JP2011243316A - 燃料電池用電極触媒の評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電極触媒の酸化状態が相違する場合であっても、電極触媒の活性をばらつき無く評価することができる燃料電池用電極触媒の評価方法を提供する。
【解決手段】一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層を無酸素雰囲気にし、前記燃料電池に印加する印加電圧を調整することにより、前記他方の電極触媒層の電極触媒の酸化物を除去する。次に、電極触媒の酸化物を除去後、前記一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、前記他方の電極触媒層に加湿されたガスを供給し、前記燃料電池に印加する印加電圧を調整することにより、前記他方の電極触媒層の電極触媒をその酸化状態が安定するまで酸化させる。一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、前記他方の電極触媒層に加湿された酸素ガスを供給し、前記酸化させた電極触媒の活性を測定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池に用いられる電極触媒層の電極触媒の活性を好適に評価することができる評価方法に関する。
燃料電池の一形態として固体高分子型燃料電池が知られている。固体高分子型燃料電池は他の形態の燃料電池と比較して作動温度が低く、低コスト、コンパクト化が可能なことから、自動車の動力源等として期待されている。
固体高分子型燃料電池は、燃料電池の発電部である膜電極接合体(MEA)を主要な構成要素とし、それをガス流路を備えたセパレータで挟持することにより、単セルと呼ばれる1つの燃料電池を形成している。膜電極接合体は、イオン交換膜である固体電解質樹脂膜の両面に電極触媒層を積層した構造を持つ。電極触媒層は、電解質樹脂と触媒担持導電体とを含む触媒混合物で形成され、電極触媒には主に白金系の金属が用いられ、該電極触媒を担持する導電体にはカーボン粉末が主に用いられる。
電極触媒の材料となる白金は、高価な貴金属であり、少ない担持量で十分な性能を発揮させることが望まれている。従って、その使用量の低減のために、電極触媒の活性とその耐久性を評価することは重要である。なかでも、電極触媒の活性は、燃料電池の発電性能を決める要因の1つであり、電極触媒の活性の評価は、燃料電池の開発、品質管理を行う上で、欠かすことのできない評価である。
そこで、電極触媒の活性を評価するにあたっては、リニアスイープボルタンメトリ(LSV)法、サイクリックボルタンメトリ(CV)法に代表される電気化学計測法が適用される。このような電気化学計測法により得られた電極触媒の面積活性、質量活性などを活性評価の指標として、電極触媒の活性の度合いが評価される(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−2813号公報
しかしながら、上述した電気化学計測法により、電極触媒の活性を評価しようとした場合、活性評価以前の使用履歴等により、得られる活性評価の指標が大きく異なる(ばらつきが大きい)ことがあった。
具体的には、以下に示す理由によるものと考えられる。電極触媒の活性は、電極触媒の材料固有の特性に加えて、実使用環境下(電圧1.0V〜0.6V)において、電極触媒の表面に起こる酸化状態によって大きく変化する。そして、その電極触媒の表面の酸化状態は、活性評価を行うまでの電極触媒の使用・保存状態などの履歴(ガス雰囲気、電位条件など)によって変化する。このため、電極触媒の酸化状態の相違により、同じ電極触媒を同様の評価方法でその活性評価したとしてもその評価指標にばらつきが生じたと考えられる。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とすることころは、たとえ、電極触媒の酸化状態が相違する場合であっても、電極触媒の活性を正確に評価することができる燃料電池用電極触媒の評価方法を提供することにある。
上記課題を鑑みて、発明者は鋭意検討を重ねた結果、電極触媒の活性評価の結果のばらつきを低減するためには、これまでの電極触媒の酸化状態の履歴を含め電極触媒の酸化状態を制御することが重要であると考えた。すなわち、このばらつきは、電極触媒の表面に起こる酸化状態に起因するので、一旦、電極触媒の表面の酸化物を除去したのち、不安定な表面状態の電極触媒を安定的な酸化状態にすることで、これらのばらつきを低減することができるとの新たな知見を得た。
