JP2011251469A - 空気入りタイヤの製造方法及びタイヤ加硫金型 - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ内部でのエア溜まりの形成を抑えて、エア入りを防止できるようにする。
【解決手段】グリーンタイヤGTを金型Mに装着して、その金型Mの内面にグリーンタイヤGTの外表面を密着させる装着工程と、グリーンタイヤGTを加熱して加硫成形を施す加硫工程と、金型Mから加硫済みタイヤを取り出す脱型工程とを備える空気入りタイヤの製造方法において、前記加硫工程にて、金型Mの内面に設けた振動部30(振動部31〜33)からグリーンタイヤGTに振動を与える。
【選択図】図4

Description

本発明は、空気入りタイヤの製造方法と、それに用いうるタイヤ加硫金型に関する。
空気入りタイヤにおける製造不良の一つとして、エア入りが知られている。これは、グリーンタイヤ(生タイヤ)に内包されているエアが残留し、加硫成形後のタイヤ内部に比較的大きなエア溜まりを形成するものである。エア入りを起こしたタイヤは、ゴム部材同士の接着が不十分であったり、走行中の熱でエア溜まりが膨張したりして、種々の不具合を引き起こす恐れがある。
従来、グリーンタイヤを成形する工程では、ゴム部材を貼り合わせる際に、ステッチャーと呼ばれる押圧器具を用いて圧着し、接着強度を高めるとともに、ゴム部材の貼り合わせ面に混入したエアを除去するようにしている。しかし、かかる対策によっても、エアを完全に除去することは困難であり、エア入りを防止する効果が十分とは言えなかった。
下記特許文献1には、エア入りを防止するべく、サイドウォール部を二層構造としたうえで、そのゴム部材の端部の位置関係などを規定した空気入りタイヤが記載されている。しかし、この技術では、サイドウォール部を特定の構造にする必要があり、実用上の適用範囲が大幅に制限されてしまう。また、サイドウォール部の特定部位におけるエア溜まりを標的としており、他の部位におけるエア溜まりに起因したエア入りは防止できない。
下記特許文献2には、加硫成形後のタイヤを金型から取り出す際に、その金型に振動を与えるようにした空気入りタイヤの加硫方法が記載されている。しかしながら、この技術は、加硫成形を終えたタイヤの外面と金型の内面との間にエアが入り込みやすくして、タイヤの離型を補助するものに過ぎず、上述のようなエア入りを防止する効果は殆どないと考えられる。
特開2006−240328号公報 特開2005−297496号公報
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤ内部でのエア溜まりの形成を抑えて、エア入りを防止できるようにした空気入りタイヤの製造方法及びタイヤ加硫金型を提供することにある。
上記目的は、下記の如き本発明により達成することができる。即ち、本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、グリーンタイヤを金型に装着して、その金型の内面に前記グリーンタイヤの外表面を密着させる装着工程と、前記グリーンタイヤを加熱して加硫成形を施す加硫工程と、前記金型から加硫済みタイヤを取り出す脱型工程とを備える空気入りタイヤの製造方法において、前記加硫工程にて、前記金型の内面に設けた振動部から前記グリーンタイヤに振動を与えるものである。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法によれば、加硫成形中のグリーンタイヤに対して、金型の内面に設けた振動部から振動を与えるので、グリーンタイヤに内包されているエアを積極的に移動させてタイヤ外部への排出を促し、加硫成形後のタイヤ内部でのエア溜まりの形成を抑えて、エア入りを防止することができる。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法では、前記振動部が、前記グリーンタイヤのショルダー部に振動を与えるショルダー振動部、前記グリーンタイヤのビード部に振動を与えるビード振動部、及び、前記グリーンタイヤのサイドウォール部に振動を与えるサイドウォール振動部のうち少なくとも一つを備えることが好ましい。
