JP5522726B2 - メタルマスク印刷版 - Google Patents

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Description

本発明は、ペースト印刷に用いられるメタルマスク版に関するものである。
現在、プリント配線基板等の基板回路形成には金属の板に印刷パターンが開口されたメタルマスクが一般的に用いられている。このメタルマスクの製造はめっき(電鋳法、無電解めっき法)、レーザ加工又はエッチング法などで行われるのが一般的であるが、微細な印刷パターンを形成するためには電鋳法を用いるのが好ましい。
メタルマスクを用いて基板上に導電性ペーストを印刷する場合には、金属ないし硬質樹脂等の外枠(以下、「枠」という。)にメタルマスクを張設した所謂メタルマスク版と呼ばれる形態で印刷装置にセットして用いられるのが一般的である。
メタルマスク版は構造的に、枠に直接メタルマスクを張設したフルメタル版と、スクリーンメッシュ(紗)を張設した枠(以下、「スクリーン枠」という。)にメタルマスクを張設したコンビネーション版があり、主にコンビネーション版が多く用いられている。
コンビネーション版では、印刷パターンが開口されたメタルマスクを、スクリーン枠に対して引張力を掛けた状態で取り付ける必要がある。そのため、スクリーンメッシュはメタルマスクに張力を与える目的で用いられる。コンビネーション版は、スクリーンメッシュを張設したスクリーン枠の中央部に、メタルマスク(周辺部に接着剤を塗布する。この固着面を「コンビネーション部」という。)を固着し、メタルマスクの固着面の内側部分のスクリーンメッシュを切抜くことにより形成される。メタルマスクの周辺部固着面の内側部分のスクリーンメッシュを切抜くのは、スクリーンメッシュがメタルマスク上の開口部パターン部分に存在すると、コンビネーション版を使用する際にスクリーンメッシュに妨げられてペーストの抜けが悪くなるためである。そのため、スクリーンメッシュを切り抜いて、メタルマスクの開口部パターンを露出させるのである。
コンビネーション版の製造は、一般的には、以下のような工程にて行なわれる。
1)スクリーンメッシュの4辺をそれぞれクランプする。
2)クランプした4辺を引張り、X方向、Y方向にそれぞれ所定の張力をかける。
3)張力がかけられた状態のスクリーンメッシュを枠に接着固定する。
以上により、張力がかかった状態のスクリーンメッシュが固定されているスクリーン枠を得る。
4) 次に、スクリーン枠内のスクリーンメッシュ上にメタルマスク(印刷パターンが開口されたもの。周辺部には接着剤を塗布する。)を戴置し、固着する。
このとき、メタルマスク面部分は、メタルマスクとスクリーンメッシュが重なった状態となっている。
5)メタルマスクの固着面(周辺部)の内側部分のスクリーンメッシュを切り抜く。
これにより、メタルマスク面の開口部がスクリーンメッシュに妨げられることなく露出することとなる。
メタルマスクは周辺部がスクリーンメッシュと固着されているため、スクリーンメッシュの有する張力が与えられている状態となる。すなわち、上記工程により得られたメタルマスク版は、スクリーン枠によって張力がかけられた状態のメタルマスクを有することとなる。
当該メタルマスク版を用いた印刷方法としては、オフコンタクト印刷と、オンコンタクト印刷がある。オフコンタクト印刷とは、メタルマスク版を基板から離して水平に載置しメタルマスク上に印刷するペーストを置き、メタルマスク上でスキージを基板方向に押し付けながら移動させることにより開口部内にペーストを充填し、スキージが通り過ぎた時点で版離れが発生し、基板接触部にペーストが載せられてゆく印刷方法である。オンコンタクト印刷とは、メタルマスク版を基板に密着させ、メタルマスク上に印刷するペーストを置き、メタルマスク上でスキージを水平方向に移動させることにより開口部内にペーストを充填し、ペースト印刷後に版を基板から剥離して、基板接触部にペーストを転写する印刷方法である。
ところで、近時の太陽電池用基板においては、短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上(望ましくは1:500以上、更に望ましくは1:1500以上)の極めて細長い形状の電極の印刷が求められている。このとき、上記のようなコンビネーション版によりこれを印刷しようとすれば、メタルマスク上にはこれに対応した、短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上(望ましくは1:500以上、さらに望ましくは1:1500以上)の細長い溝のような形状の開口部(以下、「細線状開口部」という。)が必要となる。
