JP5020538B2 - 燃料電池スタックの劣化加速試験方法及び装置 - Google Patents

燃料電池スタックの劣化加速試験方法及び装置 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池スタックの寿命をより短期間で効果的に評価する劣化加速試験の技術に関するものである。
燃料電池発電システムは、水素等の燃料と空気等の酸化剤を燃料電池本体に供給して、電気化学的に反応させることにより、燃料の持つ化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換して外部へ取り出す発電装置である。この燃料電池発電システムは、比較的小型であるにもかかわらず、高効率で、環境性に優れるという特徴を持つ。また、発電に伴う発熱を温水や蒸気として回収することにより、コージェネレーションシステムとしての適用が可能である。
このような燃料電池本体は、電解質の違い等により様々なタイプのものに分類されるが、なかでも、電解質に固体高分子電解質膜を用いた固体高分子形燃料電池は、低温動作性や高出力密度等の特徴から、一般家庭用を視野に入れた小型コージェネレーションシステムや電気自動車用の動力源としての用途に適しており、今後、市場規模が急激に拡大することが予想されている。
この固体高分子形燃料電池を用いた発電システムは、一般家庭用の小型コージェネレーションシステムを例にとると、都市ガスやLPG等に代表される炭化水素系燃料から水素含有ガスを製造する改質装置と、この改質装置で製造された水素含有ガスと大気中の空気を燃料極および酸化剤極にそれぞれ供給して起電力を発生させる燃料電池スタックと、この燃料電池スタックで発生した電気エネルギーを外部負荷に供給する電気制御装置と、および発電に伴う発熱を回収する熱利用系等から構成される。
以上のような燃料電池発電システムの運転は燃料の投入が前提となるため、燃料投入量に対する発電量で定義される発電効率が高いほど、燃料使用量が削減でき、ユーザメリットが高くなる。したがって、発電効率が燃料電池発電システムの性能を示す指標となっている。
但し、以上のような燃料電池発電システムにおいて、実際に発電機能を担っている燃料電池スタックには、運転に伴う様々な要因により経時的に電圧が低下し、結果として発電効率が低下するという問題がある。すなわち、燃料電池スタックの経時的な電圧低下を抑制することが、発電効率の高い燃料電池発電システムを提供する上で、最も重要な開発テーマとなっている。
一方、一般に家庭用の小型コージェネレーションシステムの場合、市場投入の際に前提となる要求寿命は40,000時間以上であり、その間における燃料電池スタックの発電効率低下やそれによる寿命の評価には最低5年要することになるため、多大なコストと時間を要する。
そこで、燃料電池スタックを構成する部材単体の劣化を加速させて本来の寿命よりも短期間で評価する、いわゆる劣化加速試験が採用されている。特に、燃料電池スタックについてはその寿命を左右する構成部材である電解質膜や触媒について、それぞれ劣化を加速させる運転条件により、本来の寿命よりも短期間での寿命評価を実施している。具体的には、電解質膜については、劣化を加速させる因子として、低加湿、開回路電圧保持等が知られており、これらが電解質膜単体の寿命評価手法に応用されている。
また、電池温度を定格運転時よりも高い状態で運転を行ったり、あるいは酸化剤ガスの露点を定格運転時よりも低い状態で運転を行うことで、高分子電解質の劣化を促進させる方法がある(例えば、特許文献1参照)。また触媒単体の寿命評価としては、電位操作により、例えば0.6Vから1.2V程度まで操作して、触媒の耐久性を評価する方法が知られている。
特開2005−322534号公報
しかしながら、近年の電解質は改良が進んで性能への影響が縮小し、電解質にかかわる劣化に注目した上記のような劣化加速試験方法(特許文献1)も役割が限られ、燃料電池スタックの劣化加速試験方法は未確立の状況である。この点が、寿命改善施策をスタック仕様にフィードバックした場合の妥当性の確認や、市場投入に伴う量産化時の品質管理などの面で課題となっていた。
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、燃料電池スタックの寿命をより短期間で効果的に評価する劣化加速試験方法を提供することにある。
