JP2010186704A - 固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】起動停止を伴う通常の運転による固体高分子型燃料電池の各構成部材の劣化状態を高精度かつ高速に模擬し、寿命評価の信頼性を向上させることができる寿命加速試験方法を提供する。
【解決手段】本発明の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法は、電解質膜の劣化を加速するための発電試験と開回路電位保持試験、電極の構成材料の酸化腐食を加速するための高電圧保持試験、及び触媒活性表面積の減少を加速するための電位走査試験を含む。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法は、電解質膜の劣化を加速するための発電試験と開回路電位保持試験、電極の構成材料の酸化腐食を加速するための高電圧保持試験、及び触媒活性表面積の減少を加速するための電位走査試験を含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、民生用コージェネレーションや自動車用等の移動体用発電機、あるいは携帯用電源として有用な固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、負極(アノード)に水素などの燃料ガス、正極(カソード)に空気中の酸素を供給し、金属触媒上で電気化学的に反応させるものであり、電気と熱を同時に発生する。固体高分子型燃料電池は、室温から100℃以下までの低温で動作し、迅速な起動停止や、高出力密度化が可能であるなどの特徴を有するため、民生用コージェネレーションや自動車用等の移動体用発電機、あるいは携帯用電源として期待されている。また、このような100℃以下の低温で動作する燃料電池では、反応促進のため、一般的に、白金触媒あるいは白金を主体とする合金触媒が使用されている。
固体高分子型燃料電池の実用化に向けた課題の一つとして耐久性があるが、出力が低下する主な要因として、(1)電解質膜の化学的劣化、(2)電極の構成材料、たとえばカーボン担体の酸化腐食、(3)白金などの触媒活性の低下などが挙げられる。これら複数の要因が相まって、運転時間の経過に伴い出力が低下する。
ところで、固体高分子型燃料電池において、膜電極接合体(MEA)の劣化により出力性能が低下して使用不可能となるまでの時間、すなわち寿命性能を測定することは極めて重要である。従来、燃料電池の寿命性能は、起動停止を伴う通常の運転を長期間毎日行うことにより単位時間あたりの出力低下率を求め、その値により評価していたが、膨大な時間を要するという問題があった。
そこで、燃料電池を構成する部材の劣化を強制的に加速させて短期間で寿命性能を評価できる寿命加速試験方法が提案されている。
たとえば、特許文献1では、正極への酸素の供給を制御して酸素濃度を周期的に増減させることにより、電極の構成材料の酸化腐食を加速し、正極から排出される二酸化炭素濃度に基づいて燃料電池の寿命を評価している。
特許文献2では、評価対象の燃料電池用のMEAに、ナトリウムイオンあるいはカリウムイオンを含む過酸化水素水を劣化加速因子水として供給することにより、MEAの劣化を加速する。そして、上記劣化加速因子水を回収して通常の燃料電池の発電を行い、出力低下率に基づいてMEAの劣化を評価している。
特許文献3では、電池温度、電極への供給ガス露点を精密にコントロールすることにより、電解質膜の劣化を加速し、電圧低下率及び電解質膜からのフッ素イオン溶出量に基づいて燃料電池の寿命を評価している。
また、上記特許文献1〜3に開示された方法に比べてより簡易な寿命加速試験方法も提案されている。
たとえば、特許文献4及び特許文献5では、電極に印加する電圧を所定の電位範囲内で変化させることにより、触媒活性の低下を加速し、電極の触媒活性表面積の減少率に基づいて燃料電池の寿命を評価している。
特許文献6では、発電試験と開回路電位保持試験を行うことにより、電解質膜の劣化を加速し、燃料電池から排出されるフッ素の積算量と排出速度に基づいて燃料電池の寿命を評価している。
しかしながら、上記特許文献1〜3で提案されている寿命加速試験方法では、大がかりな装置を導入する必要があった。また、上記特許文献4〜6で提案されている簡易な寿命加速試験方法では、特定の劣化要因のみにしか対応できないため、寿命評価を正確に行うことが困難であった。
