JP2011246627A - 感光性接着シート、及びパターニングされた接着フィルムの形成方法 - Google Patents

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勉 北勝
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【課題】より良好なパターン形状を有する接着剤フィルムを形成する方法及びこの方法に用いられる感光性接着シートを提供すること。
【解決手段】基材2と、基材2上に設けられた感光性接着フィルム1と、を備える感光性接着シート4a。当該感光性接着シートを、被着体に感光性接着フィルムが被着体側になる向きで貼り付ける工程と、基材を除去してから感光性接着フィルムを露光する工程と、露光された感光性接着フィルムを現像して、パターニングされた接着フィルムを形成させる工程とを含む方法により、パターニングされた接着フィルムを形成するために用いられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、感光性接着シート、及びパターニングされた接着フィルムの形成方法に関する。
感光性接着剤は、液状もしくはフィルム形状で使用される。平坦性の点でフィルム形状が使用されるが、その感光性接着フィルムを支持し、異物などから保護する目的で基材つきである場合が一般的である。
基材上に設けられた感光性接着フィルムは、パターニングのために基材を介して露光される。感光性接着フィルムは、一般に、感光性接着剤組成物を含むワニスを基材に塗布し、塗布されたワニスを乾燥する方法により製造される。そのため、感光性接着剤組成物は、はじきが発生しない程度に基材との濡れ広がり性を有している必要がある。その結果、乾燥後の感光性接着フィルムと基材との密着力が高くなる傾向にあり、露光前に基材を感光性接着フィルムから剥がすことが容易でない場合が多い。また、感光性接着フィルムに含まれる光開始剤の多くは、基材をはがすと酸素阻害を受けやすくなる。したがって、基材を介して露光を行い、露光後に基材をはがすことが一般的である。
特開2007-291375号公報
感光性接着フィルムから、より良好なパターン形状を有する接着剤フィルムを形成することが求められている。
そこで、本発明は、より良好なパターン形状を有する接着剤フィルムを形成する方法及びこの方法に用いられる感光性接着シートを提供することを目的とする。
本発明は、基材と、該基材上に設けられた感光性接着フィルムと、を備える感光性接着シートに関する。本発明に係る感光性接着シートは、当該感光性接着シートを、被着体に感光性接着フィルムが被着体側になる向きで貼り付ける工程と、基材を除去してから感光性接着フィルムを露光する工程と、露光された感光性接着フィルムを現像して、パターニングされた接着フィルムを形成させる工程とを含む方法により、パターニングされた接着フィルムを形成するために用いられる。
別の側面において、本発明は、パターニングされた接着フィルムの形成方法に関する。本発明に係る方法は、基材と、該基材上に設けられた感光性接着フィルムと、を備える感光性接着シートを、被着体に感光性接着フィルムが被着体側になる向きで貼り付ける工程と、基材を除去してから感光性接着フィルムを露光する工程と、露光された感光性接着フィルムを現像して、パターニングされた接着フィルムを形成させる工程とを含む。
感光性接着フィルムを、従来のように基材を介して活性光線に露光すると、基材によって光が回折、屈折及び散乱し、感光性接着フィルムに到達する光の直進性が低下するため、良好なパターン形状が形成されにくいと考えられる。また、基材が光を吸収することから感光性接着フィルムに到達する光量が低下する。光量が低下すると感光性接着フィルムの光架橋の進行が遅くなるため、露光量を増加させる必要がある。露光量が増えると回折する光が増え、パターンの形状の低下を招くと考えられる。これに対して、本発明によれば、基材を介さずに感光性接着フィルムを露光することから、より良好なパターン形状を有する接着剤フィルムを形成することができる。
感光性接着フィルムの被着体に対する密着力が、感光性接着フィルムの基材に対する密着力よりも高いことが好ましい。
感光性接着フィルムは、ベースポリマーと、光重合性化合物と、熱硬化性成分と、を含むことが好ましい。
より良好なパターン形状を有する接着剤フィルムを形成する方法及びこの方法に用いられる感光性接着シートを提供する。本発明によれば、パターニングされた接着フィルムを短時間で形成することができる。本発明によりパターニングされた接着剤フィルムは、硬化後の弾性率が高く、優れた接着強度を発現する。
