JP2011247602A - 高抵抗電極を用いたピクセル型電極による粒子線画像検出器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本粒子線画像検出器は、絶縁体基板を貫通し上端面が絶縁体基板の表面に露出する円柱状陽極電極を有し、絶縁体基板の裏面に形成される陽極電極パターンと、円柱状陽極電極の上端面の回りに円形状の開口部を有し、絶縁体基板の表面に形成される陰極電極パターンと、を具備するピクセル型電極の粒子線画像検出器において、陰極電極パターンの表面が10Ω・m以上1000Ω・m以下の比抵抗を有する高抵抗性素材により被覆される。これにより、電極間に局地的に大電流が流れるような放電現象を、電圧降下作用により自発的に抑制でき、動作の安定性を向上できる。
【選択図】図1
Description
一方で、これら大強度の粒子線を有効に用いて結果を得るためには、対応する粒子線検出器が必要である。ワイヤーチェンバーなどのガス検出器は、個々の入射粒子に対する位置分解能、時間分解能に優れていることから、これまで粒子線検出器として広く使われてきた。しかし、ワイヤーを読出しに用いたものでは概ね104counts/mm2以上の高頻度入射粒子には対応できていない。
(MPGD) が研究・開発されるようになった。かかるマイクロパターンガス検出器の代表的なものとしては、 ストリップ型電極による検出器MSGC(Micro Strip Gas
Chamber;マイクロストリップガスチャンバー)や、CERN(欧州素粒子研究機構)にて開発され近年量産段階に入りつつあるGEM(Gas Electron
Multiplier)などが挙げられる(例えば、特許文献1,特許文献2を参照。)。これらは数百μm
以下の非常に高い検出位置分解能を持ち、粒子線の入射頻度許容量がワイヤー式のガス検出器に比べて数百倍以上あることが特徴であることから、例えば高輝度X線を用いた物質構造解析などに用いられ一定の成果を上げている。
(Micro
Pixel Chamber;マイクロピクセルチェンバー)
を開発した(特許文献3)。これは高いガス増幅率を得ながら、放電現象を可能な限り起こさない電場構造を、電極構造の工夫により実現した検出器である。μ−PICについては、高い位置分解能の他に、ガス増幅器としては極めて不感時間が短いことが利点として挙げられ、高輝度の粒子線に対する検出器としても大きな期待が寄せられている。
しかし実用に向けた開発では、十分な増幅率と動作安定性の確保のために、GEM(Gas Electron
Multiplier)など他の検出器と組み合わせざるを得ないのが現状である。
陰極電極パターンの表面が10Ω・m以上1000Ω・m以下の比抵抗を有する高抵抗性素材により覆い、電極間に局地的に大電流が流れる自続放電による電極破損を回避する。陰極電極パターンの表面に被覆された高抵抗物質が、電圧降下作用により放電を自発的に抑制するのである。このように、放電を自発的に抑制して、検出器の安定動作を実現する。
高抵抗性素材の比抵抗の範囲として10Ω・m以上1000Ω・m以下としたのは、比抵抗が10Ω・m未満の場合は、放電時に十分な電圧降下が得られない可能性があり、電圧降下作用により放電を自発的に抑制するのに適さず、比抵抗が1000Ω・mより大きい場合は通常の粒子線の検出においても電圧降下が生じ十分な信号が得られない恐れがあるためである。。また、高抵抗性素材の比抵抗の範囲は、素材の厚さが25μmの場合は、50Ω・m以上500Ω・mの範囲が更に好ましい。
また、開口部のエッジ部分に被覆されている高抵抗性素材は、絶縁体基板と接触することが好ましい。陽極電極部分を露出させないことで、放電をより生じにくくできる。
陰極電極の開口部の円形の直径は200〜300μmであることから、適切な膜厚としたものである。
なお、高抵抗性素材の被覆膜の膜厚の範囲は、1〜30μmの範囲が更に好ましい。
本発明の粒子線画像検出器は、絶縁体基板11の表面と裏面にそれぞれ陰極電極パターン14と陽極電極パターン12が形成される。
陽極電極パターン12は、絶縁体基板11を貫通し上端面が絶縁体基板11の表面に露出する円柱状陽極電極13を有している。