後述するように、グリーンタイヤのショルダー部、ビード部及びサイドウォール部には、ベルトやビードフィラー、カーカスといったタイヤ構成部材の端部が配され、エア溜まりの原因となるエアが混入しやすいため、これらの部位に振動を与えることがエア入りを防止するうえで特に有効となる。
上記において、前記振動部が、前記ショルダー振動部と前記ビード振動部のうち少なくとも一方と、前記サイドウォール振動部とを備えることが好ましい。かかる方法によれば、グリーンタイヤのショルダー部とサイドウォール部に振動を与えられるので、それらの間にエア溜まりが形成されるのを効率良く抑えることができる。或いは、グリーンタイヤのビード部とサイドウォール部に振動を与えられるので、それらの間にエア溜まりが形成されるのを効率良く抑えることができる。
上記において、前記加硫工程にて、前記サイドウォール振動部により振動を与え、その後に前記ショルダー振動部又は前記ビード振動部により振動を与えることが好ましい。かかる方法では、サイドウォール振動部が先に振動を与えることで、エアが適度に寄り集まった状態となり、続いてショルダー振動部又はビード振動部が振動を与えることで、エアを速やかに移動させてエア溜まりの形成を抑えることができる。
また、本発明に係るタイヤ加硫金型は、グリーンタイヤを加硫成形するためのタイヤ加硫金型において、前記グリーンタイヤの外表面に密着する金型内面に、前記グリーンタイヤに振動を与える振動部が設けられているものである。このタイヤ加硫金型によれば、加硫成形中のグリーンタイヤに対して、金型の内面に設けた振動部から振動を与えられるので、グリーンタイヤに内包されているエアを積極的に移動させてタイヤ外部への排出を促し、加硫成形後のタイヤ内部でのエア溜まりの形成を抑えて、エア入りを防止することができる。
本発明に係るタイヤ加硫金型では、前記振動部が、前記グリーンタイヤのショルダー部に振動を与えるショルダー振動部、前記グリーンタイヤのビード部に振動を与えるビード振動部、及び、前記グリーンタイヤのサイドウォール部に振動を与えるサイドウォール振動部のうち少なくとも一つを備えるものが好ましい。グリーンタイヤのショルダー部、ビード部及びサイドウォール部には、ベルトやビードフィラー、カーカスといったタイヤ構成部材の端部が配され、エア溜まりの原因となるエアが混入しやすいため、これらの部位に振動を与えることがエア入りを防止するうえで特に有効となる。
上記において、前記振動部が、前記ショルダー振動部と前記ビード振動部のうち少なくとも一方と、前記サイドウォール振動部とを備えるものが好ましい。かかる金型によれば、グリーンタイヤのショルダー部とサイドウォール部、或いはビード部とサイドウォール部に振動を与えられるので、それらの間にエア溜まりが形成されるのを効率良く抑えることができる。
上記において、前記サイドウォール振動部が振動を与えた後、前記ショルダー振動部又は前記ビード振動部が振動を与えるように作動可能に構成されたものが好ましい。かかる金型では、サイドウォール振動部が先に振動を与えることで、エアが適度に寄り集まった状態となり、続いてショルダー振動部又はビード振動部が振動を与えることで、エアを速やかに移動させてエア溜まりの形成を抑えることができる。
グリーンタイヤの一例を示すタイヤ子午線半断面図 加硫済みタイヤに形成されるエア溜まりの発生箇所を説明する図 本発明に係るタイヤ加硫金型の一例を概略的に示す縦断面図 タイヤを装着したタイヤ加硫金型の要部を拡大して示す断面図
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、図1に示したグリーンタイヤGT(生タイヤ)に加硫成形を施す例について説明する。但し、本発明が処理対象としうるタイヤの構造は、これに限定されるものではない。
図1に示したグリーンタイヤGTは、一対のビード部1と、ビード部1からタイヤ径方向外側に延びるサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向外側端にショルダー部4を介して連なるトレッド部3とを備える。ショルダー部4は、トレッド部3におけるタイヤ幅方向外側の部位であり、最外側に位置する周方向主溝10(図2参照)よりも外側に位置する。タイヤGTの外表面は、各部位に設けられたリムストリップゴム11、サイドウォールゴム12及びトレッドゴム13によって構成されている。