しかし、メタルマスクにこのような細線状開口部を設けてコンビネーション版を製造しようとすると、製造時に与えられる張力によって開口部の形状が変形してしまうという問題があった。
この問題の解決としては、開口部内に架橋部を設けることにより、開口部の形状の変形を抑えるメタルマスクが開示されている。
特開2005−116786号公報
しかし、開口部内に架橋部を設けると、ペースト印刷時に架橋部がペーストの充填を阻害し、架橋部対応箇所でのペースト転写性が低下する。その結果、完成した基板のペーストの高さが部分的に低くなるという問題があった。すなわち、架橋部に対応する部分のペーストの高さが架橋部に阻まれて低くなってしまうのである。
また、メッシュを補強用の架橋として用いることも考えられるが、さらに印刷精度は低下することとなる。
本発明は、印刷ペーストの転写性を犠牲にすることなく、細線状開口部を有する場合においても張力による開口部形状の変形が少ないメタルマスク版を得るという課題を解決することを目的とするものである。
本発明におけるメタルマスク版の製造方法は、
スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版の製造方法であって、
枠内に、X方向とY方向の張力の比が1:1.5以上1:3以下となる状態にてスクリーンメッシュを張設する工程、
短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクにつき、当該細線状開口部の長手方向が略Y方向となる状態にて、当該メタルマスク周辺部を前記スクリーンメッシュに固着する工程、
前記メタルマスク固着部の内側部分の前記スクリーンメッシュを切除して、前記メタルマスク上のX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下となる状態とする工程、
を有することを特徴とする。
スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版は、前述のように、一般にコンビネーション版等と呼ばれる。
従来、コンビネーション版の製造においては、X方向とY方向の張力は、極力同じであることが望ましいとされていた。スキージ後にメタルマスク版を基板からはがす際に、強く均一に張力がかけられていた方がペーストの抜けがよいのが一般だからである。このため従来は、X方向とY方向の張力の差は±5%以内に収めるのが望ましいとされ、当該範囲内となるように留意して製造が行なわれていた。
これに対し本発明は、細線状開口部を有するメタルマスクにおいて、あえてX方向とY方向の張力に差異を設けることにより、架橋を設けることなく問題が解決しうることを見出したものである。
これにより、短手方向と長手方向の長さの比(以下、場合により「縦横比」という。)が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクを有するコンビネーション版を得ることが可能となった。縦横比が1:500、さらには1:1500を超える細線状開口部を有するメタルマスクを用いる場合には、さらに顕著に効果が現れる。
なお、ここにいう「短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部」とは、架橋がなされていない縦横比1:100以上の開口部はもちろん、架橋部間、または架橋部と辺の間の開口部、換言すれば架橋部の無い部分の開口部の縦横比が1:100以上である場合を含む。
このとき、メタルマスク上の開口部が全てこの範囲の細線状開口部である必要はない。また、全ての細線状開口部がY方向を向いていることも必須ではない。すなわち、細線状開口部を有し、かつ主要な細線状開口部の長手方向がY方向ないしY方向に近い方向を向いていればよい。上記において「略Y方向」と記載されているのはその趣旨である。
なお、スクリーンメッシュのX方向とY方向の張力の比は1:1.5以上で効果が得られるが、1:2以上であり1:3以下であることが望ましい。
製造時において張力を調整する手法としては、スクリーンメッシュの4辺をクランプして牽引する方法が一般的であるが、これに限られるものではない。
なお、スクリーンメッシュの張力の比は、1:3程度が上限であると考えられる。これを超える高比率を与えようとすると、X方向の張力を一定にし、Y方向の張力を強く調整した場合にはスクリーンメッシュの破断がおき、Y方向の張力を一定にし、X方向の張力を弱くした場合には、印刷後にメタルマスク版を基板から剥がす際に不具合が起きるので好ましくない。
