JP2011245430A - ハニカム構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】機械的強度に優れたハニカム構造体を提供すること。
【解決手段】本発明のハニカム構造体170は、チタン酸アルミニウムを含む多孔質のセラミックスから構成され、互いに略平行な複数の貫通孔70aが形成されたハニカム構造部20と、貫通孔70aに略平行なハニカム構造部20の側面を覆い、ハニカム構造部20よりも機械的強度が高い外筒部40と、を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハニカム構造体に関する。
従来、ガソリン自動車用エンジン等の内燃機関から排出されるガス(ハイドロカーボン,CO,NO)をレドックス反応により浄化する三元触媒の担体として、多孔質のコージェライトからなるハニカム構造体が用いられている(下記特許文献1参照)。
特表2007−519509号公報
多孔質のセラミックスからなるハニカム構造体は、その一部のセル(貫通孔)の一端を封口することにより、三元触媒の担体としてのみならず、ディーゼルエンジンなどの内燃機関から排出される排ガスに含まれるカーボン粒子等の微細粒子(PM)を捕集するためのセラミックスフィルター(DPF:Diesel Particulate Filter)としても用いられる。
ディーゼル車にDPFとしてハニカム構造体を搭載する場合、エンジンの直下に配置されるメタルケース(エキゾーストマニホールド)内にハニカム構造体を圧縮固定する工程(キャニング)が必要となる。しかし、ハニカム構造体はその内部が貫通孔の側壁から構成されているため、機械的強度が低い。そのため、キャニングにおいてハニカム構造体全体に圧力が加わると、ハニカム構造体は破損し易い。また、ディーゼル車の走行に伴う振動やPMの燃焼による再生によってハニカム構造体が次第に破損する場合がある。したがって、貫通孔の側壁を厚くしたり、ハニカム構造体の気孔率を低めたりして、静水圧,振動及び熱等に対するハニカム構造体の耐久性を高める必要がある。しかし、貫通孔の側壁を厚くしたり、ハニカム構造体の気孔率を低めたりすると、排ガスがハニカム構造体を透過し難くなり、ハニカム構造体における排ガスの圧力損失が大きくなり、自動車の燃費が低下してしまう。したがって、圧力損失を減少させるためには、貫通孔の側壁を薄くし、ハニカム構造体の気孔率を高めることが必要となる。このようにハニカム構造体の耐久性と圧力損失は両立し難い。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、機械的強度に優れたハニカム構造体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るハニカム構造体は、チタン酸アルミニウムを含む多孔質のセラミックスから構成され、互いに略平行な複数の貫通孔が形成されたハニカム構造部と、貫通孔に略平行なハニカム構造部の側面を覆い、ハニカム構造部よりも機械的強度が高い外筒部と、を備える。つまり、外筒部の内側にハニカム構造部が配置される。
上記本発明では、ハニカム構造部が外筒部で覆われているので、外力に対するハニカム構造体全体の機械的強度(静水圧に対する耐久性)が向上し、キャニングや車両の走行に伴うハニカム構造体の破損が抑制される。また、上記本発明では、ハニカム構造部が外筒部で補強されるため、外力に対するハニカム構造体全体の機械的強度を損なうことなく、外筒部で保護されたハニカム構造部の貫通孔の側壁を充分に薄くし、ハニカム構造部の気孔率を充分に低くすることができる。その結果、本発明では、車両搭載時のハニカム構造体における排ガスの圧力損失を抑制できる。また、上記本発明は、ハニカム構造部がチタン酸アルミニウム焼結体を含む多孔質のセラミックスから構成されているため、熱膨張係数が極めて小さく、融点が高く、再生時の耐熱衝撃性に優れ、煤の限界堆積量が大きいDPFとして好適である。
上記本発明の一態様においては、外筒部が多孔質のセラミックスから構成され、外筒部の気孔率がハニカム構造部の気孔率よりも低いことが好ましい。これにより、外筒部に気体(排ガス)の透過性が付与されると共に、外筒部の機械的強度がハニカム構造部よりも高くなり、ハニカム構造体全体の機械的強度が向上する。ハニカム構造部よりも気孔率が低く密であり熱伝導率が高い外筒部で、ハニカム構造部を覆うことにより、熱がハニカム構造部から外筒部を通じてハニカム構造体の外部へ逃げ易くなり、ハニカム構造体の耐熱性が向上する。同様の理由から、外筒部の密度がハニカム構造部の密度よりも高いことが好ましい。
上記本発明の一態様においては、外筒部の平均線熱膨張係数がハニカム構造部の平均線熱膨張係数よりも高いことが好ましい。これにより、ハニカム構造体の耐熱衝撃性が向上する。
上記本発明の一態様においては、外筒部におけるガラス成分の含有率がハニカム構造部におけるガラス成分の含有率よりも高いことが好ましい。これにより、外筒部の焼結性がハニカム構造部よりも向上し、外筒部の硬度がハニカム構造部よりも高くなるため、ハニカム構造体全体の機械的強度が向上する。
上記本発明の一態様においては、複数の貫通孔のうち一部の貫通孔は、貫通孔に略直交するハニカム構造体の第一端面及び第二端面のうち第一端面において封口部で塞がれ、第二端面において開き、他の貫通孔は、第二端面において封口部で塞がれ、第一端面において開いていることが好ましい。これにより、ハニカム構造体にDPFの機能が付与される。
上記本発明の一態様においては、外筒部が多孔質のセラミックスから構成され、ハニカム構造部に形成された貫通孔と略平行な複数の貫通孔が外筒部に形成され、外筒部に形成された貫通孔の側壁はハニカム構造部に形成された貫通孔の側壁よりも厚いことが好ましい。これにより、外筒部の機械的強度がハニカム構造部よりも高くなり、ハニカム構造体全体の機械的強度が向上する。また、ハニカム構造部よりも側壁が厚く熱伝導率が高い外筒部でハニカム構造部を覆うことにより、熱がハニカム構造部から外筒部を通じてハニカム構造体の外部へ逃げ易くなり、ハニカム構造体の耐熱性が向上する。