感光性接着シートの一実施形態を示す断面図である。 感光性接着シートの一実施形態を示す断面図である。 パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。 パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。 パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。 パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。 パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。 パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。 感光性接着シートを用いた半導体装置の一実施形態を示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、感光性接着シートの一実施形態を示す断面図である。図1に示す感光性接着シート4aは、基材2と、基材2上に設けられた感光性接着フィルム1とから構成される。
図2も、感光性接着シートの一実施形態を示す断面図である。図2に示す感光性接着シート4bは、基材2と、基材2上に設けられた感光性接着フィルム1と、感光性接着フィルム1の基材2とは反対側の面上に設けられたカバーフィルムィルム3とから構成される。
露光前に基材を剥がすのが容易という点から、感光性接着フィルムと基材との密着力は5N以下であることが好ましい。ここでいう密着力とは下記の測定方法によって測定した値を指す。この密着力が高すぎるとウェハが割れる可能性がある。
密着力の測定方法:
感光性接着シートから幅1cmの試験片を切り出し、カバーフィルムを除去してから400μm厚の5インチウェハに50℃で貼り合わせる。その後、基材の端を引張試験機の治具に固定し、基材を90°方向に引き剥がし、ピーク点の荷重を密着力として測定する。
テープサイズ:10mm幅
引張距離:60mm
試験速度:200nn/分
感光性接着フィルムと基材との密着力は、適切な基材の選択、基材の処理、適切な感光性接着フィルムの選択などにより調整される。
基材は、特に制限はないが、露光前に基材を剥がすのが容易であるという点から、感光性接着フィルムに対する密着性が低いものが好ましい。例えば、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムなどが挙げられる。基材は、はく離処理されたものであることが好ましい。はく離処理されていれば、基材の種類は特に制限されない。はく離処理剤の種類や厚さにより感光性接着フィルムと基材の濡れ性が低下し、容易に露光前に基材を剥がすことが可能になる傾向にある。
様々な基材を使用してもよいが、必要以上にはく離性の高い基材を使用すると、フィルムを形成する際にはじきが発生しやすく、製造歩留まりが低下してしまう恐れがある。はじきを回避するためワニスを乾燥する際の温度や時間、乾燥時の風速、風圧などを調整することが好ましい。例えば、ワニスを乾燥させる方法として、用いる溶媒の沸点よりも低い温度から少しずつ温度をあげて乾燥させることなどが挙げられる。使用するワニスの種類やワニスを乾燥させる際の乾燥条件により、フィルムと基材との密着力を調整できる場合もある。さらに、ワニスの粘度や固形分の割合によっても調整できる場合がある。
本発明では、基材を露光前に除去するため、基材は光透過性を有さなくてもよい。そのため、耐熱性、破断強度などの点から基材を選択することが可能となる。例えば、光透過性を有しない基材を使用することで、フィルム作成時の外観検査が容易になる、フィルムを加工、貼りあわせるなどの工程において位置合わせが容易になるなどのメリットが生まれる。
感光性接着フィルムは、無機充填材を含むことが好ましい。感光性接着フィルム中の無機充填剤を増量させることで、表層の樹脂分が減り、タック性が低下し感光性接着フィルムと基材との密着性が低下し、露光前に基材を剥がすことが容易となる傾向にある。
基材の表面に凹凸があると、感光性接着フィルムと基材の密着する面積が減少する傾向にある。これにより、感光性接着フィルムと基材との密着性が低下し、露光前に基材を剥がすことが容易となる。表面に凹凸がある基材としては、例えば、エンボス加工したフィルムなどが挙げられる。
本実施形態に係る感光性接着シートは、露光前に基材を剥がすため、空気中の酸素の影響により感光性接着フィルムの性能(パターン形成性、接着性)が低下しにくいことが好ましい。一般的に感光性接着フィルムは空気下に置かれることで酸素阻害を受けやすく、それは、一般的に感光性接着フィルムは光開始剤を含有しており、この光開始剤が空気中の酸素阻害を受けやすいためである。酸素阻害によりパターン形成性が低下するなどの問題を回避するために、露光後に基材を剥がすというのが一般的であった。
感光性接着フィルムが空気中の酸素からの影響を受けにくいものとするために、例えば、適切な光開始剤の選択、フィルムの厚さの適切な調整などが行われる。例えば、以下のように行われる。