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、起動停止を伴う通常の運転による固体高分子型燃料電池の各構成部材の劣化状態を高精度かつ高速に模擬し、寿命評価の信頼性を向上させることができる寿命加速試験方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法は、正極と負極とからなる電極と、前記正極と前記負極との間に配置された固体高分子電解質膜とを有する膜電極接合体を含む固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法であって、発電試験と開回路電位保持試験を行うことにより、前記固体高分子電解質膜の化学的劣化を加速させる第1のステップと、前記電極に電圧を印加して高電圧に保持する高電圧保持試験を行うことにより、前記電極の構成材料の酸化腐食を加速させる第2のステップと、第1の電位と前記第1の電位より大きい第2の電位との間の電位領域において、前記電極の電位を連続して繰り返し変化させる電位走査試験を行うことにより、前記電極の触媒活性表面積の減少を加速させる第3のステップと、前記固体高分子型燃料電池の出力密度、オーミック抵抗、及び前記電極の触媒活性表面積を観測し、前記出力密度、前記オーミック抵抗、及び前記電極の触媒活性表面積の変化に基づいて前記固体高分子型燃料電池の寿命を判断する第4のステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、固体高分子電解質膜の劣化を加速するための発電試験と開回路電位保持試験、電極の構成材料の酸化腐食を加速するための高電圧保持試験、及び電極の触媒活性表面積の減少を加速するための電位走査試験を含む燃料電池の寿命加速試験を行うことにより、起動停止を伴う通常の運転による固体高分子型燃料電池の各構成部材の劣化状態を高精度かつ高速に模擬し、寿命評価の信頼性を向上させることができる。
上述したとおり、通常の運転による固体高分子型燃料電池の寿命性能の評価には、膨大な時間を要していた。また、特許文献1〜3で開示されている寿命加速試験方法の場合、固体高分子型燃料電池の寿命を短時間で評価できるが、大がかりな装置を導入する必要があった。また、特許文献4〜6で開示されている寿命加速試験方法の場合、大がかりな装置を必要とせず、簡易な方法で寿命を評価できるが、特定の劣化要因のみにしか対応できないため、正確な寿命評価を行うことが困難であった。
これに対し、本発明は、燃料電池の出力性能の低下に関係する複数の劣化要因に着目したものである。本発明は、発電試験と開回路電位保持試験を行うことにより、固体高分子電解質膜の化学的劣化を加速させる第1のステップと、電極に電圧を印加して高電圧に保持する高電圧保持試験を行うことにより、電極の構成材料の酸化腐食を加速させる第2のステップと、第1の電位と第1の電位より大きい第2の電位との間の電位領域において、電極の電位を連続して繰り返し変化させる電位走査試験を行うことにより、電極の触媒活性表面積の減少を加速させる第3のステップと、固体高分子型燃料電池の出力密度、オーミック抵抗、及び電極の触媒活性表面積を観測し、出力密度、オーミック抵抗、及び電極の触媒活性表面積の変化に基づいて固体高分子型燃料電池の寿命を判断する第4のステップとを含む。これにより、通常の運転による燃料電池の寿命性能の評価(以下、従来の寿命試験方法という)に比べて10〜15倍の速度で燃料電池の寿命を診断することが可能である。
上記第4のステップにおいて、出力密度の維持率が初期(寿命加速試験の開始前)に比べて85%以下となったとき、電極の触媒活性表面積の維持率が初期に比べて50%以下となったとき、あるいは、オーミック抵抗の増加率が初期に比べて35%以上となったときを、燃料電池の寿命評価の基準とする。出力密度の維持率、電極の触媒活性表面積の維持率、オーミック抵抗の増加率の全てが上記基準値を満たさないときに寿命と判断しても良いし、そのうちの一つが上記基準値を満たさないときに寿命と判断しても良い。あるいは、主に出力密度の維持率に基づいて寿命を判断するようにしておき、電極の触媒活性表面積の維持率、オーミック抵抗の増加率については補助的に見ながら寿命を判断するようにしても良い。
上記第1のステップにおいて、発電試験は、通常、正極に空気(酸素)を供給し、負極に燃料を供給しながら発電を行う試験である。この発電試験は、200〜1000mA/cm2の電流密度で行うことが好ましい。これは、発電試験を200mA/cm2未満の電流密度で行うと、電解質膜の劣化が進まず、1000mA/cm2を越えた電流密度で行うと、実作動運転状態とかけ離れてしまい、寿命加速試験として成立しないためである。一方、開回路電位保持試験は、正極に空気(酸素)を供給し、負極に燃料を供給しながら燃料電池を負荷回路から切断した状態で所定時間保持する試験である。