上記本発明の一態様においては、外筒部に形成された複数の貫通孔のうち一部の貫通孔は、貫通孔に略直交するハニカム構造体の第一端面及び第二端面のうち第一端面において封口部で塞がれ、第二端面において開き、他の貫通孔は、第二端面において封口部で塞がれ、第一端面において開いていることが好ましい。これにより、ハニカム構造部だけではなく外筒部にもDPFの機能が付与される。そのため、外筒部に貫通孔が形成されていない場合に比べて、ハニカム構造体全体にけるPMの捕集率が向上する。
本発明によれば、機械的強度に優れたハニカム構造体を提供することが可能となる。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体の製造過程で形成される柱状体の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)の柱状体の端面図である。 図2(a)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のハニカム構造体の端面図である。 図3(a)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体の製造過程で形成される柱状体の斜視図であり、図3(b)は、図3(a)の柱状体の端面図である。 図4(a)は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体の斜視図であり、図4(b)は、図4(a)のハニカム構造体の端面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、同一又は同等の要素については同一の符号を付す。また、上下左右の位置関係は図面に示す通りであるが、寸法の比率は図面に示すものに限定されない。
<ハニカム構造体>
図2(a),図2(b)に示すように、本実施形態に係る柱状のハニカム構造体170は、ハニカム構造部20と、外筒部40とを備える。ハニカム構造部20は、多孔質のチタン酸アルミニウム焼結体、又はチタン酸アルミニウムを含む多孔質のセラミックスから構成される。ハニカム構造部20には、互いに略平行な複数の貫通孔70aが形成されている。外筒部40は、貫通孔70aに平行なハニカム構造部20の側面全体を覆っている。外筒部40の機械的強度はハニカム構造部20よりもが高い。貫通孔70aに垂直なハニカム構造体170の断面における外筒部40の幅(厚さ)は、特に限定されないが、例えば、当該断面の直径(ハニカム構造体170全体の太さ)に対して0.2〜10%程度である。外筒部40の厚さが大きいほど、ハニカム構造体170の機械的強度や耐熱性が向上する一方で、PMの捕集率が小さくなり圧力損失が増加する傾向がある。換言すれば、外筒部40の厚さが小さいほど、ハニカム構造体170の機械的強度や耐熱性が低下する一方で、PMの捕集率が増加して圧力損失が減少する傾向がある。ただし、外筒部40の幅が上記の数値範囲外であっても本発明の効果を奏することは可能である。
複数の貫通孔70aのうち一部の貫通孔aは、貫通孔aに直交するハニカム構造体170の第一端面及び第二端面のうち第一端面において封口部70bで塞がれ、第二端面において開いている。他の貫通孔70aは、第二端面において封口部で塞がれ、第一端面において開いている。つまり、第一端面において端部が開いている貫通孔70aは、第二端面において封口部70bで塞がれている。また、第一端面において端部が封口部70bで塞がれている貫通孔70aは、第二端面において開いている。ハニカム構造体の各端面では、開いた貫通孔の端部と封口部70bとが、格子状に交互に配置されている。このような構造を有するハニカム構造体(多セル型セラミックモノリス)はDPFに好適である。特にチタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体からなるハニカム構造部20を備えるDPFは、SiC、コージェライト又はチタン酸アルミニウム単体からなるDPFに比べて、熱膨張係数が極めて小さく、融点が高く、再生時の耐熱衝撃性に優れ、煤の限界堆積量が大きい点において優れている。
なお、本実施形態において、「チタン酸アルミニウム焼結体」は「チタン酸アルミニウムマグネシウム焼結体」を含意する。つまり、チタン酸アルミニウム焼結体は、マグネシウムを含有してもよい。また、チタン酸アルミニウム焼結体はケイ素を含有してもよい。チタン酸アルミニウム焼結体は、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウム(AlTiO)またはチタン酸アルミニウムマグネシウム(Al2(1−x)MgTi(1+x))の結晶パターンのほか、アルミナ、チタニアなどの結晶パターンを含んでいてもよい。
チタン酸アルミニウム焼結体におけるアルミニウムの含有率は、特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム換算で40〜60モル%である。チタン酸アルミニウム焼結体におけるチタンの含有率は、特に限定されないが、例えば、酸化チタン換算で35〜55モル%である。チタン酸アルミニウム焼結体におけるマグネシウムの含有率は酸化マグネシウム換算で1〜5質量%であることが好ましい。なお、チタン酸アルミニウム焼結体の組成は、原料混合物の組成により適宜調整すればよい。チタン酸アルミニウム焼結体は、上記の成分以外に、原料に由来する成分又は製造工程において不可避的に仕掛品に混入する微量の成分を含有し得る。
DPF用のハニカム構造体170の隔壁表面に、アルミナ等の担体に担持された白金系金属触媒や、セリア又はジルコニア等の助触媒を付着させてもよい。
外筒部40は多孔質のチタン酸アルミニウム焼結体又はチタン酸アルミニウムを含む多孔質のセラミックスから構成されることが好ましい。外筒部40の気孔率はハニカム構造部20の気孔率よりも低いことが好ましい。外筒部40の気孔率は、特に限定されないが、例えば5〜40体積%程度である。ハニカム構造部20の気孔率は、特に限定されないが、例えば20〜60体積%程度である。