また、陰極電極パターン14は、円柱状陽極電極13の上端面の回りに円形状の開口部16を有しており、さらに、陰極電極パターンの表面が10Ω・m以上1000Ω・m以下の比抵抗を有する高抵抗性素材15により被覆されている。
陰極電極パターンを被覆している高抵抗性素材は、デュポン社製の導電性ポリイミドシートを用いている。
また、上方に所定間隔を隔ててドリフト電極17が配置されており、アルゴンとエタン等からなるガスが流通するチャンバーが形成されている。
先ず、ピクセル型電極、すなわち、円柱状陽極電極13の直径D1は約50μmである。この円柱状陽極電極13の直径D1は40〜100μmの範囲で決定する。円柱状陽極電極13の高さは、両面基板11の高さに応じて50〜150μmの範囲で適宜設定することができる。円柱状陽極電極13の間隔D3は、約400μmである。
また、絶縁体基板11の厚さD2 は約100μmである。円柱状陽極電極13の高さD4は約100μm(両面基板11の厚さ相当)としている。
また、陽極電極パターン12は幅300μmである。この陽極12の幅は200〜400μmの範囲で決定する。陰極電極パターン14の円形状の開口部16の直径は約250μmである。この開口部16の直径は200〜300μmの範囲で決定する。
陰極電極パターン14を被覆している高抵抗性素材の厚さD5は、約25μmである。
と粒子線画像検出ができる。
入射粒子線によりガス中で電離された電子e- は、ドリフト電場により検出器表面方向のピクセル型電極(円柱状陽極電極13)へドリフトされる。ピクセル型電極の近傍には、円柱状陽極電極−陰極電極間には、例えば、500Vの電圧が印加されており、円柱状陽極電極−陰極電極間の強力な電場により、電子はガス雪崩増幅を起こす。この結果生じた+イオンは、周囲の陰極電極へ速やかにドリフトしていく。
信号の読み出し、及び2次元画像を得るための回路系などについては、従来のμ−PIC用に開発したものをそのまま用いることができる。
陽極電極を覆う高抵抗性素材によって、放電などの大きな電荷移動に対しては、陰極電極と高抵抗性素材の界面から、高抵抗性素材の表面まで電圧降下が起きる。これにより、放電などの大きな電荷移動を自発的に抑制できることになる。
また、陰極電極パターン14のパターン間においても、エッジの25μm分の部分(D7)まで、高抵抗性素材の導電性ポリイミドシートで覆われている。
さらに、動作ガスと高抵抗物質の抵抗値の選び方によっては、ガイガー・ミュラーモードでの動作が可能と考えられており、この場合取り扱いに優れた粒子線が像検出器が実現できる。
12 陽極電極パターン
13 円柱状陽極電極
14 陰極電極パターン
15 高抵抗性素材
16 開口部
17 ドリフト電極
20 放電
Claims (5)
- 絶縁体基板を貫通し上端面が前記絶縁体基板の表面に露出する円柱状陽極電極を有し、前記絶縁体基板の裏面に形成される陽極電極パターンと、前記円柱状陽極電極の上端面の回りに円形状の開口部を有し、前記絶縁体基板の表面に形成される陰極電極パターンと、を具備するピクセル型電極の粒子線画像検出器において、
前記陰極電極パターンの表面が10Ω・m以上1000Ω・m以下の比抵抗を有する高抵抗性素材により被覆されたことを特徴とする粒子線画像検出器。 - 前記高抵抗性素材は、前記開口部のエッジ部分に被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の粒子線画像検出器。
- 前記開口部のエッジ部分に被覆されている前記高抵抗性素材は、前記絶縁体基板と接触していることを特徴とする請求項2に記載の粒子線画像検出器。
- 前記高抵抗性素材が、導電性のポリイミド (polyimide)もしくは導電性のポリイミドを含有する薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の粒子線画像検出器。
- 前記高抵抗性素材の被覆膜の膜厚が、1〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の粒子線画像検出器。
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