状が正六角形とされて紡糸され、図4(A)に示すように、正六角形の断面形状を有する、芯部21と鞘部22の芯鞘構造のPOF20が得られる。また、断面形状付与部16の断面形状を五角形、八角形、三角形とすれば、図4(B)〜図4(D)に示すように、五角形、八角形、三角形の断面形状を有する、芯部21と鞘部22の芯鞘構造のPOF20を得ることができる。
テーパー部17は、複合部15と断面形状付与部16の間に設けられる。テーパー部17の流路断面は、その断面積が複合部15側から徐々に小さくなるように、断面形状付与部16の断面形状へと滑らかに変化している。この例では、テーパー部17は、複合部15側の開口端部17aの断面形状が芯材流路部13と同等の円形状であり、その断面積が徐々に小さくなるように円錐状に窄んでいきながら、その断面形状が滑らかに正六角形へと変化する形状になっている。
テーパー部17の内壁の傾斜角度(テーパー角度)θ(図2(B))は、15〜45°が好ましい。傾斜角度θが15°以上であれば、テーパー部17の全長(軸方向の長さ)が長くなりすぎることを抑制できるので、芯材や鞘材に熱劣化が生じてPOFの伝送損失が増大することを抑制しやすい。傾斜角度θが45°以下であれば、流路の断面形状の変化がより緩やかになるので、芯材と鞘材の軸ずれや鞘材の厚みの不均一化を抑制しつつ、複合溶融樹脂の断面形状を所望の形状(断面形状付与部16の断面形状)に賦形することが容易になる。そのため、得られるPOFにおいて、芯部と鞘部の中心軸がずれて芯鞘構造の界面不整が生じたり、鞘厚が不均一になったりすることを抑制することが容易になる。上記の概念から、テーパー部17の傾斜角度θは20〜40°とすることがより好ましく、25〜35°とすることが更に好ましい。
延伸手段6は、POF20に延伸処理を施すことができるものであればよく、図1に示すように、加熱型の延伸炉61を用いることが好ましい。延伸炉61では、炉内に供給される加熱気体または蒸気(スチーム)などによって、POF20を加熱しながら延伸する。
延伸炉61の前後には、駆動式の送り側延伸ロール62および引き取り側延伸ロール63が設けられている。POF20は、送り側延伸ロール62によって延伸炉61に導かれ、引き取り側延伸ロール63によって延伸炉61から引き取られる。このとき、引き取り側延伸ロール63の引き取り速度を、送り側延伸ロール62の送り速度よりも速くすることによって、円滑に延伸処理が行える。
ガイド部材8は、POFの製造に通常用いられるものが使用でき、金属製またはセラミック製のガイド部材などが挙げられる。
また、紡糸した直後のPOF20を冷却する冷却手段が設けられた製造装置であってもよい。また、延伸手段が設けられていない製造装置であってもよい。
次に、本発明のPOFの製造方法について説明する。本発明のPOFの製造方法は、芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸工程を有する方法であって、芯材と鞘材が同心円状の芯鞘構造に複合された複合溶融樹脂を形成した後、該複合溶融樹脂の断面形状を、その断面積が徐々に小さくなるように変形させ、非円形状の断面形状に賦形して紡糸することを特徴とする。以下、本発明のPOFの製造方法の一例として、前述した製造装置100を用いたPOFの製造方法について説明する。
芯材および鞘材は、POFに通常用いられるものが使用できる。芯材としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル系樹脂などが挙げられる。鞘材としては、フッ化ビニリデン系重合体などのフッ素樹脂組成物などが挙げられる。
延伸炉61におけるPOF20の加熱温度は、Tgc−30℃以上、Tgc以下が好ましい。ここで、Tgcとは、芯材のガラス転移温度である。延伸処理は、前記範囲の温度に加熱された加熱気体や蒸気を吹きつけながら延伸する方法などにより行うことができる。
巻取り工程では、巻取り手段7により、延伸処理が施されたPOF20を巻き取る。巻き取りは、ボビンなどを用いて行うことができる。
本実施例で得られたPOFは、以下に示す方法で評価した。
[最大頂点間距離の測定]
得られたPOFの断面形状における六角形の最大頂点間距離をキーエンス社製デジタルマイクロスコープ(VH−7000、レンズ倍率70倍〜100倍)を用いて測定した。
25m−5mのカットバック法によりPOFの伝送損失(dB/km)を測定した。測定波長は650nm、励起NAは0.1とした。
得られたPOFの側面からの光漏れを目視により評価した。
芯材としてポリメチルメタクリレート、鞘材としてフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(混合比=80/20(モル%))を用いた。図2に例示した紡糸手段1(断面形状付与部16の断面形状は正六角形)を備えた製造装置100により、正六角形の断面形状を有し、その最大頂点間距離が約3mmのPOFを3本製造した。紡糸手段1は、芯材流路部13の内径を8mm、鞘材流路部14の内径を1.6mm、複合部15の内径を8mm、テーパー部17の傾斜角度θを30°、断面形状付与部16の流路断面の正六角形における最大頂点間距離を7mmとした。
実施例1と同様にして、正六角形の断面形状を有し、その最大頂点間距離が約1.5mmのPOFを3本製造した。
実施例1と同様にして、正六角形の断面形状を有し、その最大頂点間距離が約0.75mmのPOFを3本製造した。
実施例1〜3における各POFの最大頂点間距離、伝送損失を測定した結果、および側面からの光漏れを評価した結果を表1に示す。
また、実施例1〜3で得られたPOFは、側面からの光漏れがなく、伝送損失が低く抑えられており、芯部と鞘部の軸ずれや鞘部の厚み斑が抑制されていた。
11 第1ノズル
12 第2ノズル
13 芯材流路部
14 鞘材流路部
15 複合部
16 断面形状付与部
17 テーパー部
100 POFの製造装置
Claims (3)
- 芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸手段を備えたプラスチック光ファイバの製造装置であって、
前記紡糸手段の内部の樹脂流路に、
流路断面が円形状で、その中心に芯材が供給され、該芯材の周りに鞘材が供給され、芯材と鞘材が同心円状の芯鞘構造に複合される複合部と、
流路断面が、直線および/または曲線を組み合わせた非円形状であり、前記複合部で複合された断面円形状の複合溶融樹脂に非円形状の断面形状を付与する断面形状付与部と、
前記複合部と前記断面形状付与部の間に設けられ、流路断面の形状が、その断面積が前記複合部側から徐々に小さくなるように、前記断面形状付与部の断面形状へと変化しているテーパー部と、
が設けられていることを特徴とするプラスチック光ファイバの製造装置。 - 前記断面形状付与部の断面形状が正六角形である、請求項1に記載のプラスチック光ファイバの製造装置。
- 芯材と鞘材を芯鞘構造に複合紡糸する紡糸工程を有するプラスチック光ファイバの製造方法であって、
芯材と鞘材が同心円状の芯鞘構造に複合された複合溶融樹脂を形成した後、該複合溶融樹脂の断面形状を、その断面積が徐々に小さくなるように変形させ、非円形状の断面形状に賦形して紡糸することを特徴とするプラスチック光ファイバの製造方法。
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