外筒部40の平均線熱膨張係数はハニカム構造部20の平均線熱膨張係数よりも高いことが好ましい。外筒部40の平均線熱膨張係数は、特に限定されないが、例えば1.5×10−6〜1.0×10−5/K程度である。ハニカム構造部20の平均線熱膨張係数は、特に限定されないが、例えば3.0×10−7〜2.0×10−6/K程度である。
外筒部40におけるガラス成分の含有率はハニカム構造部20におけるガラス成分の含有率よりも高いことが好ましい。外筒部40におけるガラス成分の含有率は、特に限定されないが、例えば4〜10質量%程度である。ハニカム構造部20におけるケイ素の含有率は、特に限定されないが、例えば2〜5質量%程度である。なお、ガラス成分とは、例えばSiO2、またはSiOを主成分とし、B,Na,Ca及びF等を含む酸化物である。外筒部40及びハニカム構造部20がそれぞれチタン酸アルミニウムを含むセラミックスから構成される場合、外筒部40におけるチタン酸アルミニウムの含有率はハニカム構造部20におけるチタン酸アルミニウムの含有率よりも高いことが好ましい。これにより、外筒部40の硬度がハニカム構造部20よりも高くなり易い。
図4(a),図4(b)に示すように、外筒部40には、ハニカム構造部20に形成された貫通孔70aと略平行な複数の貫通孔70aが形成されていることが好ましい。また、外筒部40に形成された貫通孔70aの側壁(70c)はハニカム構造部20に形成された貫通孔70aの側壁(70c)よりも厚いことが好ましい。外筒部40に形成された貫通孔70aの隔壁の厚さは特に限定されないが、例えば0.25〜0.86mmである。ハニカム構造部20に形成された貫通孔70aの隔壁の厚さは特に限定されないが、例えば0.15〜0.76mmである。
図4(a),図4(b)に示すように、外筒部40に形成された複数の貫通孔70aのうち一部の貫通孔70aは、第一端面において封口部70bで塞がれ、第二端面において開き、他の貫通孔70aは、第二端面において封口部70bで塞がれ、第一端面において開いていることが好ましい。これにより、ハニカム構造部20だけではなく外筒部40にもDPFの機能が付与される。そのため、外筒部40に貫通孔70aが形成されていない場合に比べて、ハニカム構造体全体にけるPMの捕集率が向上し、圧力損失が抑制される。
貫通孔70aの長手方向に垂直な断面の内径(正方形の一辺の長さ)は特に限定されないが、例えば0.8〜2.5mmである。貫通孔70aの長手方向におけるハニカム構造体170の長さは特に限定されないが、例えば40〜350mmである。ハニカム構造体170の外径は、特に限定されないが、例えば10〜320mmである。貫通孔70aの長手方向における封口部70bの長さ(厚さ)は特に限定されないが、例えば1〜20mmである。ハニカム構造体170の端面に開いている貫通孔70aの数(セル密度)は特に限定されないが、例えば150〜450cpsiである。cpsiとの単位は「/inch」を意味し、「/(0.0254m)」に等しい。
<ハニカム構造体の製造方法>
(柱状体)
図2(a),図2(b)のハニカム構造体170は、図1(a),図1(b)の柱状体70から形成される。柱状体70の形状は、その両端面において全ての貫通孔70aが開いている点を除いて、ハニカム構造体170の形状と略同様である。柱状体70のハニカム構造部2は、ハニカム構造体170のハニカム構造部20に対応する。柱状体70の外筒部4は、ハニカム構造体170の外筒部40に対応する。後述する封口工程を行った後、柱状体70を乾燥して焼成することにより、ハニカム構造体170が得られる。また、柱状体70を焼成した後、柱状体70に封口工程を行い、これを乾燥して再度焼成して、ハニカム構造体170を得てもよい。
図3(a),図3(b)の柱状体70と図4(a),図4(b)のハニカム構造体170との対応関係は、図1(a),図1(b)の柱状体70と図2(a),図2(b)のハニカム構造体170との対応関係と同様である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、柱状体70は、ハニカム構造を有する円柱体である。柱状体70は、その中心軸に平行であり、互いに直交する複数の隔壁70cを有する。つまり、柱状体70は、その中心軸方向に垂直な断面において格子構造を有する。換言すれば、柱状体70には、同一方向(中心軸方向)に延びる多数の貫通孔70a(流路)が形成されており、隔壁70cが各貫通孔70aを隔てる。各貫通孔70aは柱状体70の両端面に垂直である。なお、柱状体70が有する複数の隔壁70cが互いになす角は特に限定されず、例えば120°であってもよい。柱状体70は、例えば、チタン酸アルミニウム焼結体等からなる多孔質のセラミックスであればよい。また、柱状体70は、セラミックスの原料の無機化合物粉末(Al,TiO等)及び有機バインダ等から形成されたグリーン成形体(未焼成の成形体)であってもよい。
[柱状体の成形方法]
図1(a),図1(b),図3(a)及び図3(b)に示す各柱状体70は、それぞれの端面の格子構造に対応する格子状の開口が形成されたダイを備える押出成形機を用いて、後述する原料混合物を成形することにより得られる。
ハニカム構造体170の外筒部70の気孔率をハニカム構造部20の気孔率よりも低くする場合、例えば、2重の円筒からなる原料混合物供給器から押出成形機のダイへ原料混合物を供給する。原料混合物供給器の断面は、グリーン成形体70のハニカム構造部2の直径とほぼ同一の直径を有する内円と、グリーン成形体70の端面の直径とほぼ同一の直径を有する外円とからなる二重の同心円状である。換言すれば、原料混合物供給器の外側の円筒の内径は、グリーン成形体70の端面の直径と略同一であり、外側の円筒に囲まれた内側の円筒の内径は、グリーン成形体70のハニカム構造部2の直径と略同一である。そして、原料混合物供給器の外側の円筒と内側の円筒との間からダイへ供給する原料混合物中の造孔剤の含有率を、原料混合物供給器の内側の円筒からダイへ供給する原料混合物中の造孔剤の含有率よりも低くすればよい。または、原料混合物供給器の外側の円筒と内側の円筒との間からダイへ供給する原料混合物中の無機化合物粉末の含有率を、原料混合物供給器の内側の円筒からダイへ供給する原料混合物中の無機化合物粉末の含有率よりも高くすればよい。
