JP2011242001A - 送水制御システム及びその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】必要最小限のポンプ吐出圧力にて熱を搬送できる送水制御システム及びその制御方法を提供する。
【解決手段】送水制御システムは、熱源機1と複数の熱交換器2A,2Bとの間に冷温水を循環させるポンプ7と、ポンプの回転数を制御するインバータ7aと、冷温水を複数の熱交換器のそれぞれへ送水する通路の流量を調整する流量調整弁V1,V2と、複数の熱交換器の流入通路及び流出通路における冷温水の入口温度と出口温度を検出する温度センサT1〜T4と、温度センサの出力に基づいて流量調整弁の開度を調整する弁制御装置9,10と、インバータを制御するインバータ制御装置8とを備え、弁制御装置は入口温度と出口温度の温度差と目標温度差との差に基づいて流量調整弁の開度を調整し、インバータ制御装置は複数の流量調整弁の開度に基づいてインバータの周波数を変更する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱源機により生成された冷温水を複数の負荷機器へ送水するポンプの流量を制御する送水制御システムと、送水制御方法に係り、特に、必要最小限の動力で複数の負荷機器へ送水できる送水制御システム及びその制御方法に関する。
従来の地域冷暖房装置等で冷温水を搬送する送水制御システムにおいて、熱負荷の大きさに応じて搬送動力を低減する方法としては、往きヘッダーの吐出圧力が一定になるよう複数台のポンプの運転台数やポンプの回転数をインバータにて制御する方法や、最も圧力損失の大きい配管経路を想定し、その経路が要求する送水圧力を流量から推定する、推定末端圧制御を採用するなどの方法がある。
往きヘッダーの吐出圧力が一定になるよう複数台のポンプの運転台数やポンプの回転数を制御する方法では、配管経路が要求する最大揚程を随時把握することが難しい。そのため、揚程が不足して流量が減少することで熱交換量が不足してしまうことを避けるよう、往きヘッダーの吐出圧力を設定する必要がある。結果として、負荷機器の熱需要の大きさによっては、配管経路が必要とする揚程よりも高い圧力で送水している状態になることがある。また、推定末端圧制御は、推定の精度に搬送動力の削減効果が依存するため、より大きな削減効果を得るためには、推定の精度を上げることを目的とした煩雑なシステムのチューニングが必要となる。
従来、この種の送水圧制御システムとしては、負荷機器からの還水に圧力を付加した送水を負荷機器に送水するポンプと、還水が入力されるポンプの入力側と送水が出力されるポンプの出力側とを接続するバイパスに設けられたバイパス弁と、末端の負荷機器に入力される送水の圧力を計測するセンサと、このセンサにより計測される圧力に基づいて、ポンプから出力される送水の圧力を設定する制御装置とを備えており、ポンプ揚程にかかるエネルギーを削減することが可能となり、結果として、さらなる省エネルギー化を実現することができるものである(例えば、特許文献1参照)。
また、他の送水圧制御システムは、冷温水を生成する熱源機と、この熱源機からの冷温水の往水管路と還水管路との間に設けられた複数の負荷機器と、これら負荷機器への熱源機からの冷温水の送水圧を制御する制御装置とを備え、負荷機器の各々は、自己の負荷機器に流れる冷温水の流量を負荷機器流量として計測する流量計測手段と、自己の負荷機器に流れる冷温水の流量を調整するバルブの入口側と出口側との間の差圧をバルブ差圧として計測する差圧計測手段とを備え、制御装置は、負荷機器毎に流量計測手段によって計測された負荷機器流量と差圧計測手段によって計測されたバルブ差圧とからその負荷機器の入力側と出力側との間に加わる差圧を負荷機器差圧として推定する負荷機器差圧推定手段と、この負荷機器差圧推定手段によって推定された負荷機器毎の負荷機器差圧中の最小値に基づいて熱源機からの負荷機器への冷温水の送水圧を設定する送水圧設定手段とを備え、末端に位置する負荷機器を探索する必要がなくなり、かつ末端に位置する負荷機器に末端差圧を計測するための専用の差圧センサを設置することなく、熱源機からの負荷機器への冷温水の送水圧を状況に応じて変更し、省エネルギーを図ることが可能となるものである(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−299980号公報 特開2009−121722号公報
