JP2011243468A - 非水電解質電池用の正極体とその製造方法、および非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】正・負極層間の短絡を抑制することができる非水電解質電池用の正極体とその製造方法を提供する。
【解決手段】ステンレスからなる正極集電体11と、正極活物質としてLi含有酸化物を含む正極活物質層12とを備え、非水電解質電池に利用される正極体1において、正極集電体11と正極活物質層12との間に金属層5を形成する。この正極体1を作製するには、まずステンレス基板を用意し、このステンレス基板上に、めっき法、あるいはPVD法により金属層5を形成する。そして、金属層5上に、気相法により正極活物質層12を形成する。
【選択図】図1
【解決手段】ステンレスからなる正極集電体11と、正極活物質としてLi含有酸化物を含む正極活物質層12とを備え、非水電解質電池に利用される正極体1において、正極集電体11と正極活物質層12との間に金属層5を形成する。この正極体1を作製するには、まずステンレス基板を用意し、このステンレス基板上に、めっき法、あるいはPVD法により金属層5を形成する。そして、金属層5上に、気相法により正極活物質層12を形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、電気機器などの電源に利用される非水電解質電池に用いられる正極体とその製造方法、ならびにその正極体を使用した非水電解質電池に関するものである。
携帯機器といった比較的小型の電気機器の電源に、正極層と、負極層と、これら電極層の間に配される電解質層とを備える非水電解質電池が利用されている。電池に備わる電極層はさらに、集電機能を有する集電体と、活物質を含む活物質層とを備える。このような非水電解質電池のなかでも特に、正・負極層間のLiイオンの移動により充放電を行うLiイオン電池は、小型でありながら高い放電容量を備える。
上記Liイオン電池を作製するには、正極集電体となる導電性基材上に正極活物質層を形成した正極体を作製し、その正極体の正極活物質層上に、さらに電解質層、負極活物質層、負極集電体を順次形成すると良い。例えば、特許文献1には、正極集電体としてSUS304やSUS316Lを、正極活物質層としてLiCoO2を、固体電解質層としてLi2S−P2S5を、負極活物質層としてLi金属を、負極集電体としてSUS304やSUS316Lを使用しており、これら電池を構成する各構成を気相法(集電体以外)により形成することが記載されている。
しかし、従来の製造方法により得られる正極体では、正極体の上に更に固体電解質層を形成する際、固体電解質層において形成不良が生じる虞があった。その場合、完成した非水電解質電池において、固体電解質層の形成不良に起因する正・負極層間の短絡が生じる場合があった。そのため、固体電解質層の形成不良の原因究明と、その対策が望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、正・負極層間の短絡を抑制することができる非水電解質電池用の正極体とその製造方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、本発明正極体を使用した非水電解質電池を提供することにある。
本発明者らは、従来の非水電解質電池のうち、短絡が生じた非水電解質電池を詳細に調べた結果、正極活物質層において厚さ方向に極端に厚い、もしくは薄い異常成長箇所が形成されていることがわかった。そして、正極活物質層の上に固体電解質層を形成する際、異常成長箇所に対応する位置で固体電解質層に欠陥が生じ易いことが、正・負極層間の短絡の原因であることもわかった。そこで、異常成長の原因をさらに詳しく検討したところ、正極集電体の製造過程で不可避的に正極集電体に含まれる粒子状介在物の一部が正極集電体の積層面(正極活物質層を積層する面)に島状に露出する部分や、その粒状介在物の脱落痕を基点にして異常成長が起こっていることがわかった。つまり、正極集電体の積層面において、正極集電体の主たる組成とは異なる組成の異種材料領域や、クレーター状の脱落痕が存在していることが異常成長の原因ではないかと推察される。これら知見に基づいて本発明を以下に規定する。