上記の目的をふまえ、本発明の燃料電池スタックの劣化加速試験方法の一態様は、燃料極および酸化剤極を有する単電池を積層して構成される燃料電池スタックにおいて、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記酸化剤極に酸素含有ガスを供給する第一の操作と、第一の操作の後に燃料電池スタックの負荷電流を増加させる第二の操作と、第二の操作の後に、前記酸化剤極への前記酸素含有ガスの供給を遮断することにより、酸化剤極の酸素濃度を低減させる第三の操作と、からなるサイクルを繰り返すことで、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させることを特徴とする。
本発明の他の態様は、さらに、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる操作を所定回数実施した後、所定時間発電を行うことを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させることにより、電圧上昇などの状態変化時に発生する電極等の劣化を高速かつ高精度に模擬した劣化加速試験が可能となり、燃料電池スタックの寿命をより短期間で評価可能となる。
本発明の他の態様では、さらに、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる操作を所定回数実施した後、所定時間発電を実施することで、電圧上昇などの状態変化時に発生する電極等の劣化に加え、これら電極等の劣化に派生して生じる電極内のガス拡散性の低下に起因する電池性能低下を顕在化させることが可能となり、特に高負荷領域における燃料電池スタックの寿命をより短期間で評価可能となる。
以下、本発明を実施するための複数の最良の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、背景技術や課題で説明した事項と共通の前提事項は省略する。
〔第1実施形態〕
〔構成〕
まず、図1は、第1実施形態による燃料電池スタックの劣化加速試験方法における装置の構成例を示すもので、図中の実線はガス配管、破線は電気配線の結線、一点鎖線は制御又はデータを、それぞれ示している。すなわち、この図1に示すように、第1実施形態では、燃料電池スタック1のうち燃料極1aには水素供給ライン2により水素(水素含有ガス)を供給し、酸化剤極1bには空気供給ライン3からの空気(酸素含有ガス)と、窒素供給ライン4からの窒素を、切替バルブ8により切り替えて供給する構成とした。
また、酸化剤極1bの空気を消費するための負荷手段として負荷装置6を、電磁開閉器5を介して燃料電池スタック1に接続した。また酸化剤極1bの出口にはCO濃度の測定手段である質量分析装置をCO濃度測定装置7として設置した。
また、電磁開閉器5、負荷装置6、バルブ8を制御することで劣化加速試験を実施するとともに、CO測定装置7からの測定値など前記試験の結果に基づき劣化加速係数の算出や補正などの演算処理を行ったり、それらの情報を表示部等の出力手段10へ出力する制御演算装置9を設ける。
〔劣化加速試験の概要〕
以上のような構成に基づき、第1実施形態における燃料電池スタックの劣化加速試験方法では、燃料極1aおよび酸化剤極1bを有する単電池を積層して構成される燃料電池スタック1について、燃料極1aに水素含有ガスを供給した状態で、所定の基準頻度を超える頻回な負荷電流の増減により、また、酸化剤極の酸素濃度を周期的に増減させることにより、燃料電池スタック1の電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる。
具体的には、燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記酸化剤極に酸素含有ガスを供給する第一の操作と、第一の操作の後に燃料電池スタックの負荷電流を増加させる第二の操作と、第二の操作の後に、前記酸化剤極への前記酸素含有ガスの供給を遮断することにより、酸化剤極の酸素濃度を低減させる第三の操作と、からなるサイクルを繰り返す。
その間、炭素材料を含有した酸化剤極1bを対象として、カーボンの腐食量を測定することにより、触媒のカーボン減少量を見積もることができる。また、カーボン腐食の積算値を概算することによって、スタックの個体差による加速係数を補正することができる。すなわち、その酸化剤極1bの排出ガス中のCO濃度をCO濃度測定装置7で測定し、その結果をもとに制御演算装置9により、劣化加速係数の算出や補正などの計算処理を行う。
〔劣化加速試験の具体的シーケンス〕