本発明は、発明者の前記新たな知見によるものであり、本発明に係る燃料電池用電極触媒の評価方法は燃料電池の高分子電解質膜の両面に接合された電極触媒層の電極触媒を評価する方法であって、一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層を無酸素雰囲気にし、前記燃料電池に印加する印加電圧を調整することにより、前記他方の電極触媒層の電極触媒の酸化物を除去する酸化物除去工程と、前記電極触媒の酸化物の除去後、前記一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、前記燃料電池に印加する印加電圧を調整することにより、前記他方の電極触媒層の電極触媒を酸化状態が安定するまで酸化させる酸化状態安定化工程と、前記一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、前記他方の電極触媒層に加湿された酸素ガスを供給し、前記酸化させた電極触媒の活性を測定する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、まず、電極触媒のこれまでの酸化過程により生成された酸化物が電極触媒の活性評価に影響を与えないように、電極触媒の酸化物を除去する。具体的は、一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層を無酸素雰囲気にし、この状態で、燃料電池に印加する印加電圧を、例えば白金触媒の場合には0.4V以下に調整して保持する。これにより、例えば、白金の場合、PtO+2H+2e→Pt+HOの反応により、他方の電極触媒層の電極触媒の酸化物が除去される。ここで、他方の電極触媒層は無酸素雰囲気下にあるので効率的に酸化物を除去することができる。
次に、他方の電極触媒層の電極触媒をその酸化状態が安定するまで酸化させる。具体的には、一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層に加湿されたガスを供給し、前記燃料電池に印加する印加電圧を、例えば白金触媒の場合には、0.8〜0.95V程度に調整して保持する。これにより、例えば、白金の場合、Pt+HO→PtO+2H+2eの反応により、他方の電極触媒層の電極触媒は、酸化され、この酸化状態が安定するまでこの工程を行う。
なお、ここで、本発明にいう、「電極触媒の酸化状態を安定させる」とは、燃料電池への印加電圧をそれ以上の時間保持したとしても、それ以上電極触媒の酸化が進行しない状態にまで電極触媒を酸化することをいう。
そして、前記酸化させた電極触媒の活性を測定する。具体的には、一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層に加湿された酸素ガスを供給し、酸化させた電極触媒の活性を測定する。この際に、電極触媒の酸化物を一旦除去し、改めて電極触媒を、その酸化状態が安定するまで酸化してから、電極触媒の活性を測定するので、これまでの電極触媒の使用履歴等によらず、正確に電極触媒の活性を測定することができ、より適切に活性評価をすることができる。
なお、この電極触媒の活性の測定は、燃料電池への電流を制御して電圧を検出しても、燃料電池への電圧を制御して電流を検出してもよく、例えば、質量活性、面積活性などの活性の指標となる値を測定することができるのであれば、特にその方法は問わない。
ここで、酸化状態安定化工程において、他方の電極触媒層に加湿されたガスを供給することができるのであれば、そのガスは、不活性ガス、酸素ガス等、特に限定されるものではないが、より好ましくは、他方の電極触媒層に供給するガスは、酸素ガスである。本発明によれば、電圧制御(電位を制御)するのみの場合に比べて、より確実に安定して電極触媒を酸化させることができる。
このように、上述した電極触媒の酸化物を除去し、その後、電極触媒を酸化してその酸化状態を安定させることができるのであれば、本発明の各工程において使用する水素ガス、酸素ガスに、さらに不活性ガスなどガスが混合されていてもよい。
また、酸化物除去工程において、他方の電極触媒層に純水を供給したり、加湿した不活性ガス又は加湿した還元ガスを供給したりすることにより、前記他方の電極触媒層を前記無酸素雰囲気にすることができる。しかしながら、より好ましくは、酸化物除去工程において、他方の電極触媒層には加湿した不活性ガス又は加湿した還元性ガスを供給する。このように、水ではなくガスを用いることにより、その後、乾燥等行うことなく酸化状態安定化工程を容易に行うことができる。