(1)本発明正極体は、ステンレスからなる正極集電体と、正極活物質としてLi含有酸化物を含む正極活物質層とを備え、非水電解質電池に利用される正極体である。上記正極集電体には、その製造の際に不可避的に混入される粒子状介在物で、正極集電体の組成とは異なる組成を有する粒子状介在物が複数含まれている。本発明正極体は、正極集電体の表面に露出する粒子状介在物、および粒子状介在物の脱落痕を覆うように、正極集電体と正極活物質層との間に配置される金属層を備えることを特徴とする。
本発明正極体では、その製造時に、ステンレスの表面上に露出する粒子状介在物からなる異種材料領域、および粒子状介在物の脱落痕が金属層に覆われているので、これら異種材料領域や脱落痕を基点とする正極活物質層の異常成長が抑制されている。その結果、本発明正極体を用いて非水電解質電池を作製した際、正極活物質層の異常成長箇所に起因する正・負極層間の短絡を防止することができる。
また、本発明正極体では、その製造時に、ステンレスの表面上に金属層が形成されることで、正極活物質層の形成状態が従来よりも改善されている。ステンレス上に形成した金属層の表面状態(異種材料領域の有無と表面粗さ)の方が、ステンレスの表面状態よりも優れる傾向にあるからである。
(2)本発明正極体の一形態として、金属層の平均厚さは、1〜10μmであることが好ましい。
上記平均厚さの金属層であれば、ステンレスからなる正極集電体の表面、つまり、ステンレス表面の異種材料領域と脱落痕をあますところなく覆うことができる。平均厚さの定義は後述する。
(3)本発明正極体の一形態として、正極活物質として利用するLi含有酸化物は、LiαXβ(1−X)O2(α=Co,Ni,Mnから選択される1種以上;β=Fe,Alから選択される1種以上;0.5≦X≦1.0)であることが好ましい。その場合、金属層は、Niとすることが好ましい。
上記LiαXβ(1−X)O2は、本発明正極体を非水電解質電池に利用した際、電池の放電容量を増加させることに寄与する。また、Niは、ステンレス製の正極集電体、およびLiαXβ(1−X)O2を含む正極活物質層の双方に対して優れた密着性を発揮する。
(4)本発明正極体の一形態として、金属層中に、正極集電体に含まれるFeが拡散していることが好ましい。
金属層中にFeが拡散していると、金属層と正極活物質層との密着性を向上させることができる。特に、正極活物質層に含まれる正極活物質がLiαXβ(1−X)O2(特に、LiCoXβ(1−X))のとき、金属層中にFeが含まれていると、金属層と正極活物質層との密着性が良い。
(5)本発明非水電解質電池は、正極層、負極層、およびこれら電極層の間に配される固体電解質層を備える非水電解質電池であって、正極層に、本発明正極体を用いたことを特徴とする。
上記構成を備える非水電解質電池であれば、正・負極間で短絡が生じ難い。これは、正極体の説明の際に既に述べたように、使用する正極体に備わる金属層により、正極活物質層における欠陥が抑制されているからである。
(6)本発明正極体の製造方法は、非水電解質電池に利用される正極体の製造方法であって、以下の工程を備えることを特徴とする。
正極集電体となるステンレス基板を用意する工程。
前記ステンレス基板上に、めっき法あるいはPVD法により金属層を形成する工程。
金属層上に、気相法により正極活物質層を形成する工程。
正極集電体となるステンレス基板を用意する工程。
前記ステンレス基板上に、めっき法あるいはPVD法により金属層を形成する工程。
金属層上に、気相法により正極活物質層を形成する工程。
本発明正極体の製造方法によれば、正極集電体となるステンレス基板上に金属層が形成されることで、ステンレス基板上に露出する異種材料領域が金属層に覆われる。そのため、金属層の上にさらに正極活物質層を形成する際、ステンレス基板表面の異種材料領域に起因する正極活物質層の異常成長が抑制された本発明正極体を製造することができる。
(7)本発明正極体の製造方法の一形態として、金属層上に正極活物質層を形成する前に、500〜700℃×0.5〜3hで熱処理する工程を備えることが好ましい。
この熱処理工程を行うことにより、ステンレス基板に含まれるFeを金属層に拡散させることができる。その結果、金属層と、この金属層の上に形成される正極活物質層との密着性を向上させることができる。
本発明正極体を用いて非水電解質電池を作製すれば、正・負極層間の短絡が生じ難く、安定して動作する非水電解質電池とすることができる。