また、本発明の別の製造方法は、
スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版の製造方法であって、
枠内にスクリーンメッシュを張設する工程、
短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクにつき、当該メタルマスク周辺部を前記スクリーンメッシュに固着する工程、
前記メタルマスク固着部の内側部分の前記スクリーンメッシュを切除する工程、
前記細線状開口部の短手方向をX方向、長手方向をY方向としたとき、前記スクリーンメッシュの前記メタルマスクが戴置されていない部分にY方向の切り込みを入れ、前記メタルマスク上のX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下となる状態とする工程、
を有することを特徴とする。
Y方向の切り込みは、前記メタルマスクの両脇に入れられることが望ましい。
本発明のさらに別の製造方法は、
スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版の製造方法であって、
枠内にスクリーンメッシュを張設する工程、
前記スクリーンメッシュ上の、メタルマスクが戴置されるべき部分以外の部分に切り込みを入れ、前記スクリーンメッシュ上のX方向とY方向の張力の比が1:1.5以上1:3以下となる状態とする工程、
短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクにつき、当該細線状開口部の長手方向が前記切り込みと同方向となるよう、当該メタルマスク周辺部を前記スクリーンメッシュに固着する工程、
前記メタルマスク固着部の内側部分の前記スクリーンメッシュを切除して、前記メタルマスク上のX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下となる状態とする工程、
を有することを特徴とする。
切込みが入れられるのは、メタルマスクが載置されるべき部分の両脇部分であることが望ましい。
従来、コンビネーション版の製造においては、スクリーンメッシュに欠損が生じることは製品に欠陥が生じることを意味するものと理解されていた。しかしながら、本発明の発明者は、一定の張力を与えられたスクリーンメッシュに切り込みを入れることが、スクリーンメッシュのX方向とY方向の張力に差異を設ける方法として有効であることを見出したものである。この方法によって、容易かつ安価に、スクリーンメッシュに張力の差異を与えることが可能となる。そして、前述のように、これにより細線状開口部を有するメタルマスクを有するコンビネーション版を得ることが可能となる。
一度スクリーンメッシュに切り込みを入れれば、切り込み部分が広がるのを回避するために当該切り込み部分にテープを張り接着剤を塗布するなどしてこれを閉塞しても、X・Y方向の張力の差異は保持される。したがって、切り込み部を塞ぐ工程をさらに追加してもよい。
このとき、全ての細線状開口部がY方向を向いていることが最も望ましいが、開口部が全て細線状開口部である必要はなく、また細線状開口部開口部が全て同方向であることも必須ではないことは前記と同様である。
なお、スクリーンメッシュのX方向とY方向の張力の比は1:1.5以上で効果が得られるが、1:2以上1:3以下であればさらに望ましい。
また、完成後のメタルマスク版のメタルマスク面上における張力比に着目した場合には、1:1.3以上で効果が得られるが、1:1.5以上1:2.5以下であればさらに望ましい。
上記各製造方法は、太陽電池用基板の電極を製造するためのメタルマスクの製造において特に有効である。
また、本発明におけるメタルマスク版は、
スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版であって、
前記メタルマスクは短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有し、
当該細線状開口部の短手方向をX方向、長手方向をY方向としたとき、前記メタルマスクにおけるX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下である
ことを特徴とする。
さらに、当該メタルマスク版は太陽電池用基板の電極を製造するためのものである場合に特に有効である。
本発明によるメタルマスク版は、前記の本発明の製造方法により製造することが可能である。
本発明により製造されたメタルマスク版及び本発明のメタルマスク版によれば、開口部内に架橋が存在せず、かつ張設時の開口部の形状の変形が少ないため、高精度のペースト印刷が可能となる。