感光性接着フィルムは、酸素阻害を受けにくい光開始剤を含有することが好ましい。例えば、光カチオン重合開始剤が挙げられる。これにより、感光性接着フィルムが空気中の酸素から影響を受けにくくなり、露光前に基材を剥がしても問題がない。光カチオン重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、チオキサントンなどのケト化合物とアミン類との反応が挙げられるが、光の反応後の低分子量成分が少ないという点において、特に1分子中にケト官能基とアミン官能基とを含む開始剤が好ましい。また、感光性接着フィルムへの空気中の酸素の影響を考慮して、開始剤量を調整する方法もある。
内部硬化が充分に進行する光開始剤を使用する方法もある。これにより、フィルム表面層は酸素からの影響を受け硬化は不十分となりやすいが、一方でフィルムの内部を十分に硬化させることができ、現像により酸素からの影響を受けた表面層を除くことが可能となる。これにより、良好なパターン形成性と接着性を維持することが可能である。
感光性接着シートは、露光前に基材を剥がすのが容易という点から、感光性接着フィルムと基材との密着力が、被着体と感光性接着フィルムとの密着力よりも低いことが好ましい。
感光性接着フィルムは、ベースポリマーと、光重合性化合物と、熱硬化性成分と、を含有する感光性接着剤組成物から形成されることが好ましい。この感光性接着剤組成物はネガ型、ポジ型どちらでもよい。
上記ベースポリマーは、特に制限されないが、例えば、ポリイミドアミド樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂が挙げられる。優れた熱時接着性という点からベースポリマーは主鎖にイミド基を有するポリマーを含むことが好ましい。
現像工程に用いる現像液がアルカリ現像液である場合、ベースポリマーはアルカリ可溶性基を有するポリマーであることが好ましい。アルカリ可溶性基としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基などが挙げられ、中でもアルカリ性水溶液に対する高い溶解性を付与できる点で、カルボキシル基、及びフェノール性水酸基が好ましい。これにより、アルカリ現像液によるパターン形成性を確保できる。ベースポリマーとしては、これらのアルカリ可溶性基を末端又は側鎖に有する樹脂又は化合物を用いることが好ましい。
現像工程に用いる現像液が有機溶媒である場合、ベースポリマーは現像液に可溶なポリマーであることが好ましい。
ベースポリマーは、ガラス転移温度(以下、「Tg」という)が150℃以下の熱可塑性樹脂であることが好ましい。Tgは、0〜120℃の範囲にあることがより好ましく、40〜100℃の範囲にあることが特に好ましい。上記感光性接着剤組成物は、樹脂のTg付近で良好な貼付性を有するため、Tgが室温に近くなるほど、低温で貼付けることが可能である。一方で、Tgが室温付近にあると安定性が低下する傾向がある。
上記のとおり、熱可塑性樹脂のTgは、150℃以下であることが好ましく、120℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることが特に好ましい。このような熱可塑性樹脂を用いることにより、より低い温度で貼り付けることが可能な感光性接着フィルムを得ることができる。Tgの下限は必ずしも限定されないが、20℃以上であることが好ましく、40℃以上であることが特に好ましい。Tgが150℃を超えると、シリコンウェハ等の被着体への貼り付け温度、及び露光後の圧着温度が高くなり、熱応力による反りの発生等、周辺部材にダメージを与えやすくなる傾向にある。また、Tgが20℃未満であると、フィルム表面の粘着性が強くなる傾向にあり、露光前に基材をはがす際の取り扱い性が低下する傾向にある。Tgが室温以上、特に40℃以上であると露光前に基材をはがしやすい傾向にある。なお、上記のTgとは、粘弾性測定装置(レオメトリック社製)を用いてフィルムとして測定したときのtanδのピーク温度(主分散温度)である。
ベースポリマーは、1種を単独で又は必要に応じて2種以上を混合(ブレンド)して使用することができる。
感光性接着フィルムを形成する感光性接着剤組成物において、ベースポリマーの含有量は、感光性接着剤組成物の固形分全量を基準として10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。ベースポリマーの含有量が10質量%未満であると、成膜性が低下する傾向があり、90質量%を超えると、パターン形成性、接着強度が低下する傾向がある。
光重合性化合物としては、紫外線や電子ビームなどの光の照射により重合及び/又は硬化する化合物であれば特に制限は無く、公知の光重合性化合物を用いることができる。
光重合性化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