以下、本発明正極体の実施形態を説明する。本発明正極体は、図1に示すような非水電解質電池(Liイオン電池)100の正極層(正極体)1として利用できる。この非水電解質電池100には、正極層1の他に、負極層2と固体電解質層(SE層)3を備えており、正極層1と負極層2との間でLiイオンの遣り取りをすることで電池として機能する。さらに、この電池100は、正極層1とSE層3の材質によっては、正極層1とSE層3との間に中間層4を有していても良い。以下、正極層1の構成を中心に非水電解質電池100の各層を詳細に説明する。
<正極層>
正極層(正極体)1は、従来の正極層1と同様に、集電機能を有する正極集電体11と、正極活物質を含有する正極活物質層12とを備える。この正極体1の最も特徴とするところは、正極集電体11と正極活物質層12との間に金属層5を有することにある。以下、正極体を作製する手順に沿って、その特徴部分を説明する。
正極層(正極体)1は、従来の正極層1と同様に、集電機能を有する正極集電体11と、正極活物質を含有する正極活物質層12とを備える。この正極体1の最も特徴とするところは、正極集電体11と正極活物質層12との間に金属層5を有することにある。以下、正極体を作製する手順に沿って、その特徴部分を説明する。
まず、正極層1を作製するにあたり、正極集電体11となるステンレス基板を用意する。ステンレスは、優れた導電性、耐熱性、および機械的強度を兼ね備える点で、正極集電体11として好ましい。ステンレスのなかでも特に、SUS316や、SUS316L、SUS304などが、正極集電体11として好適である。
ところで、ステンレス基板は、その製造過程において不可避的に粒子状介在物が含まれる。その粒子状介在物の一部が、ステンレス基板の表面に島状に露出することで形成される異種材料領域は、ステンレス基板上に正極活物質層12を形成する際、当該層12の異常成長を促す恐れがある。また、ステンレス基板の表面に露出する粒子状介在物が脱落すると、エッジの立った脱落痕となり易く、その脱落痕を基点として、正極活物質層12の異常成長が生じる恐れがある。そこで、本実施形態では、正極活物質層12の形成前に、ステンレス基板の表面を金属層5で覆ってしまうことで、異種材料領域や粒子状介在物の脱落痕による正極活物質層12の異常成長を防止する。
金属層5の役割は、ステンレス基板の表面を覆ってしまうことで、正極活物質層12を形成する面に局所的な異種材料領域がない状態とすると共に、粒子状介在物の脱落痕のエッジを丸めることである。また、この金属層5に求められる特性は、金属層5を設けたことで正極体1の厚み方向の導電性を出来るだけ低下させないことである。そのため、金属層5は、導電性に優れる単体金属で構成することが好ましい。その場合、例えば、NiやCu、Cr、Auなどを利用することができる。特に、Niは、ステンレス基板(正極集電体11)に対する密着性に優れる上、正極活物質層12に対する密着性にも優れる点で好ましい。
また、金属層5の平均厚さは、1〜10μmとすることが好ましい。より好ましい金属層5の平均厚さは、5〜8μmである。この範囲の平均厚さであれば、ステンレス基板表面を余すことなく金属層5で覆うことができる。また、上記平均厚さの金属層5であれば、後述するように金属層5を形成した後の熱処理により、金属層5の表面近傍にまでステンレスに含まれるFeを拡散させることができる。Feは、金属層5と、金属層5上に形成される正極活物質層12との密着性を向上させる効果を持つ。なお、金属層5の平均厚さは、金属層5の面内の異なる10点以上で、SEM観察により厚さを測定し、その厚さを平均することで求めることができる。
金属層5の形成には、めっき法、あるいはPVD法を利用できる。めっき法としては、無電解めっき、パルスめっき、ウッド浴などを挙げることができる。ウッド浴は、ステンレス基板の表面に形成される酸化膜を還元しつつ金属層5を形成できるので好ましい。一方、PVD法としては、スパッタリング法やレーザーアブレーション法などを挙げることができる。
ステンレス基板(正極集電体11)上に金属層5を形成したら、次は金属層5上に正極活物質層12を気相法により形成する。正極活物質層12に含まれる正極活物質としては、Li含有酸化物、特に、LiαXβ(1−X)O2(α=Co,Ni,Mnから選択される1種以上;β=Fe,Alから選択される1種以上;0.5≦X≦1.0)で表される物質が、電池100の放電容量を高くする点で好ましい。正極活物質の具体例としては、例えば、LiCoO2(α=Co、X=1)、LiNiO2(α=Ni、X=1)、LiMnO2(α=Mn、X=1)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(α=Co+Ni+Mn、X=1)、LiNi1/2Mn1/2O2(α=Ni+Mn、X=1)、LiNi0.8Co0.15Al0.05O2(α=Co+Ni、β=Al、X=0.95)などを挙げることができる。また、正極活物質層12を形成するための気相法としては、例えば、スパッタリング法やイオンプレーティング法などの物理蒸着法を使用することができる。