ところで、通常の送水制御システムにおいては、複数の熱の需要先に対して、ひとつの場所で製造した熱を搬送する際に、最も要求される循環揚程の大きな負荷機器に通じる経路に合わせてポンプや送水圧力を設定している。しかしながら、設計段階で要求圧力の最も大きな経路が特定しづらいケースや、竣工後の改修工事などに伴い、最も要求される循環揚程の大きい経路が変わるケースもある。
前記特許文献1に記載の送水制御装置およびその方法では、物理的な末端にある熱交換器がポンプ揚程を支配する熱交換器としている。しかし、熱需要が大きい熱交換器が途中の経路で存在した場合、その熱交換器がポンプ揚程を支配する熱交換器となり得ることが考慮されていないため、ポンプ揚程を支配する熱交換器を正確に特定できないことが起き得る。
また、前記特許文献2に記載の送水圧制御システムは、負荷機器に取り付けられたコントロールバルブの差圧と、想定した負荷機器の差圧を合算し、最も小さい負荷機器の差圧にあわせて、ポンプの送水圧を制御する。この方法では、最も循環揚程を必要とする負荷機器を一意に決定できない。すなわち、コントロールバルブの差圧+負荷機器の差圧が同じ値でも、コントロールバルブが絞られている場合は、バルブの差圧が「大」、負荷機器の差圧が「小」、コントロールバルブが開いている場合は、バルブの差圧が「小」、負荷機器の差圧が「大」となり得る。従って、この技術では、末端に位置する負荷機器の制御バルブをさらに開き、ポンプの吐出圧を低減できるにもかかわらず、バルブが絞られたまま定常状態に陥る可能性がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、従来の熱交換器の出口温度差を確保するためのバルブの開度を制御の情報として、複数あるバルブの内、少なくとも1つ以上が予め設定した弁開度となるまでポンプの回転数を減少させるというポンプインバータ制御ロジックを組み合わせることで、必要最小限のポンプ吐出圧力にて熱を搬送できる送水制御システムを提供することにある。
前記目的を達成すべく、本発明に係る送水制御システムは、熱源機により生成された冷温水を複数の熱交換器に送水し、該熱交換器を介して冷温水の熱エネルギーを複数の熱利用機器に供給する送水制御システムであって、熱源機と複数の熱交換器との間に冷温水を循環させるポンプと、該ポンプの回転数を制御するインバータと、冷温水を複数の熱交換器のそれぞれへ送水する通路の流量を調整する流量調整弁と、複数の熱交換器の流入通路及び流出通路における冷温水の入口温度と出口温度を検出する温度センサと、該温度センサの出力に基づいて流量調整弁の開度を調整する弁制御装置と、インバータを制御するインバータ制御装置とを備えて構成され、弁制御装置は、入口温度と出口温度の温度差と目標温度差に基づいて流量調整弁の開度を調整し、インバータ制御装置は複数の流量調整弁の開度に基づいて、インバータの周波数を変更することを特徴としている。
前記のごとく構成された本発明の送水制御システムは、熱交換器の入口温度と出口温度との温度差を確保するための流量調整弁の開度を観察し、需要家ごとに存在する流量調整弁の内、ポンプの送水圧力を支配する需要家、すなわち、最もポンプの揚程を要求する熱交換器を自動的に探索して送水経路の末端差圧を特定し、特定された需要家の流量調整弁があらかじめ設定した弁開度になるまでポンプの回転数を減少させることにより、熱需要家が要求する熱量(具体的には、冷温水)を必要最小限の動力で高効率に搬送することができる。
