JP2011245628A - ポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】メッシュ開口面積を広くするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたスクリーン印刷版用紗を得る。
【解決手段】スクリーンメッシュ(紗)2の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂3を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものである。
【選択図】図3
【解決手段】スクリーンメッシュ(紗)2の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂3を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものである。
【選択図】図3
Description
この発明は、スクリーンメッシュ(紗)の交差部分に塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定(リジッド)することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにしたポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗及びその製造方法に関するものである。
従来、スクリーン版における印刷パターン支持体として機能する金属繊維を編組してなるメッシュ織物の力学的経緯不整合を調整したメッシュ織物に対して、全面を金属被覆し、編組部を固定することにより、力学的経緯不整合を解消し、構造的に強化したスクリーン印刷用メッシュ織物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、本発明者は、改良された樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗として、エポキシ樹脂を用いたものを提案している(例えば、特許文献2参照)。
従来の金属繊維を編組してなるメッシュ織物の全面に金属めっきを施して編組部を固定することにより、構造的に強化したスクリーン印刷用メッシュ織物では、メッシュ織物(紗)の開口側に金属めっきがはみ出して形成されるため、紗の開口面積が狭くなり、インクの出が少なくなるという問題点があった。そして、近年においては、紗の開口面積が益々狭くなる傾向になっているため、紗の開口面積を狭くしないで編組部を固定することが要望されている。この要望に沿って提案されたのがエポキシ樹脂を用いた樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗である。しかし、スクリーン印刷版用紗の接合樹脂の条件として、インクに含有されている成分である溶剤に耐えられるということが必要であるが、エポキシ樹脂はインク含有成分である溶剤に弱いという性質があるため、耐溶剤性の面で問題があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、スクリーンメッシュ(紗)の交差部分に塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定(リジッド)することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗及びその製造方法を提供するものである。
この発明に係るポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗においては、スクリーンメッシュ(紗)の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものである。
また、この発明に係るポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版においては、枠状に構成された版枠の内側にスクリーンメッシュ(紗)を張設し、メッシュ(紗)の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものである。
また、この発明に係るポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版においては、枠状に構成された版枠の内側にスクリーンメッシュ(紗)を張設し、メッシュ(紗)の交差部分に荷重を掛けて押しつぶしたカレンダー仕様のスクリーン印刷版において、前記メッシュ(紗)の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものである。
また、この発明に係るポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の製造方法においては、スクリーンメッシュ(紗)を用意する工程と、紗全体にポリイミド樹脂の希釈液を塗布する工程と、紗の表面に付着している余分のポリイミド樹脂を拭き取る工程と、圧縮空気で紗に付着しているポリイミド樹脂分を吹き飛ばし、紗の交差部分のみにポリイミド樹脂を残す工程と、紗の交差部分に付着しているポリイミド樹脂を加熱硬化させる工程とを備え、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れた紗を得るものである。
この発明によれば、スクリーンメッシュ(紗)の交差部分に塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定(リジッド)することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにすることができ、インクの抜け性アップの効果が期待できる。また、特にポリイミド樹脂を使用することにより、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れた紗を提供することが可能になるという効果がある。