<中間層>
中間層4は、SE層3に固体状の硫化物を用いた場合に必要となるものであって、充放電に伴う電池100の放電容量の低下を抑制できる。このような中間層4の材料としては、例えば、LiNbO3や、LiTaO3などを利用することができる。
中間層4は、SE層3に固体状の硫化物を用いた場合に必要となるものであって、充放電に伴う電池100の放電容量の低下を抑制できる。このような中間層4の材料としては、例えば、LiNbO3や、LiTaO3などを利用することができる。
<SE層>
SE層3は、正極層1と負極層2との間のLiイオンの遣り取りを媒介する層である。SE層3に要求される特性は、低電子伝導性で、高Liイオン伝導性であることである。例えば、SE層3として、Li2S−P2S5(さらにP2O5を含んでも良い)など硫化物固体電解質や、LiPONなどの酸化物固体電解質を利用することができる。
SE層3は、正極層1と負極層2との間のLiイオンの遣り取りを媒介する層である。SE層3に要求される特性は、低電子伝導性で、高Liイオン伝導性であることである。例えば、SE層3として、Li2S−P2S5(さらにP2O5を含んでも良い)など硫化物固体電解質や、LiPONなどの酸化物固体電解質を利用することができる。
<負極層>
図1の負極層2は、負極集電体21と負極活物質層22とを備える。負極集電体21としては、CuやAlなどを利用できる。また、負極活物質層22に含まれる負極活物質としては、金属Li、あるいはSiやCのようにLiと化合物を形成することができる元素、Nb2O5などのLiと化合物を形成することができる化合物を利用することができる。
図1の負極層2は、負極集電体21と負極活物質層22とを備える。負極集電体21としては、CuやAlなどを利用できる。また、負極活物質層22に含まれる負極活物質としては、金属Li、あるいはSiやCのようにLiと化合物を形成することができる元素、Nb2O5などのLiと化合物を形成することができる化合物を利用することができる。
次に、実施形態で説明した正極体(正極層1)を実際に作製し、その正極体を用いて非水電解質電池100を作製した。そして、作製した各電池100において、正・負極間の短絡の有無を確認した。
まず、厚さ500μmの複数のSUS316L基板を用意した。これらSUS316Lには、その作製の際に使用した真空アーク溶解炉やプラズマ溶解炉に由来する粒子状介在物が含まれる。そして、その粒子状介在物の一部が、異種材料領域として、SUS316L基板の表面上に露出している。
用意した各SUS316L基板を研磨した後、その研磨面上にウッド浴を用いてNiをめっきした。その際、Niめっきからなる金属層5の厚さを異ならせた複数の試料を用意した。各試料における金属層5の平均厚さは、約3μm,5μm,10μm,20μmであった。金属層5の平均厚さは、金属層5の面内の異なる10箇所においてSEM観察を用いて厚さを測定し、それらを平均することで求めた。また、比較として、金属層5を形成しなかった試料も用意した。
以上作製した試料について、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz、二乗平均粗さRMSを測定した。その結果を、研磨前後のSUS316L基板のRa,Ry,Rz,RMSと共に、表1に示す。なお、表1には、電池100としたときの金属層5の有無、および金属層5の厚さの影響を評価する指標としてOCV歩留り(%)も合わせて表記した。OCV歩留りについては後述する。
表1に示すように、SUS316L基板を研磨することで、同基板の表面状態が改善されることがわかる。また、研磨後のSUS316基板上にNiめっきを施すことで、SUS基板に不可避的に含まれ、SUS基板の表面に露出する粒子状介在物からなる異種材料領域がNiめっきで覆われる。その際、上記RyやRz、RMSの値の変化からわかるように、粒子状介在物の脱落痕が穴埋めされることにより当該脱落痕のエッジが丸められる。これらの結果、金属層5上に正極活物質層12を形成する際、正極活物質層12の異常成長を抑制することができる。