感光性接着剤組成物において、光重合性化合物の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して5〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましい。光重合性化合物の含有量が200質量部を超えると、フィルム形成性が低下する傾向にある。一方、光重合性化合物の含有量が5質量部未満であると、パターン形成性が低下する傾向にある。
本発明において熱硬化性成分とは、熱により架橋反応を起こしうる反応性化合物から構成される成分である。高温において優れた接着力を持たせることができる点で、エポキシ樹脂、シアネート樹脂またはビスマレイミド樹脂が好ましく、作業性、生産性の点からエポキシ樹脂が特に好ましい。これら熱硬化性樹脂は単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂としては、分子内に2個以上のエポキシ基を含むものがより好ましく、硬化性や硬化物特性の点から、フェノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂が特に好ましい。1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、これらのエポキシ樹脂には、不純物イオンであるアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲンイオン、特に塩素イオンや加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロマイグレーション防止や金属導体回路の腐食防止のために好ましい。
熱硬化性樹脂を用いる場合、これを硬化させるために、硬化剤、硬化促進剤、触媒等の添加剤を感光性接着剤組成物中に適宜加えることができる。触媒を添加する場合は助触媒を必要に応じて使用することができる。
エポキシ樹脂を使用する場合、熱硬化性成分は、エポキシ樹脂の硬化剤又は硬化促進剤を含むことが好ましい。
感光性接着剤組成物において、熱硬化性成分の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して1〜150質量部であることが好ましく、5〜80質量部であることがより好ましい。この含有量が1質量部未満であると、耐熱性が低下する傾向があり、150質量部を超えると、フィルム形成性が低下する傾向がある。
感光性接着剤組成物は、更に無機充填剤を含有することが好ましい。無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、チタニア、ガラス、酸化鉄、ほう酸アルミ、セラミック等からなる非金属無機フィラー、ゴム系フィラー等の有機フィラーなどが挙げられ、特にシリカフィラーが好ましい。シリカフィラーを用いると、感光性接着剤組成物の透明性が確保でき、パターン形成性がより良好となる。
無機充填材の形状は特に限定しないが、球状のものが光を散乱せず、好ましい。無機充填材の表面処理の有無については特に限定しないが、疎水性の表面処理がなされているものは空気中の水分等を吸収が抑制され、染み出しが低減され、好ましい。混合、混練には、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル、ジェットミル等の分散機を適宜、組み合わせて行うことができる。
無機充填材の含有量は、感光性接着剤組成物の固形分全量を基準として1〜30質量%であることが好ましい。無機充填材の量が多いほど、感光性接着剤フィルムの表層における樹脂分が減り、基材との密着力が低下し基材を除去しやすくなる。無機充填材の含有量が1質量%未満である場合は、感光性接着フィルムと基材との密着が高く基材をはがしにくくなる傾向にある。また、無機充填材の含有量が30質量%を超えると、感光性接着フィルムの表層部分の樹脂が減り、半導体素子へのラミネート温度が高くなる傾向や、パターン形成後の再接着時に充分な濡れ広がりを確保できない傾向にある。無機充填材の含有量を増やすほど、感光性接着剤組成物のタック性が低下するため露光前に基材を容易に除去することが可能となる傾向がある。
無機充填材の平均粒径は1μm以下が好ましく、特に30nm以下が好ましい。無機充填材の形状によって左右されるが、平均粒径が小さくなるほど光の透過率が向上する傾向にある。平均粒径が1μm以上である場合、現像後のパターン表面、側壁等が荒れ、パターン性が低下する傾向にある。平均粒径の下限は特に規定しない。平均粒径はレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