ハニカム構造体170の外筒部70の平均線熱膨張係数をハニカム構造部20の平均線熱膨張係数よりも高くする場合、上記の原料混合物供給器の外側の円筒と内側の円筒との間からダイへ供給する原料混合物中のアルミナの含有率を、原料混合物供給器の内側の円筒からダイへ供給する原料混合物中のアルミナの含有率よりも高くすればよい。
ハニカム構造体170の外筒部70におけるガラス成分の含有率をハニカム構造部20におけるガラス成分の含有率よりも高くする場合、原料混合物供給器の外側の円筒と内側の円筒との間からダイへ供給する原料混合物中のガラス成分の含有率を、原料混合物供給器の内側の円筒からダイへ供給する原料混合物中のガラス成分の含有率よりも高くすればよい。
ハニカム構造体170の外筒部70に形成された貫通孔70aの側壁(70c)をハニカム構造部20に形成された貫通孔70aの側壁(70c)よりも厚くする場合、ダイにおいて外筒部70に対応する部分における開口の幅を、ダイにおいてハニカム構造部20に対応する部分における開口よりも大きくすればよい。
2重の円筒からなる上記の原料混合物供給器の代わりに、単一の円筒からなる原料混合物供給器を用いてもよい。この単一の円筒からなる原料混合物供給器内の原料混合物を振動させながらダイへ原料混合物を供給すると、原料混合物中の固体成分(無機化合物粉末)が原料混合物供給器の内壁近傍に移動する。したがって、外筒部4に対応するダイの外縁近傍には固体成分の濃度が高い原料混合物が供給され、ハニカム構造部2に対応するダイの中心近傍には、固体成分の濃度が低い原料混合物が供給される。その結果、外筒部4の密度がハニカム構造部2の密度よりも高い柱状体70が得られる。この柱状体70を焼成することにより、外筒部40の硬度がハニカム構造部20の硬度よりも高いハニカム構造体170が得られる。
[封口工程]
封口工程では、柱状体70において複数の貫通孔70aが開いている第一端面に第一マスクを貼り付ける。第一マスクでは、貫通孔70aと略同様の寸法を有する複数のマスク部と開口部とが千鳥状に配置されている。各貫通孔70aと各マスク部及び開口部とが重なるように、柱状体70の第一端面に第一マスクを貼り付ける。また、柱状体70において第一端面とは反対側の第二端面に、第二マスクを貼り付ける。第二マスクが有する開口部とマスク部の配置関係は第一マスクとは真逆である。したがって、第一端面側で第一マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第二端面側で第二マスクの開口部と重なる。第二端面側で第二マスクのマスク部に塞がれた貫通孔70aは、第一端面側で第一マスク200aの開口部と重なる。したがって、柱状体70に形成された複数の貫通孔70aのいずれも、第一端面又は第二端面のいずれか一方において開き、他方においてマスク部で塞がれる。
第一端面に対する封口工程では、第一マスクの開口部と重なる各貫通孔70aの端部内に封口材を導入する。なお、貫通孔70aに封口材を導入した後、柱状体70全体を振動器により振動させてもよい。これにより、貫通孔70aの端部の隙間に隈なく封口材が充填され易くなる。封口材としては、無機化合物粉末(セラミックス材料、セラミックスの原料粉末又はそれらの混合物)、有機バインダ、潤滑剤、造孔剤及び溶媒等の混合物を用いればよい。封口材が含有する無機化合物粉末の組成は、柱状体70を形成するための無機化合物粉末の組成と同じであってもよく、異なっていてもよい。
以上の第一端面に対する封口工程後、第一端面に対する封口工程と同様に、第二マスクが貼られた第二端面に対する封口工程を実施する。両端面に封口工程を施した後に、各端面から各マスクを剥がす。
第一端面及び第二端面に対する上記の封口工程を行った後に、乾燥させた柱状体70を焼成し、貫通孔70aに導入された封口材を焼結させる。封口材の焼結により、貫通孔70aの一端を塞ぐセラミックスの封口部70bが形成され、ハニカム構造体170が完成する。
[原料混合物の調製]
上記の柱状体70を形成するために、無機化合物粉末、有機バインダ及び溶媒等を混練機等により混合して原料混合物を調製する。無機化合物粉末は、チタン源粉末及びアルミニウム源粉末を含む。無機化合物粉末は、更にマグネシウム源粉末及びケイ素源粉末を含んでもよい。
(アルミニウム源)
アルミニウム源は、チタン酸アルミニウム焼結体を構成するアルミニウム成分となる化合物である。アルミニウム源としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)が挙げられる。アルミナの結晶型としては、γ型、δ型、θ型、α型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。なかでも、α型のアルミナが好ましく用いられる。
アルミニウム源は、単独で空気中で焼成することによりアルミナに導かれる化合物であってもよい。かかる化合物としては、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウム塩は、無機酸との無機塩であってもよいし、有機酸との有機塩であってもよい。具体的なアルミニウム無機塩としては、例えば、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム硝酸塩、炭酸アンモニウムアルミニウムなどのアルミニウム炭酸塩などが挙げられる。アルミニウム有機塩としては、例えば、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
アルミニウムアルコキシドとして具体的には、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシドなどが挙げられる。
水酸化アルミニウムの結晶型としては、例えば、ギブサイト型、バイヤライト型、ノロソトランダイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アモルファスの水酸化アルミニウムとしては、例えば、アルミニウム塩、アルミニウムアルコキシドなどのような水溶性アルミニウム化合物の水溶液を加水分解して得られるアルミニウム加水分解物も挙げられる。