また、本発明に係る送水制御システムの好ましい具体的な態様としては、前記弁制御装置は、前記入口温度と出口温度から実測した温度差とあらかじめ設定した目標温度差とを比較し、実測した温度差が目標温度差以上のときに前記流量調整弁の開度を開くように制御することを特徴としている。このように構成された送水制御システムでは、弁制御装置は入口温度と出口温度の実測した温度差と設定された目標温度差とを比較し、実測温度差が目標温度差以上のときに流量調整弁の開度を開いて冷温水の流量を増加させるように制御するため、冷温水の入口温度と出口温度に基づいて冷温水の流量を適切に調整することができる。
さらに、本発明に係る送水制御システムの好ましい具体的な他の態様としては、前記インバータ制御装置は、前記複数の流量調整弁のうち、その開度が所定値に到達している弁があるとき前記インバータの周波数を増加するように制御することを特徴としている。このように構成された送水制御システムでは、インバータ制御装置は複数の流量調整弁のうち、その開度が所定値に到達している弁があるときインバータの周波数を増加するように制御し、循環揚程の最も大きい経路に合わせて冷温水の循環揚程を増加させるため、必要最小限の動力にて冷温水を搬送することができる。
本発明に係る送水制御システムの制御方法は、熱源機により生成された冷温水を回転数制御できるポンプにより複数の熱交換器に送水し、該熱交換器を介して冷温水の熱エネルギーを複数の熱利用機器に供給する送水制御システムの制御方法であって、熱交換器に流入する冷温水の入口温度と、熱交換器から流出する冷温水の出口温度との温度差を測定し、実測した温度差とあらかじめ設定した目標温度差とを比較して複数の熱交換器に流入する冷温水の流量をそれぞれ制御し、熱交換器に流入する冷温水の流量を調整する複数の流量調整弁の開度をそれぞれ測定し、開度が所定値に到達している流量調整弁の有無に基づいて冷温水を送水するポンプの回転数を制御することを特徴としている。
前記温度差が目標温度差以上のときに前記熱交換器に流入する冷温水の流量を増加させると共に、前記温度差が目標温度差未満のときに前記熱交換器に流入する冷温水の流量を減少させるように制御することが好ましい。また、前記開度が所定値以上の流量調整弁があるとき前記ポンプの回転数を増加させ、前記開度が所定値以上の流量調整弁がないとき前記ポンプの回転数を減少させるように制御することが好ましい。
このように構成された送水制御システムの制御方法では、熱交換器に流入する冷温水の入口温度と、熱交換器から流出する冷温水の出口温度との温度差を測定し、あらかじめ設定された目標温度差と比較して複数の熱交換器に流入する冷温水の流量をそれぞれ増加あるいは減少させると共に、複数の熱交換器に流入する冷温水の流量を調整する流量調整弁の開度をそれぞれ測定し、開度が所定値以上の流量調整弁の有無に基づいてポンプの回転数を増加あるいは減少させて制御するため、必要最小限の動力にて冷温水を搬送することができる。
本発明の送水制御システム及びその制御方法は、一つの場所(熱製造プラント)で製造した熱を搬送する際に、必要最小限の動力で複数の熱交換器に効率良く熱を送り届けることができる。また、配管系の末端圧制御の精度を上げるための煩雑なチューニングが不要となり、容易に省エネルギーを達成することができる。
本発明に係る送水制御システムの一実施形態の要部構成を示すブロック図。 図1の送水制御システムの冷温水の流量を調整する流量調整弁を制御する動作を示すフローチャート。 図1の送水制御システムの冷温水を送水するポンプを制御する動作を示すフローチャート。
以下、本発明に係る送水制御システム及びその制御方法の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1のブロック図は、本実施形態に係る送水制御システムの要部構成を示しており、図2のフローチャートは、図1の送水制御システムで使用する流量調整弁の開度を調整する制御動作を示し、図3のフローチャートは、図1の送水制御システムで使用するポンプの回転数を調整する制御動作を示している。