次に、図1のように構成した装置を用いた第1実施形態における劣化加速試験方法の具体的なシーケンスについて、図2により説明する。すなわち、図2において(1)は、燃料電池スタック1における0V〜1.0Vの平均セル電圧を、開始後10分ごとを座標単位として示すものである。以下同様に10分ごとを座標単位として、(2)は燃料電池スタック1に与える負荷電流を0又はI0Aに切り替える状態を、(3)は酸化剤極1bにおける空気の停止と供給を、(4)は酸化剤極1bにおける窒素の停止と供給を、(5)は燃料極1aにおける水素の供給と停止を、それぞれ対応付けて示す。
この図2に示すように、まず、試験開始時点(0分)では、燃料電池スタック1の燃料極1aに水素(図2(5)で「供給」)、酸化剤極1bに窒素を(図2(4)で「供給」)それぞれ供給した状態である。この状態で、試験開始後10分の時点で、第一の操作として、酸化剤極1bに供給するガスを窒素から(図2(3)で「供給」→「停止」)空気に(図2(4)で「供給」→「停止」)切り替えた。
そして、試験開始後20分時点、すなわち燃料電池スタック1の平均セル電圧が開回路電圧である1.0V近傍まで上昇した後10分経過後、第二の操作として、負荷装置6に接続して0.2A/cmとなるように負荷電流を流すことにより(図2(2)で「0」→「I0」)、燃料電池スタック1の負荷電流を増加させ、この状態で10分間保持した。
その後、試験開始後30分時点で、負荷装置を遮断すると共に(図2(2)で「I0」→「0」)、第三の操作として、酸化剤極1bに供給するガスを空気から(図2(3)で「供給」→「停止」)窒素に(図2(4)で「供給」→「停止」)切り替えることにより、酸素含有ガスである空気を遮断して酸化剤極1bの酸素濃度を低減させ、さらに試験開始後40分時点まで、10分間保持した。
これらのサイクルを1,000回実施した。ここで、ガス流量は、0.2A/cmにおける水素利用率80%、酸素利用率60%となるように一定量の水素および空気を供給した。また窒素流量は空気流量と同一とした。
〔作用〕
上記サイクルを実施すると、燃料電池スタックの平均セル電圧をサイクルごとに、水素電位近傍の0.1Vから開回路電圧である1V付近まで変動させることが可能となる。そして、図3と、その時間縮尺を拡大した図4に示すように、このスタック電圧の上昇時に、酸化剤極の排出ガスから、酸化剤極の構成材料の腐食を示唆するCOが観測されることが確認された。これは、燃料電池スタックの電圧上昇時に電極材料のカーボン腐食に伴う劣化が生じていることを示している。
〔測定結果〕
また、上記のような第1実施形態に従って本出願人の発明者らが実験した実施例において、触媒有効表面積比の低下量を図5に、電圧の低下量を図6に示す。各図において、丸い点のプロットは、以上のようなサイクルを繰り返した本実施例の場合であり、矩形の点のプロットは、比較例として、比較参照のため実施例と同じ燃料電池スタックを負荷電流密度0.2A/cmで一定負荷として運転した場合である。比較例では、10,000時間運転までで、初期と比べて触媒有効表面積比は平均で約40%低下し、平均セル電圧は2.6%低下した。
対して、実施例では、同じ燃料電池スタックの電圧低下、触媒有効表面積の低下状況は、通常の定常運転と同じ一定の負荷電流で10,000時間運転した比較例と比べ、同じ劣化に約1/20の時間で到達した。これにより、本実施例では、実際の評価よりも20倍の劣化加速が生じていることが判明し、本来の寿命の20分の1の試験時間で劣化加速試験を実施することができた。
〔効果〕
以上のように、第1実施形態では、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させることにより、電圧上昇などの状態変化時に発生する電極等の劣化を高速かつ高精度に模擬した劣化加速試験が可能となり、燃料電池スタックの寿命をより短期間で評価可能となる。
より具体的には、負荷電流を頻繁に増減させることにより、負荷の開始、終了、増減の際の状態変化や劣化を、常用を超えたペースで模擬した高精度な劣化加速試験が可能となる。また、酸素濃度を周期的に増減させることにより、長期間に繰り返される運転の開始や停止の際の状態変化や劣化を高速かつ高精度に模擬した劣化加速試験が可能となる。
そして、第1実施形態では、燃料極への水素供給を続けながら、酸化剤極への酸素の供給、負荷電流の増加、酸素の遮断、という単純な制御を繰り返すことにより、上記のような電圧の変動と酸素濃度の増減を両方同時に容易に模擬可能となる。