上記第1のステップにおいて、発電試験を行う時間は、15〜30分であり、開回路電位保持試験を行う時間は、15〜30分である。また、発電試験、及び開回路電位保持試験は、どちらを先に行っても良い。
上記第2のステップにおいて、高電圧保持試験は、正極に空気(酸素)を供給し、負極に燃料を供給しながら開回路状態で電極に所定の電圧をかけ、所定時間保持する試験である。高電圧に保持される電極の電圧値は、標準水素電極に対して1.2〜1.8Vの範囲内であることが好ましく、より好ましくは標準水素電極に対して1.4〜1.6Vの範囲内である。これは、高電圧に保持される電極の電圧値が、標準水素電極に対して1.2V未満である場合には、電極の構成材料の酸化腐食がほとんど進まず、標準水素電極に対して1.8Vを超える場合には、電極の構成材料の酸化腐食が急激に進んでしまい、寿命加速試験として成立しないためである。以下、標準水素電極に対する電圧(V)を、V/vs.NHEと記す。また、電極を高電圧に保持する時間は、0.5〜1.5分間であることが好ましい。これは、電極を高電圧に保持する時間が0.5分より短い場合、電極の構成材料の酸化腐食がほとんど進まず、1.5分より長い場合、電極の構成材料の酸化腐食が急激に進んでしまい、寿命加速試験として成立しないためである。
上記第1〜第3のステップは任意の順序で行うことができるが、上記第3のステップの前に、上記第1のステップと、上記第2のステップとを交互に少なくとも10回以上繰り返すことが好ましい。この回数より少ない場合には、固体高分子電解質膜の劣化や電極の構成材料の酸化腐食が進まず、寿命加速試験として成立しないためである。
上記第3のステップにおいて、電位走査試験は、正極への空気(酸素)の供給は停止し、負極への燃料の供給は行った状態で、所定の電位領域内で電位走査を行う試験である。正極への空気(酸素)の供給の停止は、たとえば、窒素などの不活性ガスを供給することにより実行可能である。
上記第3のステップにおいて、上記所定の電位領域の下限値である第1の電位の値は、サイクリックボルタモグラムの面積から算出される水素離脱に関与する電気量QH(C)を求めることが可能な範囲の値とする。具体的には、第1の電位は0〜0.1V/vs.NHEの範囲内の値とすることが好ましい。一方、上記所定の電位領域の上限値である第2の電位の値は、Ptの溶解、再析出を促進できる範囲の値とする。第2の電位を高電位にしすぎると、電極の構成材料の腐食を招く虞がある。具体的には、第2の電位は1.2〜1.6V/vs.NHEの範囲内の値とすることが好ましい。上記第1の電位及び上記第2の電位がそれぞれ上記の数値範囲内の値とすることが好ましいのは、上記第1の電位及び上記第2の電位がそれぞれ、上記の数値範囲以外の値をとると、白金粒子の成長が充分に進まなくなり、寿命加速試験として成立しなくなるからである。
上記第3のステップにおいて、電極の電位を、第1の電位から第2の電位に変化させてから、再び第1の電位に変化させるまでの操作を1サイクルとした場合、この操作を少なくとも5サイクル以上行うことが好ましい。サイクル数が少ない場合には、寿命を左右する触媒の劣化が進まず、寿命加速試験として成立しないためである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
触媒である白金を担体であるカーボンブラックに担持させた白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製、“TEC10E50E”、白金とカーボンブラックとの重量比50:50)7.7重量部(2g)と、プロトン伝導性高分子電解質である5%ポリパーフルオロスルホン酸樹脂溶液〔アルドリッチ(Aldrich)社製、“ナフィオン(Nafion)”〕92.3重量部(24g)とを混合して充分に攪拌し、均一に分散させて触媒層ペーストを調製した。この触媒層ペーストを、白金触媒の塗布量が0.5mg/cm2になるようにポリイミド製シート上に塗布して乾燥させた後、当該シートを3cm角に切り取り、正極触媒層を作製した。また、白金触媒の塗布量を0.3mg/cm2としたこと以外は、上記正極触媒層と同様にして負極触媒層を作製した。
