JP2004257707A - 熱源機器の適正容量制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転効率の高い空調システムを提供する。
【解決手段】熱源機器(蓄熱槽32及び冷凍機34,36)と空調負荷22との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システム20における熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダ38と、前記空調負荷22からの出力される熱媒体を集める還ヘッダ40とを連通させる連通管50に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷22から出力される熱媒体の量とを同等にする。
【選択図】 図1
【解決手段】熱源機器(蓄熱槽32及び冷凍機34,36)と空調負荷22との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システム20における熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダ38と、前記空調負荷22からの出力される熱媒体を集める還ヘッダ40とを連通させる連通管50に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷22から出力される熱媒体の量とを同等にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱源機器の適正容量制御方法及び装置に係り、特にビル等に用いられる空調システムを効率的に運転するのに好適な熱源機器の適正容量制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルの空調システムは、空調機の空調負荷と熱源機器との間に熱媒体を循環させて冷暖房を行っている。図7に従来の空調システムの一例を示す。この空調システムは主に、熱交換を行う蓄熱槽若しくは冷凍機等の熱源機器1と、空調機の空調負荷2と、熱源機器1と空調負荷2との間に設けられ、空調システム内を循環する熱媒体を集める往ヘッダ3若しくは還ヘッダ4とから構成されている。
【0003】
熱源機器1と空調負荷2とを循環する熱媒体は、熱源機器1の入力側に設けられた一次ポンプ5を駆動することにより熱源機器1に供給され、この熱源機器1において熱媒体へ熱交換が行われる。この熱源機器1で熱交換された熱媒体は往ヘッダ3に集められ、往ヘッダ3と空調負荷2とを連通する管の間に設けられた二次ポンプ6を駆動することにより、空調負荷2へ供給される。この空調負荷2において室内の空気と熱媒体との間で熱交換が行われ、熱交換が終わった熱媒体は還ヘッダ4へ出力される。また、前記空調システムは、熱媒体が空調負荷2に供給される前後の温度差と、空調負荷2から出力された熱媒体の流量とから熱量を演算し、この演算した熱量と、熱源機器1から出力される熱媒体の熱量とを一致させるように制御装置7で制御している。
【0004】
ところで、往ヘッダ3と還ヘッダ4とは連通管8により連通しているので、一次ポンプ5と二次ポンプ6との熱媒体の吐出量に差が生じると、往ヘッダ3と還ヘッダ4との差に応じて連通管8を通して熱媒体が移動する。これにより、空調負荷2側と熱源機器1側とのバランスが取られる。また、連通管8に弁が設けられている場合には、往ヘッダ3に係る圧力が上昇したときに、直ちに前記弁を開くように制御される。このような制御を行う技術に特許文献1の技術がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−83126号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の空調システムの制御は四季を通じて熱量を演算して行われていた。このため、この空調システムで冷房を行い、夏季を基準として空調負荷の熱量を設定すると、中間期(秋又は春)では温度計9と温度計10との温度差が夏季に比べ小さくなるので、夏季と同じ熱量を得るには熱媒体の流量を多くしなければならず、熱媒体を空調負荷2へ無駄に供給することになっていた。すなわち、熱量演算による制御は、空調負荷2で使用された熱量の演算結果より熱源機器1の必要供給量を決めるが、夏季と中間期とで制御する設定を変えていない。このため、中間期などの熱交換の効率が低下する時期を考慮した余裕率が設定され、ポンプ等の動力負荷に無駄が生じていた。この結果、往ヘッダ3と還ヘッダ4との温度差が確保されなくなり、特に熱源機器1に蓄熱槽を用いる場合には、熱媒体との熱交換時に大きな損失が発生していた。
また、制御装置7で空調負荷2の熱量を演算した結果通りに、同じ熱量を持った熱媒体が熱源機器1から空調負荷2へ供給されているか疑問があった。
【0007】
本発明は従来技術の欠点を解消するために、インバータ付きの一次ポンプによって熱媒体の吐出量を制御し、夏季や中間期においても熱源機器に熱交換の損失を生じることなく、運転効率のよい制御を行う熱源機器の適正容量制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の熱源機器の適正容量制御方法は、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダとを連通させる連通管に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷から出力される熱媒体の量とを同等にすることを特徴としている。
【0009】
また、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲外であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体を流し、前記熱源機器に供給される熱媒体の温度を一定値に保つ制御を行うことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の熱源機器の適正容量制御装置は、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムの熱源機器の適正容量制御装置において、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダと、前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体の流量を測定する流量測定手段と、前記熱源機器に熱媒体の量を調整しながら供給する熱媒体供給手段と、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定された範囲内であれば、前記連通管で測定される熱媒体の流量を零になるように前記流量測定手段を制御し、前記温度差が設定された範囲外であれば、前記連通管に熱媒体を流すよう前記流量測定手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、前記制御手段は前記連通管に流れる熱媒体の流量及び方向と、前記熱源機器へ入力する熱媒体の温度とに基づいて、前記熱源機器の運転台数の制御を行う構成とできる。
【0012】
【作用】
本発明によれば、熱源機器から出力される熱媒体の温度と、空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が予め設定した設定値の範囲内であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に流れる熱媒体の量が零になるように一次ポンプを制御するので、熱源機器側より出力される熱媒体の供給量と、空調負荷から出力される熱媒体の量が等しくなり、空調システムの運転効率が向上する。
【0013】
また、熱源機器から出力される熱媒体の温度と、空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が予め設定した設定値の範囲外であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体を流し、熱源機器に供給される熱媒体の温度を一定に保つようにする。これにより、熱源機器における熱媒体への熱交換の効率が向上し、空調システムの運転効率が向上する。
【0014】