本発明のメタルマスク版の製造工程の一例を示す工程図である。 本発明のメタルマスク版の製造工程の一例を示す工程図である。 本発明のメタルマスク版の製造工程の一例を示す工程図である。 実施例と比較例の試験結果の一覧表である。
〔実施例1〕
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
本発明のメタルマスク版およびその製造方法の一例を図1に示す。
メタルマスク版10の作製には、スクリーンメッシュ3(Smartmesh−P、日本特殊織物製ポリエステルメッシュ、線径54μm、1インチ毎のメッシュ本数180本)の張力比を、メタルマスク5の開口部6、7、8の短手方向と長手方向をX、Yとしたときに、X:Yを1:2に設定してスクリーンメッシュ3を枠2に張設したスクリーン枠1を使用した(a)。スクリーン枠1のサイズはX方向が650mm、Y方向が550mmである。
このときテンションゲージ(STG−75、プロテック社製。以下、「テンションゲージ1」という)の測定値は、枠のX方向が2.4mm、Y方向が1.2mmであり、張力比はX:Yが1:2であった。なお、今回用いたテンションゲージを含む一般のテンションゲージは、スクリーンメッシュ上に錘を戴置し、当該錘の沈み込み量を計測するものであるため、計測値の単位系は「mm」であり、テンション(張力)が大きいほど小さく(0に近く)なる。ここで、本発明における「張力の比」ないし「張力比」とは、当該計測値の逆数の比である。また、本発明において、テンションゲージ1はスクリーン枠の面の中央近傍に載置して張力を測定した。
メタルマスク5のサイズは320mm×320mm、厚みは0.05mmで、電鋳法により作製した(b)。メタルマスク5の開口部の形状は、X方向が0.08mm、Y方向が38mmの長さの細線状開口部6(縦横比1:475)と、74mmの長さの細線状開口部7(縦横比1:925)と、38mmの長さの細線状開口部8(縦横比1:475)を、X方向に2mm間隔で67本配列した。また、細線状開口部6、7、8の間のY方向の間隔は2mmである。
スクリーン枠1にメタルマスク5を固着し、固着内部のスクリーンメッシュを切除した(c)。メタルマスク周辺のスクリーンメッシュ部に補強テープ11を貼り、当該テープを貼り付けた裏面に接着剤を塗布して補強し、メタルマスク版10を得る(d)。完成後のメタルマスク版のメタルマスク面上における張力をテンションゲージ(STG−80NA、プロテック社製、以下「テンションゲージ2」という)で測定したところ、X方向が0.92mm、Y方向が0.6mmであり、張力比はX:Yが1:1.5であった。ここで、本発明においてテンションゲージ2はメタルマスク版のメタルマスク面の中央近傍に載置して張力を測定した。このメタルマスク版の細線状開口部寸法を測定したところ、張設による開口部寸法の変化量は0.005mm以下であることが確認された。
この様にして作製したメタルマスク版を用いて、印刷試験を行った。当該試験は、手刷り印刷機の金属スキージを用いて、約15mm/秒の印刷速度で銀ペースト(粒径8〜10μm、粘度205Pa.s)を印刷した。結果としては、充填不足による割れ、欠けの見られない良好な印刷結果が得られた。拡大観察では、表面に凹凸がなく、平坦であることが確認された。 なお、印刷方向は開口部の長手方向に対して平行になるように実施した。印刷後にメタルマスク版の開口部寸法を測定したが、寸法の変化量は0.005mm未満であることが確認された。
〔実施例2〕
本発明のメタルマスク版、及びその製造方法の別の例を図2に示す。
実施例1と同様の枠とスクリーンメッシュからなり、スクリーンメッシュのX方向とY方向の張力比が等方的なスクリーンメッシュ枠に、メタルマスク5を固着し、固着内部のスクリーンメッシュを切除した後、実施例1と同様にスクリーンメッシュ部に補強用のテープを貼り、当該テープを貼り付けた部分の裏面に接着剤を塗布して補強してメタルマスク版を作製した。スクリーンメッシュ枠の張力は、テンションゲージ1で測定したところ、X方向が0.95mm、Y方向が0.92mmであり、張力比はX:Yが1:1であった。
メタルマスクの両脇部分のスクリーンメッシュ(メタルマスクが載置されていない部分)に、Y方向に平行に、メタルマスクのY方向と同程度の長さである320mmの切り込み13を入れた(a)。さらに、切り込み部の亀裂を防止す為、再度、テープ14をスクリーンメッシュの切り込み部に貼り、その部位の裏面に接着剤を塗布して補強した(b)。