触媒である白金を担体であるカーボンブラックに担持させた白金担持カーボン(田中貴金属工業株式会社製、“TEC10E50E”、白金とカーボンブラックとの重量比50:50)7.7重量部(2g)と、プロトン伝導性高分子電解質である5%ポリパーフルオロスルホン酸樹脂溶液〔アルドリッチ(Aldrich)社製、“ナフィオン(Nafion)”〕92.3重量部(24g)とを混合して充分に攪拌し、均一に分散させて触媒層ペーストを調製した。この触媒層ペーストを、白金触媒の塗布量が0.5mg/cm2になるようにポリイミド製シート上に塗布して乾燥させた後、当該シートを3cm角に切り取り、正極触媒層を作製した。また、白金触媒の塗布量を0.3mg/cm2としたこと以外は、上記正極触媒層と同様にして負極触媒層を作製した。
そして、上記正極触媒層と上記負極触媒層との間に、スルホン化ポリエーテルスルホンからなる固体高分子電解質膜(Dupont社製、“Nafion 112”、膜厚50μm)を配置したものをホットプレスして接合した。その後、上記正極触媒層及び上記負極触媒層に付随した上記シートを剥がして3層構造のMEAを作製した。さらに、この3層構造のMEAの両主面の中央部に、3cm角のガス拡散層(SGLカーボン社製、“10DC”、厚さ450μm)をホットプレスにより貼り付け、正極ガス拡散層/正極触媒層/固体高分子電解質膜/負極触媒層/負極ガス拡散層の5層構造のMEAを作製した。さらに、この5層構造のMEAを、金メッキした厚さ2mmのステンレス鋼製の集電板で挟み、燃料電池単セルを作製した。
作製した燃料電池単セルに対し、室温下で、正極側を大気開放し、負極側に飽和加湿水素を40ml/minで供給し、以下の寿命加速試験を行った。なお、水素流量は、水素利用率が70%以上になるように設定した。
まず、発電試験を行った。具体的には、電流密度300mA/cm2で発電を25分間行った。その時の出力密度は、211W/cm2であり、それを初期の出力密度とした。そして、ソーラトロン社製の周波数応答アナライザ“FRA−1255B”を用いて交流インピーダンス測定を行った。このとき、100000〜100Hzの範囲で周波数を掃引させ、位相がゼロの時の値を初期のオーミック抵抗とした。初期のオーミック抵抗値は、15mΩであった。
次に、開回路電位保持試験を行った。具体的には、負極への燃料の供給及び正極への空気(酸素)の供給は行うが、燃料電池単セルを負荷回路から切断した状態で、25分間保持した。以上の発電試験及び開回路電位保持試験により、電解質膜の劣化を加速できる。
次に、高電圧保持試験を行った。具体的には、開回路状態で、電極に電圧を印加し1.5Vで1分間保持した。このとき、発電は行っていないが、負極への燃料の供給、及び正極への空気(酸素)の供給は行った。負荷機は、ソーラトロン社製の“Multistat 1480”を用いた。これにより、カーボン担体の酸化腐食を加速できる。
そして、上記発電試験から上記高電圧保持試験までの操作を、10回繰り返し行った。
次に、電位走査試験を行った。具体的には、正極をフッ素樹脂シートでシールすることにより正極への空気(酸素)の供給を停止し、0.05〜1.4V/vs.NHEの範囲で、電極の電位を、低電位から高電位に変化させてから再び低電位に変化させるまでの操作を1サイクルとして、5サイクル繰り返し行った。電位走査速度は、50mV/secとした。これにより、触媒活性の低下を加速できる。
上記電位走査試験を行っている間、応答電流値を測定した。そして、印加した電位を横軸、応答電流値を縦軸とするサイクリックボルタモグラムを得た。図1は、5サイクル目のサイクリックボルタモグラムを示している。図1に示すように、電位を0.05V/vs.NHEから1.4V/vs.NHEまで正方向に走査させることにより、酸化波(図1における上側の波形)が観測された。図1の11の領域では、式(1)、式(2)の反応が起こったと考えられる。
Pt + H2O → PtO + 2H+ + 2e- ・・・(1)
Pt → Pt2+ + 2e- ・・・(2)
Pt → Pt2+ + 2e- ・・・(2)
一方、電位を1.4V/vs.NHEから0.05V/vs.NHEまで負方向に走査させることにより、還元波(図1における下側の波形)が観測された。図1の12の領域では、式(3)及び式(4)の反応が起こったと考えられる。
PtO + 2H+ + 2e- → Pt + H2O ・・・(3)
Pt2+ + 2e- → Pt ・・・(4)
Pt2+ + 2e- → Pt ・・・(4)