さらに、他方の電極触媒層の電極触媒をその酸化状態が安定するまで酸化させるには、予め実験等により、印加電圧を保持する時間を定めてもよいが、より好ましくは、酸化状態安定化工程において、燃料電池に印加する印加電圧により得られる出力電流値に基づいて、前記他方の電極触媒層の電極触媒を酸化させる。すなわち、このような出力電流値の変動が安定するまで、他方の電極触媒層の電極触媒の酸化を行うことにより、リアルタイムに、他方の電極触媒層の電極触媒の酸化状態を確認することができる。
本発明によれば、これでまでの使用環境等により、電極触媒の酸化状態が相違する場合であっても、電極触媒の活性をばらつき無く正確に評価することができる。
本実施形態に係る燃料電池用電極触媒の評価方法を説明するための図。 図1の評価方法を行うための装置構成図。 サイクリックボルタンメトリ法における触媒の状態を説明するための図。 本実施形態に係る電極触媒の評価方法を説明するための図。 実施例1及び比較例1〜3における印加電圧の条件を説明するための図。 実施例1及び比較例1〜3における質量活性の結果を示した図。 酸化状態安定化工程における出力電流値の時間変化を説明するための図。 実施例3及び比較例4における質量活性の結果を示した図。
本発明を以下の実施形態に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る燃料電池用電極触媒の評価方法を説明するための図であり、図2は、図1の評価方法を行うための装置構成図である。図3は、サイクリックボルタンメトリ法における触媒の状態を説明するための図であり、図4は、本実施形態に係る電極触媒の評価方法を説明するための図である。
図1に示すように、本実施形態に係る燃料電池に用いる電極触媒の評価方法は、以下に示す、図1に示す1)〜3)ステップを順次行うことにより、評価前の任意の試験内容に拘らず、ばらつきの無く電極触媒の活性評価を行うことを目的とするものである。
ここで、本実施形態では、図2に示すように、高分子電解質膜11の両面に電極触媒層12A,12Bが接合された膜電極接合体(MEA)10を準備する。高分子電解質膜11は、プロトン伝導性を有する樹脂(プロトン交換樹脂)から構成されば、その樹脂の種類は、特に限定されるものではなく、その樹脂としては、フルオロアルキルエーテル側鎖とパーフルオロアルキル主鎖を有するフルオロアルキル共重合体のパーフルオロ系プロトン交換樹脂(例えば、デュポン社製ナフィオン(商標名))などを挙げることができる。
電極触媒層12A,12Bの電極触媒の材料としては、白金Pt又は白金合金PtMを挙げることができる。ここでMは、Fe,Co,Niなどの遷移金属、Au,Irなどの貴金属を挙げることができる。また、この電極触媒は、導電性を有する担体(カーボン、導電性金属酸化物など)に担持されて、電極触媒層12A、12Bを構成していてもよい。このように構成された膜電極接合体10に、ガス拡散層(図示せず)を積層し、さらに、セパレータ(図示せず)でこれを挟持して、単セルの燃料電池を得ることができる。
このような燃料電池1を用いたサイクリックボルタンメトリ法により得られるサイクリックボルタモグラムの波形と、この時の電極触媒の状態を、図3を参照しながら以下に説明する。
まず、燃料電池1の一方の電極触媒層12Aに加湿した加湿した水素ガスを供給する。この水素ガスには、例えば、N,He,Arなどのガスが混合されていてもよい。なお、ここでは、水素ガスは、サイクリックボルタンメトリ法を行うにあたって、後述する他方の電極触媒層12Bの電極触媒の一連の反応に充分な量の水素が供給される。一方、燃料電池1の他方の電極触媒層12Bは、無酸素雰囲気下にする。ここではその一例として、加湿した不活性ガスを供給する。不活性ガスとしては、N,He,Arなどのガスを挙げることができる。
そして、このような状態で、サイクリックボルタンメトリ法を行う。具体的には、一方の電極触媒層12Bを参照電極とし、ポテンショガルバノスタット20を用いて、他方の電極触媒層の電位(印加電圧)を変化させ(スイープし)これにより得られる出力電流値を測定する。
このようにして、燃料電池に反応ガスとして一方の電極触媒層に水素ガスを供給した状態で、燃料電池の印加電圧をスイープして、印加電圧を低電圧→高電圧→低電圧と一巡させるサイクリックボルタンメトリ(CV)の測定を行うことにより、図3に示すような、サイクリックボルタモグラムの波形を取得することができる。