図1において、本実施形態の送水制御システムは、地域冷暖房装置等で熱を搬送する冷温水の送水に適した送水制御システムであり、熱源機1により生成された1次側冷温水を複数の熱需要家A,B…の負荷機器である熱交換器2A,2B…に送水し、該熱交換器を介して1次側冷温水の熱エネルギーを2次側冷温水に伝達し複数の熱利用機器3A,3B…に供給する送水制御システムである。熱利用機器とは、例えば空気調和機があり、複数の熱利用機器に熱エネルギーを送るときには往路導管5aの端部に往路ヘッダー(図示せず)を接続し、還路導管5bの端部に還路ヘッダー(図示せず)を接続して冷温水を分配することが好ましい。1次側冷温水は冷房用のときは7℃程度、暖房用のときは50℃程度に設定されることが多い。
1次側の冷温水は熱源機1から1次側導管4を通して各熱需要家の熱交換器2A,2B…に送水され、熱源機1に戻る構成となっている。導管4の往路4a、及び分岐された往路4cには流量調整弁V1,V2が設置され、熱交換器2A,2B…への1次側冷温水の流量を調整している。熱交換器2A,2B…は、1次側冷温水の熱エネルギーを2次側冷温水に伝達するものである。2次側冷温水は各熱需要家ごとの複数の熱交換器2A,2B…と、これに接続された複数の熱利用機器3A,3B…とを導管5,6を通して循環する構成となっている。1次側の導管4は往路4aと分岐された往路4c、還路4bと分岐された還路4dとを備えており、熱交換器2Aの2次側の導管5も往路5aと還路5bとを備えており、熱交換器2Bの2次側の導管6も往路6aと還路6bとを備えている。
本実施形態の送水制御システムは、熱源機1と、この熱源機で生成された1次側冷温水を搬送するポンプ7と、ポンプ7の回転数を制御するインバータ7a、及びインバータを制御するインバータ制御装置8で共通の熱プラントを構成し、複数の熱需要家は導管4の流量調整弁V1,V2より下流側と規定され、熱プラントと複数の熱需要家A,B…との間を往路と還路からなる導管4で接続して構成される。
熱需要家ごとの導管構成は、基本的には同じであるので、第1の熱需要家Aについて詳細に説明する。1次側の導管4の往路4aには1次側のポンプ7が設置される。ポンプ7はインバータ7aが付属され、インバータ制御装置8から送られる周波数を変更することでその回転数を変更し、ポンプの送水能力を変更できる構成となっている。ポンプ7と熱交換器2Aとの間に、1次側の冷温水の流量を調整するための流量調整弁V1が設置されている。そして、流量調整弁V1の開度のデータがインバータ制御装置8に供給される構成となっている。インバータ制御装置8は複数の熱需要家A,B…の熱交換器2A,2B…への1次側冷温水の流量を調整する流量調整弁V1,V2…の開度に基づいてインバータ7aへ供給する周波数を制御し、ポンプ7の回転数を調整して、1次側冷温水の流量を調整するものである。
そして、1次側の導管4の往路4aと還路4bには、それぞれ温度センサT1,T2が設置されている。往路4aの温度センサT1は熱交換器2Aに流入する1次側冷温水の温度を測定するものであり、還路4bの温度センサT2は熱交換器2Aから流出する1次側冷温水の温度を測定するものである。温度センサT1及び温度センサT2の出力は弁制御装置9に供給されており、弁制御装置9の出力が流量調整弁V1に供給されている。この構成により流量調整弁V1は、温度センサT1,T2の温度データに基づいて、1次側冷温水の流量を調整するように構成されている。
熱交換器2Aの2次側では、往路5aと還路5bとを有する導管5が接続され、往路5aと還路5bとの末端には熱利用機器3Aが接続されている。往路5aの途中には2次側ポンプP1が設置されており、このポンプにより熱交換器2Aと熱利用機器3Aとの間に2次側冷温水を循環させる構成となっている。往路導管5aと還路導管5bとの間に調整弁V3が設置され、調整弁V3と熱交換器2Aとの間の還路に調整弁V4が設置されている。また、往路導管の2次側ポンプP1の下流には流量計F1が設置され、2次側冷温水の熱交換器2Aから流出する側と、熱交換器2Aに流入する側に、それぞれ温度センサT3,T4が設置されている。温度センサT3が熱交換器2Aから出る冷温水の温度を測定し、温度センサT4が熱交換器2Aに入る2次側冷温水の温度を測定する。