また、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に流量測定手段を設けたので、連通管に流れる熱媒体の流量と方向を測定することができる。また、熱源機器から出力される熱媒体の温度と、空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差を測定して、前記連通管に流れる熱媒体の流量と方向を制御するように構成したので、熱源機器における熱媒体への熱交換の効率が向上し、空調システムの運転効率が向上する。
【0015】
また、連通管に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に入力する熱媒体の温度に基づいて、熱源機器の運転台数の制御を行う構成とした。この構成は、熱源機器1台が発生させる熱量が空調システムで必要な要求熱量に達したときに、2台目の熱源機器を運転させるので、空調システムの運転効率が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る熱源機器の適正容量制御方法及び装置を、添付図面に基づいて説明する。図1は第一の実施の形態に係る空調システムの構成図である。本実施の形態に係る空調システム20は、熱源機器と空調機の空調負荷22との間を熱媒体が循環して冷暖房を行うシステムであり、熱媒体を空調負荷22へ供給する熱源機器側の回路構成は、前記熱源機器の入力側に一次ポンプ24,26,28を設けて熱媒体を供給し、この回路を複数並列に接続している。この回路中の1回路は熱源ベース機となり、この熱源ベース機の一次ポンプ24はインバータ制御が行える構成となっている。本実施の形態では熱媒体供給手段としてインバータ付き一次ポンプ24を用いた構成となっている。この熱源ベース機のインバータ付き一次ポンプ24の入力側には、熱媒体の温度を測定する温度計30が設けられている。前記熱源機器には蓄熱槽32及び冷凍機34,36が用いられ、本実施の形態では蓄熱槽32を含む回路が熱源ベース機となっている。
【0017】
前記熱源機器と一次ポンプとで構成した回路であって、熱媒体が前記熱源機器から出力される側における前記回路の接続箇所には、熱媒体を集積する往ヘッダ38が設けられている。また、熱媒体が前記熱源機器へ入力される側における前記回路の接続箇所には、熱媒体を各熱源機器へ分配する還ヘッダ40が設けられている。
【0018】
往ヘッダ38から熱媒体を出力する側には二次ポンプ42,44が並列に設けられている。この二次ポンプ42,44から熱媒体を吐出する側にはヘッダ46が設けられ、二次ポンプ42,44から吐出される熱媒体を集積する構成である。ヘッダ46の出力側には空調負荷22が接続され、この空調負荷22の出力側には還ヘッダ40が設けられている。空調負荷22と還ヘッダ40との間には温度計48が設けられ、この温度計で熱媒体の温度を測定する構成である。
【0019】
また、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50が設けられ、この連通管50には熱媒体の流量を計測する流量計52が配設されている。本実施の形態では、流量測定手段として流量計52を用いた構成となっている。
【0020】
前記熱源機器に蓄熱槽32を用いる場合は、蓄熱槽32と熱媒体との間に熱交換器54を設けて、熱媒体と蓄熱槽32に蓄えられた熱とを熱交換させている。また、空調負荷22の出力側に設けられた温度計58で計測された熱媒体の温度は温度制御装置60に伝送され、この温度制御装置60において蓄熱槽32から熱交換器54へ熱媒体を供給するインバータ付きポンプ56の吐出量を制御し、空調負荷22へ供給される熱媒体の温度を一定値に保つ構成である。
【0021】
また、前記熱源機器の入力側に設けられた一次ポンプ26,28、インバータ付き一次ポンプ24及び温度計30と、蓄熱槽の出力側に設けられた温度計58と、往ヘッダ38の出力側に設けられた二次ポンプ42,44と、空調負荷22の出力側に設けられた温度計48と、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50に設けられた流量計52とが制御装置62に接続されている。この制御装置62は温度計58と温度計48とで熱媒体の温度を測定し、この測定した温度の温度差が予め設定した値の範囲内、例えば5℃±1℃の範囲内であれば、往ヘッダ38と還ヘッダ40との間に流れる熱媒体の量を零になるように制御する構成である。また、温度計58と温度計48との温度差が予め設定した範囲外にあり、この温度差が少ない場合、例えば温度差が3℃のときはインバータ付き一次ポンプ24の吐出量が少なくなるように制御して、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(−流量方向)熱媒体を流す制御を行う構成である。さらに、温度計58と温度計48との温度差が大きい場合、例えば温度差が7℃のときはインバータ付き一次ポンプ24の吐出量が多くなるように制御して、往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(+流量方向)熱媒体を流す制御を行う構成である。
なお、前記熱源機器を介して還ヘッダ40から往ヘッダ38へ熱媒体が循環する側を一次側と、空調負荷22を介して往ヘッダ38から還ヘッダ40へ熱媒体が循環する側を二次側とする。
【0022】
このように構成された空調システム20において、前記熱源機器の適正容量制御方法を説明する。蓄熱槽32の熱交換器54に供給される熱媒体はインバータ付き一次ポンプ24によって供給され、前記熱交換器54で蓄熱槽32から循環してきた熱媒体と熱交換が行われる。このとき、温度制御装置60は、温度計58で計測された空調負荷22に供給される熱媒体の温度を基に蓄熱槽32側のインバータ付きポンプ56の吐出量を制御するので、前記空調負荷22に供給される熱媒体は常に一定の温度で出力される。また、温度計58で計測された温度は制御装置62へも伝送される。そして、熱交換器54で熱交換が行われた熱媒体は往ヘッダ38へ出力される。
【0023】
このように動作する熱源機器は、まず熱源ベース機を動作させる。そして、熱源ベース機から出力する熱媒体の量よりも、さらに多くの熱媒体が必要になった場合は、冷凍機と一次ポンプとで構成された回路を1回路ずつ必要なだけ駆動させていく(追加運転)。これとは逆に、一次側からの熱媒体の供給量が多くなった場合は、冷凍機と一次ポンプで構成された回路を1回路ずつ停止させていく(減運転)。
【0024】
また、冷凍機34,36に供給される熱媒体は一次ポンプ26,28によって供給され、この冷凍機34,36で熱媒体との熱交換が行われる。そして、熱交換が行われた熱媒体は往ヘッダ38へ出力される。このとき、蓄熱槽32と冷凍機34,36とから出力される熱媒体の温度は等しくなるように調節されている。
【0025】
往ヘッダ38に出力された熱媒体は空調負荷22の大きさに応じて複数の二次ポンプ42,44によりヘッダ46へ出力される。この二次ポンプ42,44は空調負荷22の大きさに合わせて駆動させる台数の制御、及びポンプの回転数制御が行われる。また、二次ポンプを1台しか設けない場合は、ヘッダ46を用いる必要はない。そして、ヘッダ46より出力された熱媒体は空調負荷22へ供給され、この空調負荷22において熱交換が行われる。熱交換が行われた熱媒体は温度計48を介して還ヘッダ40へ出力される。この温度計48では熱媒体の温度が測定され、測定された温度は制御装置62へ伝送される。還ヘッダに入力された熱媒体はインバータ付き一次ポンプ24及び一次ポンプ26,28により、それぞれ蓄熱槽32及び冷凍機34,36へ供給される。また、熱源ベース機となる回路に供給された熱媒体は温度計30により温度が計測され、計測された温度は制御装置62に伝達される。
【0026】
このように動作する空調システム20において、温度計58と温度計48とで計測される温度の差が制御装置62で予め設定された値の範囲内にあるときは、熱源機器とインバータ付き一次ポンプ24及び一次ポンプ26,28とより、空調負荷22の熱量に対して過不足なく熱量を供給するのが一番効率よく、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50に熱媒体が流れないようにすればよい。これは、制御装置62がインバータ付き一次ポンプ24からの熱媒体の吐出量を制御することにより行われ、この制御を行うときのフローを図2に示す。