光重合開始剤は、光照射によって遊離ラジカルを生成する化合物である。光重合開始剤は、感度を良くする観点から、300〜500nmに吸収帯を有することが好ましい。光重合開始剤は、1種を単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
光重合開始剤の含有量は、特に制限されないが、ベースポリマー100質量部に対して通常0.001〜30質量部であることが好ましく、0.1〜15質量部であることがより好ましい。上記含有量の範囲内とすることにより、光重合開始剤が多いほど、露光量が少なくても良好なパターンを形成できることと、その一方で、光重合開始剤が多いと感度が高くなり過ぎ、取り扱いが不便になることのバランスを取ることができる。
感光性接着剤組成物は、接着強度を向上させる等の目的で、適宜カップリング剤を含有していてもよい。カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタン系カップリング剤等が挙げられるが、中でもシランカップリング剤が高い接着力を付与できる点で好ましい。
カップリング剤を用いる場合、その使用量は、ベースポリマー100質量部に対して、0.001〜30質量部であることが好ましく、0.01〜20質量部であることがより好ましい。使用量が30質量部を超えると、感光性接着剤組成物の保存安定性が低下する傾向にある。
感光性接着シート4aは、例えば、ベースポリマー、熱硬化性樹脂、光重合性化合物、及び必要に応じて他の成分を有機溶媒中で混合し、混合液を混練してワニスを調製し、基材2上にこのワニスの層を形成させ、加熱によりワニス層を乾燥する方法で得ることができる。また、感光性接着シート4aの状態にカバーフィルム3を貼り合せ、感光性接着シート4bの状態で保存及び使用することもできる。
上記の混合及び混練は、通常の攪拌機、らいかい機、三本ロール、ボールミル等の分散機を適宜組み合わせて行うことができる。ワニス層の乾燥は、乾燥中に熱硬化性成分が十分には反応しない温度で、且つ、溶媒が充分に揮散する条件で行う。具体的には、通常50〜200℃で、0.1〜90分間加熱することによりワニス層を乾燥する。乾燥前の上記ワニス層の厚みは好ましくは1〜200μmであり、特に10〜150μmが好ましい。厚みが1μm未満であると、乾燥によるワニスの凝集でフィルム状にピンホールが起きやすくなる傾向にあり、200μmを超えるとフィルムの平坦性が低下する傾向にある。また、厚みが1μm未満であると、現像時間・現像液の噴出圧力などの諸条件の規定が難しく、200μmを超えると乾燥中に基材からワニスが漏れ、乾燥炉を汚したり、気泡を含みやすくなるため製造歩留まりが低下する。
上記熱硬化性成分が十分には反応しない温度とは、具体的には、DSC(例えば、パーキンエルマー社製「DSC−7型」(商品名))を用いて、サンプル量:10mg、昇温速度:5℃/min、測定雰囲気:空気、の条件で測定したときの反応熱のピーク温度以下の温度である。
ワニスの調製に用いる有機溶媒、すなわちワニス溶剤は、材料を均一に溶解又は分散できるものであれば、特に制限はない。例えば、ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、及びN−メチル−ピロリジノンが挙げられる。これらの中でも、残存揮発分の点、均一な溶解性、分散性の点からN−メチル−ピロリジノンが特に好ましい。
ワニス層の厚みは好ましくは1〜100μmであり、特に10〜70μmが好ましい。厚みが1μm未満であると、接着固定機能が損なわれる傾向にあり、100μmを超えると、後述する残存揮発分が多くなる傾向にある。また、厚みが1μm未満であると、現像時間、現像液の噴出圧力などの諸条件の規定が難しく、100μmを超えると現像残渣が多くなり、パターン形成性が低下する傾向にある。
基材2は、上記感光性接着剤組成物を塗布、乾燥して均一なフィルムを得るために必要な耐熱性、耐溶剤性を有するものであることが好ましい。例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの合成樹脂フィルム、またはそれらをさらに表面がシリコーン系、シリカ系等のはく離処理したフィルム、アルミ箔のような金属箔が用いられる。基材としてのフィルムは2種以上組み合わせた多層フィルムであってもよい。
基材2は、乾燥して均一なフィルムを得るために必要な濡れ性があり、かつ乾燥後の露光前の感光性接着フィルムの被着体に対する密着力が、基材2に対する密着力よりも高い感光性接着フィルムであることが好ましい。
基材は、露光前に除去されるため光の屈折、透過率などを考慮する必要がなく、この点で特に限定されない。具体的には透明な基材、不透明な基材、色つきの基材などでもよい。このため被着体に対する感光性接着シートを貼り付け位置認識などの目的で、基材の一部または全部に色をつけたり不透明にすることが可能となる。さらに不透明な基材や色がつき基材は、感光性接着剤組成物を塗布、乾燥して均一なフィルムを得られたかどうか外観検査をする際に、シワやピンホールの検出が透明な基材よりも容易であり好ましい。また不透明な基材や色つきの基材を用いることで、基材が除去されたかどうかを目視で容易に確認できるようになる。