次に、図1のサイクリックボルタモグラムを用いて触媒活性表面積を算出する。触媒活性表面積ECSA(m2/g−Pt)は、サイクリックボルタモグラムの面積から算出される水素脱離に関与する電気量QH(C)、白金の単位面積あたりの水素脱離に相当する電気量210(μC/cm2)、Ptの重量M(g)を基に、式(5)に従って求められる。
ECSA(m2/g−Pt)=QH/(210×10000×M) ・・・(5)
よって、まず、水素脱離に関与する電気量QH(C)を、電位が0.1〜0.4V/vs.NHEにおける応答電流値のピーク部分(図1の斜線部分10)の面積から求めた。求めた水素脱離に関与する電気量QH(C)及び式(5)を用いて触媒活性表面積を算出したところ、得られた値は79m2/g−Ptであった。これを触媒活性表面積の初期値とした。
上記発電試験から上記高電圧保持試験までの操作を10回繰り返して行い、その後、上記電位走査試験を行い、触媒活性表面積を測定するまでに要した時間は約9時間であった。これで1日の寿命加速試験を終了し、出力密度の維持率、触媒活性表面積の維持率、及びオーミック抵抗の増加率が前述の基準値を満たさなくなるまで、翌日以降も同様の寿命加速試験を行った。
上記寿命加速試験を開始してから10日間を経過したときの出力密度、触媒活性表面積、及びオーミック抵抗の値を表1に示した。括弧内には、初期の値に対する維持率、増加率を示している。表1に示したとおり、出力密度の維持率は82%、触媒活性表面積の維持率は48%、オーミック抵抗の増加率は40%であり、それぞれ前述の基準値を満たしておらず、寿命であると判断した。
(比較例1)
実施例1と同様にして、評価用の燃料電池単セルを作製し、以下の従来の寿命試験を行った。
実施例1と同様にして、評価用の燃料電池単セルを作製し、以下の従来の寿命試験を行った。
作製した燃料電池単セルに対し、室温下で、正極側を大気開放し、負極側に飽和加湿水素を40ml/minで供給した。その後、300mA/cm2で定電流運転を8〜10時間行い、そのときの電圧の変化を追跡した。これで、1日の寿命試験を終了した。
上記定電流運転の開始直後に出力密度、触媒活性表面積、及びオーミック抵抗を測定し、初期値を求めた。触媒活性表面積及びオーミック抵抗の値は、上記実施例1と同様にして求めた。その結果、初期の出力密度は211mW/cm2、初期の触媒活性表面積は81m2/g−Pt、初期のオーミック抵抗は17mΩであった。
翌日以降も、同様に、上記定電流運転を1日あたり8〜10時間行い、運転時間が100時間経過するごとに、上記実施例1と同様にして、触媒活性表面積及びオーミック抵抗の測定を行った。
上記定電流運転を1400時間行ったときの、出力密度、触媒活性表面積、オーミック抵抗の値を表1に示した。括弧内には、初期の値に対する維持率、増加率を示している。表1に示したとおり、出力密度の維持率は83%、触媒活性表面積の維持率は43%、オーミック抵抗の増加率は35%であり、それぞれ前述の基準値を満たしておらず、寿命と判断できる。
表1から分かるように、実施例1の寿命加速試験の結果、出力密度の維持率、触媒活性表面積の維持率、及びオーミック抵抗の増加率のいずれもが、従来の寿命試験である比較例1とほぼ同じ値であった。このことから、本実施例1の寿命加速試験によって、通常の運転による燃料電池の構成部材の劣化状態を高精度に模擬できたと考えられる。
また、表1に示す値が得られるまでに要した日数は、実施例1では10日、比較例1では150日であった。すなわち、実施例1の寿命加速試験方法を用いることで、比較例1の寿命試験方法に比べ、15倍の速度で寿命を評価できたことがわかる。
以上のことから、本発明の寿命加速試験方法は、通常の運転による燃料電池の各構成部材の劣化状態と同じ劣化状態を、簡単な方法で高精度かつ高速に模擬できる。そして、複数の劣化要因に基づいて燃料電池の寿命評価を行うことができるため、寿命評価の信頼性を向上できる。
本発明に係る固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法は、燃料電池のコージェネレーションや自動車用等の移動体用発電機、あるいは携帯用電源として有用な固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法に利用可能である。
Claims (9)
- 正極と負極とからなる電極と、前記正極と前記負極との間に配置された固体高分子電解質膜とを有する膜電極接合体を含む固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法であって、
発電試験と開回路電位保持試験を行うことにより、前記固体高分子電解質膜の化学的劣化を加速させる第1のステップと、