【0027】
まず、熱源機器ベース機となる、蓄熱槽32とインバータ付き一次ポンプ24を運転し、このときインバータ付き一次ポンプ24の制御を行う周波数に初期設定値を登録する(ステップ210)。そして、連通管50に流れる熱媒体の方向及び流量を流量計52で測定する(ステップ220)。このとき、連通管50に熱媒体が流れていなければ、インバータ付き一次ポンプ24の制御は行わず、このままの状態で運転を続け、ステップ220の動作を繰り返す。また、熱媒体が還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス流量方向)流れる場合、ステップ210で設定した初期設定値が上限値に達しているか比較する(ステップ230)。このとき、初期設定値が上限に達していなければ、初期設定値を増加させる(ステップ240)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。また、ステップ230で初期設定値が上限値に達していた場合は、蓄熱槽32とインバータ付き一次ポンプ24の回路に並列接続した冷凍機34,36と一次ポンプ26,28の1回路を追加運転させ、熱源機器の台数制御を行う(ステップ250)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。
【0028】
ステップ220において、連通管50に流れる熱媒体が往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス流量方向)流れる場合、ステップ210で設定した初期設定値が下限値に達しているか比較する(ステップ260)。このとき、初期設定値が下限値に達していなければ、初期設定値を増加させる(ステップ270)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。また、ステップ260で初期設定値が下限値に達していた場合は、蓄熱槽32とインバータ付き一次ポンプ24の回路に並列接続した冷凍機34,36と一次ポンプ26,28の1回路を減運転させ、熱源機器の台数制御を行う(ステップ280)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。
【0029】
これは、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50に流れる熱媒体の流量が零になるようインバータ付き一次ポンプ24の周波数を制御し、このインバータ付き一次ポンプ24の周波数が上限値を超えても熱媒体の供給量が不足する場合は、冷凍機と一次ポンプで構成した回路を追加運転する。また、インバータ付き一次ポンプ24の周波数が下限値を超えても流量が過剰な場合は、冷凍機と一次ポンプで構成した回路を減運転する。これにより、熱源機器から出力される熱媒体の量と、空調機の空調負荷22から出力される熱媒体の量とを等しくすることができ、効率的に空調を行うことができる。
【0030】
次に、秋又は春の中間期においては温度計58と温度計48とで計測される温度の差が制御装置62で予め設定された値の範囲外となる。このときは、温度計58と温度計48とで計測される温度の温度差が小さく、温度計30の温度が適正時に比べて低くなる。また、暑い夏においても、温度計58と温度計48とで計測される温度が制御装置62で予め設定された値の範囲外となる。このときは、温度計58と温度計48とで計測される温度差が大きくなり、温度計30の温度が適正時に比べて高くなる。しかし、熱源機器の熱交換の効率は、熱源機器に供給される熱媒体の温度が特定の温度のときが最も熱交換の効率が良い。このため、熱源機器の入口温度を一定値に保つことで熱媒体の熱交換率を向上させ、熱源機器の立ち上がり時の効率をあげるように制御する。すなわち、温度計58と温度計48とで計測される温度差が小さいときは、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス流量方向)熱媒体を流すように制御すればよい。また、温度計58と温度計48とで計測される温度差が大きいときは、往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス流量方向)熱媒体を流すように制御すればよい。この制御は熱源ベース機におけるインバータ付き一次ポンプ24の入力側に設けられた温度計30の温度を計測し、制御装置62がインバータ付き一次ポンプ24からの熱媒体の吐出量を制御することにより行われる。このときの連通管50に流す熱媒体の方向を決定するフローを図3に示す。
【0031】
熱源ベース機において、インバータ付き一次ポンプ24の入力側に設けられた温度計30の温度を計測する(ステップ310)。このとき、計測された温度が予め設定しておいた温度よりも低い場合は、連通管50に熱媒体を還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス流量方向)流す制御を行う(ステップ320)。また、ステップ310において温度計30で測定する温度が予め設定しておいた温度よりも高い場合は、連通管50に熱媒体を往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス流量方向)へ流す制御を行う。
【0032】
中間期及び暑い夏において、温度計58と温度計48とで計測される温度の差が予め設定された値の範囲外であり、計測された温度の差が小さいときは、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ熱媒体の流量を増加させることで熱源機器の入口温度を確保する。計測された温度の差が大きいときは、往ヘッダから還ヘッダへ熱媒体の流量を増加させて熱源機器の入口温度を確保する。この制御は、特に熱源機器として蓄熱槽32を用いたときに、蓄熱槽32における熱交換の効率をよくするものである。
【0033】
このような実施形態によれば、往ヘッダ38と還ヘッダ40との間に流量計52を設け、この流量計52に流れる熱媒体の流量を、インバータ付き一次ポンプ24の熱媒体の吐出量、及び熱源機器と一次ポンプとで構成された回路の台数制御により制御する。そして、温度計58と温度計48とで計測される温度が制御装置62で予め設定された値の範囲内にあるときは、連通管50に流れる熱媒体量が零になるようにする。これにより、一次ポンプ24,26,28により熱源機器から出力される熱媒体の供給量と、二次ポンプ42,44により空調負荷22へ供給される熱媒体の供給量が等しくなるので、空調システム20の運転効率を向上させることができる。
【0034】
また、温度計58と温度計48とで計測される温度が設定された範囲外にあるときは、連通管50に熱媒体を流すよう制御する。これにより、熱源機器に供給される熱媒体の温度は常に一定となり、熱源機器で熱媒体への熱交換をする効率が向上するため、空調システム20の運転効率を向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、熱源ベース機の回路に蓄熱槽32を用いた構成としたが、蓄熱槽32の代わりに冷凍機を用いることができる。この場合、冷凍機の入力側にインバータ付き一次ポンプ及び温度計を、前記冷凍機の出力側に温度計を設ければよい。
【0036】
また、熱源機器に蓄熱槽32及び冷凍機34,36の両方を用いた構成としたが、蓄熱槽32又は冷凍機34,36のどちらか一種類のみを用いる構成とできる。また、熱源機器の台数は空調負荷の大きさによって変わるため、空調負荷の大きさに合わせた台数の熱源機器を設ければよい。
【0037】
次に第二の実施形態に係る空調システムの制御方法について説明する。第二の実施形態に用いられる空調システムは第一の実施形態の空調システム20を用いることができ、制御装置62の制御方法が異なるのみである。この制御は、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に熱媒体が入力するときの温度、すなわち温度計30で計測される熱媒体の温度のみによって空調システム20を制御する方法である。第二の実施形態に係る空調システム20において、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を決定するフローを図4に示す。