ビード部1には、鋼線等の収束体をゴム被覆して形成された環状のビード1aと、硬質ゴムにより形成されたビードフィラー1bとが設けられている。一対のビード部1の間には、ビード1aとビードフィラー1bを挟み込むようにして端部を折り返されたトロイド状のカーカス5が設けられている。カーカス5は、二枚のカーカスプライ5a,5bにより構成され、それぞれタイヤ赤道CLに対して略90°の角度で延びるコードをゴム被覆して形成されている。
ビード部1では、カーカス5の外側にビード補強材8が設けられ、サイドウォール部2では、カーカス5の折り返し部分とビードフィラー1bとの間にサイド補強材9が設けられている。トレッド部3では、カーカス5の外周に二枚のベルトプライ6a,6bからなるベルト6が設けられ、それを覆うようにベルト補強材7が設けられている。ベルトプライ6a,6bは、それぞれタイヤ赤道CLに対して傾斜して延びるコードをゴム被覆して形成され、該コードがプライ間で互いに逆向きに交差するように積層されている。ベルト補強材7は、実質的にタイヤ周方向に延びるコードをゴム被覆して形成されている。
このグリーンタイヤGTでは、丸枠で示したように、ショルダー部4にベルトプライ6a,6bの端部が配され、ビード部1にビード補強材8及びサイド補強材9の端部が配され、サイドウォール部2にカーカスプライ5a,5b及びビードフィラー1bの端部が配されている。これらの箇所では、部材間の隙間が生じやすく、それ故にエアの混入が回避し難い。かかる傾向は、当該タイヤGTに特有のものではなく、一般的な構造を有するタイヤ全般に共通している。
本発明者は、エア入りについて研究を重ねた結果、図2に示すように、加硫済みタイヤTにおいて、サイドウォール部2とショルダー部4との間のバットレス部に生じるエア溜まりA1と、ビード部1に生じるエア溜まりA2が顕著であることに着目し、これらは、図1の如く点在していたエアが加硫成形時に寄り集まって形成され、加硫時間内に脱出できずにタイヤ内部に残留したものであると考えた。故に、加硫時間を延長すればエア入りの低減に寄与しうるが、その反面で生産性が悪化することから、加硫時間を延長せずともエア入りを防止できる本発明を想到した。
以下、タイヤ加硫金型の構成と、それを用いた空気入りタイヤの製造方法について説明する。図3に示したタイヤ加硫金型M(以下、単に「金型M」と称する場合がある。)は、タイヤのトレッド部を成形するトレッド型部21と、タイヤのサイドウォール部を成形するサイド型部22,23と、タイヤのビード部を嵌合するためのビードリング24とを備える。トレッド型部21は、タイヤ周方向に分割された複数の分割片が連なった環状体であり、その内面にはトレッドパターンに対応した不図示の凹凸形状が設けられている。
図3に示す金型Mは型閉め状態にあり、トレッド型部21を拡径させるとともに、そのトレッド型部21とサイド型部23と上側のビードリング24を上昇させることによって、タイヤの出し入れが可能な型開き状態に移行する。トレッド型部21の背面にはコンテナ25が取り付けられており、コーンリング26の上昇に伴ってコンテナ25が径方向外側(図3の右側)に変位すると、トレッド型部21が拡径する。
図示を省略しているが、金型Mの内部にはブラダーと呼ばれるゴムバッグが設置されている。加硫成形時には、ブラダーを膨張させることによって、金型Mの内面にグリーンタイヤの外表面を密着させることができる。尚、ブラダーに代えて剛性コアを使用することも可能である。
また、金型Mの内面には、図示しない複数本の通気孔が開口していて、それらが吸引装置に接続されており、金型Mの内面とタイヤの外表面との間に介在するエアを型外に排出するとともに、タイヤの外表面を吸引して金型内面に密着できるように構成されている。
金型Mの内面には、グリーンタイヤに振動を与える振動部30が設けられている。振動部30は、トレッド型部21、サイド型部22及びサイド型部23の各々の内面に設けられ、タイヤ径方向の複数箇所に配置されている。振動部30は、金型Mに埋設された振動子により構成され、加硫成形時の金型温度から保護するために、振動子の周囲に断熱材を設置したり、振動子を冷やすための冷却装置を設けたりすることが好ましい。かかる振動部30は、タイヤ周方向の複数箇所に間隔を設けて配置される。