2番目の熱需要家Bについては、基本的には1番目の熱需要家Aと同等の構成であり、分岐された往路4c、還路4dが熱交換器2Bに接続され、導管4の往路4cと還路4dには、それぞれ温度センサT5,T6が設置されている。往路4cの温度センサT5は熱交換器2Bに流入する1次側冷温水の温度を測定するものであり、還路4dの温度センサT6は熱交換器2Bから流出する1次側冷温水の温度を測定するものである。そして、温度センサT5及び温度センサT6の出力は弁制御装置10に供給されており、弁制御装置10の出力が流量調整弁V2に供給されている。この構成により流量調整弁V2は、温度センサT5,T6の温度データに基づいて、1次側冷温水の流量を調整するように構成されている。
2番目の熱需要家Bの熱交換器2Bの2次側では、往路6aと還路6bとを有する導管6が接続され、往路6aと還路6bとの末端には空調機等の熱利用機器3Bが接続されている。往路6aの途中には2次側ポンプP2が設置されており、このポンプにより熱交換器2Bと熱利用機器3Bとの間に2次側冷温水を循環させる構成となっている。往路導管6aと還路導管6bとの間に調整弁V5が設置され、調整弁V5と熱交換器2Bとの間の還路に調整弁V6が設置されている。また、往路導管の2次側ポンプP2の下流には流量計F2が設置され、2次側冷温水の熱交換器2Bから流出する側と、熱交換器2Bに流入する側に、それぞれ温度センサT7,T8が設置されている。温度センサT7が熱交換器2Bから出る2次側冷温水の温度を測定し、温度センサT8が熱交換器2Bに入る2次側冷温水の温度を測定する。
本実施形態の送水制御システムの制御装置としては、インバータ制御装置8と弁制御装置9,10とを備えており、インバータ制御装置8は1次側冷温水の流量を調整する流量調整弁V1,V2…の開度に基づいて、1次側ポンプ7の回転数を制御するべくポンプに供給される電流の周波数を変更するものである。すなわち、インバータ制御装置8は、各熱需要家の熱需要に合わせて、流量調整弁V1,V2…の開度が所定値(例えば98%)以上の弁があるときにはポンプ7のインバータの周波数を増加させて、ポンプの吐出圧を上昇させる制御を行うものである。
また、弁制御装置9は1番目の熱需要家Aに送水される1次側冷温水の往路温度と還路温度に基づいて往路4aに設置された流量調整弁V1の開度を調整し、1次側冷温水の送水量を制御するものである。具体的には、弁制御装置9は往路4aの温度と還路4bの温度との温度差を測定し、この温度差と目標温度差とを比較して、温度差が目標温度差以上のときには流量調整弁V1を開いて流量を増加させ、温度差が目標温度差未満のときには流量調整弁V1を閉じて流量を減少させるように制御するものである。目標温度差とは、予め設定された温度差であり、通常は5〜10℃程度に設定されることが多い。
また、2番目の熱需要家Bの弁制御装置10は、1次側冷温水の往路温度と還路温度に基づいて往路4cに設置された流量調整弁V2の開度を調整し、2番目の熱需要家Bに送水される1次側冷温水の送水量を制御するものである。具体的には、弁制御装置10は往路4cの温度と還路4dの温度との温度差を測定し、この温度差と目標温度差とを比較して、温度差が目標温度差以上のときには流量調整弁V2を開いて流量を増加させ、温度差が目標温度差未満のときには流量調整弁V2を閉じて流量を減少させるように制御するものである。以下、3番目の熱需要家Cは図面では省略しているが、さらに複数の熱需要家の場合も同等の構成となっている。