【0038】
まず温度計30において、熱源機器へ入力する熱媒体の温度を設定する(ステップ410)。この設定温度は、熱源機器における熱媒体への熱交換の効率が高い値を初期値として設定する。そして、温度計30で熱媒体の温度を計測する(ステップ420)。計測された温度がステップ410で設定した値の範囲内であれば、そのまま熱源機器へ入力する熱媒体の温度を計測する。
【0039】
また、ステップ420の結果がステップ410で設定された値よりも低い場合に、さらに温度計30で計測される温度の下限の限界値内であるか比較する(ステップ430)。このとき下限値内であれば、そのまま熱源機器へ入力する熱媒体の温度を計測する。また、下限値よりも下回る場合には、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ連通管50に熱媒体を流す制御を行う(ステップ440)。この制御は一次ポンプから吐出される熱媒体の量を少なくするようにすればよい。そして、温度計30の温度を計測する(ステップ420の動作に戻る)。
【0040】
また、ステップ420の結果がステップ410で設定された値よりも高い場合に、さらに温度計30で計測される温度の上限の限界値内であるか比較する(ステップ450)。このとき上限値内であれば、そのまま熱源機器へ入力する熱媒体の温度を計測する。また、上限値よりも上回る場合には、往ヘッダ38から還ヘッダ40へ連通管50に熱媒体を流す制御を行う(ステップ460)。この制御は一次ポンプから吐出される熱媒体の量を多くするようにすればよい。そして、温度計30の温度を計測する(ステップ420の動作に戻る)。
【0041】
このような連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に熱媒体が入力するときの温度のみで空調システム20を制御する場合おいても、熱源容量が過不足と判断したときには熱源機器の追加運転又は減運転の台数制御が必要となる。この台数制御を行うときの判断のフローを図5に示す。
【0042】
まず、空調システム20を運転させるときは、熱源ベース機を運転させる(ステップ510)。そして、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する(ステップ520)。測定の結果、連通管50に流れる熱媒体の流量が設定の範囲内、すなわち、ほぼ零のときは、このまま連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する。
【0043】
また、ステップ520の結果、連通管50に還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス方向)熱媒体が流れる場合は、熱源機器へ入力される熱媒体の温度を計測して、前記温度が設定された範囲の上限値か比較する(ステップ530)。このとき、前記温度が設定された範囲の上限に達しない場合は連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する(ステップ520へ戻る)。また、前記温度が設定でされた範囲の上限に達する場合は、熱源ベース機と並列接続された熱源機器の1回路を追加運転させ、台数制御を行う(ステップ540)。
【0044】
また、ステップ520の結果、連通管50に往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス方向)熱媒体が流れる場合は、熱源機器へ入力される熱媒体の温度を計測して、前記温度が設定された範囲の下限値か比較する(ステップ550)。このとき、前記温度が設定された範囲の下限に達しない場合は連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する(ステップ520へ戻る)。また、前記温度が設定でされた範囲の下限に達する場合は、熱源ベース機と共に運転している熱源機器の1回路を減運転(停止)させ、台数制御を行う(ステップ560)。
【0045】
このような第二の実施形態のよれば、熱源機器に入力する熱媒体の温度が設定値の上限に達したときに、さらに熱源機器の1回路を追加運転させるので、従来技術に比べて効率的な熱源機器の運転ができる。図6に従来技術と第二の実施形態との熱源機器を運転させるタイミングの違いを示す。この図6は熱源運転台数に対する熱量のグラフであり、グラフ中には空調システム20の空調負荷22で必要な要求熱量を示している。熱源運転台数の軸に設けられた目盛りは、従来技術の制御方法における熱源機器1台当たりの運転範囲である。また、熱量の軸に設けられた目盛りは、従来技術の制御方法における熱源機器1台当たりで使用する熱量である。
【0046】
従来技術の制御方法では、熱源機器1台で発生させることのできる熱量が前記要求熱量に達する前に2台目の熱源機器を運転させているので、要求熱量より多い熱量が利用することのできない無駄な熱量となる。すなわち、図6の斜線部及び二重斜線部が利用できない熱量となる。
【0047】
第二の実施形態に係る制御方法では、熱源機器を追加運転させる場合に、熱源機器1台が発生させる熱量が限界に近づくと熱源機器に入力する熱媒体の温度が上昇する。この温度が設定の上限値に達したときに2台目の熱源機器を追加運転させる。すなわち、熱源機器1台で発生させることのできる熱量が前記要求熱量に達したときに、2台目の熱源機器を運転させる。また、熱源機器の減運転をする場合は追加運転させる制御を逆にして行っている。この制御は熱源機器1台が発生させる熱量を全て利用する方法である。これにより2台目の熱源機器を運転させるときと、従来技術における2台目の熱源機器を運転させるときとの間の熱量、すなわち図6中の二重斜線部分の熱量を削減することができる。
【0048】
第二の実施形態に係る空調システム20は、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に熱媒体が入力するときの温度のみで制御を行う構成である。この構成では熱源機器1台で発生させる熱量が、空調システム20の空調負荷22で必要な要求熱量に達したときに2台目の熱源機器を運転させる。これにより、空調システム20の運転効率を向上させることができる。また、インバータに対応していない一次ポンプを有する熱源機器においても、季節毎に適正な熱源機器の台数制御を行うことができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダとを連通させる連通管に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷から出力される熱媒体の量とを同等にする構成とした。これにより、ポンプの駆動によって熱媒体の吐出量を制御し、夏季や中間期においても熱源機器に熱交換の損失を生じることなく、運転効率のよい制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態に係る空調システムの構成を示す図である。
【図2】第一の実施の形態に係る空調システムの熱媒体の流量を制御するフローである。
【図3】第一の実施の形態に係る空調システムの連通管に流れる熱媒体の方向を決定するフローである。
【図4】第二の実施形態に係る空調システムの連通管に流れる熱媒体の流量を設定するフローである。
【図5】第二の実施形態に係る空調システムの熱源機器の台数制御を行うフローである。
【図6】第二の実施形態に係る空調システムの運転のタイミングについて説明する図である。
【図7】従来の空調システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
20………空調システム、24………インバータ付き一次ポンプ、26,28………一次ポンプ、42,44………二次ポンプ、30,48,58………温度計。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱源機器の適正容量制御方法及び装置に係り、特にビル等に用いられる空調システムを効率的に運転するのに好適な熱源機器の適正容量制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビルの空調システムは、空調機の空調負荷と熱源機器との間に熱媒体を循環させて冷暖房を行っている。図7に従来の空調システムの一例を示す。この空調システムは主に、熱交換を行う蓄熱槽若しくは冷凍機等の熱源機器1と、空調機の空調負荷2と、熱源機器1と空調負荷2との間に設けられ、空調システム内を循環する熱媒体を集める往ヘッダ3若しくは還ヘッダ4とから構成されている。