ここで、図3に示すように、低電圧から高電圧に電圧を上げていくと燃料電池に酸化電流が流れ、燃料電池の電極触媒が酸化領域になる。
ここで、燃料電池の出力電流が酸化電流を示す条件下において、印加電圧を所定の範囲に亘って変化させると、0.6V未満の電圧範囲(印加電圧スイープの範囲)では、Hの脱離の反応として、Pt・H→Pt+H+eの反応(水素脱離反応)が生じる。更にスイープする印加電圧を0.6V〜1.0V程度にまで上げると、Ptの酸化反応として、Pt+HO→PtO+2H+2eの反応が生じ、これにより、他方の電極触媒層12Bの電極触媒の白金が酸化されて酸化状態となる。特に、0.8〜0.95Vでは、安定した白金の酸化物が生成される。
酸化電流が流れた後、燃料電池の印加電圧を、高電圧(1.0V以上)から低電圧(0.1V以下)に印加電圧を下げていくと、燃料電池には還元電流が流れ、燃料電池の電極触媒が還元領域になる。
ここで、燃料電池の出力電流が還元電流を示す条件下において、印加電圧を所定の範囲に亘って変化させると、0.4Vまでの電圧範囲(印加電圧スイープの範囲)では、Ptの還元反応として、PtO+2H+2e→Pt+HOの反応が生じ、電極触媒の白金の酸化物が還元(除去)される。さらに印加電圧を0.4V以下に下げると、水素イオンがPtに吸着される反応(水素吸着反応)として、Pt+H+e→Pt・Hの反応が生じる。このとき(0.4V以下)には、他方の電極触媒層12Bの電極触媒の白金の酸化物は除去された状態になる。
このような現象を利用して、本実施形態では、まず、図1に示すように、他方の電極触媒層の電極触媒の酸化物を除去する。具体的には、一方(アノード側)の電極触媒層12Aに加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層を無酸素雰囲気下にする。他方の電極触媒層12Bには、加湿したN,He,Arなど不活性ガス、又はHなどの還元性ガスを供給する。この状態で、燃料電池1に印加する電圧を0.4V以下に調整する。より具体的には、ポテンショガルバノスタット20を用いて、一方側の電極触媒層12Aを参照電極として、他方の電極触媒層12Bを0.4V以下の電位にする。これにより、他方(カソード側)の電極触媒層12Bの電極触媒の酸化物を除去する。
次に、他方の電極触媒層12Bの電極触媒の酸化物が除去された状態で、この電極触媒を酸化させる。具体的には、一方の電極触媒層12Aに加湿された水素ガスを供給し、他方(カソード側)の電極触媒層12Bに加湿された酸素ガスを供給する。この状態で、ポテンショガルバノスタット20を用いて、上述した方法と同様の方法で、燃料電池1に印加する印加電圧を、0.6V以上の範囲に調整し、保持する。これにより、他方の電極触媒層12Bの電極触媒をその酸化状態が安定するまで酸化させる。
なお、印加電圧は、電極触媒の活性評価を行う電圧(0.8V〜0.95V)に制御することが好ましく、燃料電池1に印加する印加電圧により得られる出力電流値の変動が安定するまでの時間、この出力電流値に基づいて、他方の電極触媒層の電極触媒を酸化させる。
これらの水素ガス、酸素ガスとして、N,He,Arなどの不活性ガスがさらに混合されたガスを用いてもよく、酸素ガスは、以下の電極触媒の活性評価と同じものであることが望ましい。
そして、他方の電極触媒層12Bの電極触媒を酸化させた後、他方の電極触媒の活性を評価する。具体的には、一方の電極触媒層12Aに加湿された水素ガスを供給し、他方(カソード側)の電極触媒層12Bに加湿された酸素ガスを供給する。この状態で、ポテンショガルバノスタット20を用いて、定電流又は電流スイープ制御を行い、電流・電圧曲線を取得する。図4に示すように、低流域(0.1A/cm)のTafelプロットから、特定電位(通常、0.8〜0.95Vの範囲)での電流値を算出する。尚、図4の縦軸は、E−iRFreeを用いた直流抵抗補正により、電解質膜の膜抵抗を補正した電圧値である。
算出された電流値を、他方の電極触媒層12Bの電極触媒の重量で規格化することにより、質量活性(白金の単位重量あたりの触媒活性)とする。また、算出された電流値を、他方の電極触媒層中の電極触媒の表面積で規格化することにより、面積活性(白金の単位表面積あたりの触媒活性)とする。得られた面積活性、質量活性などの活性評価の指標に基づいて、他方の電極触媒層12Bの電極触媒の活性度合いを評価する。