図1はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版を示す平面図、図2はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗を拡大して示す顕微鏡写真、図3はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の引張テストの測定結果を未処理品の測定結果と比較して示す表、図4はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の横糸の引張テストの測定結果を未処理品の測定結果と比較して示すグラフ、図5はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の縦糸の引張テストの測定結果を未処理品の測定結果と比較して示すグラフ、図6はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の開口面積を未処理品及びニッケルメッキ品の開口面積と比較して示す顕微鏡写真、図7はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗を用いて印刷して得られた印刷結果を未処理品及びニッケルメッキ品の印刷結果と比較して示す顕微鏡写真である。
図1において、1はアルミニウム材料等で四角形の枠状に構成された版枠、2は版枠1の内側に張設された非めっきのステンレススクリーンメッシュ(紗)からなり、紗の交差部分にポリイミド樹脂3を塗布して硬化固定(リジッド)したポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗である。この発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗及びその製造方法について説明する。先ず、SUSメッシュ(♯400)を用意する。また、ポリイミド樹脂の希釈液として、ポリイミド樹脂に対して、ジメチルアセトアミド(NMP)を1:10の比率で希釈して使用する。なお、ポリイミド樹脂の希釈率は、ポリイミド樹脂に対して、ジメチルアセトアミド(NMP)を1:4の比率で希釈するが好ましい。次に、SUSメッシュ(♯400)から構成された未処理品の紗全体に上記ポリイミド樹脂の希釈液を塗布する(樹脂塗布工程)。そして、紗の表面に付着している余分のポリイミド樹脂を、キムワイプ(紙)等からなるクリーニングペーパーで拭き取る(樹脂払拭工程)。この樹脂払拭工程では、キムワイプ(紙)等からなるクリーニングペーパーで拭き取られるため、紗にクリーニングペーパーの毛足が残ることがない。次に、圧縮空気を紗の全面に直角に当るように吹き付けて、紗に付着しているポリイミド樹脂分を吹き飛ばす(樹脂吹き飛ばし工程)。ここでは、樹脂吹き飛ばし工程の前に樹脂払拭工程を経ているので、樹脂分が大量に吹き飛ばされて、周囲を汚したりする恐れがない。なお、毛細管現象で紗の交差部分には多くのポリイミド樹脂が残ることになり、その一方で紗の開口部のポリイミド樹脂は、圧縮空気で吹き飛ばされるため、目詰まりを解消し紗の開口面積が狭くなることはない。なお、圧縮空気で紗に付着しているポリイミド樹脂分を積極的に吹き飛ばそうとしても、交差部分以外の部分に樹脂が若干残ることがあるが、開口面積を狭くするほどの影響は殆どない。その後、120℃で10分間予熱し、その後200〜350℃で40分加熱硬化させる(加熱硬化工程)。ポリイミド樹脂は、硬化温度220℃±10℃で40分加熱すると、例えば、溶剤であるジメチルアセトアミド(略称NMP:n−メチルピロリドン(n−メチルピロリドン(1−メチル−2−ピロリドン))や、ジメチルホルムアミド(略称DMF:n,n−ジメチルホルムアミド)に3時間浸漬しても溶解することがなく、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れた皮膜となることが判った。また、360℃の硬化は皮膜が褐色になり、加熱し過ぎである。以上の工程を経て得られたポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗の交差部分の状態を図2、図6に示す。図6に示すように、この発明によるポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗の開口面積は、未処理品に対して略同等程度の開口面積であるが、ニッケルメッキ品に対して開口面積が大きくなっている。
次に、この発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗の引張試験方法について説明する。試験機としてSHIMADA AGS−1kNGを使用し、テスト片形状は、試料幅:50mm、長さ:260mm、評価間距離:200mm、引張速度:100mm/minで実施した。図3は引張テストの測定結果を未処理品の測定結果と比較して示す表、図4はポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の横糸の引張テストの測定結果を未処理品の測定結果と比較して示すグラフ、図5はポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の縦糸の引張テストの測定結果を未処理品の測定結果と比較して示すグラフである。
この発明によれば、ステンレススクリーンメッシュ(紗)にポリイミド樹脂の希釈液を塗布し、紗の表面に付着している余分のポリイミド樹脂をキムワイプ等のクリーニングペーパーで拭き取ることにより、紗に毛足が残らずに綺麗に拭き取ることができる。また、圧縮空気で紗に付着しているポリイミド樹脂を吹き飛ばすことにより、紗の開口面積を狭くすることがないので、インクの抜け性アップの効果が期待できる。また、予めポリイミド樹脂払拭工程を経ているので、圧縮空気によりポリイミド樹脂分が大量に吹き飛ばされて、周囲を汚したりする恐れがない。なお、毛細管現象で紗の交差部分には多くのポリイミド樹脂が残ることになり、その後ポリイミド樹脂を加熱硬化させることにより、引っ張り強度が上昇するという効果がある。なお、圧縮空気で紗に付着しているポリイミド樹脂分を積極的に吹き飛ばそうとしても、交差部分以外の部分にポリイミド樹脂が若干残ることがあるが、開口面積を狭くするほどの影響は少ない。