完成後のメタルマスク版のメタルマスク面上における張力をテンションゲージ2で測定したところ、X方向0.98mm、Y方向で0.55mmであり、張力比はX:Yが1:1.8であった。このメタルマスク版の細線状開口部寸法を測定したところ、張設による開口部寸法の変化量は0.005mm以下であることが確認された。
この様にして作製したメタルマスク版を用いて、実施例1と同様の印刷試験を行った。結果としては、充填不足による割れ、欠けの見られない良好な印刷結果が得られた。拡大観察では、表面に凹凸がなく、平坦であることが確認された。なお、印刷方向は細線状開口部の長手方向に対して平行になるように実施した。印刷後にメタルマスク版の開口部寸法を測定したが、寸法の変化量は0.005mm未満であることが確認された。
〔実施例3〕
本発明のメタルマスク版、及びその製造方法の別の例を図3に示す。
実施例2と同様にX方向とY方向のスクリーンメッシュの張力比が等方的なスクリーンメッシュ枠を用いた。枠の近傍のスクリーンメッシュに補強テープ16を貼り、裏面に接着剤を塗布した(a)。この後、スクリーンメッシュの、メタルマスクが戴置されるべき部分の両脇(メタルマスクが戴置されるべき部分以外の部分)に、Y方向に平行にメタルマスクのY方向と同程度の長さである320mmの切り込み17を入れた(b)。
このときのスクリーンメッシュ枠の張力をテンションゲージ1で測定したところ、X方向が1.69mm、Y方向が0.95mmであり張力比はX:Yが1:1.8であった。このスクリーンメッシュ枠にメタルマスク5を固着し、固着内部のスクリーンメッシュを切除した(c)。さらに、切り込み部の亀裂を防止す為、スクリーンメッシュ部にテープ19を貼り、裏面に接着剤を塗布した(d)。このようにして作製したメタルマスク版のメタルマスク面上の張力をテンションゲージ2で測定したところ、X方向が1.1mm、Y方向が0.60mmであり、張力比はX:Yが1:1.8であった。
このメタルマスク版の細線状開口部寸法を測定したところ、張設による開口部寸法の変化量は0.005mm以下であることが確認された。
この様にして作製したメタルマスク版を用いて、実施例1と同様の印刷試験を行った。結果としては、充填不足による割れ、欠けの見られない良好な印刷結果が得られた。拡大観察では、表面に凹凸がなく、平坦であることが確認された。印刷後にメタルマスク版の開口部寸法を測定したが、寸法の変化量は0.005mm未満であることが確認された。
[比較例1]
実施例1と同様のメタルマスクとスクリーンメッシュと枠を用いて、X方向とY方向の張力比が1:1であるスクリーンメッシュ枠でメタルマスク版を作製したところ、張設した時点でマスクの細線状開口部のうち枠に近い開口部の形状が明確に変形し、メタルマスク版としては使えなかった。なお、このときのメタルマスク版のメタルマスク面上における張力比は、テンションゲージ2で測定したところ、X:Yで1:1.1であった。
その他、実施例1と同様の手順で、テンションゲージ2で測定した場合のメタルマスク面上の張力比がX:Yで1:1.2または1:1.3であるメタルマスク版を作製し、開口部形状の観察と実施例1と同様の印刷試験を行った。その結果を、本比較例と実施例1の結果とともに図4の表に示す。このことから、メタルマスク固着前のスクリーン枠のスクリーンメッシュ上のX方向対Y方向の張力比が1:1.5以上であり、作製したメタルマスク版のメタルマスク上のX方向対Y方向の張力比が1:1.3以上である場合に開口部形状の変形が少なく、高精度の印刷が可能となることが確認された。
[比較例2]
開口部形状の変形を防止するために細線状開口部内に架橋部を設けたメタルマスクを用いて、比較例1と同様のスクリーン枠を用いてメタルマスク版を作製し、実施例1と同様に印刷試験を行い、印刷物を拡大観察すると、細線状開口部内の架橋部に対応した部分にパターンの寸断及び欠けが見られた。さらに欠けのない部分を拡大観察したところ、架橋部に対応する箇所には凹みが確認された。
[比較例3]
Y方向の張力を0.95mm(テンションゲージ1で計測)に維持しつつ、X方向の張力を緩めることで高い張力の比を持つスクリーン枠を作製した。このスクリーン枠の、テンションゲージ1で測定した張力は、X方向が2.9mm、Y方向が0.95mmであり、張力比はX:Yが1:3であった。これを用いて作製したメタルマスク版のメタルマスク面上の張力をテンションゲージ2で測定したところ、Y方向が0.60mmであったが、X方向は1.5mmであり、張力比はX:Yが1:2.5であった。
このようにして作製したメタルマスク版を用いて実施例1と同様の印刷試験を行ったところ、印刷後にメタルマスク版を基板から剥がす際に不具合が生じた。また、それにより印刷した電極の形状不良が確認された。