【0003】
熱源機器1と空調負荷2とを循環する熱媒体は、熱源機器1の入力側に設けられた一次ポンプ5を駆動することにより熱源機器1に供給され、この熱源機器1において熱媒体へ熱交換が行われる。この熱源機器1で熱交換された熱媒体は往ヘッダ3に集められ、往ヘッダ3と空調負荷2とを連通する管の間に設けられた二次ポンプ6を駆動することにより、空調負荷2へ供給される。この空調負荷2において室内の空気と熱媒体との間で熱交換が行われ、熱交換が終わった熱媒体は還ヘッダ4へ出力される。また、前記空調システムは、熱媒体が空調負荷2に供給される前後の温度差と、空調負荷2から出力された熱媒体の流量とから熱量を演算し、この演算した熱量と、熱源機器1から出力される熱媒体の熱量とを一致させるように制御装置7で制御している。
【0004】
ところで、往ヘッダ3と還ヘッダ4とは連通管8により連通しているので、一次ポンプ5と二次ポンプ6との熱媒体の吐出量に差が生じると、往ヘッダ3と還ヘッダ4との差に応じて連通管8を通して熱媒体が移動する。これにより、空調負荷2側と熱源機器1側とのバランスが取られる。また、連通管8に弁が設けられている場合には、往ヘッダ3に係る圧力が上昇したときに、直ちに前記弁を開くように制御される。このような制御を行う技術に特許文献1の技術がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−83126号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の空調システムの制御は四季を通じて熱量を演算して行われていた。このため、この空調システムで冷房を行い、夏季を基準として空調負荷の熱量を設定すると、中間期(秋又は春)では温度計9と温度計10との温度差が夏季に比べ小さくなるので、夏季と同じ熱量を得るには熱媒体の流量を多くしなければならず、熱媒体を空調負荷2へ無駄に供給することになっていた。すなわち、熱量演算による制御は、空調負荷2で使用された熱量の演算結果より熱源機器1の必要供給量を決めるが、夏季と中間期とで制御する設定を変えていない。このため、中間期などの熱交換の効率が低下する時期を考慮した余裕率が設定され、ポンプ等の動力負荷に無駄が生じていた。この結果、往ヘッダ3と還ヘッダ4との温度差が確保されなくなり、特に熱源機器1に蓄熱槽を用いる場合には、熱媒体との熱交換時に大きな損失が発生していた。
また、制御装置7で空調負荷2の熱量を演算した結果通りに、同じ熱量を持った熱媒体が熱源機器1から空調負荷2へ供給されているか疑問があった。
【0007】
本発明は従来技術の欠点を解消するために、インバータ付きの一次ポンプによって熱媒体の吐出量を制御し、夏季や中間期においても熱源機器に熱交換の損失を生じることなく、運転効率のよい制御を行う熱源機器の適正容量制御方法及び装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明の熱源機器の適正容量制御方法は、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダとを連通させる連通管に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷から出力される熱媒体の量とを同等にすることを特徴としている。
【0009】
また、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲外であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体を流し、前記熱源機器に供給される熱媒体の温度を一定値に保つ制御を行うことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の熱源機器の適正容量制御装置は、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムの熱源機器の適正容量制御装置において、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダと、前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体の流量を測定する流量測定手段と、前記熱源機器に熱媒体の量を調整しながら供給する熱媒体供給手段と、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定された範囲内であれば、前記連通管で測定される熱媒体の流量を零になるように前記流量測定手段を制御し、前記温度差が設定された範囲外であれば、前記連通管に熱媒体を流すよう前記流量測定手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、前記制御手段は前記連通管に流れる熱媒体の流量及び方向と、前記熱源機器へ入力する熱媒体の温度とに基づいて、前記熱源機器の運転台数の制御を行う構成とできる。
【0012】
【作用】
本発明によれば、熱源機器から出力される熱媒体の温度と、空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が予め設定した設定値の範囲内であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に流れる熱媒体の量が零になるように一次ポンプを制御するので、熱源機器側より出力される熱媒体の供給量と、空調負荷から出力される熱媒体の量が等しくなり、空調システムの運転効率が向上する。
【0013】
また、熱源機器から出力される熱媒体の温度と、空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が予め設定した設定値の範囲外であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体を流し、熱源機器に供給される熱媒体の温度を一定に保つようにする。これにより、熱源機器における熱媒体への熱交換の効率が向上し、空調システムの運転効率が向上する。
【0014】
また、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に流量測定手段を設けたので、連通管に流れる熱媒体の流量と方向を測定することができる。また、熱源機器から出力される熱媒体の温度と、空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差を測定して、前記連通管に流れる熱媒体の流量と方向を制御するように構成したので、熱源機器における熱媒体への熱交換の効率が向上し、空調システムの運転効率が向上する。
【0015】
また、連通管に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に入力する熱媒体の温度に基づいて、熱源機器の運転台数の制御を行う構成とした。この構成は、熱源機器1台が発生させる熱量が空調システムで必要な要求熱量に達したときに、2台目の熱源機器を運転させるので、空調システムの運転効率が向上する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る熱源機器の適正容量制御方法及び装置を、添付図面に基づいて説明する。図1は第一の実施の形態に係る空調システムの構成図である。本実施の形態に係る空調システム20は、熱源機器と空調機の空調負荷22との間を熱媒体が循環して冷暖房を行うシステムであり、熱媒体を空調負荷22へ供給する熱源機器側の回路構成は、前記熱源機器の入力側に一次ポンプ24,26,28を設けて熱媒体を供給し、この回路を複数並列に接続している。この回路中の1回路は熱源ベース機となり、この熱源ベース機の一次ポンプ24はインバータ制御が行える構成となっている。本実施の形態では熱媒体供給手段としてインバータ付き一次ポンプ24を用いた構成となっている。この熱源ベース機のインバータ付き一次ポンプ24の入力側には、熱媒体の温度を測定する温度計30が設けられている。前記熱源機器には蓄熱槽32及び冷凍機34,36が用いられ、本実施の形態では蓄熱槽32を含む回路が熱源ベース機となっている。