特に、第1実施形態では、酸化剤極からの排出ガス中の二酸化炭素濃度を測定することにより、炭素材料を含む酸化剤極の腐食による劣化の程度を推定計算し、時間倍率などの劣化加速係数を算出したり補正することが可能となる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、上記の第1実施形態における劣化加速試験のシーケンスを一部変更したものである。
〔劣化加速試験の具体的シーケンス2〕
第2実施形態では、第1実施形態に準じて構成した装置を用いるが(図1)、劣化加速試験方法の具体的なシーケンスとしては、図7に例示するものを用いる。
すなわち、図7に示すように、まず、試験開始時点(0分)では、燃料電池スタック1の燃料極1aに水素(図7(5)で「供給」)、酸化剤極1bに窒素を(図7(4)で「供給」)それぞれ供給した状態である。この状態で、試験開始後10分の時点で、第一の操作として、酸化剤極1bに供給するガスを窒素から(図7(3)で「供給」→「停止」)空気に(図7(4)で「供給」→「停止」)切り替えた。
そして、試験開始後12分時点、すなわち燃料電池スタック1の平均セル電圧が開回路電圧近傍の1.0Vまで上昇した後2分経過後、第二の操作として、負荷装置6に接続して0.2A/cmとなるように負荷電流を流すことにより(図7(2)で「0」→「I0」)、燃料電池スタック1の負荷電流を増加させ、この状態で5分間保持した。
その後、試験開始後17分時点で、負荷装置を遮断すると共に(図7(2)で「I0」→「0」)、第三の操作として、酸化剤極1bに供給するガスを空気から(図7(3)で「供給」→「停止」)窒素に(図7(4)で「供給」→「停止」)切り替えることにより、酸素含有ガスである空気を遮断して酸化剤極1bの酸素濃度を低減させ、さらに試験開始後25分時点まで、8分間保持した。
ここで、ガス流量は、0.2A/cmにおける水素利用率80%、酸素利用率60%となるように一定量の水素および空気を供給した。また窒素流量は空気流量と同一とした。
また、第1実施形態と同様な手段でカソード排ガス中のCO濃度を測定し、カーボン腐食量を算出したところ、上記サイクルを繰り返すことにより、第1実施形態と同様な手段により算出されたカーボン腐食量は徐々に低下した。第2実施形態では、サイクル回数が2,000回に到達した時点で初期値の200分の1未満となったためサイクル運転を完了させた。
一方、試験中にCO濃度によりサイクル運転完了時期を決定する方法でなく、予め、カーボン腐食の積算量と、燃料電池スタック1の電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる回数との関係に関する基準データベースを構築し、燃料電池スタック1の電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる回数を決定させる方法を用いても良い。
その後0.8A/cmにおいて合計250時間の発電を実施した。
〔作用〕
上記サイクルを実施すると、第1実施形態で示した例と同様に、燃料電池スタックの平均セル電圧をサイクルごとに、水素電位近傍の0.1Vから開回路電圧である1V付近まで変動させることが可能となる。また、このスタック電圧の上昇時に、酸化剤極の排出ガスから、酸化剤極の構成材料の腐食を示唆するCOが観測されることが確認された。これは、燃料電池スタックの電圧上昇時に電極のカーボン腐食による劣化が生じていることを示した。
第2実施形態では、時間短縮のため第1実施形態の例とサイクル運転の切り替え条件を一部変更したが、図8に示すように、触媒の有効表面積は1,000回のサイクルで約40%低減し、第1実施形態で示したシーケンスによるものと触媒の劣化加速係数が同等であることが示された。すなわち、本発明で着目した電池電圧変動の回数が触媒の劣化因子となっていることが判明した。
また、上述のようにサイクル運転中のCO2排出量をモニターしたところ、カーボン腐食量はサイクル回数と共に減少し、2,000回で初期値の200分の1未満となった。これと対応するように、2,000回のサイクル運転で、触媒有効表面積は初期の約46%減少したところで、有効表面積の低下はほぼ飽和した。
また、サイクル運転後に0.8A/cmにて発電を実施し、50時間後、150時間後、250時間後のスタックにおいて、セル特性診断試験を実施し、0.2A/cm2、および0.8A/cm2におけるセル電圧の低下量を測定した。
図9に示すように、サイクル運転後に発電を行うことにより、特に高電流密度において、性能低下が大きく、高負荷領域で見られる電池材料の劣化によるガス拡散性低下に起因するセル電圧低下が顕在化させることができる。また、セル電圧の低下は250時間の発電で飽和した。