次に、各試料(金属層5の有無を問わず、全試料)を、650℃×3hで熱処理した。この熱処理は、SUS316L基板に含まれるFeを金属層5中に拡散させるためのものである。熱処理後の金属層5におけるFeの拡散状態を確認するため、金属層5の表面(分析深さ:<1μm)をオージェ電子分光法により調べたところ、10μmまでの厚さの金属層5であれば、金属層5の表面においてNiのピークと同等強度のFeのピークを確認することができた。つまり、金属層5の表面近傍にまでFeが拡散していることが確認できた。
最後に、金属層5上に、平均厚さ10μmのLiCoO2からなる正極活物質層12を成膜し、正極体1を完成した。正極活物質層12の成膜には、ArとO2の混合ガスを用いたRF(高周波)スパッタリングを用いた。
次に、作製した正極体1を基板として、正極活物質層12上に、LiNbO3からなる中間層4、Li2S−P2S5−P2O5からなるSE層3、Li金属からなる負極活物質層22、SUS316L箔からなる負極集電体21を形成することで、非水電解質電池100を完成させた。中間層4、SE層3、負極活物質層22はそれぞれ、スパッタリング法、レーザーアブレーション法、真空蒸着法により形成した。
上記作製した各正極体1を備える非水電解質電池100について、正・負極間の短絡を調べたところ、表1に示すように、短絡によるOCV歩留まりが改善されることがわかった。OCV歩留りとは、作製した電池100のうち、良品と判断された電池100の割合のことである。良品の判断基準は、組み立て直後の電池100のOCVを測定し、さらに12時間後に同じ電池100のOCVを測定したときに、OCVの低下が0.1V以内であるものである。
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更等可能である。
本発明正極体は、種々の電気機器の電源としての非水電解質電池に好適に利用可能である。
100 非水電解質電池
1 正極層(正極体)
11 正極集電体 12 正極活物質層 5 金属層
2 負極層
21 負極集電体 22 負極活物質層
3 SE層
4 中間層
1 正極層(正極体)
11 正極集電体 12 正極活物質層 5 金属層
2 負極層
21 負極集電体 22 負極活物質層
3 SE層
4 中間層
Claims (7)
- ステンレスからなる正極集電体と、正極活物質としてLi含有酸化物を含む正極活物質層とを備え、非水電解質電池に利用される正極体であって、
前記正極集電体には、その製造の際に不可避的に混入される粒子状介在物で、正極集電体の組成とは異なる組成を有する粒子状介在物が複数含まれており、
前記正極集電体の表面に露出する粒子状介在物、および粒子状介在物の脱落痕を覆うように、前記正極集電体と正極活物質層との間に配置される金属層を備えることを特徴とする正極体。 - 前記金属層の平均厚さは、1〜10μmであることを特徴とする請求項1に記載の正極体。
- 前記Li含有酸化物は、LiαXβ(1−X)O2(α=Co,Ni,Mnから選択される1種以上;β=Fe,Alから選択される1種以上;0.5≦X≦1.0)であり、
前記金属層は、Niであることを特徴とする請求項1または2に記載の正極体。 - 前記金属層に、前記正極集電体に含まれるFeが拡散していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の正極体。
- 正極層、負極層、およびこれら電極層の間に配される固体電解質層を備える非水電解質電池であって、
前記正極層に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の正極体を用いたことを特徴とする非水電解質電池。 - 非水電解質電池に利用される正極体を製造するための正極体の製造方法であって、
正極集電体となるステンレス基板を用意する工程と、
前記ステンレス基板上に、めっき法あるいはPVD法により金属層を形成する工程と、
金属層上に、気相法により正極活物質層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする正極体の製造方法。 - 前記正極活物質層を形成する前に、500〜700℃×0.5〜3hで熱処理する工程を備えることを特徴とする請求項6に記載の正極体の製造方法。
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