【0017】
前記熱源機器と一次ポンプとで構成した回路であって、熱媒体が前記熱源機器から出力される側における前記回路の接続箇所には、熱媒体を集積する往ヘッダ38が設けられている。また、熱媒体が前記熱源機器へ入力される側における前記回路の接続箇所には、熱媒体を各熱源機器へ分配する還ヘッダ40が設けられている。
【0018】
往ヘッダ38から熱媒体を出力する側には二次ポンプ42,44が並列に設けられている。この二次ポンプ42,44から熱媒体を吐出する側にはヘッダ46が設けられ、二次ポンプ42,44から吐出される熱媒体を集積する構成である。ヘッダ46の出力側には空調負荷22が接続され、この空調負荷22の出力側には還ヘッダ40が設けられている。空調負荷22と還ヘッダ40との間には温度計48が設けられ、この温度計で熱媒体の温度を測定する構成である。
【0019】
また、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50が設けられ、この連通管50には熱媒体の流量を計測する流量計52が配設されている。本実施の形態では、流量測定手段として流量計52を用いた構成となっている。
【0020】
前記熱源機器に蓄熱槽32を用いる場合は、蓄熱槽32と熱媒体との間に熱交換器54を設けて、熱媒体と蓄熱槽32に蓄えられた熱とを熱交換させている。また、空調負荷22の出力側に設けられた温度計58で計測された熱媒体の温度は温度制御装置60に伝送され、この温度制御装置60において蓄熱槽32から熱交換器54へ熱媒体を供給するインバータ付きポンプ56の吐出量を制御し、空調負荷22へ供給される熱媒体の温度を一定値に保つ構成である。
【0021】
また、前記熱源機器の入力側に設けられた一次ポンプ26,28、インバータ付き一次ポンプ24及び温度計30と、蓄熱槽の出力側に設けられた温度計58と、往ヘッダ38の出力側に設けられた二次ポンプ42,44と、空調負荷22の出力側に設けられた温度計48と、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50に設けられた流量計52とが制御装置62に接続されている。この制御装置62は温度計58と温度計48とで熱媒体の温度を測定し、この測定した温度の温度差が予め設定した値の範囲内、例えば5℃±1℃の範囲内であれば、往ヘッダ38と還ヘッダ40との間に流れる熱媒体の量を零になるように制御する構成である。また、温度計58と温度計48との温度差が予め設定した範囲外にあり、この温度差が少ない場合、例えば温度差が3℃のときはインバータ付き一次ポンプ24の吐出量が少なくなるように制御して、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(−流量方向)熱媒体を流す制御を行う構成である。さらに、温度計58と温度計48との温度差が大きい場合、例えば温度差が7℃のときはインバータ付き一次ポンプ24の吐出量が多くなるように制御して、往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(+流量方向)熱媒体を流す制御を行う構成である。
なお、前記熱源機器を介して還ヘッダ40から往ヘッダ38へ熱媒体が循環する側を一次側と、空調負荷22を介して往ヘッダ38から還ヘッダ40へ熱媒体が循環する側を二次側とする。
【0022】
このように構成された空調システム20において、前記熱源機器の適正容量制御方法を説明する。蓄熱槽32の熱交換器54に供給される熱媒体はインバータ付き一次ポンプ24によって供給され、前記熱交換器54で蓄熱槽32から循環してきた熱媒体と熱交換が行われる。このとき、温度制御装置60は、温度計58で計測された空調負荷22に供給される熱媒体の温度を基に蓄熱槽32側のインバータ付きポンプ56の吐出量を制御するので、前記空調負荷22に供給される熱媒体は常に一定の温度で出力される。また、温度計58で計測された温度は制御装置62へも伝送される。そして、熱交換器54で熱交換が行われた熱媒体は往ヘッダ38へ出力される。
【0023】
このように動作する熱源機器は、まず熱源ベース機を動作させる。そして、熱源ベース機から出力する熱媒体の量よりも、さらに多くの熱媒体が必要になった場合は、冷凍機と一次ポンプとで構成された回路を1回路ずつ必要なだけ駆動させていく(追加運転)。これとは逆に、一次側からの熱媒体の供給量が多くなった場合は、冷凍機と一次ポンプで構成された回路を1回路ずつ停止させていく(減運転)。
【0024】
また、冷凍機34,36に供給される熱媒体は一次ポンプ26,28によって供給され、この冷凍機34,36で熱媒体との熱交換が行われる。そして、熱交換が行われた熱媒体は往ヘッダ38へ出力される。このとき、蓄熱槽32と冷凍機34,36とから出力される熱媒体の温度は等しくなるように調節されている。
【0025】
往ヘッダ38に出力された熱媒体は空調負荷22の大きさに応じて複数の二次ポンプ42,44によりヘッダ46へ出力される。この二次ポンプ42,44は空調負荷22の大きさに合わせて駆動させる台数の制御、及びポンプの回転数制御が行われる。また、二次ポンプを1台しか設けない場合は、ヘッダ46を用いる必要はない。そして、ヘッダ46より出力された熱媒体は空調負荷22へ供給され、この空調負荷22において熱交換が行われる。熱交換が行われた熱媒体は温度計48を介して還ヘッダ40へ出力される。この温度計48では熱媒体の温度が測定され、測定された温度は制御装置62へ伝送される。還ヘッダに入力された熱媒体はインバータ付き一次ポンプ24及び一次ポンプ26,28により、それぞれ蓄熱槽32及び冷凍機34,36へ供給される。また、熱源ベース機となる回路に供給された熱媒体は温度計30により温度が計測され、計測された温度は制御装置62に伝達される。
【0026】
このように動作する空調システム20において、温度計58と温度計48とで計測される温度の差が制御装置62で予め設定された値の範囲内にあるときは、熱源機器とインバータ付き一次ポンプ24及び一次ポンプ26,28とより、空調負荷22の熱量に対して過不足なく熱量を供給するのが一番効率よく、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50に熱媒体が流れないようにすればよい。これは、制御装置62がインバータ付き一次ポンプ24からの熱媒体の吐出量を制御することにより行われ、この制御を行うときのフローを図2に示す。
【0027】
まず、熱源機器ベース機となる、蓄熱槽32とインバータ付き一次ポンプ24を運転し、このときインバータ付き一次ポンプ24の制御を行う周波数に初期設定値を登録する(ステップ210)。そして、連通管50に流れる熱媒体の方向及び流量を流量計52で測定する(ステップ220)。このとき、連通管50に熱媒体が流れていなければ、インバータ付き一次ポンプ24の制御は行わず、このままの状態で運転を続け、ステップ220の動作を繰り返す。また、熱媒体が還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス流量方向)流れる場合、ステップ210で設定した初期設定値が上限値に達しているか比較する(ステップ230)。このとき、初期設定値が上限に達していなければ、初期設定値を増加させる(ステップ240)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。また、ステップ230で初期設定値が上限値に達していた場合は、蓄熱槽32とインバータ付き一次ポンプ24の回路に並列接続した冷凍機34,36と一次ポンプ26,28の1回路を追加運転させ、熱源機器の台数制御を行う(ステップ250)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。
【0028】
ステップ220において、連通管50に流れる熱媒体が往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス流量方向)流れる場合、ステップ210で設定した初期設定値が下限値に達しているか比較する(ステップ260)。このとき、初期設定値が下限値に達していなければ、初期設定値を増加させる(ステップ270)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。また、ステップ260で初期設定値が下限値に達していた場合は、蓄熱槽32とインバータ付き一次ポンプ24の回路に並列接続した冷凍機34,36と一次ポンプ26,28の1回路を減運転させ、熱源機器の台数制御を行う(ステップ280)。そして、再び連通管50に流れる熱媒体を測定する(ステップ220)。