アルミニウム源としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、アルミニウム源としては、アルミナが好ましく用いられ、より好ましくは、α型のアルミナである。なお、アルミニウム源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
アルミニウム源粉末の粒径は、特に限定されない。例えば、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%に相当するアルミニウム源粉末の粒子径は20〜60μmの範囲内であればよい。なお、この粒子径は、D50又は平均粒子径とも呼ばれる。焼成時の収縮率低減の観点からは、D50が30〜60μmの範囲内であるアルミニウム源粉末を用いることが好ましい。
原料混合物にはアルミナゾルや後述のシリカゾルを添加することができる。このように、アルミナゾル、シリカゾル等を添加することにより、原料混合物中の微小な粒子同士を吸着させ、グリーン成形体中の粒子径0.1μm以下の粒子の量を、無機化合物粉末(固形分)の100重量部に対して1〜5重量部とすることができ、これにより500℃における脱脂後の成形体の強度を例えば0.2kgf以上とすることができる。
アルミナゾルとは、微粒子状のアルミナを分散質とし、液体を分散媒とするコロイドである。アルミナゾルは、単独でアルミニウム源とすることもできるが、他のアルミニウム源と共に併用されることが好ましい。アルミナゾルの分散媒は、例えば、混合時や仮焼時に蒸発等により除去される。
アルミナゾルの分散媒としては、水溶液や各種有機溶媒、例えば、塩酸水溶液、酢酸水溶液、硝酸水溶液、アルコール、キシレン、トルエン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。アルミナゾルとしては、平均粒子径が1〜100nmのコロイド状アルミナゾルが好適に用いられる。このような平均粒子径を有するアルミナゾルを用いることにより、原料混合物中の粒子同士を吸着させられるといった利点がある。また、アルミナゾルの市販品としては、例えば、日産化学工業社製「アルミナゾル100」、「アルミナゾル200」、「アルミナゾル520」、シーアイ化成製「NanoTek Al」等が挙げられる。このうち、日産化学工業社製「アルミナゾル200」を用いることが好ましい。
アルミナゾルは、無機化合物粉末(固形分)の100重量部に対して固形分で0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部用いることができる。アルミナゾルは、2種以上混合して用いてもよい。
(チタン源)
チタン源は、チタン酸アルミニウム焼結体を構成するチタン成分となる化合物であり、かかる化合物としては、例えば酸化チタンが挙げられる。酸化チタンとしては、例えば、酸化チタン(IV)、酸化チタン(III)、酸化チタン(II)などが挙げられ、なかでも酸化チタン(IV)が好ましく用いられる。酸化チタン(IV)の結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などが挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。より好ましくは、アナターゼ型、ルチル型の酸化チタン(IV)である。
チタン源は、単独で空気中で焼成することによりチタニア(酸化チタン)に導かれる化合物であってもよい。かかる化合物としては、例えば、チタン塩、チタンアルコキシド、水酸化チタン、窒化チタン、硫化チタン、チタン金属などが挙げられる。
チタン塩として具体的には、三塩化チタン、四塩化チタン、硫化チタン(IV)、硫化チタン(VI)、硫酸チタン(IV)などが挙げられる。チタンアルコキシドとして具体的には、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)t−ブトキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)n−プロポキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、および、これらのキレート化物などが挙げられる。
チタン源としては、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、チタン源としては、酸化チタンが好ましく用いられ、より好ましくは、酸化チタン(IV)である。なお、チタン源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
チタン源粉末の粒径は、特に限定されない。例えば、レーザ回折法により測定される、体積基準の累積百分率50%に相当するチタン源粉末の粒子径(D50)は0.5〜25μmの範囲内であればよい。十分に低い焼成収縮率の達成のためには、チタン源粉末のD50が1〜20μmの範囲内であることが好ましい。なお、チタン源粉末は、バイモーダルな粒径分布を示すことがあるが、このようなバイモーダルな粒径分布を示すチタン源粉末を用いる場合においては、レーザ回折法により測定される粒径分布における、粒径が大きい方のピークの粒径が20〜50μmの範囲内であることが好ましい。
レーザ回折法により測定されるチタン源粉末のモード径は、特に限定されないが、0.3〜60μmの範囲内であればよい。
(マグネシウム源)
原料混合物は、マグネシウム源を含有していてもよい。マグネシウム源を含むグリーン成形体から製造されたチタン酸アルミニウム焼結体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶の焼結体である。
マグネシウム源としては、マグネシア(酸化マグネシウム)のほか、単独で空気中で焼成することによりマグネシアに導かれる化合物が挙げられる。後者の例としては、例えば、マグネシウム塩、マグネシウムアルコキシド、水酸化マグネシウム、窒化マグネシウム、金属マグネシウムなどが挙げられる。
マグネシウム塩として具体的には、塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムなどが挙げられる。