前記の如く構成された本実施形態の送水制御システムの動作について、図2,3を参照して以下に説明する。図2において、弁制御装置9,10はステップS1で熱交換器2A,2B…に入る1次側冷温水の温度と、熱交換器から出る1次側冷温水の温度の温度差を測定し、ステップS2で、この制御装置で予め設定した目標温度差と温度差とを比較し、温度差と目標温度差とが同じ場合には終了する。
ステップS2で温度差と目標温度差とが異なるときはステップS3で温度差が目標温度差以上かを判断し、未満のときにはステップS4で流量調整弁の開度を減少させて1次側冷温水の流量を減少させ、以上のときにはステップS5で流量調整弁の開度を増加させて1次側冷温水の流量を増加させるように制御する。このステップを繰り返すことで流量調整弁V1,V2を最適な流量になるように制御している。前記ステップS2,S3で測定された温度差と比較する目標温度差は、一般的に熱交換器の入口温度と出口温度との差である5〜10℃程度に設定されるが、弁制御装置内で設定値を変更することが可能となっている。
また、インバータ制御装置8は、前記のフローでその開度が調整されている流量調整弁V1,V2…の開度を複数の需要家ごとに測定し、ステップS11で各需要家の流量調整弁の開度データを取得する。ステップS12では、前の工程で取得した開度データより、開度が所定値以上の流量調整弁があるかを判断し、所定値以上の弁がないときはステップS13でインバータの周波数を減少しポンプ7の能力を下げて、1次側冷温水の送水量を減らす。ステップS12で所定値以上の開度の弁があるときはインバータの周波数を増加させてポンプ7の能力を上げて、1次側冷温水の送水量を増加させる。インバータの周波数の増加、減少に際しては、配管経路の長さや配管経路が保有する水量、ポンプモータの特性等によって単位時間内の周波数変化量(周波数の変化速度)を調整するのが一般的であるが、この数値はインバータ制御装置内で設定可能となっている。
ステップS14でポンプインバータの周波数を増加させた後は、再びステップS11に戻り各需要家の流量調整弁の開度を取得し、ステップS12にて流量調整弁の開度が所定値以上の弁があるか再び判断する。この繰り返しにより、弁の開度が所定値以上の流量調整弁が配管系内に1つ以上存在する状況に収束させる。
このように、複数の熱の需要先、すなわち複数の熱需要家A,B…に対して、1つの場所で製造した熱を搬送する場合には、最も要求圧力の大きな経路、すなわち、流量調整弁の開度が大きく、所定値以上の開度の熱需要家に合わせて、1次側冷温水を送水するポンプ7の送水圧力を算出している。このため、複数の熱需要家の中で、現在最も循環揚程の要求の大きい需要家を特定し、この特定された需要家の経路に合わせて1次側冷温水の循環揚程を確保すべくポンプの回転数を制御して送水しているので、必要とされる循環揚程にあわせて送水ポンプを駆動する電気エネルギーを削減することができる。このように、本発明では省エネルギー、省COを達成することができる。
また、本発明の送水制御システムと、その制御方法は、複数熱需要家のうち、ポンプの送水圧力を支配する需要家、すなわち、最も大きな循環揚程を要求する需要家を特定し、その循環揚程に応じたポンプの送水圧制御を行う。流量から必要となる揚程を推定するといった推定のプロセスがなく、実測値により制御を行うことから、煩雑な制御系のチューニング作業を必要としない。
なお、前記の制御方法の動作説明では、図2の流量調整弁の開度調整を行う制御のあとに、図3のポンプの回転数調整を行う制御を実施する例について述べたが、これらの制御は連続的に実施されるものであり、制御を行う順序については制約されないものである。すなわち、ポンプの回転数調整を行う制御を行い、ついで制御されたポンプの送水量において熱交換器の往還温度差に基づいて目標温度差と比較し、流量調整弁の開度を増減する制御を行うようにしてもよい。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、熱源機として1つの熱源機の例を示したが、複数の熱源機を用いて構成してもよい。