【0029】
これは、往ヘッダ38と還ヘッダ40とを連通する連通管50に流れる熱媒体の流量が零になるようインバータ付き一次ポンプ24の周波数を制御し、このインバータ付き一次ポンプ24の周波数が上限値を超えても熱媒体の供給量が不足する場合は、冷凍機と一次ポンプで構成した回路を追加運転する。また、インバータ付き一次ポンプ24の周波数が下限値を超えても流量が過剰な場合は、冷凍機と一次ポンプで構成した回路を減運転する。これにより、熱源機器から出力される熱媒体の量と、空調機の空調負荷22から出力される熱媒体の量とを等しくすることができ、効率的に空調を行うことができる。
【0030】
次に、秋又は春の中間期においては温度計58と温度計48とで計測される温度の差が制御装置62で予め設定された値の範囲外となる。このときは、温度計58と温度計48とで計測される温度の温度差が小さく、温度計30の温度が適正時に比べて低くなる。また、暑い夏においても、温度計58と温度計48とで計測される温度が制御装置62で予め設定された値の範囲外となる。このときは、温度計58と温度計48とで計測される温度差が大きくなり、温度計30の温度が適正時に比べて高くなる。しかし、熱源機器の熱交換の効率は、熱源機器に供給される熱媒体の温度が特定の温度のときが最も熱交換の効率が良い。このため、熱源機器の入口温度を一定値に保つことで熱媒体の熱交換率を向上させ、熱源機器の立ち上がり時の効率をあげるように制御する。すなわち、温度計58と温度計48とで計測される温度差が小さいときは、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス流量方向)熱媒体を流すように制御すればよい。また、温度計58と温度計48とで計測される温度差が大きいときは、往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス流量方向)熱媒体を流すように制御すればよい。この制御は熱源ベース機におけるインバータ付き一次ポンプ24の入力側に設けられた温度計30の温度を計測し、制御装置62がインバータ付き一次ポンプ24からの熱媒体の吐出量を制御することにより行われる。このときの連通管50に流す熱媒体の方向を決定するフローを図3に示す。
【0031】
熱源ベース機において、インバータ付き一次ポンプ24の入力側に設けられた温度計30の温度を計測する(ステップ310)。このとき、計測された温度が予め設定しておいた温度よりも低い場合は、連通管50に熱媒体を還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス流量方向)流す制御を行う(ステップ320)。また、ステップ310において温度計30で測定する温度が予め設定しておいた温度よりも高い場合は、連通管50に熱媒体を往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス流量方向)へ流す制御を行う。
【0032】
中間期及び暑い夏において、温度計58と温度計48とで計測される温度の差が予め設定された値の範囲外であり、計測された温度の差が小さいときは、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ熱媒体の流量を増加させることで熱源機器の入口温度を確保する。計測された温度の差が大きいときは、往ヘッダから還ヘッダへ熱媒体の流量を増加させて熱源機器の入口温度を確保する。この制御は、特に熱源機器として蓄熱槽32を用いたときに、蓄熱槽32における熱交換の効率をよくするものである。
【0033】
このような実施形態によれば、往ヘッダ38と還ヘッダ40との間に流量計52を設け、この流量計52に流れる熱媒体の流量を、インバータ付き一次ポンプ24の熱媒体の吐出量、及び熱源機器と一次ポンプとで構成された回路の台数制御により制御する。そして、温度計58と温度計48とで計測される温度が制御装置62で予め設定された値の範囲内にあるときは、連通管50に流れる熱媒体量が零になるようにする。これにより、一次ポンプ24,26,28により熱源機器から出力される熱媒体の供給量と、二次ポンプ42,44により空調負荷22へ供給される熱媒体の供給量が等しくなるので、空調システム20の運転効率を向上させることができる。
【0034】
また、温度計58と温度計48とで計測される温度が設定された範囲外にあるときは、連通管50に熱媒体を流すよう制御する。これにより、熱源機器に供給される熱媒体の温度は常に一定となり、熱源機器で熱媒体への熱交換をする効率が向上するため、空調システム20の運転効率を向上させることができる。
【0035】
また、本実施の形態では、熱源ベース機の回路に蓄熱槽32を用いた構成としたが、蓄熱槽32の代わりに冷凍機を用いることができる。この場合、冷凍機の入力側にインバータ付き一次ポンプ及び温度計を、前記冷凍機の出力側に温度計を設ければよい。
【0036】
また、熱源機器に蓄熱槽32及び冷凍機34,36の両方を用いた構成としたが、蓄熱槽32又は冷凍機34,36のどちらか一種類のみを用いる構成とできる。また、熱源機器の台数は空調負荷の大きさによって変わるため、空調負荷の大きさに合わせた台数の熱源機器を設ければよい。
【0037】
次に第二の実施形態に係る空調システムの制御方法について説明する。第二の実施形態に用いられる空調システムは第一の実施形態の空調システム20を用いることができ、制御装置62の制御方法が異なるのみである。この制御は、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に熱媒体が入力するときの温度、すなわち温度計30で計測される熱媒体の温度のみによって空調システム20を制御する方法である。第二の実施形態に係る空調システム20において、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を決定するフローを図4に示す。
【0038】
まず温度計30において、熱源機器へ入力する熱媒体の温度を設定する(ステップ410)。この設定温度は、熱源機器における熱媒体への熱交換の効率が高い値を初期値として設定する。そして、温度計30で熱媒体の温度を計測する(ステップ420)。計測された温度がステップ410で設定した値の範囲内であれば、そのまま熱源機器へ入力する熱媒体の温度を計測する。
【0039】
また、ステップ420の結果がステップ410で設定された値よりも低い場合に、さらに温度計30で計測される温度の下限の限界値内であるか比較する(ステップ430)。このとき下限値内であれば、そのまま熱源機器へ入力する熱媒体の温度を計測する。また、下限値よりも下回る場合には、還ヘッダ40から往ヘッダ38へ連通管50に熱媒体を流す制御を行う(ステップ440)。この制御は一次ポンプから吐出される熱媒体の量を少なくするようにすればよい。そして、温度計30の温度を計測する(ステップ420の動作に戻る)。
【0040】
また、ステップ420の結果がステップ410で設定された値よりも高い場合に、さらに温度計30で計測される温度の上限の限界値内であるか比較する(ステップ450)。このとき上限値内であれば、そのまま熱源機器へ入力する熱媒体の温度を計測する。また、上限値よりも上回る場合には、往ヘッダ38から還ヘッダ40へ連通管50に熱媒体を流す制御を行う(ステップ460)。この制御は一次ポンプから吐出される熱媒体の量を多くするようにすればよい。そして、温度計30の温度を計測する(ステップ420の動作に戻る)。
【0041】
このような連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に熱媒体が入力するときの温度のみで空調システム20を制御する場合おいても、熱源容量が過不足と判断したときには熱源機器の追加運転又は減運転の台数制御が必要となる。この台数制御を行うときの判断のフローを図5に示す。
【0042】