マグネシウムアルコキシドとして具体的には、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシドなどが挙げられる。なお、マグネシウム源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
マグネシウム源として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物を用いることもできる。このような化合物としては、例えば、マグネシアスピネル(MgAl)が挙げられる。
マグネシウム源として、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
マグネシウム源粉末の粒径は、特に限定されない。例えば、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%に相当するマグネシウム源粉末の粒子径(D50)は0.5〜30μmの範囲内であればよい。焼成時の収縮率低減の観点からは、D50が3〜20μmの範囲内であるマグネシウム源粉末を用いることが好ましい。
グリーン成形体中におけるMgO(マグネシア)換算でのマグネシウム源のモル量は、Al(アルミナ)換算でのアルミニウム源とTiO(チタニア)換算でのチタン源との合計モル量に対して、0.03〜0.15であることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.12である。マグネシウム源の含有量をこの範囲内に調整することにより、耐熱性がより向上された、大きい細孔径および開気孔率を有するチタン酸アルミニウム焼結体を比較的容易に得ることができる。
(ケイ素源)
原料混合物は、ケイ素源をさらに含有していてもよい。ケイ素源は、シリコン成分となってチタン酸アルミニウム焼結体に含まれる化合物である。ケイ素源の併用により、耐熱性がより向上されたチタン酸アルミニウム焼結体を得ることが可能となる。ケイ素源としては、例えば、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素などの酸化ケイ素(シリカ)が挙げられる。
ケイ素源は、単独で空気中で焼成することによりシリカに導かれる化合物であってもよい。かかる化合物としては、例えば、ケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硫化ケイ素、四塩化ケイ素、酢酸ケイ素、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、長石、ガラスフリットなどが挙げられる。なかでも、長石、ガラスフリットなどが好ましく用いられ、工業的に入手が容易であり、組成が安定している点で、ガラスフリットなどがより好ましく用いられる。なお、ガラスフリットとは、ガラスを粉砕して得られるフレークまたは粉末状のガラスをいう。ケイ素源として、長石とガラスフリットとの混合物からなる粉末を用いることもできる。
ケイ素源がガラスフリットである場合、得られるチタン酸アルミニウム焼結体の耐熱分解性をより向上させるという観点から、屈伏点が700℃以上のものを用いることが好ましい。ガラスフリットの屈伏点は、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analysis)を用いて、低温からガラスフリットの膨張を測定し、膨張が止まり、次に収縮が始まる温度(℃)と定義される。
ガラスフリットを構成するガラスには、ケイ酸(SiO)を主成分(全成分中50重量%以上)とする一般的なケイ酸ガラスを用いることができる。ガラスフリットを構成するガラスは、その他の含有成分として、一般的なケイ酸ガラスと同様、アルミナ(Al)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化カルシウム(CaO)、マグネシア(MgO)等を含んでいてもよい。また、ガラスフリットを構成するガラスは、ガラス自体の耐熱水性を向上させるために、ZrOを含有していてもよい。
ケイ素源として、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ケイ素源粉末の粒径は、特に限定されない。例えば、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%に相当するケイ素源の粒子径(D50)は0.5〜30μmの範囲内であればよい。グリーン成形体の比重をより向上させ、機械的強度のより高い焼成体を得るためには、ケイ素源のD50が1〜20μmの範囲内であることが好ましい。
原料混合物がケイ素源を含む場合、原料混合物中におけるケイ素源の含有量は、Al(アルミナ)換算でのアルミニウム源とTiO(チタニア)換算でのチタン源との合計量100重量部に対して、SiO(シリカ)換算で、通常0.1重量部〜10重量部であり、好ましくは5重量部以下である。また、原料混合物中におけるケイ素源の含有量は、原料混合物中に含まれる無機化合物源中、2重量%以上5重量%以下とすることがより好ましい。ケイ素源は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
マグネシアスピネル(MgAl)などの複合酸化物のように、チタン、アルミニウム、ケイ素およびマグネシウムのうち、2つ以上の金属元素を成分とする化合物を原料として用いることができる。
原料混合物中の無機化合物粉末100重量部における粒子径0.1μm以下の粒子の含有量を1〜5重量部とする場合、上述のように、原料混合物にアルミナゾルおよび/またはシリカゾルを添加して混合することが好ましい。シリカゾルとは、微粒子状のシリカを分散質とし、液体を分散媒とするコロイドである。シリカゾルは、単独でケイ素源とすることもできるが、他のシリカ源と共に併用されることが好ましい。シリカナゾルの分散媒は、例えば、混合時や仮焼時に蒸発等により除去される。