また、ポリイミド樹脂塗布によるスクリーン印刷版用紗の伸び量変化を調査したところ、紗にポリイミド樹脂を塗布することにより、縦糸と横糸の伸び量がほぼ同一となることが判った。このことは横糸に塗布の効果があったことになる。
また、ポリイミド樹脂塗布によるスクリーン印刷版用紗の伸び量変化を調査したところ、紗にポリイミド樹脂を塗布することにより、縦糸と横糸の伸び量がほぼ同一となることが判った。このことは横糸に塗布の効果があったことになる。
次に、この発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗を用いて印刷して得られた印刷結果について説明する。なお、製版条件として、紗張り:コンビネーション(支持体:ポリエステル225)、320×320枠サイズ、乳剤:栗田化学製AD−100R、10μ厚、フラット加工有り、パターン:アサダメッシュ、試験用パターン、テンション:0.25〜0.26mm(プロテック社製:STG−80NA)である。また、印刷条件として、スキージ/スクレッパスピード:60/40mm/s、スキージ圧:250KPa、背圧:100KPa、スキージ:ミノスキージ硬度70、スキージ角度:70°、クリアランス:1.1mm、ペース:ナミックスAgペースト、ワーク:ガラス板である。3ショットまでをダミー印刷とし、4ショット目をデータ採取用とする。図7はこの発明の実施例1におけるポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗を用いて印刷して得られた印刷結果を未処理品及びニッケルメッキ品の印刷結果と比較して示す顕微鏡写真である。
この発明の印刷結果を検証すれば、未処理品であるメッキ加工無し紗(図7左側)とこの発明によるポリイミド樹脂を塗布した紗(図7中央)の間には、殆ど違いを確認できない。しかし、ニッケルメッキ加工紗(図7右側)は、未処理品であるメッキ加工無し紗(図7左側)及びこの発明によるポリイミド樹脂を塗布した紗(図7中央)と比較してペーストの吐出量が少ないことが判る。また、印刷後製版では、印刷結果と同様未処理品であるメッキ加工無し紗(図7左側)とこの発明によるポリイミド樹脂を塗布した紗(図7中央)の間には殆ど違いを確認できないが、ニッケルメッキ加工紗(図7右側)はペーストの残り量が多い結果となった。
上記実施例1では、スクリーンメッシュ(紗)としてSUS(ステンレス)メッシュを用いた場合について説明したが、スクリーンメッシュ(紗)としてテトロンメッシュを用いた場合でも、交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂皮膜を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにすることができ、同様の作用、効果を奏することができる。
1 版枠
2 ポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗
3 ポリイミド樹脂
2 ポリイミド樹脂硬化固定型(ポリイミド樹脂リジダイズド)スクリーン印刷版用紗
3 ポリイミド樹脂
Claims (8)
- スクリーンメッシュ(紗)の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものとしたことを特徴とするポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗。
- 紗に塗布するポリイミド樹脂の希釈液として、ポリイミド樹脂に対して、ジメチルアセトアミドを1:4〜1:10の比率で希釈して使用することを特徴とするポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗。
- 枠状に構成された版枠の内側にスクリーンメッシュ(紗)を張設し、メッシュ(紗)の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものとしたことを特徴とする樹脂硬化固定型スクリーン印刷版。
- 枠状に構成された版枠の内側にスクリーンメッシュ(紗)を張設し、メッシュ(紗)の交差部分に荷重を掛けて押しつぶしたカレンダー仕様のスクリーン印刷版において、前記メッシュ(紗)の交差部分のみに塗布されたポリイミド樹脂を硬化固定することにより、メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れたものとしたことを特徴とするポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版。
- スクリーンメッシュ(紗)は、SUSメッシュであることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版。
- スクリーンメッシュ(紗)は、テトロンメッシュであることを特徴とする請求項3記載のポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版。
- スクリーンメッシュ(紗)を用意する工程と、
紗全体にポリイミド樹脂の希釈液を塗布する工程と、
紗の表面に付着している余分のポリイミド樹脂を拭き取る工程と、
圧縮空気で紗に付着しているポリイミド樹脂分を吹き飛ばし、紗の交差部分のみにポリイミド樹脂を残す工程と、
紗の交差部分に付着しているポリイミド樹脂を加熱硬化させる工程とを備え、
メッシュ開口面積を狭くならないようにするとともに、インク含有成分である溶剤に対する耐溶剤性に優れた紗を得ることを特徴とするポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷用紗の製造方法。 - 紗に塗布するポリイミド樹脂の希釈液として、ポリイミド樹脂に対して、ジメチルアセトアミドを1:4〜1:10の比率で希釈して使用することを特徴とする請求項7記載のポリイミド樹脂硬化固定型スクリーン印刷版用紗の製造方法。
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