前記電極に電圧を印加して高電圧に保持する高電圧保持試験を行うことにより、前記電極の構成材料の酸化腐食を加速させる第2のステップと、
第1の電位と前記第1の電位より大きい第2の電位との間の電位領域において、前記電極の電位を連続して繰り返し変化させる電位走査試験を行うことにより、前記電極の触媒活性表面積の減少を加速させる第3のステップと、
前記固体高分子型燃料電池の出力密度、オーミック抵抗、及び前記電極の触媒活性表面積を観測し、前記出力密度、前記オーミック抵抗、及び前記電極の触媒活性表面積の変化に基づいて前記固体高分子型燃料電池の寿命を判断する第4のステップとを含むことを特徴とする固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。 - 前記第3のステップの前に、前記第1のステップと、前記第2のステップとを交互に、少なくとも10回以上繰り返す請求項1に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第3のステップにおいて、前記電極の電位を、前記第1の電位から前記第2の電位に変化させてから、再び前記第1の電位に変化させるまでの操作を1サイクルとし、前記操作を少なくとも5サイクル以上行う請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第4のステップにおいて、前記出力密度の維持率が85%以下、または、前記電極の触媒活性表面積の維持率が50%以下、または、前記オーミック抵抗の増加率が35%以上になったことを検出したときに前記固体高分子型燃料電池の寿命であると判断する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第1のステップにおいて、前記発電試験が、200〜1000mA/cm2の電流密度の範囲内で行われる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第2のステップにおいて、高電圧に保持される前記電極の電圧値は、標準水素電極に対して1.2〜1.8Vの範囲内である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第3のステップにおいて、前記第1の電位が、標準水素電極に対して0〜0.1Vの範囲内の値であり、前記第2の電位が、標準水素電極に対して1.2〜1.6Vの範囲内の値である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第1のステップにおいて、前記発電試験は、15〜30分間行い、前記開回路電位保持試験は、15〜30分間行う請求項1ないし7のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
- 前記第2のステップにおいて、前記電極を高電圧に保持する時間は、0.5〜1.5分間である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池の寿命加速試験方法。
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US9360531B2 (en) | 2011-12-23 | 2016-06-07 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Device for estimating a lifetime of a secondary battery and method thereof |
CN109472042A (zh) * | 2018-09-14 | 2019-03-15 | 广西电网有限责任公司电力科学研究院 | 一种基于加速退化数据的可靠性抽样试验方法 |
CN112285013A (zh) * | 2020-09-28 | 2021-01-29 | 武汉船用电力推进装置研究所(中国船舶重工集团公司第七一二研究所) | 一种金属双极板涂层质量现场快速抽检方法 |
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2009
- 2009-02-13 JP JP2009031595A patent/JP2010186704A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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