本発明に使用される基材は、露光前に除去されるため表面処理剤による光の屈折や、透過率の低下を考慮する必要がなく、さまざまな表面処理剤が使用できる。このためどのような組成の感光性接着剤組成物に対して、感光性接着剤組成物の被着体に対する密着力よりも、基材に対する密着力を下げることが容易になる。これまで基材の材料の吸収領域の関係で使用できなかった基材も使用が可能になる。
図3〜6は、パターニングされた接着フィルムの形成方法の一実施形態を示す断面図である。本実施形態に係る方法は、感光性接着シートを、被着体としての半導体素子6に、感光性接着フィルム1が半導体素子6側になる向きで貼り付ける工程と、基材2を除去してから感光性接着フィルム1を露光する工程と、露光された感光性接着フィルム1を現像してパターニングされた接着フィルム1bを形成させる工程とから構成される。
感光性接着シートを半導体素子6に貼り付ける方法は、特に限定されないが、均一にボイドなく貼り付けられる方法が好ましい。例えば、図3に示されるように、カバーフィルムを除去した感光性接着シートを、ロール7を用い、必要に加熱しながら圧力をかけつつ感光性接着シートをラミネートすることができる。ラミネートは、ロールと支持体とを有する装置(ロールラミネーター)を用いて行うことができる。ラミネート時の温度は、好ましくは20〜150℃である。
図4に示すように感光性接着シートを半導体素子6に貼り付けた後、露光前に、基材2を除去する(図5)。例えば、基材2の端部をピンセットなどで掴み、引き上げる方法によって基材2を除去することができる。基材2の感光性接着フィルム1とは反対側の面に粘着テープ又は接着テープを貼り付け、そのテープを引っ張ることにより基材2を除去してもよい。感光性接着フィルム1を冷やし、感光性接着フィルム1の基材2に対する追従性を下げた状態で、テープ又はピンセットなどを用いて基材2を除去してもよい。
基材2を除去した後、図6に示すように、開口部10を有するフォトマスク5を感光性接着フィルム1上に配置し、フォトマスク5を通して感光性接着フィルム1が露光される。フォトマスク5を通した露光によって、感光性接着フィルム1において未露光部1aと、露光部1bとが形成される。フォトマスク5と感光性接着フィルム1は接していても、接していなくてもどちらでもかまわない。感光性接着フィルムがタックを有している場合、フォトマスクが汚染される可能性があるため、この場合、フォトマスクと感光性接着剤フィルムが接しない状態で露光を行うか、感光性接着フィルムとの密着性が低い材質のフォトマスクを使用することが好ましい。
一般に、感光性接着フィルムを露光した後、PEB(Post Exposure Bake)工程が実施される。基材が除去されない状態でPEBを行うと、基材と感光性接着フィルムの密着性が大きくなって、基材を除去する際の作業性が著しく低下する。一方、露光後に基材を除去してからPEBを行った場合、露光からPEBまでの間の時間が長くなるため、パターン形成性が低下する。また、この場合、工程間で一時的に物の流れが滞留するため製造コストが上がる。本実施形態に係る方法では、露光前に基材2を除去するため、これらの不具合を回避できる。
露光のための光源は特に限定しないが、200nm〜450nmの光を発生するものが好ましい。例えば超高圧、高圧または低圧の水銀灯、ケミカルランプ、メタルハライドランプなどが使用できる。露光は、高精度平行露光機を用いて紫外線を照射することにより行うことができる。好ましい露光量は100〜1000mJ/cm程度である。
露光後の感光性接着シートを現像液にさらすことにより、未露光部1aが現像液により除去され、露光部1bがパターニングされた接着フィルムとして残る(図7及び8)。
現像液の種類は、特に限定されないが、アルカリ水溶液及び有機溶媒が好ましい。テトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)1.0〜5.0%(好ましくは2.38%)溶液等のアルカリ水溶液は安価で一般的であり、汎用的な現像装置を用いることができるため、設備投資が少なくすむ点で産業上好ましい。また、廃液の処理が容易である。有機溶媒を用いた現像では、感光性接着剤組成物が親水性の官能基を有する成分を含有する必要がないため、多湿な環境にあっても膜特性が低下せず耐湿信頼性の高い接着剤が得られる点で好ましい。
現像方法は特に限定されないが、例えば現像液やリンス液に浸けおく方法、及び、現像液やリンス液をスプレーで吹き付ける方法がある。特に現像後のリンス液を高圧でスプレーすると、残渣が減り良好なパターンが得られる傾向がある。リンス液としては、例えば、精製水などが挙げられる。