また、複数の熱需要家の例として、2つの熱需要家の例を示したが、3つ以上の熱需要家の場合でも適用できることは勿論である。さらに、本発明は、例えば、1棟の建物において、1つの熱源機から生成された冷温水を建物内のフロアごとの熱需要家に搬送する例にも適用できるものである。熱エネルギーを搬送する熱媒として冷温水の例を示したが、他の媒体を用いることもできる。
本発明の活用例として、この送水制御システムを用いて最小のエネルギーで熱交換器1次側の冷温水の搬送ができ、地域冷暖房装置や建物内の冷暖房装置の熱媒としての冷温水の搬送の用途にも適用できる。
1:熱源機、2A,2B…:熱交換器(負荷機器)、3A,3B…:熱利用機器、4:1次側導管、4a,4c:往路、4b,4d:還路、5,6:2次側導管、5a,6a:往路、5b,6b:還路、7:1次側ポンプ、7a:インバータ、8:インバータ制御装置、9,10:弁制御装置、A,B,C…:熱需要家、V1,V2:流量調整弁、T1,T2,T5,T6:温度センサ

Claims (6)

  1. 熱源機により生成された冷温水を複数の熱交換器に送水し、該熱交換器を介して冷温水の熱エネルギーを複数の熱利用機器に供給する送水制御システムであって、
    前記熱源機と複数の熱交換器との間に冷温水を循環させるポンプと、該ポンプの回転数を制御するインバータと、前記冷温水を前記複数の熱交換器のそれぞれへ送水する通路の流量を調整する流量調整弁と、前記複数の熱交換器の流入通路及び流出通路における冷温水の入口温度と出口温度を検出する温度センサと、該温度センサの出力に基づいて前記流量調整弁の開度を調整する弁制御装置と、前記インバータを制御するインバータ制御装置とを備えて構成され、
    前記弁制御装置は、前記入口温度と出口温度の温度差と目標温度差との差に基づいて前記流量調整弁の開度を調整し、前記インバータ制御装置は前記複数の流量調整弁の開度に基づいて、前記インバータの周波数を変更することを特徴とする送水制御システム。
  2. 前記弁制御装置は、前記入口温度と出口温度から実測した温度差とあらかじめ設定した目標温度差とを比較し、実測した温度差が目標温度差以上のときに前記流量調整弁の開度を開くように制御することを特徴とする請求項1に記載の送水制御システム。
  3. 前記インバータ制御装置は、前記複数の流量調整弁のうち、その開度が所定値に到達している弁があるとき前記インバータの周波数を増加するように制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の送水制御システム。
  4. 熱源機により生成された冷温水を回転数制御できるポンプにより複数の熱交換器に送水し、該熱交換器を介して冷温水の熱エネルギーを複数の熱利用機器に供給する送水制御システムの制御方法であって、
    前記熱交換器に流入する冷温水の入口温度と、前記熱交換器から流出する冷温水の出口温度との温度差を測定し、
    前記実測した温度差とあらかじめ設定した目標温度差とを比較して前記複数の熱交換器に流入する冷温水の流量をそれぞれ制御し、
    前記熱交換器に流入する冷温水の流量を調整する複数の流量調整弁の開度をそれぞれ測定し、
    前記開度が所定値に到達している流量調整弁の有無に基づいて冷温水を送水するポンプの回転数を制御することを特徴とする送水制御システムの制御方法。
  5. 前記温度差が目標温度差以上のときに前記熱交換器に流入する冷温水の流量を増加させると共に、前記温度差が目標温度差未満のときに前記熱交換器に流入する冷温水の流量を減少させるように制御することを特徴とする請求項4に記載の送水制御システムの制御方法。
  6. 前記開度が所定値以上の流量調整弁があるとき前記ポンプの回転数を増加させ、前記開度が所定値以上の流量調整弁がないとき前記ポンプの回転数を減少させるように制御することを特徴とする請求項4又は5に記載の送水制御システムの制御方法。
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