シリカゾルの分散媒としては、水溶液や各種有機溶媒、例えば、アンモニア水溶液、アルコール、キシレン、トルエン、トリグリセリドなどが挙げられる。シリカゾルとしては、平均粒子径が1〜100nmのコロイド状シリカゾルが好適に用いられる。このような平均粒子径を有するシリカゾルを用いることにより、原料混合物中の粒子同士を吸着させ、焼成時に融解し結合させることができるといった利点がある。
シリカゾルの市販品としては、例えば、日産化学工業社製「スノーテックス20、30、40、50、N、O、S、C、20L、OL、XS、XL、YL、ZL、QAS−40、LSS−35、LSS−45」、旭電化社製「アデライトAT−20、AT−30、AT−40、AT−50、AT−20N、AT−20A、AT−30A、AT−20Q、AT−300、AT−300Q」、触媒化成工業社製「Cataloid S−20L、S−20H、S−30L、S−30H、SI−30、SI−40、SI−50、SI−350、SI−500、SI−45P、SI−80P、SN、SA、SC−30」、デュポン社製「ルドックスHS−40、HS−30、LS、SM−30、TM、AS、AM」等が挙げられる。このうち、中性域でコロイド状態が安定な「スノーテックスC」を用いることが好ましい。
原料混合物におけるシリカゾルの含有量は、無機化合物粉末(固形分)の100重量部に対して固形分で0〜10重量部、好ましくは0〜5重量部であればよい。2種以上のシリカゾルを混合して用いてもよい。
原料混合物は、チタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウムを含んでもよい。例えば、原料混合物の構成成分としてチタン酸アルミニウムマグネシウムを使用する場合、チタン酸アルミニウムマグネシウムは、チタン源、アルミニウム源およびマグネシウム源を兼ね備えた原料に相当する。
(有機バインダ)
有機バインダとしては、水溶性の有機バインダが好ましい。水溶性の有機バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩などの塩などが挙げられる。
有機バインダの量は、無機化合物粉末の100重量部に対して、通常20重量部以下であり、好ましくは15重量部以下、さらに好ましくは6重量部である。また、有機バインダの下限量は、通常0.1重量部、好ましくは3重量部である。
(溶媒)
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどのアルコール類、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどのグリコール類、および水などの極性溶媒を用いることができる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、無機化合物粉末の100重量部に対して、通常、10重量部〜100重量部、好ましくは20重量部〜80重量部である。なお、溶媒として非極性溶媒を用いてもよい。
(その他の添加物)
原料混合物は、有機バインダ以外の有機添加物を含むことができる。その他の有機添加物とは、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤である。
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類、でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料、氷、及びドライアイス等などが挙げられる。造孔剤の添加量は、無機化合物粉末の100重量部に対して、通常、0〜40重量部であり、好ましくは0〜25重量部である。造孔剤はグリーン成形体の焼成時に消失する。したがって、チタン酸アルミニウム焼結体では、造孔剤が存在していた箇所に微細孔が形成される。この微細孔の孔径はディーゼル燃料に由来する微細粒子の粒子径よりも小さい。したがって、気体は微細孔中を通過できるが、微細粒子は通過できない。
潤滑剤及び可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸Al等のステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤及び可塑剤の添加量は、無機化合物粉末の100重量部に対して、通常、0〜10重量部であり、好ましくは1〜5重量部である。
分散剤としては、例えば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸、シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の界面活性剤などが挙げられる。分散剤の添加量は、無機化合物粉末の100重量部に対して、通常、0〜20重量部であり、好ましくは2〜8重量部である。
[グリーン成形体の形成]
上述の押出成形機を用いて、上述の原料混合物を成形することにより、グリーン成形体が得られる。なお、成形前の原料混合物を混練してもよい。このグリーン成形体を柱状体70として用いてもよく、後述するように、グリーン成形体を仮焼し、かつ焼成したものを柱状体70として用いてもよい。
[グリーン成形体の仮焼き及び焼成]
上述のグリーン成形体を仮焼き(脱脂)し、且つ焼成することにより得られる柱状体は、主にチタン酸アルミニウムの結晶粒子の焼結体から構成される。原料混合物を成形してから焼成を行なうことにより、原料混合物を直接焼成する場合と比較して、焼成中の収縮を抑えることができ、得られるチタン酸アルミニウム焼結体の割れを効果的に抑制でき、また、焼成により生成した多孔質性のチタン酸アルミニウム結晶の細孔形状が維持されたチタン酸アルミニウム焼結体を得ることができる。
仮焼(脱脂)は、グリーン成形体中の有機バインダや、必要に応じて配合される有機添加物を、焼失、分解等により除去するための工程である。典型的な仮焼き工程は、焼成工程の初期段階、すなわちグリーン成形体が焼成温度に至るまでの昇温段階(例えば、300〜900℃の温度範囲)に相当する。仮焼(脱脂)工程おいては、昇温速度を極力おさえることが好ましい。