本実施形態では、振動部30が、グリーンタイヤのショルダー部に振動を与えるショルダー振動部33と、グリーンタイヤのビード部に振動を与えるビード振動部31と、グリーンタイヤのサイドウォール部に振動を与えるサイドウォール振動部32とを備える。振動部31〜33の各々は互いに独立した作動が可能であり、例えばサイドウォール振動部32が最初に振動を与え、その後にショルダー振動部33又はビード振動部31が振動を与えるように作動可能に構成されている。これらが振動を開始・終了するタイミングや振動時間は、不図示の制御装置により制御される。
図4に示すように、ショルダー振動部33は、タイヤのショルダー部に対向する金型内面に設けられ、タイヤGTに対してタイヤ径方向外側から振動を与えることができる。ビード振動部31は、タイヤのビード部に対向する金型内面に設けられ、タイヤGTに対してタイヤ幅方向外側から振動を与えることができる。サイドウォール振動部32は、タイヤのサイドウォール部に対向する金型内面に設けられ、タイヤGTに対してタイヤ幅方向外側から振動を与えることができる。
この金型Mを用いてグリーンタイヤGTを加硫成形する手順について説明する。まず、型開き状態にある金型MにグリーンタイヤGTを装着し、金型Mを型閉め状態にして、その金型Mの内面にグリーンタイヤGTの外表面を密着させる(装着工程)。このとき、ブラダーへの給気を行い、膨張したブラダーによってタイヤGTを内側から押圧するとともに、通気孔を介してタイヤGTを吸引することで、グリーンタイヤGTの外表面を金型Mの内面に確実に密着させることができる。
続いて、グリーンタイヤGTを加熱して加硫成形を施す(加硫工程)。グリーンタイヤGTの加熱は、コーンリング26の内部を流動するスチームやガス、温水などの加熱流体により、或いはブラダーに供給されたスチームなどの高温ガスにより行われる。加硫工程では、グリーンタイヤGTに熱と圧力が加えられ、ゴムの分子と硫黄の分子とが結合して、ゴムに弾力性や耐久性が付与されるとともに、タイヤのトレッド部3の外表面にトレッドパターンが付与される。
加硫時間(加硫工程に要する時間)は10分〜60分程度であり、この間にグリーンタイヤGTに内包されたエアが移動し、そのうちの幾つかはタイヤの外表面に達して排出されるものの、残りの幾つかが寄り集まってタイヤ内部に残留すると、図2のようなエア溜まりA1,A2が形成される。そこで、この加硫工程では、振動部30からグリーンタイヤGTに振動を与え、エアを積極的に移動させてタイヤ外部への排出を促し、これにより加硫成形後のタイヤ内部でのエア溜まりの形成を抑えて、エア入りの発生を防止する。
振動部30は、振動周波数について特に制限されるものではないが、高周波(3〜30MHz)の振動を発生することが好ましく、これにより加硫工程におけるエアの移動を効果的に促進して、エア入りの発生を良好に低減することができる。この場合、例えば、セイコーエプソン社製のSMD高周波振動子MA−406/505/506(基本波;4.000〜29.999MHz、3次オーバートーン;30.000〜64.000MHz)を用いることができる。尚、振動部30は、タイヤに振動を与えるものであれば足り、金型Mを振動させる必要はない。
図4において、ベルト端位置BPは、ベルト6を構成するベルトプライ6a,6bのうち幅狭のベルトプライ6bの端部の位置に相当する。ショルダー振動部33は、ベルト端位置BPか或いはそれよりもタイヤ幅方向内側に位置することが好ましい。これによって、ベルト6の端部近傍のエアが早期に寄り集まって加硫時間内に脱出しやすくなり、エア溜まりA1の形成を有効に抑制できる。ベルト端位置BPからショルダー振動部33までのタイヤ幅方向距離D1は、タイヤ赤道CLを基準としたベルトプライ6bの半幅Wの0〜30%が好ましく、5〜25%がより好ましい。