このようにして得られた電極触媒の活性評価の指標である面積活性及び質量活性の値のばらつきは、電極触媒の使用・保存の履歴が相違する場合であっても小さくなる。これは、これらの履歴の相違に起因して生成される電極触媒の酸化物を除去し、さらに電極触媒を、安定的な酸化状態にしたからである。このような結果、他方の電極触媒層12Bの電極触媒の活性を精度良く評価することができる。
以下の本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
[燃料電池の作製]
まず、膜電極接合体を製作した。具体的には、カーボン対して電極触媒を30質量%担持した白金担持カーボン1.0gと、高分子電解質のアイオノマー(デュポン社製ナフィオン)0.7g、溶媒(水、エタノール)15.0gを混合し、超音波により白金担持カーボンを分散させて、触媒インクを作成した。その後、ドクターブレード法により、基板の上に触媒インクを塗布・乾燥させて、触媒電極層を作製した。得られた触媒電極層を、高分子電解質膜(デュポン社製ナフィオン)の両面に、120℃の温度条件下で熱転写し、膜電極接合体を作製した。得られた膜電極接合体に、ガス拡散層を配置し、これをセパレータで挟持して燃料電池(単セル)を製作した。
[酸化物除去工程]
一方(アノード)の電極触媒層に100%RHに加湿した水素ガスを供給し、他方(カソード)の電極触媒層に、100%RHに加湿した窒素ガスを供給し、ポテンショガルバノスタットを用いて、図5に示すように、膜電極接合体に印加する印加電圧0.05V(具体的にはアノード電極を参照電極としてカソード電極のスイープする電位0.05V)にして10分間保持した。これにより、カソードの電極触媒層の電極触媒の酸化物を除去した。
[酸化状態安定化工程]
アノードの電極触媒層に100%RHに加湿した水素ガスを供給し、カソードの電極触媒層に、100%RHに加湿した酸素ガスを供給し、ポテンショガルバノスタットを用いて、図5に示すように、膜電極接合体に印加する印加電圧0.6V(具体的にはアノード電極を参照電極としてカソード電極のスイープする電位0.6V)にして10分間保持した。これにより、カソードの電極触媒層の電極触媒をその酸化状態が安定するまで酸化させた。
[電極触媒の活性評価]
アノードの電極触媒層に100%RHに加湿した水素ガスを供給し、カソードの電極触媒層に、100%RHに加湿した酸素ガスを供給し、ポテンショガルバノスタットを用いて、電流スイープ制御により、0.1A/cm→0.05A/cm→0.02A/cm→0.01A/cmの順に、それぞれ5分間保持し、直流抵抗補正をし、Tafelプロットから、0.9Vにおける質量活性(A/g)を測定した。この結果を図6に示す。
[比較例1]
実施例1と同様に燃料電池を作製し、酸化物除去工程及び酸化状態安定化工程は行わず、アノードの電極触媒層に100%RHに加湿した水素ガスを供給し、カソードの電極触媒層に、100%RHに加湿した酸素ガスを供給し、図5に示すように、開回路電圧(OCV)1.0Vを付与した。そして、実施例1と同様に、電極触媒の活性評価を行った。この結果を図6に示す。
[比較例2]
実施例1と同様に燃料電池を作製し、比較例1と同様の処理を行った後、図5に示すように、実施例1と同様の酸化状態安定化工程と同様の酸化処理を行った。実施例1の酸化状態安定化工程と相違する点は、印加電圧を0.8Vにした点である。そして、実施例1と同様に、電極触媒の活性評価を行った。この結果を図6に示す。
[比較例3]
実施例1と同様に燃料電池を作製し、比較例1と同様の処理を行った後、図5に示すように、実施例1と同様の酸化状態安定化工程と同様の酸化処理を行った。実施例1の酸化状態安定化工程と相違する点は、印加電圧を0.6Vにした点である。そして、実施例1と同様に、電極触媒の活性評価を行った。この結果を図6に示す。
[結果1]
図6に示すように、比較例1〜3の質量活性が相違する点からわかるように、直前の酸化処理(印加電圧)の条件によって、電極触媒の活性は異なることがわかる。このことから、活性を評価すべき複数の電極触媒に対して、単に触媒を酸化させただけでは、質量活性にばらつきが生じる。そして、一定の条件の酸化処理(酸化状態を安定化する処理)を行うことが、安定した活性評価を得るためには、望ましいといえる。
また、実施例1の質量活性は、比較例3のものに比べて大きく、安定した質量活性が得られていると考えられる。比較例3に示すように、単に酸素ガス雰囲気中で電圧を制御しただけでは、白金の酸化状態を充分に制御できないと考えられ、酸化物除去工程と酸化状態安定工程との双方を組み合わせることが必要であると考えられる。
[確認試験]