パターニングされた接着フィルムの形状は特に限定しないが、例えば、額縁状、線状、貫通穴等の形状が挙げられる。ライン幅は0.01mm〜20mmの範囲内であることが好ましい。
図9は、感光性接着シートを用いた半導体装置の一実施形態を示す断面図である。図9に示す半導体装置20は、半導体素子6aと、半導体素子6a上に設けられ、パターニングされた接着フィルム1bと、接着フィルム1bによって半導体素子6aに接着された半導体素子6bとを備える。半導体装置20は、接着フィルム1bに、半導体素子6bを圧着することにより得られる。この圧着工程は、接着フィルム1bの半導体素子6bに対する濡れ広がりが確保される温度と圧力をかけて行われる。この圧着温度は接着フィルム1bの各温度に対する溶融粘度を測定することで最適な値に決定される。
接着剤パターンを形成する基板(被着体)は、半導体素子に限定されるものではなく、例えば、有機基板、半導体ウェハ、インターポーザーもしくはマザーボードと呼ばれるフレキシブル基板又はリジット基板、リードフレーム、有機物もしくは無機物等から構成される絶縁基板、並びに、アクリル樹脂及びガラス等の透明基板等が挙げられる。
例えば、好ましい形態は、基材として、シリコーン系はく離処理剤で処理されたPETフィルムを用い、また、感光性接着フィルムとして、フィルムの組成中に無機充填材を含み、かつ、内部硬化が充分に進行する開始剤を含むことである。この際に、溶媒として、NMPを用いることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(ベースポリマーの合成)
攪拌機、温度計、冷却管、及び窒素置換装置を備えたフラスコ内に3,5−ジアミノ安息香酸(分子量152.2、以下「DABA」と略す。)1.89g、脂肪族エーテルジアミン(BASF社製「D−400」(商品名)、分子量452.4)15.21g、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(4−アミノフェニル)ジシロキサン(信越化学製「LP−7100」(商品名)分子量248.5)0.39g及びN−メチル−2−ピロリジノン(以下「NMP」と略す。)116gを仕込んだ。次いで、フラスコを氷浴中で冷却しながら、4,4’−オキシジフタル酸二無水物(分子量326.3、以下「ODPA」と略す。)16.88gを、フラスコ内に少量ずつ添加した。添加終了後、反応液を更に室温で5時間攪拌した。次にフラスコに水分受容器付の還流冷却器を取り付け、キシレン70gを加え、窒素ガスを吹き込みながら180℃に昇温させてその温度を5時間保持し、水と共にキシレンを共沸除去した。こうして得られた溶液を、室温まで冷却してから蒸留水中に投じて、再沈殿させた。得られた沈殿物を真空乾燥機で乾燥して、ベースポリマーとしてのポリイミド樹脂を得た。
ベースポリマー100重量部、放射線重合性化合物としてのエトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(「BPE−100」(商品名)、新中村化学社製)80重量部、光重合開始剤としてのビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(「I−819」(商品名)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2重量部、熱硬化性樹脂としてのビスフェノールF型エポキシ樹脂(「YDF−8170」(商品名)、東都化成社製)20重量部、エポキシ樹脂の硬化剤としてのα,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン(「TrisP−PA」(商品名)、本州化学社製)10重量部、及びシリカフィラー(「R972」(商品名)日本アエロジル、疎水性フュームドシリカ)15重量部を、NMP中で均一に混合して、感光性接着フィルム形成用のワニスを調製した。
BPE−100:新中村化学、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート
M313:東亜合成、ウレタンアクリレート
YDF−8170:東都化成、ビスフェノールF型エポキシ樹脂
TrisP−PA:本州化学、トリスフェノール化合物(α,α,α’−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン)
R972:日本アエロジル、疎水性フュームドシリカ
上記ワニスを、基材としてのPETフィルム(帝人製、A53、はく離処理)上に塗布し、オーブン中にて80℃で20分乾燥して、厚さ40μmの感光性接着フィルムを形成した。その後、離型用シリコーンで表面処理したPETフィルム(藤森工業製、フィルムバイナ38E−0010GC)をカバーフィルムとして貼り合せて、感光性接着シートを得た。
(基材)
PETフィルム:帝人製、A53、はく離処理
(カバーフィルム)