まず、空調システム20を運転させるときは、熱源ベース機を運転させる(ステップ510)。そして、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する(ステップ520)。測定の結果、連通管50に流れる熱媒体の流量が設定の範囲内、すなわち、ほぼ零のときは、このまま連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する。
【0043】
また、ステップ520の結果、連通管50に還ヘッダ40から往ヘッダ38へ(マイナス方向)熱媒体が流れる場合は、熱源機器へ入力される熱媒体の温度を計測して、前記温度が設定された範囲の上限値か比較する(ステップ530)。このとき、前記温度が設定された範囲の上限に達しない場合は連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する(ステップ520へ戻る)。また、前記温度が設定でされた範囲の上限に達する場合は、熱源ベース機と並列接続された熱源機器の1回路を追加運転させ、台数制御を行う(ステップ540)。
【0044】
また、ステップ520の結果、連通管50に往ヘッダ38から還ヘッダ40へ(プラス方向)熱媒体が流れる場合は、熱源機器へ入力される熱媒体の温度を計測して、前記温度が設定された範囲の下限値か比較する(ステップ550)。このとき、前記温度が設定された範囲の下限に達しない場合は連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向を測定する(ステップ520へ戻る)。また、前記温度が設定でされた範囲の下限に達する場合は、熱源ベース機と共に運転している熱源機器の1回路を減運転(停止)させ、台数制御を行う(ステップ560)。
【0045】
このような第二の実施形態のよれば、熱源機器に入力する熱媒体の温度が設定値の上限に達したときに、さらに熱源機器の1回路を追加運転させるので、従来技術に比べて効率的な熱源機器の運転ができる。図6に従来技術と第二の実施形態との熱源機器を運転させるタイミングの違いを示す。この図6は熱源運転台数に対する熱量のグラフであり、グラフ中には空調システム20の空調負荷22で必要な要求熱量を示している。熱源運転台数の軸に設けられた目盛りは、従来技術の制御方法における熱源機器1台当たりの運転範囲である。また、熱量の軸に設けられた目盛りは、従来技術の制御方法における熱源機器1台当たりで使用する熱量である。
【0046】
従来技術の制御方法では、熱源機器1台で発生させることのできる熱量が前記要求熱量に達する前に2台目の熱源機器を運転させているので、要求熱量より多い熱量が利用することのできない無駄な熱量となる。すなわち、図6の斜線部及び二重斜線部が利用できない熱量となる。
【0047】
第二の実施形態に係る制御方法では、熱源機器を追加運転させる場合に、熱源機器1台が発生させる熱量が限界に近づくと熱源機器に入力する熱媒体の温度が上昇する。この温度が設定の上限値に達したときに2台目の熱源機器を追加運転させる。すなわち、熱源機器1台で発生させることのできる熱量が前記要求熱量に達したときに、2台目の熱源機器を運転させる。また、熱源機器の減運転をする場合は追加運転させる制御を逆にして行っている。この制御は熱源機器1台が発生させる熱量を全て利用する方法である。これにより2台目の熱源機器を運転させるときと、従来技術における2台目の熱源機器を運転させるときとの間の熱量、すなわち図6中の二重斜線部分の熱量を削減することができる。
【0048】
第二の実施形態に係る空調システム20は、連通管50に流れる熱媒体の流量及び方向、並びに熱源機器に熱媒体が入力するときの温度のみで制御を行う構成である。この構成では熱源機器1台で発生させる熱量が、空調システム20の空調負荷22で必要な要求熱量に達したときに2台目の熱源機器を運転させる。これにより、空調システム20の運転効率を向上させることができる。また、インバータに対応していない一次ポンプを有する熱源機器においても、季節毎に適正な熱源機器の台数制御を行うことができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダとを連通させる連通管に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷から出力される熱媒体の量とを同等にする構成とした。これにより、ポンプの駆動によって熱媒体の吐出量を制御し、夏季や中間期においても熱源機器に熱交換の損失を生じることなく、運転効率のよい制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施の形態に係る空調システムの構成を示す図である。
【図2】第一の実施の形態に係る空調システムの熱媒体の流量を制御するフローである。
【図3】第一の実施の形態に係る空調システムの連通管に流れる熱媒体の方向を決定するフローである。
【図4】第二の実施形態に係る空調システムの連通管に流れる熱媒体の流量を設定するフローである。
【図5】第二の実施形態に係る空調システムの熱源機器の台数制御を行うフローである。
【図6】第二の実施形態に係る空調システムの運転のタイミングについて説明する図である。
【図7】従来の空調システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
20………空調システム、24………インバータ付き一次ポンプ、26,28………一次ポンプ、42,44………二次ポンプ、30,48,58………温度計。
Claims (4)
- 熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲内であれば、前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダとを連通させる連通管に流れる熱媒体の流量を零になるよう制御して、前記熱源機器から出力される熱媒体の量と、前記空調負荷から出力される熱媒体の量とを同等にすることを特徴とした熱源機器の適正容量制御方法。
- 熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムにおける熱源機器の適正容量制御方法であって、前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定の範囲外であれば、往ヘッダと還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体を流し、前記熱源機器に供給される熱媒体の温度を一定値に保つ制御を行うことを特徴とした熱源機器の適正容量制御方法。
- 熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムの熱源機器の適正容量制御装置において、
前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、
前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダと、
前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体の流量を測定する流量測定手段と、
前記熱源機器に熱媒体の量を調整しながら供給する熱媒体供給手段と、
前記熱源機器から出力される熱媒体の温度と、前記空調負荷から出力される熱媒体の温度との温度差が設定された範囲内であれば、前記連通管で測定される熱媒体の流量を零になるように前記流量測定手段を制御し、前記温度差が設定された範囲外であれば、前記連通管に熱媒体を流すよう前記流量測定手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱源機器の適正容量制御装置。 - 熱源機器と空調負荷との間に熱媒体を循環させ、前記空調負荷で熱交換を行う空調システムの熱源機器の適正容量制御装置において、
前記熱源機器から出力される熱媒体を集める往ヘッダと、
前記空調負荷からの出力される熱媒体を集める還ヘッダと、
前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通する連通管に熱媒体の流量を測定する流量測定手段と、
前記連通管に流れる熱媒体の流量及び方向と、前記熱源機器へ入力する熱媒体の温度とに基づいて前記熱源機器の運転台数の制御を行う制御手段と、
を備えたことを特徴とする熱源機器の適正容量制御装置。
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