実施例1と同様に燃料電池を作製し、実施例1と同様の酸化物除去工程を行い、さらに酸化状態安定化工程を行った。このとき、酸化状態安定化工程において、燃料電池に印加する印加電圧0.9Vにし、時間経過に伴う、このときに燃料電池から出力される出力電流を測定した。この結果を図7に示す。
[結果2]
図7に示すように、経過時間が、10分程度で、出力電流の値が安定していることから、酸化状態安定化工程を10分以上行うことにより、電極触媒の酸化状態を安定させることができると考えられる。このような結果、この出力電流値の変動が安定するまで、他方の電極触媒層の電極触媒の酸化を行うことにより、電極触媒の酸化状態を安定させることができるといえる。
[実施例2]
実施例1と同じようにして、5つの燃料電池を作製し、IV測定など各種評価を行った後、実施例1と同様の酸化物除去工程、酸化状態安定化工程、及び電極触媒の活性評価を行った。なお、実施例1と相違する点は、酸化物除去工程の、燃料電池に通電する電流値を0.1A/cmにして、燃料電池の電圧を0.4以下にした点と、酸化状態安定化工程の印加電圧を、0.9Vした点である。この結果を、図8に示す。なお、図8の棒グラフの値はこれらの質量活性の平均値であり、最大値及び最小値も合わせて示した。この最大値及び最小値の差が大きいほど、活性評価にばらつきが大きいことを意味する。
[比較例4]
実施例1と同じようにして、5つの燃料電池を作製し、IV測定など各種評価を行った後、酸化物除去工程及び酸化状態安定化工程を行わずに、電極触媒の活性評価を行った。この結果を、図8に示す。なお、図8の棒グラフの値はこれらの質量活性の平均値であり、最大値及び最小値も合わせて示した。
[結果3]
実施例2に比べて、比較例4のほうが、質量活性のばらつきが大きかった。この結果から、実施例2の如く、酸化物除去工程及び酸化状態安定化工程を行えば、比較例4の如くこれまでの各種評価における電極触媒の酸化の履歴の影響を受けることなく、安定して触媒の活性評価を行うことができると考えられる。
1:燃料電池、10:膜電極接合体、11:高分子電解質膜、12A:一方の電極触媒層、12B:他方の電極触媒層

Claims (4)

  1. 燃料電池の高分子電解質膜の両面に接合された電極触媒層の電極触媒を評価する方法であって、
    一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層を無酸素雰囲気にし、前記燃料電池に印加する印加電圧を調整することにより、前記他方の電極触媒層の電極触媒の酸化物を除去する酸化物除去工程と、
    前記電極触媒の酸化物の除去後、前記一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、他方の電極触媒層に加湿されたガスを供給し、前記燃料電池に印加する印加電圧を調整することにより、前記他方の電極触媒層の電極触媒を酸化状態が安定するまで酸化させる酸化状態安定化工程と、
    前記一方の電極触媒層に加湿された水素ガスを供給し、前記他方の電極触媒層に加湿された酸素ガスを供給し、前記酸化させた電極触媒の活性を測定する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする燃料電池用電極触媒の評価方法。
  2. 前記酸化物除去工程において、加湿した不活性ガス又は加湿した還元性ガスを供給することにより、前記他方の電極触媒層を前記無酸素雰囲気にすることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電極触媒の評価方法。
  3. 前記酸化物安定化工程において、前記他方の電極触媒層に供給する加湿されたガスは、酸素ガスであることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池用電極触媒の評価方法。
  4. 前記酸化状態安定化工程において、前記燃料電池に印加する印加電圧により得られる出力電流値に基づいて、前記他方の電極触媒層の電極触媒を酸化させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池用電極触媒の評価方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101866872B1 (ko) * 2012-09-26 2018-06-15 삼성전자주식회사 고분자 전해질 연료전지용 막-전극 접합체 및 그 제조방법

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