PETフィルム:藤森工業製、はく離処理、フィルムバイナ38E−0010GC
作製した感光性接着シートについて、パターン形成性、接着力を以下に示す方法により評価した。評価結果を表1にまとめて示す。
(1)パターン形成性
カバーフィルムを除去した感光性接着シートを、感光性接着フィルム面が被着体側になるようにシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)にラミネートした。ラミネートは、ロールと支持体とを有する装置(株式会社ラミーコーポレーション製HOTDOG 12DX)を用いて、50℃、線圧:4kgf/cm、送り速度:0.5m/分の条件で行った。次に、実施例1では、基材を除去して、感光性接着フィルム上に直接フォトマスク(幅100μmの開口部を有するフォトマスク)を載せ、高精度平行露光機(ミカサ株式会社)を用いて、露光量500mJ/cmの紫外線を照射した。比較例1では、基材を除去せずに基材上にフォトマスクを載せて基材側から実施例1と同様の紫外線を照射し、その後、基材を除去した。続いて、実施例1、比較例1ともにテトラメチルアンモニウムハイドライド(TMAH)2.38%溶液を用いて1.5kgf/cmの圧力でスプレー現像した。現像後、水洗し、パターン形成の状態を確認した。パターン形成されていた場合を「A」、パターン形成をされていなかった場合を「C」と判定した。
(2)せん断接着力
カバーフィルムを除去した感光性接着シートを、感光性接着フィルム面が被着体側になるようにシリコンウェハ(6インチ径、厚さ400μm)にラミネートした。ラミネートは、ロールと支持体とを有する装置(株式会社ラミーコーポレーション製HOTDOG 12DX)を用いて、50℃、線圧:4kgf/cm、送り速度:0.5m/分の条件で行った。次に、実施例1では、基材を除去して、感光性接着フィルム上に直接フォトマスク(幅100μmの開口部を有するフォトマスク)を載せ、高精度平行露光機(ミカサ株式会社)を用いて、露光量500mJ/cmの紫外線を照射した。比較例1では、基材を除去せずに基材上にフォトマスクを載せて基材側から実施例1と同様の紫外線を照射した。露光後1分以内に、感光性接着フィルムがラミネートされたシリコンウェハを80℃のホットプレートに置き、1分間放置した。その後、比較例1については基材を除去した。感光性接着フィルム上に感圧型のダイシングテープをラミネートし、ダイサーを用いてシリコンウェハを感光性接着フィルムとともに3mm×3mmサイズに裁断して、感光性接着フィルムが積層されたシリコンチップを得た。このシリコンチップを10mm×10mm×0.55mm厚のガラス基板上に感光性接着フィルムが挟まれる向きで載せ、150℃の熱盤上で500gf、10秒の条件で熱圧着した。その後、180℃のオーブン中で3時間加熱し、感光性接着フィルムを硬化させた。得られたサンプルについて、Dage製接着力試験機Dage−4000を用いて、260℃の熱盤上に20秒放置後、測定速度:50μm/秒、測定高さ:50μmの条件でシリコンチップ側にせん断方向の外力を加えたときの最大応力を測定し、これを260℃におけるせん断接着力とした。
Figure 2011246627
1…感光性接着フィルム、1a…未露光部、1b…感光性接着フィルム(露光部)、2…基材、3…カバーフィルム、4a…感光性接着シート、4b…感光性接着シート、5…フォトマスク、6a…半導体素子、6b…半導体素子、7…ロール、20…半導体装置。

Claims (4)

  1. 基材と、該基材上に設けられた感光性接着フィルムと、を備える感光性接着シートであって、
    当該感光性接着シートを、被着体に前記感光性接着フィルムが前記被着体側になる向きで貼り付ける工程と、前記基材を除去してから前記感光性接着フィルムを露光する工程と、露光された前記感光性接着フィルムを現像して、パターニングされた接着フィルムを形成させる工程とを含む方法により、パターニングされた接着フィルムを形成するために用いられる、感光性接着シート。
  2. 前記感光性接着フィルムの前記被着体に対する密着力が、前記感光性接着フィルムの前記基材に対する密着力よりも高い、請求項1に記載の感光性接着シート。
  3. 前記感光性接着フィルムが、ベースポリマーと、光重合性化合物と、熱硬化性成分と、を含む、請求項1又は2に記載の感光性接着シート。
  4. 基材と、該基材上に設けられた感光性接着フィルムと、を備える感光性接着シートを、被着体に前記感光性接着フィルムが前記被着体側になる向きで貼り付ける工程と、前記基材を除去してから前記感光性接着フィルムを露光する工程と、露光された前記感光性接着フィルムを現像して、パターニングされた接着フィルムを形成させる工程とを含む、パターニングされた接着フィルムの形成方法。
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