〔測定結果〕
上記のような本実施形態に従って本出願人の発明者らが実験した実施例において、0.8A/cm2における平均セル電圧の低下量を図10に示す。各図において、丸い点のプロットは、本実施例の劣化加速試験を実施した場合であり、矩形の点のプロットは、比較例1として、比較参照のため実施例と同じ燃料電池スタックを負荷電流密度0.2A/cmで一定負荷として運転した場合、および、三角の一点鎖線のプロットは、比較例2として比較参照のため、実施例と同じ燃料電池スタックについて、図7で示したサイクル運転を2,000回実施した場合である。
比較例1では、10,000時間運転により、初期と比べて触媒有効表面積比は平均で約40%低下し、0.8A/cm2における平均セル電圧は6.0%低下した。
第2実施形態と同様なサイクル運転後に発電を実施しない比較例2では、2000回(=500時間)のサイクル運転で触媒有効表面積は平均で約46%低下したものの、0.8A/cm2における平均セル電圧は1.0%であり、加速係数は3倍程度となった。
一方、本実施例におけるセル電圧の低下量は、500時間のサイクル運転と250時間の発電により、0.8A/cm2における平均セル電圧の低下量は5.6%であり、0.2A/cm2一定負荷条件で発電を実施した比較例と比較して13倍の劣化加速となった。
〔効果〕
このように、例えば0.8A/cm2以上の高負荷領域の劣化では、主にガス拡散性の低下に起因するセル電圧の低下が支配的となり、触媒の劣化を加速するだけでは十分なセル電圧の低下を導くことができない。
本実施例では、サイクル運転後にさらに発電を実施したので、高負荷領域で見られる電池材料の劣化による電極内の水管理上の問題に起因するセル電圧低下を顕在化させることができる。
以上のように、第2実施形態では、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させ、さらに変動回数を所定回数実施した後に発電を実施することにより、電圧上昇などの状態変化時に発生する電極等の電池材料の劣化に加え、電池材料の劣化による電極内のガス拡散性の低下に起因するセル電圧低下を高速かつ高精度に模擬した劣化加速試験が可能となり、高負荷領域における燃料電池スタックの寿命をより短期間で評価可能となる。
特に、第2実施形態では、酸化剤極からの排出ガス中の二酸化炭素濃度を測定することにより、炭素材料を含む酸化剤極の腐食による劣化の程度を推定計算し、サイクル運転の完了時期を把握することができる。
以上説明したように、上記のような燃料電池スタックの劣化加速試験方法を用いることで、従来困難であった寿命評価試験の短縮化が可能となり、これまで問題となっていた寿命改善施策をスタック仕様にフィードバックした場合の妥当性の確認や、市場投入に伴う量産化時の品質管理が可能となる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、次に例示するもの及びそれ以外の他の実施形態も含むものである。例えば、本発明では、燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させればよい。そのため、基準頻度を超える頻回な負荷電流の増減は必須でなく適宜な頻度の増減でもよい。また、酸化剤極の酸素濃度を周期的に増減させることも必須でなく他の適宜な規則性やランダムに増減させるのでもよい。また、第一から第三の各操作のサイクルを繰り返すことは必須ではなく他の順序や各操作のランダムな繰り返しでもよい。また、酸化剤極の排出ガス中のCO濃度を測定することも必須ではなく、他の適宜な物質についての測定でもよい。
本発明の第1実施形態における試験について燃料電池スタックを含む構成図。 本発明の第1実施形態における燃料電池スタックの劣化加速試験のシーケンスを示すグラフ。 本発明の第1実施形態における燃料電池スタックの劣化加速試験時の平均セル電圧とカーボン腐食の関係を示すグラフ。 本発明の第1実施形態における燃料電池スタックの劣化加速試験時の平均セル電圧とカーボン腐食の関係を、異なる時間縮尺で示すグラフ。 本発明の第1実施形態における燃料電池スタックの触媒有効表面積の初期比を示すグラフ。 本発明の第1実施形態における燃料電池スタックの電圧低下量の初期比を示すグラフ。 本発明の第2実施形態における燃料電池スタックの劣化加速試験のシーケンスを示すグラフ。 本発明の第2実施形態における燃料電池スタックの触媒有効表面積の初期比を示すグラフ。 本発明の第2実施形態における燃料電池スタックの平均セル電圧とサイクル運転後の発電時間の関係を示すグラフ。 本発明の第2実施形態における燃料電池スタックの電圧低下量の初期比を示すグラフ。