頂点位置RPは、断面山形状に膨出して不図示のリムフランジに対向するリムプロテクタの頂点の位置に相当し、リムプロテクタを設けていない場合にはリムラインの頂点位置を代用できる。ビード振動部31は、頂点位置RPの近傍に位置することが好ましい。これによって、ビード補強材8やサイド補強材9の端部近傍のエアが早期に寄り集まって加硫時間内に脱出しやすくなり、エア溜まりA2の形成を有効に抑制できる。頂点位置RPからビード振動部31までのタイヤ径方向距離D2は、ビード振動部31が頂点位置RPよりもタイヤ径方向外側にあれば10mm以下、タイヤ径方向内側にあれば20mm以下が好ましく、中でも頂点位置RPよりもタイヤ径方向内側にあればより好ましい。
最大幅位置MPは、金型Mの最大幅(SWD値)となる位置であり、リムプロテクタを考慮しないときのタイヤの最大幅位置でもある。サイドウォール振動部32は、ショルダー振動部33とビード振動部31との間に配置され、中でも最大幅位置MPの近傍に位置することが好ましい。これによって、カーカス5やビードフィラー1bの端部近傍のエアが早期に寄り集まって加硫時間内に脱出しやすくなり、エア溜まりA1,A2の形成を有効に抑制できる。最大幅位置MPからサイドウォール振動部32までのタイヤ径方向距離D3(図4ではD3=0)は、タイヤ断面高さTHの10%以下であることが好ましい。
加硫工程内であれば、グリーンタイヤGTに振動を与えるタイミングは特に限られないが、サイドウォール振動部32により振動を与え、その後にショルダー振動部33又はビード振動部31により振動を与えることが好ましい。サイドウォール振動部32が最初に振動を与えることで、エアが適度に寄り集まった状態となり、続いてショルダー振動部33やビード振動部31が振動を与えることで、エアを速やかに移動させてエア溜まりA1,A2の形成を有効に抑制できる。この場合、ショルダー振動部33とビード振動部31の振動は同時であっても構わない。
ショルダー振動部33、ビード振動部31、サイドウォール振動部32は、互いにタイミングをずらして振動を開始することが好ましく、振動時間を重複させないことがより好ましい。後述する実施例のように、ショルダー振動部33とビード振動部31とサイドウォール振動部32とが同時に振動を開始すると、エアを移動させる作用が相殺されてしまうために改善効果が小さくなる傾向にある。
振動部30の振動時間としては0.5〜3分が例示されるが、タイヤサイズやゴムの厚みなどに応じて、更には生産性をも考慮して適宜に設定することが可能である。また、部位ごとに振動部の振動時間や振動周波数を異ならせても構わない。
加硫工程を終えたら、ブラダーを萎ませつつ金型Mを型開き状態にして、金型Mから加硫済みタイヤを取り出す(脱型工程)。この段階では、既に振動部30が振動を停止しており、金型Mからタイヤを取り出す際に振動部30の振動は不要である。
本発明の空気入りタイヤの製造方法は、グリーンタイヤを上記の如く加硫成形する程度の改変で、その他は従来のタイヤ製造工程と同様にして製造を行うことができる。また、本発明のタイヤ加硫金型は、金型内面に上記の如き振動部を設けること以外は、通常のタイヤ加硫金型と同等であり、従来公知の材料、形状、構造などが何れも本発明に採用することができる。
[他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、タイヤ幅方向の両側に振動部を設けた例を示したが、本発明はこれに限られず、タイヤ幅方向の片側のみに、例えばエア入りの発生が顕著な側のみに振動部を設けるようにしてもよい。
(2)前述の実施形態では、振動部30が、ショルダー振動部33とビード振動部31とサイドウォール振動部32とを備える例を示したが、これに限定されない。本発明では、加硫工程でエアを積極的に移動させてエア溜まりの形成を抑制するうえで、振動部30が、ショルダー振動部33、ビード振動部31及びサイドウォール振動部32のうち少なくとも一つを備えていることが好ましい。
更に言えば、振動部30は、ショルダー振動部33とビード振動部31のうち少なくとも一方と、サイドウォール振動部32とを備えるものが好ましい。エア溜まりの発生は図2で示した二箇所で顕著であるため、グリーンタイヤGTのショルダー部4とサイドウォール部2、及び/又は、グリーンタイヤGTのビード部1とサイドウォール部2に振動を与えることにより、エア溜まりの形成を効率良く抑制できる。
本発明の構成と効果を具体的に示すため、タイヤサイズ235/45ZR18のタイヤ加硫金型を用いて加硫成形を実施し、エア入りの発生状況と加硫時間について調査した。