1 スクリーン枠、2 枠、3 スクリーンメッシュ、5 メタルマスク、4 12 15 20 張力(計測値)、6 7 8 細線状開口部、10 18 メタルマスク版、9 コンビネーション部、11 14 16 19 補強テープ、13、17 切り込み部。

Claims (8)

  1. スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版の製造方法であって、
    スクリーン枠内に、X方向とY方向の張力の比が1:1.5以上1:3以下となる状態にてスクリーンメッシュを張設する工程、
    短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクにつき、当該細線状開口部の長手方向が略Y方向となる状態にて、当該メタルマスク周辺部を前記スクリーンメッシュに固着する工程、
    前記メタルマスク固着部の内側部分の前記スクリーンメッシュを切除して、前記メタルマスク上のX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下となる状態とする工程、
    を有することを特徴とするメタルマスク版の製造方法。
  2. スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版の製造方法であって、
    スクリーン枠内にスクリーンメッシュを張設する工程、
    短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクにつき、当該メタルマスク周辺部を前記スクリーンメッシュに固着する工程、
    前記メタルマスク固着部の内側部分の前記スクリーンメッシュを切除する工程、
    前記細線状開口部の短手方向をX方向、長手方向をY方向としたとき、前記スクリーンメッシュの前記メタルマスクが戴置されていない部分にY方向の切り込みを入れ、前記メタルマスク上のX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下となる状態とする工程、
    を有することを特徴とするメタルマスク版の製造方法。
  3. 前記Y方向の切り込みは、前記メタルマスクの両脇に入れられることを特徴とする請求項2記載のメタルマスク版の製造方法。
  4. スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版の製造方法であって、
    スクリーン枠内にスクリーンメッシュを張設する工程、
    前記スクリーンメッシュ上の、メタルマスクが戴置されるべき部分以外の部分に切り込みを入れ、前記スクリーンメッシュ上のX方向とY方向の張力の比が1:1.5以上1:3以下となる状態とする工程、
    短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有するメタルマスクにつき、当該細線状開口部の長手方向が前記切り込みと同方向となるよう、当該メタルマスク周辺部を前記スクリーンメッシュに固着する工程、
    前記メタルマスク固着部の内側部分の前記スクリーンメッシュを切除して、前記メタルマスク上のX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下となる状態とする工程、
    を有することを特徴とするメタルマスク版の製造方法。
  5. 前記切込みが入れられるのは、メタルマスクが載置されるべき部分の両脇部分であることを特徴とする請求項4記載のメタルマスク版の製造方法。
  6. 前記メタルマスクは、太陽電池用基板の電極を製造するためのものであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか記載の製造方法。
  7. スクリーンメッシュを介してスクリーン枠にメタルマスクを張設したメタルマスク版であって、
    前記メタルマスクは短手方向と長手方向の長さの比が1:100以上の細線状開口部を有し、
    当該細線状開口部の短手方向をX方向、長手方向をY方向としたとき、前記メタルマスクにおけるX方向とY方向の張力の比が1:1.3以上1:2.5以下である
    ことを特徴とするメタルマスク版。
  8. 前記メタルマスクは、太陽電池用基板の電極を製造するためのものであることを特徴とする請求項7記載のメタルマスク版。
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