符号の説明
1…燃料電池スタック
1a…燃料極
1b…酸化剤極
2…水素供給ライン
3…空気供給ライン
4…窒素供給ライン
5…電磁開閉器
6…負荷装置
7…CO濃度測定装置
8…バルブ
9…制御演算装置
10…出力手段

Claims (8)

  1. 燃料極および酸化剤極を有する単電池を積層して構成される燃料電池スタックにおいて、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記酸化剤極に酸素含有ガスを供給する第一の操作と、
    第一の操作の後に燃料電池スタックの負荷電流を増加させる第二の操作と、
    第二の操作の後に、前記酸化剤極への前記酸素含有ガスの供給を遮断することにより、酸化剤極の酸素濃度を低減させる第三の操作と、
    からなるサイクルを繰り返すことで、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させることを特徴とする燃料電池スタックの劣化加速試験方法。
  2. 燃料極および酸化剤極を有する単電池を積層して構成される燃料電池スタックに対して、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる燃料電池スタックの劣化加速試験方法において、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる操作を所定回数実施した後、所定時間発電を行うことを特徴とする燃料電池スタックの劣化加速試験方法。
  3. 炭素材料を含有した前記酸化剤極について、その酸化剤極の排出ガス中のCO 濃度を所定の測定手段で測定し、前記酸化剤極の排出ガス中のCO 濃度が所定値を下回った時点で、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる操作を完了することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池スタックの劣化加速試験方法。
  4. 所定の基準頻度を超える頻回な負荷電流の増減により、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池スタックの劣化加速試験方法。
  5. 前記酸化剤極の酸素濃度を周期的に増減させることにより、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池スタックの劣化加速試験方法。
  6. 炭素材料を含有した前記酸化剤極について、その酸化剤極の排出ガス中のCO 濃度を所定の測定手段で測定することにより、劣化加速係数を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池スタックの劣化加速試験方法。
  7. 燃料極および酸化剤極を有する単電池を積層して構成される燃料電池スタックの劣化加速試験装置において、
    前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記酸化剤極に酸素含有ガスを供給する第一の操作と、
    第一の操作の後に燃料電池スタックの負荷電流を増加させる第二の操作と、
    第二の操作の後に、前記酸化剤極への前記酸素含有ガスの供給を遮断することにより、酸化剤極の酸素濃度を低減させる第三の操作と、
    からなるサイクルを繰り返すことにより、
    前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる手段を備えたことを特徴とする燃料電池スタックの劣化加速試験装置。
  8. 燃料極および酸化剤極を有する単電池を積層して構成される燃料電池スタックに対して、前記燃料極に水素含有ガスを供給した状態で、前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる手段を備えたことを特徴とする燃料電池スタックの劣化加速試験装置において、
    前記燃料電池スタックの電圧を常用の範囲を超えた範囲で周期的に変動させる操作を所定回数実施した後、所定時間発電を行う手段を有することを特徴とする燃料電池スタックの劣化加速試験装置。
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