前述した実施形態のように、加硫工程で振動部からグリーンタイヤに振動を与えたものを実施例1〜4、振動を与えなかったものを比較例1とした。評価項目である「エア入り」は、加硫本数に対するエア入り発生本数の割合で評価した。また、「加硫時間」は、加硫工程に要した時間により評価し、比較例1の結果を100として指数で表した。各例における加硫本数は約500本とした。
実施例1では、ビード振動部(2分)、サイドウォール振動部(1分)、ショルダー振動部(0.5分)の順序で振動を行った。実施例2では、ビード振動部(3分)、ショルダー振動部(2分)、サイドウォール振動部(1分)、の順序で振動を行った。実施例3では、ショルダー振動部(3分)、ビード振動部(2分)の順序で振動を行った。実施例4では、各振動部(3分)で同時に振動を行った。いずれも加硫工程の開始3分後に振動を開始し、振動を停止して所定時間が経過した後に金型からタイヤを取り出した。
実施例1〜4において、ショルダー振動部は、ベルト端位置BPからタイヤ幅方向内側に半幅Wの10%となる位置に設けた。また、ビード振動部は、頂点位置RPからタイヤ径方向内側に10mmとなる位置に設け、サイドウォール振動部は、最大幅位置MP(距離D3=0)に設けた。各振動部の振動周波数は15MHzとした。評価結果を表1に示す。
Figure 2011251469
表1に示すように、実施例1〜4では、比較例1に比べてエア入りを低減できており、中でも振動のタイミングを相違させた実施例1〜3では改善代が大きく向上している。また、サイドウォール振動部が最初に振動を与えた実施例3では、ショルダー振動部の振動を省略しているにも関わらず、短い加硫時間にてエア入りを防止できている。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ショルダー部
6 ベルト
6a ベルトプライ
6b ベルトプライ
30 振動部
31 ビード振動部
32 サイドウォール振動部
33 ショルダー振動部
GT グリーンタイヤ
M タイヤ加硫金型

Claims (7)

  1. グリーンタイヤを金型に装着して、その金型の内面に前記グリーンタイヤの外表面を密着させる装着工程と、前記グリーンタイヤを加熱して加硫成形を施す加硫工程と、前記金型から加硫済みタイヤを取り出す脱型工程とを備える空気入りタイヤの製造方法において、前記加硫工程にて、前記金型の内面に設けた振動部から前記グリーンタイヤに振動を与えることを特徴とする空気入りタイヤの製造方法。
  2. 前記振動部が、前記グリーンタイヤのショルダー部に振動を与えるショルダー振動部、前記グリーンタイヤのビード部に振動を与えるビード振動部、及び、前記グリーンタイヤのサイドウォール部に振動を与えるサイドウォール振動部のうち少なくとも一つを備える請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
  3. 前記振動部が、前記ショルダー振動部と前記ビード振動部のうち少なくとも一方と、前記サイドウォール振動部とを備える請求項2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
  4. 前記加硫工程にて、前記サイドウォール振動部により振動を与え、その後に前記ショルダー振動部又は前記ビード振動部により振動を与える請求項3に記載の空気入りタイヤの製造方法。
  5. グリーンタイヤを加硫成形するためのタイヤ加硫金型において、前記グリーンタイヤの外表面に密着する金型内面に、前記グリーンタイヤに振動を与える振動部が設けられていることを特徴とするタイヤ加硫金型。
  6. 前記振動部が、前記グリーンタイヤのショルダー部に振動を与えるショルダー振動部、前記グリーンタイヤのビード部に振動を与えるビード振動部、及び、前記グリーンタイヤのサイドウォール部に振動を与えるサイドウォール振動部のうち少なくとも一つを備える請求項5に記載のタイヤ加硫金型。
  7. 前記サイドウォール振動部が振動を与えた後、前記ショルダー振動部又は前記ビード振動部が振動を与えるように作動可能に構成された請求項6に記載のタイヤ加硫金型。
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