グリーン成形体の焼成温度は、通常、1300℃以上、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常、1650℃以下、好ましくは1550℃以下である。この温度範囲でグリーン成形体を加熱することにより、グリーン成形体中の無機化合物粉末が確実に焼結する。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常、1℃/時間〜500℃/時間である。
焼成は通常、大気中で行なわれるが、用いる原料粉末、すなわちアルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末およびケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガスなどのような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉などの通常の焼成炉を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
焼成に要する時間は、グリーン成形体がチタン酸アルミニウム結晶に遷移するのに十分な時間であればよく、グリーン成形体の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気などにより異なるが、通常は10分〜24時間である。
なお、グリーン成形体の仮焼きと焼成を個別に行ってもよい。仮焼き工程では、有機バインダその他の有機添加物の熱分解温度以上であり無機化合物粉末の焼結温度よりも低い温度でグリーン成形体を加熱すればよい。焼成工程では、仮焼き工程後のグリーン成形体を無機化合物粉末の焼結温度以上の温度で加熱すればよい。
焼成後の柱状体70は、成形直後のグリーン成形体の形状をほぼ維持した形状を有する。焼成後の柱状体70は、研削加工等により、所望の形状に加工することもできる。
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、ハニカム構造体170の形状は円柱に限定されず、用途に応じて任意の形状をとることができる。例えば、ハニカム構造体170の形状が、多角柱や楕円柱等であってもよい。
ハニカム構造体170の製造方法は上記のものに限定されない。例えば原料混合物からハニカム構造部2だけを形成した後、ハニカム構造部2の側面に原料混合物を略均一に塗布して外筒部4を形成し、これを焼成することにより、ハニカム構造体170を得てもよい。
ハニカム構造体の用途はDPFに限定されない。ハニカム構造体は、ガソリンエンジンなどの内燃機関の排気ガス浄化に用いられる排ガスフィルター又は触媒担体、ビールなどの飲食物の濾過に用いる濾過フィルター、石油精製時に生じるガス成分(例えば一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素等)を選択的に透過させるための選択透過フィルターなどのセラミックスフィルターなどに好適に適用することができる。なかでも、セラミックスフィルターなどとして用いる場合、チタン酸アルミニウム焼結体は、高い細孔容積および開気孔率を有することから、良好なフィルター性能を長期にわたって維持することができる。
2,20・・・ハニカム構造部、4,40・・・外筒部、70・・・柱状体、70a・・・貫通孔、70b・・・封口部、70c・・・隔壁、170・・・ハニカム構造体。

Claims (7)

  1. チタン酸アルミニウムを含む多孔質のセラミックスから構成され、互いに略平行な複数の貫通孔が形成されたハニカム構造部と、
    前記貫通孔に略平行な前記ハニカム構造部の側面を覆い、ハニカム構造部よりも機械的強度が高い外筒部と、
    を備える、
    ハニカム構造体。
  2. 前記外筒部が多孔質のセラミックスから構成され、
    前記外筒部の気孔率が前記ハニカム構造部の気孔率よりも低い、
    請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記外筒部の平均線熱膨張係数が前記ハニカム構造部の平均線熱膨張係数よりも高い、
    請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記外筒部におけるガラス成分の含有率が前記ハニカム構造部におけるガラス成分の含有率よりも高い、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  5. 前記複数の貫通孔のうち一部の前記貫通孔は、前記貫通孔に略直交する前記ハニカム構造体の第一端面及び第二端面のうち前記第一端面において封口部で塞がれ、前記第二端面において開き、
    他の前記貫通孔は、前記第二端面において封口部で塞がれ、前記第一端面において開いている、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  6. 前記外筒部が多孔質のセラミックスから構成され、
    前記ハニカム構造部に形成された前記貫通孔と略平行な複数の貫通孔が前記外筒部に形成され、
    前記外筒部に形成された前記貫通孔の側壁は前記ハニカム構造部に形成された前記貫通孔の側壁よりも厚い、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
  7. 前記外筒部に形成された前記複数の貫通孔のうち一部の前記貫通孔は、前記貫通孔に略直交する前記ハニカム構造体の第一端面及び第二端面のうち前記第一端面において封口部で塞がれ、前記第二端面において開き、
    他の前記貫通孔は、前記第二端面において封口部で塞がれ、前記第一端面において開いている、
    請求項6に記載のハニカム構造体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0654477A (ja) * 1992-07-28 1994-02-25 Sanyo Electric Co Ltd モータの軸受装置
JP2014018768A (ja) * 2012-07-20 2014-02-03 Sumitomo Chemical Co Ltd 排ガス浄化システム

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